シュロソウ 棕櫚草

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Flora of Mikawa

シュロソウ科 Melanthiaceae シュロソウ属

学 名 Veratrum maackii Regel var. reymondianum (O.Loes.) H.Hara
Veratrum maackii Regel var. japonicum (Baker) T.Shimizu
Veratrum maackii Regel (広義)
シュロソウの雌花
シュロソウの両性花
シュロソウの雌花と両性花の混生
シュロソウの葉
シュロソウ
シュロソウ葉2
花 期 6~8月
高 さ 50~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の林内、湿った草原
分 布 在来種 北海道南部、本州(、四国、九州)
撮 影 車山高原  03.8.8
シュロソウはシュロソウ科シュロソウ属の多年草。和名の由来は葉の付け根にシュロのような毛があることから。根茎に毒性の強いアルカロイドを含み、注意が必要。
 北海道南部、本州に広く分布し、四国と九州の一部にも近い形がある。山地の林下に生える。
 多年草。高さ50~100㎝。根茎は短く、斜上し、下端より糸状根を出し、茎の下部と同様に黒褐色のシュロ(椶櫚)毛がある。葉は茎の下部につき、狭長で長楕円形~広倒披針形、長さ6~30㎝×幅2~4(5)㎝、平行脈で、縦にしわがあり、基部は鞘状になり茎を抱く。茎頂の長い円錐花序に花を多数、やや密につける。苞と花柄はあまり長くならず、普通、8mm以下、花茎や花柄に毛がある。両性花と雄花が混生する。花は直径約1㎝、花被片6個、暗紫褐色。雄しべ6個。花柱3個。蒴果は長さ1~1.5㎝。2n=16。花期は6~8月。
 シュロソウの変異は多く、中間型も見られる。日本産のシュロソウ類をVeratrum maackiiの変種として、シュロソウ、ホソバシュロソウ、オオシュロソウ、アオヤギソウ、タカネアオヤギソウの5変種に分類されている。World Flora Onlineではシュロソウとオオシュロソウをvar. japonicumにまとめ、アオヤギソウ(var. parviflorum)の2変種だけとしているため、シュロソウとオオシュロソウを同種としていることも多い。
 花が黄緑色のものをアオヤギソウ var. parviflorum という。
 三河地方で見られるホソバシュロソウ var. maackioides は本州の関東地方以西、四国、九州に分布し、葉の幅が幅0.5~2(3)㎝と狭く、花柄が細く、長さ8~20(25)mmと長い。
 ムラサキタカネアオヤギソウは高山型。葉幅が狭く、花が紫褐色、花柄が短い。

シュロソウ属

  family Melanthiaceae - genus Veratrum

 多年草、普通、短くて太い垂直の根茎と膨れた基部があり、丈夫でわずかに肉質の根がある。茎は直立し、円柱形、丈夫で、普通、毛があり、葉が多く、普通、鞘が崩壊してできる繊維または網状繊維に基部が包まれる。葉は互生し、鞘に抱かれ、幅は広~狭、強いひだ状の脈があり、普通、基部は狭くなる。花序は普通、頂生の円錐花序で、多数の花がつく。小苞は無い。花柄は短柄または無柄、毛がある。花は白色、帯黄色、緑色、または暗紫褐色、漏斗形、又は円蓋形~平らに開く。花被片は6個、普通、離生、広がり、基部に腺は無く(又は1~2個)、果時に宿存する。雄しべは6本、花被片の基部につく。葯は腎形~心状円形、1室、合流する半葯をもち、先からバルブに裂開する。子房は3室、先でわずかに3裂し、胚珠は普通、多数。花柱は3本、短く、宿存する。柱頭は内側につく。果実は楕円形~紡錘形、胞間裂開蒴果。種子は各バルブに数個、扁平、狭い翼がある(V. fimbriatumではほぼ球形)。x = 8
 世界に約30種があり、主に北半球の温帯地域に分布する。

