ニガクサ 苦草
Flora of Mikawa
シソ科 Lamiaceae ニガクサ属
中国名 | 穗花香科科 sui hua xiang ke ke |
学 名 | Teucrium japonicum Houtt. |
花 期 | 7~9月 |
高 さ | 30~60㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山野のやや湿り気のある場所 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国 |
撮 影 | 幸田町広田川土手 05.7.23 |
多年草、匍匐茎性がある。地下茎は細く長い。茎は断面が四角形、直立し、分枝する。葉は対生し、葉柄は長さ0.8~1.5(2)㎝。葉身は卵状長楕円形~卵状披針形、長さ5~10㎝、幅1.5~4㎝、脈が深く、縁にはふぞろいな重鋸歯があり、先は鋭形~短い尖鋭形、基部は心形~切形。穂状花序は長さ3~4.5㎝、無毛、輪散花序は一緒になり、花が2個。苞は線状披針形。花柄は長さ約1.5㎜。萼は鐘形、長さ4~4.5㎜、幅3~3.5㎜、基部近くの前側がわずかに膨れ、10脈脈がある。萼歯は三角形、下側の2個は細い。花冠は白色又は帯赤色、長さ1.2~1.4㎝、花冠筒部は花冠の長さの1/4。上唇は無く、下唇が長い1唇形花。中裂片は菱状倒卵形、下唇弁の長さの約1/2。上側の側裂片は卵状長楕円形、鋭形。花柱は雄しべと同長。小堅果は栗褐色、倒卵形、長さ約1.2㎜、平滑、まばらな水疱状、有毛。花期は7~9月。
萼に剛毛や軟毛が生えるものはケニガクサという。
類似種のツルニガクサは林内、林縁に生え、花が小さい。萼は口部がややすぼまり、腺毛が密生する。
多年草又は亜低木。根茎をもち、叉は匍匐茎性(stoloniferous)がある。茎は直立又は斜上、1本又は基部から分枝する。葉は単葉、葉柄は有又はほぼ無。 葉身は心形~披針形、羽状脈。輪散花序は擬穂状花序~頂生の総状花序~総状花序の円錐花序に花が2~6個つく。苞は菱状卵形~線状披針形、縁は全縁又は歯状。萼は10脈があり、のど部は無毛~環状の軟毛がある。萼筒は筒状~鐘形、基部の前側が膨れる。拡大部は等形の5歯から2唇形、上唇は3歯、下唇は2歯。花冠は1唇形(上唇が2裂し、下唇の基部の側裂片のようになったもの)、花冠筒部は突き出さないか又は突き出て、内側の環状の毛は無い。花冠の拡大部は5裂片、中央の裂片は円形又はへら形、たまに小裂片.が2個あり、側裂片は合計4個、小さい。雄しべは4個、前側の2個がわずかに長く、花冠の後側の筒からすべて突き出る。葯室は開出する・子房は球形。花柱は雄しべと同長又はわずかに長く、先は等形又はほぼ等形に2裂する。小堅果は倒卵形、無毛、平滑~網状、小区画は小堅果の長さの約1/2。
世界に約260種あり、多くが地中海沿岸に分布する。英名はgermanders。中国名は香科科属(xiang ke ke shu)。
synonym Teucrium officinale Lam.
synonym Teucrium multiflorum L.
アジア(ロシア、アルメニア、トルクメニスタン、トルコ、シリア)、ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はwall germander , germander。ハーブとして使われる。
常緑、亜低木。高さ10~20(35)㎝。茎は斜上又は傾伏し、短毛があり、巻き毛が混じり、先端に毛が多い。葉柄は長さ(2)5(8)㎜。葉身は卵状長円形~長円状披針形、長さ(5)10~15(20)㎜×幅(2)3~5(10)㎜、基部は楔形、縁は円鋸歯又は浅裂し、上面は緑色、伏毛があり、下面は白色の綿毛と腺毛がある。花序は長さ2~15㎝、輪散花序が2~15個つき、各輪散花序に花が(1)2~3個つく。萼は長さ(6)6.5~7.5(9)㎜、鐘形、萼歯は長さ1.5~3㎜、三角形、尖鋭形。花冠は長さ(2)10~16.5㎜、ピンク色、紫色、まれに白色、有毛、筒部は萼より長い。雄しべは下部の1/3に微軟毛の腺毛がある。小堅果(núculas)は長さ1.4~1.7㎜、類球形、少し網状。2n=30, 32, 48, 58, 60, 62, 64;n=16。花期は晩春~夏(又は7~9月)。
品種) 'Nanum' , 'Prostratum' , 'Rose' , 'Rose Carpet' , 'Spring Gold' , 'Summer Sunshine' , 'Variegatum' (v)
2 Teucrium cossonii D.Wood テウクリウム・コッソニー
バレアレス諸島(スペイン)固有種。英名はfruity germander。標高(30)50~1000mの岩山、石の多い斜面、松林、海の近くの低木林に生える。
亜低木、高さ(12)20~25(35)㎝、直立する。茎は斜上し、時にはやや曲がりくねり、短く、高度に分岐した毛があり、短い樹木状の枝がある。葉は長さ(16)18~22(29)㎜×幅(1.5)2~3(3.5)㎜、茎に沿って様々で、披針形、披針状線形または線形、上部3分の1に波打ちまたは円鋸歯があり、ときに全縁、平ら、縁のみが外巻きまたは外巻きし、上面は灰緑色または灰色、下面は帯白色、束状で湾曲し直立または水平で粉状の細かい枝分かれしたパピラ状の毛があり、曲がって絡み合った枝をもち、球状の腺を持つ。花序は長さ2~2.5㎝×幅3.5~4㎝、よく分化し、目に見え、茎の端で狭くなり、ボリュームがあり、総状花序または短い円錐花序を形成し、3~5個の密な球形~窪んだ卵形または穂状の頭状花序があり、花序柄は頭状花序より短い。苞は柄があり、卵状形線形または線形、楔形。下部の小苞は葉身よりも長い柄を持ち、卵状披針形または線形で平ら、全縁、花と同長。花は短い小花柄があり、下部の花は曲がり、中央の花は水平で、上部の花は直立する。萼は長さ6(8)mm、筒形、狭く、不規則に上部3/2は帯白色、または帯赤色、短い枝が曲がった分枝毛がある。萼歯は長さ約1㎜、平ら、三角形で鋭形、下部の萼歯は尖鋭形、二つ折り、縁には単純で長く、曲がりくねった毛がある。花冠は長さ8~10㎜、1唇形(unilabiate)、紫色。花冠筒部は長さ3㎜、真っ直ぐ、萼筒より狭い。後側の側裂片は先がほぼ切形、よく分化し、分裂し、縁毛がある。側裂片は卵状披針形、外側の縁が外巻きし、のど部につく。中央裂片は長さ2.1㎜×幅1㎜、へら形、喉部が凹面形。小堅果は長さ2.5~3㎜×幅1.3㎜、ほぼ球形、黒色、網目がある。 2n=26; n=13。
