トモエソウ 巴草
Flora of Mikawa
オトギリソウ科 Clusiaceae オトギリソウ属
中国名] | 黄海棠 huang hai tang |
英 名 | great St. Johnswort |
学 名 | Hypericum ascyron L. subsp. ascyron synonym Hypericum ascyron var. longistylum Maxim. |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 50~130㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山地、丘陵の向陽地 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ベトナム |
撮 影 | 蓼科高原 03.8.8 静岡県 14.7.4 |
トモエソウはオトギリソウ科オトギリソウ属の日本に自生する多年草。学名はHypericum ascyron L.の基本亜種Hypericum ascyron subsp. ascyronに分類されている。
多年草。高さ50~130㎝。オトギリソウの仲間のうち最大。全体に無毛。茎は4稜形。葉は対生し、長さ4~12㎝、幅(0.5)0.7~4㎝の披針形、基部はやや茎を抱く。葉には明点があり、黒点は無い。茎頂で分枝し、直径4.5~8㎝の花を多数つける。花弁5個がねじれ、上から見るとスクリューのような巴形になり、これが和名の由来である。萼片は5個、幅6~10㎜、大きさが不揃い、脈間に明線がある。雄しべは5束に分かれ、多数。花柱の先は5裂する。果実は長さ0.9~2.2(3)㎝、幅5~13㎜、卵形~卵状ピラミッド形、まれに円筒形、萼片の長さの2~3倍。種子は暗赤褐色~黄褐色、長さ1~1.5㎜、竜骨状~狭翼状、種皮は網状。2n=16,18,20,22(普通18)。花期は7~8月。
1 Hypericum ascyron L. トモエソウ 巴草 広義
日本、韓国、中国(西蔵省と青海省を除く全省)、台湾、モンゴル、ロシア(アルタイからカムチャッカ半島、千島列島、サハリン)、カザフスタン、ベトナム、北アメリカ(カナダ、USA)原産。中国名は黄海棠 huang hai tang。標高0~2800(~3600)mの湿地から乾燥地、草地または岩の多い斜面、時には森林または低木林、川岸、川岸に生える。
多年草、高さ50~130(~200)㎝、直立またはときに、短く匍匐する木質の基部から斜上し、茎は1本または少数で、叢生し、分枝しないか、上部またはほぼ全体で分枝する。若い茎は4角(かど)があり、下部で4線またはたまに節間で2線になり。節間は2~12㎜、葉よりも長いか、短い。葉は無柄、葉身は長さ(30~)40~97(~120)㎜×幅(4~)7~35(~40)㎜、卵状披針形または±狭披針形または狭長円形または狭楕円形~長円形または倒披針形、下面はやや淡色で、粉白色ではなく、平らで、紙質、先は鋭形~ほぼ小突起形または鈍形(または最下部はまれに円形)、縁は全縁、基部は楔形~心形抱く茎、中脈の下半分に4~7対の主側脈があり、副中脈(subsidiary midrib)の枝と密集した三次脈の網状組織は目立たず、しばしば不明瞭である。葉身腺(laminar glands)は淡色で密集し、不均等な点または短い条線がある。縁内腺(intramarginal glands)は淡色で小さく、密集する。花序は1~5節から1~35花がつき、全体がほぼ散房花序形~狭ピラミッド形で、4節下までの花枝があることもある。果時には小花柄は長さ5~30㎜。苞と小苞は葉状だがより小さく、しばしばより幅広くなり、まれに線状披針形で落葉する。花は直径30~70(~80)㎜、星形、花弁は広がる~後屈する。蕾は広卵形~狭卵形、先は丸みを帯びる~ほぼ鋭形。