トウコマツナギ 唐駒繋ぎ

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Flora of Mikawa

マメ科 Fabaceae  コマツナギ属

中国名 河北木蓝 he bei mu lan.
英 名 false Indigo
学 名 Indigofera bungeana Walp.
トウコマツナギの花序
トウコマツナギの花
トウコマツナギの幹
トウコマツナギ
トウコマツナギの葉
花 期 5~7月
高 さ 40~100(250)㎝
生活型 落葉小低木
生育場所 日当たりのよい、乾燥した場所
分 布 在来種 本州、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 幡豆町    01.6.17
新たに道路整備した土手など緑化目的に導入されたのが、このトウコマツナギとされている。在来のコマツナギより明らかに大きく、高さ2mを超えるものも見られる。大きくなる以外はコマツナギとはほとんど変わらない。日本の在来種をコマツナギIndigofera pseudotinctoria 、中国のものをトウコマツナギIndigofera bungeana と分ける見解があるが、同一種とする見解もある。
  低木、直立し、高さ40~100㎝(250㎝)。茎は褐色、円柱形。枝は白灰色、伏した白色の中着の対称的に2分岐する毛状突起がある。托葉は三角形、長さ約1㎜、脱落性。葉は長さ2.5~5㎝、小葉が5~9(又は 11)個つく。葉柄と葉軸に伏した中着の毛状突起がある。葉柄は長さ 0.4~1.6(~2)㎝。小托葉はごく小さく、 小葉柄は長さ約0.5㎜。小葉の葉身は対生し、楕円形、長さ5~15(~25)㎜×幅3~10(~15)㎜、下面は淡緑色、長い中着の毛状突起があり、上面は緑色でまばらに伏した中着の毛状突起があるか又は無毛になり、基部は円形、先は鈍形。総状花序は長さ 4~6(~10)㎝。花序柄は長さ1~5㎜。苞は線形、長さ約1.5㎜。花柄は長さ1~2㎜。咢は長さ2~2.5㎜、伏した白色の中着の毛状突起があり、咢歯は三角状披針形、等長、咢筒の長さの約2倍。花冠は紫色~紫赤色。旗弁は広倒卵形、長さ5~6㎜、外側に伏した中着の毛状突起がある。翼弁と竜骨弁は等長、長さ約5.5㎜。竜骨弁は中間に距をもつ。雄しべは長さ4~5㎜。葯は球形、先は微突形。子房は線形、まばらに毛がある。豆莢は円筒形、真っすぐ、長さ2~2.5㎝、伏した白色の中着の毛状突起がある。内果皮は赤色のしみがある。種子は楕円形、長さ約2㎜。花期は5~7月。果期は8~10月。2n = 16。

コマツナギ属

  family Fabaceae - genus Indigofera

 低木、亜低木、多年草、まれに1年草又は小高木。毛状突起は典型的な中着毛(T形)、2枝は等長~不等長、ときに縮れ、まれに多細胞の単純毛があり、先に腺がある。托葉は宿存又は早落性。葉は普通、奇数羽状複葉、しかし単葉又は1小葉の場合もある。托葉は有又は無。小葉の葉身は普通、対生、ときに類対生又は互生、まれに腺があり、全縁。総状花序は腋生。苞は普通、早落性。咢は鐘形又は杯形、咢歯は5個、ほぼ等長又は外側の咢歯は長い。花冠は普通、帯赤色、ときに白色又は黄色。旗弁は普通、外面が伏した毛状突起で被われ、たまに無毛、基部には短く、爪部があり、先は普通、鈍形~凹形で微突形。翼弁は狭く、基部に耳がある。竜骨弁はかま形又はへら形。翼弁につく距をもつ。雄しべは10個、2体雄しべ、旗弁の雄しべだけが離生。葯は等形、底着又は類底着、ときに両端に毛があり、先は微突頭。花粉は3溝孔型。子房は無柄、1~多数の胚珠をもつ。花柱は線形、普通、無毛。柱頭は頭状。豆果は線形~長楕円形~卵形、円筒形又は断面で4辺形、2バルブ、隔壁があり、裂開する。 内果皮にはしばしば斑点があり、タンニンが蓄積する。種子は球形~長方形。へそは小さい。子葉は不等長、幼根は斜め。
 世界に約750種があり、熱帯、亜熱帯に分布する。

