ネズミノオ 鼠の尾
Flora of Mikawa
イネ科 Poaceae ネズミノオ属
中国名 | 鼠尾粟 shu wei su |
英 名 | giant paramatta grass |
学 名 | Sporobolus fertilis (Steud.) WD Clayton synonym Sporobolus indicus (L.) R. Br. var. major (Buse) Baaijens |
花 期 | 3~12月 |
高 さ | 25~100(~120)㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 道端、荒地 |
分 布 | 在来種 本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、フィリピン |
撮 影 | 蒲郡市形原町 01.9.20 |
根は長く強い。稈は密に房状になり、直立し、無毛、平滑、硬く、高さ25~100(~120)㎝。葉鞘は無毛、縁は繊毛があり、基部の鞘は紙質、軽く竜骨がある。葉身は線形、平坦または内巻き、長さ15~50(~65)㎝×幅0.2~0.5㎝、無毛または上面は薄く直軟毛があり、長い糸状の先に向かって先細になる。葉舌は膜質、長さ約0.5㎜。円錐花序は線形、穂状花序状に狭くなり、特に基部でしばしば途切れ、長さ7~45㎝×幅0.5~1.5㎝。枝は長さ1~2.5(~5)㎝、直立して花序軸に圧着するか、緩くて狭く斜上し、全体で密な穂状になる。小穂は灰緑色または黄緑色、披針形、長さ1.7~2㎜。第1苞穎は長円形、長さ約0.5㎜、脈は無く、先は切形[~円形]で微細不整歯がある。第2苞穎は長円状楕円形、小穂の長さの1/2~2/3、1脈があり、先はほぼ鋭形[~鈍形]。護穎は卵形、小穂の長さと同長、不明瞭な1(~3)脈があり、先は鋭形。葯は3個、長さ0.8~1㎜。穎果は赤褐色、倒卵状楕円形、長さ0.9~1.2㎜、護穎や内穎よりも明らかに短く、これらは先端を大きく超えて隙間があり、先は切形、やや未熟な果実の果皮は取れやすく、中の白色の種子が簡単に見える。花期および果期は3~12月。2n=36, 48, 54。
変種のムラサキネズミノオは穂が赤紫色で、全体に、大きくなる。
一年草または多年草、房状(叢生し)、またはときに這う根茎または匍匐茎がある。葉身は平らまたは巻、直形~狭披針形。葉舌は髪が線状になる。花序は開きまたは狭まり円錐花序、まれに穂状状にうなる。小穂は1個の小花をもち。ほぼ円柱形、扁平ではなく、竜骨もなく、無毛。小軸は苞穎の上で関節離断する。苞穎は普通、護穎よりも短く、両苞穎は等しくなく、膜質、脱落性または宿存性、1脈があるかまたは脈がなく、先は鈍形、鋭形、または尖鋭形。護穎は楕円形~狭卵形、薄い膜質、1~3脈があり、無毛、背が丸く、芒は無い。内穎は護穎と同長またはそれより短く、脈の間が凹み、穀物が成長するにつれてしばしば縦に分裂する。雄しべは2~3個。 穀物は球形~楕円形、先は丸くまたは切形、果皮は分離、一般に湿ると膨らみ、穀物を吐き出し、これが小穂の先に付着することがよくある。x=9, 12。
世界に約220種あり、熱帯および亜熱帯に分布し、温帯地域にも広がる。
synonym Crypsis aculeata (Linnaeus) Aiton [Flora of China]
朝鮮、中国、中央アジア~南西アジア、ヨーロッパ、地中海沿岸地域原産。中国名は隐花草 yin hua cao。日本にも帰化している。塩水およびアルカリ性土壌の河岸、溝、その他の湿った場所に生える。
稈は高さ5~40㎝、曲がりくねりまたは斜上する。葉鞘は緩く大きく、節間よりも短い。葉身は葉鞘と連続し、線状披針形、平坦または折りたたまれ、長さ2~8㎝×幅0.1~0.5㎝、上面は細かくザラつき、下面は平滑、縁は内巻き、先は針状。 花序は大きく、膨らんだ最上部の鞘に囲まれ、頭状~卵形、幅は長さより広く、長さ0.4~0.9㎝×幅0.8~1.3㎝、花序軸は廃れる。小穂は帯黄色、長さ3.5~4.5㎜。両苞穎は等しくなく、竜骨がザラつくかまたは縁毛があり、鈍形。第1苞穎は線形、長さ2.5~3㎜。第苞穎は披針形、長さ3~3.5㎜。護穎は苞穎より長いく、長さ3.5~4.5㎜、鋭形。内穎は護穎と同長またはそれよりわずかに長く、1脈がありまたは脈がない。 葯は2個、長さ1~1.3㎜。穎果は長円形または卵形、長さ約2㎜。花期および果期は5~9月。2n=16, 18, 54。
2 Sporobolus alterniflorus (Loisel.) P.M.Peterson et Saarela ヒガタアシ 干潟葦
北アメリカ、南アメリカ原産。英名はspartina alterniflora , the smooth cordgrass , saltmarsh cordgrass , salt-water cordgrass。アジア、ヨーロッパ、ニュージーランドなどに帰化。愛知県の海岸にも帰化している。干潟や河口域など汽水域に生える。
多年草。根茎は太く、丈夫で幅4~7㎜、短いまたは長く這い、稈は1本または小さな塊(clumps)で、直立し、かなり広がって叢生し(open clumps)、高さ60~250㎝、基部の幅は5~14(30)㎜、太く、節間は肉質。葉鞘はほぼ無毛、横脈が散在し。小さく、縁はしばしば葉舌の下に細かい縁毛がある。葉舌は長さ1~2㎜、密に縁毛がある。葉身は長さ(8)20~55㎝、基部の幅4~25㎜、革質、新鮮なときは平ら、先近くは内巻きし、 上面のうねは隆起+-6/mm、先端は細くて硬い。 花序は開き、長さ10~40㎝、幅7~22㎜。枝は5~30本、緩く重なり合い、緩く圧着または広がり(10°~20°まで)、長さ4.5~13㎝×幅3~5㎜。小穂は長さ8~15(17)㎜、披針形、1花をもつ。両苞穎は長さが異なり披針形、無毛、先はほぼ鋭形。護穎の竜骨は無毛~柔らかい毛むくじゃらの毛がある。第1苞穎は長さ4~10㎜、幅が狭く、1~3脈がある。第2苞穎は長さ8~15㎜、小穂の長さとほぼ同長、5~9脈がある。護穎は長さ7.5~11mm、披針形、無毛、3~5脈がある。内穎は護穎の長さ以上あり、透明、無毛。葯は長さ3.5~6㎜。ニュージーランドでは穎果が見られない。染色体:2n=56,70。花期は7~9月。根絶しない限り広がる可能性があり、サンフランシスコ湾ではSpartina foliosaとの攻撃的なハイブリッドが確認されている。
3 Sporobolus cryptandrus (Torr.) A.Gray スズメヒゲシバ 雀髭芝
カナダ、USA,メキシコ原産。Sand dropseed , Sporobole a fleurs cachees。日本にも帰化している。砂質土壌、岩の多い斜面、石灰質の尾根、塩砂漠、松林、砂漠の道端などに生える。
