オミナエシ 女郎花
Flora of Mikawa
スイカズラ科 Caprifoliaceae オミナエシ属
英 名 | eastern valerian |
中国名 | 败酱 bai jiang |
学 名 | Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir. |
花 期 | 7~9月 |
高 さ | 60~100㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 日当たりの良い山野 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア |
撮 影 | 新城市 04.9.11 |
オミナエシ科はスイカズラ科に含められた。
秋の七草の1つで、よく栽培されている。自生するものは少なく、なかなか見られなくなっている。栽培されたもののように姿形がよいものは少ない。 多年草、高さ30~100(~200)㎝。水平または斜めの根茎。茎は直立し、黄緑色~黄褐色、ときに淡紫色で、基部はほぼ無柄、先は小剛毛があり、側部に2列の毛が生える。根生葉はロゼットになり、開花時にしおれる。葉柄は長さ3~12cm。葉身は下面が淡緑色、上面が暗緑色、卵形、楕円形、または楕円状披針形、長さ1.8~10.5㎝×幅1.2~3㎝、単葉~羽状中裂~ 羽状全裂、表面はほぼ無毛又は脈に小剛毛があり、基部はくさび形、縁は縁毛があり、全縁~粗い鋸歯があり、先は鈍形又は鋭形。茎葉は無柄、広卵形~披針形、長さ5~15㎝、上部では小さくなり、両面は小剛毛があるか無毛になり、普通、羽状中裂または羽状全裂、側裂片は2~5対、頂裂片は卵形、楕円形、または楕円状披針形、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は散房花序、側枝は5~7対、花序柄は外側に密に剛毛がある。総苞片は線形、長さ約1㎜。萼片は目立たない。花冠は黄色、鐘形、先は5裂する。花冠筒部は約・長さ1.5㎜×幅1.5mm、弱いギボス形(凸月形)。花冠裂片は卵形、長さ約1.5㎜×1~1.3㎜m。雄しべ4本。長花糸は長さ約3.5㎜、短花糸は長さ2~2.7㎜。葯は長円形、長さ約1mm。子房は楕円状長円形、長さ約1.5㎜。花柱は1個、長さ約2.5㎜。柱頭は盾形、直径0.5~0.6mm。痩果は長円形、長さ3~4㎜、発達した翼は無く、3角(かど)があり、扁平、不稔の室は削減される。小苞は目立たない。種子は楕円形、扁平。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。
オトコエシは果実に発達した翼がある。
多年草、まれに2年草、直根または根茎をもち、根や根茎は強い臭いがある。茎はときに根元が木質化する。根生葉はロゼットを作り、単葉又は羽状中裂~羽状全裂し、開時にしおれたり、早落する。茎葉は対生し、単葉又は羽状中裂~羽状全裂し、縁は鋸歯状または歯状、まれに全縁。 花序は散房花序又は円錐花序状の複合の二出集散花序。花は長さ3~6mm。萼の拡大部は5裂し、裂片は曲がりくねり、鈍い歯があり、卵形または卵状三角形、宿存し、まれに、果時に大きくなる。花冠は黄色~淡黄色~白色、鐘形または漏斗形。花冠筒部の内側に絨毛があり、基部はギボス(凸月)形、蜜腺嚢には密に腺がある。拡大部は5裂し、裂片はわずかに不等長。雄しべは(1~)4本、不等長の対になり、花冠筒部の基部につき、普通、突き出る。長花糸は基部に絨毛状があり、短花糸は無毛。葯は長円形、多方向。花柱はときに上向きに曲がる。柱頭は頭状または盾状。痩果は卵形または倒卵状長円形。小苞は縮小するか又は翼状に広がり、果実のユニットになり、2または3脈があり、網状の脈が目立つ。種子は扁平、楕円形。
世界に約20種があり、アジア中部~東部に分布する。
日本(本州の新潟県以北、北海道)、千島に分布する。山地の林縁、草原、湿原、岩礫地などに生える。
多年草、高さ30~70㎝。根茎は太く、横に伸びる。茎は円柱形、白色の軟毛がある。葉は対生し、葉身は広卵形~卵状楕円形、長さ約10㎝、羽状に浅裂し、縁は鋭い不規則な鋸歯状、基部はくさび形~円形、先は鋭形。集散花序は頂生、花を多数つける。花冠は黄色、先が5裂して開出し、長さ6~7mm、直径5~6mm、花冠の基部には長さ約1mmの短い袋状の距がある。花期は7~8月。
2 Patrinia glabrifolia Yamam. et Sasaki タイワンオトコエシ 台湾男郎花
台湾原産。中国名は光叶败酱 guang ye bai jiang。石灰岩の斜面に生える。