コマツナギ属の主な種と園芸品種

1 Indigofera atropurpurea Buch.-Ham. ex Hornem.  オオコマツナギ
 中国、インド、ブータン、ネパール、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は深紫木蓝 shen zi mu lan 。
2 Indigofera bungeana Walp.  トウコマツナギ 唐駒繋
  synonem Indigofera pseudotinctoria Matsumura. [Kewscience]
 日本、朝鮮、中国原産。中国名は河北木蓝 he bei mu lan 。台湾に帰化している。
 Kewscience、Flora of ChinaではコマツナギIndigofera pseudotinctoria Matsumura.はIndigofera bungeana Walp.のsynonymとしている。The Plant List では別種としている。
 低木、直立し、高さ40~100㎝(250㎝)。茎は褐色、円柱形。枝は白灰色、伏した白色の中着の対称的に2分岐する毛状突起がある。托葉は三角形、長さ約1㎜、脱落性。葉は長さ2.5~5㎝、小葉が5~9(又は 11)個つく。葉柄と葉軸に伏した中着の毛状突起がある。葉柄は長さ 0.4~1.6(~2)㎝。小托葉はごく小さく、 小葉柄は長さ約0.5㎜。小葉の葉身は対生し、楕円形、長さ5~15(~25)㎜×幅3~10(~15)㎜、下面は淡緑色、長い中着の毛状突起があり、上面は緑色でまばらに伏した中着の毛状突起があるか又は無毛になり、基部は円形、先は鈍形。総状花序は長さ 4~6(~10)㎝。花序柄は長さ1~5㎜。苞は線形、長さ約1.5㎜。花柄は長さ1~2㎜。咢は長さ2~2.5㎜、伏した白色の中着の毛状突起があり、咢歯は三角状披針形、等長、咢筒の長さの約2倍。花冠は紫色~紫赤色。旗弁は広倒卵形、長さ5~6㎜、外側に伏した中着の毛状突起がある。翼弁と竜骨弁は等長、長さ約5.5㎜。竜骨弁は中間に距をもつ。雄しべは長さ4~5㎜。葯は球形、先は微突形。子房は線形、まばらに毛がある。豆莢は円筒形、真っすぐ、長さ2~2.5㎝、伏した白色の中着の毛状突起がある。内果皮は赤色のしみがある。種子は楕円形、長さ約2㎜。花期は5~7月。果期は8~10月。2n = 16。.
 新たに道路整備した土手など緑化目的に導入されたのが、このトウコマツナギとされている。在来のコマツナギより明らかに大きく、高さ2mを超えるものも見られる。大きくなる以外はコマツナギとはほとんど変わらない。

3 Indigofera byobiensis Hosok.  ハイコマツナギ
 台湾原産。中国名は屏东木蓝 ping dong mu lan 。
4 Indigofera decora Lindl. ニワフジ
 日本、中国、マレーシア、フィリピン原産。中国名は庭藤 ting teng 。英名はChinese indigo , poor man's wisteria , bush wisteria
4-1 Indigofera decora Lindl. f. alba (Sarg.) Honda  シロバナニワフジ
5 Indigofera fortunei Craib
 中国原産。中国名は华东木蓝 hua dong mu lan ,
品種) 'Alba'
6 Indigofera galegoides DC.  マンスコマツナギ
 中国、台湾、インド、スリランカ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム原産。中国名は假大青蓝 jia da qing lan 。
7 Indigofera grandiflora B.H.Choi et S.K.Cho  オオバナニワフジ
 韓国固有。 2n = 32, 48
8 Indigofera hendecaphylla Jacq.  アフリカコマツナギ
  synonym Indigofera spicata auct. non Forssk.
 日本(沖縄)、中国、台湾、インド、インドネシア、カンボジア、スリランカ、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン原産。中国名は穗序木蓝 sui xu mu lan 。
 アフリカ、アジア南西部原産とされていたのは誤り。
9 Indigofera heterantha Wallich ex Brandis コダチノニワフジ
  synonym Indigofera gerardiana Wall
  synonym Indigofera gerardiana Graham ex Baker  コダチノニワフジ
 中国、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、スリランカ、アフガニスタン、アフリカ原産。英名はHimalayan indigo。中国名は异花木蓝 yi hua mu lan 。
品種) 'Indigostruik' , 'Silk Road'