多年草。叢生し、根茎はなく、基部は硬く、節が無い。稈は高さ30~100(120)㎝、直径1~3.5㎜、直立~傾伏する。葉鞘は下部が丸う、無毛または細かくザラつき、縁はときに上部に縁毛があり、先に毛の房が目立ち、毛は長さ4㎜以下。葉舌は長さ0.5~1㎜。葉身は長さ(2)5~26㎝×幅2~6㎜、平ら~内巻き、下面は無毛、上面は細かくザラつく~ザラつき、縁は細かくザラつく。止葉の葉身(flag blades)は稈にほぼ垂直。円錐花序は長さ15~40㎝×幅2~12(14)㎝、幅より長く、初めは狭く穂状花序状、最終的には開き、狭いピラミッド形になる。花序軸は真っすぐ、直立し、下部の節に枝が1~2(3)本つく。一次の枝は長さ0.6~6㎝、圧着または広がり、または花序軸から130°後屈し、下部の1/8~1/4に小穂がなく、最下部の枝が最も長く、最上部の鞘に含められる。二次枝は圧着し、葉枕(pulvini)は無毛。小梗は長さ0.1~1.3㎜、圧着し、無毛または細かくザラつく。小穂は長さ1.5~2.5(2.7)㎜、帯褐色、丸みがあり、または紫色を帯びる。両苞穎は等しくなく、線状披針形~卵形、膜質。第1苞穎は長さ0.6~1.1㎜。第2苞穎は長さ1.5~2.7㎜、少なくとも小花の長さの2/3。護穎は長さ1.4~2.5(2.7)㎜、卵形~披針形、膜質、無毛、先は鋭形。内穎は長さ1.2~2.4㎜、披針形、膜質。葯は長さ0.5~1㎜、黄紫色。果実は長さ0.7~1.1㎜、楕円形、薄褐色~赤橙色。2n=36, 38, 72。
4 Sporobolus diandrus (Retz.) P.Beauv. フタシベネズミノオ 二蘂鼠ノ尾
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. flaccidus (Roem. et Schult.) Veldkamp
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. diandrus (Retz.) Jovet et Guédès
日本(琉球諸島)、中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ。オーストラリア原産。中国名は双蕊鼠尾粟 shuang rui shu wei su。乾燥した丘の斜面、芝生、道端に生える。日本のものは帰化と考えられている。
多年草。 稈は房状になり、直立し、高さ30~90㎝。 葉鞘は無毛、縁に毛がある。葉身は線形、普通、内巻き、長さ5~30㎝×幅0.2~0.3㎝で、両面または上面が基部に明瞭な長軟毛があり、長い糸状の先に向かって先細になる。葉舌は長さ0.2~0.3㎜。 円錐花序は狭くなるか、かなり緩く、長さ7~35㎝×幅1.5~3.5㎝。枝は長さ1.5~9㎝、斜上または斜めに広がり、緩い穂状花序状になり、しばしば下部1/3が裸出する。小穂は銀灰色または黄緑色、長さ1.4~1.7㎜。第1苞穎は長円形、長さ約0.5㎜、脈がなく、切形または鈍形。第2苞穎は長円状卵形、小穂の長さの1/2~2/3、不明瞭な1脈があり、先は鋭形または鈍形で微細不整歯がある。護穎は卵状長円形、小穂の長さと同長、不明瞭な1(3)脈があり、先は鋭形~鈍形。葯は2(~3)個、長さ0.5~0.8㎜。穎果は倒卵形~長円形、長さ0.6~0.9㎜、先は切形。花期および果期は5~8月 2n=24。
5 Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton ネズミノオ 鼠の尾 広義
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. major auct. non (Büse) Baaijens
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. fertilis (Steud.) Jovet et Guédès
synonym Sporobolus elongatus auct. non R.Br.
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama f. spiciformis T.Koyama
※Kewscienceでは変種、亜種を基本種 Sporobolus fertilis に含めている。
本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は鼠尾粟 shu wei su 。英名はgiant paramatta grass。道端、畑の縁、丘の斜面の草が茂った場所、山の谷の湿った地面に生える。
多年草。根は長く強い。稈は密に房状になり、直立し、無毛、平滑、硬く、高さ25~100(~120)㎝。葉鞘は無毛、縁は繊毛があり、基部の鞘は紙質、軽く竜骨がある。葉身は線形、平坦または内巻き、長さ15~50(~65)㎝×幅0.2~0.5㎝、無毛または上面は薄く直軟毛があり、長い糸状の先に向かって先細になる。葉舌は膜質、長さ約0.5㎜。円錐花序は線形、穂状花序状に狭くなり、特に基部でしばしば途切れ、長さ7~45㎝×幅0.5~1.5㎝。枝は長さ1~2.5(~5)㎝、直立して花序軸に圧着するか、緩くて狭く斜上し、全体で密な穂状になる。小穂は灰緑色または黄緑色、披針形、長さ1.7~2㎜。第1苞穎は長円形、長さ約0.5㎜、脈は無く、先は切形[~円形]で微細不整歯がある。第2苞穎は長円状楕円形、小穂の長さの1/2~2/3、1脈があり、先はほぼ鋭形[~鈍形]。護穎は卵形、小穂の長さと同長、不明瞭な1(~3)脈があり、先は鋭形。葯は3個、長さ0.8~1㎜。穎果は赤褐色、倒卵状楕円形、長さ0.9~1.2㎜、護穎や内穎よりも明らかに短く、これらは先端を大きく超えて隙間があり、先は切形、やや未熟な果実の果皮は取れやすく、中の白色の種子が簡単に見える。花期および果期は3~12月。2n=36, 48, 54。
5-2 Sporobolus fertilis (Steud.) W. Clayton var. purpureo-suffusus (Ohwi) Ohwi ムラサキネズミノオ 紫鼠の尾
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama f. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama
synonym Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton var. purpureoーsuffusus (Ohwi) Ohwi
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. subsp. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama
synonym Sporobolus elongatus R.Br. var. purpureosuffusus Ohwi
ネズミノオの変種。全体がネズミノオより大きくなり、穂が赤紫色となる。変種に分けない見解もある。
根は長く、強い。茎は硬く、叢生し、直立して無毛で滑らか。葉は長さ20~60㎝、幅2~5㎝の線形、内側に巻くことが多い。葉舌は長さ約0.5㎜、毛状。葉鞘は無毛で縁だけに毛がある。花序は長さ10~30㎝の線形の複総状、赤紫色。小穂は長さ約2.1㎜の披針形、赤紫色を帯び、1小花だけをもつ。第1苞頴は円頭、第2苞頴は鋭頭。果実は長さ約1㎜の長楕円形、赤紫色~暗褐色に熟す。花期は9~10月。
5-3 Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton var. pallidior (T.Koyama) Hatus. ex Ibaragi リュウキュウネズミノオ
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. major (Büse) Baaijens
