ロウバイ 蝋梅
Flora of Mikawa
ロウバイ科 Calycanthaceae ロウバイ属
別 名 | カラウメ |
中国名 | 蜡梅 la mei |
英 名 | wintersweet, Japanese-allspice |
学 名 | Chimonanthus praecox (L.) Link synonym Chimonanthus fragrans (Loisel.) Lindl. |
花 期 | 10~3月 |
高 さ | 2~5m |
生活型 | 落葉低木 |
生育場所 | 庭、公園 |
分 布 | 帰化種 中国原産 |
撮 影 | 西尾市 12.3.7 |
江戸時代初めに渡来したといわれている。庭や畑によく植えられており、開花が早く、1月から咲き始めるので、花が少ない時期によく目立つ。花は甘い香りがある。
低木又は小高木、高さ3~13m、落葉ときに落ちずに残る。幹は淡灰褐色、皮目が縦に並ぶ。小枝は灰褐色、若いときに4稜形、類円柱形になり、無毛又はわずかに微軟毛があり、皮目がある。蕾は普通、前年枝の腋につく。芽麟は類円形、覆瓦状、外側に短毛がある。葉柄は長さ0.3~1.8㎝、短毛がある。葉身は卵形~楕円形~広楕円形、卵状楕円形~長楕円状楕円形、ときに長楕円状披針形、長さ5~29㎝、幅2~12㎝、紙質~類革質、下面は脈上にたまに毛状突起が散生する以外は無毛。上面は粗く、ざらつき、二次脈は4~6対、基部は楔形~円形、先は鋭形~尖鋭形、ときに尾状。花は前年枝につき、単生又は双生し、一般に、葉の展開前に咲き、直径1.5~4㎝、甘い芳香がある。花柄は長さ2~8㎜。花被片は15~21個、黄色、内側の花被片が普通、紫赤色になり、長さ0.5~2㎝、幅0.5~1.5㎝。外側の花被片は円形~倒卵形、微軟毛があり、先は切形又は円形。中間の花被片は楕円形~長楕円状楕円形、無毛又はときに縁毛があり、先は円形~鋭形。内側の花被片は円形~長楕円形、無毛、ときに縁毛があり、基部には明瞭な爪部があり、先は円形。雄しべは5~8個、長さ2.5~4㎜。花糸は広く、葯の長さより長く又は等しく、まれに短く、基部は短毛があるか又は無毛。葯は無毛、葯隔は微軟毛があるか又は無毛、先は鋭形。仮雄しべは2~15個、錐形~線状披針形、長さ2~3㎜、短毛がある。心皮は5~15個、基部に微細剛毛がある。花柱は子房の長さの約3倍、基部に短毛がある。偽果はつぼ形~卵状楕円形~倒卵状楕円形、長さ2~6㎝、幅1~2.5㎝、熟すと木質状になり、先はくびれ、9又は10個の付属体が先端につき、付属体は細く披針形になり、毛状突起がある。痩果は3~11個、褐色、楕円形~腎形、長さ15~16.5㎜、幅5~5.6㎜、基部に短毛がある。花期は10~3月。果期は4~11月。2n=22。
POWOでは下位分類を認めず、synonymとしている。
ソシンロウバイ(f. concolor)は花が大きく、内側の花被片も黄色。
カカバイ(f. intermedius)は花の大きさがロウバイとトウロバイの中間。香りも少ない。
トウロウバイ(var. grandiflorus)はが大きく、内側の花被片が暗赤紫色。
低木又は小高木、直立し、落葉又は常緑。小枝は二又、4稜形~類円柱形。冬芽は鱗片が覆瓦状、夏には取れる。葉身は紙質又は類革質、上面はざらつき、又はほぼ平滑。花は腋生、芳香があり、花柄はほぼ無柄~短柄。花被片は多数、黄色~黄白色~白色、ときに紫色の斑紋があり、膜質、外側から内側の大きさや形は変化するが、明瞭な2形ではない。雄しべは5~8個、杯形の花托の上につく。花糸は糸状だが、基部は広く、合着し、普通、微軟毛がある。仮雄しべは少数~多数、微軟毛があり、花托の上の雄しべの内側につく。心皮は5~15個、分離。胚珠は各心皮に2個、1胚珠は普通、未塾。偽果(pseudocarp)はつぼ形~長楕円状楕円形~楕円形~長楕円状卵形~腎形。
世界に6種があり、中国だけにある。
