ネジバナ 捩花
Flora of Mikawa
ラン科 Orchidaceae ネジバナ属
別 名 | モジズリ |
中国名 | 绶草 shou cao |
英 名 | ladies-tresses , Austral ladies tresses |
学 名 | Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. synonym Spiranthes sinensis (Pers.) Ames 広義 |
花 期 | 5~8月 |
高 さ | 10~40㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 日当たりのよい草地、水田の畔 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、イラン、イラク、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、スリランカ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、ラオス、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、カレドニア |
撮 影 | 蒲郡市形原町 02.7.14 |
日当たりのよい公園の芝生などでよく見られる。無毛のナンゴクネジバナなどを含めて広義にネジバナ Spiranthes sinensis とすることも多い。
根は太く、数本つくだけである。葉は根元につき、長さ5~20㎝。茎に少数の鱗片状の葉がつく。花が螺旋状にねじれて並んでつくのが特徴である。左巻き、右巻き、途中でねじれ方が変わるものがある。花は花弁(内花被片)3個、萼片(外花被片)3個からなり、唇弁が白色、側弁は淡紅紫色。萼片3個は左右と上につき淡紅紫色。花の基部に1個の苞がある。花茎や花弁に腺毛がある。2n=24,30,32
ナンゴクネジバナ var. sinensis は伊豆諸島、奄美大島以南に分布し、無毛。
白花品種はシロバナモジズリ form. albescens。
花が淡緑色のものはアオモジズリform. viridiflora。
多年草、地上生、無茎(acaulescent)。根は束生し、紡錘形、肉質、無毛。葉は根生し、ロゼットになり、線形、楕円形、または広卵形、まれにほぼ円筒形、基部は鞘になる。花序は頂生、総状花序、多数の小さな花が花序軸の周りに螺旋状につく。花は逆さまになり(resupinate)、水平または下向きにつき、広く開かず、小さい。子房は捻じれ、紡錘形。萼片は離生、狭楕円形~披針形、ほぼ等形。背萼片は直立し、しばしば花弁と輻合し、フードを形成する。側萼片は基部で広がり、またはときに袋状になる。花弁は直立し、倒披針形、反曲する。唇弁は全縁または不明瞭に3裂し、短い爪部があり、先は反曲し、波打ち、側部の縁はずい柱を抱き込み、ディスクは普通、パピラがあり、基部に2個の肉質の腺がある。ずい柱はこん棒形、腹側に毛がある。葯は直立、2室、ずい柱の背面につく。花粉塊は2個、それぞれが2深裂し、顆粒状粉状(granular-farinaceous)、短い花粉塊柄(caudicle)は有または無、狭い粘着体(viscidium)に付着する。嘴状体(rostellum)は直立し、粘着体なくなった後に先が2裂する。柱頭はほぼ円形~楕円形。蒴果は楕円形。
世界に約50種あり、主に北アメリカに分布し、アフリカ、アジア、オーストラリア、中南米、ヨーロッパに数種ある。
北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はnodding lady's tresses , drooping lady's tresses。沼沢地、牧草地、湿地、砂丘、大草原、森林地帯、川岸、海岸、溝、道端、古い畑、墓地、芝生などの湿った場所~開けた乾いた場所に生える。