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. pallidior T.Koyama
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. subsp. pallidior (T.Koyama) T.Koyama
花序が長く伸び上方が下垂する。小穂は汚赤紫色。ムラサキネズミノオと同じとする見解もある。
6 Sporobolus hancei Rendle ヒメネズミノオ 姫鼠ノ尾
日本(琉球諸島)、中国、台湾原産。中国名は广州鼠尾粟 guang zhou shu wei su。草が茂った丘の中腹、貧栄養の乾燥した場所に生える。 多年草。稈は房状になり、細く、直立し、高さ10~50㎝、枝分かれしない。葉鞘は緩く重なり合い、無毛または口部に緩く縁毛がある。葉身は狭線形、葉舌の近くは平ら、先が内巻きになり、または全体的に針状になり、長さ3~12㎝×幅0.5~2㎜、上面は微軟毛があり、下面は無毛。葉舌はごく短い毛があり、または不明瞭。円錐花序は緩く狭まるか、開き、長さ4~12㎝×幅0.5~1(~3)㎝。枝は垂直または対になり、長さ0.7~2㎝、ほぼ直立~広がり、基部まで穂状になる。小梗柄は短く、平滑または細かくザラつく。小穂はきらきらと光り、薄い膜質、淡帯紫色、披針形、長さ2~2.5㎜。両苞穎は長さがわずかに違う。第1苞穎は披針形、小穂の長さの2/3~3/4、脈は無く、先は鋭形または鈍形。第2苞穎は卵形、小穂の長さと同長、1脈があり、先は鋭形。内穎は護穎の長さにほぼ等しい。葯は3個、長さ0.8~1㎜。穎果は赤褐色、楕円状長円形、側部が扁平、長さ約1.5㎜。花期は3~5月。
7 Sporobolus heterolepis (A.Gray) A.Gray
カナダ、USA原産。英名はprairie dropseed
品種) 'Blue Dust' , 'Cloud' , 'Weinheim' , 'Wisconsin Strain'
8 Sporobolus indicus (L.) R.Br. スポロボルス・インディカス
北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はsmut grass . smutgrass。道端、牧草地、湖畔などの攪乱地や開けた場所に生える。
多年草、叢生する。根茎ではなく、丈夫なひげ根をもつ。稈は高さ30~100(120)㎝。葉鞘は普通、下部に竜骨があり、無毛。葉舌は長さ0.2~0.5㎜。葉身は長さ(6)10~30(50)㎝×幅1~5 mm、平らで、両面が無毛。円錐花序は長さ20~35(50)㎝×幅0.3~2.2(3)㎝、狭まり、幅が狭く、ときに最上部の鞘に含まれる。一次枝は長さ0.4~2.5(5)㎝、花序軸に圧着するか、花序軸から40°以下で広がり、隣接する節間と同長または長い。二次枝は圧着し、小穂は基部の近くにつく。葉枕(pulvini)は無毛。小梗は長さ0.1~1.8㎜、圧着する。小穂は長さ2~2.6(2.7)㎜、丸みがある~薄帯褐色。両苞穎はほぼ等しく、卵形または倒卵形、膜質。第1苞穎は長さ0.5~1㎜で、しばしば中脈が無い。第2苞穎は長さ0.8~1.6㎜、小花の長さの1/2~2/3、鋭形~鈍形、全縁。護穎は長さ1.8~2.6(2.7)㎜、卵形、膜状、無毛、鋭形または鈍形。内穎は長さ1.9~2.4㎜、卵形、膜質、無毛。葯は3個、長さ0.5~1.1㎜、白色、ときに帯紫色。果実は長さ1~1.2㎜、四稜形、側部が扁平、赤褐色、先は切形。2n=18, 24, 36。
9 Sporobolus pilifer (Trinius) Kunth ヒゲシバ 髭芝
synonym Sporobolus japonicus (Steud.) Maxim. ex Rendle
日本(本州、四国、九州)、韓国、中国、インド、アッサム、スリランカ、東ヒマラヤ、西ヒマラヤ、ネパール、フィリピン、マレーシア、タイ、アフリカ(アンゴラ、中央アフリカンレプ、ケープベルデ、ブルキナ、ブルンジ、カメルーン、チャド、エチオピア、ギニア、ケニア、マラウィ、モザンビーク、ナイジェリア、ルワンダ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ザイール、ジンバブエ)、マダガスカル、南アメリカ(ブラジル、コロンビア、ベネズエラ)、中央アメリカ(コスタリカ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ)原産。中国名は毛鼠尾粟 mao shu wei su。湿った地面の開けた場所、畑地に生える。
1年草。稈は房状になり、細く、普通、基部で膝状に曲がり、高さ5~25 cm、枝分かれする。葉鞘は基部にいぼのある長い縁毛がある。葉身は狭披針形、平らであるか、乾くと縁が巻、長さ1.5~7×幅0.1~0.4 cm、両面に薄く直軟毛があり、縁は特に葉身基部近くも基部にいぼのある長い剛毛があり、櫛状になる。葉舌は長さ約0.5mm。円錐花序は線形、穂状花序状、長さ1.5~8×幅0.3~0.7 cm。枝はほぼ垂直につき、短く、直立し、ほとんど分枝せず、小さな腺点がある。小穂は狭披針状長円形、長さ2.4~3 mm、紫褐茶色。苞穎は先が尖鋭形。第1苞穎は披針形、小穂の長さの長1/2、脈は無い。第2苞穎は長円形、小穂の長さと同長。護穎は長円形、第2苞穎の長さに等しく、1脈があるかまたは不明瞭な3脈があり、先は鋭形。内穎は護穎の長さと同長またはそれよく、より幅が広く、先は鈍形、容易に縦に分裂する。葯は3個、長さ約0.5mm。穎果は赤褐色、楕円形、長さ0.8~1.4 mm、わずかに側部が扁平、先は丸い。花期および果期は4~9月。2n=36, 40。
10 Sporobolus michauxianus (Hitchc.) P.M.Peterson & Saarela
カナダ、USA原産。英名はprairie cordgrass , freshwater cordgrass , tall marshgrass , sloughgrass。
品種) 'Aureomarginata'
11 Sporobolus schoenoides (L.) P.M.Peterson ホガクレシバ
ユーラシア、アフリカ原産。アメリカ、オーストラリアに帰化。英名はswamp pricklegrass , swamp timothy , cowpond grass。野鳥、家畜の飼料に使用される。日本でも帰化が報告されている。
一年草、普通、マット状になり、ピンク色~紫色。茎は傾伏し、長さ5~75㎝)、ときに、上部の節で分枝し、節は無毛、しばしば紫色を帯びる。葉鞘は普通、無毛、節間より短い。葉身は狭披針形、長さ(2)5~8(10)cm×幅3~5㎜. ときに、基部近くの葉鞘の縁や葉身にはまばらに長毛が生える。葉舌は膜質、外面に毛があり、高さ約0.5㎜。 円錐花序は密、卵形~円筒形、長さ3~75cm×幅5~15㎜、花序の下部は1~2枚の葉鞘に包まれる。小穂は1小花からなり、長さ2.5~3㎜。第1苞穎は第2苞穎より短い。護穎(外穎)は苞穎より長く、明瞭な竜骨がある。苞穎と護穎には竜骨と先端付近に刺状突起がある。内穎は2竜骨があり、竜骨は平滑。雄しべは3個。葯は黄色、長さ約1mm。穎果は楕円形、長さ約1㎜。 花期は6~10月。