10 Indigofera hirsuta L.  タヌキコマツナギ
 中国、台湾、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は硬毛木蓝 ying mao mu lan。
11 Indigofera howellii Craib & W.W.Sm.
  synonym Indigofera deginensis Sanjappa
 中国原産。中国名は长序木蓝 chang xu mu lan 。
品種) 'Reginald Cory'
12 Indigofera kirilowii Maxim. ex Palib.  チョウセンニワフジ
 日本、朝鮮、中国原産。中国名は花木蓝 hua mu lan。
13 Indigofera linifolia (L.f.) Retz.  ホソバコマツナギ
 中国、台湾、アフガニスタン、、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、パキスタン、パプアニューギニア、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は单叶木蓝 dan ye mu lan 。

14 Indigofera nigrescens Kurz ex King et Prain  ヤンバルコマツナギ
 中国、台湾、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は黑叶木蓝 hei ye mu lan 。
15 Indigofera pendula Franch.
 中国原産。中国名は垂序木蓝 chui xu mu lan 。
品種) 'Shangri-la'
16 Indigofera pseudotinctoria Matsum. コマツナギ
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は河北木蓝 he bei mu lan.。英名はfalse Indigo。
 落葉小低木。道端、草地、土手に生える。高さ40~80cm。多数分枝し、枝は細く、緑色。茎や葉にまばらに伏毛がある。葉は葉柄が短く、奇数羽状複葉。小葉は7~13個あり、長さ.8~15㎜×幅5~12㎜、長楕円形~倒卵形、全縁、両面に伏毛がある。総状花序は腋生、長さ4~10㎝、花をやや密につける。花は花序の下側から咲く。花は淡紅紫色、長さ4~5㎜。花柄は咢より短い。咢は5歯、有毛。豆果は真っすぐ、円筒形、長さ2.5~3㎝×幅2.5~3㎜、茶褐色に熟す。種子は3~8個、緑黄色。花期は7~9月。
品種) Indigofera 'Rose Carpet'
16-1 Indigofera pseudotinctoria Matsum. f. albiflora (Honda) Okuyama  シロバナコマツナギ

17 Indigofera ramulosissima Hosok.  タロココマツナギ
 台湾原産。中国名は多枝木蓝 duo zhi mu lan 。

18 Indigofera suffruticosa Mill.  ナンバンコマツナギ 南蛮駒繋
 熱帯アメリカ原産。アジアで広く栽培されている。中国名は野青树 ye qing shu 。
 低木又は小低木、直立、高さ0.8~1.5m。茎は灰緑色、伏した中着の対称的に2分岐する毛状突起がある。托葉は狭三角形、長さ約4㎜。葉は長さ5~10㎝、小葉は11~15(~19)個。葉柄と葉軸は上面に溝があり、伏した中着の毛状突起がある。葉柄は長さ約1.5㎝。小葉の葉身は長円形~倒披針形、長さ1~4㎝×幅0.5~1.5㎝、下面は淡緑色で伏した中着の毛状突起がある。上面は緑色で密に伏した中着の毛状突起があるか又は無毛になり、基部は広くさび形~円形、先は鋭形、まれに円形。総状花序は長さ2~3㎝、密に鼻がつき、花序柄はごく短いか又は無い。苞は線形、長さ約2㎜、早落性、外面に伏した中着の毛状突起がある。花柄は果時に後屈する。咢は長さ約1.5㎜、外側に毛があり、咢歯は広三角形、咢筒と同長。花冠は赤色。旗弁は倒卵形、長さ4~5㎜、外側に密に褐色の毛状突起がある。竜骨弁は翼弁の長さと同長、毛がある。雄しべは長さ3~4㎜。葯は球形、無毛、、先は微突形。子房は密に毛がある。豆莢は反曲し、上側にかま形、長さ1~1.5㎝、毛がある。内果皮はしみがある。種子は6~8個、褐色、短い円筒形、両端は切形。花期は3~5月。果期は6~10月。2n = 16, 32。

