ノゲシ 野罌粟

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae  ノゲシ属

別 名 ハルノノゲシ、ケシアザミ
中国名 苦苣菜 ku ju cai
英 名 common sowthistle , common sow thistle , sow thistle , pualele , annual sowthistle
学 名 Sonchus oleraceus L.
ノゲシの花
ノゲシの総苞
ノゲシの小花柄
ノゲシの花柄(花茎)の腺毛2
ノゲシの総苞
ノゲシの果実
ノゲシの葉の基部
ノゲシの茎下部の葉の基部
ノゲシ
ノゲシの葉
ノゲシ蕾の花柄(花茎)の腺毛
ノゲシの痩果
ノゲシ果実2
花 期 4~10月
高 さ 50~140(200)㎝
生活型 2年草(1年草)
生育場所 道端,、畑の縁
分 布 在来種 日本全土  ユーラシア大陸
撮 影 蒲郡市 05.4.23
ノゲシの春の若葉は苦味があるが、タンポポと同じように食べられる。茹でてから水にさらして好みに合うよう苦味を抜く。茎も皮をむいて、アスパラガス、ルバーブ、フキのように食べられるという情報もある。
 茎は中空。葉は柔らかく、刺はあまり硬くない。葉は羽状に切れ込み不規則な鋸歯があり、葉の基部が茎を抱く。茎の中間の葉身は長さ6~20(34)㎝、幅2~9(15)㎝、茎上部の葉の基部が三角状に後方へ突き出ることが多く、下部の葉では突き出ないことも多い。頭花は黄色~白黄色で、直径約2㎝、多数の舌状花だけからなり、筒状花は無い。舌状花の小舌と筒部の長さはほぼ等しい。花柄は長さ0.5~7㎝。総苞は長さ10~13㎜。花柄には普通、腺毛があり、小花柄には腺毛がない。蕾の花柄が短いときは腺毛が密にある。総苞片はほぼ2列、無毛か又は綿毛や腺毛がある。総苞は花後に下部が膨んだ釣鐘状になる。痩果は長さ2.5~3.5(4)㎜、扁平、両面に縦脈と横しわがある。冠毛は長さ(5)6~8㎜、痩果の2~3倍の長さがある。冠毛にはほぼ上向きの小刺があり、細いものが混ざって本数が多い。2n=32, 36
 ウスジロノゲシ form. lilacina は舌状花が白黄色のもの。外側の舌状花がほとんど白色。
 オニノゲシ Sonchus asperは刺が多く、葉の基部が丸くまくれ上がって茎を挟むように抱く。痩果に横しわがない。2n=18
 アイノゲシ Sonchus oleaceo-asper はノゲシとオニノゲシの交雑種。オニノゲシに似るが刺が少なく、痩果にやや横しわがあり、ノゲシとオニノゲシの中間的な形質をもつ。学名は認められていないようである。

ノゲシ属

  family  Asteraceae - genus  Sonchus

 1年草、2年草、又は多年草。茎は直立、分枝せず又は合成花序の下でまばらに分枝し、葉がつく。葉は羽状複葉~不分裂。合成花序は散房花序又は円錐花序、頭花が少数~多数つく。 頭花は普通、小花が70~300個つく。総苞は鐘形~広鐘形、花序柄があり、しばしば腺毛があり、基部に±白色の綿毛がある。総苞片は緑色、無毛又は腺毛がある。外総苞片は数列につき、中心に向かって次第に長くなり、±覆瓦状、最も長いものが内総苞片の長さの1/2~3/4長。無い総苞片は8~15個、ほぼ等長、線状披針形~線形。花托は裸。小花は黄色。痩果は帯褐色、卵形~楕円形、扁平、両端が狭くなり、(4~)5本の主うねがあり、普通、2本の2次うねが付属し、平滑又は横しわがある。冠毛は白色、早落性又は宿存性、柔らかな細かい外側の剛毛に、太いしばしば早落性の内側の剛毛が混じる。
 世界に約90種あり、広く、アフリカ、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、太平洋諸島に分布する。英名はsowthistle。