12 Sporobolus elongatus R.Br.
オーストラリア原産。英名はSlender Rat's Tail Grass。ネズミノオと混同されていた。
多年草、房状になり、高さ約1m以下。 稈はうねがあり、無毛。葉鞘は稈をしっかり包み、うねがあり、無毛、縁はしばしば縁毛があり、毛は長さ1㎜以下。葉舌は高さ0.5㎜未満の縁毛であり、両端に長さ1.5㎜以下の硬い毛がある。葉身は長さ3~35㎝×幅3㎜、肋があり、無毛、下部の縁に、ときに長さ1以下の硬い毛がある。 花序は穂状花序状、しばしば緩く、長さ13~30㎝×幅1㎝以下。花序軸はうねがあり、無毛、花序の下部50%が見え、上部の50%は普通隠れる。枝は圧着し、長さ0.5~5㎝。小梗は長さ1mm以下。小穂は長さ1.5~2㎜、暗緑灰色、小花が1個つく。第1苞穎は長円形~披針形、長さ約0.5㎜、先は鋭形または鈍形、透明。第2苞穎は披針形、長さ約1mm、先は鋭形、1脈があり、透明。護穎は披針形、長さ1.5~2㎜、先は鋭形、かすかに3脈がある。内穎は披針形、護穎とほぼ同長、先は鋭形、1脈があり、背が丸い。 花期は夏。
13 Sporobolus tenuissimus (Mart. ex Schrank) Kuntze ネッタイネズミノオ 熱帯鼠の尾
熱帯アメリカ原産。中国名は热带鼠尾粟 re dai shu wei su。低地の攪乱地、耕作地に生える。 1年草、繊細。 稈は房状になり、弱く、高さ20~100㎝。葉鞘は無毛。 葉身は線形、平らまたは折りたたまれ、長さ5~20㎝×幅0.2~0.5㎝、無毛。葉舌は長さ0.2~0.3mm。円錐花序は狭長円形、開き、拡散し、長さ10~40㎝×幅2~6㎝。 最下の一次の枝は単一または対になり、毛細管状、枝の下半分は裸出し、二次枝が広がる。小穂は灰色または帯紫色、長さ0.8~1㎜、成熟時に隙間がある。第1苞穎は長円形、長さ0.1~0.4㎜、先は切形で微細不整歯がある。第2苞穎は卵状長円形、長さ0.3~0.5㎜、ほぼ鋭形。護穎は小穂の長さと同長、先は鋭形~鈍形。葯は3個、長さ0.1~0.3㎜。穎果は卵形、長さ0.4~0.7㎜、先は切形。2n=12。
14 Sporobolus vaginiflorus (Torr. ex A.Gray) Alph.Wood サヤヒゲシバ 鞘髭芝
カナダ、USA原産。英名はmodest prickles grass , poverty grass , poverty dropseed , sheathed dropseed。湿った土壌、湖の縁、春の水溜まりに生える。
マット状になり、緑色。 茎は平伏し、高さ30㎝未満、多数、分枝する。葉鞘は縁に毛がある。葉身は長さ1~5㎝、堅く、鞘から簡単に壊れる。花序は長さ3~15㎜×幅3~6㎜、+-卵形、普通、基部につく鞘で囲まれる。小穂は普通、長さ2.5~3.2みり。両苞穎はほぼ等しい。第1苞穎は縁に毛がある。護穎は苞穎にほぼ等しい。2n=48。花期は6~9月。
15 Sporobolus virginicus (L.) Kunth ソナレシバ 磯馴芝
日本(琉球諸島)、中国、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、熱帯および亜熱帯に広く分布。中国名は盐地鼠尾粟 yan di shu wei su。砂浜に生え、耐塩性があり、しばしば潮の最高水位より下に生える。
多年草。根茎は長く、丈夫で、帯黄色。 稈は直立または傾伏し、しばしば上部で固く分枝し、高さ15~30㎝、直径1~2㎜。 葉鞘はきつく重なり、口部には緩く毛がある。葉身は粉白色、堅く、2列生、最初は平らで、すぐに内巻きし、長さ3~10㎝×幅0.1~0.3㎝、上面はザラつき、下面は平滑、先は尖る。葉舌は長さ約0.2㎜。 円錐花序は線形、穂状花序状、長さ3~10㎝×幅0.4~1㎝。枝は長さ0.5~1.5㎝、直立し、花序軸に圧着する。小穂は灰緑色または緑黄色、紡錘形、長さ2.3~2.7㎜。苞穎は鋭形。第1苞穎は披針形、小穂の長さの2/3~4/5、1脈がある。第2苞穎は狭卵形、小穂の長さと等しく、1脈がある。護穎は広披針形、第2苞穎の長さにほぼ等しく、中脈は明瞭、側脈は不明瞭、先は鈍形。内穎は護穎の長さと同長。葯は3個、長さ1~1.5㎜。穎果はほぼ球形、長さ約0.7㎜。花期および果期は6~9月。2n=18。
16 Sporobolus wrightii Scribn.
USA,メキシコ原産。英名はbig sacaton , giant sacaton , Los Lunas Sacaton。
品種) 'Windbreaker'
17 その他ハイブリッド
品種) 'Heterolepis Cloud' , 'JS Delicatesse'
Sporobolus
Sporobolus
Sporobolus
Sporobolus
Crypsis schoenoides(Sporobolus schoenoides)
Sporobolus alterniflorus (Loisel.) P.M.Peterson & Saarela
Sporobolus alterniflorus (Loisel.) P.M.Peterson & Saarela
Sporobolus elongatus R.Br.