品種) 'Majoricum' , 'Silver Form'
3 Teucrium fruticans L. ツリージャーマンダー
地中海沿岸原産。英名は olive-leaved germander , tree germander , shrubby germander , silver bush germander。
常緑低木、高さ50~150(200)㎝、多数、分枝し、大きくなり、全体に灰緑色、ビロード状。茎は直立、葉がつき、4稜形、若い茎は草質、灰白色、ときに褐赤色、綿毛がある。古い茎は木質、無毛、円柱形。葉は長さ(15)25~35(55)㎜×幅(8)12~20(35)㎜、茎に沿ってサイズが変化し、卵形、平ら、革質、宿存し、まれに波打ち、全縁、上面はオリーブ色の毛(薄い綿毛)があり又は無毛になり、下面は帯白色(~帯赤色)の綿毛がある。葉柄は長さ2~3㎜。花序は長さ15~25㎝の緩い総状花序、2花の輪散花序(verticilastros)が8~10 (15)個、つく。側枝は長さ7~8㎝、輪散花序が5~6個つく。花は直立、両性又は雌性、花柄は長さ(3)6~10㎜、綿毛がある。萼は長さ(5)10~12(14)㎜、鐘形、葉質、 褐色、漸増し、果時に開き、普通の1.5倍になり、萼筒の内側に10脈がある。萼歯は長さ(4) 5~5.5(6) ㎜、普通、萼筒より長く、平ら、楕円形、卵状披針形又は三角形、鋭形(agudos)、尖鋭形(acuminados)又は微突形(mucronados)、太い中脈をもつ。上側の中央の咢歯と下側の歯は幅が狭く、やや短い。上側の側歯は最も幅が広く、長い。ときに、開花前に下側の歯は収束し、側歯が中央の歯を守り、花期の間、上側の中央の歯は直立~斜上する。花冠は長さ20~24㎜、一唇形(unilabiada)、白ピンク色、ライラック色又は帯青色、暗色の脈又は斑点があり、花冠筒部は長さ4㎜未満、ギボス形(giboso)。後ろ側(上前)の側裂片は長さ6~7㎜×幅3~4㎜、卵形、長円形、長円状披針形、三角形、先は鋭形又は尖頭形、直立、集中し、先が散開する。前側(下側)の側裂片は長さ5~6(7)㎜×幅3(3.5)㎜、後ろ側(上側)の側裂片と同長又は短く、長円形又は卵形、垂直又は平ら、散開する。前側(下側)の中裂片は長さ約20㎜、水平、のど部は長さ約10㎜、卵状披針形~長円形、凹面、背面に短い腺毛がある。雄しべは少なくとも、後ろ側の側裂片や直立する裂片や曲がった先の長さの3倍の長さがある。花糸は基部に三角形の先細りの毛をもち、下部の1/3に短い腺毛をもつ。小堅果(núculas)は長さ、3.5~4(4.5)㎜、倒卵形、網目があり、長毛があり、球形の腺をもち、褐色。2n=30,n=15。[Flora Iberica] 花期は2~6月。
品種) 'Album' , 'Azurea' , 'Azureum' , 'Azureum Compactum' , 'Compactum' , 'Collingwood Ingram' , 'Drysdale' , 'Ice Cube'アイスキューブ , 'Tutti Fruitti'
4 Teucrium hircanicum L. コーカサス・ジャーマンダー
イラン、トルコ原産。英名はCaucasian germander , Iranian wood sage。綴りの誤ったTeucrium hyrcanicumとしてときどき販売されている。'Purple Tails'がよく栽培されている品種。
多年草、直立し、高さ35㎝程度、茎に毛が多い。葉は卵形~披針形、円鋸歯。花序は細長い穂状花序、長さ8~12(それ以上)㎝、花は密につき、赤紫色、長さ1.4~1.8㎝。花期は晩夏~秋。
品種) 'Flowtime' , 'Paradise Delight', 'Paradise Delight' , 'Purple Tails' , 'Rubrum'
5 Teucrium japonicum Houtt. ニガクサ 苦草
日本全土、朝鮮、中国原産。中国名は穗花香科科 sui hua xiang ke ke。山野のやや湿り気のある場所に生える。
多年草、匍匐茎性がある。地下茎は細く長い。茎は断面が四角形、直立し、分枝する。葉は対生し、葉柄は長さ0.8~1.5(2)㎝。葉身は卵状長楕円形~卵状披針形、長さ5~10㎝、幅1.5~4㎝、脈が深く、縁にはふぞろいな重鋸歯があり、先は鋭形~短い尖鋭形、基部は心形~切形。穂状花序は長さ3~4.5㎝、無毛、輪散花序は一緒になり、花が2個。苞は線状披針形。花柄は長さ約1.5㎜。萼は鐘形、長さ4~4.5㎜、幅3~3.5㎜、基部近くの前側がわずかに膨れ、10脈脈がある。萼歯は三角形、下側の2個は細い。花冠は白色又は帯赤色、長さ1.2~1.4㎝、花冠筒部は花冠の長さの1/4。上唇は無く、下唇が長い1唇形花。中裂片は菱状倒卵形、下唇弁の長さの約1/2。上側の側裂片は卵状長楕円形、鋭形。花柱は雄しべと同長。小堅果は栗褐色、倒卵形、長さ約1.2㎜、平滑、まばらな水疱状、有毛。花期は7~9月。
5-1 Teucrium japonicum var. japonicum
中国名は穗花香科科 sui hua xiang ke ke 。
萼は無毛、縁毛がある。花序は無毛。葉柄及び葉裏はまばらに有毛。全体にわずかに軟毛又は毛があるか無毛。
5-2 Teucrium japonicum var. tsungmingense C. Y. Wu & S. Chow
中国名は崇明穗花香科科 chong ming bian zhong
