シャク 杓

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae シャク属

別 名 ヤマニンジン、コジャク、ワイルドチャービル
中国名 峨参 e shen
英 名 wild chervil , cow parsley
学 名 Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm.
シャクの花
シャクの小総苞横
シャクの小総苞
シャクの小総苞
シャクの子房と小総苞
シャクの茎断面
シャクの茎
シャク
シャクの花序
シャク未熟な果実
シャク葉表
シャク葉裏
花 期 4~5月
高 さ 60~150㎝
生活型 多年草
生育場所 湿った草地
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、インド、ネパール、パキスタン、東ヨーロッパ、アフリカ
撮 影 豊橋市  15.4.16
東栄町  05.5.15
世界の分布は広く、南北アメリカに帰化している。根が薬用に使われ、栽培されている国もある。柔らかい葉は食べられる。
 茎は中空、直立して、よく分枝し、無毛又は下部に毛がある。葉は基部の葉柄は長さ10~30㎝、葉鞘は長さ約4㎝、幅約1㎝。葉身は長さ10~30㎝、2回3出複葉。小葉は細かく深裂する。一次小葉片は長さ4~12 ㎝、幅2~8㎝、卵形~楕円状卵形、小葉柄があり、最終小破片は長さ1~3㎝、幅0.5~1.5㎝、卵形~楕円状卵形、鋸歯縁。葉質は柔らかく、縁と葉裏の脈上に開出毛がある。上部の茎葉はほぼ無柄。茎頂に複散形花序を出し、小さな白色の花を多数つける。大散形花序の柄は4~15本、不同長、無毛。散形花序は幅2.5~8㎝、小総苞は5~8個、卵形~披針形、先が尖り、縁毛があり、開花後、次第に反曲する。花弁は白色、5個、外側の花弁が大きく、大きさが不揃い。子房は無毛。果実は長さ6~8㎜の披針形、短い嘴があり、花柱が残り、平滑で光沢があり、黒緑色に熟す。2n=16
 ドクニンジン Conium maculatum (poison hemlock) はヨーロッパ原産。中国、北アフリカ、北アメリカなどに帰化し、日本でも全国的に広がりつつある。花がよく似ている。花期は7~9月、全体に悪臭があり、有毒。茎や葉柄に紫紅色の斑点がある。果実は無毛、幅が広く、分果はほぼ球形、直径約3.5㎜。
 ノハラジャク Anthriscus caucalis はやや小型、大散形花序の柄は3~6本、長さ1~2.5㎝m無毛、花はまばらにつく。小総苞は全縁、反曲する。花弁が狭く、ヤブジラミのように子房に短毛がある。果実は長さ3~4㎜の卵形、短い鉤状の刺毛がある。2n=14
 ヤブジラミ Torilis japonica は花期が同じ。果実に長い湾曲した刺を密生。

シャク属

  family Apiaceae - genus Anthriscus

 2年草または多年草。直根は細くまたは太い。 茎は直立し、枝分かれし、中空。葉身は2~3回3出羽状複葉または羽状複葉。最終の裂片は、歯状または羽状中裂。散形花序は緩く複合し、頂生および側生。 苞はない。大散形花序の柄(ray)は少数、広がる。小苞は数個、縁毛があり、後屈する。花柄(pedicels)は広がる。花は雌雄混株(polygamous)。萼歯は廃れる。花弁は白色または黄緑色、長円形またはくさび形で先は細く内側に曲がる。外側の花弁はときに大きくなる(放射状)。柱下体(stylopodium)は円錐形。花柱は短い。 果実は長い卵形~線形、先は漸尖して嘴になり、横方向に扁平になり、合成面(commissure)でしばしばくびれ、平滑または剛毛があり、うねは廃れる。油管は不明瞭~廃れる。種子は断面がほぼ円柱形、表面に深い溝がある。英名はChervil。
 世界に約15種があり、温帯アジア、ヨーロッパに分布する。

シャク属の主な種と園芸品種

1 Anthriscus caucalis M.Bieb.  ノハラジャク 野原杓
  synonym Anthriscus vulgaris Pers.
  synonym Anthriscus scandicina Mansf.
 ヨーロッパ、コーカサス、トルコ、レバノンシリア、モロッコ、アルジェリア原産。英名は burr chervil , bur-chervil。 別名はアレチゼリ、チャービル。
 1年草、高さ15~80㎝。葉は1~2回羽状複葉、濃緑色、最終裂片は長さ3~8mm、先が尖り、まばらに小剛毛がある。散形花序は緩く、大散形花序の柄(ray)は3~5本、長さ1~2㎝、無毛。小総苞片は2~5個、披針状卵形、縁毛があり、芒があり、長さ2~3㎜。花柄は伸びて、大散形花序の柄よりも太くなる。花は白色。果実は卵形、長さ3~4㎜、短く太い鉤状突起のある刺で覆われ、短く上部な嘴は刺が無い。2n=14。花期は6~7月。
2 Anthriscus cerefolium (L.) Hoffm.
 ヨーロッパ、西南アジア原産。英名はgarden chervil , chervil。
 1年草、高さ30~75㎝。茎は直立し、上部または下部でよく分枝し、条線があり、またはやや溝があり、ほとんどが無毛だが、しばしば、節の上に毛がある。葉は薄緑色、優美で繊細、全体的に同形、3~4回羽状複葉、葉身は三角状卵形または広三角形、裂片は短い長円形または披針形、上面は無毛、下面はやや毛がある。下部の葉は葉柄が長く、上部の葉は無柄。小散形花序は花が4~10個、花柄(pedicels)は長さ2~6㎜。花は直径2㎜、明らかな放射状では無く、小総苞片(involucel)は2~3個つき、披針形。苞は縁毛があり、長さ2~4㎜。散形花序は数個つき、無茎または花序柄が長さ2.5(~3)cm以下、しばしば、横方向で葉に対生する。大散形花序の柄(ray)は3~5本、毛があり、長さ1.5~3(~3.5)㎝。総苞(苞)は無い。花柄は先に毛の輪がない。柱下体は円錐形で、徐々に細くなって花柱(1㎜以下)になり、区別がつかない。花盤は短い円筒形、長さが幅よりも長い。果実は長さ7~10㎜×幅±1.5mm、線形、境界が明瞭な嘴は果実の体の長さの約半分であり、無毛または剛毛があり、くちばしを除いて肋はほとんど見えない。花期は春下旬~夏。
品種) 'D'Hiver de Bruxelles' , 'Vertissimo'