イネ科の新帰化植物,ホガクレシバ(新称) (木場英久,田中徳久)
変種のムラサキネズミノオは穂が赤紫色で、全体に、大きくなる。
ネズミノオ属
family Poaceae - genus Sporobolus一年草または多年草、房状(叢生し)、またはときに這う根茎または匍匐茎がある。葉身は平らまたは巻、直形~狭披針形。葉舌は髪が線状になる。花序は開きまたは狭まり円錐花序、まれに穂状状にうなる。小穂は1個の小花をもち。ほぼ円柱形、扁平ではなく、竜骨もなく、無毛。小軸は苞穎の上で関節離断する。苞穎は普通、護穎よりも短く、両苞穎は等しくなく、膜質、脱落性または宿存性、1脈があるかまたは脈がなく、先は鈍形、鋭形、または尖鋭形。護穎は楕円形~狭卵形、薄い膜質、1~3脈があり、無毛、背が丸く、芒は無い。内穎は護穎と同長またはそれより短く、脈の間が凹み、穀物が成長するにつれてしばしば縦に分裂する。雄しべは2~3個。 穀物は球形~楕円形、先は丸くまたは切形、果皮は分離、一般に湿ると膨らみ、穀物を吐き出し、これが小穂の先に付着することがよくある。x=9, 12。
世界に約220種あり、熱帯および亜熱帯に分布し、温帯地域にも広がる。
ネズミノオ属の主な種と園芸品種
1 Sporobolus aculeatus (L.) P.M.Peterson トキンガヤ 吐金茅synonym Crypsis aculeata (Linnaeus) Aiton [Flora of China]
朝鮮、中国、中央アジア~南西アジア、ヨーロッパ、地中海沿岸地域原産。中国名は隐花草 yin hua cao。日本にも帰化している。塩水およびアルカリ性土壌の河岸、溝、その他の湿った場所に生える。
稈は高さ5~40㎝、曲がりくねりまたは斜上する。葉鞘は緩く大きく、節間よりも短い。葉身は葉鞘と連続し、線状披針形、平坦または折りたたまれ、長さ2~8㎝×幅0.1~0.5㎝、上面は細かくザラつき、下面は平滑、縁は内巻き、先は針状。 花序は大きく、膨らんだ最上部の鞘に囲まれ、頭状~卵形、幅は長さより広く、長さ0.4~0.9㎝×幅0.8~1.3㎝、花序軸は廃れる。小穂は帯黄色、長さ3.5~4.5㎜。両苞穎は等しくなく、竜骨がザラつくかまたは縁毛があり、鈍形。第1苞穎は線形、長さ2.5~3㎜。第苞穎は披針形、長さ3~3.5㎜。護穎は苞穎より長いく、長さ3.5~4.5㎜、鋭形。内穎は護穎と同長またはそれよりわずかに長く、1脈がありまたは脈がない。 葯は2個、長さ1~1.3㎜。穎果は長円形または卵形、長さ約2㎜。花期および果期は5~9月。2n=16, 18, 54。
2 Sporobolus alterniflorus (Loisel.) P.M.Peterson et Saarela ヒガタアシ 干潟葦
北アメリカ、南アメリカ原産。英名はspartina alterniflora , the smooth cordgrass , saltmarsh cordgrass , salt-water cordgrass。アジア、ヨーロッパ、ニュージーランドなどに帰化。愛知県の海岸にも帰化している。干潟や河口域など汽水域に生える。
多年草。根茎は太く、丈夫で幅4~7㎜、短いまたは長く這い、稈は1本または小さな塊(clumps)で、直立し、かなり広がって叢生し(open clumps)、高さ60~250㎝、基部の幅は5~14(30)㎜、太く、節間は肉質。葉鞘はほぼ無毛、横脈が散在し。小さく、縁はしばしば葉舌の下に細かい縁毛がある。葉舌は長さ1~2㎜、密に縁毛がある。葉身は長さ(8)20~55㎝、基部の幅4~25㎜、革質、新鮮なときは平ら、先近くは内巻きし、 上面のうねは隆起+-6/mm、先端は細くて硬い。 花序は開き、長さ10~40㎝、幅7~22㎜。枝は5~30本、緩く重なり合い、緩く圧着または広がり(10°~20°まで)、長さ4.5~13㎝×幅3~5㎜。小穂は長さ8~15(17)㎜、披針形、1花をもつ。両苞穎は長さが異なり披針形、無毛、先はほぼ鋭形。護穎の竜骨は無毛~柔らかい毛むくじゃらの毛がある。第1苞穎は長さ4~10㎜、幅が狭く、1~3脈がある。第2苞穎は長さ8~15㎜、小穂の長さとほぼ同長、5~9脈がある。護穎は長さ7.5~11mm、披針形、無毛、3~5脈がある。内穎は護穎の長さ以上あり、透明、無毛。葯は長さ3.5~6㎜。ニュージーランドでは穎果が見られない。染色体:2n=56,70。花期は7~9月。根絶しない限り広がる可能性があり、サンフランシスコ湾ではSpartina foliosaとの攻撃的なハイブリッドが確認されている。
3 Sporobolus cryptandrus (Torr.) A.Gray スズメヒゲシバ 雀髭芝
カナダ、USA,メキシコ原産。Sand dropseed , Sporobole a fleurs cachees。日本にも帰化している。砂質土壌、岩の多い斜面、石灰質の尾根、塩砂漠、松林、砂漠の道端などに生える。
多年草。叢生し、根茎はなく、基部は硬く、節が無い。稈は高さ30~100(120)㎝、直径1~3.5㎜、直立~傾伏する。葉鞘は下部が丸う、無毛または細かくザラつき、縁はときに上部に縁毛があり、先に毛の房が目立ち、毛は長さ4㎜以下。葉舌は長さ0.5~1㎜。葉身は長さ(2)5~26㎝×幅2~6㎜、平ら~内巻き、下面は無毛、上面は細かくザラつく~ザラつき、縁は細かくザラつく。止葉の葉身(flag blades)は稈にほぼ垂直。円錐花序は長さ15~40㎝×幅2~12(14)㎝、幅より長く、初めは狭く穂状花序状、最終的には開き、狭いピラミッド形になる。花序軸は真っすぐ、直立し、下部の節に枝が1~2(3)本つく。一次の枝は長さ0.6~6㎝、圧着または広がり、または花序軸から130°後屈し、下部の1/8~1/4に小穂がなく、最下部の枝が最も長く、最上部の鞘に含められる。二次枝は圧着し、葉枕(pulvini)は無毛。小梗は長さ0.1~1.3㎜、圧着し、無毛または細かくザラつく。小穂は長さ1.5~2.5(2.7)㎜、帯褐色、丸みがあり、または紫色を帯びる。両苞穎は等しくなく、線状披針形~卵形、膜質。第1苞穎は長さ0.6~1.1㎜。第2苞穎は長さ1.5~2.7㎜、少なくとも小花の長さの2/3。護穎は長さ1.4~2.5(2.7)㎜、卵形~披針形、膜質、無毛、先は鋭形。内穎は長さ1.2~2.4㎜、披針形、膜質。葯は長さ0.5~1㎜、黄紫色。果実は長さ0.7~1.1㎜、楕円形、薄褐色~赤橙色。2n=36, 38, 72。
4 Sporobolus diandrus (Retz.) P.Beauv. フタシベネズミノオ 二蘂鼠ノ尾
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. flaccidus (Roem. et Schult.) Veldkamp