多年草、高さ25~60㎝。根茎は水平に伸び、粗い。茎は直立し、無毛、または上部の両側に微軟毛がある。下部の葉は密集し、へら状または弱く葉柄があり、無毛。葉柄は長さ5㎝以下。葉身は倒披針形または長円形、長さ25㎝×幅6㎝・以下、基部は漸尖し、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。茎葉は有柄。葉柄は長さ1~3.5㎝。葉身は線形~線状披針形、長さ4.5~9㎝×0.5~1.5㎝、無毛、基部はくさび形で沿下し、縁は全縁又は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は散房花序状円錐花序。側枝は4~6対つき、密集した硬い毛が線状に2列ある。小花柄は削減される。萼片は不明瞭。花冠は黄色、長さ約5㎜、規則的に5裂し、裂片が広がる。雄しべは4本、突き出す。花柱は長さ約2.5mm。柱頭は頭状。稔性の子房小室は、わずかに扁楕円形、縁の下と上に密に小剛毛があるか、ほぼ無毛。痩果は長円形、長さ2.5~3㎜。小苞は楕円形または倒卵状楕円形、約・長さ3㎜×幅1.5㎜、倒卵形または円形、長さ3~7㎜×幅2.5~6mm、3脈があり、先は円形、縁が曲がりくねるかまたは 3個の丸みを帯びた裂片がある。花期は7月。果期は8月。
3 Patrinia heterophylla Bunge ホクシオミナエシ
中国原産。中国名は墓回头 mu hui tou。草むら、開けた林内、道端に生える。
多年草、高さ15~100㎝。根茎は水平、長さ20㎝以上。茎は直立し、密に細かくザラつきまたはほぼ無毛。根生葉はロゼットになり、葉柄がある。葉身は狭楕円形、長さ3~8㎝、羽状中裂~羽状全裂。裂片は1~5対、卵形~線状披針形。頂裂片は普通、大きく、卵形~卵状披針形、縁は鋸歯状または小円鋸歯状。茎葉ははほぼ無柄または有柄。下部の葉は羽状全裂し、裂片は2~6対ある。頂裂片は±大きく、広卵形~線状披針形、長さ7~9㎝×幅5~6㎝、先は尖鋭形~長い尖鋭形。中間と上部の葉はしばしば分裂しないか、または1~2対の裂片がある。頂裂片は大きく、卵形、卵状披針形、またはほぼ菱形、小円鋸歯状。花序は散房花序。花序柄は密に小剛毛がある。外総苞片は1または2(~4)対の線形。内総苞片は全縁、線形、花序の長さに等しいかそれより長い。萼片は明瞭または不明瞭、卵形、卵状長円形、または卵状三角形、長さ0.1~0.3㎜。花冠は鐘形、筒部は長さ1.8~2.4㎜、上部で直径1.5~2mm。花冠裂片は卵形~卵状楕円形、約・長さ0.8~1.8㎜×幅1.6mm。雄しべは4本、突き出す。長い花糸は長さ3~3.6㎜。短い花糸は長さ1.9~3㎜。葯は長円形、長さ約1.2㎜。子房は卵形または長円形、長さ0.7~1.5㎜。花柱はわずかに湾曲し、長さ2.3~2.7㎜。柱頭は盾状または頭状。痩果は長円形または倒卵形、小剛毛があるか、または片面または両面が無毛になり、先は切形。小苞は倒卵形、倒卵状長円形、または倒卵状楕円形、まれに楕円形、長さ5.5~6.2㎜×幅4.5~5.5mm、2(または3)脈があり、先は円形、浅く3裂、または片側が不均等に2裂する。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=22。
4 Patrinia monandra C.B.Clarke ヒトシベオトコエシ
中国、ブータン、インド、ネパール原産。中国名は少蕊败酱 shao rui bai jiang。斜面の草地、林内、林縁、道端に生える。
多年草または二年草、高さ1.5~2.2m。直根は水平、斜め、または垂直になる。茎は基部がわずかに木化し、丈夫で、一様に後ろ向きの小剛毛があるか、または両側に2本の線がある。根生葉は花時に枯れる。茎葉は葉柄があり、葉柄は長さ約1㎝、茎上部では縮小または無い。葉身は長円形、長さ4~14.5㎝×幅2~9.5 ㎝、まばらに伏した小剛毛があり、縁は全縁、または頭大羽裂して1~2対(または3対)の側裂片をもち縁は円鋸歯状または歯状。花序は散房花序または円錐花序、直径20~25㎝、側枝は4~6対あり、密に粗毛がある。総苞は線状披針形~披針形、長さ約8.5㎝、全縁、または羽状に3~5裂し、頂裂片は卵状披針形、先は鋭形~尖鋭形。萼は小さく、5歯がある。花冠は黄色または淡黄色、まれに白色、漏斗形。花冠筒部は長さ1.2~1.8㎜、直径1.4~1.8㎜、花冠の拡大部は幅2~4㎜、花冠裂片は卵形~卵状長円形、長さ0.6~1.8mm×幅1~1.2㎜。雄しべは1~4本、しばしば1本が長く、突き出る。花糸は長さ1.5~3.3㎜。葯は長円形または楕円形、長さ 0.5~0.8㎜m。子房は倒卵形、長さ0.8~1.8mm。花柱は長さ1.7~2.8mm。柱頭は頭状または盾状。痩果は卵状球形。不稔の子房は小室が肥厚し、倒卵状長円形、無毛またはまばらに小剛毛がある。稔性の子房の小室は扁楕円形、縁には小剛毛がある。小苞は広卵形~ほぼ円形、長さ5~7㎜×幅5~8㎜、2(または3)脈があり、先は普通浅く3裂する。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=88 (P. formosana)。
5 Patrinia rupestris (Pall.) Juss. イワオミナエシ 岩女郎花
中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は岩败酱 yan bai jiang。石の多い斜面、牧草地、ダケカンバまたはポプラの林縁に生える。