ノゲシ属の主な種と園芸品種

1 Sonchus asper (L.) Hill  オニノゲシ 鬼野罌粟
 ヨーロッパ、西アジア原産。英名はprickly sowthistle , prickly sow thistle , rough milk thistle , rough sow thistle , spiny sow thistle , spiny-leaf sow thistle , spiny annual sow-thistle。。中国名は花叶滇苦菜 hua ye dian ku cai 。世界各地に帰化、日本には明治時代に渡来。道端,、荒地に生える。
 1・2年草。高さ(20~)50~120(~200+) ㎝。茎は基部が柔らかく、中空、多数の稜があり、赤色を帯びることが多い。根生葉と下部の茎葉は様々で、倒卵形、へら形、又は楕円形、長さ6~30㎝、不分裂又は不規則に羽状全裂し、無毛、上面は暗緑色で±光沢があり、基部は漸尖形で±耳があり、縁は普通、密に鋭い刺のある歯があり、先は鋭形、尖鋭形、又は鈍形。側裂片は±三角形、半円形、又は楕円形。中間と上部の茎葉はへら形~披針形、中間の茎葉は長さ15~25㎝、基部は耳状に茎を抱き、耳は目立ち、円形で密着し、他は下部の葉に似る。合成花序は密な散房花序、少数~数個の頭花をつける。頭花は直径約2㎝、小花は多数つき、舌状小花だけで、筒状花は無い。花序柄は長さ0.5~5㎝、細く、無毛又は密に腺毛がある。総苞は±鐘形、長さ(9)10~13㎜。総苞片は外面は無毛又は腺毛があり、先は鋭形。外総苞片は狭披針形、幅1~2㎜。小花の花冠は黄色、長さ約1㎝、花弁の長さは筒部の長さのほぼ1/3.。痩果は広い倒円柱形(obcolumnar)[細長い倒卵形]、長さ2~3㎜、強く扁平(平ら)、±狭い翼があり、各面に3本、両面に縦のうねがあり、他は平滑、わら色~赤褐色。冠毛は長さ6~9㎜。痩果の約3倍の長さ。 花期と果期は4~10月(南方では通年)。 2n=18。
1-1 Sonchus asper (L.) Hill f. asper  ケナシオニノゲシ
 ヨーロッパ、地中海沿岸地域原産。 中国名は花叶滇苦菜 hua ye dian ku cai.
1-2 Sonchus asper (L.) Hill f. glandulosus Beckh.  ケオニノゲシ
  synonym Sonchus glaucescens Jord.

2 Sonchus arvensis L. アレチノゲシ 広義
 モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、アルメニア、ジョージア、トルコ、ヨーロッパ原産。英名はperennial sowthistle。カナダやアメリカ、アジア、オーストラリアなど世界に広く帰化。
 多年草、(高さ0~)40~150(~200)㎝、普通、長い根茎又は匍匐茎がある。茎は基部が硬く、±ときに木質になり、無毛で、長く、上部で分枝して花をつける。冬に、ロゼットがあり、花期には根生葉はない。葉柄は短い。中部の茎葉の葉身は長円形~披針形、長さ(3~)6~40㎝×幅2~15㎝、基部は耳があり、耳は真っすぐ又は曲がり、円形、縁は全縁又は普通、羽状深裂、裂片は±デルタ形、基部はくびれない、頂裂片は普通、側裂片より大きく、先端に刺がある歯状又は全縁。頭花は長い茎の先に枝分かれしてつき、直径3~5㎝、黄色。花序柄は長さ2~8㎝、無柄又有柄の腺がある。総苞は長さ10~18(~20)㎜。総苞片は幅1~2.5㎜、無柄又有柄の腺がある。花冠は舌部が筒部とほぼ同長。痩果は暗褐色、倒披針形~楕円形、長さ2.4~3.5㎜、各面にうねが(2~)4~5(+)本あり、面にはうねを横切り、うねの間に横しわ~疣がある。冠毛は長さ8~14㎜(痩果の長さの約4倍)。2n = 36 , 54 , 56。2亜種がある。.花期は1~10月。
2-1 Sonchus arvensis Linnaeus subsp. arvensis
 農業の雑草
 花序柄に柄のある腺がある。総苞片は柄のある腺があり、長いものは長さ14~17㎜。 2n = 54.。花期は(3~6)6~9月。