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. diandrus (Retz.) Jovet et Guédès
日本(琉球諸島)、中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ。オーストラリア原産。中国名は双蕊鼠尾粟 shuang rui shu wei su。乾燥した丘の斜面、芝生、道端に生える。日本のものは帰化と考えられている。
多年草。 稈は房状になり、直立し、高さ30~90㎝。 葉鞘は無毛、縁に毛がある。葉身は線形、普通、内巻き、長さ5~30㎝×幅0.2~0.3㎝で、両面または上面が基部に明瞭な長軟毛があり、長い糸状の先に向かって先細になる。葉舌は長さ0.2~0.3㎜。 円錐花序は狭くなるか、かなり緩く、長さ7~35㎝×幅1.5~3.5㎝。枝は長さ1.5~9㎝、斜上または斜めに広がり、緩い穂状花序状になり、しばしば下部1/3が裸出する。小穂は銀灰色または黄緑色、長さ1.4~1.7㎜。第1苞穎は長円形、長さ約0.5㎜、脈がなく、切形または鈍形。第2苞穎は長円状卵形、小穂の長さの1/2~2/3、不明瞭な1脈があり、先は鋭形または鈍形で微細不整歯がある。護穎は卵状長円形、小穂の長さと同長、不明瞭な1(3)脈があり、先は鋭形~鈍形。葯は2(~3)個、長さ0.5~0.8㎜。穎果は倒卵形~長円形、長さ0.6~0.9㎜、先は切形。花期および果期は5~8月 2n=24。
5 Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton ネズミノオ 鼠の尾 広義
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. major auct. non (Büse) Baaijens
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. fertilis (Steud.) Jovet et Guédès
synonym Sporobolus elongatus auct. non R.Br.
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama f. spiciformis T.Koyama
※Kewscienceでは変種、亜種を基本種 Sporobolus fertilis に含めている。
本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は鼠尾粟 shu wei su 。英名はgiant paramatta grass。道端、畑の縁、丘の斜面の草が茂った場所、山の谷の湿った地面に生える。
多年草。根は長く強い。稈は密に房状になり、直立し、無毛、平滑、硬く、高さ25~100(~120)㎝。葉鞘は無毛、縁は繊毛があり、基部の鞘は紙質、軽く竜骨がある。葉身は線形、平坦または内巻き、長さ15~50(~65)㎝×幅0.2~0.5㎝、無毛または上面は薄く直軟毛があり、長い糸状の先に向かって先細になる。葉舌は膜質、長さ約0.5㎜。円錐花序は線形、穂状花序状に狭くなり、特に基部でしばしば途切れ、長さ7~45㎝×幅0.5~1.5㎝。枝は長さ1~2.5(~5)㎝、直立して花序軸に圧着するか、緩くて狭く斜上し、全体で密な穂状になる。小穂は灰緑色または黄緑色、披針形、長さ1.7~2㎜。第1苞穎は長円形、長さ約0.5㎜、脈は無く、先は切形[~円形]で微細不整歯がある。第2苞穎は長円状楕円形、小穂の長さの1/2~2/3、1脈があり、先はほぼ鋭形[~鈍形]。護穎は卵形、小穂の長さと同長、不明瞭な1(~3)脈があり、先は鋭形。葯は3個、長さ0.8~1㎜。穎果は赤褐色、倒卵状楕円形、長さ0.9~1.2㎜、護穎や内穎よりも明らかに短く、これらは先端を大きく超えて隙間があり、先は切形、やや未熟な果実の果皮は取れやすく、中の白色の種子が簡単に見える。花期および果期は3~12月。2n=36, 48, 54。
5-2 Sporobolus fertilis (Steud.) W. Clayton var. purpureo-suffusus (Ohwi) Ohwi ムラサキネズミノオ 紫鼠の尾
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama f. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama
synonym Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton var. purpureoーsuffusus (Ohwi) Ohwi
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. subsp. purpureosuffusus (Ohwi) T.Koyama
synonym Sporobolus elongatus R.Br. var. purpureosuffusus Ohwi
ネズミノオの変種。全体がネズミノオより大きくなり、穂が赤紫色となる。変種に分けない見解もある。
根は長く、強い。茎は硬く、叢生し、直立して無毛で滑らか。葉は長さ20~60㎝、幅2~5㎝の線形、内側に巻くことが多い。葉舌は長さ約0.5㎜、毛状。葉鞘は無毛で縁だけに毛がある。花序は長さ10~30㎝の線形の複総状、赤紫色。小穂は長さ約2.1㎜の披針形、赤紫色を帯び、1小花だけをもつ。第1苞頴は円頭、第2苞頴は鋭頭。果実は長さ約1㎜の長楕円形、赤紫色~暗褐色に熟す。花期は9~10月。
5-3 Sporobolus fertilis (Steud.) Clayton var. pallidior (T.Koyama) Hatus. ex Ibaragi リュウキュウネズミノオ
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. major (Büse) Baaijens
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. var. pallidior T.Koyama
synonym Sporobolus indicus (L.) R.Br. subsp. pallidior (T.Koyama) T.Koyama
花序が長く伸び上方が下垂する。小穂は汚赤紫色。ムラサキネズミノオと同じとする見解もある。
6 Sporobolus hancei Rendle ヒメネズミノオ 姫鼠ノ尾
