サヤヌカグサ 鞘糠草

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae  サヤヌカグサ属

中国名

秕壳草 bi ke cao

学 名 Leersia sayanuka Ohwi
Leersia oryzoides (L.) Sw. var. japonica Hack.
サヤヌカグサの花序枝
サヤヌカグサの頴果2
サヤヌカグサの葉舌
サヤヌカグサの節毛と葉舌
サヤヌカグサの葉鞘
サヤヌカグサ
サヤヌカグサの小穂
サヤヌカグサの頴果
サヤヌカグサの葉
花 期 8~10月
高 さ 50~80㎝
生活型 多年草
生育場所 低地の湿地、水田周辺
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国
撮 影 西尾市 13.10.18
根茎は短く、茎の下部は倒伏し、節から枝を出し、直立~斜上する。節には白色の毛が密生する。葉舌は長さ1~2㎜、切形。葉鞘には白色の短い刺毛があり、ざらつく。全体に青緑色(灰緑色)を帯びる。葉は長さ7~10(20)㎝、幅5~10㎜、黄緑色、手触りは柔らかく、縁などがざらつく。花序は長さ15~20㎝の円錐状、枝は細く、まばらにつく。小穂は長さ(4.5)5.5~6.5㎜、幅約1.5㎜(Flora of China :長さ 6~8㎜)、長楕円形、扁平。苞頴は無い。護頴は舟形、縁に短剛毛があり、側面に短毛がある。雄しべ3個。葯は長さ1~2㎜。頴果は不稔が多いが、少量、結実し、長楕円形。2n=60。
 小穂が長く、剛毛が少ないものが三ヶ根山の麓の湧水水路脇に少し群生しているのが見られた。図鑑などで数値が違うため、小穂の大きさなどを測定した。最も長い葉は長さ9.2㎝、幅8㎜。茎下部の葉は短く、中間の葉が最も長い。葉の色は緑色、アシボソより淡色。葉舌は長さ1~1.5㎜、傾いた切形の短い側は0.5㎜であった。葉は柔らかいが、アシボソの葉より硬く、縁がざらつく。茎や葉、葉鞘の刺毛は少なく、葉縁の歯も短い。花序の最下の枝は節に2個つくものも見られた。小穂の落ちた枝は開出しているが、小穂のついた枝は開出したものが少なく、小穂は直線状に並んでつく。小穂は長さ7.0~8.4㎜、幅1.5~1.9㎜、長い剛毛は長さ0.2~0.3㎜。結実はかなり多く、小穂がほとんど落ちた花序に残った小穂は緑色であり、落ちたばかりの頴果も淡緑色。小穂が緑色のうちに熟して落ちるようである。頴果は長さ3.4~3.8㎜、幅1.1~1.6㎜。
 エゾノサヤヌカグサ Leersia oryzoides は北海道、本州、西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカと世界に広く分布する。中国名は蓉草(rong cao)。葉が長さ(7)10~30(35)㎝、幅(6)7~10(15)㎜。小穂は長さ4~5(6)㎜、幅(1.3)1.5~1.8(2)㎜。護頴と内頴の脈上に長いものは長さ0.4~0.6㎜の剛毛があり、側面にも短い剛毛がある。剛毛の長さは変異があり、短いものもある。葯は長さ1.5~2㎜、閉鎖花受粉の葯は長さ0.4~0.7㎜。頴果は長さ2.7~2.9㎜。2n=48

サヤヌカグサ属

  family Poaceae - genus Leersia

 多年草、水生植物または湿地植物、匍匐茎sまたは根茎がある。稈は細く、下部は這うかまたは浮き、上部は直立または斜上し、多節、節は膨れ、毛がある。葉身は主に茎葉、線状披針形。葉舌は紙質。花序は緩い円錐花序で、枝はしばしば単純で総状花序状、小梗(pedicels)は短い。小穂は小花が1個あり、楕円形~狭長円形、片側が真っ直ぐ、強く側部が扁平になり、小梗から関節が離れ(disarticulating)、苞穎(glumes)はない。護穎(lemma)は舟形、竜骨があり、堅い紙質または革質、明瞭な5脈があり、縁脈は内穎(palea)の縁脈と連結し、竜骨はザラつき~櫛状の縁毛があり、先は鋭形または嘴があり、芒は無い。内穎は護穎に似るが、幅が狭く、3脈があり、竜骨に縁毛がある。雄しべは1、2、3、または6個。穎果は長円形、胚は穎果の長さの1/3で、へそは線形。x=12。
 世界に約20種あり、世界中の熱帯および温帯地域に分布する。

サヤヌカグサ属の主な種と園芸品種

1 Leersia hexandra Sw. タイワンアシカキ 台湾足掻
 日本(琉球諸島)、中国、台湾、バングラデシュ、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、オーストラリア、アフリカ、アメリカ原産。中国名は李氏禾 li shi he。英名はsouthern cutgrass 。湖の縁の流れの遅い浅瀬、溝、窪地、湿地帯に生え、ときに浮いてマット状になる。
 多年草、よく発達した匍匐茎と細い根茎を持つ。稈は傾伏し、下部の節から発根し、直立したシュートは高さ50cm以下またはそれ以上、縁に下向きの毛がある。葉鞘は節間より短く、平滑またはザラつく。葉身は平らまたはときに巻き、長さ5~12㎝×幅0.3~0.6㎝、下面は中肋がザラつき、基部は狭くなり、先は鋭く鋭形。葉舌は長さ1~3㎜、先は切形。円錐花序は外形が披針状長円形、長さ5~10㎝、突き出る。枝は、単生、斜上し、長さ4~5㎝、分枝せず、細く円柱形または三稜形、根元近くに密につき、小穂が密に重なり合う。小穂は狭楕円形~楕円状長円形、長さ3~4㎜、淡緑色または紫色を帯びる。護穎は竜骨の上に著しい櫛状の剛毛があり、側脈とときに表面にまばらに刺があり、縁には短い剛毛があり、先は短い鈍い嘴状に狭くなる。雄しべは6個、葯は長さ2~2.5㎜。花期および果期は5~12月。2n=24, 48。

