ミヤマアシボソスゲ 深山足細菅
Flora of Mikawa
カヤツリグサ科 Cyperaceae スゲ属
学 名 | Carex scita Maxim. var. scita |
花 期 | 7~8月 |
高 さ | 20~70㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 高山の草地 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州(八ケ岳、南アルプス、中央アルプス、木曽御嶽) |
撮 影 | 駒ケ岳 06.8.8 |
ミヤマアシボソスゲは日本固有種。本州(八ケ岳、南アルプス、中央アルプス、木曽御嶽)に分布する。多年草、高さ20~70㎝。根茎は短く、粗に叢生する。基部の鞘は葉身を欠き、濃紫褐色。葉は幅2~5㎜、花序より低い。苞は無鞘。頂小穂は雄性、側小穂は雌性、ときに上部の側小穂の先にも短い雄花部がある。雌小穂は長さ1~3㎝、長い花柄があり、垂れ下がる。鱗片は果胞より少し短く、紫褐色、中肋は緑色、先が長い芒になり、果胞の倍近くつき出る。果胞は長さ4~5㎜の扁平な長い楕円形、先は漸尖し嘴はなく、口部は凹形、縁に小剛毛がある。痩果は長さ約2.5㎜の長円状の3綾形、基部に長い柄がある。柱頭は3岐。花期は7~8月。
5変種がある。
高さ40~70㎝、根茎は短く、緩く叢生する。葉は茎より短く、幅3~6㎜、弓なりに先が垂れ下がる。花茎は細く、上部が弓なりになり、茶褐色~黒紫褐色の小穂が垂れ下がる。頂小穂は雄性。側小穂は雌性、3~6個つく。雌鱗片は濃赤紫色、長さ3~5㎜、先に長さ約2㎜の短い芒がある。果胞は長さ5~7㎜、長円状卵形、基部に短い柄があり、先は次第に狭まり、先端に短い嘴があり、口部は不明瞭な2小歯またはほぼ全縁、縁に小剛毛がある。痩果は果胞に緩く包まれる。花柱の基部は太くならない。柱頭は3岐。花期は6~8月。
鳥取県の大山に分布する。大山の山頂付近の崩壊地の草地に生える。
ややまばらに叢生する。花茎は高さ約30㎝。花茎は平滑。基部の鞘は濃赤紫色、繊維状に細裂する。葉身は幅3~4.5㎜、下面にパピラが密にある。頂小穂は雄性、1個、長円形。側小穂は数個つき、雌性、楕円形、黒紫褐色、柄があり下垂する。雌鱗片は赤紫色、長い芒がある。果胞は基本変種より幅が広く、雌鱗片より長く、長さ4~4.5㎜、広楕円形、5~6本の細脈があり、嘴はない。柱頭は3岐。果期は7月。
日本(北海道)、千島列島、サハリン、ロシア(カムチャッカ半島)に分布。
花茎の上部がザラつく。鱗片は濃赤紫色~濃赤褐色。果胞はシコタンスゲより短く、雌鱗片よりやや長く、長さ4.5~5㎜×幅1.5~2 mm、稜間に3~4本の細脈があり、濃赤紫色の斑点があり、両側に小剛毛があり、先は次第に狭まり短い嘴となり、口部は凹形。柱頭は3岐。
花茎は高さ40~80㎝。葉は下面にパピラが密にある。頂部の1~2個の小穂は雄性、側小穂は雌性、長さ1.5~3㎝、長い柄があり下垂する。雌鱗片は紫褐色、芒がある。果胞は幅がシコタンスゲより広く、楕円形~広楕円形、雌鱗片よりやや長く、縁に著しい鋸歯状の小剛毛があり、嘴は短く、口部は凹形。花柱は基部が湾曲する。柱頭は3岐。果期は7~8月。
高さ20~40㎝。基部の鞘は濃赤紫色。葉の幅は3~6mm、下面にパピラがあり、柔らかく先端が垂れる。小穂は細い枝先に付き、茶褐色~黒褐色、垂れ下がる。頂生の雄小穂は1~2個つき、線状円柱形。雌小穂は卵状円柱形、長さ1~3㎝。果胞はミヤマアシボソスゲに似るが、果胞の嘴の口部が凹まない。花期は6~8月。果期は8~9月。[J. Jap. Bot. 86: 239 (2011)]
類似のミヤマクロスゲは果胞が丸く、鱗片が黒く、芒が短い。
タカネナルコは小型、葉の幅も狭い。
5変種がある。
(1) Carex scita Maxim. var. brevisquama (Koidz.) Ohwi シロウマスゲ 白馬菅
synonym Carex tenuiseta Franch. var. brevisquama Koidz. in Bot. Mag. (Tokyo) 32: 54 (1918)