多年草、10~50㎝。根は少なく、細く~塊根状に厚くなり、水平方向に広がり~下向きになり、ほとんどが直径1㎝以下。葉は花期に宿存性または早落性、根生し、ときに茎の下部につき、(葉身が膜質で太い中脈があるために、だらけて)斜上~広がる。葉柄は普通、細く、幅6mm未満。葉身は線状披針形~線状倒披針形~倒披針形~倒卵形、または楕円形、長さ26㎝×幅2cm・以下。花序は穂状花序、非常にしっかり~やや緩く螺旋状になり、螺旋のサイクルごとに3~4個の花がつき、まれにサイクルごとに5個以上の花がつき、緩い螺旋状になる。花序軸は中程度~密に毛があり、ときに、毛状突起は頭状になり、腺には明瞭な柄がある。花は白色、黄土色(ochroleucous)、クリーム色、またはアイボリー色(ivory)、たまに、緑色またはまれに帯黄色、花被の基部でのみ下向きになり、またはたまに斜上し、つぼ形~口が大きく開き(gaping)、基部は普通、わずかに膨らんで見え、唇弁の爪部は弁部に低い(30°未満)角度でつき、、またはたまに開かない。萼片は基部から離生し、長さ6~12㎜。側萼片は圧着~広がり、先は内曲するか、またはときに真っすぐで、ときに花の上にアーチ状になる。花弁は線状披針形、長さ6~12mm、先は鋭形~鈍形、たまに幅広で唇弁状になる。唇弁はしばしば中央が黄色になり、全体的に卵形~長円形になり、普通、中間で狭くなり、長さ6~10.5㎜×幅2~7.5㎜、基部は±顕著に広がり、ほぼ円形、円形、または線形、縁は小円鋸歯状、切り裂かれ、またはときに全縁になり、先は鋭形~上部が円形、無毛、数本の脈があり、枝脈は平行。基部のカルス(calli)は普通、内曲し、円錐形に突出し、小さく、ほとんどが長さ0.5~1.2㎜、ときに唇弁が変化し、花弁と区別できなくなる。粘着体(viscidium)は線形~線状披針形。子房は長さ3~14㎜。種子は多胚性(polyembryonic)、しばしば単胚性(monoembryonic)、まれに完全に単胚性、典型的には、胚はずっと発達し、外側が種皮のまたは裸の胚が全種子と混合するなどの不規則性を示す。2n= 45, 60。花期は8月下旬~11月。
2 Spiranthes flexuosa (Sm.) Lindl. ハルネジバナ 春捩花
synonym Spiranthes himalayensis Survesw., Kumar et Mei Sun
日本、南西諸島、中国、台湾、アフガニスタン、西ヒマラヤ、東ヒマラヤ、インド、アッサム、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。 高さ30cm以下。葉は線状披針形。花序は毛がある。花は緩く~しっかりと螺旋状に巻かれ、鐘形、花序柄に垂直に保持され、白色~淡ピンク色。萼片は有頭の毛状突起がある。背萼片はわずか~中程度に上部で上向き反り返り、披針形、鈍い尖鋭形、平らにすると長さ3.5~4.0㎜×幅約1.0㎜。側萼片は披針形、鋭形、長さの約下半分で、わずかに斜めになり、先端は、しばしば、概略、唇弁の縁を超え、長さ3.7~4.2㎜×幅1.0~1.4㎜。花弁は披針形、鈍い鋭形、先端がわずか~強く反曲し、背萼片は星状に見える。唇弁は爪部から唇弁の先までの距離の約3分の2で下向きに反曲し、長円形~屈曲の近くでわずかに狭くなり、それから下部が広くなり、先近くの中央にパピラがあり、縁は全縁~基部から反曲(recurvature)範囲までわずかに波打ち、反曲点の下の縁はフリルと引き裂きがあり、基部に2個のカルスまたは蜜腺(callosities/nectar glands)があり、倒卵形。唇弁は長さ4.0~4.5㎜、カルスの下で幅2.0~2.7㎜、平らにすると反曲範囲で幅1.7~2.1㎜、反曲の下の最も広い地点で幅2.0~2.6㎜。ずい柱は背側が白色、腹側は緑色、長さ1.7~2.2mm。嘴状体(Rostellum)は急に先細になり、先が薄い鋭形の膜になる。柱頭の表面は無毛、台形(trapezoidal)。花粉塊は嘴状体に埋もれた小さな線形の粘着体(viscidium)に付着し、脱落後に狭くて浅いV字形の嘴状体の残骸を残す。2n=30。花期は春。
