ツクバネウツギ 衝羽空木

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Flora of Mikawa

スイカズラ科 Caprifoliaceae ツクバネウツギ属

別 名 コツクバネ
中国名 温州双六道木 wen zhou shuang liu dao mu
学 名 Diabelia spathulata (Sieb. et Zucc.) Landrein
 synonym Abelia spathulata Sieb. et Zucc.
ツクバネウツギの花序
ツクバネウツギの萼片が緑色の花序
ツクバネウツギの花
ツクバネウツギの花上
ツクバネウツギの萼片
ツクバネウツギ
ツクバネウツギ葉
花 期 5月
高 さ 1~2m
生活型 落葉低木
生育場所 日当たりのよい山地
分 布 在来種 本州、四国、九州(宮城県・佐賀県)、中国(浙江省)
撮 影 豊田市 03.5.10
ツクバネウツギはスイカズラ科ツクバネウツギ属の低木である。ツクバネウツギ属はAbeliaにまとめらていたが、ツクバネウツギ属(Diabelia)、ハナツクバネウツギ属(Abelia)、イワツクバネウツギ属(Zabelia)が別属に独立した。これらはAPGⅡではリンネソウ科(Linnaeaceae)とされていたが、APGⅣではリンネソウ科からスイカズラ科(Caprifoliaceae)に戻され、整理された。ツクバネウツギの和名の由来は果実の萼の形が羽根突きの羽根に似ていることに由来する。
 落葉性の低木、枝はよく分枝する。幹は灰褐色。葉は対生し、葉柄は長さ1~4㎜、有毛。葉身は長さ2~6㎝、幅1~4㎝、の卵形~楕円状卵形、縁は不規則な鋸歯があり、基部が広楔形~円形、先が次第に細くなり尖る。花は枝先に普通2個ずつ対につく。花柄は長さ4~9㎜。苞は長さ2~3㎜、披針形。花冠は白色~ときに黄白色。長さ2~3㎝の漏斗状の唇形、上唇は2裂し、下唇は3裂する。花冠の内側に黄色の網目状の模様がある。雄しべ4個、二強雄しべ 。雌しべ1個、花冠の筒部とほぼ同長。柱頭は頭状。花冠筒部の基部に棍棒形又は先が球形の密腺がある。萼は普通、赤色を帯び、基部まで5深裂し、萼片は長さ5~12㎜の長楕円形。痩果は長さ8~14㎜の線形、5個の萼片が王冠のように残る。。種子は長さ約5㎜、狭円柱形。
 ベニバナノツクバネウツギ var. sanguinea は高地に生え、花が紅色。
 オオツクバネウツギ var. tetrasepala は深山に生え、葉が広卵形。花が大きく花冠が長さ3~4㎝、黄白色。蜜腺は扁平。萼片は5個のうち1個が小さい又は4個。
 ウゴツクバネウツギ var. stenophylla本州(新潟県以北)の日本海側に自生する。葉の幅がやや広く、蜜腺の形が異なる。
 類似のコツクバネウツギ Abelia serrata は葉や花が小型。花は黄白色。萼片が2個。蜜腺は扁平。  ツクバネウツギ属はDiabeliaとされるが、YListではAbeliaにまとめている。

ツクバネウツギ属

  family Caprifoliaceae - genus Diabelia

 低木落葉。冬芽は露出し、鱗片は数個の対。枝は溝が無い。葉は対生、生えは短く、、葉柄間線(interpetiolar line)があり、托葉は無い。葉縁は全縁~鋸歯状、しばしば波打つ。花は頂生、短いシュートの先に対につく(開花は同時)。花はときに、1~3(~8)個、苞の腋につく花数による(繰り返し開かする長いシュートでは頻繁)。対の花は子房の基部に6個の苞を持つ。苞は小さく、開花後に大きくならない。咢片は2~5個、広がり、狭長楕円形、楕円形、宿存し、果時に±大きくなる。花冠は5裂、2唇形、白色、黄色、ピンク色、赤色。花冠筒部は基部の腹部が膨らみ、密な腺毛の蜜を含み、ときに、棍棒形で分離(nectaria trichomalia)。雄しべは2強雄しべ、花冠筒部につき、突き出ない又は突き出る。葯は内向き。子房は狭長楕円形、3室。2室は不稔の胚珠を2列もつ。1室は1個の稔性の胚珠をもつ。花柱は糸状。柱頭は頭状、白色でパピラがある。果実は長楕円形、革質の痩果。宿存する萼片を冠状につける。種子は類円柱形、種皮は膜質、胚乳は肉質。
 世界に4種あり、日本、中国に分布する。
 

ツクバネウツギ属(Diabelia)の主な種と園芸品種

1 Diabelia ionostachya (Nakai) Landrein & R.L.Barrett ウゴツクバネウツギ 羽後衝羽空木 広義

  synonym Abelia ionostachya Nakai
 日本(本州、四国、九州)、中国(浙江省)原産。中国名は狭叶六道木。
 落葉低木。小枝は無毛で、腋芽は突出する。葉は楕円形、狭楕円形、卵形、または倒卵形、長さ4~6(~7.4)cm×幅1.5~3.8cm、先は鋭形~尾状、基部は広楔形~楔形、上面には短い軟毛がまばらに宿存し、下面には葉脈に沿って密に軟毛があり、毛は長さ約1mm、縁は全縁、波状、またはわずかに鋸歯がある。葉柄は長さ約4mm、基部で肥大したり融合したりしない。花は小枝の先端に対になってつく。花序柄は長さ4~5(~9)mm。苞は6枚、披針形、長さ2~3mm。萼筒は長い円柱形、萼片は(4)5個、淡紫色、長円状披針形。花冠は鐘形、白色またはピンク色、長さ2~3cm、花冠筒部は中下部が狭まり、中上部は袋状、唇形、5裂し、下唇の内側に橙色の斑点と長いひげがある。雄しべは2本で、花冠から突き出ず、花糸は花冠筒部に部分的につく。子房には上向きの毛がある。花柱は花冠筒部と同長。柱頭は白色で粘液質はない。痩果状の核果は長楕円形、上向きの毛があり、先端にはわずかに大きくなった萼片が宿存し、外側にも毛がある。花期は5月。果期は9~10月。

