スギ科 Taxodiaceae でなくヒノキ科 Cupressaceae に分類するようになった。アメリカに var. distichum、var. imbricarium の2変種ある。
　北アメリカに自生し、日本には自生しないが、日本でも中生代の地層から化石が見つかっている。東アジアでは早く衰退し、新第三紀（2300万年前以降）の地層からは見つかっていない。沼沢地の根元が少し水に浸かるような場所に生えることが多く、地中から気根(呼吸根)を直立するのが特徴。
　幹は赤褐色、樹皮が縦に薄く剥がれる。葉は長枝にはらせん状に、側枝(短枝)には2列（2-ranked）に水平の羽状に互生し、長さ5～17㎜、幅約1㎜の線形。秋に暗赤褐色に紅葉し、側枝ごと落ちる。雌雄同株。花は4月頃咲く。雄花序は長さ10～20㎝。球果は緑色、長さ(1.4)2～4㎝、幅(1.3)1.8～3㎝の球形～卵形、秋に熟す。果鱗は10～12個、果鱗に2個ずつ種子がつく。種子は歪な翼があり、褐色～赤褐色、長さ1.2～2.6㎝、幅0.5～2.3㎝。2n=22
　var. imbricarium　(pond-cypress = 池杉 chi shan )は葉が2列につかず、長さ3～10㎜の狭披針形。
　メタセコイア Metasequoia glyptostroboides は葉が側枝に羽状に対生し、長さ2～3㎝、幅1～2㎜の線形、先が尖り、主脈が明瞭、質は軟らかい。老木では葉が長さ0.5～1.5㎝と短い。秋に赤茶色に紅葉し、落葉する。雌雄同株。雄花序は枝先から垂れ下がり、雄花を下向きに多数つける。雄花は長さ約5㎜の惰円形。雌花は短枝の先に1個ずつつく。球果は直径約1.5㎝のやや縦長の球形。種子は果鱗に5～9個ずつつき、長さ4～5㎜の倒卵形、広い翼がある。
　セコイアSequoia sempervirens は北アメリカ原産の常緑高木。別名 redwood 大きいものは高さ100m近くになる大木。葉は螺旋状につく。球果は長さ1.5～3.2㎝の惰円形。種子は長さ3～4㎜、幅約2.5㎜、幅約1㎜の翼がある。
　セコイアデンドロン Sequoiadendron giganteum は北アメリカ原産のヒノキ科の常緑高木。別名 giant sequoia 、高さ100m近くになる。球果は長さ4～7㎝の惰円形。種子は長さ4～5㎜。

ヌマスギ属

　　famiy Cupressaceae － genus Taxodium

　高木、落葉又は常緑。小枝は円柱形。側根は普通、直立する不規則な円錐形～球形の気根(呼吸根) knees を生じ、とくに、浸水生息地で見られる。葉は互生、2列又は2列にならない。成葉は強く密着し、線形又は線状披針形～三角形、一般的には平らになり、分裂部分は長さ約17㎜以下、裏面に腺は無い。雄花序（Pollen cone）は胞子葉（sporophyll）を10～20個もち、それぞれ、2～10個の花粉嚢（pollen sac）をもつ。種子錘（seed cone）は1シーズンで成熟し粉々になり、球形に近い。鱗片は早く落ち、5～10個、敷石状、ほぼ盾状、薄い木質。種子は鱗片ごとに（1～）2個つき、不規則な3角（かど）があり、翼は無い。子葉は4～9個。x = 11。
　1（～2）種が北アメリカ、メキシコ、グアテマラに分布する。