多年草、高さ20~100cm。直根はこん棒形、直径約1.5cm。てい幹(caudex)は細く、単純、または数本に分枝する。茎は基部が木質、古い葉の残骸が宿存し、覆われ、新しい成長部分は草質で、細かくザラつく。根生葉は普通、花時に枯れ、ほぼ無柄または有柄。葉柄は長さ2~4㎝。葉身は倒卵状長円形、長円形、卵形または倒卵形、長さ2~7㎝×長さ1~2.5㎝、羽状浅裂、羽状中裂~羽状全裂 、または分裂せず、縁は小円鋸歯状。裂片は線形、長円状披針形、または披針形、頂裂片は普通、小円鋸歯状、分裂、または小葉状。茎葉は無柄~短柄。葉身は長円形または楕円形、長さ3~7㎝、羽状中裂~羽状全裂。側裂片は普通、3~6対あり、線形または線状披針形~長円状披針形、まばらに小円鋸歯状または全縁。頂裂片は3深裂し、3個の線形の2次裂片がある。花序は散房花序、直径2.5~20㎝、側枝は3~7対。最下の苞は 羽状全裂し、裂片は3~5対、線形。上部の苞は小さく、線形、または1~2対の糸状線形の裂片がある。萼は縁が切形、曲がりくねるか、または浅く5裂し、裂片は卵形、長さ0.1~0.2㎜。花冠は黄色、漏斗状鐘形、長さ2.5~4㎜、筒部は長さ1.8~2mm、上部で直径1.5~2㎜。拡大部は幅3~5.5㎜、裂片は長円形、卵状楕円形、卵状長円形、卵形、または卵状円形、長さ1.2~2㎜×幅1~1.5㎜。雄しべは4本。長い花糸は長さ3~4㎜、短い花糸は長さ2.6~3.5㎜。葯は長さ0.7~0.8㎜。子房は円柱形、長さ0.5~1.3㎜、片面または両面に小剛毛があるか、または無毛になる。花柱は長さ2.2~3.3㎜。柱頭は盾状。痩果は倒卵状円柱形、長さ2.4~2.6㎜×幅1.5~1.8㎜、小剛毛~無毛になる。小花柄は長さ0.5~1㎜。小苞は長円形、卵形、または倒卵形、長さ3.5~5.1㎜×幅3.5~3.6㎜、3脈があり、先はときに浅く3裂する。花期は7~9月。果期は8~10月下旬。2n=22。
6 Patrinia saniculifolia Hemsl. カラキンレイカ
朝鮮原産。韓国全域の高山に分布し、尾根の岩の隙間に生える。観賞用に栽培される。
多年草、高さ20~60㎝。 茎は直立する。根生葉は葉柄が長く、やや丸く、5~7枚つき、掌状に分裂し、さらに再3分裂または鋸歯状になる。茎葉は葉柄が非常に短く、対生し、すべて掌状または羽状に深裂する。花期は5~7月。花は主茎の先に同軸上につき、黄色。花序柄と小花柄の内側に密に毛がある。花冠は鐘形、先が5分裂する。花の距は長い。雄しべは4本、雌しべは1本で、外に長く突き出る。 果実はドングリ、翼のような小苞があり、小苞は長円形、果実の長さの2倍程度である。
7 Patrinia scabiosifolia Link オミナエシ 女郎花
日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は败酱 bai jiang。英名はeastern valerian。
多年草、高さ30~100(~200)㎝。水平または斜めの根茎。茎は直立し、黄緑色~黄褐色、ときに淡紫色で、基部はほぼ無柄、先は小剛毛があり、側部に2列の毛が生える。根生葉はロゼットになり、開花時にしおれる。葉柄は長さ3~12cm。葉身は下面が淡緑色、上面が暗緑色、卵形、楕円形、または楕円状披針形、長さ1.8~10.5㎝×幅1.2~3㎝、単葉~羽状中裂~ 羽状全裂、表面はほぼ無毛又は脈に小剛毛があり、基部はくさび形、縁は縁毛があり、全縁~粗い鋸歯があり、先は鈍形又は鋭形。茎葉は無柄、広卵形~披針形、長さ5~15㎝、上部では小さくなり、両面は小剛毛があるか無毛になり、普通、羽状中裂または羽状全裂、側裂片は2~5対、頂裂片は卵形、楕円形、または楕円状披針形、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は散房花序、側枝は5~7対、花序柄は外側に密に剛毛がある。総苞片は線形、長さ約1㎜。萼片は目立たない。花冠は黄色、鐘形。花冠筒部は約・長さ1.5㎜×幅1.5mm、弱いギボス形(凸月形)。花冠裂片は卵形、長さ約1.5㎜×1~1.3㎜m。雄しべ4本。長花糸は長さ約3.5㎜、短花糸は長さ2~2.7㎜。葯は長円形、長さ約1mm。子房は楕円状長円形、長さ約1.5㎜。花柱は長さ約2.5㎜。柱頭は盾形、直径0.5~0.6mm。痩果は長円形、長さ3~4㎜、3角(かど)があり、扁平、不稔の室は削減される。小苞は目立たない。種子は楕円形、扁平。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。
品種 'Nagoya'
7-1 Patrinia scabiosifolia Link f. crassa (Masam. et Satomi) Kitam. ex T.Yamaz. ハマオミナエシ 浜女郎花
synonym Patrinia scabiosifolia Link var. crassa Masam. et Satomi