3 Spiranthes hongkongensis S.Y.Hu et Baretto ホンコンネジバナ 香港捩花
香港原産。中国名は香港绶草 xiang gang shou cao。ずい柱に粘着体(viscidium)が無い。
4 Spiranthes odorata (Nutt.) Lindl.
synonym Spiranthes cernua var. odorata (Nutt.) Correll
synonym Spiranthes cernua subsp. odorata (Nutt.) Kreutz & M.H.Schot
USA原産。英名はlady's tresses , fragrant lady's tresses。ヒノキ林と広葉樹林の低湿地、沼地、草原、川岸、溝に生える。
多年草、高さ10~100㎝以上。根は数本、水平方向に広がり、細く、主に直径0.3㎝以下。葉は花期に宿存し、根生し、茎の上部で徐々にまたは急に小さくなり、葉身の基部は鞘となるか、狭くなり、幅7㎜を超える幅広の葉柄に続き、斜上または広がる(葉身の通気組織の肥厚のために堅くなる)。下部の茎葉の鞘の上の葉身は広がり反曲し、しばしば上部の葉身も広がり反曲し(その後、花序まで広がり)、楕円形~長円状倒披針形~線状倒披針形、長さ52㎝×幅4㎝・以下。穂状花序は固く螺旋状になり、螺旋状のサイクルごとに花が3~4個つく。花序軸は中程度に毛があり、一部の毛状突起は頭状であり、腺は明瞭な柄がある。花は下向きにつき、白色、つぼ形~口が大きく開き(gaping)、唇弁の爪部は弁部(lamina)に対して鋭角(30°未満)であり、基部はわずかに膨らんでいるように見える。萼片は基部と離生し、長さ4~18㎜。側萼片は背萼片および花弁に緩く一緒になり、または広がり、ときに花の上にアーチ状になる。花弁は披針形~楕円状披針形、長さ4~18㎜、先は鋭形~鈍形角または凹形。唇弁はしばしば中央が黄色または緑色になり、菱状卵形~卵形または披針状卵形、長さ4~16㎜×幅(4~)7~9.5㎜、肉質、縁は切り裂かれ~小円鋸歯状になり、無毛、脈は数本、枝は平行。基部のカルス(calli)は内曲し、明瞭、ときに花が小さいと円錐形になり、長さ0.2~2.5㎜。粘着体(viscidium)は線形~線状披針形。子房は長さ4~8mm。種子は単胚性(monoembryonic)。 2n=30。花期は9~12月。
品種) 'Chadd's Ford'
5 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames ネジバナ 捩花 広義
日本全土、朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、ブータン、インド、カシミール、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、ロシア(シベリア)、タイ、ベトナム、オーストラリア原産。中国名は绶草 shou cao。英名はladies-tresses , Austral ladies tresses。森林、雑木林、湿った草地、牧草地、湿地などの開けた湿った場所に生える。
多年草、高さ13~30㎝。根は直径2~3㎜。葉2~5枚つき、直立して広がり、広線形~広線状披針形、まれに狭長円形、長さ3~10㎝×幅0.5~1㎝、先は鋭形または尖鋭形、基部は不明瞭な葉柄のようになる。花序は直立し、長さ10~25㎝、無毛。花序軸は長さ4~10㎝、花が多数、螺旋状につく。花の苞は卵状披針形、無毛、先は長い尖鋭形。花は紫赤色またはピンク色。子房は淡緑色、小花柄を含み長さ4~5㎜、無毛。背萼片は花弁とともにフードを形成し、狭長円形、舟形、約・長さ4㎜×幅1.5㎜、無毛、先はほぼ鋭形。側萼片は披針形、わずかに斜め、約・長さ5㎜×幅2㎜、無毛、基部はわずかに凸月状(ギボス状)、先はほぼ 鋭形。花弁は菱状長円形、斜め、背萼片の長さとほぼ同長、質は薄く、先は鈍形。唇弁は広長円形、長さ4~5.5㎜×幅約2.5㎜、短い爪部があり、凹面状の基部に2個のこん棒形の腺をもち、側部の縁は直立し、先の縁は強くしわの寄った歯があり、先端は鈍形、後ろに反り返り、ディスク(disk)にはパピラ(乳頭状突起)がある。ずい柱は直立し、長さ約2㎜。葯は卵形。花粉塊は長さ約1㎜。粘着体(viscidium)がある。嘴状体(rostellum)は狭三角状披針形。柱頭は円盤形、弱く3裂し、わずかに隆起する。花期は7~8月。2n=24, 30, 32。
5-1 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. ネジバナ 捩花
synonym Spiranthes amoena (M.Bieb.) Spreng.
synonym Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. australis (R.Br.) H.Hara et Kitam.
synonym Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena (M.Bieb.) H.Hara
synonym Spiranthes australis (R.Br.) Lindl.