常緑低木、高さ3~5m。小枝は毛がある。葉柄は長さ0.5~1.8㎝。葉身は楕円形~披針形~長円形、長さ6.3~13.5㎝×幅1.8~4.2㎝、薄い革質~紙質、両面とも無毛、中脈の両側に2次脈が2~6本あり、基部は楔形、広楔形、または円形、先は長い尖鋭形。花は単生、直径約1.8㎝。小花柄は長さ2~3㎜。花被片は18~20個。外花被片は4または5個、黄褐色、円形、長さ3~4㎜、外側には密に毛がある。中央の花被片は帯黄色、長円形~楕円状披針形、長さ7~12㎜×幅2~4㎜。内花被片は帯黄色、卵形~斜めの楕円形、長さ3~5㎜×幅1.5~3㎜、縁の微軟毛を除いて無毛、基部にほぼ爪部はない。雄しべは5本、長さ約4~5㎜。花糸は帯白色、長さ1~1.5㎜、基部に微軟毛がある。葯は帯黄色、長さ1.8~2㎜。葯隔は長さ0.5~0.8㎜、先は尖鋭形。仮雄しべは7~9本、線形、長さ約4㎜以上あり、雄しべと同じかそれより少し長い。心皮は3または4個(またはそれ以上)。偽果は鐘形、長さ4~6㎝×幅2.5~4㎝、外側に密に褐色の毛があり、先は狭窄していないか、まれにわずかに狭窄し、先に付属体は4~6個ある。痩果は3または4個、褐色、楕円形~長円状卵形、長さ1.4~2.6㎝×幅0.7~1.2㎝、光沢があり、毛があり、先は円形~鋭形。花期は8~12月。果期は翌年9~10月。
2 Chimonanthus grammatus M. C. Liu キモナントゥス・グラマーツス
江西省原産。中国名は突托蜡梅 tu tuo la mei tu tuo la mei。標高200~700mの森林に生える。
常緑低木または小高木、高さ4~6m。枝は細く、角(かど)があり、無毛で、凸状の皮目がある。葉柄は長さ0.7~1.7㎝、太く、無毛。葉身は楕円形の卵形から広楕円形、長さ7~18㎝×幅5~8㎝、革質、下面は淡帯緑色、無毛、上面は緑色で光沢があり、中脈の両側に7~9本の2次脈があり、網状脈は上面で隆起し、基部は広楔形~円形、先は長い尖鋭形~短い尾状。花は単生。花被片は25~27個、帯黄色、外側に毛がある。外花被片は卵状円形~卵状楕円形、長さ3~9㎜×幅3~5㎜。中花被片は約13個、線状披針形、長さ10~17㎜×幅2~3㎜。内花被片は約9個、長い披針形、長さ6~10㎜×幅1~2㎜、基部には不明瞭な爪部がある。雄しべは6~8本。仮雄しべは14~16本、淡色、毛がある。偽果は鐘形、長さ2.5~4㎝×幅2~2.7㎝、円環(torus)は厚く、表面には明瞭な網目があり、先はくびれず、先端の付属体は±木質。痩果は褐色、長円形、長さ1~1.6㎝×幅0.6~0.8㎝、毛がある。花期は10~12月。果期は12月~6月。
3 Chimonanthus nitens Oliver キモナントゥス・ニテンス
中国(安徽省、福建省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、雲南省、浙江省)原産。中国名は山蜡梅 shan la mei。標高200~2500mの山間の疎林、山地の石灰岩地に生える。
常緑低木または小高木、高さ1~6m。小枝は若いときは4稜形だがほぼ円柱形になり、微軟毛があるが無毛になる。葉柄は長さ3~10㎜、無毛、ときに短い粗毛がある。葉身は楕円形、楕円状披針形、広楕円形、または卵状披針形、長さ2~13㎝×幅1.5~5.5㎝、紙質~ほぼ革質、両面は緑色~ときに非常に淡い緑色でほぼザラつき、下面は無毛、またはときに微細な短い粗毛があり、上面は光沢があり、不明瞭な腺毛を持ち、二次脈は下面で凸状になり、上面は平坦、網状脈は不明瞭、基部は鈍形~楔形、先は尖鋭形、長い尖鋭形、または短い尾状になる。花は単生し、直径0.7~1cm。花被片は20~24個、黄色~黄白色、円形~卵形~倒卵形~卵状披針形または長円形、長さ3~15㎜×幅 2.5~10㎜、外側は毛があり、内側は無毛。雄しべは長さ約2㎜。花糸は短く、毛がある。葯は卵形、稔性、花糸より長い。仮雄しべは長さ約1.5㎝、基部と花柱の基部には粗毛が散在する。偽果は成熟すると灰褐色、つぼ形~ほぼ鐘形、長さ2~5㎝×幅1~2.5㎝、ビロード状、先がくびれる。痩果は楕円形、長さ1~1.3㎝。花期は10~1月。果期は4~8月。2n=22。
4 Chimonanthus praecox (Linnaeus) Link ロウバイ 蝋梅
synonym Chimonanthus fragrans (Loisel.) Lindl.