萼は無毛、縁毛がある。花序は有毛。葉柄及び葉裏は白色の羊毛状。全体に羊毛状の毛がある。
5-3 Teucrium japonicum var. microphyllum C. Y. Wu & S. Chow
中国名は小叶穗花香科科 xiao ye bian zhong
萼にはまばらに毛がある。
5-4 Teucrium japonicum Willd. f. hispidovillosum Kudo ケニガクサ
6 Teucrium marum L. テウクリウム・マルム
スペイン、地中海沿岸原産。英名はcat thyme。タイム(thyme)に似た香は無く、かび臭い。
温暖地では亜低木、高さ30~90(~120)㎝。全体に白色の短毛がある。葉が小さく、楕円形、白色の綿毛がある。花はピンク色~深紅色。花期は7~9月。
品種) 'Feuilles Vertes'
7 Teucrium pilosum (Pamp.) C.Y.Wu et S.Chow アラゲニガクサ 粗毛苦草
中国(広西省、貴州省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、浙江省)原産。中国名は长毛香科科 chang mao xiang ke ke。薬用に使われる。標高300~2500mの森林の縁、斜面、川岸に生える。
多年草、匍匐茎を持つ。茎は直立し、単純またはたまに先で分枝し、高さ50~100㎝、白色または黄色の絨毛が密に広がり、毛は最大3mm。葉柄は長さ0.4~1㎝で、開出する絨毛がある。葉身は卵状披針形~長円状披針形、長さ5~8(~12)㎝×幅1.5~2.5(~5)㎝、上面には中脈に絨毛があり、それ以外は伏した毛があるか不均等に毛があり、下面には脈に絨毛があり、基部は切形~ほぼ心形、縁は不規則に重小鋸歯があり、先は短い尖鋭形~尖鋭形。穂状花序は頂生、長さ3.5~7(~15)㎜、絨毛があり、輪散花序に花が2~4個つく。苞は線状披針形で絨毛がある。小花柄は長さ約1.5㎜、絨毛がある。萼は鐘形、約・長さ4㎜×幅3㎜、絨毛があり、外側に黄色の腺がある。上側の3歯は三角形、下側の2歯は三角状錐形。花冠は帯赤色、長さ1.2~1.5㎝。花冠筒部は花冠の長さの1/3未満の長さ。拡大部は真っすぐで、中央の裂片は倒卵状円形、直径5.5㎜まで、先は小突起形、側裂片は卵形~長円形、先は鋭形。小堅果は不明。花期は7~8月。
8 Teucrium polium L. テウクリウム・ポリウム
地中海沿岸(アルバニア、スペイン、フランス、アルジェリア、チュニジア、モロッコ)原産。英名はfelty germander , cat thyme, hulwort, mountain germander 。胃薬として使われるが毒性があり、注意が必要。
亜低木又は多年草(低木)。高さ20~40㎝。綿毛状の灰白軟毛がある。葉は長さ1~3㎝、長楕円形、無柄。枝は分枝して直立し、枝先に円錐花序又は散房花序をつける。花は白色~淡クリーム色。花期は4~8月。
品種) 'Album'
9 Teucrium scorodonia L. ヨーロッパニガクサ
ヨーロッパ西部、チュニジア原産。英名はgarlic sage , woodland germander , wood sage。
亜低木、高さ30~60㎝、直立して分枝し、有毛。葉は葉柄がある。葉身は三角状卵形~長楕円形。花は淡緑色~帯黄色。雄しべは4個、花糸が帯赤色又はバイオレット色。花冠は他の同属と同様に1唇形で、上唇が無い。花期は6~9月。
品種) 'Binsted Gold' , 'Cae Rhos Lligwy' (v) , 'Crispum' , 'Crispum Aureomarginatum' , 'Crispum Marginatum' (v) , 'Pant Gwyn' (v) , 'Spring Morn' , 'Winterdown' (v)
多年草、直立し、高さ20~60㎝。根茎は匍匐し、匍匐茎を持つ。茎は四角形で、紫色、軟毛があり、反り返った紫色の毛がある。葉は対生し、紙質。葉柄は長さ0.5~1.3㎝、反り返った軟毛がある。葉身は長さ2.5~4㎝×幅1.2~2.0㎝、楕円形、先は鋭形または広鋭形、基部は鋭形または楔形で、葉柄に沿下し、縁は単鋸歯または重鋸歯があり、両面に反り返った毛が散在し、下面には腺点があり、通常は紫色。花は対につき、偽輪生で、対生する。花序は総状花序状、頂生し、長さ3~7㎝。苞は楕円形、長さ4~10㎜、微軟毛がある。小花柄は長さ4~5㎜、反り返った軟毛がある。萼は鐘形、2唇形、長さ8㎜、外側の脈に沿ってまばらに反り返った毛があり、喉部の内側には環状の隔壁のある毛がある。上唇は3裂し、中間の裂片が最も大きく、広心状三角形、凹面形、先端は尖鋭形、長さ約3㎜、幅約4㎜、側裂片は三角形、鋭形、長さ1.5㎜、下唇は2裂し、三角形、鋭形、長さ約3㎜。花冠は2唇形、長さ16~18㎜、白色、上唇は深く2裂し、裂片は狭三角形、先は尖鋭形、微軟毛があり、長さ約3㎜、下唇に合着し、下唇は3裂し、中裂片が最も大きく、船形で長さ約5㎜。雄しべは4本、2強雄しべ、突出する。小堅果は浅くうねがあり、球形で長さ1.5~1.6mm、腺の顆粒で覆われる。2n=64。花期は8~9月。
11 Teucrium teinense Kudo テイネニガクサ 手稲苦草
日本固有種(北海道、本州の東北地方)。
多年草、基部から匐枝を出す。高さ20~30㎝。茎は直立、上部の節にだけ開出毛がある。葉は長楕円状卵形、長さ3~5㎝×幅1.5~2.5㎝、鋭頭、表面に長毛が散生する。花序は短く、花が少数つく。苞は広披針形。萼は果時に長さ4㎜、膜質、ごくまばらに細い腺毛がある。萼歯は鋭頭~鋭突頭。花冠は白色、長さ7~8㎜。花期は(7)8(9)月。(岩手県レーッドデータブック、鳥取県植物誌)
12 Teucrium ussuriense Kom. チョウセンニガクサ 朝鮮苦草
synonym Teucrium japonicum Houtt. var. continentale Kitag.