日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、イラン、イラク、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、スリランカ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、ラオス、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、カレドニア原産。日当たりのよい草地、水田の畔に生える。
多年草。高さ10~40㎝。根は太く、数本つくだけである。葉は根元につき、長さ5~20㎝。茎に少数の鱗片状の葉がつく。花が螺旋状にねじれて並んでつくのが特徴である。左巻き、右巻き、途中でねじれ方が変わるものがある。花は花弁(内花被片)3個、萼片(外花被片)3個からなり、唇弁が白色、側弁は淡紅紫色。萼片3個は左右と上につき淡紅紫色。花の基部に1個の苞がある。花茎や花弁に腺毛がある。2n=24,30,32。花期は5~8月。
5-1-1 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. albescens (Honda) Honda シロバナモジズリ 白花文字摺
別名はシロモジズリ。ネジバナの白花品種。
5-1-2 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. autumnus Tsukaya アキネジバナ 秋咲捩花
別名はアキザキネジバナ。花期は8~10月。
5-1-3 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. gracilis F.Maek., n. n. ヤクシマネジバナ 屋久島
別名はヤクシマモジズリ。多年草、高さ5~10㎝、ネジバナに比べて小型。葉はロゼッタになり、広線形。花期は5~7月。
5-1-4 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. viridiflora (Makino) Ohwi アオモジズリ 花が淡緑色のもの。
5-2 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. sinensis ナンゴクネジバナ 南国捩花
synonym Spiranthes lancea sensu Backer, Bakh.f. et Steenis
伊豆諸島、南西諸島に分布。
花序に毛が生えていないもの。花期は3~5月
6 Spiranthes suishaensis (Hayata) Schltr. シロバナネジバナ 白花捩花
synonym Spiranthes nivea T.P.Lin et W.M.Lin
台湾原産。水社绶草 shui she shou cao。ずい柱に粘着体(viscidium)が無い。
Spiranthes
Spiranthes
Spiranthes
Illuminating the systematics of the Spiranthes sinensis species complex (Orchidaceae):
ecological speciation with little morphological differentiation
Spiranthes
PhytoKeys 89: 115–128 (2017)
根は太く、数本つくだけである。葉は根元につき、長さ5~20㎝。茎に少数の鱗片状の葉がつく。花が螺旋状にねじれて並んでつくのが特徴である。左巻き、右巻き、途中でねじれ方が変わるものがある。花は花弁(内花被片)3個、萼片(外花被片)3個からなり、唇弁が白色、側弁は淡紅紫色。萼片3個は左右と上につき淡紅紫色。花の基部に1個の苞がある。花茎や花弁に腺毛がある。2n=24,30,32
ナンゴクネジバナ var. sinensis は伊豆諸島、奄美大島以南に分布し、無毛。
白花品種はシロバナモジズリ form. albescens。
花が淡緑色のものはアオモジズリform. viridiflora。
ネジバナ属
family Orchidaceae - genus Spiranthes多年草、地上生、無茎(acaulescent)。根は束生し、紡錘形、肉質、無毛。葉は根生し、ロゼットになり、線形、楕円形、または広卵形、まれにほぼ円筒形、基部は鞘になる。花序は頂生、総状花序、多数の小さな花が花序軸の周りに螺旋状につく。花は逆さまになり(resupinate)、水平または下向きにつき、広く開かず、小さい。子房は捻じれ、紡錘形。萼片は離生、狭楕円形~披針形、ほぼ等形。背萼片は直立し、しばしば花弁と輻合し、フードを形成する。側萼片は基部で広がり、またはときに袋状になる。花弁は直立し、倒披針形、反曲する。唇弁は全縁または不明瞭に3裂し、短い爪部があり、先は反曲し、波打ち、側部の縁はずい柱を抱き込み、ディスクは普通、パピラがあり、基部に2個の肉質の腺がある。ずい柱はこん棒形、腹側に毛がある。葯は直立、2室、ずい柱の背面につく。花粉塊は2個、それぞれが2深裂し、顆粒状粉状(granular-farinaceous)、短い花粉塊柄(caudicle)は有または無、狭い粘着体(viscidium)に付着する。嘴状体(rostellum)は直立し、粘着体なくなった後に先が2裂する。柱頭はほぼ円形~楕円形。蒴果は楕円形。
