ウナギツカミ 鰻攫

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イヌタデ属

別 名 アキノウナギツカミ(秋の鰻攫)、アキノウナギヅル(秋の鰻蔓)
中国名 箭头蓼 jian tou liao
英 名 Arrow-leaf tearthumb, arrow-vine, renouee sagittee
学 名 Persicaria sagittata (L.) H.Gross [広義]
 synonym Polygonum sagittatum L.

 synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe [狭義]

 synonym Polygonum sagittatum L. var. sibiricum Meisn.

 synonym Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki [アキノウナギツカミ]

ウナギツカミ小さい花序
ウナギツカミの大きい花序
ウナギツカミの花
ウナギツカミの苞
ウナギツカミの葉基部
ウナギツカミの托葉鞘
ウナギツカミの茎
ウナギツカミの茎2
ウナギツカミ
ウナギツカミ花序横
ウナギツカミ果実
ウナギツカミ葉表
ウナギツカミ葉裏
花 期 5~10月
高 さ 60~100㎝
生活型 1年草
生育場所 湿った場所
分 布 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、北アメリカ原産。
撮 影 三ヶ根山  13.10.18
ウナギツカミはイヌタデ属(Persicaria)の雑草。タデ属 Polygonumで分類されることも多い。東アジアに分布するPolygonum sieboldii と北アメリカに分布するPolygonum sagittatumを分けることは難しいとの見解もあり、これが主流になってきている。最近の遺伝子的な分析により、両者にはいくぶん差異が認められ、多形性又は変種と認めることはできるが、別種とするのは難しいとされている。形態的な差異は葉の縁毛と果実の光沢。また、日本では早生の畑地型が狭義のウナギツカミ、晩生の湿地型がアキノウナギツカミと呼ばれてきたが種内変異とされ、広義にPersicaria sagittata とし、アキノウナギツカミを含めてウナギツカミとする。

1 Persicaria sagittata (L.) H.Gross ウナギツカミ 鰻攫 広義

  synonym Polygonum sagittatum Linnaeus

  synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe f. tomentosa (H.Hara) H.Hara

  synonym Persicaria anguillana (Koidz.) Honda

  synonym Persicaria aestiva Ohki

  synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. aestiva (Ohki) Masam.

  synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe f. aestiva (Ohki) H.Hara

  synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe f. pilosa (H.Hara) H.Hara

  synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe f. sericea (Nakai) H.Hara

  synonym Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sieboldii (Meisn.) Nakai

  synonym Persicaria belophylla (Litv.) Kitag

  synonym Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki アキノウナギツカミ アジア産

  synonym Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki f. laevicaulis Seriz.

  synonym Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki var. aestiva (Ohki) Okuyama

  synonym Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki var. paludosa (Kom.) Nakai ex Kitag.

  synonym Polygonum sagittatum L. 北アメリカ産
 日本、千島列島、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、インド、パキスタン、ネパール、ブータン、ミャンマー、北アメリカ(USA、カナダ)、ミニカ共和国原産。英名はArrow-leaf tearthumb, arrow-vine, renouee sagittee 。中国名は箭头蓼 jian tou liao。湿った場所に生える。
 1年草、攀縁し、高さ0.3~2m。茎は薄緑色~緑色、成熟するとしばしば赤紫色になり、1本~広範囲に分枝し、無毛、角(かど)があり、角に反曲する小刺(刺は長さ1~1.5㎜)をもち、しばしば、基部で傾伏し、普通、下部の節にひげ根を生じる。葉は葉柄があり、上部の葉はしばしば短柄や無柄になる。葉柄は長さ0.5~4㎝、無毛、角(かど)に後ろ向きの刺がある。葉身は上面が緑色、下面が薄緑色、広披針形~長円形、長さ2~8.5㎝×幅1~3㎝、質が薄く、下面は無毛、中脈の基部近くに後ろ向きの刺を普通もち、上面は無毛~密に伏した単純毛が多列にあり、基部は矢じり形~深い心形で、小さな円形又は三角形の裂片をもち、全縁、縁毛は有又は無、先は鋭形~類鋭形~鈍形。托葉鞘(葉鞘)は斜め、長さ(0.3)0.5~1.3㎝、薄膜質(紙質)、刺は無く、無毛、縁毛は有又は無、縁毛は長さ0.2~1㎜。花序は頂生又は上部の葉の腋につき、頭状花序又は長くなり、円錐花序状、間隔は開かず、長さ3~15㎝×幅4~10㎜、しばしば細く、普通、分枝し、普通、無毛、しかし、ときに下部に少数の反曲する刺をもつ。花序柄は長さ10~80㎜、普通、無毛、ときに下部に後ろ向きの刺をもつ。花序の花の小束(FNAではocreate fascicle)につく鞘状苞(ocreolae:sheathing bract, FOCではbract)は托葉鞘に似るが、かなり小さく、長さ1.5~3㎜、重なり、縁毛は無い。各花序の枝は多数の花が束生する密な頭状の房が頂生する。各苞には普通、花が2~3個、密集する。苞は披針形~狭楕円形、長さ3~5㎜、無毛、先は強く、尖鋭形。小苞は狭楕円形~楕円形、長さ3~4㎜、無毛、しばしば先端に縁毛がある。花柄は多くは斜上し、短く、長さ1~1.5㎜、無毛、小苞に包まれる。花被は白色~緑白色、しばしばピンク色や赤色を帯び、ときに全体がピンク色になり、無毛、長さ3~5㎜、5深裂する。花被片は5個、広楕円形、肉質ではなく、先は鈍形。雄しべは8個、分離、花被の基部に2輪につく。内側の雄しべは3個、長さ約2㎜。外側の5個は長さ1~1.5㎜。葯はピンク色、卵形。花柱は3個、中間まで合着(1個、中間まで3裂)し、長さ約0.5㎜、突き出ない。柱頭は3個。痩果は突き出ず又は花柱が突き出し、薄褐色~暗褐色~黒色、光沢が無~有、長さ2.5~4㎜×幅1.8~2.5㎜、普通、卵形、鋭い3稜形、有小斑点~平滑、先は鋭形。2n=40, (34)。花期は5~10月。
 YList、Flora of China(FOC)では以下の変種を認めているが、Kewscienceでは認めていない。