シュロソウ属の主な種と園芸品種

1 Veratrum album L. ベラトルム・アルブム
  synonym Veratrum album var. flavum Griseb.
 ヨーロッパ、ロシア、トルコ原産。英名はfalse helleborine , white hellebore , European white hellebore , white veratrum。
 高さ60~150cm、直立し、根茎がある。茎は薄緑色で、上部にビロード状毛がある。葉は普通、茎の付け根の近くにつく。下部の葉は広楕円形、長さ12~20(~44)cm×幅7~15(~20)cm、上面は無毛、下面は±短いビロード状毛がある。茎葉は似てるが、より小さく、狭楕円形~広披針形。花茎にはビロード状毛がある。花序は多数分枝した複合円錐花序。花は両性または雄性、多数つく。花柄はビロード状毛があり、長さ2~3mm、花被片よりも短く、果時に長くなることがある。。雄花は両性花なより小さい。花は直径約2.0㎝。花被片は2列につき、外花被片は狭卵形、長さ0.8~1.0㎝×幅0.4㎝。内花被片は倒披針形、長さ0.9~1.1㎝×幅0.25~0.35㎝、内側の脈は濃緑色、脈間は薄緑黄色、中央に顕著な脈があり、下側には毛があり、縁はわずかに鋸歯がある。雄しべは6個。花糸は緑色、葯の後側に付着し、長さ4~5mm。葯は黄色、横向きに裂開し、長さ1~1.5mm×幅1~1.5mm。花粉は黄色。子房は上位、毛又はビロード状毛があり、長さ3~5mm×幅1.5~3㎜。花柱は3枝があり、後ろ側に巻き、宿存する。果実は角(かど)のまるい3稜のある蒴果、狭卵状楕円形、約・長さ2~3㎝×幅1~1.5㎝、わずかに毛があり、わずかに反り返る。種子は翼があり、長さ8~9mm×幅4~5mm、薄褐色。
品種) 'Auvergne White' , 'Jasper' , 'Lorna's Green' , 'Primrose Warburg'

2 Veratrum anticleoides (Trautv. et C.A.Mey.) Takeda et T.Miyake  カラフトシュロソウ 
 ロシア原産。

3 Veratrum dahuricum (Turcz.) O.Loes.  ケバイケイソウ 
  synonym Veratrum dolichopetalum O.Loes.
  synonym Veratrum album L. var. dahuricum Turcz.
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は兴安藜芦 xing an li lu。

4 Veratrum formosanum O.Loes.  タイワンシュロソウ 
  synonym Veratrum shuehshanarum S.S.Ying
 台湾原産。中国名は台湾藜芦 tai wan li lu。

5 Veratrum grandiflorum (Maxim. ex Miq.) O.Loes.
  synonym Veratrum puberulum O.Loes.
  synonym Veratrum album Linnaeus var. grandiflorum Maximowicz ex Baker,
 中国原産。中国名は毛叶藜芦 mao ye li lu。以前は日本のバイケイソウの学名とされていた。
 丈夫で高さ1.5m以下、基部に鞘が崩壊してできる網状でない繊維がある。葉は茎葉、無柄、基部を抱く。葉身は広楕円形~長円状披針形、長さ10~15(~26) ㎝×幅6~9(~16)㎝、下面に密に褐色又は灰色の毛があり、先は鈍円形又は尖鋭形。円錐花序は長さ20~50㎝、側枝はほぼ直立又は鋭角で広がり、長さ5~10(~14)㎝。頂生の総状花序は側花序の長さの約2倍。花柄は長さ2~3(~5)㎜、苞より短く、ときに密に毛がある。花被片は緑白色、広長円形~楕円形、 長さ1.1~1.7㎝×幅約6㎜、基部にわずかに爪部があり、縁には微細不整歯があり、先は鈍形。外花被片は外側に密に毛があり、とくに下部に多い。雄しべは長さ6~10㎜。子房は類円錐形、密に毛がある。蒴果は長さ1.5~2.5㎝×幅1~1.5㎝. 花期と果期は7~8月。2n=32。

