メダケ 女竹

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae メダケ属

別 名 オナゴタケ、カワタケ、シノダケ
英 名 Simon bamboo , medake
学 名 Pleioblastus simonii (Carrière) Nakai
メダケの葉鞘
メダケの稈
メダケの節
メダケ
メダケ葉
[稈長] 3~5m
生活型 ササ類
生育場所 河川敷、海岸の丘陵地など
分 布 在来種 本州(関東地方以西)、四国、沖縄
撮 影 新城市 07.9.22
ササ類に属し、稈鞘が離脱しないで残る。稈は直立し、直径は2~3㎝。稈鞘、葉鞘、節、葉など全体に無毛。節は高く膨れ上がる。稈鞘の長さは節間の1/3~2/3。節から3~7個の枝を出す。葉は長さ20~25㎝、幅約15~25㎜、紙質で硬く、先がやや尾状に伸び、垂れ下がるのが特徴。葉鞘上縁は斜上する。葉耳はなく、肩毛は直立して、白色、平滑。
 よく似ているネザサやアズマネザサは葉の長さがやや短く、ほとんど垂れ下がらない。葉鞘の上縁もほぼ水平。ネザサは西日本、アズマネザサは東日本に分布し、おおよそ、富山県糸魚川と静岡県富士川を結んだ線(糸魚川静岡構造線)を分布の境界としている。ネザサの方が葉幅が広く、葉質がやや厚い。

メダケ属

  family Poaceae - genus Pleioblastus

 小型、低木状または樹木状の竹で、広がり、ゆるく群生する。根茎は単軸分枝型(leptomorph)。稈はプルリカエスピトース(pluricaespitose:長くて細い根茎に沿って、1列に束生して稈が生じる)、ほぼ直立または垂れ下がり、長さ0.5~8m、太さ0.1~4㎝。節間は枝の上にわずかに溝があり、無毛、平滑または粗く、平らな節の下部が粉状になる。枝の芽は高く、前出葉(prophylls)は2竜骨があり、初めは正面が閉じ、小さい突出部(promontory)がある。枝は直立し、初めは各節に1~9本つき、長く、ほぼ等長、基部の節は圧縮され、側枝は基部の節から生じ、一部の側枝は基部につく鞘を欠き、折り返しが無く、鞘と前出葉は非常に宿存性で、紙質、±無毛。稈鞘は宿存性~非常に宿存性、ほぼ革質、葉身は脱落性、しばしば下屈する。葉鞘は宿存性、葉身は小型~中型で、冬に縁の壊死はほとんどなく、配置はランダムまたは±二列生、横脈は明瞭。花序は開き。総状花序~円錐花序、枝は非常に小さな苞または毛が基部につき、しばしば、葉枕(pulvini)をもつ。小穂は長くて繊細な小花柄につく。小穂は長さ1~4㎝、小花の下で関節離断し、4~8個の小花をもつ。苞頴は1または2(~5)個つき、第1護頴よりはるかに短く、繊細で、基部に緩く、通常は退化した痕跡の芽をつける。護頴は長さ1㎝以下。葯は3個。柱頭は3個。果実は穎果。
 世界に約25種(Flora of Chinaでは約40種)あり、中国、日本に分布する。現在はメダケ属であるが、以前は川竹属と呼ばれた。
【中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(其三)の解説】
 地下茎は地中を広く這い、分枝が多く、稈は地下茎から側生して直立する。芽は稈の各節より3~7個(稀に減数して1~2個)出る。これは枝の最基部の2~6個の節間がほとんど発達せず、芽のみ発達するためである。稈鞘(籜タク:筍の皮)は宿存性のため、老成した稈は稈鞘または葉鞘が腐敗して繊維のみとなったものをつける。肩毛は白色、平滑、波状に屈曲し、半ば宿存する。葉脈は格子目状である。花序は稈または枝に側生する。小穂(小花穂)は総状または葉腋に集まり、各々、3~10個の花をつけ、基部に格子目状の脈がある大型の2個の苞がある。護頴(外頴)は1個が大きく、先端が尖り、格子目状の脈がある。内頴は1個、先端が2又になる。鱗被(花頴)は3個、膜質、通例、内頴に対生する1個は他の2個よりも小さい。雄しべは3個。花糸は無毛。葯は細長く 2室、葯間は抽出しない。花柱は1個、3個のほぼ羽毛状になる柱頭をつける。頴果は長楕円形、外果皮は薄く、種皮と完全に癒着する。

メダケ属の主な種と園芸品種

1 Pleioblastus amarus (Keng) P. C. Keng
 中国原産。中国名は苦竹 ku zhu。英名はamarus bamboo。中国で平野から低い丘まで、頻繁に栽培されている。
 稈は高さ3~5m、直径1.5~2㎝。節間は緑または緑紫色、斑点があり、古くなると黄緑色、円筒形、27~29(~38)cm。基部は枝の上で基本的に弱く平らになり、無毛または毛があり、壁は厚さ約6㎜、節が目立ち、節間は約6㎜。葉のある小枝はときに、垂れ下がる。稈鞘は緑色、密に粉白になり、外面は無毛または有毛、基部に毛が密にあり、縁には縁毛があり、先はオレンジ色または枯れる。葉耳は不明瞭。葉舌は切形、長さ1~2㎜、密に粉白になり、繊毛がある。稈鞘の葉身は狭披針形、縁に鋸歯がある。葉は各最終的な枝に3~4枚つく。葉鞘はわら色、葉耳および肩毛がない。葉舌は紫赤色、長さ約2㎜。偽葉柄は長さ約2㎜。葉身は楕円状披針形、長さ4~20㎝×幅2~2.9㎝、二次脈は4~8対、基部はくさび形、縁に鋸歯があり、先は尖鋭形。花序は総状花序または円錐花序。小穂は3~6個つき、長さ4~7㎝、粉白を帯び、小花柄は毛がある。小花は8~13個つき、小軸の節間は4~5㎜。苞頴は3~5個、上側で大きくなる。護頴は卵状披針形。内頴は護頴よりも長く、まれに、長さが同じになり、縁毛があり、粉白を帯び、竜骨の間にわずかに毛があり、先は鋭形。鱗被は3個、卵形または倒卵形、後側は狭く、先端の縁には繊毛がある。葯は薄黄色。子房は狭く、無毛。花柱は短い。柱頭は3個。新芽は4~6月。花期は4~5月。