北海道、本州に分布する。海岸に生える矮性品種。
高さ30~40㎝。葉が厚い。
8 Patrinia scabra Bunge モウコオミナエシ 蒙古女郎花
synonym Patrinia rupestris (Pall.) Juss. subsp. scabra (Bunge) H.J.Wang
中国原産。中国名は糙叶败酱 cao ye bai jiang。日当たりの良い草地の斜面、林縁に生える。
多年草、高さ30~60㎝。直根は柱状、直径0.5~2㎝、多肉質。てい幹は単純または数個に分岐する。茎は密に細かくザラつく。根生葉は倒披針形、羽状中裂し、裂片は2~4対、花期には枯れる。茎葉は有柄。葉柄は長さ1~2㎝。葉身は卵状披針形、長さ4~10㎝×幅1~2㎝、革質、細かくザラつき、羽状中裂~羽状全裂、側裂片は1~5対。頂裂片は大きく、倒披針形。側裂片はかま状線形、全縁、先は鈍形または鋭形。花序は散房花序。側枝は3~4本、細かくザラつく。総苞片は線形、全縁または 2~3裂。萼は削減する。花冠は黄色、漏斗状、凸月形、長さ6.5~9㎜。拡大部は5裂し、幅5~7㎜。雄しべは4本。長い花糸は長さ約4㎜。短い花糸は長さ約3㎜。子房は長さ約1mm、細かくザラつく。花柱は長さ約4㎜。痩果は柱状。小苞は広卵形または長円状円形、長さ7~9㎜×幅5~7mm、2脈があり、まれに3脈、先は円形、全縁または浅く3裂する。花期は7~8月。果期は8~9月。
9 Patrinia sibirica (L.) Juss. チシマキンレイカ 千島金鈴花
日本(北海道)、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は西伯利亚败酱 xi bo li ya bai jiang。別名はタカネオミナエシ、タカネキンレイカ。
多年草、高さ5~25㎝。直根はこん棒形、直径1.5cm以下。茎の木質部(caudex)は単純または分枝し、樹皮は褐色または暗褐色、普通、丈夫で、古い葉の基部の繊維状または薄膜状の残骸をもつ。茎は葉がないか、または1対の葉があり、毛があり、2側部に列に毛がつく。葉はロゼットになり、葉柄は長さ2~5㎝、無毛またはまばらに絨毛がある。葉身は長円形~線形、長さ2.5~5㎝×幅0.3~2㎝ 、無毛、全縁または羽状中裂~羽状全裂、裂片は2~3対、線形または線状披針形、先は鈍状円形~尖鋭形。茎葉は無柄、長さ1.5~6cm、羽状中裂。花序は散房花序、花時に直径1.5~4㎝。側枝は2~4対。総苞片は長さ1~3㎝、羽状全裂。裂片は無柄、線形。苞は倒卵形または卵形、約・長さ2.4㎜×幅2㎜。萼片は、倒卵状長円形、倒披針形、卵形、卵状三角形、または長円形、長さ0.2~1.8㎜。花冠は黄色、漏斗状~鐘形、花冠筒部は長さ2.5~3.2㎜、上部で直径2.5~3.2mm。花冠裂片は卵形~卵状楕円形、長さ1.5~2.3mm×幅1.4~2mm。雄しべは4本、長花糸は長さ約4.5㎜、短花糸は長さ約4mm。葯は長円形、長さ約1.5mm。子房は卵状長円形、長さ0.5~1.5 mm。花柱は長さ3.3~3.7㎜。柱頭は斜めの頭状、直径約0.6㎜。痩果は狭く卵形、長さ3~4(~6)㎜、不稔の小室は無毛または丈夫に小剛毛があり、稔性の室は縁と下部に密に小剛毛がある。小苞は倒卵形、倒卵状長円形、卵形、または卵状長円形、長さ6~9㎜×幅4.5~6.5㎜、3~4脈があり、全縁または浅く3裂する。花期は5~6月。果期は6~7月。2n=22, 44。
10 Patrinia triloba (Miq.) Miq. ハクサンオミナエシ 広義
日本固有種
10-1 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. triloba ハクサンオミナエシ 白山女郎花
synonym Patrinia gibbifera Nakai
日本固有種(本州の近畿以北の日本海側)。英名はthree-leaved patrinia。別名はコキンレイカ 小金鈴花。山地の岩場に生える。
多年草、高さ20~60㎝。葉は対生し、長さ3~10㎝、幅3~10㎝、掌状に3~5中裂し、先が尖る。茎頂の集散花序に花冠の直径約5㎜の小さな黄色花を多数付ける。花冠の先は5裂し、基部にはスミレのような距がある。距は短く。やや膨らむ程度。花期は7~8月。
品種 'Minor'
10-2 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. kozushimensis Honda シマキンレイカ 島金鈴花
synonym Patrinia kozushimensis (Honda) Honda
伊豆諸島の神津島固有。
葉が厚く、光沢があり、花の距がさらに短い。
10-3 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. palmata (Maxim.) H.Hara キンレイカ 金鈴花
synonym Patrinia palmata Maxim.