日本(琉球諸島)、中国、台湾原産。中国名は广州鼠尾粟 guang zhou shu wei su。草が茂った丘の中腹、貧栄養の乾燥した場所に生える。 多年草。稈は房状になり、細く、直立し、高さ10~50㎝、枝分かれしない。葉鞘は緩く重なり合い、無毛または口部に緩く縁毛がある。葉身は狭線形、葉舌の近くは平ら、先が内巻きになり、または全体的に針状になり、長さ3~12㎝×幅0.5~2㎜、上面は微軟毛があり、下面は無毛。葉舌はごく短い毛があり、または不明瞭。円錐花序は緩く狭まるか、開き、長さ4~12㎝×幅0.5~1(~3)㎝。枝は垂直または対になり、長さ0.7~2㎝、ほぼ直立~広がり、基部まで穂状になる。小梗柄は短く、平滑または細かくザラつく。小穂はきらきらと光り、薄い膜質、淡帯紫色、披針形、長さ2~2.5㎜。両苞穎は長さがわずかに違う。第1苞穎は披針形、小穂の長さの2/3~3/4、脈は無く、先は鋭形または鈍形。第2苞穎は卵形、小穂の長さと同長、1脈があり、先は鋭形。内穎は護穎の長さにほぼ等しい。葯は3個、長さ0.8~1㎜。穎果は赤褐色、楕円状長円形、側部が扁平、長さ約1.5㎜。花期は3~5月。
7 Sporobolus heterolepis (A.Gray) A.Gray
カナダ、USA原産。英名はprairie dropseed
品種) 'Blue Dust' , 'Cloud' , 'Weinheim' , 'Wisconsin Strain'
8 Sporobolus indicus (L.) R.Br. スポロボルス・インディカス
北アメリカ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はsmut grass . smutgrass。道端、牧草地、湖畔などの攪乱地や開けた場所に生える。
多年草、叢生する。根茎ではなく、丈夫なひげ根をもつ。稈は高さ30~100(120)㎝。葉鞘は普通、下部に竜骨があり、無毛。葉舌は長さ0.2~0.5㎜。葉身は長さ(6)10~30(50)㎝×幅1~5 mm、平らで、両面が無毛。円錐花序は長さ20~35(50)㎝×幅0.3~2.2(3)㎝、狭まり、幅が狭く、ときに最上部の鞘に含まれる。一次枝は長さ0.4~2.5(5)㎝、花序軸に圧着するか、花序軸から40°以下で広がり、隣接する節間と同長または長い。二次枝は圧着し、小穂は基部の近くにつく。葉枕(pulvini)は無毛。小梗は長さ0.1~1.8㎜、圧着する。小穂は長さ2~2.6(2.7)㎜、丸みがある~薄帯褐色。両苞穎はほぼ等しく、卵形または倒卵形、膜質。第1苞穎は長さ0.5~1㎜で、しばしば中脈が無い。第2苞穎は長さ0.8~1.6㎜、小花の長さの1/2~2/3、鋭形~鈍形、全縁。護穎は長さ1.8~2.6(2.7)㎜、卵形、膜状、無毛、鋭形または鈍形。内穎は長さ1.9~2.4㎜、卵形、膜質、無毛。葯は3個、長さ0.5~1.1㎜、白色、ときに帯紫色。果実は長さ1~1.2㎜、四稜形、側部が扁平、赤褐色、先は切形。2n=18, 24, 36。
9 Sporobolus pilifer (Trinius) Kunth ヒゲシバ 髭芝
synonym Sporobolus japonicus (Steud.) Maxim. ex Rendle
日本(本州、四国、九州)、韓国、中国、インド、アッサム、スリランカ、東ヒマラヤ、西ヒマラヤ、ネパール、フィリピン、マレーシア、タイ、アフリカ(アンゴラ、中央アフリカンレプ、ケープベルデ、ブルキナ、ブルンジ、カメルーン、チャド、エチオピア、ギニア、ケニア、マラウィ、モザンビーク、ナイジェリア、ルワンダ、スーダン、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ザイール、ジンバブエ)、マダガスカル、南アメリカ(ブラジル、コロンビア、ベネズエラ)、中央アメリカ(コスタリカ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ)原産。中国名は毛鼠尾粟 mao shu wei su。湿った地面の開けた場所、畑地に生える。
1年草。稈は房状になり、細く、普通、基部で膝状に曲がり、高さ5~25 cm、枝分かれする。葉鞘は基部にいぼのある長い縁毛がある。葉身は狭披針形、平らであるか、乾くと縁が巻、長さ1.5~7×幅0.1~0.4 cm、両面に薄く直軟毛があり、縁は特に葉身基部近くも基部にいぼのある長い剛毛があり、櫛状になる。葉舌は長さ約0.5mm。円錐花序は線形、穂状花序状、長さ1.5~8×幅0.3~0.7 cm。枝はほぼ垂直につき、短く、直立し、ほとんど分枝せず、小さな腺点がある。小穂は狭披針状長円形、長さ2.4~3 mm、紫褐茶色。苞穎は先が尖鋭形。第1苞穎は披針形、小穂の長さの長1/2、脈は無い。第2苞穎は長円形、小穂の長さと同長。護穎は長円形、第2苞穎の長さに等しく、1脈があるかまたは不明瞭な3脈があり、先は鋭形。内穎は護穎の長さと同長またはそれよく、より幅が広く、先は鈍形、容易に縦に分裂する。葯は3個、長さ約0.5mm。穎果は赤褐色、楕円形、長さ0.8~1.4 mm、わずかに側部が扁平、先は丸い。花期および果期は4~9月。2n=36, 40。
10 Sporobolus michauxianus (Hitchc.) P.M.Peterson & Saarela
カナダ、USA原産。英名はprairie cordgrass , freshwater cordgrass , tall marshgrass , sloughgrass。
品種) 'Aureomarginata'
11 Sporobolus schoenoides (L.) P.M.Peterson ホガクレシバ
ユーラシア、アフリカ原産。アメリカ、オーストラリアに帰化。英名はswamp pricklegrass , swamp timothy , cowpond grass。野鳥、家畜の飼料に使用される。日本でも帰化が報告されている。
一年草、普通、マット状になり、ピンク色~紫色。茎は傾伏し、長さ5~75㎝)、ときに、上部の節で分枝し、節は無毛、しばしば紫色を帯びる。葉鞘は普通、無毛、節間より短い。葉身は狭披針形、長さ(2)5~8(10)cm×幅3~5㎜. ときに、基部近くの葉鞘の縁や葉身にはまばらに長毛が生える。葉舌は膜質、外面に毛があり、高さ約0.5㎜。 円錐花序は密、卵形~円筒形、長さ3~75cm×幅5~15㎜、花序の下部は1~2枚の葉鞘に包まれる。小穂は1小花からなり、長さ2.5~3㎜。第1苞穎は第2苞穎より短い。護穎(外穎)は苞穎より長く、明瞭な竜骨がある。苞穎と護穎には竜骨と先端付近に刺状突起がある。内穎は2竜骨があり、竜骨は平滑。雄しべは3個。葯は黄色、長さ約1mm。穎果は楕円形、長さ約1㎜。 花期は6~10月。
