シソクサ 紫蘇草

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Flora of Mikawa

オオバコ科 Plantaginaceae シソクサ属

中国名 紫苏草 zi su cao
英 名 swampleaf
学 名 Limnophila aromatica (Lam.) Merrill
Limnophila chinensis (Osbeck) Merr. subsp. aromatica (Lam.) T. Yamaz.
シソクサ花
シソクサ花
シソクサ果実
シソクサ萼を取った果実
シソクサ果実の中の種子
シソクサ茎
シソクサ
シソクサ種子
シソクサの葉
シソクサ葉裏の腺点
花 期 9~10月
高 さ 10~30㎝
生活型 1年草
生育場所 湿地、水田
分 布 在来種  本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮、中国、インド、ブータン、インドネシア、ラオス、フィリピン、ベトナム、オーストラリア
撮 影 幡豆町 05.9.23
和名の由来は葉をもむとシソの香りがすることから。科はシソ科ではなく、ゴマノハグサ科からオオバコ科へ移動された。
 全体に無毛。茎は円柱形、直立する。葉は対生又は3個輪生し、長さ1~3㎝の長楕円形、縁に鋸歯があり、葉裏に緑色の腺点がある。花は長さ約1㎝の筒状の唇形花。花冠は白色、筒状の花筒が長く、先が唇形。上唇はやや大きく、浅い切れ込みがあり、下唇は3裂する。萼は5中裂し、腺点があり、萼の基部に小さな線形の小苞が2個ある。雄しべは4個つき、うち、上側の2個は短い。柱頭は2個、扁平。果実は長さ約6㎜の卵形、熟すと褐色になる。種子は多数、長さ約0.3㎜、褐色。2n=68

シソクサ属

  family  Plantaginaceae - genus  Limnophila

 1年草又は多年草、湿地や水中に生え、しばしば傷つけると芳香があり、半透明の点がある。茎は直立又は匍匐し、単純又は多数、分枝する。水生種の沈水葉(submerged leaves)は輪生、羽状深裂~細管状多裂(capillary-multiparted)し、無毛。気中葉(aerial leaves)は対生~輪生、葉柄は無又は有。葉身は披針形又は羽状分裂し、腺点があり、縁は全縁~鋸歯縁、もし不分裂なら、脈は羽状又は平行。花は腋生で単生、あるいは腋生又は頂生の穂j状花序又は総状花序につき、花柄は無又は有。小苞は2個又は無。咢は筒状。咢片はほぼ等長又は上側の裂片が他より大きい。花冠は筒状又は漏斗形、2唇形。下唇は3裂。上唇は全縁又は2裂。雄しべは4本、突き出ず、2強雄しべ。葯室は柄がある。子房は無毛。柱頭は2薄片。蒴果は咢に包まれ、胞間裂開。種子は小さく、多数。
 世界に約40種あり、熱帯~亜熱帯のアフリカ、アジア、オーストッリア、太平洋諸島に分布する。

シソクサ属の主な種と園芸品種

1 Limnophila aromatica (Lam.) Merrill  シソクサ 紫蘇草
  synonym Limnophila chinensis (Osbeck) Merr. subsp. aromatica (Lam.) T.Yamaz.
  synonym Limnophila aromaticoides Yuen P.Yang et S.H.Yen 
 日本、韓国、インド(ダージリン)、ブータン、ラオス、ベトナム、インドネシア(ジャワ)、フィリピン、オーストラリア原産。中国名は紫苏草 zi su cao 。英名はswampleaf , rice paddy herb 。
 1年草(又は多年草)、高さ10~30㎝。全体に無毛。茎は円柱形、直立する。葉は対生又は3個輪生し、長さ1~3㎝の長楕円形、縁に鋸歯があり、葉裏に緑色の腺点がある。花は長さ約1㎝の筒状の唇形花。花冠は白色、筒状の花筒が長く、先が唇形。上唇はやや大きく、浅い切れ込みがあり、下唇は3裂する。萼は5中裂し、腺点があり、萼の基部に小さな線形の小苞が2個ある。雄しべは4個つき、上側の2個は短い。柱頭は2個、扁平。果実は長さ約6㎜の卵形、熟すと褐色になる。種子は多数、長さ約0.3㎜、褐色。2n=68。花期は9~10月。
品種) 'Hippuroides'

2 Limnophila aquatica (Roxb.) Alston オオセイヨウキクモ 大西洋菊藻
 インド、スリランカ原産。英名はgiant ambulia

3 Limnophila chinensis (Osbeck) Merr.
  synonym Limnophila chinensis (Osbeck) Merr. subsp. chinensis
 中国、カンボジア、インド(ダージリン)、シッキム、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、西マレーシア、オーストラリア原産。中国名は中华石龙尾 zhong hua shi long wei
 高さ5~50㎝。茎は基部が這い、節から根を出し、単純又は基部で分枝し、絨毛があるか、ほぼ無毛。葉は対生又は3~4輪生し、無柄、卵状披針形~線状披針形、まれにへら形、長さ0.5~5.3㎝X幅0.2~1.5㎝、下面は脈に絨毛があり、上面は無毛又はまばらに絨毛があり、基部は類抱茎、縁は鋸歯縁、脈は羽状脈で不明瞭。花は葉腋に単生、又は頂生の円錐花序につく。花柄は長さ3~5㎜、絨毛があるかほぼ無毛。小苞は長さ約2㎜。咢は長さ5~7㎜、絨毛があるかほぼ無毛、果時に脈が隆起する。花冠は紫赤色~青色、まれに白色、長さ1~1.5㎝。蒴果は扁平、広楕円形、長さ約5㎜。花期と果期は10~5月。