本州(関東以西)、九州の太平洋側に分布する。距が長い。
10-4 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. takeuchiana (Makino) Ohwi オオキンレイカ 大金鈴花
synonym Patrinia takeuchiana Makino
福井県、京都府に分布。キンレイカより大型。茎は高さ50~90cm、葉身は幅10~16cm。
11 Patrinia villosa (Thunb.) Juss. オトコエシ 男郎花
日本(北海道、本州、四国、九州)、中国、台湾原産。中国名は攀倒甑 pan dao zeng。
多年草、高さ60~100㎝。匐枝を出して、広がる。茎の上部はほとんど無毛、下部は有毛。葉は対生し、長さ3~15㎝。上部の葉は分裂しないが、中部以下の葉は羽状に3~5深裂する。頂部の葉が最も大きく、裂片は卵状長楕円形。花は散房状に多数つき、花冠は白色、5裂する。果実には翼状に変化した直径4~6㎜のほぼ円形~卵形の小苞があり、醤油の腐ったような臭いがする。果実の背部は翼とは合着せず、離れて上に乗っている。果実は長さ約3㎜、幅約1.6㎜、狭い翼があり、下面がほぼ平ら、3室をもち、2室は不完全で、翼に近い下部の1室の種子だけが出来る。これがオミナエシ属の特徴である。種子はやや扁平、長さ約2.5㎜。2n=44。花期は8~10月。
12 Patrinia x hybrida Makino オトコオミナエシ
オミナエシとオトコエシの交雑種。
Patrinia
Patrinia
Patrinia
秋の七草の1つで、よく栽培されている。自生するものは少なく、なかなか見られなくなっている。栽培されたもののように姿形がよいものは少ない。 多年草、高さ30~100(~200)㎝。水平または斜めの根茎。茎は直立し、黄緑色~黄褐色、ときに淡紫色で、基部はほぼ無柄、先は小剛毛があり、側部に2列の毛が生える。根生葉はロゼットになり、開花時にしおれる。葉柄は長さ3~12cm。葉身は下面が淡緑色、上面が暗緑色、卵形、楕円形、または楕円状披針形、長さ1.8~10.5㎝×幅1.2~3㎝、単葉~羽状中裂~ 羽状全裂、表面はほぼ無毛又は脈に小剛毛があり、基部はくさび形、縁は縁毛があり、全縁~粗い鋸歯があり、先は鈍形又は鋭形。茎葉は無柄、広卵形~披針形、長さ5~15㎝、上部では小さくなり、両面は小剛毛があるか無毛になり、普通、羽状中裂または羽状全裂、側裂片は2~5対、頂裂片は卵形、楕円形、または楕円状披針形、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は散房花序、側枝は5~7対、花序柄は外側に密に剛毛がある。総苞片は線形、長さ約1㎜。萼片は目立たない。花冠は黄色、鐘形、先は5裂する。花冠筒部は約・長さ1.5㎜×幅1.5mm、弱いギボス形(凸月形)。花冠裂片は卵形、長さ約1.5㎜×1~1.3㎜m。雄しべ4本。長花糸は長さ約3.5㎜、短花糸は長さ2~2.7㎜。葯は長円形、長さ約1mm。子房は楕円状長円形、長さ約1.5㎜。花柱は1個、長さ約2.5㎜。柱頭は盾形、直径0.5~0.6mm。痩果は長円形、長さ3~4㎜、発達した翼は無く、3角(かど)があり、扁平、不稔の室は削減される。小苞は目立たない。種子は楕円形、扁平。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。
オトコエシは果実に発達した翼がある。
オミナエシ属
family Caprifoliaceae - genus Patrinia多年草、まれに2年草、直根または根茎をもち、根や根茎は強い臭いがある。茎はときに根元が木質化する。根生葉はロゼットを作り、単葉又は羽状中裂~羽状全裂し、開時にしおれたり、早落する。茎葉は対生し、単葉又は羽状中裂~羽状全裂し、縁は鋸歯状または歯状、まれに全縁。 花序は散房花序又は円錐花序状の複合の二出集散花序。花は長さ3~6mm。萼の拡大部は5裂し、裂片は曲がりくねり、鈍い歯があり、卵形または卵状三角形、宿存し、まれに、果時に大きくなる。花冠は黄色~淡黄色~白色、鐘形または漏斗形。花冠筒部の内側に絨毛があり、基部はギボス(凸月)形、蜜腺嚢には密に腺がある。拡大部は5裂し、裂片はわずかに不等長。雄しべは(1~)4本、不等長の対になり、花冠筒部の基部につき、普通、突き出る。長花糸は基部に絨毛状があり、短花糸は無毛。葯は長円形、多方向。花柱はときに上向きに曲がる。柱頭は頭状または盾状。痩果は卵形または倒卵状長円形。小苞は縮小するか又は翼状に広がり、果実のユニットになり、2または3脈があり、網状の脈が目立つ。種子は扁平、楕円形。
世界に約20種があり、アジア中部~東部に分布する。
オミナエシ属の主な種と園芸品種
1 Patrinia gibbosa Maxim. マルバキンレイカ 円葉金鈴花日本(本州の新潟県以北、北海道)、千島に分布する。山地の林縁、草原、湿原、岩礫地などに生える。
多年草、高さ30~70㎝。根茎は太く、横に伸びる。茎は円柱形、白色の軟毛がある。葉は対生し、葉身は広卵形~卵状楕円形、長さ約10㎝、羽状に浅裂し、縁は鋭い不規則な鋸歯状、基部はくさび形~円形、先は鋭形。集散花序は頂生、花を多数つける。花冠は黄色、先が5裂して開出し、長さ6~7mm、直径5~6mm、花冠の基部には長さ約1mmの短い袋状の距がある。花期は7~8月。
2 Patrinia glabrifolia Yamam. et Sasaki タイワンオトコエシ 台湾男郎花
台湾原産。中国名は光叶败酱 guang ye bai jiang。石灰岩の斜面に生える。
