ヌメリグサ 滑り草
Flora of Mikawa
イネ科 Poaceae ヌメリグサ属
中国名 |
囊颖草 nang ying cao |
英 名 | glenwoodgrass |
学 名 | Sacciolepis indica (L.) Chase 広義 synonym Sacciolepis indica (L.) Chase var. oryzetorum (Makino) Ohwi 狭義 synonym Sacciolepis indica (L.) Chase subsp. oryzetorum (Makino) T.Koyama synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam. var. oryzetorum (Makino) Yonek. |
花 期 | 7~11月 |
高 さ | 20~100㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 湿った場所、谷、小川、水田、田の畔 |
分 布 | 在来種 本州、四国、九州、沖縄、中国、台湾、インド |
撮 影 | 幸田町 09.10.3 |
和名は葉をもむとぬるぬるすることによる。ハイヌメリの変種、ハイヌメリのように茎が匍匐しない。中間型もあり、品種とすることもある。現在では、ハイヌメリを含めてヌメリグサ(広義)とし、学名をSacciolepis indica とするのが普通である。英名や中国名は広義のヌメリグサを指す。
稈は叢生し、細く、枝分かれして広がり、傾伏の基部から弱く斜上し、高さ20~100㎝。 葉鞘は平滑、わずかに竜骨がある。葉身は線形、平ら~緩く内巻き、長さ5~20㎝×幅0.2~0.5㎝、先は鋭形。葉舌は長さ0.2~0.5㎜、膜質、切形。円錐花序は穂状花序状、長さ11~16㎝×幅0.3~0.5㎝、花序軸は無毛。小穂は緑色または紫緑色、披針形、側部が扁平、長さ2~2.8㎜、無毛または乳頭突起のある剛毛があり、先は鈍形。苞穎は卵形、草質、広い透明な縁と先をもつ。第1苞穎は小穂の長さの1/3~1/2、3~7脈がある。第2苞穎は7~11脈がある。下側の護穎は第2苞穎と同長。内穎は小さくて透明。上側の護穎は帯黄色、狭卵形、小穂の長さの1/2。花期および果期は7~11月。 2n=18, 36。
ヌメリグサ(狭義)は茎が匍匐せずに、直立して叢生する。 葉は無毛で、縁はざらつき、長さ15~30㎝、幅3.5~5㎜の線形。葉舌は厚く、長さ約0.5㎜。葉鞘は無毛。直立した稈の先に長さ6~12㎝、直径約5㎜の紫褐色を帯びた穂状花序をつける。小穂は密集してつき、長さ約3㎜の楕円形、紫褐色を帯びる。上端は嘴状で、上部に白色の長毛がまばらにつく。2小花からなるが第1小花は不完全で護頴だけとなる。第1苞頴は三角状披針形で小さい。第2苞頴は小穂と同長。小花(第2)の護頴は革質で、ガラス状の光沢がある。果実は長さ約1㎜、乳灰褐色。2n=18
ハイヌメリ(ハイヌメリグサ)は茎が横に匍匐して広がり、花序がやや小さく、小穂が紫褐色を帯びることがない。
一年草または多年草。 葉身は線形から巻く。葉舌は膜質。花序は狭円筒形、密な穂状花序状の円錐花序。小穂は非対称で、披針状長円形~卵形、普通、側部またはまれに背部が扁平で、丸みがあり、小花は2個つく。苞穎は明瞭な肋があり、第1苞穎は小穂の長さの1/4~3/4、幅が広く、緩く、わずかに膨らむ。第2苞穎は小穂の長さと等しく、深く凹み、背面が凸月状(gibbous)。下側の護穎は第2苞穎に似ているが、凸月状が少なく、雄性または中性。その内穎はかなり小さくなる。上側の小花は容易に脱落し、護穎は背側が扁平、小穂よりもはるかに短く、薄い革質~軟骨性、平滑、光沢があり、縁が内巻きしまたは平らであるが、決して透明にはならない。x=9。
世界に約26種あり、アフリカ、アメリカ、アジア東部、オーストラリアの熱帯、亜熱帯地方に分布する。
中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は鼠尾囊颖草 shu wei nang ying cao。
2 Sacciolepis indica (L.) Chase ヌメリグサ 滑り草 広義
synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam.