萼片は長さ(3~)5~15㎜×幅(1.5~)2~7(~10)㎜、離生、覆瓦状、ほぼ等長~不等長、外側の萼片はときに葉状になり、蕾と果実では直立し、長円形~楕円形または卵形~卵状披針形または倒卵形、先は円形~鈍形、まれにほぼ尖鋭形~鋭形、全縁、脈は約11~17本、分岐して上部で融合し、中脈はほとんど分化せず、萼片の腺(laminar glands)は線形、上部で断続または条線状になり、縁腺(marginal glands)は間隔が離れ、小さい。花弁は明るい黄色(から金色?)、ときに蕾では赤みがかり、長さ14~41㎜×幅5~20㎜、萼片の長さの2~3倍、または萼片が葉状であるときは比較的短く、倒卵形または長倒卵形~倒披針形、しばしばややへら形~ほぼ爪形、強く湾曲~ほぼ直線状、先は円形または鈍形~まれに鋭形または尖鋭形、先端の小突起は短く、円形または欠き、縁は全縁、花弁の腺(laminar glands)は淡色、線形~上部は条線状または欠き、縁腺(marginal glands)は無い。雄しべは5(4?)束になり、上部は赤色、各束に約30本の雄しべがあり、最長9~25mm、花弁の長さの約0.4~0.67倍。葯は帯赤色、腺は琥珀色。子房は5(4)室、長さ4~7(~9)㎜×幅3~5㎜、広卵形~狭卵状ピラミッド形または楕円形。花柱は5(4)本、長さ2.5~15㎜、子房の長さの約0.5~2倍、離生または長さの0.8以下が連結または合着する。柱頭は広い頭状から漏斗状。蒴果は長さ9~22(~30)㎜×幅5~13㎜、広卵形~狭卵形または卵状ピラミッド形、まれに狭円筒形、萼片の長さの2~3倍、鈍形~円形で、多数の狭い縦の油管がある。種子は暗赤褐色、長さ1~1.5㎜、円筒形、湾曲していないかわずかに湾曲し、深く竜骨があるかまたは狭い翼があり、先端がわずかに広がる。種皮は密に浅い線状網目がある。2n=約22~20, 18 (n=9, 16)。
3亜種がある。
synonym Hypericum ascyron L. var. brevistylum Maxim.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は短柱黄海棠 duan zhu huang hai tang。
高さ50~100㎝。葉は長さ3~6㎝×幅0.4~1.5㎝、基部は楔形。花は直径4.5~5㎝。萼片は狭長円形~長円状披針形、幅1.5~7㎜、先は円形~鈍形~鋭形。花柱は長さ2.5~3.5㎜、子房の長さの約半分、離生。蒴果は円筒状楕円形。
1-2 Hypericum ascyron subsp. pyramidatum (Aiton) N.Robson
synonym Hypericum pyramidatum Aiton
カナダ、USA原産。標高0~1500mの川岸、道端の溝、湿地、湿った草地に生える。
多年草、直立し、基部から分枝し、しばしば狭い斜上する枝をもち、高さ50~200㎝。茎は節間は初め4線があり、次いで4稜になる。葉は広がり、無柄、抱茎。葉身は主茎では卵状披針形~披針形または長円形、長さ40~85㎜×幅18~37㎜、上部と枝ではより小さく、基部は円形~心形、縁は平ら、先は通常鋭形~小突起形、ときに鈍形、中脈は4~7対の枝脈があり、三次脈は縁で密な網状になる。花序は円筒形~狭ピラミッド形、花が1~35個つく。萼片は卵形~披針形または長円状楕円形、ほぼ均等~均等、長さ8~13㎜×幅4~8㎜、先は鋭形~尖鋭形。花弁は黄金色で、ときに赤みがかり、狭倒卵形~倒披針状鎌形、長さ25~40㎜。花柱は(4~)5本、長さ3~7㎜。蒴果は卵形、長さ12~20(~30)㎜×幅10~13㎜。種子は長さ1.5㎜、狭い翼があり、種皮は浅く線状の網がある。花期は夏(6~8月)。
オトギリソウ Hypericum erectum は高さ30~70㎝。葉は長さ長さ1.5~5㎝、幅0.8~1.3㎝の狭い三角状卵形~狭長楕円形、黒点と明点がある。花弁や萼片に黒点と黒線がある。2n=16。
