オガルカヤ 雄刈萱

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae オガルカヤ属

別 名 スズメカルカヤ、カルカヤ
中国名 橘草 ju cao
学 名 Cymbopogon goeringii (Steud.) A.Camus

 synonym Cymbopogon tortilis (Presl) Hitchc. var. goeringii (Steud. ) Hand.-Mazz.

オガルカヤの穂
オガルカヤの花序の総
オガルカヤの茎
オガルカヤの果実
オガルカヤ
オガルカヤ苞と2個の枝
オガルカヤ小穂
オガルカヤ熟した両性小穂
花 期 8~11月
高 さ 50~100㎝
生活型 多年草
生育場所 丘陵、河原の土手
分 布 在来種  本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾
撮 影 幡豆町  07.9.22
メガルカヤに対してオガルカヤの名がつけられている。別名はスズメがくっついているように見えることによる。
 根茎は短い。茎は無毛、平滑、細くて硬く、叢生する。葉は細く、長さ15~40㎝、幅3~5㎜、縁が外側にゆるく巻く。葉舌は長さ1~3(4.5)㎜の三角状。葉鞘は平滑、淡褐色になり、節間より短い。茎の上部に多数の花序をつける。花序は舟形の苞の先に2個の枝(総)を左右に開いて小穂を数個ずつつける特徴的な形である。各枝(総)の最下の小穂は有梗の雄性小穂、1対と、無梗の両性小穂、1個をつける。その他は雄性小穂と両性小穂を1個ずつつける。雄性小穂は長さ4~6.5㎜、花梗には白毛が密生する。両性小穂は長さ4.5~6㎜、基部に毛がある。両性小穂の第1苞頴は左右の縁が竜骨状になり、広い翼があり、先が2裂する。第2苞頴は小さい。護頴、内頴は膜質。護頴の先は2裂し、長さ1~2㎝の芒がつく。果実は長さ2.5~3㎜の長楕円形、褐色。2n=20。

オガルカヤ属

  family Poaceae - genus Cymbopogon

 多年草、まれに1年草。稈はしばしば高く、丈夫。葉身は芳香があり、糸状~広線形。葉舌は薄膜質。花序は密な仏炎苞のある(spathate)複合の円錐花序、それぞれの最終の小仏炎苞(spatheole)は短い花序柄の上につく短い総状花序の対を抱く。小仏炎苞は舟形。各総状花序は、短くて平らな総状花序の基部にあり、しばしば成熟時に下曲し、下側の総状花序は稔性の対の小穂の下に、同性の(homogamous)小穂の1対を基部もつ。花序軸の節間と小花柄は線形、縁に白色の縁毛があり、ときに同性の対の小花柄が膨れ、隣接する節間と融着する。無柄の小穂は背側が扁平、カルスは鈍形、短い髭があり、節間の先につく。第1苞穎(lower glume)は紙質、平らまたは凹面状、ときに溝またはしわがあり、2竜骨があり、側竜骨があり、しばしば中間より上に翼があり、竜骨間の脈が有または無。第2苞穎(upper glume)は舟形、芒は無い。下側の小花は退化し、透明な護穎になる。上側の護穎(upper lemma)は狭長円形で、普通、中間近くまで2裂し、裂片は細く、縁毛があり、切れ込みから出る芒があり、ときにほぼ全縁で芒がない。芒は膝状に曲がり、ときに弱く、短く、無毛。小花柄のある小穂は雄性または不稔で、狭披針形、芒は無い。 x=10, 20, 40, 60。
 世界に約53種あり、アフリカ、アジア、オーストラリアの熱帯および亜熱帯に分布し、主にアジアに分布する。熱帯アメリカに帰化している。