日本(本州、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、インド原産。中国名は囊颖草 nang ying cao。英名はglenwoodgrass。別名はハイヌメリ、ホソハイヌメリ。湿った場所、谷、小川などに生える。
1年草。 稈は叢生し、細く、枝分かれして広がり、傾伏の基部から弱く斜上し、高さ20~100㎝。 葉鞘は平滑、わずかに竜骨がある。葉身は線形、平ら~緩く内巻き、長さ5~20㎝×幅0.2~0.5㎝、先は鋭形。葉舌は長さ0.2~0.5㎜、膜質、切形。円錐花序は穂状花序状、長さ11~16㎝×幅0.3~0.5㎝、花序軸は無毛。小穂は緑色または紫緑色、披針形、側部が扁平、長さ2~2.8㎜、無毛または乳頭突起のある剛毛があり、先は鈍形。苞穎は卵形、草質、広い透明な縁と先をもつ。第1苞穎は小穂の長さの1/3~1/2、3~7脈がある。第2苞穎は7~11脈がある。下側の護穎は第2苞穎と同長。内穎は小さくて透明。上側の護穎は帯黄色、狭卵形、小穂の長さの1/2。花期および果期は7~11月。 2n=18, 36。
※ヌメリグサとハイヌメリを分け、変種や亜種に分類していたが、中間も見られ、最近では広義のヌメリグサとするのが普通である。
2-1 Sacciolepis indica (L.) Chase var. indica ハイヌメリ 這い滑り
synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam. var. spicata
本州、四国、九州、アジアの熱帯~温帯、ポリネシア、オーストラリアに分布。別名はハイヌメリグサ。水田、湿った畑に生える。
1年草。高さ10~40㎝。茎の基部は匍匐して広がり、群生する。葉は無毛で、柔らかく、長さ3~10㎝、幅3~4㎜の線形。葉舌は膜質で短い。葉鞘は無毛。直立した長さ1~5㎝、幅約5㎜の穂状花序に密に小穂がつく。小穂は長さ約3㎜の淡緑色の狭卵形、上端は嘴状で、白色の長毛がまばらにつく。2小花からなるが第1小花は不完全で護頴だけとなる。第1苞頴は小さく、卵形。第2苞頴は大きく、脈がある。小花(第2)の護頴は厚くてガラス状の光沢がある。果実は長さ約0.8㎜、茶褐色。花期は8~10月。
2-2 Sacciolepis indica (L.) Chase subsp. oryzetorum (Makino) T.Koyama ヌメリグサ 滑り草 狭義
synonym Sacciolepis indica (L.) Chase var. oryzetorum (Makino) Ohwi
synonym Sacciolepis indica (L.) Chase
synonym Sacciolepis angusta auct. non (Trin.) Stapf
本州、四国、九州、沖縄に分布。低地の湿潤地に生える。 1年草。高さ30~60㎝。茎は匍匐せずに、直立して叢生する。葉は無毛で、縁はざらつき、長さ15~30㎝、幅3.5~5㎜の線形。葉舌は厚く、長さ約0.5㎜。葉鞘は無毛。直立した稈の先に長さ6~12㎝、直径約5㎜の紫褐色を帯びた穂状花序をつける。小穂は密集してつき、長さ約3㎜の楕円形、紫褐色を帯びる。上端は嘴状で、上部に白色の長毛がまばらにつく。2小花からなるが第1小花は不完全で護頴だけとなる。第1苞頴は三角状披針形で小さい。第2苞頴は小穂と同長。小花(第2)の護頴は革質で、ガラス状の光沢がある。果実は長さ約1㎜、乳灰褐色。2n=18。花期は8~10月。