中国(河北省、遼寧省、山西省)、ロシア原産。中国名は黑龙江香科科 hei long jiang xiang ke ke。開けた、石の多い斜面、川岸に生える。
多年草、匍匐茎を持つ。茎は直立し、高さ25~45㎝、単純または極短く分枝し、白色の短枝状。葉柄は4~7㎜、白色の羊毛状毛がある。葉身は卵状長円形、長さ2.5~4㎝×幅1~1.6㎝、紙質、上面に伏した軟毛があり±しわがあり、下面には密に白色の羊毛状毛があり、基部は切形または広楔形、縁は不規則な小鋸歯状、先は鈍形または鋭形。穂状花序は長さ2~4.5cm、輪散花序は花が2~4個つく。苞は線状披針形、長さ3~4㎜、細柔毛がある。小花柄は長さ約2㎜、細柔毛がある。萼は鐘形、約・長さ5㎜×幅2.5mm、外側に細柔毛があり、2唇形。萼歯は萼の長さの約1/4で、縁毛があり、上側の3歯は卵状三角形、下側の2歯は三角状披針形、先は鋭形。花冠は紫色、長さ約1.2㎝、外側にまばらに白色の微軟毛があり、喉部にも白色の微軟毛があり、花冠筒部は花冠の長さの約1/3またはそれ以上。中央裂片は菱状倒卵形、拡大部の長さの約2/5の長さで、側裂片は卵状長円形。前側の雄しべは花冠の拡大部の長さと同長。花柱はわずかに突き出る。小堅果は帯褐色、2~3 個、よく発達し、不均等、ほぼ球形、直径約1㎜、平滑。花期は8月。果期は9月。
13 Teucrium veronicoides Maxim. エゾニガクサ 蝦夷苦草
日本、朝鮮、中国原産。中国名は裂苞香科科 lie bao xiang ke ke 。
多年草、匍匐茎性がある。茎は直立、高さ20~40㎝、絨毛があり、多数分枝する。葉柄は長さ1~2㎝、絨毛がある。茎中間の葉身は円形~卵状三角形、長さ2~4㎝、幅1.8~3㎝。基部の葉身はときに、類腎形、長さ0.7~1.3㎝、幅0.5~1.5㎝、上面は伏した毛があり、下面は脈上以外は無毛、脈上は絨毛がある。はの基部は切形又は類心形、縁は重円鋸歯、葉先は鈍形~鋭形。輪散花序は花が2個、穂状花序になり、穂状花序は長さ5~10㎝、花軸は絨毛がある。苞は卵形、3裂する。花柄は長さ2.5~3.5㎜、絨毛がある。萼は鐘形、長さ3~4㎜、幅2~2.5㎜。萼歯は三角形、ほぼ等形、鈍形、縁毛を除いて、ほぼ無毛。花冠は紫赤色、長さ7~8㎜、外面はほぼ無毛、花冠の拡大部は広がり、中央裂片は類円形、側裂片は斜めの卵状三角形、ほぼ等形。小堅果は栗褐色、長楕円状倒卵形、長さ約1.2㎜、平滑。花期は6月。
開出毛が短く、葉の鋸歯が大きい。
14 Teucrium viscidum Blume コニガクサ 小苦草
日本、朝鮮、中国、インド、インドネシア、ミャンマー、フィリピンに分布。中国名は血见愁 xue jian chou 。英名はsticky germander。
多年草、匍匐茎性がある。茎は直立し、高さ30~70㎝、基部は無毛又はほぼ無毛、先は腺毛があるか又は無毛。葉柄は長さ1~3㎝、ほぼ無毛。葉身は卵形~卵状披針形、長さ3~10㎝、ほぼ無毛又はごくまばらに微軟毛がある。葉の基部は円形~広楔形~楔形、縁は重円鋸歯、葉先は鋭形~短い尖鋭形。穂状花序は茎の上部や枝先につき、長さ3~7㎝、密に腺毛がある。輪散花序は一緒になり、2花がつく。苞は披針形。花柄は長さ1~2㎝、密に腺毛がある。萼は鐘形、長さ2.8~4㎜、幅約2.2㎜。萼歯は真っすぐ、ほぼ等形、萼筒の長さの1/2より短い。上側の萼歯3個は卵状三角形、下側の2歯は三角形。花冠は白色~帯赤色~帯紫色、長さ6.5~7.5㎜、筒部は長さ約3㎜。中央裂片は円形、側裂片は卵状三角形、鈍形。子房は先に水疱状突起があり、有毛。花柱は雄しべと同長。小堅果は黄褐色、卵形、長さ約1.3㎜。花期は6~11月(場所によっては6~9月)。
14-1 Teucrium viscidum Blume var. viscidum コニガクサ
日本(九州南部、沖縄)、中国、朝鮮、インド、フィリピン、インドネシア、ミャンマーに分布。中国名は血见愁 xue jian chou 。
萼に腺毛が密生する。
14-2 Teucrium viscidum Blume var. leiocalyx
中国原産。光萼血见愁 guang e bian zhong 。
茎は絨毛があるかほぼ無毛。萼は無毛、果時に光沢がある。花は白色。。
萼は密に灰色の微軟毛があり、長さ約4㎜、幅約2.5㎜。花冠は長さ8~10㎜、筒部は長さ4~5㎜。
品種) 'Lemon and Lime' (v)
14-4 Teucrium viscidum Blume var. longibracteatum
中国原産。中国名は长苞血见愁 chang bao bian zhong 。
葉の基部は円形~切形。穂状花序に灰色の毛がある。苞は長さ10㎜以下。萼には密に灰色の毛がある。
茎はまばらに毛がある。葉柄及び葉裏に毛がある。葉の基部は切形。苞は長さ8㎜以下。萼には密に灰色の毛がある。花冠は長さ約10㎜。
synonym eucrium maximowiczii Probat.
日本(日本全土)、朝鮮に分布。
多年草、地下に匍匐茎がある。茎は直立、高さ30~60㎝。葉は対生し、葉柄は長さ1~3㎝。茎の基部の葉は小さく、茎中間の葉が最も大きい。葉身は長さ3~10㎝の卵形~卵状披針形、縁は不規則な鋸歯があり、葉先が鋭形、基部は広い楔形。葉の質は薄く、葉脈が窪んで深い。花序は輪散花序が密集した穂状花序。苞は披針形、腺毛が密生する。花柄は苞より短い。花序軸や花柄には絨毛があり、腺毛も混じる。萼は筒状鐘形、先が5裂し、腺毛が密生し、花後は萼筒部分が球形になり、萼歯が内側にやや曲がり、口が狭くなる。花冠は長さ8~10㎜、上唇が無く、下唇が長い1唇形花(属の特徴:上唇弁の裂片が下唇の上横につく)。中央裂片はほぼ円形。側裂片は上側がやや大きく、三角形。花冠筒部はほとんど萼筒内にあり、白色。花冠弁部は紫赤色。雌しべは雄しべとほぼ同長、ともに上側に突き出る。果実は4分果(小堅果)、分果は長さ1.1~1.7㎜、低い網目模様があり、暗褐色。花期は7~9月。2n=32。
15 ハイブリッド Hybrid Germander
(1) Teucrium 'Eugen'
(2) Teucrium 'Fairy Dust'
(3) Teucrium × lucidrys (Teucrium chamaedrys × Teucrium lucidum)
'Chedglow' , 'Lucky Gold' (PBR)
Teucrium japonicum Willdenow, Sp. Pl. 3: 23. 1800.
Teucrium veronicoides in Flora of China @ efloras.org
Teucrium hyrcanicum
Teucrium polium (L.) Tausch
Teucrium fruticans (Olive-leaved Germander)
Teucrium fruticans L.