オガルカヤ属の主な種と園芸品種

1 Cymbopogon citratus (DC.) Stapf レモングラス 
 中国、台湾、熱帯アジアなどで栽培されている。中国名は香茅 xiang mao。英名はlemon grass , West Indian lemongrass。別名はレモンガヤ、レモンソウ。普通に栽培されている。
 多年草、短い根茎をもつ。 稈は株立(房状)になり、丈夫で、高さ2m以下、直径約4㎜、節の下は粉状になる。葉鞘は無毛、内側は帯緑色。葉身は粉白を帯び、長さ30~90㎝×幅0.5~2㎝、両面が痂ザラつき、基部が徐々に狭くなり、先は長い尖鋭形。葉舌は長さ約1㎜。仏炎苞のある複合円錐花序は大きく、緩く、長さ50㎝以下、垂れ下がり、枝は細い。小仏炎苞は赤褐色または黄褐色、長さ1.5~2㎝。 総状花序は長さ1.5~2㎝、花序軸の節間および小花柄は長さ2.5~4㎜、縁に緩く絨毛がある。同性対の小花柄は膨れない。無柄小穂は線状披針形、長さ5~6㎜×幅約0.7㎜。第1苞穎(lower glume)は平らまたは基部に向かってわずかに凹面状になり、鋭い2竜骨があり、竜骨には翼がなく、ザラつき、竜骨間に脈は無い。上側の護穎(upper lemma)は狭く、全縁で芒がないか、またはわずかに2裂し、長さ0.2㎜の微突をもつ。小花柄のある小穂は長さ4~5㎜。花期および果期は夏。2n=40。

2 Cymbopogon goeringii (Steud.) A.Camus オガルカヤ 雄刈萱
  synonym Cymbopogon Cymbopogon tortilis (J.Presl) A.Camus var. goeringii (Steud.) Hand.-Mazz.
  synonym Cymbopogon tortilis (J.Presl) A.Camus subsp. goeringii (Steud.) T.Koyama
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は橘草 ju cao。別名はスズメカルカヤ、カルカヤ。丘陵、河原の土手に生える。
 多年草。高さ50~100㎝。根茎は短い。茎は無毛、平滑、細くて硬く、叢生する。葉は細く、長さ15~40㎝、幅3~5㎜、縁が外側にゆるく巻く。葉舌は長さ1~3(4.5)㎜の三角状。葉鞘は平滑、淡褐色になり、節間より短い。茎の上部に多数の花序をつける。花序は舟形の苞の先に2個の枝(総)を左右に開いて小穂を数個ずつつける特徴的な形である。各枝(総)の最下の小穂は有梗の雄性小穂、1対と、無梗の両性小穂、1個をつける。その他は雄性小穂と両性小穂を1個ずつつける。雄性小穂は長さ4~6.5㎜、花梗には白毛が密生する。両性小穂は長さ4.5~6㎜、基部に毛がある。両性小穂の第1苞頴は左右の縁が竜骨状になり、広い翼があり、先が2裂する。第2苞頴は小さい。護頴、内頴は膜質。護頴の先は2裂し、長さ1~2㎝の芒がつく。果実は長さ2.5~3㎜の長楕円形、褐色。2n=20。花期は8~11月。
 Cymbopogon goeringiiとC.tortilisは交雑複合体を形成し、前者の種は後者の下で種内ランクで扱われることがある。Cymbopogon goeringiiはわずかに北方に分布する傾向があり、通常、より大きく、大きく長い総状花序で、しばしば小穂が紫色を帯びることにより区別される。

3 Cymbopogon martini (Roxb.) Will.Watson パルマロサグラス 
 インド原産。中国名は鲁沙香茅 lu sha xiang mao。中国に帰化。

4 Cymbopogon nardus (L.) Rendle シトロネラグラス 
 インド、スリランカ原産。中国名は亚香茅 ya xiang mao。英名はcitronella grass , Ceylon citronella , citronella , giant turpentine grass , nard grass , new citronella grass。別名はコウスイガヤ。普通に栽培されている。
 多年草。頑丈な根茎がある。稈は株立(房状)になり、丈夫で、高さ2.5m以下、直径1~2cm。葉鞘は基部が赤紫色で、平滑、無毛。葉身は乾くと暗緑色または暗褐色、その長さの3分の1が垂れ下がり、長さ30~100㎝×幅1~2㎝、無毛、下面はザラつき、上面は平滑、基部が狭くなり、先は長い尖鋭形、葉舌は長さ2~3mm。仏炎苞のある円錐花序は大きく、狭く、密集し、途切れ、長さ60~90cm。小仏炎苞は赤褐色、長さ1.2~2.5㎝。総状花序は長さ1~1.5㎝。花序軸の節間および小花柄は縁に縁毛がある。同性の対の小花柄は膨れない。無柄の小穂は長円状披針形、長さ3~4.5㎜×幅1~1.2㎜。第1苞穎(lower glume)は平らまたはわずかに凹面状で、赤褐色または帯紫色、上向きで、鋭い2竜骨があり、竜骨は狭い翼があり、竜骨の間に明瞭な0~3本の脈がある。上側の護穎(upper lemma)は線形、全縁またはわずかに2裂し、微突形または非常に短い芒がある。小花柄のある小穂は長さ3.5~7mm。花期および果期は11~4月。2n=40。