Sacciolepis
Sacciolepis
Sacciolepis
Sacciolepis
Sacciolepis
稈は叢生し、細く、枝分かれして広がり、傾伏の基部から弱く斜上し、高さ20~100㎝。 葉鞘は平滑、わずかに竜骨がある。葉身は線形、平ら~緩く内巻き、長さ5~20㎝×幅0.2~0.5㎝、先は鋭形。葉舌は長さ0.2~0.5㎜、膜質、切形。円錐花序は穂状花序状、長さ11~16㎝×幅0.3~0.5㎝、花序軸は無毛。小穂は緑色または紫緑色、披針形、側部が扁平、長さ2~2.8㎜、無毛または乳頭突起のある剛毛があり、先は鈍形。苞穎は卵形、草質、広い透明な縁と先をもつ。第1苞穎は小穂の長さの1/3~1/2、3~7脈がある。第2苞穎は7~11脈がある。下側の護穎は第2苞穎と同長。内穎は小さくて透明。上側の護穎は帯黄色、狭卵形、小穂の長さの1/2。花期および果期は7~11月。 2n=18, 36。
ヌメリグサ(狭義)は茎が匍匐せずに、直立して叢生する。 葉は無毛で、縁はざらつき、長さ15~30㎝、幅3.5~5㎜の線形。葉舌は厚く、長さ約0.5㎜。葉鞘は無毛。直立した稈の先に長さ6~12㎝、直径約5㎜の紫褐色を帯びた穂状花序をつける。小穂は密集してつき、長さ約3㎜の楕円形、紫褐色を帯びる。上端は嘴状で、上部に白色の長毛がまばらにつく。2小花からなるが第1小花は不完全で護頴だけとなる。第1苞頴は三角状披針形で小さい。第2苞頴は小穂と同長。小花(第2)の護頴は革質で、ガラス状の光沢がある。果実は長さ約1㎜、乳灰褐色。2n=18
ハイヌメリ(ハイヌメリグサ)は茎が横に匍匐して広がり、花序がやや小さく、小穂が紫褐色を帯びることがない。
ヌメリグサ属
family Poaceae - genus Sacciolepis一年草または多年草。 葉身は線形から巻く。葉舌は膜質。花序は狭円筒形、密な穂状花序状の円錐花序。小穂は非対称で、披針状長円形~卵形、普通、側部またはまれに背部が扁平で、丸みがあり、小花は2個つく。苞穎は明瞭な肋があり、第1苞穎は小穂の長さの1/4~3/4、幅が広く、緩く、わずかに膨らむ。第2苞穎は小穂の長さと等しく、深く凹み、背面が凸月状(gibbous)。下側の護穎は第2苞穎に似ているが、凸月状が少なく、雄性または中性。その内穎はかなり小さくなる。上側の小花は容易に脱落し、護穎は背側が扁平、小穂よりもはるかに短く、薄い革質~軟骨性、平滑、光沢があり、縁が内巻きしまたは平らであるが、決して透明にはならない。x=9。
世界に約26種あり、アフリカ、アメリカ、アジア東部、オーストラリアの熱帯、亜熱帯地方に分布する。
ヌメリグサ属の主な種と園芸品種
1 Sacciolepis myosuroides (R.Br.) Chase ex E.G. et A.Camus ハラヌメリ中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は鼠尾囊颖草 shu wei nang ying cao。
2 Sacciolepis indica (L.) Chase ヌメリグサ 滑り草 広義
synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam.