2-2 Sonchus arvensis L. subsp. uliginosus (M.Bieb.) Nyman  アレチノゲシ
  synonym Sonchus arvensis L. var. glabrescens Gunther, Grab. et Wimm. 
  synonym Sonchus arvensis L. var. uliginosus (M.Bieb.) Trautv.
  synonym Sonchus uliginosus M.Bieb.
 北アメリカ、日本などで野生化、帰化。英名はsmooth perennial sow-thistle
 花序は柄の無い腺がある。総苞片は普通、柄の無い腺があり、まれに、綿毛があり、長いものは長さ10~15㎜2n = 36.。花期は(3~6)7~9月。

3 Sonchus brachyotus DC.  ハチジョウナ 八丈菜
  synonym Sonchus arvensis L. f. brachyotus (DC.) Kirp.
  synonym Sonchus arvensis L. var. uliginosus auct. non (M.Bieb.) Trautv. 
  synonym Sonchus arvensis L. subsp. brachyotus (DC.) Kitam.
  synonym Sonchus arvensis L. subsp. arenicola (Vorosch.) Vorosch.
  synonym Sonchus arenicola Vorosch.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、中国、モンゴル、ロシア、タイ、カザフスタン、キルギスタン原産。中国名は长裂苦苣菜 chang lie ku ju cai 。英名はCorn sow thistle 。別名カマドガエシ。山地の傾斜した草地、川辺、アルカリ性地域などに生える。
 多年草。高さ30~100㎝。根は直根は側根をもつ。横走する長い地下茎を持つ。茎葉は狭楕円形~倒披針形、長さ5~20㎝×幅 1~3(~5)㎝、分裂せず、まれに羽状中裂~羽状深裂し、無毛、基部は半抱茎~短く耳状に茎を抱く、縁は小歯状、しばしば波状の歯があり、先は円形~鈍形~ほぼ鋭形。もしあれば側裂片は三角形~狭三角形。中部と上部の茎葉は下部の茎葉に似るが、小さい。合成花序は散房花序、頭花が少数~数個つく。頭花は幅3~3.5㎝、小花が多数つく(普通170~300個)。花序柄は長さ0.5~7㎝、細く、無毛、まれに先に白色の綿毛があり、無毛になる[又は密に綿毛がある]。総苞は広鐘形、長さ14~18㎜、無毛、まれに基部にかすかに白色の綿毛がある。総苞片は4~5裂、ほとんど無毛、先は鋭形。外総苞片は三角状卵形~披針形、幅1.5~1.9(~3)㎜。花冠は長さ1.6~2.6㎝。痩果は狭楕円形、長さ2~4㎜、類扁平、各面に1~3本の主うねがあり、弱いしわがある。冠毛は長さ1.1~1.2㎝宿存する。花期と果期は5~9月。2n = 18。

4 Sonchus oleraceus L.  ノゲシ 野罌粟
 日本全土  ユーラシア大陸原産。英名はcommon sowthistle , common sow thistle , sow thistle , pualele , annual sowthistle , smooth sowthistle。中国名は苦苣菜 ku ju cai。別名はハルノノゲシ、ケシアザミ。道端,、畑の縁などに普通に生える。
 2年草(1年草)。高さ50~140(200)㎝。茎は中空。葉は柔らかく、刺はあまり硬くない。葉は羽状に切れ込み不規則な鋸歯があり、葉の基部が茎を抱く。茎の中間の葉身は長さ6~20(34)㎝、幅2~9(15)㎝、茎上部の葉の基部が三角状に後方へ突き出ることが多く、下部の葉では突き出ないことも多い。頭花は黄色~白黄色で、直径約2㎝、多数の舌状花だけからなり、筒状花は無い。舌状花の小舌と筒部の長さはほぼ等しい。花柄は長さ0.5~7㎝。総苞は長さ10~13㎜。花柄には普通、腺毛があり、小花柄には腺毛がない。蕾の花柄が短いときは腺毛が密にある。総苞片はほぼ2列、無毛か又は綿毛や腺毛がある。総苞は花後に下部が膨んだ釣鐘状になる。痩果は長さ2.5~3.5(4)㎜、扁平、両面に縦脈と横しわがある。冠毛は長さ(5)6~8㎜、痩果の2~3倍の長さがある。冠毛にはほぼ上向きの小刺があり、細いものが混ざって本数が多い。2n=32, 36。花期は4~10月。
品種) 'Custard 'n' Green' (v) , 'Stephen Mifsud'