2 Leersia japonica (Honda) Makino ex Honda アシカキ 足掻
 日本、韓国、中国原産。中国名は假稻 jia dao。池、氾濫した畑、湿った小川、排水溝の土手、湖の岸に生える。
 多年草、緩く房状になる。 稈は傾伏し、下部の節から発根し、上部は膝状に曲がり、斜上し、高さは60~80㎝、節は密に後方にヒッピーです。 節間より短い葉鞘、かさぶた; 葉身は平らで、長さ6~15㎝×幅0.4~0.8㎝、ザラつきまたは上面は平滑、基部は狭くなり、先は鋭く鋭形。葉舌は長さ2~3 mm、切形。 円錐花序は外形が楕円形~卵形、長さ9~12㎝、突き出す。枝は単独でつき、堅く斜上または広がり、長さ4~7㎝、分枝せず、太く、わずかに平らになり、平滑、基部近くに、小穂がほぼまたはわずかに重なってつく。小穂は披針状長円形、長さ4.5~6 mm、淡緑褐赤色。護穎は櫛状剛毛が竜骨上のみにあり、表面は平滑、縁は細かい刺があり、先は狭く鈍い嘴状に狭くなる。雄しべは6個、葯は長さ2.5~3mm。花期および果期は夏と秋。2n=96。

3 Leersia oryzoides (L.) Sw.  エゾノサヤヌカグサ 蝦夷の鞘糠草
 中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジア(コーカサス)、北アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は蓉草 rong cao。英名はcut grass , rice cut grass , leersie faux-riz。オーストラリアに帰化している。湿った川岸、湿地に生える。
 多年草、緩く房状になり、細い根茎がある。稈は弱く、傾伏し、下部の節から発根し、上部は高さ120㎝以下、基部の近くで枝分かれし、円錐花序の下がザラつき、節には下向きの剛毛がある。葉鞘は節間よりも長く~わずかに短く、上部に下向きの刺がある。葉身は質が薄く、長さ7~30㎝×幅0.6~1㎝、両面がザラつき、縁はザラつき、刺で覆われ、先は尖鋭形。葉舌は長さ1~2 mm、切形。円錐花序は緩く、外形が卵形、長さ10~20cm。枝は節ごとに1~3個つき、広がり、長さ10㎝以下、屈曲し(flexuous)、非常に細く、ザラつき、下部は長く裸出し、上部は小穂の片側に沿って小穂が重なる。小穂は楕円状長円形、長さ5~6㎜、帯白色で脈は緑色。護穎は著しい櫛状剛毛が竜骨と縁にあり、表面には小剛毛があり、ときにまばらになり、先は急に狭くなり、ほぼ鋭形。雄しべは3個、葯は長さ1.5~2mm。花期および果期は6~9月。2n=48, 60。

4 Leersia sayanuka Ohwi サヤヌカグサ 鞘糠草
  synonym Leersia sayanuka Ohwi var. latifolia Ohwi
  synonym Leersia oryzoides (L.) Sw. var. sayanuka (Ohwi) T.Koyama
  synonym Leersia oryzoides (L.) Sw. var. japonica Hack. f. latifolia (Ohwi) Ohwi
  synonym Leersia oryzoides (L.) Sw. var. japonica Hack.
  synonym Leersia oryzoides (L.) Sw. subsp. japonica (Hack.) T.Koyama
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は秕壳草 bi ke cao。低地の湿地、水田周辺に生える。
 多年草。高さ50~80㎝。根茎は短く、茎の下部は倒伏し、節から枝を出し、直立~斜上する。節には白色の毛が密生する。葉舌は長さ1~2㎜、切形。葉鞘には白色の短い刺毛があり、ざらつく。全体に青緑色(灰緑色)を帯びる。葉は長さ7~10(20)㎝、幅5~10㎜、黄緑色、手触りは柔らかく、縁などがざらつく。花序は長さ15~20㎝の円錐状、枝は細く、まばらにつく。小穂は長さ(4.5)5.5~6.5㎜、幅約1.5㎜(Flora of China :長さ 6~8㎜)、長楕円形、扁平。苞頴は無い。護頴は舟形、縁に短剛毛があり、側面に短毛がある。雄しべ3個。葯は長さ1~2㎜。頴果は不稔が多いが、少量、結実し、長楕円形。2n=60。花期は8~10月。

参考

1) Flora of China
 Leersia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=117845
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Leersia
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:330006-2
3) World Flora Online
 Leersia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000020877;jsessionid=847D4522AC4237126CF30A1384747107
4) World Checklist of Vascular Plants
 Leersia
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North America
 Leersia
http://floranorthamerica.org/Leersia