安徽省、福建省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、四川省、雲南省、浙江省原産。中国名は蜡梅 la mei。英名はwintersweet , Japanese-allspice。別名はカラウメ。
低木又は小高木、高さ3~13m、落葉ときに落ちずに残る。幹は淡灰褐色、皮目が縦に並ぶ。小枝は灰褐色、若いときに4稜形、類円柱形になり、無毛又はわずかに微軟毛があり、皮目がある。蕾は普通、前年枝の腋につく。芽麟は類円形、覆瓦状、外側に短毛がある。葉柄は長さ0.3~1.8㎝、短毛がある。葉身は卵形~楕円形~広楕円形、卵状楕円形~長楕円状楕円形、ときに長楕円状披針形、長さ5~29㎝、幅2~12㎝、紙質~類革質、下面は脈上にたまに毛状突起が散生する以外は無毛。上面は粗く、ざらつき、二次脈は4~6対、基部は楔形~円形、先は鋭形~尖鋭形、ときに尾状。花は前年枝につき、単生又は双生し、一般に、葉の展開前に咲き、直径1.5~4㎝、甘い芳香がある。花柄は長さ2~8㎜。花被片は15~21個、黄色、内側の花被片が普通、紫赤色になり、長さ0.5~2㎝、幅0.5~1.5㎝。外側の花被片は円形~倒卵形、微軟毛があり、先は切形又は円形。中間の花被片は楕円形~長楕円状楕円形、無毛又はときに縁毛があり、先は円形~鋭形。内側の花被片は円形~長楕円形、無毛、ときに縁毛があり、基部には明瞭な爪部があり、先は円形。雄しべは5~8個、長さ2.5~4㎜。花糸は広く、葯の長さより長く又は等しく、まれに短く、基部は短毛があるか又は無毛。葯は無毛、葯隔は微軟毛があるか又は無毛、先は鋭形。仮雄しべは2~15個、錐形~線状披針形、長さ2~3㎜、短毛がある。心皮は5~15個、基部に微細剛毛がある。花柱は子房の長さの約3倍、基部に短毛がある。偽果はつぼ形~卵状楕円形~倒卵状楕円形、長さ2~6㎝、幅1~2.5㎝、熟すと木質状になり、先はくびれ、9又は10個の付属体が先端につき、付属体は細く披針形になり、毛状突起がある。痩果は3~11個、褐色、楕円形~腎形、長さ15~16.5㎜、幅5~5.6㎜、基部に短毛がある。花期は10~3月。果期は4~11月。2n=22。
品種) 'Brockhill Goldleaf' , 'Caotang Yunxiang'(草堂韵香) , 'Cobhay Sunshine' , 'Diane' , 'Emerald Knight' , 'Fragrance' , 'Grandiflorus' , 'Grandiflorus Superba' Mrs. Rounds Variety , 'Hua Hudie'(花蝴蝶) , 'Huang Qing'(黄磬) , 'Huantian Xidi'(欢天喜地) , 'Jinling Hongzhuang'(金陵红妆) , 'Jinse Yangguang'(金色阳光) , 'Luteo Grandiflorus'(大花素心蜡梅) , 'Luteus'='Concolor'(素心蜡梅) , 'Lü Yun'(绿云) , 'Mangetsu' , 'Margaret Best' , 'Maruyama' , 'Moonlight' , 'Parviflorus'(小花蜡梅) , 'Patens' , 'Qianyun Jindie'(浅晕金蝶) , 'Red Heart' , 'Si