2 Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai ネザサ 根笹 広義
  synonym Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino var. viridis (Makino) Sad.Suzuki
  synonym Pleioblastus argenteostriatus(Regal) Nakai 翁竹 J. Jap. Bot. 9: 236 (1933)
  synonym Arundinaria chino (Franch. & Sav.) Makino [Kewscience]
  synonym Bambusa argenteostriata Regel
  synonym Nipponocalamus multifolius (Nakai) Nakai
  synonym Pleiobiastus multifolius Nakai 長者笹
  synonym Pleioblastus vaginatus (Hack.) Nakai ハコネザサ
  synonym Pleioblastus argenteostriatus f. glaber (Makino) Murata
 日本固有種 本州(静岡県、新潟県以西)、四国、九州、沖縄に分布。別名は千里竹(せんりだけ)。アズマネザサの変種として分類されることもある。Kewscienceではネザサを広義に捉え、アズマネザサ変種などをPleioblastus argenteostriatusに含めている。
【ネザサとアズマネザサを分ける従来の解説】
 西日本の低地の山野に普通に生える。東日本にはアズマネザサ (東根笹)がある。
 地下茎は横走し、四方に遠く広がり、繁殖する。稈は直立し、緑色、平滑、年を経たものは 3mに達し、直径は1~1.5㎝。稈鞘、葉鞘、節、葉など全体に無毛。節は高く膨れ上がる。稈鞘は離脱しないで宿存し、稈鞘の長さは節間の1/2~2/3。節から3~7個の枝を出す。葉は枝先に2~10枚つき、披針形、長さ4~25㎝×幅15~35㎜、紙質で硬く、あまり垂れ下がらない。葉鞘は上縁がほぼ水平。葉耳はなく、肩毛は直立して、白色、平滑、冬には肩毛はほとんど脱落してしまう。。
【Kewscienceの解説】
 多年草。根茎は伸長し、単軸分枝型(leptomorph)。稈は直立し、長さ20~40㎝、直径1~2㎜、木質、節間は円柱形、壁は薄く、上部は無毛。稈の節は無毛または毛がある。側枝は亜低木状(suffrutescent)。稈鞘は無毛。葉は2列生。葉鞘は表面が無毛または微軟毛がある。葉鞘の肩毛(oral hairs)は剛毛、淡色。葉舌は縁毛の無い膜質または繊毛のある膜質。葉身の基部には鞘へ続くの短い葉柄状の接続部(偽葉柄)がある。葉身は葉舌部で脱落し、披針形、長さ3~7㎝×幅3~10㎜、表面は無毛または微軟毛があり、まばらに両面に毛があり、先は尖鋭形。花序は少数の小穂のみからなる。小穂は単生。稔性の小穂は小花柄があり、小穂は4~6個の稔性の小花からなり、先端の小花は退化する。小穂は線形、側部が扁平、長さ40~60㎜、成熟時に別れ、各稔性の小花の下で関節離断する。小軸の節間は長さ5~7㎜、やがて、護頴の間に見えるようになる。苞頴は2個、宿存性、等長、小穂より短い。第1苞頴は披針形、長さ8~10㎜、紙質、竜骨はなく、先は鋭形。第2苞頴は披針形、長さ8~10㎜、紙質、竜骨はなく、先は鋭形。稔性の護頴は卵形、長さ13~16mm、紙質、竜骨はなく、5~7脈があり、側脈に交差脈があり、先は尖鋭形。内頴は護頴の長さと同長。不稔の小花は未発達であるが稔性の小花に似ている。鱗被は3個。葯は3個。柱頭は3個。穎果は果皮が付着性、先に付属体は無い。(Kewscience)
2-1 Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai f. glaber (Makino) Murata  ネザサ 根笹 狭義
 本州の関東地方以西、四国、九州に分布する。
 常緑、小型だが、高さ3mに達するものもある。地下茎は強健、地中を横行する。稈は直立し、直径3~10㎜、中空、円柱形、平滑、緑色、節間は長く、節は無毛および密に毛があり、混在することもある。新稈は単生し、老稈は分枝し、枝は敷條一節に出ない。葉は枝先に2~10個つき、披針形、先は短い鋭尖頭、基部は鈍形~鈍円形、短い葉柄があり、洋紙質、下面に毛はなく、長さ4~23㎝×幅1.5~3.5㎝。葉鞘は口縁に毛がある。花期は4~5月。花穂は枝に側生し、鞘がある。小穂は広線形、数小花からなり、淡緑色または緑紫色。花は披針形。苞頴は2個、小形。護頴は大きく、尖り、内頴は2肋が背にある。鱗被は3個。雄しべ3個。花柱3個。(新牧野植物図鑑2008) 2-2 Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai f. communis (Makino)  ゴキダケ 御器竹
  synonym Pleioblastus communis Nakai
  synonym Arundinaria communis Makino
 日本固有種。本州、四国、九州に分布する。別名はヤマカハタ、ケイヨスダレ(伊予簾)。メダケに似るが、葉が上向きにつき、冬には落葉する。節には長毛がある。Kewscienceではネザサ(Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai)に含める。
 稈は高さ1~3m、直径2~15mm、.直立し、小さいものは分岐せず、大きいものは分岐し、各節に1~3本の枝を出す。節は節間よりも太く、普通、初めは直立し、後に展開する密毛があるが、後にこれを失う。節間は中空、無毛、節の下に白色の粉を吹き、長さ8~27㎝。稈鞘は無毛であるが、縁には毛がある。肩毛は平滑、白色。葉は枝先に3~13枚つき、披針形、ただし、上部の1~3枚は狭披針形、長さ8~28㎝×幅8~36㎜、表面は緑色、やや光沢があるが、裏面は淡白色、両面ともに毛がなく、基部は丸いか、または急に尖り、先は漸尖形。花序は側枝全部または側枝の中央のものを除く外全部がなり、細長い繊弱な花茎を有し、先端に頴花穂を1~2個、もつ。頴花穂の長さは3.5~7㎝であり、各5~9個の花をつけ、基部に長さ10~13mmの2個の苞をもつ。頴花はほとんど緑色または多少、紫色を帯び、左右に並び、花軸の節間が長さ6~7㎜あるため、互いに重なることはない。最先端の1~2個は雄花または無性花になる。花軸には帯褐色の密毛がある。護頴(外頴)は長さ11~19㎜、先端はほとんど芒状に尖る。内頴は長さ10~12㎜、背に溝がある。鱗被(花頴)は3個、白色、半透明で、縁に毛がある。子房に毛は無く、花柱は1個、3分岐し、柱頭は羽毛状。未だ果実を見ない。(日本本部ノ竹ト笹(其四))
2-3 Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai 'Akebono' アケボノザサ 曙笹
  synonym Pleioblastus akebono (Makino) Nakai)
  synonym Arundinaria variegata Makino var. akebono Makino ex Tsuboi
 原産地不明、庭園に植栽または盆栽とされる。
 地下茎は地中を這い、帯黄色、直径約2㎜、稈はこれより側生し、高さ80㎝を超えず、分岐し、毛は無い。芽は各節に1~2(稀に3)個。稈鞘、葉鞘ともに毛がない。葉は枝の先に3~10個出て、短い葉柄があり、披針形、長さ2~6㎝×幅5~12㎜、両面ともに毛がない。若い時は基部のみ緑色で他ハ白色、秋には全部、淡緑色となる。稚子笹と混同されるが、葉の出方が異なり、また葉裏に毛がない。
2-4 Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai 'Okina' オキナダケ 
  synonym Pleioblastus argenteostriatus 'Okinadake' (v)
【中井:日本本部ノ竹ト笹(其五)p206 翁竹 ヲキナダケ】ネザサの最初の解説とされている。
 葉には始め白色、後に淡黄色の縦縞があり、節には微毛がある。
 高さ1m以上になることは稀。茎は分枝することは少ない。稈は細く直径1~3㎜、節には微小な逆毛がある。稈鞘と葉鞘には毛がない。肩毛は平滑、白色、屈曲する。葉は枝の先端に5~10枚つき、下部の葉は遠く離れて生じ、小さく、下端のものは広披針形、上端のものは狭披針形であり、表裏ともに毛がなく、緑色地に淡黄色の縦縞があり、長さ38~112mm×幅7~14㎜、縁には長い針状の鋸歯がある。未だ花を見ない。原産地は不明でる。小さい時は一見、稚笹、別名、縞竹に似ているが、葉裏に毛がないことと、葉ノ縦縞が黄色を帯びるため区別でき、また大きい時はアズマネザサに近似するが、節に微小な逆毛があり、また若葉の基部の縁には長毛がある。
2-5 Pleioblastus argenteostriatus 'Tsuboi'
  synonym Pleioblastus variegatus 'Tsuboii' (v)
  synonym Pleioblastus variegatus f. tsuboii (Makino ex I.Tsuboi) Makino
  synonym Phyllostachys shibuyanus 'Tsuboi'
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakai ケネザサ
 英名はdwarf white-striped bamboo。The Plant ListではPleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakaiのsynonymとしている。
2-6 Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino f. pumilus (Mitford) Sad.Suzuki スダレヨシ 異分類
  synonym Arundinaria pumila Mitford
  synonym Arundinaria variabilis Makini var. Tanaka Makino
  synonym Sasa variegata var. viridis forma Tanaka
 ネザサの簾(すだれ)の品種として栽培されている。節に長毛を密生するのでネザサと区別される。
 稈は叢生し、細く、高さ100~120㎝、直径2~2.5㎜、最初は緑色であるが、秋から淡綾色になり、2年目には淡黄色に変わる。ほとんど分岐せず、節には帯褐色の毛を密生する。節間は長さ9~16㎝、無毛。葉は稈の先に5~6枚つく。葉鞘は無毛、淡緑色。肩毛は白色、平滑。葉身は狭披針形、長さ127~195㎜×幅7~23㎜、上面は緑色、無毛。下面は淡緑色または淡白色、毛があるものと無いものがあるが、少くとも上部の葉には下面に毛がある。側脈は葉の両側に3~6本あり、縁には細かい刺毛があり、基部は急尖し、先端は漸尖する。大分県(豊後)、愛媛県今治市(伊予)、山口県(長門)に産し、伊予スダレ、イヨダケともいう。稈を編んで簾(すだれ)にする。