5 Cymbopogon tortilis (J.Presl) A.Camus シマオガルカヤ 島雄刈萱
  synonym Cymbopogon hamatulus (Hook. & Arn.) A.Camus
  synonym Cymbopogon jinshaensis R.Zhang & C.H.Li
 日本(南西諸島、小笠原諸島)、中国、台湾、フィリピン、ベトナム原産。中国名は扭鞘香茅 niu qiao xiang mao。軽く乾燥した草地に生える。
 多年草。短い根茎がある。基部の鞘は内部が赤褐色、緩く、乾くと巻く。稈は株立(房状)、細く、高さ50~150㎝、直径2~4㎜、節は無毛または毛があり、しばしば粉状になる。葉鞘は平滑、無毛。葉身は線形、長さ25~60㎝×幅0.2~0.7㎝、無毛、縁はザラつき、基部は徐々に狭くなり、先は細い尖鋭形。葉舌は長さ2~3(~6)㎜。仏炎苞のある円錐花序は狭いかまたはやや広がり、長さ20~35㎝、2~3列(tiers)の枝分かれがある。小仏炎苞は赤褐色、長さ1.2~1.5㎝。総状花序は長さ1~1.5㎝。花序軸の節間および小花柄は長さ1.5~2㎜、縁に縁毛がある。同性の対の小花柄は膨れない。無柄の小穂は狭披針状長円形、長さ3.5~4.5㎜×幅0.9~1.2㎜。第1苞穎(lower glume)は平らで、平滑またはわずかにしわがあり、鋭い2竜骨が全体にあり、竜骨は中間より上に狭い翼があり、翼は幅0.15~0.25㎜、竜骨の間に (2~)3(~5)脈がある。上側の護穎(upper lemma)は2裂し、芒は長さ0.7~1cm。小穂は長さ3~3.5mm。花期および果期は7~10月。2n=20。

6 Cymbopogon winterianus Jowitt ex Bor ジャワシトロネラソウ
 インドネシア(ボルネオ、ジャワ、スマトラ)原産。中国名は枫茅 feng mao。英名はjava citronella , Burma citronella。中国で栽培されている。
 多年草。浅く根茎がある。稈は株立(房状)、丈夫、高さ2m以下またはそれ以上。葉鞘は無毛、内側は帯赤色。葉身は比較的、質が薄く、その長さの2/3が垂れ下がり、長さ40~80(~100)㎝×幅1~1.5(~2.5)㎝、下面は粉白色、上面は薄緑色、縁はザラつき、基部は狭く、先は長い尖鋭形。葉舌は長さ2~3㎜。仏炎苞のある円錐花序は大きく、緩く、長さ50㎝以下、多数、分枝し、主軸はジグザグになり、最終的にうなずく。小仏炎苞は赤褐色、長さ1.2~2.5㎝。総状花序は長さ1.5~2.5㎝。花序軸の節間と小花柄は縁に柔らかい縁毛がある。同性の対小花柄は膨れない。無柄の小穂は楕円状披針形、長さ4~5㎜×幅約1㎜。第1苞穎(lower glume)は平らまたはわずかに凹面状で、鋭い2竜骨があり、竜骨には狭い翼があり、竜骨の間に3脈がある。上側の護穎(upper lemma)には非常に短い2裂があり、、芒は短いかまたは無く、小穂から突き出ない。小花柄のある小穂は長さ3.5~5㎜。2n=20, 40。
品種) 'Niranjan' , 'Phullara' , 'Sourav' , 'Subir'

参考

1) Flora of China
 Cymbopogon
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=108952
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Cymbopogon
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:17833-1
3) World Flora Online
 Cymbopogon
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000010376;jsessionid=2C6DB69A299A94A324048CEEA80DEBC1
4) World Checklist of Vascular Plants
 Cymbopogon
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North America
 Cymbopogon
http://floranorthamerica.org/Cymbopogon
6) GRFIN
 Cymbopogon
http://www.narc.gov.jo/GRINGLOBAL/taxonomylist.aspx?category=species&type=genus&value=Cymbopogon&id=3274