Nian'(思念) , 'Sunburst' , 'Trenython' , 'Wai Gang'(外冈) , 'Winter Moonlight' , 'Winter Sunshine' , 'Xiang Yi'(相忆) , 'Xiaran Qianyu'(霞染浅玉) , 'Xingfu Huaxiang'(幸福花香) , 'Yangzhou Huang'(扬州黄) , 'Yingbei Hanzhu'(银蓓含珠) , 'Zao Hong'(早红) , 'Zhongshan Bai'(中山白)
YListdeha下記の品種や変種を認めているが、POWOでは下位分類を認めず、synonymとしている。
ロウバイの品種。内側の花被片が赤色を帯びない。中国名は素心蜡梅。
花もやや大きく、ロウバイより多く栽培されている
ロウバイとトウロバイの花の大きさが中間。香りも少ない。中国名は狗牙蜡梅
5 Chimonanthus salicifolius S. Y. Hu キモナントゥス・サリキフォリウス
中国(安徽省、江西省、浙江省)原産。中国名は柳叶蜡梅 liu ye la mei。標高600~800mの山地の森林に生える。
半常緑低木。若いうちは小枝は4稜形だが、やがてほぼ円柱形になり、粗毛がある。葉柄は長さ3~6 mm、微軟毛がある。葉身は長円状楕円形、線状披針形、または長円状披針形、長さ6~13㎝×幅2~2.8㎝、ほぼ革質、基部は楔形、先は鈍形~尖鋭形、両面はザラつき、下面は脈上と縁に小剛毛があり、上面は薄灰緑色で、不明瞭な毛がある。花は単生、またはまれに対につき、小さい。小花柄は短い。花被片は15~17個、帯黄色。外花被片は楕円形で、外側と縁に毛がある。中花被片は線形、微軟毛がある。内花被片は披針形、基部には爪部がある。雄しべは4または5本。心皮は6~8個。偽果は卵状楕円形~楕円形、長さ2.3~3.6㎝、先でくびれる。瘦果は濃褐色、長円形、長さ1~1.4㎝、微軟毛がある。花期は8~10月。果期は5月。
常緑低木。樹皮は灰褐色~黄褐色(fulvous brown)、隆起した皮目を持つ。小枝は灰褐色で、わずかに角(かど)があり、微軟毛がある。葉柄は赤褐色、長さ5~8㎜、有毛または無毛。葉身は楕円形、卵状楕円形、長円形、広卵形、またはまれに倒卵状披針形、長さ5~13㎝×幅2.5~4㎝、革質、両面とも無毛、下面は帯緑色で粉白色にならず、上面は緑色で光沢があり、2次脈は両側に6~8本、網状の脈は不明瞭、基部は楔形~広楔形、先は尖鋭形。花は腋生し、芳香がある。花被片は16~20個、帯黄色、外側に毛がある。外花被片は2~4個、卵形~長円形、長さ6~10㎜×幅4~6㎜。中花被片は7~9個、鎌状の披針形、長さ1.8~2㎝×幅0.3~0.5㎝。内花被片は4~6個、披針形、長さ6~15㎜×幅1~3㎜、基部に爪部がある。雄しべは5~7本。仮雄しべは8~15本、錐形、毛がある。心皮は6~9個。花柱は糸状で、先が突き出る。偽果はわずかに鐘形、長さ2.5~3.5㎝×幅1.4~1.8㎝、表面の網目はわずかに隆起し、先はくびれ、先端の付属体は±木質。痩果は褐色、楕円形、長さ10~13㎜×幅4~5㎜。花期は10~11月。果期は6月。
Chimonanthus
Chimonanthus
Chimonanthus