オクヤマオトギリ Hypericum erectum var. longistylum は高さ14~40㎝。葉は長さ約3㎝の狭長楕円形、黒点のみがある。花弁にも黒点が見られる。
シナノオトギリ Hypericum kamtschaticum var. senanense は高さ10~30㎝。葉は長さ1.5~3㎝、葉縁に黒点がある。花弁に黒線があり、萼片に黒点はない。
多年草。高さ50~130㎝。オトギリソウの仲間のうち最大。全体に無毛。茎は4稜形。葉は対生し、長さ4~12㎝、幅(0.5)0.7~4㎝の披針形、基部はやや茎を抱く。葉には明点があり、黒点は無い。茎頂で分枝し、直径4.5~8㎝の花を多数つける。花弁5個がねじれ、上から見るとスクリューのような巴形になり、これが和名の由来である。萼片は5個、幅6~10㎜、大きさが不揃い、脈間に明線がある。雄しべは5束に分かれ、多数。花柱の先は5裂する。果実は長さ0.9~2.2(3)㎝、幅5~13㎜、卵形~卵状ピラミッド形、まれに円筒形、萼片の長さの2~3倍。種子は暗赤褐色~黄褐色、長さ1~1.5㎜、竜骨状~狭翼状、種皮は網状。2n=16,18,20,22(普通18)。花期は7~8月。
1 Hypericum ascyron L. トモエソウ 巴草 広義
日本、韓国、中国(西蔵省と青海省を除く全省)、台湾、モンゴル、ロシア(アルタイからカムチャッカ半島、千島列島、サハリン)、カザフスタン、ベトナム、北アメリカ(カナダ、USA)原産。中国名は黄海棠 huang hai tang。標高0~2800(~3600)mの湿地から乾燥地、草地または岩の多い斜面、時には森林または低木林、川岸、川岸に生える。
多年草、高さ50~130(~200)㎝、直立またはときに、短く匍匐する木質の基部から斜上し、茎は1本または少数で、叢生し、分枝しないか、上部またはほぼ全体で分枝する。若い茎は4角(かど)があり、下部で4線またはたまに節間で2線になり。節間は2~12㎜、葉よりも長いか、短い。葉は無柄、葉身は長さ(30~)40~97(~120)㎜×幅(4~)7~35(~40)㎜、卵状披針形または±狭披針形または狭長円形または狭楕円形~長円形または倒披針形、下面はやや淡色で、粉白色ではなく、平らで、紙質、先は鋭形~ほぼ小突起形または鈍形(または最下部はまれに円形)、縁は全縁、基部は楔形~心形抱く茎、中脈の下半分に4~7対の主側脈があり、副中脈(subsidiary midrib)の枝と密集した三次脈の網状組織は目立たず、しばしば不明瞭である。葉身腺(laminar glands)は淡色で密集し、不均等な点または短い条線がある。縁内腺(intramarginal glands)は淡色で小さく、密集する。花序は1~5節から1~35花がつき、全体がほぼ散房花序形~狭ピラミッド形で、4節下までの花枝があることもある。果時には小花柄は長さ5~30㎜。苞と小苞は葉状だがより小さく、しばしばより幅広くなり、まれに線状披針形で落葉する。花は直径30~70(~80)㎜、星形、花弁は広がる~後屈する。蕾は広卵形~狭卵形、先は丸みを帯びる~ほぼ鋭形。萼片は長さ(3~)5~15㎜×幅(1.5~)2~7(~10)㎜、離生、覆瓦状、ほぼ等長~不等長、外側の萼片はときに葉状になり、蕾と果実では直立し、長円形~楕円形または卵形~卵状披針形または倒卵形、先は円形~鈍形、まれにほぼ尖鋭形~鋭形、全縁、脈は約11~17本、分岐して上部で融合し、中脈はほとんど分化せず、萼片の腺(laminar glands)は線形、上部で断続または条線状になり、縁腺(marginal glands)は間隔が離れ、小さい。花弁は明るい黄色(から金色?)