コナスビ 小茄子

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Flora of Mikawa

サクラソウ科 Primulaceae オカトラノオ属

中国名

小茄 xiao jia

英 名 Japanese yellow loosestrife
学 名 Lysimachia japonica Thunb. subsp. japonica
 synonym Lysimachia japonica Thunb. 広義
コナスビの花
コナスビの6弁花
コナスビの萼
コナスビの蕾
コナスビの果実
コナスビ果実の上から
コナスビ果実の中
コナスビ
コナスビ種子
コナスビ葉
コナスビ葉と茎
花 期 5~6月
高 さ 地を這い、長さ10~30㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、草原、林縁
分 布 在来種  日本全土、朝鮮、中国(海南省、江蘇省、浙江省)、台湾、インド(アッサム)、ネパール、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ
撮 影 幸田町  07.5.19
コナスビはサクラソウ科オカトラノオ属の多年草、街中の道端から山の中まで生育範囲は広く、普通に見られる。和名の由来は果実がナスに似て小さいことから。葉の大きさ、葉柄の長さ、小花柄の長さなどに変異が多い。学名は2亜種に分類され、基本亜種にあたる。
 多年草、茎は長さ10~30㎝。紫褐色を帯び、地を這い、広がる。茎や葉など全体に軟毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ(2~)5~10㎜、狭い翼がある。葉身は長さ1~2.5[4.5]㎝×幅[0.5]1~2[2.4]㎝の広卵形。上部の葉裏や萼などに淡紫褐色の細かな斑点がある。小花柄は長さ3~8㎜、花後に長くなる。花は直径5~7㎜、黄色、まれに白花も見られる。花冠は長さ(5~)6~9㎜、5裂まれに6裂する。萼片は花冠の裂片と同数、線状披針形、先が鋭く尖り、開出毛があり、透明な腺点がある。雄しべは5本。果実は直径4~5㎜の球形、先に毛がある。種子は暗赤褐色、長さ約1㎜、2稜のある錐状楕円形、全面に密に突点(疣状突起)がある。2n=18,20,22。花期は5~6月。
 帰化が報告されている園芸植物のコバンコナスビ(ヨウシュコナスビ)は花の直径が約2㎝と大きく、葉が楕円形で毛がほとんどない。萼や花冠に、黒色の腺条線がある。
 在来の類似種は以下のとおり。

1 Lysimachia christinae subsp. tanakae (Maxim.) C.M.Hu ミヤマコナスビ 深山小茄子

  synonym Lysimachia tanakae Maxim.
 日本(紀伊半島、四国、九州)固有種。山地に生える。
 多年草。横に這う地下茎をもつ。茎は長く地を這い、帯褐色の軟毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ0.5~1.5㎝。葉身は単葉、長さ・幅とも1~2㎝、卵円形、先は小突起形または円形、黒色の腺点と腺条線がある。若い葉には軟毛が生える。花は葉腋に単生し、直径1~1.5㎝、黄色。花冠は5裂し、裂片は披針状長円形。萼片は倒披針形、先は円形。小花柄は長さ1.5~2.5㎝。果実は球形の蒴果。2n=24。

2 Lysimachia liukiuensis Hatus. ヒメミヤマコナスビ 姫深山小茄子
 日本固有種。奄美大島に分布する。別名はアマミコナスビ。常縁広葉樹林内の渓流沿いの岩上などに生える。  多年草、高さ10~30㎝。茎は長く匍匐して分枝し、腺毛があり、節から根を出す。葉は対生し、卵円形~円腎形、長さ3~5㎜、上面には粗毛がある。花は葉腋に1~2個つく。萼片は楕円形、先が円形。花冠は黄色、5裂し、直径5~7㎜。花期は5~6月。

3 Lysimachia ohsumiensis H.Hara ヘツカコナスビ 辺塚小茄子
 日本(大隅半島)固有種。産地は九州大璃半島南部の辺塚である。ミヤマコナヌピによく似ているが、葉は卵形でやや尖り両面に長毛があるが縁毛や黒色腺条を欠き、萼片は上部で広がり、倒卵状へら形であり、花冠にも腺条があるのではっきり区別できる。
 茎は細く長く地を這い、長軟毛がまばらに生える。葉は対生し、長さ7~15㎜の葉柄があり、葉身は三角形~卵形、先は鋭形、基部は円形または浅い心形、長さ4.5~20㎜×幅4.5~16㎜、黒点や黒腺条はなく、両面まばらに多細胞の長軟毛があるが、縁毛はない。茎の上部の葉腋ごとに1花をつける。小花柄は長さ15~30㎜。萼は5深裂し、裂片は倒卵状へら形、長軟毛が多い。花冠は黄色、直径約1㎝、花冠裂片は倒卵形、全面に黒色腺条がある。雄しべは5本、不等長。雌しべは雄しべより長い。果実は直径約5㎜。2n=24。

4 Lysimachia tashiroi Makino オニコナスビ 鬼小茄子
 日本(佐賀賢、大分賢、熊本賢)固有種。和名はコナスビに比べて全体的に大きいことに由来する。山地の渓谷沿いの林縁などに生える。
 多年生。根茎は細く、広く這い、緩く分岐し、節からひげ根を出し、白色の開出する毛があり、節間が長い。花茎は根茎から直立~斜上または傾伏・斜上し、緩く、長さ約11㎝に達し、長く細く、根茎と同様に軟毛がある。葉は対生し、葉柄があり、広卵形または楕円形、先は丸みのある鈍形または円形、基部は円形~~鈍形、鋭く短く葉柄に沿下し、縁は全縁で多少、縁毛があり、長さ1.5~4㎝×幅1~3㎝、質はやや厚く、上面は緑色、下面は淡色、両面に白色の毛が散在し、下面の中脈には毛があり、表面上に目立たず、繊細、側脈は両側に約4~6本、直立・開出し、上向きに弓状になり、細脈は緩い。葉柄は長さ0.25~2㎝、直立またはほぼ広がり、開出する毛がある。花茎の先端に1~4花の散形花序があり、小花柄があり、花は直径約1.5cm以上、長さ17㎜、黄色で底部は赤色。小花柄は長さ12~19㎜、有毛。萼片は5個、長さが不揃いな場合もあり、直立して開出し、外側に開出する軟毛があり、内側は無毛、披針形、先は鋭形または鈍形、全縁、縁はほぼ薄膜質、背側は先端に向かって竜骨があり、長さ7~11㎜、3脈があり、宿存する。花冠は萼片より長く、長さ約14mm、5裂し、下部の3分の1は合着し、脱落する。花冠裂片は直立・開出し、卵状長円形または長円形で、先が鈍形、全縁、薄く、繊細な数え切れないほどの脈がある。雄しべは5本、花冠に含まれており、長さは萼片とほぼ同じで、直立し、下部で筒状に合着し(約長さ3~4㎜)、自由部分は錐形、2個が長く、3個が短い。葯は楕円形、淡黄色。子房は直立し、長円形、長さ3.5㎜、上部に微軟毛がある。花柱は直立し、子房より長く、長さ約6.5㎜、無毛。柱頭は小さく、頭状である(参考11)。花期は7~8月。2n=24。