低木又は小高木、高さ3~13m、落葉ときに落ちずに残る。幹は淡灰褐色、皮目が縦に並ぶ。小枝は灰褐色、若いときに4稜形、類円柱形になり、無毛又はわずかに微軟毛があり、皮目がある。蕾は普通、前年枝の腋につく。芽麟は類円形、覆瓦状、外側に短毛がある。葉柄は長さ0.3~1.8㎝、短毛がある。葉身は卵形~楕円形~広楕円形、卵状楕円形~長楕円状楕円形、ときに長楕円状披針形、長さ5~29㎝、幅2~12㎝、紙質~類革質、下面は脈上にたまに毛状突起が散生する以外は無毛。上面は粗く、ざらつき、二次脈は4~6対、基部は楔形~円形、先は鋭形~尖鋭形、ときに尾状。花は前年枝につき、単生又は双生し、一般に、葉の展開前に咲き、直径1.5~4㎝、甘い芳香がある。花柄は長さ2~8㎜。花被片は15~21個、黄色、内側の花被片が普通、紫赤色になり、長さ0.5~2㎝、幅0.5~1.5㎝。外側の花被片は円形~倒卵形、微軟毛があり、先は切形又は円形。中間の花被片は楕円形~長楕円状楕円形、無毛又はときに縁毛があり、先は円形~鋭形。内側の花被片は円形~長楕円形、無毛、ときに縁毛があり、基部には明瞭な爪部があり、先は円形。雄しべは5~8個、長さ2.5~4㎜。花糸は広く、葯の長さより長く又は等しく、まれに短く、基部は短毛があるか又は無毛。葯は無毛、葯隔は微軟毛があるか又は無毛、先は鋭形。仮雄しべは2~15個、錐形~線状披針形、長さ2~3㎜、短毛がある。心皮は5~15個、基部に微細剛毛がある。花柱は子房の長さの約3倍、基部に短毛がある。偽果はつぼ形~卵状楕円形~倒卵状楕円形、長さ2~6㎝、幅1~2.5㎝、熟すと木質状になり、先はくびれ、9又は10個の付属体が先端につき、付属体は細く披針形になり、毛状突起がある。痩果は3~11個、褐色、楕円形~腎形、長さ15~16.5㎜、幅5~5.6㎜、基部に短毛がある。花期は10~3月。果期は4~11月。2n=22。
POWOでは下位分類を認めず、synonymとしている。
ソシンロウバイ(f. concolor)は花が大きく、内側の花被片も黄色。
カカバイ(f. intermedius)は花の大きさがロウバイとトウロバイの中間。香りも少ない。
トウロウバイ(var. grandiflorus)はが大きく、内側の花被片が暗赤紫色。
ロウバイ属
family Calycanthaceae - genus Chimonanthus低木又は小高木、直立し、落葉又は常緑。小枝は二又、4稜形~類円柱形。冬芽は鱗片が覆瓦状、夏には取れる。葉身は紙質又は類革質、上面はざらつき、又はほぼ平滑。花は腋生、芳香があり、花柄はほぼ無柄~短柄。花被片は多数、黄色~黄白色~白色、ときに紫色の斑紋があり、膜質、外側から内側の大きさや形は変化するが、明瞭な2形ではない。雄しべは5~8個、杯形の花托の上につく。花糸は糸状だが、基部は広く、合着し、普通、微軟毛がある。仮雄しべは少数~多数、微軟毛があり、花托の上の雄しべの内側につく。心皮は5~15個、分離。胚珠は各心皮に2個、1胚珠は普通、未塾。偽果(pseudocarp)はつぼ形~長楕円状楕円形~楕円形~長楕円状卵形~腎形。
世界に6種があり、中国だけにある。
ロウバイ属の種
1 Chimonanthus campanulatus R. H. Chang & C. S. Ding キモナントゥス・カンパヌラツス
synonym Chimonanthus campanulatus var. guizhouensis R. H. Chang.