4 Limnophila erecta Benth.  エミジカシソクサ
 中国、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア原産。中国名は直立石龙尾 zhi li shi long wei

5 Limnophila fragrans (G.Forst.) Seem.  エナシシソクサ 柄無紫蘇草
 日本固有種(石垣島、小浜島、西表島)。休耕田、湿地、 やや湿った草地に生える。
 多年草。高さ10~20㎝。茎は匍匐又は先が斜上する。葉は対生し、無柄。葉身は卵状長楕円形、長さ1~3㎝×幅0.3~1.2㎝ 、鋸歯縁、先は鈍形。花は上部の葉腋に単生し、花柄は無い。花冠は淡紅紫色~白色、長さ約9㎜、筒状で先は唇形。種子は長方形、黒色。花期 は7~12月。

6 Limnophila heterophylla (Roxb.) Benth.  カワリバキクモ
 中国、台湾、インド、ネパール、スリランカ、ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム、マレーシア原産。中国名は异叶石龙尾 yi ye shi long wei

7 Limnophila indica (L.) Druce  タイワンキクモ 台湾菊藻 [コキクモ 小菊藻]
 日本、中国、台湾、インド、ネパール、パキスタン、シッキム、スリランカ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、南西アジア、アフリカ、オーストラリア、オセアニア原産。中国名は有梗石龙尾 you geng shi long wei 。英名はambulia , indian marshweed。池や湿った場所に生える。
 多年草、水陸両生(amphibious)。水中茎(submerged stem)は多数分枝し、無毛。気中茎(aerial stem)は長さ15㎝以下、単純又は分枝し、無毛、有柄または無柄の腺をもつか、平滑に近い。水中葉は輪生、長さ1.5~2.5㎝、羽状全裂し、裂片は平らになり、細管状になる。気中葉は普通、輪生、羽状分裂し、長さ0.4~2㎝、ときに少数が対生し、円鋸歯。花は気中葉の葉腋に単生する。花柄は細く、長さ2~10㎜、普通、苞より長く、無柄または有柄の腺がある。小苞は2個、長さ1.5~3.5㎜、縁は全縁又はまばらに鋸歯があり、先は鋭形。咢は長さ3.5~5㎜、無柄の腺があり、果時に脈は隆起しない。咢片は長さ2~3㎜、卵形~披針形、先は短い腺鋭形。花冠は白色、単紫色、又は赤色、長さ1~1.4㎝。蒴果は暗褐色、扁平、楕円形~類球形、長さ約3㎜。花期と果期は3~11月。
品種)  'Mini'

8 Limnophila rugosa (Roth) Merr.  ホウライシソクサ
 日本(琉球列島)、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、フシッキム、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、ィリピン、太平洋諸島原産。中国名は大叶石龙尾 da ye shi long wei

9 Limnophila sessiliflora (Vahl) Blume キクモ 菊藻 
  synonym Limnophila taoyuanensis Yuen P.Yang et S.H.Yen  トウエンキクモ
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、韓国、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、シッキム、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、インドネシア(ジャワ)、マレーシア原産。中国名は石龙尾 shi long wei 英名はAsian marshweed , ambulia。アメリカ(フロリダ)などに帰化。
 多年草。高さ10~30㎝。池沼では、走出枝が底泥中を這い、茎が水中に伸び、上部は水面に向かって立ち上がる。茎には密に開出毛がある。水田で見られるものは、小形で直立していることが多い。葉は5~8個が輪生し、長さ1~2㎝、幅3~7㎜、菊の葉のように深裂する。水中葉は細かく糸状に裂ける。花は水面から出た葉腋に単生し、紅紫色の唇形。上唇は2浅裂。下唇は3浅裂。無柄。沈水状態では閉鎖花となる。花期は8~10月。

10 Limnophila trichophylla (Kom.) Kom.  コキクモ 小菊藻 ※
  synonym Limnophila indica auct. non (L.) Druce
  synonym Limnophila indica (L.) Druce subsp. trichophylla (Kom.) T.Yamaz
 Kewscience , GBIFではLimnophila indicaのsynonymとしている。Flora of Chinaには記載がない。
 本州(群馬県、兵庫県、岡山県)、中国、台湾原産。台湾名は石龍尾。沼 湿性地に生える。
 ※次のように解説されている。最近ではLimnophila trichophylla はLimnophila indica に含められ、Limnophila indicaの和名をコキクモとしていることが多い。
 Limnophila indicaに似るがキクモ(Limnophila sessiliflora)に近縁であり、水中に浮かび、茎は細長くのびて直立することはない。多年草と思われる。花柄は太く、長さは咢片の半分から同長ぐらいで、まれに殆んど柄のないときもある。咢片は卵形である。Limnophila indicaは浅 い沼地にはえ,高さ10~20㎝の直立する1年草[多年草で水陸両用の誤り]である。(参考5)

11 その他ハイブリッド
品種) 'Belem' , 'Belem Variegated' , 'Needle Leaf'

参考

1) Flora of China
 Limnophila
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=118595
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Limnophila
 http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30063953-2
3)GRIN
 Limnophila
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6840
4)US Fish and Wildlife Service
 Asian Marshweed (Limnophila sessiliflora)
 https://www.fws.gov/fisheries/ans/erss/uncertainrisk/ERSS-Limnophila-sessiliflora-FINAL.pdf
5)植物研究雑誌 43(12): 504-504(1968)
 山崎敬 : コキクモについて
6)植物研究雑誌 53(10): 312-313(1978)
 山崎敬 : シソクサについて