12 Sporobolus elongatus R.Br.
オーストラリア原産。英名はSlender Rat's Tail Grass。ネズミノオと混同されていた。
多年草、房状になり、高さ約1m以下。 稈はうねがあり、無毛。葉鞘は稈をしっかり包み、うねがあり、無毛、縁はしばしば縁毛があり、毛は長さ1㎜以下。葉舌は高さ0.5㎜未満の縁毛であり、両端に長さ1.5㎜以下の硬い毛がある。葉身は長さ3~35㎝×幅3㎜、肋があり、無毛、下部の縁に、ときに長さ1以下の硬い毛がある。 花序は穂状花序状、しばしば緩く、長さ13~30㎝×幅1㎝以下。花序軸はうねがあり、無毛、花序の下部50%が見え、上部の50%は普通隠れる。枝は圧着し、長さ0.5~5㎝。小梗は長さ1mm以下。小穂は長さ1.5~2㎜、暗緑灰色、小花が1個つく。第1苞穎は長円形~披針形、長さ約0.5㎜、先は鋭形または鈍形、透明。第2苞穎は披針形、長さ約1mm、先は鋭形、1脈があり、透明。護穎は披針形、長さ1.5~2㎜、先は鋭形、かすかに3脈がある。内穎は披針形、護穎とほぼ同長、先は鋭形、1脈があり、背が丸い。 花期は夏。
13 Sporobolus tenuissimus (Mart. ex Schrank) Kuntze ネッタイネズミノオ 熱帯鼠の尾
熱帯アメリカ原産。中国名は热带鼠尾粟 re dai shu wei su。低地の攪乱地、耕作地に生える。 1年草、繊細。 稈は房状になり、弱く、高さ20~100㎝。葉鞘は無毛。 葉身は線形、平らまたは折りたたまれ、長さ5~20㎝×幅0.2~0.5㎝、無毛。葉舌は長さ0.2~0.3mm。円錐花序は狭長円形、開き、拡散し、長さ10~40㎝×幅2~6㎝。 最下の一次の枝は単一または対になり、毛細管状、枝の下半分は裸出し、二次枝が広がる。小穂は灰色または帯紫色、長さ0.8~1㎜、成熟時に隙間がある。第1苞穎は長円形、長さ0.1~0.4㎜、先は切形で微細不整歯がある。第2苞穎は卵状長円形、長さ0.3~0.5㎜、ほぼ鋭形。護穎は小穂の長さと同長、先は鋭形~鈍形。葯は3個、長さ0.1~0.3㎜。穎果は卵形、長さ0.4~0.7㎜、先は切形。2n=12。
14 Sporobolus vaginiflorus (Torr. ex A.Gray) Alph.Wood サヤヒゲシバ 鞘髭芝
カナダ、USA原産。英名はmodest prickles grass , poverty grass , poverty dropseed , sheathed dropseed。湿った土壌、湖の縁、春の水溜まりに生える。
マット状になり、緑色。 茎は平伏し、高さ30㎝未満、多数、分枝する。葉鞘は縁に毛がある。葉身は長さ1~5㎝、堅く、鞘から簡単に壊れる。花序は長さ3~15㎜×幅3~6㎜、+-卵形、普通、基部につく鞘で囲まれる。小穂は普通、長さ2.5~3.2みり。両苞穎はほぼ等しい。第1苞穎は縁に毛がある。護穎は苞穎にほぼ等しい。2n=48。花期は6~9月。
15 Sporobolus virginicus (L.) Kunth ソナレシバ 磯馴芝
日本(琉球諸島)、中国、台湾、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、熱帯および亜熱帯に広く分布。中国名は盐地鼠尾粟 yan di shu wei su。砂浜に生え、耐塩性があり、しばしば潮の最高水位より下に生える。
多年草。根茎は長く、丈夫で、帯黄色。 稈は直立または傾伏し、しばしば上部で固く分枝し、高さ15~30㎝、直径1~2㎜。 葉鞘はきつく重なり、口部には緩く毛がある。葉身は粉白色、堅く、2列生、最初は平らで、すぐに内巻きし、長さ3~10㎝×幅0.1~0.3㎝、上面はザラつき、下面は平滑、先は尖る。葉舌は長さ約0.2㎜。 円錐花序は線形、穂状花序状、長さ3~10㎝×幅0.4~1㎝。枝は長さ0.5~1.5㎝、直立し、花序軸に圧着する。小穂は灰緑色または緑黄色、紡錘形、長さ2.3~2.7㎜。苞穎は鋭形。第1苞穎は披針形、小穂の長さの2/3~4/5、1脈がある。第2苞穎は狭卵形、小穂の長さと等しく、1脈がある。護穎は広披針形、第2苞穎の長さにほぼ等しく、中脈は明瞭、側脈は不明瞭、先は鈍形。内穎は護穎の長さと同長。葯は3個、長さ1~1.5㎜。穎果はほぼ球形、長さ約0.7㎜。花期および果期は6~9月。2n=18。
16 Sporobolus wrightii Scribn.
USA,メキシコ原産。英名はbig sacaton , giant sacaton , Los Lunas Sacaton。
品種) 'Windbreaker'
17 その他ハイブリッド
品種) 'Heterolepis Cloud' , 'JS Delicatesse'
参考
1) Flora of ChinaSporobolus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=131091
2) Plants of the World Online| KewscienceSporobolus
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:60437275-2
3) World Flora OnlineSporobolus
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000036182;jsessionid=CA940D1DD74855F793AE7C37348E11F6
4) World Checklist of Vascular PlantsSporobolus
https://wcvp.science.kew.org/
5) Jepson eFlora: Taxon pageCrypsis schoenoides(Sporobolus schoenoides)
http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=23256
6) Flora of New ZealandSporobolus alterniflorus (Loisel.) P.M.Peterson & Saarela
https://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Sporobolus-alterniflorus.html
7) FNA - Flora of North AmericaSporobolus alterniflorus (Loisel.) P.M.Peterson & Saarela
https://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Sporobolus-alterniflorus.html
8) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINESporobolus elongatus R.Br.
https://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Sporobolus~elongatus
8) 植物研究雑誌第75巻 第4号 262-263(2000)イネ科の新帰化植物,ホガクレシバ(新称) (木場英久,田中徳久)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_075_262_263.pdf