6 Veratrum maackii Regel シュロソウ 綜櫚草 [広義]
  synonym Veratrum maackii Regel f. macranthum (O.Loes.) T.Shimizu
 日本(北海道、本州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は毛穗藜芦 mao sui li lu。
 シュロソウの変異は多く、中間型も見られ、多数の変種などに分類され、異説も多いが、シュロソウ、ホソバシュロソウ、オオシュロソウ、アオヤギソウ、タカネアオヤギソウをVeratrum maackiiの変種とするYlistの分類に従った。World Flora Onlineではvar. japonicum(var. reymondianumを含める)とvar. parviflorum(Veratrum coreanumを含む)の2変種としている。Kewscienceではvar. maackii , var. parviflorum , var. longebracteatumの3変種にまとめている。
 シュロソウ類の染色体数はいずれも2n=16であり、変種間の中間の形態のものも見られ、分類が困難になっている。

6-1 Veratrum maackii Regel var. maackii  ナガバシュロソウ 長葉綜櫚草
  synonym Veratrum bohnhofii O.Loes.  コウガイシュロソウ 
  synonym Veratrum bohnhofii O.Loes. var. latifolium Nakai
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は毛穗藜芦 mao sui li lu。山地の湿り気の多い草原などに生える。日本に分布する変種を除いた大陸型。
 シュロソウとホソバシュロソウの中間のような形質をもっており、シュロソウの葉が短く花序がやや疎で花梗が長くなった形に最も近い。
 高さ60~100(~160)㎝。茎は細く、基部に崩壊した鞘からできる褐色の網状の繊維がある。葉柄は長さ10㎝以下。葉身は長円状披針形、~狭い長円状楕円形、長さ25~32㎝×幅1~4(~8)㎝、無毛、基部はくさび形、先は長い尖鋭形。円錐花序は2~3本のやや短い枝をもち、まれに小枝があり、花が緩くつく。花序軸は密に綿毛がある。苞は長さ3~4mm、縁と外面には毛がある。花柄は長さ1~1.4㎝、花被の長さの約2倍。花被片は黒紫色、類倒卵状長円形、長さ5~7mm×幅2~3mm、基部に爪部は無く、縁は全縁。雄しべは長さ3~4mm。葯は外向きに裂開。花粉は黄色。子房は無毛。蒴果は直立、長さ1~1.7㎝×幅0.5~1㎝。2n=16。(Flora of China)
6-1-1 Veratrum maackii Regel var. maackii f. coreanum (O.Loes.) Honda  タンナアオヤギソウ 
  synonym Veratrum coreanum O.Loes.
  synonym Veratrum maackii Regel var. parviflorum (Maxim. ex Miq.) H.Hara [World Flora Online]
 朝鮮(済州島)原産。World Flora Onlineではではアオヤギソウに含めている。
 ホソバシュロソウに概形がよく似ているが花序はやや密で、花柄は短かく、長さ3~6(8)mm。花は黄緑色。日本にもよく似たものがある。