1-1 Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe ウナギツカミ 鰻攫[狭義 アジア産]

 北海道~九州、東アジアに分布。畦畔、水辺、空き地など湿った土地に生育する。種内の変異が大きく、早生の畑地型が狭義のウナギツカミ、晩生の湿地型がアキノウナギツカミと呼ばれてきた。茎はつる状に伸び、下部は地を這い、上部は斜上する。茎は四角形で稜に逆刺がある。葉は互生、葉柄は長く、葉柄の基部には膜質の托葉鞘がある。葉の基部は心形~やじり形。茎上部の葉は短柄で、基部が矢じり形で茎を抱く。枝先に淡紅色の花を球状につける。花序は直径約1cm。花被片は5枚。上部が紅色~紅紫色を帯び、長さ約2.5mm。痩果は花被に包まれ、濃茶褐色に紫色を帯び、3稜形で光沢がある。長さ約3㎜。花期は5~10月。
1-2 Persicaria sagittata var.sagittata[狭義 北アメリカ産]
  synonym Polygonum sagittatum L.var.sagittata
 USA,カナダに分布。
 1年草、高さ20~150㎝、しばしば下部の節から根を生じる。茎は攀縁し、うねがあり、無毛、刺は長さ0.5~1㎜。托葉鞘はタン色~帯褐色、円筒形、長さ8~15㎜、紙質、基部は膨れ又は膨れず、刺があり、縁は斜め、長さ05~2.5㎜の剛毛の縁毛をもち、表面は無毛又は伏毛~開出毛がある。葉柄は長さ1~7㎝。葉身は広矛形~矛状心形~三角形、長さ(2~)6.5~13(~18)㎝×幅(1~)6~11(~16)㎝、基部は切形~切形状心形、縁は広矛形で裂片は散開し、縁毛があり、ときに、後ろ向きの刺もあり、先は尖鋭形、表面は伏毛があり、まれに上面が無毛になり、下面は星状毛がありまれに無毛になり、主脈にしばしば刺がある。花序は頭状花序又は円錐花序、間隔は開かず、長さ5~12㎜×幅3~8㎜。花序柄は長さ10~80㎜、下部に後ろ向きの刺があり、上部に星状毛と腺毛があり、腺は赤色又はピンク色。鞘状苞(ocreolae)は普通、重なり、ときに下部で重ならず、縁は縁毛が無く又は長さ0.5㎜以下の剛毛をもつ。花柄は多くは斜上し、長さ2~3㎜。各苞ごとに花が2~4個つく。花被はピンク色又は赤色、しばしば下部が白緑色、無毛、花後に大きくなり、果時に青色や肉質にならない。花被片は4個、長さの1/3~1/2が合着し、広楕円形、長さ5~6㎜、先は鋭形~鈍形。雄しべは(6~)8個。花糸は分離。葯はピンク色、楕円形。花柱は2個、分離。痩果は包まれ、暗褐色~黒色、両凸面、長さ3.5~6㎜×幅3~4㎜、光沢があり、平滑。花期は7~8月。果期は9~10月。2n=40

1-3 Persicaria sagittata (L.) H.Gross f. viridialba (Honda) H.Hara シロバナウナギツカミ 白花鰻攫

  synonym Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki f. espinulosa Seriz.
 白花品種。