1-1 Diabelia ionostachya var. ionostachya ウゴツクバネウツギ 羽後衝羽空木

  synonym Abelia spathulata var. macrophylla Honda in Veg. Mt. Kirigamine: 202 (1941)

  synonym Abelia spathulata var. stenophylla Honda in Bot. Mag. (Tokyo) 50: 436 (1936)

  synonym Diabelia stenophylla (Honda) Landrein
 日本(東北地方・北陸地方の日本海側)原産。別名はオオバツクバネウツギ、ニッポンウゴツクバネウツギ。和名のウゴは羽後地方(秋田や山形)のこと。山地の林縁、草地に生える。
 落葉低木。若い枝や葉柄に開出毛がある。葉は変異が多く、広卵形~卵形~披針形、長さ5~7cm×幅3~4.5cm(var. macrophylla)、または長さ3~4.5cm×幅7~15mm(var. stenophylla)、縁に数鋸歯があるか、またはほぼ全縁、長さ5~7cm、幅3~4.5cm、ツクバネウツギより厚くて光沢があり、下面の主脈に開出毛がある。萼片は5個(ときに6個)、等長、披針形、長さ10~11mm、縁毛があり、線状楕円形、幅広く毛が生え、放射状に開き、果時にも先端に残る。花冠は大きく、長さ2.7~3.3cm。花被筒の内側の付け根の蜜盤は突出しない。子房に開出毛がある。花期は5~6月。

1-2 Diabelia ionostachya var. tetrasepala (Koidz.) Landrein & R.L.Barrett オオツクバネウツギ 大衝羽空木

  synonym Abelia tetrasepala (Koidz.) H.Hara & S.Kuros.
  synonym Diabelia tetrasepala (Koidz.) Landrein

  synonym Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. tetrasepala Koidz.

  synonym Abelia spathulata f. flavescens Honda in J. Jap. Bot. 11: 569 (1935)

  synonym Abelia spathulata f. rubescens Sugim.

  synonym Abelia spathulata f. subtetrasepala (Makino) Nakai メツクバネウツギ

  synonym Abelia spathulata var. subtetrasepala Makino
 日本原産。本州(岩代以西)、四国、九州に分布。別名はメツクバネウツギ。山地の明るく開けた落葉樹の林内や林縁に生える。しばしば岩場、ときに石灰岩地などの石灰質土壌に生育する。Diabelia ionostachya var. tetrasepala (Koidz.) Landrein is endemic to areas from Fukushima to Fukuoka prefectures in Japan,
 落葉低木、高さ2~3m。多数分枝して枝が広がり、枝は丸く、樹皮は灰褐色、中実で、髄は白色、1年目の枝は無毛でわずかに腺点があるものから、毛が密にあるものもあり、しばしば赤褐色になる。葉は対生し、葉柄は長さ1~3mm、通常、長い開出毛がある。葉身は広卵形~披針状卵形、長さ3~6cm×幅1.5~3.5cm、先は長い尖鋭形~鋭形、基部は広い楔形~円形、縁はほぼ全縁または不規則な粗い鋸歯があり、若葉の縁はしばしば赤身を帯び、葉の上面は無毛または葉脈上に毛があり、下面には毛があり、とくに葉脈上と縁には長さ1.2mmの白色毛が開出し、側脈は3~4対、斜上し、上面ではやや凹み、下面では隆起する。花は新枝の先に通常2個ずつつき、長さ1~2mmの花序柄をもち、1個の苞と2個の小苞がある。萼片は5個、1個が小さく、長さ2~5mm、まれに欠き、他の4個の萼片は長さ8~15mm、披針形~長円形、果時まで宿存する。花冠は長さ3~4cm、花冠筒部は長さ10~15mm、鐘状漏斗形、普通、黄白色ときに黄色やピンク色を帯び、喉部の内側に橙黄色の網目模様がある。花冠の拡大部は2唇形、上唇は2裂し、下唇は3裂し、下部は狭い筒状になる。雄しべは4本、2強雄しべ、長い2本は花冠筒部と同長またはやや短い。葯は長さ2.5~3mm。雌しべは花冠筒部と同長。小花柄状に見える子房は細長く、長さ8~11mm、やや赤みを帯び、伏毛がある。痩果は線形、長さ10~15mm。種子は痩果に1個、狭円柱形、長さ7~8mm、両端に短い尾状の翼がある。花期は4~5月中旬。果期は9~11月。

1-3 Diabelia ionostachya var. wenzhouensis (S.L.Zhou ex Landrein) Landrein & R.L.Barrett

  synonym Diabelia stenophylla var. wenzhouensis S.L.Zhou ex Landrein

 中国(浙江省)原産。中国名は嘉双六道木。中国東部の浙江省にある四海山に生える。
 葉の下面は無毛。

2 Diabelia sanguinea (Makino) Landrein ベニバナノツクバネウツギ 紅花衝羽空木

  synonym Abelia sanguinea (Makino) Makino in J. Jap. Bot. 1: 14 (1917)

  synonym Abelia spathulata var. sanguinea Makino in Bot. Mag. (Tokyo) 18: 106 (1904)

  synonym Abelia curviflora Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 41: 503 (1927)

  synonym Abelia sanguinea var. purpurascens Honda

 日本(本州の関東地方、中部地方)原産。別名はベニバナツクバネウツギ、ベニコツクバネウツギ。山地の林縁や林内に生育する。丘陵地には見られない。愛知県の準絶滅危惧種に指定されている。
 落葉低木、高さ約2m。枝は密に分枝する。樹皮は灰色。葉は対生し、短い葉柄があり、葉身は広卵形~長円状卵形、長さ2~5cm×幅1~3.5cm、先は尖鋭形、尾状にのび鈍端、基部は楔形~円形、縁には粗い不規則な鋸歯がある。花は短枝の先端に2個対につく。萼片は5個、へら状倒披針形、長さ6~8mm。花冠は長さ1.5~2.5cm、濃赤褐色、内側に淡紅色と橙色の網目がある。花期は4月下旬~6月[レッドデータブック愛知]。
【Abelia curviflora Nakai 1927の解説】
 低木は非常に枝分かれが多く、枝には瘻孔がある。成枝の樹皮は濃灰色、2年枝および大枝の樹皮は帯赤色。大枝は縦に縁毛のある2線がある。葉柄は長さ1~3mm、溝があり、基部の縁に毛があり、開き、接合しない。葉は披針形または長円状披針形、基部は鋭形または微突形、先は長い尾状漸尖形、縁は細点状鋸歯があり、長さ2~5cm(尾は長さ1~2cm)、主脈の縁と肋の上に縁毛があるが、下部の葉はしばしば上部にまばらに縁毛があり、下部は淡色、主脈の腋を除いて非常に白いひげがある。各花序の頂部に花が1~2個つく。花序柄は長さ3~4mm。非常に無毛で、非常に細い。苞と小苞は披針形、帯紫色、無毛、長さ1mm。子房は長さ9~10mmm、狭く毛がある。萼片は5個、等長、狭倒披針形、長さ6~8mm×幅1~1.5mm。花冠は湾曲して傾向き、黄赤褐色(yellowish-laterite)で長さ10~13mm(var. micrantha :13~20mm)、5裂し、裂片の外側のみに粉状の縁毛があり、筒部の内側には毛があり、上部の3 裂片は内側に白ひげがあり、下部の2裂片は嘴の周囲に微細な縁毛がある。雄しべは4本、花冠筒部に付着する。葯は多方向、上部の2本の短い雄しべは全体に毛があり、先端は湾曲しているため、葯は花冠の長さに沿って位置し、下部の2本の長い雄しべは花冠と同長で、花冠は無毛で真っすぐであるため、葯は花冠の長さに対して横向きとなる。花柱は花冠とほぼ同長で、毛はない。柱頭は頭状で円盤形である。[Abelia curviflora Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 41: 503 (1927)]