6-2 Veratrum maackii Regel var. japonicum (Baker) T.Shimizu  オオシュロソウ 
  synonym Veratrum nigrum L. var. japonicum Baker
  synonym Veratrum maackii Regel var. parviflorum (Maxim. ex Miq.) H.Hara et M.Mizush. f. japonicum (Baker) H.Hara
 北海道、本州(東北地方~北陸地方に分布。北方型であり、全体はアオヤギソウに似るが、花が暗紫褐色。
 高さ50~100㎝。茎葉が広く、楕円形~長楕円形、幅5~10(18)㎝。花序はかなり密で、苞と花柄は短かくほぼ同長、花柄は長さ4~7㎜。花柄は長さ4~7㎜と短い。花被片は暗紫褐色。蒴果もやや小さく、長さ10~15mm。
6-3 Veratrum maackii Regel var. longibracteatum (Takeda) H.Hara  タカネアオヤギソウ 高嶺青柳草
  synonym Veratrum nigrum L. subsp. maackii (Regel) Kitam. var. parviflorum (Miq.) Kitam. f. alpinum (Nakai) Kitam.
  synonym Veratrum maackii Regel var. parviflorum (Miq.) H.Hara et M.Mizush. f. longibracteatum (Takeda) Hir.Takah.
  synonym Veratrum maackii Regel var. parviflorum (Maxim. ex Miq.) H.Hara et M.Mizush. f. alpinum (Nakai) Honda
  synonym Veratrum longibracteatum Takeda
 本州の中部地方以北~東北地方、北海道に分布。アオヤギソウの高山型といわれ、亜高山帯の高層湿原に生える。ときに高山に短小なものが見られ、クモイアオヤギソウ(雲居青柳草)と呼ばれる。
 高さ30~60㎝。根元の葉鞘がシュロ毛状の網状繊維に覆われる。葉は互生し、根生または茎の下部に集まってつき、普通、長楕円形~狭長楕円形~やや幅広の線状披針形、長さ5~15㎝×幅1~3㎝。茎頂の円錐花序に花を多数つけ、花序軸に毛があり、苞が長いものが多い。花は直径1~1.5㎝。花柄は長さ0.4~1㎝。花被片は6個、長楕円形~楕円形、紫色の混じることがあり、ときに、あまり平開しないものがある。蒴果は楕円形、長さ1~1.2cm。花期は7~8月。
6-3-1 Veratrum maackii Regel var. longibracteatum (Takeda) H.Hara f. atropurpureum (Honda) T.Shimizu  ムラサキタカネアオヤギソウ 紫高嶺青柳草
  synonym Veratrum nigrum L. subsp. maackii (Regel) Kitam. var. japonicum Baker f. atropurpureum (Honda) Kitam.
  synonym Veratrum longibracteatum Takeda var. atropurpureum Honda
 本州(関東地方、中部地方)に分布。別名はタカネシュロソウ。短小なクモイアオヤギソウの暗紫花型で亜高山~高山のやや乾いた草地や礫地に生える。
 高さ20~40㎝。根元の葉鞘がシュロ毛状の網状繊維に覆われる。葉は幅が狭く、幅1~2㎝、長さ6~15㎝の線状披針形、花茎の上部の円錐花序に花をややまばらに多数つけ、花序軸に毛があり、苞が長いものが多い。雄花と両性花がつく。花柄は長さ0.4~1㎝。花は直径1~1.2㎝、花被片6個、紫褐色。雄しべ6個。花柱3個。蒴果は楕円形、長さ1~1.2cm。種子は歪卵形、やや扁平、翼を含めて長さ5~6mm×幅約4mm(種子本体は長さ約3㎜)、鈍頭、基部は斜め切形、外種皮は膜質、周囲を取り囲む翼となる。
6-4 Veratrum maackii Regel var. maackioides (O.Loes.) H.Hara  ホソバシュロソウ 細葉棕櫚草
  synonym Veratrum maackii var. parviflorum (Maxim. ex Miq.) H.Hara [GBIF]
  synonym Veratrum nigrum L. subsp. maackii sensu Kitam.
  synonym Veratrum maackii Regel var. maackii, sensu auct. Jap.
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、に分布。山地の林内、林縁、湿った草原に生える。GBIFではアオヤギソウに含めている。
 高さ50~100㎝。茎は斜上し、白色の毛があり、茎の基部に古い葉鞘の繊維がシュロの毛の様になって残る。葉は根生し、葉は長さ20~40㎝、幅0.5~2(3)㎝。茎頂の円錐花序は長さ30~50㎝、まばらに花を多数つける。花は直径約1.5㎝、雌しべのない雄花と雌しべのある両性花が混じる。花柄は細長く、長さ8~20(25)㎜。花被片6個、紫褐色。雄しべ6個。花柱3個。蒴果は長さ1.5~2㎝。種子は長さ約3㎜。2n=16。花期は6~8月。