貴州省、雲南省原産。中国名は西南蜡梅 xi nan la mei。標高1000~2900mの石灰岩の山地、川岸、小道沿いの低木林に生える。常緑低木、高さ3~5m。小枝は毛がある。葉柄は長さ0.5~1.8㎝。葉身は楕円形~披針形~長円形、長さ6.3~13.5㎝×幅1.8~4.2㎝、薄い革質~紙質、両面とも無毛、中脈の両側に2次脈が2~6本あり、基部は楔形、広楔形、または円形、先は長い尖鋭形。花は単生、直径約1.8㎝。小花柄は長さ2~3㎜。花被片は18~20個。外花被片は4または5個、黄褐色、円形、長さ3~4㎜、外側には密に毛がある。中央の花被片は帯黄色、長円形~楕円状披針形、長さ7~12㎜×幅2~4㎜。内花被片は帯黄色、卵形~斜めの楕円形、長さ3~5㎜×幅1.5~3㎜、縁の微軟毛を除いて無毛、基部にほぼ爪部はない。雄しべは5本、長さ約4~5㎜。花糸は帯白色、長さ1~1.5㎜、基部に微軟毛がある。葯は帯黄色、長さ1.8~2㎜。葯隔は長さ0.5~0.8㎜、先は尖鋭形。仮雄しべは7~9本、線形、長さ約4㎜以上あり、雄しべと同じかそれより少し長い。心皮は3または4個(またはそれ以上)。偽果は鐘形、長さ4~6㎝×幅2.5~4㎝、外側に密に褐色の毛があり、先は狭窄していないか、まれにわずかに狭窄し、先に付属体は4~6個ある。痩果は3または4個、褐色、楕円形~長円状卵形、長さ1.4~2.6㎝×幅0.7~1.2㎝、光沢があり、毛があり、先は円形~鋭形。花期は8~12月。果期は翌年9~10月。
2 Chimonanthus grammatus M. C. Liu キモナントゥス・グラマーツス
江西省原産。中国名は突托蜡梅 tu tuo la mei tu tuo la mei。標高200~700mの森林に生える。
常緑低木または小高木、高さ4~6m。枝は細く、角(かど)があり、無毛で、凸状の皮目がある。葉柄は長さ0.7~1.7㎝、太く、無毛。葉身は楕円形の卵形から広楕円形、長さ7~18㎝×幅5~8㎝、革質、下面は淡帯緑色、無毛、上面は緑色で光沢があり、中脈の両側に7~9本の2次脈があり、網状脈は上面で隆起し、基部は広楔形~円形、先は長い尖鋭形~短い尾状。花は単生。花被片は25~27個、帯黄色、外側に毛がある。外花被片は卵状円形~卵状楕円形、長さ3~9㎜×幅3~5㎜。中花被片は約13個、線状披針形、長さ10~17㎜×幅2~3㎜。内花被片は約9個、長い披針形、長さ6~10㎜×幅1~2㎜、基部には不明瞭な爪部がある。雄しべは6~8本。仮雄しべは14~16本、淡色、毛がある。偽果は鐘形、長さ2.5~4㎝×幅2~2.7㎝、円環(torus)は厚く、表面には明瞭な網目があり、先はくびれず、先端の付属体は±木質。痩果は褐色、長円形、長さ1~1.6㎝×幅0.6~0.8㎝、毛がある。花期は10~12月。果期は12月~6月。
3 Chimonanthus nitens Oliver キモナントゥス・ニテンス
中国(安徽省、福建省、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、雲南省、浙江省)原産。中国名は山蜡梅 shan la mei。標高200~2500mの山間の疎林、山地の石灰岩地に生える。
常緑低木または小高木、高さ1~6m。小枝は若いときは4稜形だがほぼ円柱形になり、微軟毛があるが無毛になる。葉柄は長さ3~10㎜、無毛、ときに短い粗毛がある。葉身は楕円形、楕円状披針形、広楕円形、または卵状披針形、長さ2~13㎝×幅1.5~5.5㎝、紙質~ほぼ革質、両面は緑色~ときに非常に淡い緑色でほぼザラつき、下面は無毛、またはときに微細な短い粗毛があり、上面は光沢があり、不明瞭な腺毛を持ち、二次脈は下面で凸状になり、上面は平坦、網状脈は不明瞭、基部は鈍形~楔形、先は尖鋭形、長い尖鋭形、または短い尾状になる。花は単生し、直径0.7~1cm。花被片は20~24個、黄色~黄白色、円形~卵形~倒卵形~卵状披針形または長円形、長さ3~15㎜×幅 2.5~10㎜、外側は毛があり、内側は無毛。雄しべは長さ約2㎜。花糸は短く、毛がある。葯は卵形、稔性、花糸より長い。仮雄しべは長さ約1.5㎝、基部と花柱の基部には粗毛が散在する。偽果は成熟すると灰褐色、つぼ形~ほぼ鐘形、長さ2~5㎝×幅1~2.5㎝、ビロード状、先がくびれる。痩果は楕円形、長さ1~1.3㎝。花期は10~1月。果期は4~8月。2n=22。
4 Chimonanthus praecox (Linnaeus) Link ロウバイ 蝋梅
synonym Chimonanthus fragrans (Loisel.) Lindl.