3 Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino アズマネザサ 東根笹
  synonym Arundinaria vaginata Hack.
  synonym Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino var. vaginatus (Hack.) Sad.Suzuki ハコネダケ(箱根竹)
  synonym Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino var. gracilis (Makino) Nakai ヤシバダケ
 Kewscienceではネザサ(Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai)に含めている。ネザサに似るが、葉鞘に細毛がある。
 北海道南部(稀)、本州の中部以北(関東~東北地方)に分布。関東地方の低山で普通に見られる。別名はシノダケ(篠竹)。
 常緑または半常緑性。稈は直立、叢生し、高さ3~4m、直径2~20㎜、節はやや太る。根茎は地中を横に這う。稈鞘は無毛。稈鞘長/節間長比は1/3~2/3。葉は小枝の先に6~7枚つき、葉身は披針形~狭披針形、長さ15~25㎝×幅15~22㎜、基部は円形、先は尖鋭形、下面は無毛であるが、上面に薄く毛があるものもある。葉鞘は無毛、葉鞘上縁は水平。肩毛は白色、平滑、直立する。分枝数は3~7本。穂は緑色または紫色。竹の子は細長く、皮は暗緑色または紫色。まれに花が見られ、雄しべは3本。
品種) 'Aureostriatus' , 'Hisauchii' , 'Kimmei' , 'Laydekeri' キンジョウチク , 'Murakamianus'(dwarf variegated bamboo) , 'Variegatus' ヤシバダケ
3-1 Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino f. elegantissimus (Makino) Muroi et H.Okamura ヒメシマダケ
 ハコネダケの葉に筋斑が入る。別名はフイリハコネダケ。
3-2 Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino f. nebulosus (Makino) Muroi ジョウボウジダケ
 別名はトラフアズマ。 3-3 Pleioblastus chino (Franch. et Sav.) Makino f. lentigiosus (Koidz.) Sad.Suzuki カンサイアズマネザサ 異分類

4 Pleioblastus distichus (Mitford) Nakai オロシマチク 於呂島竹
  synonym Pleioblastus argenteostriatus (Regel) Nakai 'Distichus' [YList]
  synonym Pleioblastus pygmaeus (Miq.) Nakai var. distichus (Mitford) Nakai
  synonym Pleioblastus pygmaeus 'Distichus'
  synonym Arundinaria pygmaea var. disticha (Mitford) C.S.Chao & Renvoize
  synonym Pseudosasa disticha (Mitford) Nakai
  synonym Pleioblastus distichus (Mitford) Nakai
  synonym Bambusa disticha Mitford
  synonym Sasa disticha (Mitford) E.G.Camus
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakai 'Pygmaeus'
  synonym Pleioblastus pygmaeus (Miq.) Nakai var. distichus (Mitford) Nakai f. ramosissimus (Nakai) Sad.Suzuki
 日本固有種。本州、四国、九州に分布。中国名は无毛翠竹 wu mao cui zhu。英名はdwarf fern leaf bamboo。刈り込みに強く、庭園や斜面の緑化に使われる。
 稈は高さ20~40㎝、直径1~2㎜。節間は無毛。節は無毛またはときに鞘痕に直軟毛がある。稈鞘は無毛。葉は各枝に5~8枚つき、間隔が狭く、2列生。葉耳は無い。肩毛(oral setae)は白色、平滑。葉身は直立し、披針形、長さ3~7㎝×幅0.3~0.8㎝、かなり堅く、無毛。(Flora of China)
 毛於呂島竹に似て葉裏に毛のないことが異なる。葉縁の毛も通例短い。節には微毛があることと、無いことがあり、稈により一定しない。先に毛於呂島竹のくだりに於呂島竹の節に毛がない事を記しているのは誤りである。(中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(其五))
品種) 'Mirrezuzume'