多年草、高さ25~60㎝。根茎は水平に伸び、粗い。茎は直立し、無毛、または上部の両側に微軟毛がある。下部の葉は密集し、へら状または弱く葉柄があり、無毛。葉柄は長さ5㎝以下。葉身は倒披針形または長円形、長さ25㎝×幅6㎝・以下、基部は漸尖し、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。茎葉は有柄。葉柄は長さ1~3.5㎝。葉身は線形~線状披針形、長さ4.5~9㎝×0.5~1.5㎝、無毛、基部はくさび形で沿下し、縁は全縁又は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は散房花序状円錐花序。側枝は4~6対つき、密集した硬い毛が線状に2列ある。小花柄は削減される。萼片は不明瞭。花冠は黄色、長さ約5㎜、規則的に5裂し、裂片が広がる。雄しべは4本、突き出す。花柱は長さ約2.5mm。柱頭は頭状。稔性の子房小室は、わずかに扁楕円形、縁の下と上に密に小剛毛があるか、ほぼ無毛。痩果は長円形、長さ2.5~3㎜。小苞は楕円形または倒卵状楕円形、約・長さ3㎜×幅1.5㎜、倒卵形または円形、長さ3~7㎜×幅2.5~6mm、3脈があり、先は円形、縁が曲がりくねるかまたは 3個の丸みを帯びた裂片がある。花期は7月。果期は8月。
3 Patrinia heterophylla Bunge ホクシオミナエシ
中国原産。中国名は墓回头 mu hui tou。草むら、開けた林内、道端に生える。
多年草、高さ15~100㎝。根茎は水平、長さ20㎝以上。茎は直立し、密に細かくザラつきまたはほぼ無毛。根生葉はロゼットになり、葉柄がある。葉身は狭楕円形、長さ3~8㎝、羽状中裂~羽状全裂。裂片は1~5対、卵形~線状披針形。頂裂片は普通、大きく、卵形~卵状披針形、縁は鋸歯状または小円鋸歯状。茎葉ははほぼ無柄または有柄。下部の葉は羽状全裂し、裂片は2~6対ある。頂裂片は±大きく、広卵形~線状披針形、長さ7~9㎝×幅5~6㎝、先は尖鋭形~長い尖鋭形。中間と上部の葉はしばしば分裂しないか、または1~2対の裂片がある。頂裂片は大きく、卵形、卵状披針形、またはほぼ菱形、小円鋸歯状。花序は散房花序。花序柄は密に小剛毛がある。外総苞片は1または2(~4)対の線形。内総苞片は全縁、線形、花序の長さに等しいかそれより長い。萼片は明瞭または不明瞭、卵形、卵状長円形、または卵状三角形、長さ0.1~0.3㎜。花冠は鐘形、筒部は長さ1.8~2.4㎜、上部で直径1.5~2mm。花冠裂片は卵形~卵状楕円形、約・長さ0.8~1.8㎜×幅1.6mm。雄しべは4本、突き出す。長い花糸は長さ3~3.6㎜。短い花糸は長さ1.9~3㎜。葯は長円形、長さ約1.2㎜。子房は卵形または長円形、長さ0.7~1.5㎜。花柱はわずかに湾曲し、長さ2.3~2.7㎜。柱頭は盾状または頭状。痩果は長円形または倒卵形、小剛毛があるか、または片面または両面が無毛になり、先は切形。小苞は倒卵形、倒卵状長円形、または倒卵状楕円形、まれに楕円形、長さ5.5~6.2㎜×幅4.5~5.5mm、2(または3)脈があり、先は円形、浅く3裂、または片側が不均等に2裂する。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=22。
4 Patrinia monandra C.B.Clarke ヒトシベオトコエシ
synonym Patrinia monandra C.B.Clarke var. monandra
synonym Patrinia monandra C.B.Clarke var. formosana (Kitam.) H.J.Wang
synonym Patrinia formosana Kitam.中国、ブータン、インド、ネパール原産。中国名は少蕊败酱 shao rui bai jiang。斜面の草地、林内、林縁、道端に生える。
多年草または二年草、高さ1.5~2.2m。直根は水平、斜め、または垂直になる。茎は基部がわずかに木化し、丈夫で、一様に後ろ向きの小剛毛があるか、または両側に2本の線がある。根生葉は花時に枯れる。茎葉は葉柄があり、葉柄は長さ約1㎝、茎上部では縮小または無い。葉身は長円形、長さ4~14.5㎝×幅2~9.5 ㎝、まばらに伏した小剛毛があり、縁は全縁、または頭大羽裂して1~2対(または3対)の側裂片をもち縁は円鋸歯状または歯状。花序は散房花序または円錐花序、直径20~25㎝、側枝は4~6対あり、密に粗毛がある。総苞は線状披針形~披針形、長さ約8.5㎝、全縁、または羽状に3~5裂し、頂裂片は卵状披針形、先は鋭形~尖鋭形。萼は小さく、5歯がある。花冠は黄色または淡黄色、まれに白色、漏斗形。花冠筒部は長さ1.2~1.8㎜、直径1.4~1.8㎜、花冠の拡大部は幅2~4㎜、花冠裂片は卵形~卵状長円形、長さ0.6~1.8mm×幅1~1.2㎜。雄しべは1~4本、しばしば1本が長く、突き出る。花糸は長さ1.5~3.3㎜。葯は長円形または楕円形、長さ 0.5~0.8㎜m。子房は倒卵形、長さ0.8~1.8mm。花柱は長さ1.7~2.8mm。柱頭は頭状または盾状。痩果は卵状球形。不稔の子房は小室が肥厚し、倒卵状長円形、無毛またはまばらに小剛毛がある。稔性の子房の小室は扁楕円形、縁には小剛毛がある。小苞は広卵形~ほぼ円形、長さ5~7㎜×幅5~8㎜、2(または3)脈があり、先は普通浅く3裂する。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=88 (P. formosana)。
5 Patrinia rupestris (Pall.) Juss. イワオミナエシ 岩女郎花
中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は岩败酱 yan bai jiang。石の多い斜面、牧草地、ダケカンバまたはポプラの林縁に生える。
