ウラジロサナエタデ 裏白早苗蓼

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イヌタデ属

学 名 Persicaria tomentosa (Schrank) E.P.Bicknell サナエタデ

 synonym Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre var. salicifolia (Sibth.) Miyabe ウラジロサナエタデ 異分類

 synonym Persicaria scabra (Moench) Mold var. salicifolia Miyabe

ウラジロサナエタデの花序
ウラジロサナエタデの花
ウラジロサナエタデ花柄の腺毛
ウラジロサナエタデの托葉鞘
ウラジロサナエタデの茎上部
ウラジロサナエタデ
ウラジロサナエタデ葉表
ウラジロサナエタデ葉裏
ウラジロサナエタデ幅広の葉表
ウラジロサナエタデ葉表の綿毛
ウラジロサナエタデ葉裏の綿毛
ウラジロサナエタデ果実
花 期 5~10月
高 さ 30~90㎝
生活型 1年草
生育場所 道端、畑
分 布 在来種  日本、北半球の暖帯、温帯に広く分布
撮 影 幸田町 13.7.8
ウラジロサナエタデはサナエタデの変種として扱われ、以前は学名がPersicaria lapathifolia var. salicifoliaやPersicaria scabra var. salicifolia とされていた。最近は変種とせず、サナエタデに含める見解であるが、外観に違いがあり同じものには見えない。サナエタデの学名はPersicaria tomentosa (Schrank) E.P.Bicknellとされている。しかし、Persicaria tomentosaの学名はアラゲタデ(Persicaria pulchra)のsynonymがPersicaria tomentosa (Willd.) Sasakiであり、ペルシカリア・マダガスカリエンシス(Persicaria madagascariensis)のsynonymもPersicaria tomentosa Sasakiとされていた。混同しやすいので注意が必要。
 サナエタデは花序が長さ1~4(5)㎝で先は垂れない。通常、毛が少なく、葉の下面に腺点が密生する。ウラジロサナエタデは下面に綿毛が密生する。毛の特に多いものは葉表や茎にも綿毛がある。それ以外はサナエタデと差異がなく、花序柄に腺毛があり、痩果も同じ両凹レンズ形である。
 ウラジロサナエタデはまるで別種に見えるが、サナエタデと混生することも多く、以前は変種とされ、学名がPersicaria lapathifolia var. salicifoliaやPersicaria scabra var. salicifolia とされていたが、現在ではサナエタデに含められている。サナエタデは毛が少なく、葉裏に腺点が密生する。ウラジロサナエタデは葉裏に綿毛が密生する。毛の特に多いものは葉表や茎にも綿毛がある。それ以外はサナエタデと差異がなく、花序柄に腺毛があり、痩果も同じ両凹レンズ形である。

類似種の比較

(1) Persicaria lanata (Roxb.) Tzvelev キヌタデ 絹蓼

  synonym Persicaria lapathifolia (L.) Gray var. lanata (Roxb.) H.Hara [YList]

  synonym Persicaria lapathifolia (L.) Gray subsp. lanata (Roxb.) Sojak

  synonym Polygonum lapathifolium var. lanatum (Roxburgh) Steward [Flora ob China]

  synonym Polygonum lanatum Roxburgh
 中国(西藏自治区、雲南省)、インド、アッサム州、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、シッキム、ミャンマー、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン、南欧ロシア、ブルガリアに分布。中国名は密毛马蓼 mi mao ma liao、または白苦柱 bai ku zhu。標高200~1100mの畑の縁、溝沿いに生える。日本に帰化している。Flora of Chinaの解説では茎と葉身に蜜に羊毛状毛があるとされ、花序柄の腺については記述がないが、Flora of Pakistanの解説にはある。
 1年草、直立~ほぼ直立、高さ60~150㎝。茎は単純または分枝し、通常、帯赤色、特に節が帯赤色で白色の綿毛で覆われる。葉は短い柄があり、柄は長さ3㎜まで、葉身は披針形~楕円状披針形、長さ5~15㎝×幅0.8~2.5㎝、鋭形~尖鋭形形、両面に羊毛状毛がある(lanate:白色~灰白色(canescence)の綿毛)が、下面のほうが多い。托葉鞘(ochreae)は筒状、ときに節間を完全に覆い、±羊毛状毛があり、縁は縁毛が無い。 花序は枝があり、長さ2.5~5(~6)㎝、総状花序。花序柄は腺がなく、ときに羊毛状毛がある(lanate)。鞘状苞(ochreolae)はほぼ筒状、卵形、まばらに羊毛状毛がある。花は長さ約2.5㎜、短い小花柄がある。花被片は4枚、稀に5枚、赤色または白色。 雄しべは6本、花糸は糸状、花柱と±同長。子房は両凹形、花柱は2本、柱頭は2個、頭状。堅果(痩果)は長さ約2㎜×幅1.8~2㎜、両凹形、平ら、黒色で光沢がある。花期は4~9月。オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)によく似ているが、オオイヌタデは花序柄に乱雑に有柄の腺がある。(Flora of Pakistan)。
(2) Persicaria pulchra Soják アラゲタデ 粗毛蓼