5 Pleioblastus gramineus (Bean) Nakai タイミンチク 大明竹
 日本固有種。九州、沖縄、南西諸島原産。中国名は大明竹。英名はcane bamboo。別名はツウシチク(通絲竹)。
 多年生、叢生する。根茎は伸長し、単軸分枝型(leptomorph)。稈は直立し、長さ3~5m、直径5~20㎜、木質。節間は円柱形、壁は薄く、長さ10~25㎝、上部は無毛。稈の節は無毛。側枝は樹枝樹状。枝は2または3本つく。稈鞘は脱落性、革質、無毛、葉耳は無い。稈鞘の葉身は線形。葉は各枝に5~11枚つく。葉鞘は長さ2.5~4㎝、表面は無毛。葉鞘の肩毛は乏しいかまたは剛毛、長さ4~6㎜、淡色。葉舌は縁毛のない膜質または繊毛のある膜質。葉身の基部は鞘へ続く短い葉柄状の接続部がある。葉柄は長さ0.1~0.2㎝。葉身は葉舌のところで脱落し、線形または披針形、長さ10~30㎝×幅5~17㎜、葉脈は明瞭な交差脈をもち、葉身の表面は平滑、縁はザラつき、先は尖鋭形。花序は少数の小穂のみをつけ、小穂は単生する。稔性の小穂は小花柄があり、小穂は5~8個の稔性の小花からなり、頂部の小花は退化する。小穂は線形、側部が扁平、長さ25~45㎜×幅5~8mm、成熟時に別れ、各稔性の小花の下で関節離断する。小軸の節間は長さ4~5㎜、毛がある。苞頴は2個、宿存し、等長、小穂より短い。第1苞頴は披針形長さ16~20㎜、紙質、竜骨はなく、7脈があり、先は鋭形。第2苞頴は披針形、紙質、竜骨はなく、11脈があり、先は鋭形。稔性の護頴は卵形、長さ13~15mm、紙質、竜骨はなく、11~13脈があり、先は尖鋭形。内頴は長さ10~12mm、8脈があり、竜骨に縁毛があり、先は竜骨の脈が突き出る。先の不稔の小花は未発達でも稔性の小花に似ている。鱗被は3個、卵形、脈があり、縁毛がある。葯は3個、長さ7mm。柱頭は3個。頴果は果皮が付着性、紡錘状、長さ7~8㎜、暗褐色、先に付属体はつかない。(Kewscience)
【中井:日本本部ノ竹ト笹(其五)の解説】
 稈は高さ3~5m、直径5~20㎜になる。節は高くならず、稈鞘(籜タク:筍の皮)も葉鞘も毛がない。肩毛は細く、白色、長さ4~6㎜、平滑、枝によりしばしばこれを欠く。葉は狭く長さ20~280㎜×幅2~17㎜に達し、基部が尖り、先は細長く尖り、両面に毛はなく、縁は全縁または小鋸歯がある。花序は稈の側部から出て、花軸の鞘には普通、葉がないが、稀に先端に小さい葉をつけることがある。花軸は極めて細く、小穂は4~8個の小花をつけ、緑色、単生または2個が花軸の先につく。苞頴は小穂の基部につき、2個あり、長さ8~16㎜、外側の苞頴は内側の苞頴より長い。護頴(外穎)は長さ8~12㎜、下部の花の護衛ほど長く、平滑。内頴は長さ7~9㎜、縁に毛が多い。鱗被(花頴)は半透明、披針形、長さ2~3㎜、縁に毛がある。子房は無毛。柱頭は3個、毛がある。穎果は長さ7~8mm、紡錘状、褐色。ツウシチク(通絲竹)は、メダケの変種で、通常葉と細く白色の縦縞ある葉とが混成するものに当てているが、桂園竹譜巻の2の通絲竹は大明竹であり、メダケに関係はない。
品種) 'Mini'

6 Pleioblastus hattorianus Koidz.  アラゲネザサ 荒毛根笹
 本州(福島県、栃木県、群馬県)に分布。別名はホソバアズマネザサ。
 高さ1~2m。茎は黒く、節の下に非常に細かい下向きの毛があり、すぐに無毛になり、細い枝もつ。稈鞘に開出する長毛がある。葉鞘に開出する長毛がある。葉は線形、非常に狭く、長さ10~20㎝×幅7~11㎜、先は漸尖して尖り、基部は鋭形、中肋の両側に粗い毛があり、他は無毛。葉柄は両側が帯紫色の毛で密に覆われる。葉舌は非常に短く、中央が凹んだ切形。肩毛はほとんど発達しない。(小泉源一:東亜植物考察)

7 Pleioblastus higoensis Makino ヒゴメダケ 肥後雌竹
  synonym Pleioblastus kodzumae Makino f. higoensis (Makino) Sad.Suzuki
  synonym Pleioblastus kodzumae Makino  [Kewscience]
  synonym Nipponocalamus higoensis (Makino) Honda
  synonym Pleioblastus kiusianus Makino フシダカシノ J. Jpn. Bot. 5: 43 (1928)
  synonym Nipponocalamus kiusianus (Makino) Nakai, I. c. 18: 357 (1942)
 九州に分布。
 Kewscienceではキボウシノ(Pleioblastus kodzumae)に含めている。
 標本ではキボウシノ P.kodzumae Makinoの節に長毛があるだけの違いと考え、その品種とされた。しかし生育地で見ると、キボウシノは稈が黄緑色で、葉は普通、直立する。それに対してヒゴメダケは稈が濃緑色で、葉はより長く、先端はもっと尾状となり、開出し、捻じれているので一見してその違いがわかる。[鈴木貞雄:日本タケ科植物新知見(8)]
8 Pleioblastus hindsii (Munro) Nakai カンザンチク 寒山竹 ⇒ ヤダケ属
  synonym Pseudosasa hindsii (Munro) S.L.Chen & G.Y.Sheng ex T.G.Liang [Kewscience] ヤダケ属

9 Pleioblastus humilis (Mitford) Nakai  アオネザサ 青根笹 ⇒ ヤダケ属
  synonym Pseudosasa humilis (Mitford) T.Q.Nguyen [Kewscience] ヤダケ属
  synonym Pleioblastus toyokensis Nakai トヨオカザサ
9-1 Pleioblastus humilis (Mitford) Nakai f. ohmiensis (Koidz.) Sad.Suzuki カンザキネザサ 

10 Pleioblastus kodzumae Makino キボウシノ 己卯篠
  synonym Arundinaria kodzumae (Makino) Demoly
  synonym Arundinaria kiusiana (Makino) Ohwi フシダカシノ
  synonym Arundinaria higoensis Makino ヒゴメダケ
  synonym Pleioblastus hatsusimanus Koidz. ヒロハシラシマメダケ
  synonym Pleioblastus higoensis Makino
  synonym Pleioblastus kiusianus Makino
 日本固有種。本州(北陸、関東南部以西)、四国、九州に分布する。
 中型竹本。稈が黄緑色、葉は普通、直立する。ヒゴメダケ Pleioblastushigoensis Makinoは標本ではキボウシノ P. kodzumae Makinoの節に長毛があるだけの違いと考え、その品種とされた。しかし生育地で見ると、ヒゴメダケは稈が濃緑色で、葉はより長く、先端はもっと尾状となり、開出し、捻じれているので、一見してその違いがわかる[鈴木貞雄:日本タケ科植物新知見(8)]。Kewscienceではヒゴメダケをキボウシノに含めている。
 多年草。 根茎は伸長し、単軸分枝型(leptomorph)。稈は長さ200~300㎝、直径10~15㎜、木質、節間は円柱形、壁は薄く、黄色たは薄緑色、上部は無毛。 稈の節は無毛。側枝は樹枝状。枝は3本つき、茎より細い。稈鞘は無毛。葉鞘は表面が無毛。葉舌は縁毛のない膜質または縁毛のある膜質。葉身の基部は鞘へ続く短い葉柄のような接続部がある。葉身は披針形、長さ18~24㎝×幅20~28mm、革質、表面は無毛、先は尖鋭形。 開花標本は不明。(Kewscience)
【フシダカシノ 日本本部ノ竹ト笹(其四)の解説】
稈は高さ2~3mに達し、中空、円筒形、直径5~13㎜、節は直径8~18㎜、下に向かって淡褐色の密毛がある。節間は長さ55~330mm、節の下に白粉があり、緑色で後に淡色になる。稈鞘(籜タク:筍の皮)は宿存性(永存性)であり、厚く堅く、初め細かい逆毛があるが、後に脱落し、先端に狭披針形の附属物があるが、冬には脱落する。枝は各節に1~3本出て、直立する。葉は枝の先端に3~8枚出る。葉鞘は縁を除く外は無毛、稀に最上部に微小な逆毛があり、縦脈が著しい。葉柄は幅広く、幅2~3㎜。肩毛は立ち、平滑、葉身は狭披針形、長さ7~25㎝×幅8~28㎜、上面は緑色または淡緑色、基部の中肋に沿って微毛があり、下面は淡緑色または淡白色、無毛、基部は丸いかまたは急に尖り、先端は長く細く漸尖する。中国産の Pleioblastus tessellatus に似ている。未だ花を見ず。
 肥後国の球磨川に沿って多数、生じ、1923年10月に前原勘次郎氏が始めて採取し、1928年には牧野博士もこれを採取し、同年10月に新種として発表した。