多年草、高さ20~100cm。直根はこん棒形、直径約1.5cm。てい幹(caudex)は細く、単純、または数本に分枝する。茎は基部が木質、古い葉の残骸が宿存し、覆われ、新しい成長部分は草質で、細かくザラつく。根生葉は普通、花時に枯れ、ほぼ無柄または有柄。葉柄は長さ2~4㎝。葉身は倒卵状長円形、長円形、卵形または倒卵形、長さ2~7㎝×長さ1~2.5㎝、羽状浅裂、羽状中裂~羽状全裂 、または分裂せず、縁は小円鋸歯状。裂片は線形、長円状披針形、または披針形、頂裂片は普通、小円鋸歯状、分裂、または小葉状。茎葉は無柄~短柄。葉身は長円形または楕円形、長さ3~7㎝、羽状中裂~羽状全裂。側裂片は普通、3~6対あり、線形または線状披針形~長円状披針形、まばらに小円鋸歯状または全縁。頂裂片は3深裂し、3個の線形の2次裂片がある。花序は散房花序、直径2.5~20㎝、側枝は3~7対。最下の苞は 羽状全裂し、裂片は3~5対、線形。上部の苞は小さく、線形、または1~2対の糸状線形の裂片がある。萼は縁が切形、曲がりくねるか、または浅く5裂し、裂片は卵形、長さ0.1~0.2㎜。花冠は黄色、漏斗状鐘形、長さ2.5~4㎜、筒部は長さ1.8~2mm、上部で直径1.5~2㎜。拡大部は幅3~5.5㎜、裂片は長円形、卵状楕円形、卵状長円形、卵形、または卵状円形、長さ1.2~2㎜×幅1~1.5㎜。雄しべは4本。長い花糸は長さ3~4㎜、短い花糸は長さ2.6~3.5㎜。葯は長さ0.7~0.8㎜。子房は円柱形、長さ0.5~1.3㎜、片面または両面に小剛毛があるか、または無毛になる。花柱は長さ2.2~3.3㎜。柱頭は盾状。痩果は倒卵状円柱形、長さ2.4~2.6㎜×幅1.5~1.8㎜、小剛毛~無毛になる。小花柄は長さ0.5~1㎜。小苞は長円形、卵形、または倒卵形、長さ3.5~5.1㎜×幅3.5~3.6㎜、3脈があり、先はときに浅く3裂する。花期は7~9月。果期は8~10月下旬。2n=22。
6 Patrinia saniculifolia Hemsl. カラキンレイカ
朝鮮原産。韓国全域の高山に分布し、尾根の岩の隙間に生える。観賞用に栽培される。
多年草、高さ20~60㎝。 茎は直立する。根生葉は葉柄が長く、やや丸く、5~7枚つき、掌状に分裂し、さらに再3分裂または鋸歯状になる。茎葉は葉柄が非常に短く、対生し、すべて掌状または羽状に深裂する。花期は5~7月。花は主茎の先に同軸上につき、黄色。花序柄と小花柄の内側に密に毛がある。花冠は鐘形、先が5分裂する。花の距は長い。雄しべは4本、雌しべは1本で、外に長く突き出る。 果実はドングリ、翼のような小苞があり、小苞は長円形、果実の長さの2倍程度である。
7 Patrinia scabiosifolia Link オミナエシ 女郎花
日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は败酱 bai jiang。英名はeastern valerian。
多年草、高さ30~100(~200)㎝。水平または斜めの根茎。茎は直立し、黄緑色~黄褐色、ときに淡紫色で、基部はほぼ無柄、先は小剛毛があり、側部に2列の毛が生える。根生葉はロゼットになり、開花時にしおれる。葉柄は長さ3~12cm。葉身は下面が淡緑色、上面が暗緑色、卵形、楕円形、または楕円状披針形、長さ1.8~10.5㎝×幅1.2~3㎝、単葉~羽状中裂~ 羽状全裂、表面はほぼ無毛又は脈に小剛毛があり、基部はくさび形、縁は縁毛があり、全縁~粗い鋸歯があり、先は鈍形又は鋭形。茎葉は無柄、広卵形~披針形、長さ5~15㎝、上部では小さくなり、両面は小剛毛があるか無毛になり、普通、羽状中裂または羽状全裂、側裂片は2~5対、頂裂片は卵形、楕円形、または楕円状披針形、縁は粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は散房花序、側枝は5~7対、花序柄は外側に密に剛毛がある。総苞片は線形、長さ約1㎜。萼片は目立たない。花冠は黄色、鐘形。花冠筒部は約・長さ1.5㎜×幅1.5mm、弱いギボス形(凸月形)。花冠裂片は卵形、長さ約1.5㎜×1~1.3㎜m。雄しべ4本。長花糸は長さ約3.5㎜、短花糸は長さ2~2.7㎜。葯は長円形、長さ約1mm。子房は楕円状長円形、長さ約1.5㎜。花柱は長さ約2.5㎜。柱頭は盾形、直径0.5~0.6mm。痩果は長円形、長さ3~4㎜、3角(かど)があり、扁平、不稔の室は削減される。小苞は目立たない。種子は楕円形、扁平。花期は7~9月。果期は9~10月。2n=22。
品種 'Nagoya'
7-1 Patrinia scabiosifolia Link f. crassa (Masam. et Satomi) Kitam. ex T.Yamaz. ハマオミナエシ 浜女郎花
synonym Patrinia scabiosifolia Link var. crassa Masam. et Satomi
北海道、本州に分布する。海岸に生える矮性品種。
高さ30~40㎝。葉が厚い。
8 Patrinia scabra Bunge モウコオミナエシ 蒙古女郎花
synonym Patrinia rupestris (Pall.) Juss. subsp. scabra (Bunge) H.J.Wang
中国原産。中国名は糙叶败酱 cao ye bai jiang。日当たりの良い草地の斜面、林縁に生える。
多年草、高さ30~60㎝。直根は柱状、直径0.5~2㎝、多肉質。てい幹は単純または数個に分岐する。茎は密に細かくザラつく。根生葉は倒披針形、羽状中裂し、裂片は2~4対、花期には枯れる。茎葉は有柄。葉柄は長さ1~2㎝。葉身は卵状披針形、長さ4~10㎝×幅1~2㎝、革質、細かくザラつき、羽状中裂~羽状全裂、側裂片は1~5対。頂裂片は大きく、倒披針形。側裂片はかま状線形、全縁、先は鈍形または鋭形。花序は散房花序。側枝は3~4本、細かくザラつく。総苞片は線形、全縁または 2~3裂。萼は削減する。花冠は黄色、漏斗状、凸月形、長さ6.5~9㎜。拡大部は5裂し、幅5~7㎜。雄しべは4本。長い花糸は長さ約4㎜。短い花糸は長さ約3㎜。子房は長さ約1mm、細かくザラつく。花柱は長さ約4㎜。痩果は柱状。小苞は広卵形または長円状円形、長さ7~9㎜×幅5~7mm、2脈があり、まれに3脈、先は円形、全縁または浅く3裂する。花期は7~8月。果期は8~9月。