萼に剛毛や軟毛が生えるものはケニガクサという。
類似種のツルニガクサは林内、林縁に生え、花が小さい。萼は口部がややすぼまり、腺毛が密生する。
ニガクサ属
family Lamiaceae - genus Teucrium多年草又は亜低木。根茎をもち、叉は匍匐茎性(stoloniferous)がある。茎は直立又は斜上、1本又は基部から分枝する。葉は単葉、葉柄は有又はほぼ無。 葉身は心形~披針形、羽状脈。輪散花序は擬穂状花序~頂生の総状花序~総状花序の円錐花序に花が2~6個つく。苞は菱状卵形~線状披針形、縁は全縁又は歯状。萼は10脈があり、のど部は無毛~環状の軟毛がある。萼筒は筒状~鐘形、基部の前側が膨れる。拡大部は等形の5歯から2唇形、上唇は3歯、下唇は2歯。花冠は1唇形(上唇が2裂し、下唇の基部の側裂片のようになったもの)、花冠筒部は突き出さないか又は突き出て、内側の環状の毛は無い。花冠の拡大部は5裂片、中央の裂片は円形又はへら形、たまに小裂片.が2個あり、側裂片は合計4個、小さい。雄しべは4個、前側の2個がわずかに長く、花冠の後側の筒からすべて突き出る。葯室は開出する・子房は球形。花柱は雄しべと同長又はわずかに長く、先は等形又はほぼ等形に2裂する。小堅果は倒卵形、無毛、平滑~網状、小区画は小堅果の長さの約1/2。
世界に約260種あり、多くが地中海沿岸に分布する。英名はgermanders。中国名は香科科属(xiang ke ke shu)。
ニガクサ属の主な種と園芸品種
1 Teucrium chamaedrys L. ウォールジャーマンダーsynonym Teucrium officinale Lam.
synonym Teucrium multiflorum L.
アジア(ロシア、アルメニア、トルクメニスタン、トルコ、シリア)、ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はwall germander , germander。ハーブとして使われる。
常緑、亜低木。高さ10~20(35)㎝。茎は斜上又は傾伏し、短毛があり、巻き毛が混じり、先端に毛が多い。葉柄は長さ(2)5(8)㎜。葉身は卵状長円形~長円状披針形、長さ(5)10~15(20)㎜×幅(2)3~5(10)㎜、基部は楔形、縁は円鋸歯又は浅裂し、上面は緑色、伏毛があり、下面は白色の綿毛と腺毛がある。花序は長さ2~15㎝、輪散花序が2~15個つき、各輪散花序に花が(1)2~3個つく。萼は長さ(6)6.5~7.5(9)㎜、鐘形、萼歯は長さ1.5~3㎜、三角形、尖鋭形。花冠は長さ(2)10~16.5㎜、ピンク色、紫色、まれに白色、有毛、筒部は萼より長い。雄しべは下部の1/3に微軟毛の腺毛がある。小堅果(núculas)は長さ1.4~1.7㎜、類球形、少し網状。2n=30, 32, 48, 58, 60, 62, 64;n=16。花期は晩春~夏(又は7~9月)。
品種) 'Nanum' , 'Prostratum' , 'Rose' , 'Rose Carpet' , 'Spring Gold' , 'Summer Sunshine' , 'Variegatum' (v)
2 Teucrium cossonii D.Wood テウクリウム・コッソニー
バレアレス諸島(スペイン)固有種。英名はfruity germander。標高(30)50~1000mの岩山、石の多い斜面、松林、海の近くの低木林に生える。
亜低木、高さ(12)20~25(35)㎝、直立する。茎は斜上し、時にはやや曲がりくねり、短く、高度に分岐した毛があり、短い樹木状の枝がある。葉は長さ(16)18~22(29)㎜×幅(1.5)2~3(3.5)㎜、茎に沿って様々で、披針形、披針状線形または線形、上部3分の1に波打ちまたは円鋸歯があり、ときに全縁、平ら、縁のみが外巻きまたは外巻きし、上面は灰緑色または灰色、下面は帯白色、束状で湾曲し直立または水平で粉状の細かい枝分かれしたパピラ状の毛があり、曲がって絡み合った枝をもち、球状の腺を持つ。花序は長さ2~2.5㎝×幅3.5~4㎝、よく分化し、目に見え、茎の端で狭くなり、ボリュームがあり、総状花序または短い円錐花序を形成し、3~5個の密な球形~窪んだ卵形または穂状の頭状花序があり、花序柄は頭状花序より短い。苞は柄があり、卵状形線形または線形、楔形。下部の小苞は葉身よりも長い柄を持ち、卵状披針形または線形で平ら、全縁、花と同長。花は短い小花柄があり、下部の花は曲がり、中央の花は水平で、上部の花は直立する。萼は長さ6(8)mm、筒形、狭く、不規則に上部3/2は帯白色、または帯赤色、短い枝が曲がった分枝毛がある。萼歯は長さ約1㎜、平ら、三角形で鋭形、下部の萼歯は尖鋭形、二つ折り、縁には単純で長く、曲がりくねった毛がある。花冠は長さ8~10㎜、1唇形(unilabiate)、紫色。花冠筒部は長さ3㎜、真っ直ぐ、萼筒より狭い。後側の側裂片は先がほぼ切形、よく分化し、分裂し、縁毛がある。側裂片は卵状披針形、外側の縁が外巻きし、のど部につく。中央裂片は長さ2.1㎜×幅1㎜、へら形、喉部が凹面形。小堅果は長さ2.5~3㎜×幅1.3㎜、ほぼ球形、黒色、網目がある。 2n=26; n=13。
品種) 'Majoricum' , 'Silver Form'
3 Teucrium fruticans L. ツリージャーマンダー
地中海沿岸原産。英名は olive-leaved germander , tree germander , shrubby germander , silver bush germander。
常緑低木、高さ50~150(200)㎝、多数、分枝し、大きくなり、全体に灰緑色、ビロード状。茎は直立、葉がつき、4稜形、若い茎は草質、灰白色、ときに褐赤色、綿毛がある。古い茎は木質、無毛、円柱形。葉は長さ(15)25~35(55)㎜×幅(8)12~20(35)㎜、茎に沿ってサイズが変化し、卵形、平ら、革質、宿存し、まれに波打ち、全縁、上面はオリーブ色の毛(薄い綿毛)があり又は無毛になり、下面は帯白色(~帯赤色)の綿毛がある。葉柄は長さ2~3㎜。花序は長さ15~25㎝の緩い総状花序、2花の輪散花序(verticilastros)が8~10 (15)個、つく。側枝は長さ7~8㎝、輪散花序が5~6個つく。花は直立、両性又は雌性、花柄は長さ(3)6~10㎜、綿毛がある。萼は長さ(5)10~12(14)㎜、鐘形、葉質、 褐色、漸増し、果時に開き、普通の1.5倍になり、萼筒の内側に10脈がある。