11 Pleioblastus kongosanensis Makino コンゴウタケ 金剛竹
  synonym Pleioblastus kongosanensis Makino f. akibensis (Makino et Nakai) Sad.Suzuki
  synonym Arundinaria kongosanensis Makino
 大阪府の金剛山で発見された。Kewscienceではカムロザサ(Pleioblastus viridistriatus (Regel) Makino)に含めている。
 稈は高さ1~2mまたはそれより少し高い。稈は直立し、直径2~8㎜、中空、円筒形、緑色だが、老成すると淡黄色になり、日の当たる側は帯紫色になる。細かい逆毛が密生するが、後に剥脱する箇所は裸出する。節にはやや長い密毛がある。丈の低い稈はほとんど分枝しないが、大きいものは2年目から分枝し、枝は各節に3~5本つき、年とともに技を増す。葉は枝先に8~10枚つくが、小枝では数が少くなる。肩毛は白色、平行して直立する。葉鞘は基部に上向きの毛があり、基部以外は下向きの逆毛が密毛するが、後にその1部が脱落する。葉柄は短く、扁平、多少翼がある。葉身は披針形、長さ8~20㎝×幅15~27㎜、基部は丸く、先は急に尖り、上面は緑色、微毛が散生し、下面は淡緑色、有毛、主脈は中肋の両側に5~6本あり、葉縁には刺状の鋸歯がある。未だ花は見ない。
品種) 'Aureostriatus' (v)
11-1 Pleioblastus kongosanensis Makino var. xystrophyllus (Koidz.) Sad.Suzuki オニネザサ 
 別名はアワガネザサ

12 Pleioblastus linearis (Hack.) Nakai リュウキュウチク 琉球竹
  synonym Pleioblastus gozadakensis Nakai
  synonym Arundinaria linearis Hack.
  synonym Arundinaria gozadakensis (Nakai) Masam.
 日本(沖縄、南西諸島)。別名はガヤ、ゴザダケザサ、ギョウヨウチク(仰葉竹)。英名はlinear-leaved bamboo , Okinawa bamboo。沖縄で最も普通に見られ、山の尾根や稜線を中心に自生する。民家の周りの垣根や庭木としても利用される。タケノコはアク抜きせずに食べられる。
 多年生、叢生する。根茎は長く伸び、単軸分枝型(leptomorph)。稈は長さ50~400㎝、直径5~20㎜、木質。節間は円柱形、壁は薄く、長さ10~30㎝、上部は無毛。稈の節は無毛。側枝は樹枝状。枝は1~数本つく。稈鞘は前向きにザラつき、直軟毛があり、葉耳は無い。稈鞘の葉身は線形、各枝に5~9枚つく。葉鞘は長さ3~5㎝、表面は無毛。葉鞘の肩毛(oral hairs)は乏しく、長さ6~8㎜、淡色。葉舌は縁毛の無い膜質または繊毛なある膜質、長さ1.5~4㎜、切形。葉身も基部は短い葉柄状の鞘への結合部があり、葉柄は長さ0.2㎝。葉身は葉舌で落葉し、線形または披針形、長さ6~28㎝×幅5~10mm、葉脈には明瞭な横脈があり、表面は無毛、縁はザラつき、先は尖鋭形、糸状。花序は少数の小穂のみからなり、小穂は単生する。稔性の小穂は小花柄があり、 7~15個の稔性の小花からなり、先端の小花は無い。小穂は線形、側部が扁平、長さ50~100㎜×幅3~4㎜、成熟すると別れ、各稔性の小花の下で関節離断する。苞頴(glume)は2個、宿存し、等形、小穂より短い。第1苞頴は披針形、長さ11㎜、紙質、竜骨は無く、3脈があり、先は鋭形。第2苞頴は披針形、紙質、竜骨は無く、7脈があり、側脈は交差する横脈をもち、先は鋭形。稔性の護頴(lemma)は卵形、長さ9~22㎜×幅4~8㎜、紙質、竜骨は無く、13脈があり、先は尖鋭形。内頴は長さ7~15㎜、11脈があり、竜骨に繊毛がある。頂部の不稔の小花は未発達でも稔性の小花に似ている。鱗被(lodicules)は3個、卵形、長さ3~4㎜、脈があり、繊毛がある。葯は3個、長さ8㎜。柱頭は3個。頴果は果皮が付着性、先に付属体は無い。
【日本本部ノ竹ト笹(其五)ギョウヨウチク(仰葉竹)の解説】
 高さ2~3m。稈は平滑、丸く、節はあまり高くなく、毛はない。稗鞘も葉鞘も平滑、芽は1節に1~5個出て、分枝が多い。葉は小枝の先端に5~9枚つき、広針形、先端は狭く長く尖り、長さ36~150㎜×幅4~6㎜、両面ともに毛がなく、主脈は中肋の両側に1~2本あり、葉縁は平滑。肩毛は長さ5~6㎜、多数、平行につき、平滑。花序は葉がある枝の先に出て、総状になる。小穂(小花穂)には3~5個の花をつけ、最上端の花は普通、無性であり、苞頴(苞)は2個、長さ約10㎜、細長く尖る。護頴(外頴)は長さ10~12mm、内頴は長さ8~9㎜、先端は2又になり、縁に毛がある。鱗被(花頴)は3個、透明、長さ約2㎜。雄しべは3個。子房も花柱も毛が無い。柱頭は3個、毛がある。九州の南部で栽培される。文政 12年(西暦 1828年)版の桂園竹譜には江戸巣鴨の種樹家にあったと記されているが、今はない。
 本植物の外観は極めて大明竹に似るが、小枝の先に葉を多くつける事と、花序は必ず葉がある枝の先に出るため、直別することができる。
12-1 Pleioblastus linearis (Hack.) Nakai f. albostriatus Muroi フイリリュウキュウチク 斑入り琉球竹
 よく栽培されている品種。

13 Pleioblastus maculatus (McClure) C.D.Chu & C.S.Chao
  synonym Pleioblastus oleosus T.H.Wen
 中国原産。中国名は斑苦竹 ban ku zhu。英名はbitter bamboo。しばしば密な林内で育ち、観賞用としても植えられる。
 稈は高さ3~8m、直径1.5~4㎝、最初は緑色、密に粉白を帯び、節間は円筒形。節は目立ち、褐色、古くなると黄緑色、密に毛があり、目立つ剛毛のある鞘痕がある。稈鞘は脱落性、褐赤色、油性、光沢があり、わずかに紫色、不均一に褐色の斑点が散在し、基部に褐色の剛毛があり、縁に縁毛はなく、葉耳はないか、非常に小さく、褐色、点状または卵形。肩毛はほとんどなく、直立または曲がりる。葉舌はしばしば切形、暗褐赤色、全縁。葉身は垂れ下がり、線状披針形、わずかに毛があり、ザラつき、離れた小鋸歯があるかまたはほぼ全縁、外巻きする。葉は最終的な各枝に3~5枚つき、すぐに脱落する。葉鞘の縁にはまばらに毛がある。葉耳および肩毛はない。葉舌は切形、長さ1~2㎜、毛があり、縁に繊毛がある。偽葉柄は長さ約4㎜。葉身は披針形、長さ8.8~18.5㎝×幅1.3~2.9㎝、基部はくさび形、先は細長い。花序は円錐花序。各小穂に8~15個の小花をつける。苞頴は2個。護頴は光沢がある。内頴は竜骨に繊毛がある。鱗被は3個、不等長、先に繊毛がある。子房はボトル形、長さ約8㎜。花柱は長さ約1.5㎜。柱頭は3個、羽毛状。穎果は楕円形。新芽は5月上旬~6月上旬に出る。