19 Indigofera taiwaniana T.C.Huang et M.J.Wu 
 台湾原産。中国名は台湾木蓝 tai wan mu lan 。
20 Indigofera tinctoria L.  タイワンコマツナギ 台湾駒繋
 熱帯アジア、アフリカに広く分布。中国名は木蓝 mu lan 。別名はナンバンアイ
 小さい低木。直立し、高さ50~100㎝。若枝には伏した中着の対称の2分岐の毛状突起がある。托葉は狭三角形、長さ約2㎜。葉は長さ2.5~11㎝。小葉は9~13個。葉柄と葉軸は上面に溝があり、伏した中着の毛状突起がある。葉柄は長さ1.3~2.5㎝。小托葉は微細。小葉柄は長さ約2㎜。小葉の葉身は対生し、倒卵状長円形~倒卵形、長さ1.5~3㎝×幅0.5~1.5㎝、両面に伏した中着の毛状突起があり、上面はときに、無毛になり、上面の中脈は凹み、2次脈は見えず、基部は広くさび形~円形、先は円形~凹形。総状花序は長さ2.5~5(~9)㎝、花が緩くつき、花序柄は無い。苞は剛毛状、長さ1~1.5㎜。 花柄は長さ4~5㎜、果時に後屈する。咢は長さ約1.5㎜、伏した中着の毛状突起があり、咢歯は三角形、咢筒の長さと同長。花冠は赤色、旗弁は倒卵形、長さ4~5㎜、外側に褐色の毛状突起がある。翼弁は長さ約4㎜。竜骨弁は翼弁と同長。雄しべは長さ4~5㎜。葯は心形。子房は無毛。豆莢は線形、 反曲して、真っすぐ~半円形だがかま形にならず、長さ2.5~3㎝、有毛又は無毛。内果皮は紫赤色のしみがある。種子は豆鞘に5~12個、立方体、長さ約1.5㎜。花期は通年。果期は10月。 2n = 16.。

21 Indigofera trifoliata L.  ミツバノコマツナギ
  synonym Indigofera pedicellata auct. non Wight et Arn.
  synonym Indigofera trifoliata L. var. liukiuensis Matsum.
  synonym Indigofera glandulifera Hayata
 日本、中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、オーストラリア原産。中国名は三叶木蓝 san ye mu lan 。
22 Indigofera trita L.f.  ミツバノコマツナギモドキ
  synonym Indigofera arcuata Willd
 パキスタン、ミャンマー、インド、スリランカ、インヂネシア、オーストラリア、アフリカ原産。英名はAsian indigo , Three-leaved indigo。
23 Indigofera venulosa Champ. ex Benth.  タイワンクサハギ
 中国(浙江省)、台湾原産。中国名は脉叶木蓝 mai ye mu lan 。
24 Indigofera zollingeriana Miq.  リュウキュウコマツナギ
  synonym Indigofera kotoensis Hayata var. liukiuensis (Matsum.) Ohwi 
 日本、中国、台湾、インドネシア、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は尖叶木蓝 jian ye mu lan。

25 その他
Indigofera 'Claret Cascade'
Indigofera 'Dosua'=Indigofera dosua Buchanan-Hamilton ex D. Don

参考

1) Flora of China
 Indigofera  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=116399
2)Flora of Pakistan
 Indigofera  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=116399
3) Plant Finder - Missouri Botanical Garden
 Indigofera decora  
http://www.missouribotanicalgarden.org/PlantFinder/PlantFinderDetails.aspx?kempercode=e382
 Indigofera 'Rose Carpet'  
http://www.missouribotanicalgarden.org/PlantFinder/PlantFinderDetails.aspx?kempercode=a237
4) GRIN
 Indigofera List of Species Records 365 in GRIN  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6030
5) Flowers of India
 Asian Indigo  
http://www.flowersofindia.net/catalog/slides/Asian%20Indigo.html