3 Diabelia serrata (Siebold & Zucc.) Landrein コツクバネウツギ 小衝羽空木

  synonym Abelia serrata Siebold & Zucc. in Fl. Jap. 1: 76 (1839)

  synonym Linnaea serrata (Siebold & Zucc.) Graebn.

 日本南部(本州の中部以西、四国、九州)、中国(浙江省)原産。朝鮮に帰化。中国名は黄花双六道木 huang hua shuang liu dao mu。標高約900mの森林に生える。
 落葉低木、高さ3mまで。枝には毛がある。葉身は卵形、約・長さ5cm×幅2.5cm、両面にまばらに毛があり、脈上にはより密にあり、基部は楔形、縁は全縁または離れた鋸歯があり、縁毛があり、先は鋭形~尖鋭形。花は対生し、頂生。子房は基部に6個の苞を持つ。花序柄は長さ2~3mm。苞は披針形、長さ2~3mm。萼は通常2個の長楕円形の萼片があり、約・長さ10mm×幅6mm、先はときに分裂する。花冠は2唇形、黄色または黄緑色、下唇に橙色の斑紋がある。花冠筒部は長さ約18mm、内側に絨毛がある。雄しべは4本、2強雄しべ、花冠筒部に部分的に着生し、わずかに突き出る。子房は長さ8~10mm、毛がある。花柱は糸状、雄しべよりわずかに長い。柱頭は頭状。痩果は冠状に通常2枚のわずかに大きくなった萼片を持つ。花期は5月。果期は9月。

3-1 Diabelia serrata f. buchwaldii (Graebn.) Landrein キバナツクバネウツギ 黄花衝羽空木

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. var. buchwaldii (Graebn.) Nakai

  synonym Abelia buchwaldii (Graebn.) Rehd.
 本州(中部および西部)、四国、九州、中国原産。中国名は黃花六道木 (黃花雙六道木)
 葉は大きく、長さ3~5cm。萼は2個。花冠は黄色、長さ2~3cm。子房に毛がない。

3-2 Diabelia serrata f. colorata (Hiyama) Landrein ロッコウキバナコツクバネ 六甲黄花小衝羽空木

 六甲山に分布する。別名はコツクバネウツギ、キバナツクバネウツギ。
 枝と葉柄、特に若いものは濃赤色で、上部の葉は濃い紫色になることもある。

3-3 Diabelia serrata f. congesta (Nakai) Landrein

  synonym Abelia serrata var. congesta Nakai; Trees Shrubs Japan, Revis. Ed. 2: 622 (1927)

3-4 Diabelia serrata f. gymnocarpa (Graebn. & Buchw.) Landrein ヒロハコツクバネウツギ 広葉衝羽空木

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. f. gymnocarpa (Graebn.) Sugim.

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. var. gymnocarpa (Graebn.) Nakai

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. var. glaberrima Nakai テリハツクバネウツギ

 本州(中部地方以西)、四国、九州に分布。日当たりのよい山地に生える。コツクバネウツギの品種又は変種に分類されているが、葉が大きく、見かけが全く異なる。
 落葉低木、高さ1~2m、植物はほぼ無毛(全く毛のないもの:var. glaberrima)。葉は対生し、長さ4~7㎝、幅2~5㎝の広卵形~楕円状卵形、先が尖る。花冠は長さ約1.5㎝の漏斗状の唇形、上唇は2裂し、下唇は3裂する。花の内側に橙色の網目状の模様がある。花の根元に2個の萼片がつくのが特徴。花期は5~6月。

3-5 Diabelia serrata f. oblongisepala Landrein

3-6 Diabelia serrata f. obspathulata (Koidz.) Landrein ホソバコツクバネウツギ 細葉小衝羽空木

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. f. obspathulata (Koidz.) Sugim.

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. var. obspathulata Koidz.

 本州(中部地方以西)、四国、九州、中国(浙江省)に分布。中国東部の南東海岸に沿って点在して分布する(浙江省温州市の四海山山脈)。  葉が小形、長さ1~2㎝、幅3~7㎜の披針形~広披針、葉幅が狭い品種。

3-7 Diabelia serrata f. parvifolia Landrein

3-8 Diabelia serrata f. sanguinea (Sugim.) Landrein ベニバナコツクバネウツギ 紅花小衝羽空木

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. f. sanguinea (Sugim.) Sugim.

 本州(愛知県、岐阜県、長野県)に分布。植物は細長い。新枝や萼片は赤色を帯びる。花冠は赤みがあり、黄色がかった紅色~淡紅色、長さ1.5〜2cm。

3-9 Diabelia serrata f. serrata コツクバネウツギ 小衝羽空木 狭義

 本州(中部地方以西)、四国、九州、中国に分布。中国名は黄花双六道木 huang hua shuang liu dao mu。日当たりのよい山地に生える。
 落葉低木。高さ1~2m。樹皮は不規則に裂け目があり、若い枝にはしばしば軟毛がある。葉は対生し、長さ2~5㎝、幅1~2㎝の卵形~狭楕円形、先が尖り、不揃いの鋸歯縁~全縁。両面とも有毛。新枝の先に普通、対に花を(1~)2~7個つける。小花柄は長さ2~3㎜。萼は基部まで2(又は3)裂し、萼片は長さ5~9㎜、ときに先端が2~3浅裂する。花冠は黄白色~黄色~ときに帯紅色、長さ1~2㎝の漏斗状の唇形、上唇は2裂し、下唇は3裂する。花の内側に橙色の網目状の模様があり、長毛がある。筒部は長さ約18㎜。雄しべは4個、二長(強)雄しべ(didynamous)。子房は長さ8~10㎜、有毛。花柱は細く、雄しべより長く、花冠からやや突き出し、柱頭は頭状。花柱の基部に扁平な蜜腺がある。痩果はわずかに毛があるかまたは無毛、長さ8~10㎜の細い円筒形、緑色が残った赤色に熟すことが多い。花期は5~6月。
※ホウライコツクバネウツギは品種として分類されてはいないが、鳳来寺山系にだけ見られるタイプ。葉がホソバコツクバネウツギのように小形だが、幅がやや広く、葉裏が白色を帯び、花が淡黄色。ホソバコツクバネウツギの範囲に入るような葉の細いものも混ざって見られる。観察したものは葉が長さ0.8~1.5㎝、幅3~7㎜。雄しべは4本あり、普通、2本の花糸が短いが、ほとんど4本とも同じものもあった。

3-10 Diabelia serrata f. tomentosa (Koidz.) Landrein オニツクバネウツギ 鬼衝羽空木

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. var. tomentosa (Koidz.) Nakai

  synonym Abelia serrata Siebold et Zucc. f. tomentosa (Koidz.) Sugim.