14 Pleioblastus matsunoi (Makino) Nakai ex Makino et Nemoto ヨコハマダケ 横浜竹
  synonym Pleioblastus kiyosumisimonii Koidz.
  synonym Arundinaria matsunoi Makino
  synonym Nipponocalamus matsunoi (Nakai) Nakai
  synonym Nipponocalamus sadawoanus (Koidz.) Nakai
  synonym Pleioblastus sadawoanus Koidz.
 日本(東京都、神奈川県、千葉県)に分布。
多年草。 根茎は伸長し、単軸分枝型(leptomorph)。稈は長さ200~300㎝、木質、節間は円柱形、壁は薄く、上部は無毛。節は無毛です。側枝は樹枝状。枝は3本つき、茎より細い。稈鞘は無毛、葉耳は無い。葉鞘は直軟毛があり、肩毛は剛毛、淡色。葉耳は繊毛が無い膜質または繊毛がある膜質。葉身の基部は鞘への短い葉柄状の接続部がある。葉身は葉舌で落葉し、披針形、長さ20~27㎝×幅15~25㎜、革質、上面は無毛、先は尖鋭形。(Kewscience)
 稈は高サ1~3m、地下茎から側生し、直径2~7㎜、無毛、節の下に白粉を帯びる。節は直径3~8㎜、無毛または初め、しばしば極小さい微毛あるが、早落する。稈鞘(籜タク:筍の皮)は縁を除いて外側は無毛、芽は各節に1~5個つく。葉鞘は緑色または帯紫色、無毛または背面に伏毛がある。肩毛は長サ2~7mm、平滑、白色、葉身は狭披針形、長さ37~275㎜×幅6~33㎜、上面は葉柄の近くに微毛あり、緑色。下面は無毛。縁は基部が全縁であり、他は鋸歯があるかまたは全縁。小穂(小花穂)は小枝の先に1個つき、各小穂は4~7個の小花をつけ、最先端の花ハ無性である。花序柄(花梗)の鞘には小型の葉をつける。花序柄は無毛、極めて細く、小穂の下に1~2個の苞頴(苞)がある。苞頴は長さ11~17㎜、鋭尖形、しばしば、1個になるのは本種の特徴の1つである。護頴(外頴)は長さ9~18㎜、下部の花ほど大きくなり、帯紫色または緑色、格子状の葉脈があり、有毛。内頴は長さ9~14㎜、先端に2歯があり、背面に溝があり、両側に毛がある。鱗被(花頴)は 3個、長楕円形、長さ約3㎜、透明で縁毛がる。雄しべは3個、葯は黄色、長さ7mm。柱頭は3個、羽毛状の毛がある。
 横浜市西戸部池ノ坂に自生し、明治45年(西暦 1912年)松野重太郎氏が始めてアズマネザサと異る事を発見し、牧野博士に示して新種と考定された。東京市粧谷区西郷山にも自生あり。著者自ら採取した。渋谷ザサに酷似するが葉裏に絹毛がなく異なっている。昭和8年に花が咲いた。(参考7)
15 Pleioblastus nabeshimanus Koidz. シラシマメダケ ⇒ ヤダケ属
  synonym Pseudosasa nabeshimana (Koidz.) Koidz.
16 Pleioblastus nagashima (Mitford) Nakai  ヒロウザサ 平生笹
  synonym Pleioblastus nagashima (Mitford) Nakai f. yasuokensis (Nakai) Sad.Suzuki
  synonym Arundinaria nagashima Miford
  synonym Bambusa nagashima Marlio .ex Camus
 伊勢から関西に自生すると推定される。19世紀に日本から欧州に移植され、Arundinaria nagashima Mifordの名で知られる。
 稈は叢生し、無枝または有枝、高さ50~150㎝、直径2~10㎜、初め短かい逆毛が密生するが、後に次第に無毛となる。節は直径2.5~12㎜、短毛を密生する。葉鞘は長さ80~120㎜、短かい逆毛が密生し、縁にはやや長い立毛がある。肩毛は平滑、屈曲し、白色。葉身は披針形または狭披針形、長さ55~240mm×幅7~32㎜、基部は丸くまたは急に尖リ、先端は長尖鋭形、両面とも無毛、上面は緑色、下面は淡緑色、やや粉白色になり、側脈は中肋の両側に各5~6本ある。未だ花を見ない。葉、葉鞘、節などの毛は変化し、変種、品種に分けられる。(中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(其四))
16-1 Pleioblastus nagashima (Mitford) Nakai f. dokyoanus (Koidz.) Sad.Suzuki ユゲネザサ 
  synonym Pleioblastus nagashima (Mitford) Nakaivar. koidzumii (Makino ex Koidz.) Sad.Suzuki f. dokyoanus (Koidz.) Sad.Suzuki
 関東、中部地方以西の本州、九州の暖温帯に分布する。小型で、節に長い毛があるもの。
16-2 Pleioblastus nagashima (Mitford) Nakai var. koidzumii (Makino ex Koidz.) Sad.Suzuki エチゼンネザサ 越前根笹
本州(中部地方以西の日本海側)、四国、九州(北部)に分布する。
 葉、葉鞘、節などに毛が無いもの。

17 Pleioblastus pseudosasoides Sad.Suzuki エチゴメダケ 越後雌竹
 新潟県、福島県に分布。エチゴメダケは葉鞘上縁が斜上し平滑な肩毛が直立して付くことによりメダケ属メダケ節に分類される。
 稈は高さ3~4m、直径8~13㎜、節がわずかに太る。葉鞘は無毛、上縁が斜上する。稈鞘には長毛が散生する(メダケは稈鞘、葉鞘、節、葉など全体に無毛)。稈鞘長/節間長比は1/2~3/4。葉は長さ24~30㎝×幅18~22mmの披針形、両面とも無毛、葉の基部はやや円形または広い楔形。肩毛は白色、平滑。分枝数は3(稀に4-5)本。エチゴメダケは、一見するとヤダケ属のヤダケ Pseudosasa japonica (Siebold et Zucc. ex Steud.) Makino ex Nakai にもよく似ているが、ヤダケの稈鞘より短く(節間との対比)、ヤダケの分枝数が1本なのに対し3本以上分枝する点でヤダケとは識別可能である。しかし、肩毛の量や節の太り方、葉の形状などの点において,ヤダケとメダケ属の種との中間的な特徴が観察される。(参考7)