世界に約50種あり、主に北アメリカに分布し、アフリカ、アジア、オーストラリア、中南米、ヨーロッパに数種ある。
ネジバナ属の主な種と園芸品種
1 Spiranthes cernua (L.) Rich. アメリカモジズリ北アメリカ(USA、カナダ)原産。英名はnodding lady's tresses , drooping lady's tresses。沼沢地、牧草地、湿地、砂丘、大草原、森林地帯、川岸、海岸、溝、道端、古い畑、墓地、芝生などの湿った場所~開けた乾いた場所に生える。
多年草、10~50㎝。根は少なく、細く~塊根状に厚くなり、水平方向に広がり~下向きになり、ほとんどが直径1㎝以下。葉は花期に宿存性または早落性、根生し、ときに茎の下部につき、(葉身が膜質で太い中脈があるために、だらけて)斜上~広がる。葉柄は普通、細く、幅6mm未満。葉身は線状披針形~線状倒披針形~倒披針形~倒卵形、または楕円形、長さ26㎝×幅2cm・以下。花序は穂状花序、非常にしっかり~やや緩く螺旋状になり、螺旋のサイクルごとに3~4個の花がつき、まれにサイクルごとに5個以上の花がつき、緩い螺旋状になる。花序軸は中程度~密に毛があり、ときに、毛状突起は頭状になり、腺には明瞭な柄がある。花は白色、黄土色(ochroleucous)、クリーム色、またはアイボリー色(ivory)、たまに、緑色またはまれに帯黄色、花被の基部でのみ下向きになり、またはたまに斜上し、つぼ形~口が大きく開き(gaping)、基部は普通、わずかに膨らんで見え、唇弁の爪部は弁部に低い(30°未満)角度でつき、、またはたまに開かない。萼片は基部から離生し、長さ6~12㎜。側萼片は圧着~広がり、先は内曲するか、またはときに真っすぐで、ときに花の上にアーチ状になる。花弁は線状披針形、長さ6~12mm、先は鋭形~鈍形、たまに幅広で唇弁状になる。唇弁はしばしば中央が黄色になり、全体的に卵形~長円形になり、普通、中間で狭くなり、長さ6~10.5㎜×幅2~7.5㎜、基部は±顕著に広がり、ほぼ円形、円形、または線形、縁は小円鋸歯状、切り裂かれ、またはときに全縁になり、先は鋭形~上部が円形、無毛、数本の脈があり、枝脈は平行。基部のカルス(calli)は普通、内曲し、円錐形に突出し、小さく、ほとんどが長さ0.5~1.2㎜、ときに唇弁が変化し、花弁と区別できなくなる。粘着体(viscidium)は線形~線状披針形。子房は長さ3~14㎜。種子は多胚性(polyembryonic)、しばしば単胚性(monoembryonic)、まれに完全に単胚性、典型的には、胚はずっと発達し、外側が種皮のまたは裸の胚が全種子と混合するなどの不規則性を示す。2n= 45, 60。花期は8月下旬~11月。
2 Spiranthes flexuosa (Sm.) Lindl. ハルネジバナ 春捩花
synonym Spiranthes himalayensis Survesw., Kumar et Mei Sun
日本、南西諸島、中国、台湾、アフガニスタン、西ヒマラヤ、東ヒマラヤ、インド、アッサム、ミャンマー、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。 高さ30cm以下。葉は線状披針形。花序は毛がある。花は緩く~しっかりと螺旋状に巻かれ、鐘形、花序柄に垂直に保持され、白色~淡ピンク色。萼片は有頭の毛状突起がある。背萼片はわずか~中程度に上部で上向き反り返り、披針形、鈍い尖鋭形、平らにすると長さ3.5~4.0㎜×幅約1.0㎜。側萼片は披針形、鋭形、長さの約下半分で、わずかに斜めになり、先端は、しばしば、概略、唇弁の縁を超え、長さ3.7~4.2㎜×幅1.0~1.4㎜。花弁は披針形、鈍い鋭形、先端がわずか~強く反曲し、背萼片は星状に見える。唇弁は爪部から唇弁の先までの距離の約3分の2で下向きに反曲し、長円形~屈曲の近くでわずかに狭くなり、それから下部が広くなり、先近くの中央にパピラがあり、縁は全縁~基部から反曲(recurvature)範囲までわずかに波打ち、反曲点の下の縁はフリルと引き裂きがあり、基部に2個のカルスまたは蜜腺(callosities/nectar glands)があり、倒卵形。唇弁は長さ4.0~4.5㎜、カルスの下で幅2.0~2.7㎜、平らにすると反曲範囲で幅1.7~2.1㎜、反曲の下の最も広い地点で幅2.0~2.6㎜。ずい柱は背側が白色、腹側は緑色、長さ1.7~2.2mm。嘴状体(Rostellum)は急に先細になり、先が薄い鋭形の膜になる。柱頭の表面は無毛、台形(trapezoidal)。花粉塊は嘴状体に埋もれた小さな線形の粘着体(viscidium)に付着し、脱落後に狭くて浅いV字形の嘴状体の残骸を残す。2n=30。花期は春。