6-4-1 Veratrum maackii Regel var. maackioides (O.Loes.) H.Hara f. virescens H.Hara  ホソバアオヤギソウ 
 ホソバシュロソウの花が緑色の品種。
6-5 Veratrum maackii Regel var. parviflorum (Maxim. ex Miq.) H.Hara  アオヤギソウ 青柳草
  synonym Veratrum nigrum L. subsp. maackii (Regel) Kitam. var. parviflorum (Maxim. ex Miq.) Kitam.
 日本(本州の中部地方以北、北海道)、朝鮮に分布。山地の林内ややや湿った草原に生える。シュロソウに似るが花が緑色。
 多年草、高さ50~100㎝。根茎は短く、褐色のシュロ(椶櫚)毛がある。茎は直立し、円柱形、葉は根生し、長楕円形~卵状長楕円形、長さ20~30㎝、下部は次第に狭くなり基部は鞘になって茎を包む。茎頂の円錐花序には縮れ毛が密生する。花は雄花と両性花がある。花序軸は披針形の苞より長い。花柄は短く、長さ5~7mm。花被片は黄緑色~淡緑色、まれに淡紫色を帯び、長さ約5.5㎜。蒴果は楕円形、長さ15~20㎜。花期は6~8月。2n=16。

6-6 Veratrum maackii Regel var. reymondianum (O.Loes.) H.Hara  シュロソウ 棕櫚草 [狭義]
 北海道南部、本州(四国、九州)に分布。本州に広く分布し、四国と九州の一部にも近い形がある。山地の林下に生える。
 多年草。高さ50~100㎝。根茎は短く、斜上し、下端より糸状根を出し、茎の下部と同様に黒褐色のシュロ(椶櫚)毛がある。葉は茎の下部につき、狭長で長楕円形~広倒披針形、長さ6~30㎝×幅2~4(5)㎝、平行脈で、縦にしわがあり、基部は鞘状になり茎を抱く。茎頂の長い円錐花序に花を多数、やや密につける。苞と花柄はあまり長くならず、普通、8mm以下、花茎や花柄に毛がある。両性花と雄花が混生する。花は直径約1㎝、花被片6個、暗紫褐色。雄しべ6個。花柱3個。蒴果は長さ1~1.5㎝。2n=16。

7 Veratrum maximum (Nakai) M.N.Tamura et N.S.Lee  オオバイケイソウ 大梅蕙草
  synonym Veratrum oxysepalum Turcz. var. maximum (Nakai) Hir.Takah.
  synonym Veratrum grandiflorum (Maxim. ex Miq.) O.Loes. var. maximum Nakai
 本州(関東、中部地方)に分布。高地の湿った場所に生える。
 多年草。高さ60~150㎝。根茎が肥大する。下部の葉は円形~広楕円形、縦の皺が目立ち、下面に毛状突起がある。花が大きく、花被片は長さ(14)15~20mmとバイケイソウより明瞭に大きく、白色で、基部付近が緑色になり、条線が明瞭にあり、花被片の上部の縁が微細な鋸歯状になる。花期は7~8月。

8 Veratrum nigrum L.  チョウセンシュロソウ 朝鮮棕櫚草
 中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ中部原産。中国名は藜芦 li lu。英名はblack false hellebore。
 丈夫で高さ1m以下、基部に鞘が崩壊してできる黒色の網状繊維をもつ。葉は茎葉、無柄又はときに茎の上部で短柄がある。葉身は、広楕円形~広卵状披針形、普通、長さ22~25㎝×幅約10㎝、無毛、先は鋭形~尖鋭形。円錐花序は花が多数つき、側枝はほぼ直立又は鋭角に広がり、しばしば雄花をつける。頂部の総状花序には普通、両性花がつく。花序軸に密に白色の綿毛(woolly)がある。花被片は黒紫色、長円形、長さ5~8mm×幅約3mm、広がるか又は両性花ではわずかに反曲し、縁は全縁。雄しべは長さ2.5~4mm。子房は無毛。蒴果は長さ1.5~2㎝×幅1~1.3㎝。花期と果期は7~9月。2n=16,64。
8-1 Veratrum nigrum L. var. ussuriense O.Loes.  チョウセンシュロソウ 狭義