萼歯は長さ(4) 5~5.5(6) ㎜、普通、萼筒より長く、平ら、楕円形、卵状披針形又は三角形、鋭形(agudos)、尖鋭形(acuminados)又は微突形(mucronados)、太い中脈をもつ。上側の中央の咢歯と下側の歯は幅が狭く、やや短い。上側の側歯は最も幅が広く、長い。ときに、開花前に下側の歯は収束し、側歯が中央の歯を守り、花期の間、上側の中央の歯は直立~斜上する。花冠は長さ20~24㎜、一唇形(unilabiada)、白ピンク色、ライラック色又は帯青色、暗色の脈又は斑点があり、花冠筒部は長さ4㎜未満、ギボス形(giboso)。後ろ側(上前)の側裂片は長さ6~7㎜×幅3~4㎜、卵形、長円形、長円状披針形、三角形、先は鋭形又は尖頭形、直立、集中し、先が散開する。前側(下側)の側裂片は長さ5~6(7)㎜×幅3(3.5)㎜、後ろ側(上側)の側裂片と同長又は短く、長円形又は卵形、垂直又は平ら、散開する。前側(下側)の中裂片は長さ約20㎜、水平、のど部は長さ約10㎜、卵状披針形~長円形、凹面、背面に短い腺毛がある。雄しべは少なくとも、後ろ側の側裂片や直立する裂片や曲がった先の長さの3倍の長さがある。花糸は基部に三角形の先細りの毛をもち、下部の1/3に短い腺毛をもつ。小堅果(núculas)は長さ、3.5~4(4.5)㎜、倒卵形、網目があり、長毛があり、球形の腺をもち、褐色。2n=30,n=15。[Flora Iberica] 花期は2~6月。
品種) 'Album' , 'Azurea' , 'Azureum' , 'Azureum Compactum' , 'Compactum' , 'Collingwood Ingram' , 'Drysdale' , 'Ice Cube'アイスキューブ , 'Tutti Fruitti'
4 Teucrium hircanicum L. コーカサス・ジャーマンダー
イラン、トルコ原産。英名はCaucasian germander , Iranian wood sage。綴りの誤ったTeucrium hyrcanicumとしてときどき販売されている。'Purple Tails'がよく栽培されている品種。
多年草、直立し、高さ35㎝程度、茎に毛が多い。葉は卵形~披針形、円鋸歯。花序は細長い穂状花序、長さ8~12(それ以上)㎝、花は密につき、赤紫色、長さ1.4~1.8㎝。花期は晩夏~秋。
品種) 'Flowtime' , 'Paradise Delight', 'Paradise Delight' , 'Purple Tails' , 'Rubrum'
5 Teucrium japonicum Houtt. ニガクサ 苦草
日本全土、朝鮮、中国原産。中国名は穗花香科科 sui hua xiang ke ke。山野のやや湿り気のある場所に生える。
多年草、匍匐茎性がある。地下茎は細く長い。茎は断面が四角形、直立し、分枝する。葉は対生し、葉柄は長さ0.8~1.5(2)㎝。葉身は卵状長楕円形~卵状披針形、長さ5~10㎝、幅1.5~4㎝、脈が深く、縁にはふぞろいな重鋸歯があり、先は鋭形~短い尖鋭形、基部は心形~切形。穂状花序は長さ3~4.5㎝、無毛、輪散花序は一緒になり、花が2個。苞は線状披針形。花柄は長さ約1.5㎜。萼は鐘形、長さ4~4.5㎜、幅3~3.5㎜、基部近くの前側がわずかに膨れ、10脈脈がある。萼歯は三角形、下側の2個は細い。花冠は白色又は帯赤色、長さ1.2~1.4㎝、花冠筒部は花冠の長さの1/4。上唇は無く、下唇が長い1唇形花。中裂片は菱状倒卵形、下唇弁の長さの約1/2。上側の側裂片は卵状長楕円形、鋭形。花柱は雄しべと同長。小堅果は栗褐色、倒卵形、長さ約1.2㎜、平滑、まばらな水疱状、有毛。花期は7~9月。
5-1 Teucrium japonicum var. japonicum
中国名は穗花香科科 sui hua xiang ke ke 。
萼は無毛、縁毛がある。花序は無毛。葉柄及び葉裏はまばらに有毛。全体にわずかに軟毛又は毛があるか無毛。
5-2 Teucrium japonicum var. tsungmingense C. Y. Wu & S. Chow
中国名は崇明穗花香科科 chong ming bian zhong
萼は無毛、縁毛がある。花序は有毛。葉柄及び葉裏は白色の羊毛状。全体に羊毛状の毛がある。
5-3 Teucrium japonicum var. microphyllum C. Y. Wu & S. Chow
中国名は小叶穗花香科科 xiao ye bian zhong
萼にはまばらに毛がある。
5-4 Teucrium japonicum Willd. f. hispidovillosum Kudo ケニガクサ
6 Teucrium marum L. テウクリウム・マルム
スペイン、地中海沿岸原産。英名はcat thyme。タイム(thyme)に似た香は無く、かび臭い。
温暖地では亜低木、高さ30~90(~120)㎝。全体に白色の短毛がある。葉が小さく、楕円形、白色の綿毛がある。花はピンク色~深紅色。花期は7~9月。
品種) 'Feuilles Vertes'
7 Teucrium pilosum (Pamp.) C.Y.Wu et S.Chow アラゲニガクサ 粗毛苦草
中国(広西省、貴州省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、浙江省)原産。中国名は长毛香科科 chang mao xiang ke ke。薬用に使われる。標高300~2500mの森林の縁、斜面、川岸に生える。
多年草、匍匐茎を持つ。茎は直立し、単純またはたまに先で分枝し、高さ50~100㎝、白色または黄色の絨毛が密に広がり、毛は最大3mm。葉柄は長さ0.4~1㎝で、開出する絨毛がある。葉身は卵状披針形~長円状披針形、長さ5~8(~12)㎝×幅1.5~2.5(~5)㎝、上面には中脈に絨毛があり、それ以外は伏した毛があるか不均等に毛があり、下面には脈に絨毛があり、基部は切形~ほぼ心形、縁は不規則に重小鋸歯があり、先は短い尖鋭形~尖鋭形。穂状花序は頂生、長さ3.5~7(~15)㎜、絨毛があり、輪散花序に花が2~4個つく。苞は線状披針形で絨毛がある。小花柄は長さ約1.5㎜、絨毛がある。萼は鐘形、約・長さ4㎜×幅3㎜、絨毛があり、外側に黄色の腺がある。上側の3歯は三角形、下側の2歯は三角状錐形。花冠は帯赤色、長さ1.2~1.5㎝。花冠筒部は花冠の長さの1/3未満の長さ。拡大部は真っすぐで、中央の裂片は倒卵状円形、直径5.5㎜まで、先は小突起形、側裂片は卵形~長円形、先は鋭形。小堅果は不明。花期は7~8月。
8 Teucrium polium L. テウクリウム・ポリウム