 本州西部、四国(高知県と愛媛県)に分布。日当たりの良い林縁に生育する。  落葉低木で、高さ約2m。若い枝や葉、花序柄、苞、子房、萼片など全体に白色の開出毛がある。花は黄白色。花期は5〜6月。

3-11 Diabelia serrata f. viridiramea Landrein アオコツクバネ 青小衝羽

  synonym Aeblia serrata var. viridiramea Makino
 六甲山に分布。別名はロッコウキバナコツクバネ。
 新枝や葉柄が緑色で赤褐色とならず、また葉の表面が暗紫色を沿びるようなことがない点で常品のコツクバネウツギ(キバナコツクバネ)から区別された。

3-12 Diabelia serrata f. wenzhouensis S.L.Zhou ex Landrein

3-13 Diabelia serrata f. yakushimensis Landrein


4 Diabelia spathulata (Siebold & Zucc.) Landrein ツクバネウツギ 衝羽空木 広義

  synonym Abelia spathulata Siebold & Zuccarini
  synonym Linnaea spathulata (Siebold et Zucc.) Graebn.
 本州、四国、九州(宮城県・佐賀県)、中国(浙江省温州市)原産。標高700~900mの森林に生える。和名の由来は果実の萼の形が羽根突きの羽根に似ているところから。
 落葉低木、高さ3mまで。小枝は無毛。葉柄は長さ4mm以下、葉身は卵形、約・長さ6cm×幅3cm、両面にまばらに毛があり、基部は円形、縁は全縁~離れた鋸歯状で波打ち、先は尖鋭形~尾状。花は対につく。子房の基部に6個の苞がある。花序柄は長さ4~9mm。苞は披針形、長さ2~3mm。萼は帯赤色。萼片は通常5個、長円状披針形。花冠は長さ25mm以下、2唇形、上唇は2裂、下唇は3裂し、ピンク色または黄白色、内側には絨毛があり、下唇に橙色の斑紋がある。花冠筒部は中央部でくびれる。蜜腺は棍棒形、先端は自由。雄しべは4本、2強雄しべ。花糸は花冠筒部に部分的に付着する。花柱は糸状、花冠筒部と同長。柱頭は頭状。痩果は無毛またはまばらに毛があり、通常5枚の宿存するやや大きくなった萼片で覆われる。花期は5月。果期は6~10月[Flora of China]。

4-1 Diabelia spathulata var. colorata (H.Hara & S.Kuros.) Landrein タキネツクバネウツギ 滝根衝羽根空木

  synonym Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. spathulata f. colorata (H.Hara et S.Kuros.) H.Hara et S.Kuros.

  synonym Abelia spathulata Siebold et Zucc. var. colorata H.Hara et S.Kuros.

 東北地方~関東地方に分布する。標高300~1000mの山地に生える。
 高さ約1mになり、分枝する。葉は対生し、広卵形または楕円形、長さ2~4cm、先は尖鋭形~尾状、鈍端、縁には低い鋸歯がある。花は枝先に対につく。萼片は緑色、5個、平開する。花冠は筒状鐘形、長さ2~2.5cm、薄紅色(白色、薄黄色)、先端は5浅裂し、内側には黄赤色の網目模様がある。花期は5~6月。

4-2 Diabelia spathulata var. miyagii Landrein ミヤギツクバネウツギ 宮城衝羽空木

 本州(東北地方の太平洋側、関東、中部地方以西)、四国、九州に分布する。山地に生える。
 葉は卵形~楕円状卵形で、縁には不規則な鋸歯がある。花は漏斗形、白色~黄白色を帯び、花冠の内側に橙色の網目模様がある。萼は帯赤色、5深裂する。痩果は萼片が宿存し、王冠状に残る。

4-3 Diabelia spathulata var. spathulata ツクバネウツギ 衝羽空木

  synonym Abelia integerrima (Nakai) Sugim. マルバツクバネウツギ

  synonym Abelia serrata var. integerrima Nakai マルバツクバネウツギ

  synonym Abelia spathulata f. duplex H.Ohba ヤエノツクバネウツギ

  synonym Abelia spathulata var. elliptica Miq. in Prolus. Fl. Jap.: 157 (1866)

  synonym Abelia spathulata f. lucida Makino in Yagai Shokub. Zufu 4: 255 (1933)

  synonym Abelia spathulata var. micrantha Nakai in Bot. Mag. (Tokyo) 41: 504 (1927)

  synonym Abelia spathulata f. micrantha (Nakai) Okuyama in Col. Ill. Wild. Pl. Japan 6(Index): 19 (1962)

  synonym Abelia spathulata f. pilosa Nakai  ケツクバネウツギ

  synonym Abelia spathulata var. elliptica Miq.

  synonym Linnaea spathulata var. elliptica (Miq.) Matsum.

 本州(東北地方の太平洋側、関東・中部地方以西)、四国、九州)に分布。別名はコツクバネ、ウサギカクシ。山地の日当たりの良い茂みに生える。普通に見られるが、種類も様々。
 落葉低木、高さ1~2m。枝はよく分枝する。幹は灰褐色の樹皮を持つ。若い枝は赤褐色で、しばしば軟毛がある。葉は対生し、葉柄は短く、長さ1~4㎜、有毛。葉身は長さ2~6㎝、幅1~4㎝、の卵形~楕円状卵形、縁は少数の不規則な鋸歯があり、基部が広楔形~円形、先が急に尖り、次第に細くなり、先端は鈍く、両面に多少の毛がある。花は枝先に普通(1)2個ずつ対につく。花序柄は長さ4~9㎜。苞は長さ2~3㎜、披針形。花冠は淡黄色、白色、ときに黄白色、長さ2~3㎝、漏斗形、先は2唇形、上唇は2裂し、下唇は3裂する。花冠の内側に黄色の網目状の模様がある。雄しべは4本、2強(長)雄しべ 。雌しべは1本、花冠の筒部とほぼ同長。柱頭は頭状。花冠筒部の基部に棍棒形又は先が球形の密腺がある。萼は普通、赤色を帯び、基部まで5深裂し、萼片は長さ5~12㎜の倒披針形~長円形。痩果は長さ8~14㎜の線形、5個の萼片が宿存し、王冠状に残る。種子は長さ約5㎜、狭円柱形。花期は5月。