9 Veratrum nipponicum Nakai  コシジバイケイソウ 越路梅蕙草
 本州(中部地方)に分布。バイケイソウとコバイケイソウとの雑種と考えられている。花被片は白色、基部は黄色を帯びる。花期は8月。結実しない。

10 Veratrum oxysepalum Turcz. バイケイソウ 梅蕙草 広義
  synonym Veratrum sikokianum Nakai ホソノエバイケイソウ
  synonym Veratrum album var. oxysepalum (Turcz.) Miyabe & Kudô
  synonym Veratrum grandiflorum (Maxim. ex Miq.) O.Loes. [Flora of China、Kewscienceでは別種の中国固有種]
  synonym Veratrum alpestre Nakai ミヤマバイケイソウ
  synonym Veratrum album L. var. oxysepalum (Turcz.) Miyabe et Kudô
  synonym Veratrum album L. var. grandiflorum Maxim. ex Miq.
  synonym Veratrum album L. subsp. oxysepalum (Turcz.) Hultén
  synonym Veratrum patulum O.Loes.  カラバイケイソウ
 日本(北海道、本州の近畿地方以北、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア、アラスカ原産。中国名は尖被藜芦 jian bei li lu。別名(旧名)はエゾバイケイソウ、ミヤマバイケイソウ。和名は花が梅に似て、葉が蕙蘭(けいらん)に似ていることに由来する。蕙蘭はシラんの別名。山地~亜高山帯の林内や湿った草地に生える。学名は様々な説があり、初めVeratrum grandiflorumとされ、その後、Veratrum album subsp. oxysepalum(Turcz.) Hulténに変更され、現在はVeratrum oxysepalum Turcz.が用いられている。これは過去に細かく分類されていた、ミヤマバイケイソウ、ホソノエバイケイソウ、カラバイケイソウを含むかなり広義なものであり、分布域もアラスカまで広げられている。
 多年草、全体に粗剛で、高さ0.6~1.5(2)m。根茎は短く太く、太い根を多数、出す。根茎には毒性があり、殺虫剤に利用された。茎は直立、中空、下部は直径2㎝に達し、紫色を帯び、全長に亘って、まばらに葉を互生して開出する。葉は広楕円形、長さ15~30㎝×幅10~20㎝、先は短い尖鋭形、基部は鈍形又は狭くなり、鞘なる。葉面には縦ひだが著しく多数あり、光沢は無く、下面の脈上だけに短軟毛がある。花が咲く頃には立派な葉が枯れ始める。茎頂に円錐花序様の複総状花序を出し、白花を開き、臭気がある。花序軸には密に白色の短毛がある。花柄は花被片や苞より短い。花は直径1~3㎝、緑白色、広漏斗形。花被片は6個、長さ10~15㎜、楕円形で両端が尖り、条線があり、縁の上半部には縁毛状の鋸歯があることが多い。雄しべは6本、花被片の長さの約1/2。蒴果は卵状楕円形、長さ約2㎝、褐紫色、熟すと先から3裂開する。花期は6~8月。果期は8月。2n= 32, 64。