日本(本州、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、インド原産。中国名は囊颖草 nang ying cao。英名はglenwoodgrass。別名はハイヌメリ、ホソハイヌメリ。湿った場所、谷、小川などに生える。
1年草。 稈は叢生し、細く、枝分かれして広がり、傾伏の基部から弱く斜上し、高さ20~100㎝。 葉鞘は平滑、わずかに竜骨がある。葉身は線形、平ら~緩く内巻き、長さ5~20㎝×幅0.2~0.5㎝、先は鋭形。葉舌は長さ0.2~0.5㎜、膜質、切形。円錐花序は穂状花序状、長さ11~16㎝×幅0.3~0.5㎝、花序軸は無毛。小穂は緑色または紫緑色、披針形、側部が扁平、長さ2~2.8㎜、無毛または乳頭突起のある剛毛があり、先は鈍形。苞穎は卵形、草質、広い透明な縁と先をもつ。第1苞穎は小穂の長さの1/3~1/2、3~7脈がある。第2苞穎は7~11脈がある。下側の護穎は第2苞穎と同長。内穎は小さくて透明。上側の護穎は帯黄色、狭卵形、小穂の長さの1/2。花期および果期は7~11月。 2n=18, 36。
※ヌメリグサとハイヌメリを分け、変種や亜種に分類していたが、中間も見られ、最近では広義のヌメリグサとするのが普通である。
2-1 Sacciolepis indica (L.) Chase var. indica ハイヌメリ 這い滑り
synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam. var. spicata
synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam. var. angusta (Trin.) Yonek.
synonym Sacciolepis indica (L.) Chase var. angusta (Trin.) Keng本州、四国、九州、アジアの熱帯~温帯、ポリネシア、オーストラリアに分布。別名はハイヌメリグサ。水田、湿った畑に生える。
1年草。高さ10~40㎝。茎の基部は匍匐して広がり、群生する。葉は無毛で、柔らかく、長さ3~10㎝、幅3~4㎜の線形。葉舌は膜質で短い。葉鞘は無毛。直立した長さ1~5㎝、幅約5㎜の穂状花序に密に小穂がつく。小穂は長さ約3㎜の淡緑色の狭卵形、上端は嘴状で、白色の長毛がまばらにつく。2小花からなるが第1小花は不完全で護頴だけとなる。第1苞頴は小さく、卵形。第2苞頴は大きく、脈がある。小花(第2)の護頴は厚くてガラス状の光沢がある。果実は長さ約0.8㎜、茶褐色。花期は8~10月。
2-2 Sacciolepis indica (L.) Chase subsp. oryzetorum (Makino) T.Koyama ヌメリグサ 滑り草 狭義
synonym Sacciolepis spicata (L.) Honda ex Masam. var. oryzetorum (Makino) Yonek.
synonym Sacciolepis oryzetorum (Makino) Hondasynonym Sacciolepis indica (L.) Chase var. oryzetorum (Makino) Ohwi
synonym Sacciolepis indica (L.) Chase
synonym Sacciolepis angusta auct. non (Trin.) Stapf
本州、四国、九州、沖縄に分布。低地の湿潤地に生える。 1年草。高さ30~60㎝。茎は匍匐せずに、直立して叢生する。葉は無毛で、縁はざらつき、長さ15~30㎝、幅3.5~5㎜の線形。葉舌は厚く、長さ約0.5㎜。葉鞘は無毛。直立した稈の先に長さ6~12㎝、直径約5㎜の紫褐色を帯びた穂状花序をつける。小穂は密集してつき、長さ約3㎜の楕円形、紫褐色を帯びる。上端は嘴状で、上部に白色の長毛がまばらにつく。2小花からなるが第1小花は不完全で護頴だけとなる。第1苞頴は三角状披針形で小さい。第2苞頴は小穂と同長。小花(第2)の護頴は革質で、ガラス状の光沢がある。果実は長さ約1㎜、乳灰褐色。2n=18。花期は8~10月。
参考
1) Flora of ChinaSacciolepis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128973
2) Plants of the World Online| KewscienceSacciolepis
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:295659-2
3) World Flora OnlineSacciolepis
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000033735
4) World Checklist of Vascular PlantsSacciolepis
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North AmericaSacciolepis
http://floranorthamerica.org/Sacciolepis