18 Pleioblastus simonii (Carrière) Nakai メダケ 女竹
 日本固有種。本州(関東地方以西)、四国、沖縄に分布。別名はオナゴタケ、カワタケ、シノダケ。英名はSimon bamboo , medake。河川敷、海岸の丘陵地などに生える。
 稈は高さ3~5m。ササ類に属し、稈鞘が離脱しないで残る。稈は直立し、直径は2~3㎝。稈鞘、葉鞘、節、葉など全体に無毛。節は高く膨れ上がる。稈鞘の長さは節間の1/3~2/3。節から3~7個の枝を出す。葉は長さ20~25㎝、幅約15~25㎜、紙質で硬く、先がやや尾状に伸び、垂れ下がるのが特徴。葉鞘上縁は斜上する。葉耳はなく、肩毛は直立して、白色、平滑。
 よく似ているネザサやアズマネザサは葉の長さがやや短く、ほとんど垂れ下がらない。葉鞘の上縁もほぼ水平。ネザサは西日本、アズマネザサは東日本に分布し、おおよそ、富山県糸魚川と静岡県富士川を結んだ線(糸魚川静岡構造線)を分布の境界としている。ネザサの方が葉幅が広く、葉質がやや厚い。
18-1 Pleioblastus simonii (Carrière) Nakai f. variegatus (Hook.f.) Muroi シロシマメダケ 白縞女竹
  synonym Pleioblastus simonii 'Variegata'
 葉に多数の白色の縞斑がある。
18-2 Pleioblastus simonii (Carrière) Nakai f. zigzag Satomi ウタツメダケ 
 稈がジグザグに屈曲する。
18-3 Pleioblastus simonii (Carrière) Nakai var. heterophyllus (Makino) Nakai ハガワリメダケ 葉変り女竹
  synonym Pleioblastus simonii (Carrière) Nakai 'Heterophyllus'
 同一株に様々な葉をつける。葉幅が異なり、白色、黄色、淡紅色の縞班など変化する。

19 Pleioblastus variegatus (Siebold ex Miq.) Makino ケネザサ 毛根笹
  synonym Pleioblastus variegatus (J.Dix) Makino [Kewscience]
  synonym Pleioblastus shibuyanus Makino ex Nakai var. basihirsutus Sad.Suzuki
  synonym Pleioblastus shibuyanus Makino ex Nakai f. pubescens (Makino) Sad.Suzuki
  synonym Pleioblastus shibuyanus Makino ex Nakai
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakai
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakai f. pubescens (Nakai) Muroi
  synonym Pleioblastus pygmaeus (Miq.) Nakai ケオロシマチク 毛於呂島竹[Kewscience] dwarf bamboo
  synonym Pleioblastus tsukubensis Nakai ツクバザサ(筑波笹)
 日本固有種。本州(福島県以西)、四国、九州に分布。英名はdwarf white-striped bamboo。ゴキダケに似るが、稈が普通、小さく、丈が低く、節にしばしば、密毛があり、葉裏に毛がある事で判別できる。
 稈は直立し、甚だしく群生し、分岐が少なく、高さ2m以下のものが多い。枝は1節に1~3本出る。稈は初め緑色であるが、後に黄線色となり、直径2~5㎜、節には淡褐色の長い密毛がある。節間には始め微小な逆毛があるが、後に概ねこれを失う。葉鞘はほとんど無毛または若い時には縦脈の間に縦に逆毛があるが、後に無毛になる。肩毛は平滑、白色、直立し、平行につき、多少屈曲する。葉柄は幅が広く、幅2~3mm。葉身は枝先に2~10枚つき、披針形または狭披針形、長さ42~216mm×幅7~40㎜、基部は丸くまたは急尖し、先は短く漸尖し、表面は線色、無毛、裏面は長さ0.4~0.7㎜の毛が密生する。未だ花を見ず。(日本本部ノ竹ト笹(其四) ケネザサ)
【日本本部ノ竹ト笹(其四)ケオロシマチクの解説】
 稈は高さ10~25㎝、始め単一であるが後に分技し、無毛、直径約1㎜。葉は稈または枝の先端に密に2列い並び、披針形で、長さ25~45mm×幅3~8㎜、表面は緑色、無毛、裏面は淡縁色かつ、少くとも半面に毛があり、縁にはやや長い針状の鋸歯がある。葉鞘の基部には微小な密毛がある。未だ花を見ず。  庭園に植えられ、未だ自生地は知られていない。欧州にはSibold氏ガ移植し、1866年にMrQuel氏が始めて、これにBambusa pygmae の名を与えて。オロシマチク Pleioblastus distichus (MitfordD) Nakai に似た形をしているが、葉鞘の基部に毛があり、葉裏に毛があり、葉縁に針状の鋸歯があることにより判別できる。
【日本本部ノ竹ト笹(其五)ツクバザサの解説】
稈は高サ 2-3m.平滑、節はやや高いが、毛はない。稈鞘の基部にはルーペで見ると極めて小さい逆毛あるが、後に無毛となる。芽は1節に3~5個。葉鞘の背面は無毛、縁には髪毛あり、縁に接すいる脈間には小さな逆毛がある。葉は枝先に4~11枚あり、披針形または狭披針形、長さ42~105㎜×幅5~21㎜、基脚は短い葉柄に向かって丸く、先は急尖、表面は緑色、無毛または半面に短毛があり、裏面は少くとも半面に毛があり、縁は基部を除く外は刺状の鋸歯があり、表面の中肋は基部に短い毛がある。未だ花を見ず。
品種) 'Mini' , 'Mirrezuzume' , 'Tsuboii' (v)
19-1 Pleioblastus variegatus (Siebold ex Miq.) Makino 'Fortunei' シマダケ 縞竹
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakai 'Variegatus'
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte) Nakai 'Fortunei'
  synonym Pleioblastus fortunei (Van Houtte ex Miq.) Nakai [Flora of China]
  synonym Bambusa fortunei Van Houtte
  synonym Sasa fortunei (Van Houtte) Fiori
  synonym Pleioblastus 'Chigogasa' チゴザサ
 日本原産。中国名は菲白竹 fei bai zhu。英名はdwarf white-striped bamboo。別名はチゴザサ。観賞用に広く栽培されている。1979年にブラジルで開花が確認され、3雄しべがある。このためSasa属でなく、Pleioblastus属に置かれている。
 稈は高さ10~30(~80)㎝、直径1~2㎜、節間は短く、平滑、節の隆起が平らであるか、わずかに目立つ。枝は無い、各節に1本。稈の鞘は宿存し、無毛。 葉は稈または枝ごとに4~7枚つく。葉鞘は無毛、葉耳は無く、肩毛(oral setae)は白色、平滑。葉身には縦方向に白色~淡黄色の縞模様があり、披針形、長さ6~15㎝×幅0.8~1.4㎝、白色の毛があり、下面ではより密につき、基部は広くさび形、先は尖鋭形。(Flora of China)
【日本本部ノ竹ト笹(其四)チゴザサの解説 Pleioblastus fortunei (Van Houtte ex Miq.) Nakai】
 稈は高さlO~30㎝、単ーまたは節より1~2本の枝を出して分岐し、3~4年生であり、直径1~1.5㎜、無毛。葉鞘は基部に微毛があるものと無いものがある。肩毛は平滑、落ち易い。葉は披針形、長さ30~138㎜×幅4~13㎜、緑色の地に縦の白色の縞があり、しばしば帯黄白色のものが混じる。両面に毛があるが、裏面の方が長くて密になり、基部は急尖し、先端は漸尖し、縁には刺状の鋸歯がある。未だ花を見ず。
 庭園に植えて賞美する。本種はROBERTFORTUNE氏が中国より英国に持ち帰ったと言い伝えられ、英、仏、伯、蘭の諸国では庭園に植えまたは鉢植として賞美する。日本に本来の自生があるかまたは本種の真の原種すなわち緑葉のものがあるか不明である。普通、本種と混同される緑葉のチゴザサ、即ち、小竹はSasa属のものであって、誤って Arundinaria variegata var. viridis forma humilis Makino として発表されたものである。伊勢、志摩、大和、河内、紀伊等の山に自生し、「糸ざさ」Sasa tenuissima Nakai と命名したものに近い1種である。