 中国やアラスカのものは次のような解説があり、日本のバイケイソウとはやや異なり、高さ1m以下で、花被片も長さ12㎜以下である。
【Flora of Chinaの解説】
 高さ1mまで。基部に鞘が崩壊してできる網状でない繊維が密にある。葉は茎葉、無柄、基部を抱く。葉身は楕円形~長円形、長さ(3~)14~22(~29)㎝×幅約14㎝、下面は無毛又はまばらに毛があり、先は鋭形~尖鋭形。円錐花序は長さ30~35(~50)㎝、多数の花がつく。側枝と頂部の総状花序は長さ8~12㎝。花序軸には密に白色の綿毛がある。花柄は長さ1~3(~6)mm、苞より短い。花被片は内面が白色(緑白色)、外面は帯緑色、長円形~倒卵状長円形、長さ7~11㎜×幅3~6㎜、基部は狭くなり、縁は微細な歯があり、先は円形又は類鋭形。外花被片は外面にわずかに毛がある。雄しべは長さ4~7mm。子房は約・長さ2㎜×幅1㎜、まばらに毛又はパピラのある毛がある。花期は(6~)7(~8)月。2n=32,64,70(~72),80。
【Flora of North Americaの解説】
 高さ0.3~1m、下部は無毛、花序に絨毛がある。葉は根生葉と下部の茎葉があり、卵形~楕円形、長さ10~25㎝×幅5~18㎝、上部では小さくなり、無毛~少なくとも脈上にまばらに絨毛がある。花序は穂状花序状の総状花序又は下部に少数の短い斜上する枝であり、長さ0~10㎝、まばらに絨毛がある。苞は披針形、花の長さの1/2~同長、まばらに絨毛があり、縁毛がある。花被片は緑黄色、披針形~披針状卵形、爪部は無く、長さ7~12mm、縁に小歯があり、少なくとも下部の1/2にまばらに絨毛があり、腺体が1個あり、基部はV字形に緑色~黄緑色になる。子房はほぼ無毛。蒴果は楕円形~長円形、長さ1~1.5㎝、ほぼ無毛。種子は扁平、広い翼があり、長さ5~7mm。2n=64。

10-1 Veratrum oxysepalum Turcz. var. oxysepalum  バイケイソウ 梅蕙草
 基準変種。
 Veratrum oxysepalum Turcz.は過去にエゾバイケイソウの名で分類されていた。これを広義に扱いバイケイソウに統合している。
 エゾバイケイソウは葉が幅広く、ほぼ円形~卵状長楕円形、裏に毛がある。複総状花序は狭紡錘形で、基部に葉がつき、花が密生する。花被片は披針形、緑色、花柄は長さ1~3mm。雄しべは花被より短い。子房には毛又は乳頭状の突起がある。
10-2 Veratrum oxysepalum Turcz. var. maximum (Nakai) Hir.Takah. オオバイケイソウ 大梅蕙草
 講談社のFlora of Japanに基づき独立種とされた⇒Veratrum maximum (Nakai) M.N.Tamura et N.S.Leeとされた。
 花被片が長さ14(15)~20mmと長いもの。バイケイソウは(10)12~14(15)㎜。と短い。
【バイケイソウに統合されたもの】
(1) Veratrum alpestre Nakai (1937) ミヤマバイケイソウ 深山梅蕙草
  synonym Veratrum album subsp. oxysepalum f alpestre
 バイケイソウの高山型で北海道の中央高地と本州の中部以北の亜高山帯から高山帯下部の湿地に分布する。
 高さ50~60(8O)㎝。花軸は太い。葉は広卵形、基部は茎を抱き、葉裏に毛が多い。花序はほとんどが穂状の円錐花序であり、花を密生する。花被片は帯緑黄白色又淡黄色、卵状長楕円形、長さ7~10mm。
(2) Veratrum sikokianum Nakai(1973) ホソノエバイケイソウ
 葉裏に毛があり、少くても上部の葉裏には毛がある。花軸及び花序の枝は細く、枝は横に開出する。花はまばらにつく。花柄は長さ3~6㎜。花被片は長楕円状披針形~披針状長楕円形、長さ8~10mm、帯黄白色。
(3) Veratrum patulum O.Loes.(1926)  カラバイケイソウ
 朝鮮、済州島原産。
 葉は葉裏に全く毛が無く、披針状長楕円形~広卵状楕円形。花序は複総状花序、楕円形~卵形、枝は開出する。花被片は長楕円状倒披針形又は披針状長楕円形~広楕円形、帯緑白色又は帯黄白色、花柄は短い。雄しべは花被より短い。子房に毛又は乳頭状の突起がある。ミヤマバイケイソウに統合された。