5 Sonchus tenerrimus L.  ホソバノゲシ 細葉野罌粟
 西アジア、ヨーロッパ、アフリカ原産。英名はclammy sow thistle , slender sow thistle。 日本でも確認されている。
 葉身の裂片が±菱形~披針形(基部はくびれ)~±線形、頂裂片は側裂片とほぼ等しいく、花冠の舌部が筒部より長いのが特徴。
 1年草、2年草、又は多年草。高さ10~80㎝。茎は基部が柔か又は硬く、草質、しばしば、中空。中部の茎葉の葉身は長円形、長さ3~20㎝×幅2~6㎝、基部は耳があり、耳は卵形~披針形~線形、ほぼ真っすぐ、鈍形~鋭形、縁は普通、羽状分裂、裂片は±菱形~披針形(基部はくびれ)~±線形、頂裂片は側裂片とほぼ等しく、全縁~歯状縁。花序柄は普通、剛毛~柄のある腺があり、ときに無毛。総苞は長さ10~12+㎜。総苞片は普通、剛毛~柄のある腺があり、ときに軟毛がある。花冠は舌部が筒部より長い。痩果は赤褐色、倒披針形、長さ2.5~3.5㎜、各面にうねが1~3本あり、面にはうねを横切る及びうねの間に横の小しわ又は疣がある。冠毛は長さ5~8㎜。 2n = 14.。花期は3~6月。

6 Sonchus wightianus DC.  タイワンハチジョウナ 台湾八丈菜
  synonym Sonchus arvensis auct. non L.
 ヨーロッパ原産。中国名は苣荬菜 ju mai cai 。英名はWight's Sow-Thistle
直根の多年草。高さ40~150㎝。茎は無毛。葉は下部に集まってつき、花柄は細く、腺毛又は毛がある。葉身は長さ6~24㎝×幅1.5~6㎝[実測:長さ9~31㎝×幅1.5~10㎝]、全縁~羽状中裂~羽状深裂、無毛、葉の縁には刺状の鋸歯があり、葉の基部は茎を抱く。葉裏は粉白色。春の羽状に分裂する葉は春の花が終わる頃には枯れ、夏の葉は分裂が少なく、ほぼ全縁。茎の上部には苞のような小さな葉がある。。頭花は長い茎の先に枝分かれしてつき、直径2~3㎝。花冠は黄色、一番外側の1列の舌状花だけ外側が赤色。総苞は長さ12~15㎜[実測:長さ15~17㎜]、基部に白色の綿毛があり、赤色を帯びた腺毛。総苞片は4列、内総苞片には腺毛がない。総苞片の幅は幅1~1.5㎜[実測:1.4~1.8㎜]、外側が一番幅が狭い。痩果は長さ3.5~4.5㎜[実測:3.9~4.5㎜]、褐色、やや扁平な楕円体。片面に6本の溝があり、主肋は1本(又は2本)が弱く突き出し、2次的な肋がいくつかある。冠毛は白色、長さ6~9㎜[実測:長さ9~11㎜]、乾くと曲がりやすい。花期は1~10(11)月。2n=18。

参考

1) GRIN
 Sonchus
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=11287
2) Kewscience
 Sonchus
 http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:327341-2
3) The Jepson Herbarium
 Sonchus arvensis L.
 https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=5114
4)Flora of China
 Sonchus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=130683
5)Flora of North America
 Sonchus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=130683