ヌマスギ属の2種

1 Taxodium distichum (L.) Rich. 　ラクウショウ　落羽松
　北アメリカに自生し、日本には自生しないが、日本でも中生代の地層から化石が見つかっている。東アジアでは早く衰退し、新第三紀（2300万年前以降）の地層からは見つかっていない。沼沢地の根元が少し水に浸かるような場所に生えることが多く、地中から気根(呼吸根)を直立するのが特徴。幹は赤褐色、樹皮が縦に薄く剥がれる。葉は長枝にはらせん状に、側枝(短枝)には2列（2-ranked）に水平の羽状に互生し、長さ5～17㎜、幅約1㎜の線形。秋に暗赤褐色に紅葉し、側枝ごと落ちる。雌雄同株。花は4月頃咲く。雄花序は長さ10～20㎝。球果は緑色、長さ(1.4)2～4㎝、幅(1.3)1.8～3㎝の球形～卵形、秋に熟す。果鱗は10～12個、果鱗に2個ずつ種子がつく。種子は歪な翼があり、褐色～赤褐色、長さ1.2～2.6㎝、幅0.5～2.3㎝。2n=22
　北アメリカ、メキシコ、グアテマラ原産。中国名は落羽杉 luo yu shan。
　高木、季節的な枝の脱落がある(cladoptosic; 枝の定期的な脱落)。幹は基部で拡大し、しばしば明瞭に控え壁で強化される(buttressed)。樹冠は若いときは 単茎性で円錐形だが、年とともに不規則な平らな頂部になりまたは潮解する(deliquescent：主茎を決定できないほどに枝分かれする)。シュート系は顕著に二形性で、長いシュートは不定で、個別に離れた線形～披針形の葉をつける。短いシュートは既定で、秋には葉とともに離散し、様々で、統合し、一方の極端な例では垂れ下がり～水平に広がり、沿下する狭線形で横に散開する葉を2列につけ、他の極端な例では厳密に斜上～垂れ下がり、短い披針形～三角形でしっかり伏せた葉をつける。花粉錐は垂れ下がった長さ約25㎝の円錐花序につき、長さ2～3㎜、受粉前の冬に目立つ。毬果は長さ1.5～4㎝。3変種(植物相に2)ある。[Flora of Noeth America]。
　落葉高木、高さ50mまで。幹の周囲に 呼吸根(pneumatophores)が有または無。幹は膨らみ、基部で支えがあり(buttressed)、上向きに強く先細りになり、胸高直径(d.b.h.)2mになる。樹皮は褐色、赤褐色、または灰色、長い帯状に剥がれる。樹冠は円錐形、最終的には広い円錐形、または比較的狭いピラミッド形。主枝は水平に広がりまたは斜上する。側枝は2列につき、1年目は軸が緑色、1年目の冬には褐色～褐赤色に変わる。葉は1年目の小枝に2列につきまたはつかず、上面は薄緑色、下面は黄緑色または灰緑色で、秋には暗赤褐色に変わり、線形で扁平または錐形、長さ4～15㎜×幅約1mm、中脈は上面で陥没し、下面に隆起し、気孔線は4～8本、先は鋭形または鋭く尖る。花粉錘は先端に密集した、短く、長さ5～12㎝の密な総状花序または円錐花序につき、短い花序柄があり、卵形。毬果は褐黄色または白色の粉状(white powdery)で、粉白状(glaucous)でなく、球形～長円状球形、または卵形、長さ(1.4～)2～4㎝ ×幅(1.3～)1.8～3㎝。果鱗は楯状(shield-shaped)、木質、先に縦の明瞭な溝がある。種子は褐色または赤褐色、不規則な三角状ピラミッド形、長さ1.2～2.6㎝×幅0.5～2.3㎝、鋭いうねがある。受粉期は3～4月。種子成熟期は(7～)10月。[Flora of China]。
2-1 Taxodium distichum var. distichum　ラクウショウ　落羽松　狭義
　USA(アラバマ州、アーカンソー州、デラウェア州、フロリダ州、ジョージア州、イリノイ州、インディアナ州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メリーランド州、ミシガン州、ミズーリ州、ノースカロライナ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、テネシー州、テキサス州、バージニア州)原産。英名はbald-cypress。中国名は落羽杉 luo yu shan。標高0～160mの褐色の河川(brownwater rivers)、湖の縁、湿地、ときにわずかに汽水域に生える。
　高木、高さ50mまで。幹の直径は4mまで。樹皮は通常、暗赤褐色～薄褐色で、浅い溝がある。枝は主に2列の葉を持ち、垂れ下がる～水平に広がる。葉はほとんどが狭線形で、長さ約5～17㎜、横に散開し、自由部分は基部で収縮して捻じれる。2n=22。
2-2 Taxodium distichum var. imbricatum (Nuttall) Croom　タチラクウショウ
　USA(アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州)原産。池杉 chi shan。英名はpond-cypress。標高0～100mの木の茂った湿地や沼地を通る、水深が深く、流れが遅い河川(blackwater rivers)、湖縁、沼地、カロライナ湾の湖、高地の湿地(pocosins)、湿った水はけの悪い松の平原
　高木、高さ約30mまで。幹の直径は2mまで。樹皮は褐色～薄灰色、通常は他の変種よりもやや厚く、溝が深い。主枝は水平に広がる。小枝は葉が2列でなく、ほとんどが斜上する。葉は1年目の小枝に2列につき、扁平、長さ約3～10㎜、伏せて重なり、ほとんどが狭披針形(線形)、自由部分は基部で収縮したり捻じれたりしない。2n=22。
2-3 Taxodium distichum var. mexicanum (Carrière) Gordon & Glend.
　　synonym　Taxodium huegelii C.Lawson
　　synonym　Taxodium mucronatum Ten.
　メキシコ、USA(テキサス)、グアテマラ原産。英名はMexican swamp cypress, Mexican bald cypress。中国名は墨西哥落羽杉 mo xi ge luo yu shan。亜熱帯地域の湿地の植林に使用される。中国でも使用されている。
　寒冷地では落葉樹、暖かい地域では半常緑樹で、高さ50mまで。幹は基部で膨らみ、強く先細りになり、直径4m d.b.h.になり、樹皮が長い帯状に剥がれる。樹冠は広円錐形、主枝は水平に広がる。小枝は成木に垂れ下がり、側枝は螺旋状に配置される。葉は螺旋状につき、1年枝に散在し、軸に対して25～45°に0.6～0.7㎜の間隔でつき、小枝の外形は楕円形になり、長さ4～10㎝×幅0.7～1.4㎝、葉は線形、先に向かって先細り、扁平、長さ7～11mm×幅0.8～1㎜、柔らかくて薄く、中脈は幅0.15～0.25㎜、4～5本の十分に離れた線状の気孔帯があり、辺縁帯(marginal bands)は幅0.2～0.3㎜、先は微突形。花粉錘は、長く、細く、弛んだ、穂状花序状の長さ(5～)13～25㎝の円錐花序 につき、ほぼ無柄、卵形。毬果は帯白色、卵形、長さ1.5～2.5㎝。

参考

1) Flora of North America
　Taxodium 2) Taxonomy - GRIN-Global Web v 1.9.8.2
　Taxodium mucronatum Ten. 3) Flora of China
　Taxodium 4) Plants of the World Online | Kew Science
　Taxodium