3 Spiranthes hongkongensis S.Y.Hu et Baretto ホンコンネジバナ 香港捩花
香港原産。中国名は香港绶草 xiang gang shou cao。ずい柱に粘着体(viscidium)が無い。
4 Spiranthes odorata (Nutt.) Lindl.
synonym Spiranthes cernua var. odorata (Nutt.) Correll
synonym Spiranthes cernua subsp. odorata (Nutt.) Kreutz & M.H.Schot
USA原産。英名はlady's tresses , fragrant lady's tresses。ヒノキ林と広葉樹林の低湿地、沼地、草原、川岸、溝に生える。
多年草、高さ10~100㎝以上。根は数本、水平方向に広がり、細く、主に直径0.3㎝以下。葉は花期に宿存し、根生し、茎の上部で徐々にまたは急に小さくなり、葉身の基部は鞘となるか、狭くなり、幅7㎜を超える幅広の葉柄に続き、斜上または広がる(葉身の通気組織の肥厚のために堅くなる)。下部の茎葉の鞘の上の葉身は広がり反曲し、しばしば上部の葉身も広がり反曲し(その後、花序まで広がり)、楕円形~長円状倒披針形~線状倒披針形、長さ52㎝×幅4㎝・以下。穂状花序は固く螺旋状になり、螺旋状のサイクルごとに花が3~4個つく。花序軸は中程度に毛があり、一部の毛状突起は頭状であり、腺は明瞭な柄がある。花は下向きにつき、白色、つぼ形~口が大きく開き(gaping)、唇弁の爪部は弁部(lamina)に対して鋭角(30°未満)であり、基部はわずかに膨らんでいるように見える。萼片は基部と離生し、長さ4~18㎜。側萼片は背萼片および花弁に緩く一緒になり、または広がり、ときに花の上にアーチ状になる。花弁は披針形~楕円状披針形、長さ4~18㎜、先は鋭形~鈍形角または凹形。唇弁はしばしば中央が黄色または緑色になり、菱状卵形~卵形または披針状卵形、長さ4~16㎜×幅(4~)7~9.5㎜、肉質、縁は切り裂かれ~小円鋸歯状になり、無毛、脈は数本、枝は平行。基部のカルス(calli)は内曲し、明瞭、ときに花が小さいと円錐形になり、長さ0.2~2.5㎜。粘着体(viscidium)は線形~線状披針形。子房は長さ4~8mm。種子は単胚性(monoembryonic)。 2n=30。花期は9~12月。
品種) 'Chadd's Ford'
5 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames ネジバナ 捩花 広義
日本全土、朝鮮、中国、台湾、アフガニスタン、ブータン、インド、カシミール、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、ネパール、フィリピン、ロシア(シベリア)、タイ、ベトナム、オーストラリア原産。中国名は绶草 shou cao。英名はladies-tresses , Austral ladies tresses。森林、雑木林、湿った草地、牧草地、湿地などの開けた湿った場所に生える。
多年草、高さ13~30㎝。根は直径2~3㎜。葉2~5枚つき、直立して広がり、広線形~広線状披針形、まれに狭長円形、長さ3~10㎝×幅0.5~1㎝、先は鋭形または尖鋭形、基部は不明瞭な葉柄のようになる。花序は直立し、長さ10~25㎝、無毛。花序軸は長さ4~10㎝、花が多数、螺旋状につく。花の苞は卵状披針形、無毛、先は長い尖鋭形。花は紫赤色またはピンク色。子房は淡緑色、小花柄を含み長さ4~5㎜、無毛。背萼片は花弁とともにフードを形成し、狭長円形、舟形、約・長さ4㎜×幅1.5㎜、無毛、先はほぼ鋭形。側萼片は披針形、わずかに斜め、約・長さ5㎜×幅2㎜、無毛、基部はわずかに凸月状(ギボス状)、先はほぼ 鋭形。花弁は菱状長円形、斜め、背萼片の長さとほぼ同長、質は薄く、先は鈍形。唇弁は広長円形、長さ4~5.5㎜×幅約2.5㎜、短い爪部があり、凹面状の基部に2個のこん棒形の腺をもち、側部の縁は直立し、先の縁は強くしわの寄った歯があり、先端は鈍形、後ろに反り返り、ディスク(disk)にはパピラ(乳頭状突起)がある。ずい柱は直立し、長さ約2㎜。葯は卵形。花粉塊は長さ約1㎜。粘着体(viscidium)がある。嘴状体(rostellum)は狭三角状披針形。柱頭は円盤形、弱く3裂し、わずかに隆起する。花期は7~8月。2n=24, 30, 32。
5-1 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. ネジバナ 捩花
synonym Spiranthes amoena (M.Bieb.) Spreng.