11 Veratrum stamineum Maxim.  コバイケイソウ 小梅蕙草
 北海道、本州の中部以北に分布する。高山帯の湿潤地に生える。
 多年草、高さ50~100㎝、多数、群生する。根茎は短く、有毒。茎は強健、直立し、高さ0.5~1m。葉は茎上に互生し、広卵形~広楕円形、長さ8~17(~30)㎝、先は円形で微突端、基部は鈍形、葉柄はなく、直ちに葉鞘に続き、縦ひだが多数あり、葉先は内側に凹形になりやすい。葉の下面に全く毛がない。茎頂に複合総状花序からなる円錐花序をつける。中央の大きな総状花序の下部に分枝した4~5本の側総状花序をつけ、花序軸には密に短毛がある。中央の大きな総状花序には両性花がつき、下部の枝には雄花がつく。数年に一度咲くといわれ、花の多い年と少ない年がある。花は属の中でも特に密につき、白色、直径約8mm。花柄は花被片より長くなる。花被片は6個、倒卵状楕円形、先はやや鈍形、基部は狭くなる。雄しべは6個、花被片より長く、葯は点状。花柱3個。子房は無毛。蒴果は長さ約2.5㎝、楕円形で両端が尖り(紡錘形)、直羽し、3耳(稜)からなり、先端がわずかに3裂する。花期は6~7月。2n=32。
11-1 Veratrum stamineum Maxim. var. lasiophyllum Nakai  ウラゲコバイケイ 裏毛小梅蕙草
 葉の下面の脈上にパピラ状の毛があるもの。
11-2 Veratrum stamineum Maxim. var. micranthum Satake  ミカワバイケイソウ 三河梅蕙草
 日本固有種(愛知県、長野県、静岡県、岐阜県)。湿った林内、草地に生える。
 大型の多年草。高さ60~150㎝。葉は茎葉、互生し、茎の基部に鱗片葉がつく。茎の中部以上に普通葉が10~14枚つき、長楕円形~楕円形、長さ20~35㎝×幅8~15㎝、先は鋭形、基部は鞘になって茎を抱き、下面に短毛がある。茎頂の円錐花序は大きく、長さ2~40㎝、枝が2~9本あり、花を多数つける。花は両性花と雄花ががあり、主花序に両性花がつき、側花序に雄花がつくことが多く、ときに両性花だけになる。花被片は6個で、白色、長楕円形、縁が歯牙状に切れ込みが、ときに全縁になる。雄しべは6本、黄色の葯が突き出る。花のつきはコバイケイソウと同じように波があり、少ししか咲かない年がある。花期は4下旬~5月上旬:三河。(6月:飯田市)

12 Veratrum versicolor Nakai  コウライシュロソウ 高麗棕櫚草
 朝鮮、中国原産。

参考

1) Flora of China
 Veratrum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=134473
2) Flora of North America
 Veratrum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=134473
3) World Flora Online
 Veratrum
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000040131;jsessionid=D837A8B605BF6FFD949B46A5D5344D3C
4) 植物研究雑誌 13(9): 631–645(1937)
 中井猛之進:日本産シュロソウ属植物(其一)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_013_701_713.pdf
5) 植物研究雑誌 59 p225-231.1984.
 原 寛 東亜植物註解 (15)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_059_225_236.pdf
6) 牧野植物図鑑 図2268~2271
 しゅらさう、あおやぎさう、ばいけいさう、こばいけい
http://www.hokuryukan-ns.co.jp/makino/himg/P757.pdf
7) 中垣明子 - 金沢大学理学部付属植物園年報, 1997
日本産シュロソウ属 (ユリ科) における性表現と花序の構造の比較
https://core.ac.uk/download/pdf/196728393.pdf
8)植物研究雑誌 71(1) p11-28(1996)
 シュロソウ・アオヤギソウ類の分布と変異
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_071_11_28.pdf
9)植物研究雑誌 18(11): 661–661(1942)
 みかはばいけいさう(新称) (佐竹義輔)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_018_661_661_1.pdf