地中海沿岸(アルバニア、スペイン、フランス、アルジェリア、チュニジア、モロッコ)原産。英名はfelty germander , cat thyme, hulwort, mountain germander 。胃薬として使われるが毒性があり、注意が必要。
亜低木又は多年草(低木)。高さ20~40㎝。綿毛状の灰白軟毛がある。葉は長さ1~3㎝、長楕円形、無柄。枝は分枝して直立し、枝先に円錐花序又は散房花序をつける。花は白色~淡クリーム色。花期は4~8月。
品種) 'Album'
9 Teucrium scorodonia L. ヨーロッパニガクサ
ヨーロッパ西部、チュニジア原産。英名はgarlic sage , woodland germander , wood sage。
亜低木、高さ30~60㎝、直立して分枝し、有毛。葉は葉柄がある。葉身は三角状卵形~長楕円形。花は淡緑色~帯黄色。雄しべは4個、花糸が帯赤色又はバイオレット色。花冠は他の同属と同様に1唇形で、上唇が無い。花期は6~9月。
品種) 'Binsted Gold' , 'Cae Rhos Lligwy' (v) , 'Crispum' , 'Crispum Aureomarginatum' , 'Crispum Marginatum' (v) , 'Pant Gwyn' (v) , 'Spring Morn' , 'Winterdown' (v)
10 Teucrium taiwanianum T.H.Hsieh et T.C.Huang タイワンニガクサ 台湾苦草
台湾原産。中国名は臺灣香科科。標高2100~2200mの森林の端に生える。多年草、直立し、高さ20~60㎝。根茎は匍匐し、匍匐茎を持つ。茎は四角形で、紫色、軟毛があり、反り返った紫色の毛がある。葉は対生し、紙質。葉柄は長さ0.5~1.3㎝、反り返った軟毛がある。葉身は長さ2.5~4㎝×幅1.2~2.0㎝、楕円形、先は鋭形または広鋭形、基部は鋭形または楔形で、葉柄に沿下し、縁は単鋸歯または重鋸歯があり、両面に反り返った毛が散在し、下面には腺点があり、通常は紫色。花は対につき、偽輪生で、対生する。花序は総状花序状、頂生し、長さ3~7㎝。苞は楕円形、長さ4~10㎜、微軟毛がある。小花柄は長さ4~5㎜、反り返った軟毛がある。萼は鐘形、2唇形、長さ8㎜、外側の脈に沿ってまばらに反り返った毛があり、喉部の内側には環状の隔壁のある毛がある。上唇は3裂し、中間の裂片が最も大きく、広心状三角形、凹面形、先端は尖鋭形、長さ約3㎜、幅約4㎜、側裂片は三角形、鋭形、長さ1.5㎜、下唇は2裂し、三角形、鋭形、長さ約3㎜。花冠は2唇形、長さ16~18㎜、白色、上唇は深く2裂し、裂片は狭三角形、先は尖鋭形、微軟毛があり、長さ約3㎜、下唇に合着し、下唇は3裂し、中裂片が最も大きく、船形で長さ約5㎜。雄しべは4本、2強雄しべ、突出する。小堅果は浅くうねがあり、球形で長さ1.5~1.6mm、腺の顆粒で覆われる。2n=64。花期は8~9月。
11 Teucrium teinense Kudo テイネニガクサ 手稲苦草
日本固有種(北海道、本州の東北地方)。
多年草、基部から匐枝を出す。高さ20~30㎝。茎は直立、上部の節にだけ開出毛がある。葉は長楕円状卵形、長さ3~5㎝×幅1.5~2.5㎝、鋭頭、表面に長毛が散生する。花序は短く、花が少数つく。苞は広披針形。萼は果時に長さ4㎜、膜質、ごくまばらに細い腺毛がある。萼歯は鋭頭~鋭突頭。花冠は白色、長さ7~8㎜。花期は(7)8(9)月。(岩手県レーッドデータブック、鳥取県植物誌)
12 Teucrium ussuriense Kom. チョウセンニガクサ 朝鮮苦草
synonym Teucrium japonicum Houtt. var. continentale Kitag.
中国(河北省、遼寧省、山西省)、ロシア原産。中国名は黑龙江香科科 hei long jiang xiang ke ke。開けた、石の多い斜面、川岸に生える。
多年草、匍匐茎を持つ。茎は直立し、高さ25~45㎝、単純または極短く分枝し、白色の短枝状。葉柄は4~7㎜、白色の羊毛状毛がある。葉身は卵状長円形、長さ2.5~4㎝×幅1~1.6㎝、紙質、上面に伏した軟毛があり±しわがあり、下面には密に白色の羊毛状毛があり、基部は切形または広楔形、縁は不規則な小鋸歯状、先は鈍形または鋭形。穂状花序は長さ2~4.5cm、輪散花序は花が2~4個つく。苞は線状披針形、長さ3~4㎜、細柔毛がある。小花柄は長さ約2㎜、細柔毛がある。萼は鐘形、約・長さ5㎜×幅2.5mm、外側に細柔毛があり、2唇形。萼歯は萼の長さの約1/4で、縁毛があり、上側の3歯は卵状三角形、下側の2歯は三角状披針形、先は鋭形。花冠は紫色、長さ約1.2㎝、外側にまばらに白色の微軟毛があり、喉部にも白色の微軟毛があり、花冠筒部は花冠の長さの約1/3またはそれ以上。中央裂片は菱状倒卵形、拡大部の長さの約2/5の長さで、側裂片は卵状長円形。前側の雄しべは花冠の拡大部の長さと同長。花柱はわずかに突き出る。小堅果は帯褐色、2~3 個、よく発達し、不均等、ほぼ球形、直径約1㎜、平滑。花期は8月。果期は9月。
13 Teucrium veronicoides Maxim. エゾニガクサ 蝦夷苦草
日本、朝鮮、中国原産。中国名は裂苞香科科 lie bao xiang ke ke 。
多年草、匍匐茎性がある。茎は直立、高さ20~40㎝、絨毛があり、多数分枝する。葉柄は長さ1~2㎝、絨毛がある。茎中間の葉身は円形~卵状三角形、長さ2~4㎝、幅1.8~3㎝。基部の葉身はときに、類腎形、長さ0.7~1.3㎝、幅0.5~1.5㎝、上面は伏した毛があり、下面は脈上以外は無毛、脈上は絨毛がある。はの基部は切形又は類心形、縁は重円鋸歯、葉先は鈍形~鋭形。輪散花序は花が2個、穂状花序になり、穂状花序は長さ5~10㎝、花軸は絨毛がある。苞は卵形、3裂する。花柄は長さ2.5~3.5㎜、絨毛がある。萼は鐘形、長さ3~4㎜、幅2~2.5㎜。萼歯は三角形、ほぼ等形、鈍形、縁毛を除いて、ほぼ無毛。花冠は紫赤色、長さ7~8㎜、外面はほぼ無毛、花冠の拡大部は広がり、中央裂片は類円形、側裂片は斜めの卵状三角形、ほぼ等形。小堅果は栗褐色、長楕円状倒卵形、長さ約1.2㎜、平滑。花期は6月。
13-1 Teucrium veronicoides Maxim. var. brachytrichum Ohwi イヌニガクサ 犬苦草
synonym Teucrium teinense auct. non Kudo開出毛が短く、葉の鋸歯が大きい。
14 Teucrium viscidum Blume コニガクサ 小苦草