DiabeliaとAbeliaの区別


 YListではDiabeliaを区別せず、Abeliaに含めているがFlora of China(FOC)やPlants of the World Online(WOPO)では明瞭に区別している。
a. 花は頂生で双生(paired)、同時開花(simultaneously)。小苞の腋生の過剰花により1~3(~8)花の場合もある。繰り返し咲く長い枝ではより多く見られる。春咲き
........................................................... ツクバネウツギ属(Diabelia) 
a' 花は腋生、円錐花序、単生または双生、順次開花(consecutively)、夏または秋咲き
..................................................... ハナツクバネウツギ属(Abelia)

ハナツクバネウツギ(アベリア)属

  family Caprifoliaceae - genus Abelia

 低木、落葉または半常緑。冬芽は露出し、卵状球形、小さく、鱗片は数対ある。葉は対生し、まれに3又は4輪生する。葉柄は短く、葉柄間線(interpetiolar line)があり、托葉は無く、葉縁は全縁~歯状~円鋸歯状鋸歯。花は腋生、円錐花序に1個又は対につく(続けて連続的に開花する)。対の花は6個の苞をもち(Abelia chinensis)、単生の花は子房の基部に苞を4個もつ(A. uniflora , A. forrestii)。苞は小さく、開花後に大きくならない。萼片は2~5個、広がり、狭長円形~楕円形、宿存する。花冠筒部は基部の腹部が凸月形(gibbous)に膨らみ、密な腺毛の蜜腺(nectaria trichomalia)を含む。雄しべは2強雄しべ(didynamous)、花冠筒部につき、突き出ない又は突き出る。葯は内向き。子房は狭長円形、3室、不稔の胚種を2列持つ。1室は1個の稔性の胚珠を持つ。花柱は糸状。柱頭は頭状、白色でパピラがある。果実は長楕円形、革質の痩果、宿存する萼片を冠状につける。種子は類円柱形、種皮は膜質、胚乳は肉質。x=8。
 世界に約5種があり(栽培種のハイブリッドを含む)、日本、中国に分布する。

ハナツクバネウツギ属の主な種と園芸品種

1 Abelia chinensis R.Br. アベリア・キネンシス 広義
  synonym Linnaea chinensis (R.Br.) A.Braun & Vatke
 沖縄、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、バトナム原産。中国名は糯米条 nuo mi tiao。英名はChinese abelia。標高200~1500mの山地に生える。中国で広く栽培されている。
 落葉から半常緑、高さ2mまでの低木で、枝分かれが激しい。若い枝は細く、毛がある。葉は対生し、ときに3枚が輪生する。葉身は卵形、長さ2~5cm×幅1~3.5cm、下面にはまばらに毛があり、中脈と側脈の基部に白色の絨毛が密生し、基部は円形または心形、縁は離れた円鋸歯状鋸歯があり、先は鋭形~長い尖鋭形。花序は頂生の大きな円錐花序で、花が対につく(順に開花する)。花には芳香があり、苞は6個、対生する子房の基部つき、長円形または披針形。萼片は5個、楕円形、長さ5~6mm、果時には赤くなる。花冠は5裂し、白色~ピンク色、漏斗形、長さ10~12mm、萼片の長さの約2倍で、外側は毛があり、筒部の基部は半月形(gibbous)である。雄しべと花柱は長く突き出る。花糸は細く、長さが等しく、花冠筒部の基部に挿入される。子房は円筒形、わずかに扁平、毛があり、縦に条線がある。柱頭は頭状。痩果は、わずかに大きくなった宿存する萼片で覆われる。花期は8~9月。果期は10~11月。2n=32。

1-1 Abelia chinensis var. aschersoniana (Graebn.) Landrein

  synonym Abelia aschersoniana (Graebn.) Rehder
  synonym Linnaea aschersoniana Graebn.
 中国(広東省、 広西省、貴州省、雲南省)原産。標高700~1500mの山地や丘陵地帯に生える。
 葉は長さ40~52mm。花序は緩い散房花序状の密錘花序(corymbose thyrse)。小花柄は長い。茎は無毛。萼片は先が鋭系。花冠は長さ7mmまでで、萼片よりわずかに長い。花柱の先には毛がある。子房は紡錘形。花期は10~11月。果期は9~11月。

1-2 Abelia chinensis var. chinensis アベリア・キネンシス

  synonym Abelia cavaleriei H.Lév.
  synonym Abelia rupestris Lindl.
  synonym Linnaea rupestris (Lindl.) A.Braun & Vatke
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、バトナム原産。中国名は糯米条 nuo mi tiao。英名はChinese abelia。
品種) 'China Rose'

1-3 Abelia chinensis var. hanceana (Mart. ex Hance) Landrein

  synonym Abelia hanceana Mart. ex Hance
 中国原産。Abelia chinensisのsynonymとされている。詳細不明。

1-4 Abelia chinensis var. ionandra (Hayata) Masam. タイワンツクバネウツギ 台湾衝羽空木

  synonym Abelia ionandra Hayata
 日本(奄美大島,沖縄島,石垣島 )、台湾原産。中国名は台灣糯米條。海岸や山地の岩地にまれに生える。
 半常緑の低木。高さ1mになり、密に分枝する。樹皮は灰褐色、縦に裂ける。若枝は密に短毛が開出する。葉は対生し、葉柄は長さ1~3mm、葉身は菱状卵形、卵形、または長円形、長さ7~20mm×幅3~10mm、縁には2~3対の低い鋸歯があるかまたは全縁、上面は短毛がまばらにあるかまたは無毛、下面は無毛。枝先や葉腋に、花が2~3個の集散花序をつけ、密な短い円錐花序になり多数の花をつける。小花柄状の子房は円柱形、長さ3~5mm、縦に稜がありわずかに毛が生える。萼片は5個、同長、長さ3~4mmのへら形、先は鈍形または鋭形、基部は漸尖形。花冠は漏斗形、長さ5~10mm、白色、先は5裂し、芳香がある。雄しべは4本、長く突き出る。雌しべは花冠よりわずかに突き出る。痩果は細長い紡錘形、長さ4~4.5mm、宿存する萼片が冠状に残る。花期は7~9月。果期は10~11月。