安徽省、福建省、貴州省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、四川省、雲南省、浙江省原産。中国名は蜡梅 la mei。英名はwintersweet , Japanese-allspice。別名はカラウメ。
低木又は小高木、高さ3~13m、落葉ときに落ちずに残る。幹は淡灰褐色、皮目が縦に並ぶ。小枝は灰褐色、若いときに4稜形、類円柱形になり、無毛又はわずかに微軟毛があり、皮目がある。蕾は普通、前年枝の腋につく。芽麟は類円形、覆瓦状、外側に短毛がある。葉柄は長さ0.3~1.8㎝、短毛がある。葉身は卵形~楕円形~広楕円形、卵状楕円形~長楕円状楕円形、ときに長楕円状披針形、長さ5~29㎝、幅2~12㎝、紙質~類革質、下面は脈上にたまに毛状突起が散生する以外は無毛。上面は粗く、ざらつき、二次脈は4~6対、基部は楔形~円形、先は鋭形~尖鋭形、ときに尾状。花は前年枝につき、単生又は双生し、一般に、葉の展開前に咲き、直径1.5~4㎝、甘い芳香がある。花柄は長さ2~8㎜。花被片は15~21個、黄色、内側の花被片が普通、紫赤色になり、長さ0.5~2㎝、幅0.5~1.5㎝。外側の花被片は円形~倒卵形、微軟毛があり、先は切形又は円形。中間の花被片は楕円形~長楕円状楕円形、無毛又はときに縁毛があり、先は円形~鋭形。内側の花被片は円形~長楕円形、無毛、ときに縁毛があり、基部には明瞭な爪部があり、先は円形。雄しべは5~8個、長さ2.5~4㎜。花糸は広く、葯の長さより長く又は等しく、まれに短く、基部は短毛があるか又は無毛。葯は無毛、葯隔は微軟毛があるか又は無毛、先は鋭形。仮雄しべは2~15個、錐形~線状披針形、長さ2~3㎜、短毛がある。心皮は5~15個、基部に微細剛毛がある。花柱は子房の長さの約3倍、基部に短毛がある。偽果はつぼ形~卵状楕円形~倒卵状楕円形、長さ2~6㎝、幅1~2.5㎝、熟すと木質状になり、先はくびれ、9又は10個の付属体が先端につき、付属体は細く披針形になり、毛状突起がある。痩果は3~11個、褐色、楕円形~腎形、長さ15~16.5㎜、幅5~5.6㎜、基部に短毛がある。花期は10~3月。果期は4~11月。2n=22。
品種) 'Brockhill Goldleaf' , 'Caotang Yunxiang'(草堂韵香) , 'Cobhay Sunshine' , 'Diane' , 'Emerald Knight' , 'Fragrance' , 'Grandiflorus' , 'Grandiflorus Superba' Mrs. Rounds Variety , 'Hua Hudie'(花蝴蝶) , 'Huang Qing'(黄磬) , 'Huantian Xidi'(欢天喜地) , 'Jinling Hongzhuang'(金陵红妆) , 'Jinse Yangguang'(金色阳光) , 'Luteo Grandiflorus'(大花素心蜡梅) , 'Luteus'='Concolor'(素心蜡梅) , 'Lü Yun'(绿云) , 'Mangetsu' , 'Margaret Best' , 'Maruyama' , 'Moonlight' , 'Parviflorus'(小花蜡梅) , 'Patens' , 'Qianyun Jindie'(浅晕金蝶) , 'Red Heart' , 'Si Nian'(思念) , 'Sunburst' , 'Trenython' , 'Wai Gang'(外冈) , 'Winter Moonlight' , 'Winter Sunshine' , 'Xiang Yi'(相忆) , 'Xiaran Qianyu'(霞染浅玉) , 'Xingfu Huaxiang'(幸福花香) , 'Yangzhou Huang'(扬州黄) , 'Yingbei Hanzhu'(银蓓含珠) , 'Zao Hong'(早红) , 'Zhongshan Bai'(中山白)
YListdeha下記の品種や変種を認めているが、POWOでは下位分類を認めず、synonymとしている。
4-1 Chimonanthus praecox (L.) Link f. concolor (Makino) Makino ソシンロウバイ 素心蝋梅