20 Pleioblastus viridistriatus (Regel) Makino カムロザサ 禿笹 広義
  synonym Pleioblastus auricomus (Mitford) D.C.McClint.
  synonym Bambusa viridistriata Regel
  synonym Arundinaria kongosanensis Makino コンゴウタケ 金剛竹[Kewscience]
  synonym Phyllostachys bambusoides Sieb. et Zucc. var. aurea Makino in Bot. Mag., Tokyo, XIV. (1900), p. 64.
  synonym Pleioblastus lanatus Nakai カワムラザサ
  synonym Pleioblastus akibensis Nakai
  synonym Pleioblastus igaensis Nakai
 日本(中部地方以北)原産。山地に生える。アジアの温帯地域(コーカサス、東アジア)、ニュージーランドに帰化している。英名はdwarf clumping bamboo hairy bamboo。中国で栽培されている。中国名は菲黄竹。別名はオウゴンザサ(黄金笹)。Kewscienceではコンゴウタケをsynonymとしている。
 多年生。根茎は伸長し、単軸分枝型(leptomorph)。稈は直立し、長さ20~60㎝、直径1~2㎜、木質、節間は円柱形、壁は薄く、上部に毛がある。稈の節には毛がある。側枝は無いかまたはまばら。稈鞘は微軟毛があり、毛は後屈する。稈鞘の葉身は披針形、直立し、長さ0.5㎝。葉鞘は微軟毛があり、葉鞘の肩毛は剛毛。葉舌が縁毛の無い膜質または繊毛のある膜質。葉身の基部には鞘へ続く短い葉柄状の接続部(偽葉柄)がある。葉身は舌部で脱落し、披針形、長さ15~20㎝×幅15~25㎜、緑色と黄緑色、斑入り(縞模様)、両面に密に毛があり、先は尖鋭形。花序は少数の小穂のみからなり、1~3個の稔性の小穂で構成される。小穂は単生。稔性の小穂は小花柄があり、小穂は6~8個の稔性の小花からなり、頂部の小花は退化する。小穂は線形、側部が扁平、長さ40~50㎜、成熟すると別れ、各稔性の小花の下で関節離断する。苞頴は1個、第1苞頴は無いかまたは不明瞭、宿存し、小穂より短い。第2苞頴は披針形、長さ10~23㎜、紙質、竜骨はなく、5脈があり、先は尖鋭形。稔性の護頴は楕円形。長さ13~15㎜、紙質、竜骨はなく、7脈があり、側脈には交差脈があり、先は尖鋭形。内頴は護頴の長さと同長。頂部の不稔の小花は未発達であるが、稔性の小花に似ている。鱗被は3個。葯は3個。柱頭は3個。頴果は果皮が付着性、先に付属体は無い(Kewscience)
品種) 'Bracken Hill' , 'Chrysophyllus'(Dwarf Yellow Bamboo) , 'Vagans'
20-1 Pleioblastus viridistriatus (Regel) Makino f. viridistriatus カムロザサ 禿笹 狭義
  synonym Pleioblastus auricomus (Mitford) D.McClint.
 日本原産。別名はアオカムロザサ。英名はkamuro-zasa
【アオカムロザサ(参考4)】
 根茎は地下を水平方向に長く這い、細く、円柱形、幅3~4.5㎜、中空、壁は厚く、枝分かれが緩く、平滑、帯黄色、節から根を出し、節間は長さ約2.5~4.5㎝。稈は高さ約1mに達し、直立し、細く、1年目は単純だが、その後は緩く枝分かれし、円柱形、筒形、平滑、薄緑色または黄緑色、陽に当たる側が紫色を帯び、直径約1.5~約4mm、古い鞘をつけ、節が目立つ。節間は長さ約13cmに達し、節の下に白粉が吹く。葉は枝の頂部に掌状または羽状的掌状につき、数は約5~10枚、長円状披針形、または上位の葉はときに狭披針形、先は比較的短い尖鋭形、基部はほぼ心形、円形、鈍形、または鋭形、縁は小刺状にザラつき、紙質、緑色または黄緑色、上面に非常に薄い毛および細かい条線があり、下面に直立、開出した柔らかい毛があり、多少、質感が壊れやすく、秋に黄色に変わり、冬に腐敗し、長さ約20.5㎝×幅約4㎝・以下になり、中肋は細く、下面で目立ち、両側に脈が5~8本あり、細脈があり、下面で細かいモザイクになる。葉柄は非常に短く、長さ1.5~5㎜、前側に毛がある。葉舌は非常に短く、切形、長さ約1mm、背側に密に微軟毛があり、微細な縁毛がある。葉鞘は帯緑色、日当たりの良い側が紫色を帯びることが多く、円柱形、背側の上に亜竜骨があり、条線があり、ほぼ無毛だが、上部に細かい毛があり、縁に縁毛があり、頂部の両側に房状へりがあり、房状へりは長々とあり、脱落性。
20-2 Pleioblastus viridistriatus (Regel) Makino f. chrysophyllus Makino オウゴンカムロザサ 黄金禿笹
 別名はオウゴンザサ(黄金笹)。新葉には鮮やかな黄色斑に多数の緑条が入る。

参考

1) Flora of China
 Pleioblastus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=125899
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Pleioblastus
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:18751-1
3) World Flora Online
 Pleioblastus
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012430
4) 植物研究雑誌 J. J. B. 3: 11 (1926)
 Arundinaria viridi-striata
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_003_E9_12.pdf
5) 植物研究雑誌 J. Jap. Bot. 9(1): 5–34(1933)
 中井猛之進:日本本部の竹と笹(其一)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_009_5_34.pdf
6) 植物研究雑誌 9(2): 77–95(1933)
 中井猛之進:日本本部の竹と笹(其二)ヤダケ属 Pseudosasa
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_009_77_95.pdf
7) 植物研究雑誌 9(3): 153–168(1933)
 中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(其三) スズ属、川竹(メダケ)属
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_009_153_168.pdf
8) 植物研究雑誌 J. Jap. Bot. 9: 236 (1933)
 中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(其四)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_009_215_240.pdf
9) 植物研究雑誌 9(7): 415–416(1933)
 久内清孝:寒山竹の所在を報ず
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_009_415_416.pdf
10) 植物研究雑誌 J. Jap. Bot. 10(4): 197-219 (1934)
 中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(其五)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_010_197_219.pdf
11) 植物研究雑誌 10(5): 269-294 (1934)
 中井猛之進:日本本部ノ竹ト笹(共六)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_010_269_295.pdf
12) Acta Phytotax. Geobot. 4: 22 (1935)
 小泉源一:東亜植物考察
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunruichiri/4/1/4_KJ00001078820/_pdf/-char/en
13) 植物研究雑誌 J. Jpn. Bot. 66: 194-198 (1991)
 鈴木貞雄:日本タケ科植物新知見(8)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_066_194_198.pdf
14)Bunrui 16(1): 53-57 (2016)
 三樹和博:エチゴメダケの新産地
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/16/1/16_KJ00010238512/_pdf/-char/ja