1-5 Abelia chinensis var. lipoensis (M.T.An & G.Q.Gou) Landrein

  synonym Abelia lipoensis M.T.An & G.Q.Gou
 中国(貴州省)原産。中国名は荔波六道木 li bo liu dao mu。
 枝と葉の裏面は無毛。花序は幅が広く、緩く、広円錐形。萼片はほぼ無毛。花冠は小さく、長さ6~9mm、白色、萼片とほぼ同長か、またはわずかに長い。

2 Abelia forrestii (Diels) W.W.Sm. アベリア・フォレスティー
 中国(四川省、雲南省)原産。中国名は细瘦糯米条 xi shou nuo mi tiao。標高1900~3300mの山地斜面の日当たりの良い場所、低木林に生える。本種は希少種である。
 落葉低木、高さ1~2m。若い枝は赤褐色で、黄褐色の短毛が密に生える。古い枝は灰色で、樹皮は剥がれる。葉は狭楕円形、長円形、または長円状披針形、長さ3~7cm×幅1~2cm、先は尖り、基部は鈍形、は全縁で、側脈は不明瞭。葉は上面が暗緑色、下面は灰緑色、やや赤色を帯びる。花は単生または双生し、または側枝の腋に3個集まってつく。花には芳香があり、小花柄は長さ3~4mm。苞は1対つき、線形。小苞は1~2対つき、錐形、萼筒の基部に密着する。萼の拡大部は5裂し、萼片は線状倒披針形、長さ6~8mm×幅約1.5mm、3脈があり、まばらに毛があり、果時には赤みを帯びる。花冠は白色またはバラ赤色、鐘状漏斗形、外側は毛または腺毛があり、内側にはまばらに絨毛がある。花冠筒部は長さ約2cm、上部は下部の2倍の幅に膨れ、基部の片側は浅い袋状に膨らむ。花冠裂片は5裂し、倒卵形または円形、長さ4~5mm、両面に毛がある。雄しべは4本、葯は長円形で長さ約2mm。花糸は花冠とほぼ同長。花柱はまばらに毛があり、柱頭は円盤形でわずかに露出する。果実は長さ約7mm、2個の大きくなった萼片が宿存する。花期は6~9月[中国植物志]。
 落葉低木、高さ2mまで。枝には密に毛がある。葉身は狭楕円形~披針形、長さ3~7cm×幅1~2cm、基部は鈍形、縁は全縁、先は鋭形。花は1個で腋生、ときにわずかに円錐花序をつける。花序柄は長さ3~4mm。子房は基部に4個の線形の苞を持つ。萼片は果時には赤みがかる。萼片は5個、倒披針形、長さ6~8mm×幅1~2mm、3脈があり、まばらに毛がある。花冠は白色~バラ色、2唇形、外側は毛または腺毛があり、内側にはまばらに絨毛がある。花冠筒部は長さ45mmまで、上部が広がり、基部は凸月形になる。花冠裂片は5個、円形、長さ4~5mm。唇弁には斑紋がない。雄しべは4本。花糸は花冠とほぼ同長。葯は楕円形、長さ2mm以下。花柱はまばらに毛がある。柱頭は頭状で、わずかに突き出る。痩果は長さ7mm以下で、5個の宿存す大きくなった萼片が冠状に付く。花期は5~9月。果期は10月[Flora of China]。

3 Abelia macrotera (Graebn. & Buchw.) Rehder アベリア・マクロテア
 中国(広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、陝西省、四川省、雲南省)原産。中国名は二翅糯米条 er chi nuo mi tiao。標高200~2000mの道路脇の茂み、森林に生える。
【Abelia uniflora 複合体】の1種。Abelia macrotera、Abelia parvifolia、中間型のAbelia unifloraの区別が困難となる。
 本種の識別特性は以下の通り:葉は先が長い尖鋭形で非対称。萼片は先が鋭形。花期は4~6月。果期は8~10月。
 落葉低木で、高さ1~2m。若い枝は赤褐色で平滑。葉は卵形~楕円状卵形、長さ3~8cm×幅1.5~3.5cm、先は尖鋭形または長い尖鋭形、基部は鈍円形または広楔形~楔形、縁はまばらに鋸歯があり、縁毛がある。葉の上面は緑色、葉脈は窪み、まばらに軟毛があり、下面は灰緑色、中脈と側脈の基部に白色の軟毛が密にある。集散花序は通常、未発達の葉の茂った枝からなり、小枝の先端または上部の葉腋に数個の花がつく。花は大きく、長さ2.5~5cm。苞は赤色、披針形、小苞は3個、卵形、まばらに絨毛がある。萼筒には短毛があり、萼片は2個、長さ1~1.5cm、長円形、楕円形、または狭楕円形、花冠筒部の長さの1/3を占める。花冠は淡紫赤色、漏斗形、長さ3~4cm、外側に短毛があり、内側の喉部には絨毛がある。花冠の裂片は5個あり、わずかに2唇形になり、上唇は2裂、下唇は3 裂し、筒部の基部に浅い嚢がある。雄しべは4本、2強雄しべ。花糸は花冠筒部の中央に挿入される。花柱は花冠筒部と同長。柱頭は頭状。果実は長さ0.6~1.5cm、短い軟毛が生え、わずかに大きくなった2個の萼片が冠状に宿存する。花期は5~6月。果期は8~10月。[中国植物志]

4 Abelia parvifolia Hemsl. アベリア・パルビフォリア
  synonym Abelia macrotera var. parvifolia (Hemsl.) Landrein
  synonym Linnaea parvifolia (Hemsl.) Graebn.
 中国(陝西省、甘粛省、福建省、湖北省、四川省、貴州省、雲南省)原産。中国名は小叶六道木。標高240~2000mの林縁、道端、草地の斜面、岩場、谷間などに生育する。【Abelia uniflora 複合体】の1種。
 落葉低木または小高木。高さ1~4m。枝は細く、枝分かれが多く、若い枝は赤褐色、硬毛と腺毛が散在する。葉はときに3枚輪生し、革質、卵形、狭卵形、または披針形、長さ1~2.5cm、先は鈍形~尖鋭形、基部は円形~広楔形。ほぼ全縁または2~3対の不明瞭な円鋸歯を持ち、縁は内巻き、上面は暗緑色、下面は緑白色、両面にまばらに粗毛が生え、中脈の基部は密に白色の毛があり、下面は絨毛状。葉柄は短い。1~2個の花をつけた集散花序が、上部の側枝の葉腋につく。萼筒には毛があり、2裂まれに3裂し、萼片は楕円形、倒卵形、または長円形、長さ5~7mm。花冠はピンク色~薄紫色、狭い鐘形、毛と腺毛で覆われ、基部に浅い袋がある。蕾の時は、花冠は5裂片に湾曲し、円鋸歯状の裂片は規則的またはわずかに不規則で、最上部の裂片は浅い袋に面している。雄しべは4本、2強雄しべ、1対は花冠筒の基部に、もう1対は中央部に挿入される。葯は長い円筒形、花糸にまばらに毛がある。花柱は細く、柱頭は花冠筒部の喉部に達する。果実は長さ約6mm、わずかに大きくなった2個の宿存する萼片に覆われる。花期は4~5月。果期は8~9月[中国植物志]。