本州の中部地方~東北地方の日本海側の高山に分布する。和名は北アルプスの白山にあることによる。標高2000~3200mの高山の岩場や草原に生える。高さ40~70㎝、根茎は短く、緩く叢生する。葉は茎より短く、幅3~6㎜、弓なりに先が垂れ下がる。花茎は細く、上部が弓なりになり、茶褐色~黒紫褐色の小穂が垂れ下がる。頂小穂は雄性。側小穂は雌性、3~6個つく。雌鱗片は濃赤紫色、長さ3~5㎜、先に長さ約2㎜の短い芒がある。果胞は長さ5~7㎜、長円状卵形、基部に短い柄があり、先は次第に狭まり、先端に短い嘴があり、口部は不明瞭な2小歯またはほぼ全縁、縁に小剛毛がある。痩果は果胞に緩く包まれる。花柱の基部は太くならない。柱頭は3岐。花期は6~8月。
(2) Carex scita Maxim. var. parvisquama T.Koyama ダイセンアシボソスゲ 大山足細菅
synonym Carex scita Maxim. subsp. parvisquama (T.Koyama) T.Koyama鳥取県の大山に分布する。大山の山頂付近の崩壊地の草地に生える。
ややまばらに叢生する。花茎は高さ約30㎝。花茎は平滑。基部の鞘は濃赤紫色、繊維状に細裂する。葉身は幅3~4.5㎜、下面にパピラが密にある。頂小穂は雄性、1個、長円形。側小穂は数個つき、雌性、楕円形、黒紫褐色、柄があり下垂する。雌鱗片は赤紫色、長い芒がある。果胞は基本変種より幅が広く、雌鱗片より長く、長さ4~4.5㎜、広楕円形、5~6本の細脈があり、嘴はない。柱頭は3岐。果期は7月。
(3) Carex scita Maxim. var. riishirensis (Franch.) Kük. リシリスゲ 利尻菅
synonym Carex scita Maxim. var. koraginensis (Meinsh.) Kük. キタチシマスゲ
synonym Carex ciliolata Franch日本(北海道)、千島列島、サハリン、ロシア(カムチャッカ半島)に分布。
花茎の上部がザラつく。鱗片は濃赤紫色~濃赤褐色。果胞はシコタンスゲより短く、雌鱗片よりやや長く、長さ4.5~5㎜×幅1.5~2 mm、稜間に3~4本の細脈があり、濃赤紫色の斑点があり、両側に小剛毛があり、先は次第に狭まり短い嘴となり、口部は凹形。柱頭は3岐。
(4) Carex scita Maxim. var. scabrinervia (Franch.) Kük. シコタンスゲ 色丹菅
synonym Carex scita Maxim. subsp. scabrinervia (Franch.) T. Koyama
日本(北海道の根室・釧路・礼文島)、千島列島、サハリンに分布。海岸に生える。花茎は高さ40~80㎝。葉は下面にパピラが密にある。頂部の1~2個の小穂は雄性、側小穂は雌性、長さ1.5~3㎝、長い柄があり下垂する。雌鱗片は紫褐色、芒がある。果胞は幅がシコタンスゲより広く、楕円形~広楕円形、雌鱗片よりやや長く、縁に著しい鋸歯状の小剛毛があり、嘴は短く、口部は凹形。花柱は基部が湾曲する。柱頭は3岐。果期は7~8月。
(5) Carex scita Maxim. var. tenuiseta (Franch.) Yonek. アシボソスゲ 足細菅
synonym Carex tenuiseta Franchsynonym Carex scita Maxim. subsp. brevisquama (Koidz.) T.Koyama
本州の山形県と秋田県界にある鳥海山、北アルプスの日本海側に分布する。高山帯の草地に生える。シロウマスゲと混同され、別名はシロウマスゲ。高さ20~40㎝。基部の鞘は濃赤紫色。葉の幅は3~6mm、下面にパピラがあり、柔らかく先端が垂れる。小穂は細い枝先に付き、茶褐色~黒褐色、垂れ下がる。頂生の雄小穂は1~2個つき、線状円柱形。雌小穂は卵状円柱形、長さ1~3㎝。果胞はミヤマアシボソスゲに似るが、果胞の嘴の口部が凹まない。花期は6~8月。果期は8~9月。[J. Jap. Bot. 86: 239 (2011)]
類似のミヤマクロスゲは果胞が丸く、鱗片が黒く、芒が短い。
タカネナルコは小型、葉の幅も狭い。