synonym Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. australis (R.Br.) H.Hara et Kitam.
synonym Spiranthes sinensis (Pers.) Ames var. amoena (M.Bieb.) H.Hara
synonym Spiranthes australis (R.Br.) Lindl.
日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、イラン、イラク、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、スリランカ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、ラオス、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、カレドニア原産。日当たりのよい草地、水田の畔に生える。
多年草。高さ10~40㎝。根は太く、数本つくだけである。葉は根元につき、長さ5~20㎝。茎に少数の鱗片状の葉がつく。花が螺旋状にねじれて並んでつくのが特徴である。左巻き、右巻き、途中でねじれ方が変わるものがある。花は花弁(内花被片)3個、萼片(外花被片)3個からなり、唇弁が白色、側弁は淡紅紫色。萼片3個は左右と上につき淡紅紫色。花の基部に1個の苞がある。花茎や花弁に腺毛がある。2n=24,30,32。花期は5~8月。
5-1-1 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. albescens (Honda) Honda シロバナモジズリ 白花文字摺
別名はシロモジズリ。ネジバナの白花品種。
5-1-2 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. autumnus Tsukaya アキネジバナ 秋咲捩花
別名はアキザキネジバナ。花期は8~10月。
5-1-3 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. gracilis F.Maek., n. n. ヤクシマネジバナ 屋久島
別名はヤクシマモジズリ。多年草、高さ5~10㎝、ネジバナに比べて小型。葉はロゼッタになり、広線形。花期は5~7月。
5-1-4 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. australis (R.Br.) Kitam. f. viridiflora (Makino) Ohwi アオモジズリ 花が淡緑色のもの。
5-2 Spiranthes sinensis (Pers.) Ames subsp. sinensis ナンゴクネジバナ 南国捩花
synonym Spiranthes lancea sensu Backer, Bakh.f. et Steenis
伊豆諸島、南西諸島に分布。
花序に毛が生えていないもの。花期は3~5月
6 Spiranthes suishaensis (Hayata) Schltr. シロバナネジバナ 白花捩花
synonym Spiranthes nivea T.P.Lin et W.M.Lin
台湾原産。水社绶草 shui she shou cao。ずい柱に粘着体(viscidium)が無い。
参考
1) Flora of ChinaSpiranthes
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=131021
2) Plants of the World Online| KewscienceSpiranthes
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331291-2
3) World Flora OnlineSpiranthes
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000036112;jsessionid=C4970CCB64496B7FCE976F7919F318EE
4) Botanical Journal of the Linnean Society, Vol. 189, Issue 1, 2019, P 36–62Illuminating the systematics of the Spiranthes sinensis species complex (Orchidaceae):
ecological speciation with little morphological differentiation
https://academic.oup.com/botlinnean/article/189/1/36/5213078?login=false
5) World Checklist of Vascular PlantsSpiranthes
https://wcvp.science.kew.org/
6) Spiranthes himalayensis (Orchidaceae, Orchidoideae) a new species from AsiaPhytoKeys 89: 115–128 (2017)