  synonym Persicaria attenuata (R.Br.) Sojak subsp. pulchra (Blume) K.L.Wilson [Ylist]

  synonym Persicaria tomentosa (Willd.) Sasaki
  synonym Polygonum pulchrum Blume
 日本(沖縄県の大東諸島)、中国(広東省、広西チワン族自治区)、台湾、インド、ミャンマー、アンダマン諸島、スリランカ、カンボジア、ジャワ、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア原産。中国名は丽蓼 li liao。標高100~300mの沼地、湿地帯の浅い水域に生える。
 多年生、根茎がある。 茎は直立し、ときに下部が平伏し、高さは(60)80~100㎝、丈夫、単純、直軟毛があるか、または無毛になる。葉柄は長さ1~2㎝。葉身は広披針形、長さ10~15㎝×幅1.5~3㎝、両面に密に絹毛があり、基部は狭い楔形、縁は全縁、縁毛があり、先は長い尖鋭形。托葉鞘は筒状、長さ1.5~2㎝、膜質、密に毛があり、先は切形、縁毛は長さ4~6㎜。花序は頂生、円錐花序、直立し、長さ3~6㎝。苞は卵形で、伏した小粗毛があり、各苞に3個または4個の花がつく。小花柄は苞よりも長い。花被は白色、5深裂する。花被片は楕円形、長さ3~3.5㎜。雄しべは7または8本。花柱は2本、離生。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、黒色、光沢があり、円形、両凸形、直径3~4㎜。花期は9~10月。果期は10~11月。
(3) Persicaria barbata (L.) H.Hara ケタデ 毛蓼
  synonym Persicaria kotoshoensis (Ohki) Sasaki 
  synonym Persicaria flaccida auct. non (Roxb.) Nakai ex Sasaki
  basionym Polygonum barbatum L [Flora of China]
  synonym Polygonum omerostroma (Ohki) Sasaki
  synonym Polygonum kotoshoense Ohki
  synonym Polygonum omerostromum Ohki
 日本(琉球各島)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ニューギニア原産。中国名は毛蓼 mao liao。別名はリュウキュウタデ。標高0~1300mの湿地、川岸、水辺に生える。
 多年草。 根茎がある。茎は直立、高さ40~90㎝、丈夫、有毛、単茎又は上部で分枝する。葉柄は長さ5~8㎜、密に小剛毛がある。葉身は披針形~楕円状披針形、長さ7~15㎝×幅1.5~4㎝、両面に毛があり、基部は楔形、縁は縁毛があり、先は尖鋭形。托葉鞘は筒形、長さ1.5~2㎝、膜質、密に小剛毛があり、先は切形、縁毛は長さ1.5~2㎝。花序は頂生、穂状花序、直立、長さ4~8㎝、数個の穂状花序がつき、円錐花序状になり、稀に単生。苞は漏斗形、無毛、縁に縁毛があり、各苞に花が3~5個つく。花柄は、短い。花被は白色又は帯緑色、5深裂する。花被片は楕円形、長さ1.5~2㎜。雄しべは5~8個、突き出ない。花柱は3個。柱頭は頭状。痩果は宿存する花被に包まれ、黒色、光沢があり、卵形、3稜形、長さ1.5~2㎜。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=60。
(4) Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre オオイヌタデ
 サナエタデに良く似ており、茎の節のふくらみが大きく、花序が長く、先が垂れ下がる。葉の側脈が20~30対。花序柄に腺毛がある。ウラジロサナエタデのように葉に綿毛の多いものもある。サナエタデはWFO Plant List(2022)はオオイヌタデ(Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre)のsynonymとされている。
 高さ(5~)10~100(~180)㎝。茎は節間がほぼ無毛、上部に伏した毛があり、ときに腺点または有柄の腺があり、赤色を帯びることが多く、ときに帯赤色の斑点があり、うねがほとんどなく、節は膨らむ(生育する場所による)。葉は側脈が20~30対、上面に暗色の斑紋があり、両面とも通常無毛または下面に腺点が明瞭にあり、または羊毛状毛(lanate)~くも毛があり、縁毛は無~長さ0.2㎜。托葉鞘は面が無毛、縁は無毛まれに長さ1㎜以下の微毛がある。苞は無毛、先は尾状または長い尖鋭形。花序は長さ3~8(~10)㎝、先が垂れ下がる。花序柄はしばしば有柄の腺がある。花は小束あたり4~14個つく。花被片は4(~5)個、緑白色~ピンク色、腺点がありまたは無く、果時の花被片の脈の先は錨形。痩果は円盤形[両面が少し窪む両凹レンズ形]またはまれに3稜形。花期は(4~)7~11月。2n=22。n=11。