5 Abelia schumannii (Graebn.) Rehder アベリア・シューマンニー
  synonym Linnaea schumannii Graebn.
  synonym Abelia tereticalyx (Graebn. & Buchw.) Rehder
  synonym Linnaea tereticalyx Graebn. & Buchw.
 中国(甘粛省、四川省、西蔵、雲南省)原産。深い谷間の山地林に生える。栽培種ともされる。
半常緑の直立性低木で、高さは1.5mになる。新芽は紫がかっており、密に毛があり、最大0.1mmの直立毛があり、短い柄のある腺毛と、少数の0.6mmの直立毛が点在する。樹皮は赤褐色で、最終的には剥がれる。葉は卵形から楕円形で、0.4~2.8cm、幅0.2~1.7cm、基部は丸みを帯び、先端は尖っていることが多い。裏面は灰緑色で、まばらに毛があるが、中脈の基部の下ではより密に毛がある。縁は繊毛があり、全縁またはわずかに腺状の鋸歯がある。葉柄は最大2mm。花はわずかに香りがあり、単生または時に大きな円錐花序を形成し、水平または垂れ下がる。花柄は密に毛があり、長さ2~3mm。萼片は2裂。萼片は卵形から長楕円形で、長さ5~10mm、幅4~5mm、繊毛縁を持ち、しばしば赤みを帯びる。花冠は長さ1.5~3cm、白色から赤紫色で、腺毛があり、喉部は髭状で、オレンジ色の斑点が濃く入る。筒部は口部に向かって急激に広がり、腹側に膨らむ。花冠裂片は等分卵形で、わずかに反り返る。雄しべの基部は綿毛状。種子は1個、長さ約8mm、扁平でうねがある。花期は6~8月。果期は10~12月。(Trees and Shrubs Online)。
 最近の研究では、A. graebneriana、A. engleriana、A. parvifoliaと名付けられた栽培植物は、いずれもアベリア・シューマンニ(Abelia schumannii)の一種である可能性が高いことが示唆されている。
品種) 'Bumble Bee', 'Vedrariensis'

6 Abelia uniflora R.Br アベリア・ユニフローラ
  synonym Abelia engleriana (Graebn.) Rehder
  synonym Abelia parvifolia Hemsley
 中国(陝西省、甘粛省、河南省、広西チワン族自治区、四川省、貴州省、雲南省)原産。中国名は蓪梗花 tong geng hua。標高520~1640mの丘陵斜面の溝、茂み、林床、または林縁に生える。タイプ標本は四川省で採集された。
 落葉低木で、高さ1~2m。若い枝は赤褐色で毛が生えるが、古い枝の樹皮は割れて剥がれる。葉は円状卵形、狭卵形、菱形、狭長円形、または披針形、長さ1.5~4cm×幅5~15mm、先は尖鋭形または長尖鋭形、基部は楔形または鈍形、縁はまばらに鋸歯があり、ときにほぼ全縁で縁毛があり、両面にまばらに毛があり、下面の脈には白色の長毛が密生する。葉柄は長さは2~4mm。花は短い側枝の腋に生じ、葉の茂った伸びない(unstretched)枝の集散花序を形成する。萼筒は細く、先が2裂する。萼片は楕円形、長さ約1cm、萼筒の長さと同長。花冠は赤色、狭い鐘形、5裂し、わずかに2唇形になり、上唇は3裂、下唇は2裂する。花冠裂片は筒部の基部で不等で、浅い袋部を有する。雄しべは4本、花冠筒部の中央に挿入される。葯は長い円筒形。花糸は白色。花柱は雄しべと同長。柱頭は頭状で、喉部よりわずかに突き出る。果実は長円形、2個の萼片が宿存する。花期は5~6月。果期は8~9月。
 本種の形態は、A. macrotera (Graebn. et Buchw.) Rehd. と A. parvifolia Hemsl の中間型である。これら3種は分布域が類似しており、中間型も多数見られるため、明確な区別は困難である。これは暫定的な記録であり、今後の研究を待つ。[中国植物志 Abelia engleriana]
【Abelia uniflora 複合体】Flora of Chinaの解説
 中国(福建省、甘粛省、広西チワン族自治区、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、陝西省、四川省、雲南省)に分布。中国名は蓪梗花 tong geng hua。標高200~2000mの茂み、森林に生える。ホロタイプは、ケンブリッジ大学植物標本館(CGE)に所蔵されている。本種は葉と萼片の形、子房の長さ、花冠の大きさに変異が見られる。過去には多くの種が別種と認識されていた。貴州省で採集された標本(Simmons et al. 288)は、Abelia chinensisからの遺伝子移入を示していることが確認されている。この現象と倍数性の可能性により、A. unifloraの種内分類は極めて信頼性が低い。
 落葉低木、高さ4mまでになる。枝には毛があり、ときに無毛。葉は、形や大きさに非常に変異が多く、卵形、円形、または披針形、長さ1~8cm×幅0.5~3.5cm、下面は中脈と側脈の基部に白色の毛が密生し、上面はまばらに毛があり、基部は楔形、縁はほぼ全縁またはわずかに鋸歯があり、先は鈍形~尖鋭形。花は1個で腋生し、ときにわずかに円錐花序となる。萼片は2個、長円形~楕円形、長さ10~15mm、花冠筒部の長さの約1/3の長さ。花冠は白色~紫がかったピンク色で、2唇形、長さ25~50mm、花冠筒部の基部が凸月形、5裂し、外側に毛があり、唇弁の内側には絨毛がある。上唇は2裂し、下唇は3裂し、髭があり、橙色の網目模様がある。雄しべは4本で2強雄しべ。花糸は花冠筒部に部分的に付着する。子房は軟毛があり、基部に4個の卵形~披針形の苞がある。花柱は花冠筒部とほぼ同長。柱頭は頭状。痩果は長さ6~15mm、軟毛があり、頂部にわずかに大きくなった2個の宿存する萼片がある。花期は4~6月。果期は8~10月。
1 葉は短く尖り、萼片の先端は丸みを帯びる。  A. uniflora
1' 葉は長く尖り、先端は非対称で、萼片の先端は鋭形である。  A. macrotera
品種) 'Vedrariensis'(Abelia engleriana) , 'Bumblebee' , 'Saxon Gold' (PBR)(Abelia parvifolia)