synonym Chimonanthus praecox (L.) Link f. luteus (Makino) Okuyamaロウバイの品種。内側の花被片が赤色を帯びない。中国名は素心蜡梅。
花もやや大きく、ロウバイより多く栽培されている
4-2 Chimonanthus praecox (L.) Link f. intermedius (Makino) Okuyama カカバイ 荷花梅
synonym Chimonanthus praecox (L.) Link var. intermedius Makinoロウバイとトウロバイの花の大きさが中間。香りも少ない。中国名は狗牙蜡梅
4-3 Chimonanthus praecox (L.) Link var. grandiflorus (Lindl.) Makino トウロウバイ 唐蝋梅
花が大きく、内側の花被片が暗赤紫色。中国名は磬口蜡梅。5 Chimonanthus salicifolius S. Y. Hu キモナントゥス・サリキフォリウス
中国(安徽省、江西省、浙江省)原産。中国名は柳叶蜡梅 liu ye la mei。標高600~800mの山地の森林に生える。
半常緑低木。若いうちは小枝は4稜形だが、やがてほぼ円柱形になり、粗毛がある。葉柄は長さ3~6 mm、微軟毛がある。葉身は長円状楕円形、線状披針形、または長円状披針形、長さ6~13㎝×幅2~2.8㎝、ほぼ革質、基部は楔形、先は鈍形~尖鋭形、両面はザラつき、下面は脈上と縁に小剛毛があり、上面は薄灰緑色で、不明瞭な毛がある。花は単生、またはまれに対につき、小さい。小花柄は短い。花被片は15~17個、帯黄色。外花被片は楕円形で、外側と縁に毛がある。中花被片は線形、微軟毛がある。内花被片は披針形、基部には爪部がある。雄しべは4または5本。心皮は6~8個。偽果は卵状楕円形~楕円形、長さ2.3~3.6㎝、先でくびれる。瘦果は濃褐色、長円形、長さ1~1.4㎝、微軟毛がある。花期は8~10月。果期は5月。
6 Chimonanthus zhejiangensis M. C. Liu キモナントゥス・ゼージアンゲンシス
浙江省(鳳陽山、龍泉)原産。中国名は浙江蜡梅 zhe jiang la mei。標高200~900mの山地の疎林に生える。常緑低木。樹皮は灰褐色~黄褐色(fulvous brown)、隆起した皮目を持つ。小枝は灰褐色で、わずかに角(かど)があり、微軟毛がある。葉柄は赤褐色、長さ5~8㎜、有毛または無毛。葉身は楕円形、卵状楕円形、長円形、広卵形、またはまれに倒卵状披針形、長さ5~13㎝×幅2.5~4㎝、革質、両面とも無毛、下面は帯緑色で粉白色にならず、上面は緑色で光沢があり、2次脈は両側に6~8本、網状の脈は不明瞭、基部は楔形~広楔形、先は尖鋭形。花は腋生し、芳香がある。花被片は16~20個、帯黄色、外側に毛がある。外花被片は2~4個、卵形~長円形、長さ6~10㎜×幅4~6㎜。中花被片は7~9個、鎌状の披針形、長さ1.8~2㎝×幅0.3~0.5㎝。内花被片は4~6個、披針形、長さ6~15㎜×幅1~3㎜、基部に爪部がある。雄しべは5~7本。仮雄しべは8~15本、錐形、毛がある。心皮は6~9個。花柱は糸状で、先が突き出る。偽果はわずかに鐘形、長さ2.5~3.5㎝×幅1.4~1.8㎝、表面の網目はわずかに隆起し、先はくびれ、先端の付属体は±木質。痩果は褐色、楕円形、長さ10~13㎜×幅4~5㎜。花期は10~11月。果期は6月。
参考
1) Flora of ChinaChimonanthus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=106698
2) Plants of the World Online(POWO)Chimonanthus
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331487-2
3) World Flora OnlineChimonanthus
https://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000007897;jsessionid=41EEC9EF8BCE3933B530998A634C3BB3