9 Patrinia sibirica (L.) Juss. チシマキンレイカ 千島金鈴花
日本(北海道)、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は西伯利亚败酱 xi bo li ya bai jiang。別名はタカネオミナエシ、タカネキンレイカ。
多年草、高さ5~25㎝。直根はこん棒形、直径1.5cm以下。茎の木質部(caudex)は単純または分枝し、樹皮は褐色または暗褐色、普通、丈夫で、古い葉の基部の繊維状または薄膜状の残骸をもつ。茎は葉がないか、または1対の葉があり、毛があり、2側部に列に毛がつく。葉はロゼットになり、葉柄は長さ2~5㎝、無毛またはまばらに絨毛がある。葉身は長円形~線形、長さ2.5~5㎝×幅0.3~2㎝ 、無毛、全縁または羽状中裂~羽状全裂、裂片は2~3対、線形または線状披針形、先は鈍状円形~尖鋭形。茎葉は無柄、長さ1.5~6cm、羽状中裂。花序は散房花序、花時に直径1.5~4㎝。側枝は2~4対。総苞片は長さ1~3㎝、羽状全裂。裂片は無柄、線形。苞は倒卵形または卵形、約・長さ2.4㎜×幅2㎜。萼片は、倒卵状長円形、倒披針形、卵形、卵状三角形、または長円形、長さ0.2~1.8㎜。花冠は黄色、漏斗状~鐘形、花冠筒部は長さ2.5~3.2㎜、上部で直径2.5~3.2mm。花冠裂片は卵形~卵状楕円形、長さ1.5~2.3mm×幅1.4~2mm。雄しべは4本、長花糸は長さ約4.5㎜、短花糸は長さ約4mm。葯は長円形、長さ約1.5mm。子房は卵状長円形、長さ0.5~1.5 mm。花柱は長さ3.3~3.7㎜。柱頭は斜めの頭状、直径約0.6㎜。痩果は狭く卵形、長さ3~4(~6)㎜、不稔の小室は無毛または丈夫に小剛毛があり、稔性の室は縁と下部に密に小剛毛がある。小苞は倒卵形、倒卵状長円形、卵形、または卵状長円形、長さ6~9㎜×幅4.5~6.5㎜、3~4脈があり、全縁または浅く3裂する。花期は5~6月。果期は6~7月。2n=22, 44。
10 Patrinia triloba (Miq.) Miq. ハクサンオミナエシ 広義
日本固有種
10-1 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. triloba ハクサンオミナエシ 白山女郎花
synonym Patrinia gibbifera Nakai
日本固有種(本州の近畿以北の日本海側)。英名はthree-leaved patrinia。別名はコキンレイカ 小金鈴花。山地の岩場に生える。
多年草、高さ20~60㎝。葉は対生し、長さ3~10㎝、幅3~10㎝、掌状に3~5中裂し、先が尖る。茎頂の集散花序に花冠の直径約5㎜の小さな黄色花を多数付ける。花冠の先は5裂し、基部にはスミレのような距がある。距は短く。やや膨らむ程度。花期は7~8月。
品種 'Minor'
10-2 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. kozushimensis Honda シマキンレイカ 島金鈴花
synonym Patrinia kozushimensis (Honda) Honda
伊豆諸島の神津島固有。
葉が厚く、光沢があり、花の距がさらに短い。
10-3 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. palmata (Maxim.) H.Hara キンレイカ 金鈴花
synonym Patrinia palmata Maxim.
本州(関東以西)、九州の太平洋側に分布する。距が長い。
10-4 Patrinia triloba (Miq.) Miq. var. takeuchiana (Makino) Ohwi オオキンレイカ 大金鈴花
synonym Patrinia takeuchiana Makino
福井県、京都府に分布。キンレイカより大型。茎は高さ50~90cm、葉身は幅10~16cm。
11 Patrinia villosa (Thunb.) Juss. オトコエシ 男郎花
日本(北海道、本州、四国、九州)、中国、台湾原産。中国名は攀倒甑 pan dao zeng。
多年草、高さ60~100㎝。匐枝を出して、広がる。茎の上部はほとんど無毛、下部は有毛。葉は対生し、長さ3~15㎝。上部の葉は分裂しないが、中部以下の葉は羽状に3~5深裂する。頂部の葉が最も大きく、裂片は卵状長楕円形。花は散房状に多数つき、花冠は白色、5裂する。果実には翼状に変化した直径4~6㎜のほぼ円形~卵形の小苞があり、醤油の腐ったような臭いがする。果実の背部は翼とは合着せず、離れて上に乗っている。果実は長さ約3㎜、幅約1.6㎜、狭い翼があり、下面がほぼ平ら、3室をもち、2室は不完全で、翼に近い下部の1室の種子だけが出来る。これがオミナエシ属の特徴である。種子はやや扁平、長さ約2.5㎜。2n=44。花期は8~10月。
12 Patrinia x hybrida Makino オトコオミナエシ
オミナエシとオトコエシの交雑種。
参考
1) Flora of ChinaPatrinia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124161
2) Plants of the World Online| KewsciencePatrinia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331831-2
3) World Flora OnlinePatrinia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000028322