3 Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. シャク 広義
 日本、韓国、中国、ロシア、北インド、カシミール、ネパール、パキスタン、ヨーロッパ東部原産。北アメリカに帰化している。英名はlady's lace , wild chervil。
 多年草、高さ0.6~1.5mの植物。 茎は丈夫で、無毛または下部には細かい毛がある。根生葉は長い葉柄がある。葉柄は長さ10~30㎝、鞘は約・長さ4㎝×幅1㎝。葉身は外形が卵形、長さ10~30cm。 一次羽片は長い小葉柄があり、卵形~楕円状卵形、長さ4~12㎝×幅2~8㎝。最終裂片は卵形~楕円状卵形、長さ1~3㎝×幅0.5~1.5㎝、鋸歯または歯があり、下面にまばらに毛があり、上部の茎葉はほぼ無柄。散形花序は幅2.5~8㎝。大散形花序の柄(ray)は4~15本、不等長。 小苞(小総苞片)は5~8個、卵形~披針形、先は尖鋭形、花柄より短く、花柄の先は普通、果実の白色の剛毛に囲まれる。花柱は柱下体の長さの約2倍。果実は長さ5~10㎜×幅1~1.5㎜。花期および果期は4~5月。(Flora of China) 品種) 'Broadleas Blush' , 'Clair' , 'Dial Park' , 'Going for Gold' , 'Golden Fleece' , 'Hullavington' (v) , 'Kabir' , 'Moonlit Night' , 'Ravenswing' , 'Rosea' , 'Shateley Pink' , 'Snape Cottage Brown'

3-1 Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. sylvestris  シャク 杓
  synonym Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. nemorosa auct. non (M.Bieb.) Koso-Pol.
  synonym Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. aemula (Woronow) Kitam, excl. basion.
  synonym Anthriscus aemula auct. non (Woronow) Schischk.
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア、インド、ネパール、パキスタン、東ヨーロッパ、アフリカ原産。中国名は峨参 e shen。英名はwild chervil , cow parsley。別名はヤマニンジン、コジャク、ワイルドチャービル。
 多年草。高さ60~150㎝。茎は中空、直立して、よく分枝し、無毛又は下部に毛がある。葉は基部の葉柄は長さ10~30㎝、葉鞘は長さ約4㎝、幅約1㎝。葉身は長さ10~30㎝、2回3出複葉。小葉は細かく深裂する。一次小葉片は長さ4~12 ㎝、幅2~8㎝、卵形~楕円状卵形、小葉柄があり、最終小破片は長さ1~3㎝、幅0.5~1.5㎝、卵形~楕円状卵形、鋸歯縁。葉質は柔らかく、縁と葉裏の脈上に開出毛がある。上部の茎葉はほぼ無柄。茎頂に複散形花序を出し、小さな白色の花を多数つける。大散形花序の柄は4~15本、不同長、無毛。散形花序は幅2.5~8㎝、小総苞は5~8個、卵形~披針形、先が尖り、縁毛があり、開花後、次第に反曲する。花弁は白色、5個、外側の花弁が大きく、大きさが不揃い。子房は無毛。果実は長さ6~8㎜の披針形、短い嘴があり、花柱が残り、果実は無毛、平滑またはまばらに細かい顆粒で覆われ、光沢があり、黒緑色に熟す。2n=16。花期は4~5月。

3-2 Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. subsp. nemorosa (M.Bieb.) Koso-Pol. オニジャク 鬼杓
  synonym Anthriscus nemorosa (M.Bieb.) Spreng.
  synonym Anthriscus aemula (Woronow) Schischk. f. hirtifructus (Ohwi) Kitag.
  synonym Anthriscus aemula (Woronow) Schischk.
  synonym Anthriscus aemula (Woronow) Schischk. var. hirtifructus (Ohwi) Kitag.
  synonym Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. var. hirtifructus (Ohwi) H.Hara
  synonym Anthriscus sylvestris (L.) Hoffm. f. hirtifructus (Ohwi) H.Ohba
  synonym Anthriscus nemorosa (M.Bieb.) Spreng. var. hirtifructus Ohwi
日本、中国、ロシア、北インド、カシミール、ネパール、パキスタン、ヨーロッパ東部原産。中国名は刺果峨参 ci guo e shen。別名はケジャク、オニシャク。
 果実は密に毛や剛毛で覆われる。

参考

1) Flora of China
 Anthriscus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=102071
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Anthriscus
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331353-2
3) World Flora Online
 Anthriscus caucalis M.Bieb.
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000538624