7 Abelia x grandiflora (Rovelli ex Andre) Rehder ハナツクバネウツギ 花衝羽空木
 A. uniflora とA. chinensis の栽培交雑種。英名はglossy abelia 。中国名は大花糯米条 da hua nuo mi tiao。別名はハナゾノツクバネウツギ、アベリア。アメリカ大陸、アフリカ、ヨーロッパでは広く栽培されているが、中国ではあまり栽培されていない。
 半常緑低木、、高さ1~1.5m。枝は毛がある。葉はときに旺盛な新芽に輪生する(3~4輪生)。葉身は上面は光沢のある緑色、ときに銅色を帯び、卵形、長さ4.5cmまで、下面の葉脈は無毛または毛の房があり、基部は楔形、縁は離れた鋸歯があり、歯は不等、先は鋭形。花は一重で腋生、円錐花序につく。花序柄は長さ2~4mm。苞は子房の基部に4個つく。萼片は2~5枚と変化し、帯赤色、しばしば部分的に合着し、披針形、先は鋭形。花冠は白色、ときにピンク色を帯び、漏斗形~わずかに2唇形、基部は半月形(gibbous)、長さ約20mm、わずかに芳香があり、下唇弁には長い毛があり、毛深い髭状。雄しべは花冠筒部とほぼ同長。花糸は花冠に部分的に付着し、通常は内側に挿入されるが、ときにわずかに突出し、無毛。子房は長さ2~8mm、細く、微毛がある。花柱はわずかに突出し、長さ17~18mm、無毛。柱頭は頭状。痩果は長さ8~10mm、細く、まばらに毛があるかまたは無毛で、先端に萼片が宿存する。花期は6~10月。果期は9~11月。
品種) 'Abelops' (PBR) , Auderose = 'Minaud' (PBR) , 'Aurea' , Bella Donna = 'Wevo1' (PBR) ,'Brockhill Allgold' , Bronze Anniversary = 'Rikal' , 'Canyon Creek' , Confetti = 'Conti' (PBR) (v) , 'Compacta' , ConfettiRコンフェッティ , 'Conti' (PBR) , 'Copper Glow' , Daydream = 'Abelops' (PBR) (v) , 'Edward Goucher' , 'Francis Mason' (v) , Gold Dust = 'Goldenglossy' , Golden Panache = 'Minpan' , 'Gold Spot' (v) , 'Gold Strike' , 'Hopleys' (PBR) (v) ,''Kaleidoscope' (PBR) (v) , Keyfly' (PBR) , 'Keylib' , Lady Liberty = 'Keylib' , 'Lady Summerdream' , 'Lake Maggiore' , 'Little Gem' , 'Little Richard' , Lucky Lots = 'Wevo2' (v) , Magic Daydream = 'Opstal103' , 'Mardi Gras' (v) , 'Mindu01' (PBR) , 'Minduo2' ,Petite Garden = 'Minedward' (PBR) , 'Minpan' , Miss Lemon™ , Mystic Daydream = 'Opstal40' , 'Opstal40' , 'Opstal103' , 'Panache' (v) , Pastel Charm = 'Minduo2' , Pleasant Surprise' , 'Plum Surprise' , 'Prostrate White' , 'Radiance' (v) , 'Raspberry Profusion' (PBR) , 'Rose Creek' , 'Semperflorens' , 'Sherwoodii' , 'Short and Sweet' , 'Silver Panache' , 'Sparkling Silver' (v) , 'Sunshine , Sunny Anniversary (PBR) , Sunny Charms = 'Mindu01' (PBR) , 'Sunrise' (v) , 'Tanya' , 'Variegata' , 'Wevo1' (PBR) , 'Wevo2,

参考

1) 学名インデックス YList
 Caprifoliaceae(スイカズラ科)
http://ylist.info/ylist_simple_search.php?any_field=%E3%83%84%E3%82%AF%E3%83%90%E3%83%8D%E3%82%A6%E3%83%84%E3%82%AE&capital=0&family_order=2&family_disp_type=1&family_header=0&spec_order=0&list_type=0&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2
2) Flora of China
 LINNAEACEAE
http://flora.huh.harvard.edu/china/mss/volume19/Flora_of_China_Volume_19_Linnaeaceae.pdf
 Abelia
http://flora.huh.harvard.edu/china/PDF/PDF19/Abelia.pdf
 Diabelia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=317598
3) Plants of the World Online(POWO)
 Abelia
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30049036-2
 Diabelia
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77105077-1
4) Biodiversity Heritage Library(BHL)
Nakai, T. 1922. Trees and Shrubs Indigenous in Japan Proper. Vol. 1. 511 pp., Tokyo. つくばねうつぎ属 p448
https://www.biodiversitylibrary.org/page/43642629#page/463/mode/1up
5) Biodiversity Heritage Library(BHL)
 Flora of Japan(1953), Abelia p836
https://www.biodiversitylibrary.org/item/95083#page/868/mode/1up
6) 国立国会図書館デジタルコレクション 大日本植物誌  Nakai, T. & Koidzumi, G. 1927. Trees and Shrubs Indigenous in Japan Proper
 第四属つくばねうつぎ属 p616ー628
https://dl.ndl.go.jp/pid/1224919/1/337
7) 植物学雑誌 Bot. Mag. Tokyo 1927年 41巻 48 号 501-522
 799) Abelia eurviflora NAKAI,p503-504
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/41/488/41_488_501/_pdf/-char/ja
8) Journ,Jap.Bot.Vol.35 No.5 159-160(1960)
 ロッコウキバナコックバネ(槍山庫三) On Abelia serrata var. viridiramea Makino
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/35/5/35_35_5_4516/_pdf/-char/ja
9) Journ,Jap.Bot.Vol.35 No.5 159-160(1960)
 Abelia schumannii (Graebn.) Rehd.
https://www.treesandshrubsonline.org/articles/abelia/abelia-schumannii/
10) Discussion of the taxon
 Abelia chinensis var. aschersoniana (Graebn.) Landrein
https://www.plantarium.ru/lang/en/page/topic/id/96540.html
11) Journal of Systematics and Evolution 58(6) 1–16,(2019)
Plastome phylogenomic insights into the Sino‐Japanese biogeography of Diabelia (Caprifoliaceae)
https://www.researchgate.net/publication/338170848_Plastome_phylogenomic_insights_into_the_Sino-Japanese_biogeography_of_Diabelia_Caprifoliaceae