、ときに蕾では赤みがかり、長さ14~41㎜×幅5~20㎜、萼片の長さの2~3倍、または萼片が葉状であるときは比較的短く、倒卵形または長倒卵形~倒披針形、しばしばややへら形~ほぼ爪形、強く湾曲~ほぼ直線状、先は円形または鈍形~まれに鋭形または尖鋭形、先端の小突起は短く、円形または欠き、縁は全縁、花弁の腺(laminar glands)は淡色、線形~上部は条線状または欠き、縁腺(marginal glands)は無い。雄しべは5(4?)束になり、上部は赤色、各束に約30本の雄しべがあり、最長9~25mm、花弁の長さの約0.4~0.67倍。葯は帯赤色、腺は琥珀色。子房は5(4)室、長さ4~7(~9)㎜×幅3~5㎜、広卵形~狭卵状ピラミッド形または楕円形。花柱は5(4)本、長さ2.5~15㎜、子房の長さの約0.5~2倍、離生または長さの0.8以下が連結または合着する。柱頭は広い頭状から漏斗状。蒴果は長さ9~22(~30)㎜×幅5~13㎜、広卵形~狭卵形または卵状ピラミッド形、まれに狭円筒形、萼片の長さの2~3倍、鈍形~円形で、多数の狭い縦の油管がある。種子は暗赤褐色、長さ1~1.5㎜、円筒形、湾曲していないかわずかに湾曲し、深く竜骨があるかまたは狭い翼があり、先端がわずかに広がる。種皮は密に浅い線状網目がある。2n=約22~20, 18 (n=9, 16)。
3亜種がある。
1-1 Hypericum ascyron L. subsp. gebleri (Ledeb.) N.Robson ヒメトモエソウ 姫巴草
synonym Hypericum gebleri Ledeb.synonym Hypericum ascyron L. var. brevistylum Maxim.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は短柱黄海棠 duan zhu huang hai tang。
高さ50~100㎝。葉は長さ3~6㎝×幅0.4~1.5㎝、基部は楔形。花は直径4.5~5㎝。萼片は狭長円形~長円状披針形、幅1.5~7㎜、先は円形~鈍形~鋭形。花柱は長さ2.5~3.5㎜、子房の長さの約半分、離生。蒴果は円筒状楕円形。
1-2 Hypericum ascyron subsp. pyramidatum (Aiton) N.Robson
synonym Hypericum pyramidatum Aiton
カナダ、USA原産。標高0~1500mの川岸、道端の溝、湿地、湿った草地に生える。
多年草、直立し、基部から分枝し、しばしば狭い斜上する枝をもち、高さ50~200㎝。茎は節間は初め4線があり、次いで4稜になる。葉は広がり、無柄、抱茎。葉身は主茎では卵状披針形~披針形または長円形、長さ40~85㎜×幅18~37㎜、上部と枝ではより小さく、基部は円形~心形、縁は平ら、先は通常鋭形~小突起形、ときに鈍形、中脈は4~7対の枝脈があり、三次脈は縁で密な網状になる。花序は円筒形~狭ピラミッド形、花が1~35個つく。萼片は卵形~披針形または長円状楕円形、ほぼ均等~均等、長さ8~13㎜×幅4~8㎜、先は鋭形~尖鋭形。花弁は黄金色で、ときに赤みがかり、狭倒卵形~倒披針状鎌形、長さ25~40㎜。花柱は(4~)5本、長さ3~7㎜。蒴果は卵形、長さ12~20(~30)㎜×幅10~13㎜。種子は長さ1.5㎜、狭い翼があり、種皮は浅く線状の網がある。花期は夏(6~8月)。
オトギリソウ Hypericum erectum は高さ30~70㎝。葉は長さ長さ1.5~5㎝、幅0.8~1.3㎝の狭い三角状卵形~狭長楕円形、黒点と明点がある。花弁や萼片に黒点と黒線がある。2n=16。
オクヤマオトギリ Hypericum erectum var. longistylum は高さ14~40㎝。葉は長さ約3㎝の狭長楕円形、黒点のみがある。花弁にも黒点が見られる。
シナノオトギリ Hypericum kamtschaticum var. senanense は高さ10~30㎝。葉は長さ1.5~3㎝、葉縁に黒点がある。花弁に黒線があり、萼片に黒点はない。