日本、朝鮮、中国、インド、インドネシア、ミャンマー、フィリピンに分布。中国名は血见愁 xue jian chou 。英名はsticky germander。
多年草、匍匐茎性がある。茎は直立し、高さ30~70㎝、基部は無毛又はほぼ無毛、先は腺毛があるか又は無毛。葉柄は長さ1~3㎝、ほぼ無毛。葉身は卵形~卵状披針形、長さ3~10㎝、ほぼ無毛又はごくまばらに微軟毛がある。葉の基部は円形~広楔形~楔形、縁は重円鋸歯、葉先は鋭形~短い尖鋭形。穂状花序は茎の上部や枝先につき、長さ3~7㎝、密に腺毛がある。輪散花序は一緒になり、2花がつく。苞は披針形。花柄は長さ1~2㎝、密に腺毛がある。萼は鐘形、長さ2.8~4㎜、幅約2.2㎜。萼歯は真っすぐ、ほぼ等形、萼筒の長さの1/2より短い。上側の萼歯3個は卵状三角形、下側の2歯は三角形。花冠は白色~帯赤色~帯紫色、長さ6.5~7.5㎜、筒部は長さ約3㎜。中央裂片は円形、側裂片は卵状三角形、鈍形。子房は先に水疱状突起があり、有毛。花柱は雄しべと同長。小堅果は黄褐色、卵形、長さ約1.3㎜。花期は6~11月(場所によっては6~9月)。
14-1 Teucrium viscidum Blume var. viscidum コニガクサ
日本(九州南部、沖縄)、中国、朝鮮、インド、フィリピン、インドネシア、ミャンマーに分布。中国名は血见愁 xue jian chou 。
萼に腺毛が密生する。
14-2 Teucrium viscidum Blume var. leiocalyx
中国原産。光萼血见愁 guang e bian zhong 。
茎は絨毛があるかほぼ無毛。萼は無毛、果時に光沢がある。花は白色。。
14-3 Teucrium viscidum Blume var. nepetoides (H.Lev.) C.Y.Wu et S.Chow センナシツルニガクサ
中国原産。中国名は微毛血见愁 wei mao bian zhong 。萼は密に灰色の微軟毛があり、長さ約4㎜、幅約2.5㎜。花冠は長さ8~10㎜、筒部は長さ4~5㎜。
品種) 'Lemon and Lime' (v)
14-4 Teucrium viscidum Blume var. longibracteatum
中国原産。中国名は长苞血见愁 chang bao bian zhong 。
葉の基部は円形~切形。穂状花序に灰色の毛がある。苞は長さ10㎜以下。萼には密に灰色の毛がある。
14-5 Teucrium viscidum Blume var. macrostephanum C. Y. Wu & S. Chow
中国原産。中国名は大唇血见愁 da chun bian zhong。茎はまばらに毛がある。葉柄及び葉裏に毛がある。葉の基部は切形。苞は長さ8㎜以下。萼には密に灰色の毛がある。花冠は長さ約10㎜。
14-6 Teucrium viscidum Blume var. miquelianum (Maxim.) H.Hara ツルニガクサ 蔓苦草
synonym Teucrium miquelianum (Maxim.) Kudosynonym eucrium maximowiczii Probat.
日本(日本全土)、朝鮮に分布。
多年草、地下に匍匐茎がある。茎は直立、高さ30~60㎝。葉は対生し、葉柄は長さ1~3㎝。茎の基部の葉は小さく、茎中間の葉が最も大きい。葉身は長さ3~10㎝の卵形~卵状披針形、縁は不規則な鋸歯があり、葉先が鋭形、基部は広い楔形。葉の質は薄く、葉脈が窪んで深い。花序は輪散花序が密集した穂状花序。苞は披針形、腺毛が密生する。花柄は苞より短い。花序軸や花柄には絨毛があり、腺毛も混じる。萼は筒状鐘形、先が5裂し、腺毛が密生し、花後は萼筒部分が球形になり、萼歯が内側にやや曲がり、口が狭くなる。花冠は長さ8~10㎜、上唇が無く、下唇が長い1唇形花(属の特徴:上唇弁の裂片が下唇の上横につく)。中央裂片はほぼ円形。側裂片は上側がやや大きく、三角形。花冠筒部はほとんど萼筒内にあり、白色。花冠弁部は紫赤色。雌しべは雄しべとほぼ同長、ともに上側に突き出る。果実は4分果(小堅果)、分果は長さ1.1~1.7㎜、低い網目模様があり、暗褐色。花期は7~9月。2n=32。
15 ハイブリッド Hybrid Germander
(1) Teucrium 'Eugen'
(2) Teucrium 'Fairy Dust'
(3) Teucrium × lucidrys (Teucrium chamaedrys × Teucrium lucidum)
'Chedglow' , 'Lucky Gold' (PBR)
参考
1) Flora of China @ efloras.orgTeucrium japonicum Willdenow, Sp. Pl. 3: 23. 1800.
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200020461
2) Flora of China @ efloras.orgTeucrium veronicoides in Flora of China @ efloras.org
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200020480
3) Teucrium hyrcanicum - Alpine Garden Society - Plant EncyclopaediaTeucrium hyrcanicum
http://encyclopaedia.alpinegardensociety.net/plants/Teucrium/hyrcanicum
4) Teucrium polium Teucrium polium (L.) Tausch
http://www.fao.org/ag/agp/agpc/doc/gbase/new_species/teupol.htm
5) MaltaWildPlants.com by Stephen Mifsud Teucrium fruticans (Olive-leaved Germander)
http://www.marz-kreations.com/WildPlants/LABT/Teucrium_fruticans.php
6) Teucrium fruticans - Flora VascularTeucrium fruticans L.
https://www.floravascular.com/index.php?spp=Teucrium%20fruticans