キンモクセイ 金木犀
Flora of Mikawa
モクセイ科 Oleaceae モクセイ属
別 名 | モクセイ(広義) |
中国名 | 丹桂 dan gui , 木犀 mu xi , 桂花 gui hua |
英 名 | sweet olive , fragrant olive , tea olive |
学 名 | Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino synonym Osmanthus aurantiacus (Makino) Nakai synonym Osmanthus fragrans Lour. (広義) |
花 期 | 9~10月 |
果 期 | 翌年3月 |
高 さ | 3~5(10)m |
生活型 | 常緑小高木 |
生育場所 | 庭木、公園 |
分 布 | 帰化種 中国西南部、台湾、インド、ネパール、カンボジア原産 |
撮 影 | 蒲郡市 13.12.11 |
幹は淡褐色、樹皮に細かい縦の割れ目が入る。葉は対生し、葉柄は長さ0.8~1.2(1.5)㎝。葉身は長さ7~14.5㎝×幅2.6~4.5㎝の惰円形~楕円状披針形、全縁~上半分に細鋸歯縁、革質、両面とも無毛、腺点がある。側脈は6~8(10)対、葉脈が葉裏に突出する。雌雄別株。葉腋に集散花序をつけ、強い芳香のある花を多数つける。苞は長さ2~4㎜の広卵形。小花柄は長さ4~10㎜。萼は長さ約1㎜。花冠は帯黄色~黄色~橙色、直径4~5㎜、長さ3~4㎜、筒部は長さ0.5~1㎜。雄しべは2個。花筒の中間につき、不完全雄しべも2個つく。葯は長さ約1㎜、花糸は長さ0.5㎜。雌しべは1個、長さ約1.5㎜。核果は長さ1~1.5㎝の惰円形、翌年3月に紫黒色に熟す。2n=46。
ギンモクセイ Osmanthus fragrans var. latifolius は花が白色。葉は全縁又は細鋸歯がある。 原産地は中国。中国名は银桂。Osmanthus fragransの基本種は中国では花が黄色としており、ギンモクセイを Osmanthus fragrans var. fragran とするのは無理があると思われる。
ウスギモクセイOsmanthus fragrans. var. thunbergii は中国、インド、日本(九州)に分布する。中国名は金桂。花が金黄色。
シロモクセイ form. leucanthus はキンモクセイの白花品種。葉が細鋸歯縁。果実が紫黒色で多数つく。
ヒイラギモクセイはキンモクセイとヒイラギの雑種と考えられている。葉は長さ4~9㎝の惰円形で、縁に8~10対の鋸歯がある。花は白色、直径8~10㎜。
モクセイ属
family Oleaceae - genus Osmanthus低木~小高木、常緑。若枝は無毛。葉は対生、単葉、葉柄がある。葉身は全縁又は鋸歯縁、普通、腺点がある。花序は集散花序、葉腋に(又は極短く、腋生又は頂生の円錐花序に)束生する。苞は2個、基部で融合し、普通、縁毛がある。花は両性、普通、単性で雌雄異株又は雄花両性花異株(androdioecy)。萼は鐘形、4裂する。花冠は普通、白色又は黄色、鐘形~円筒形~つぼ形、浅裂~深裂~ほぼ基部まで分裂し、裂片は4個、蕾では覆瓦状。雄しべは2(~4)個、花冠筒部の上半分にほとんどつく。葯隔は普通、小さい微突形、長くなり又は突き出る。胚珠は各室に2個、垂れ下がる。柱頭は頭状又は2裂する。未成熟の雌しべは錐形又は円錐形。果実は核果、内果皮は硬く、骨質。胚乳は肉質、幼根は直立する。2n=44, 46。
世界に約30種あり、東南アジオ、アメリカに分布し、中国に23種ある。
モクセイ属の主な種と園芸品種
1 Osmanthus decorus (Boiss. & Balansa) Kasapligil オスマンサス・デコルスsynonym Phillyrea decora Boiss. & Balansa
トルコ、アルメニア、ジョージア原産。海岸近くに生える。
常緑低木、高さ1.5~3(~4.5)m。枝は太く、丈夫。若いシュートはわずかに疣があり、綿毛はない。葉は対生し、葉柄は長さ1.3㎝以下。葉身は狭楕円形~長円形、長さ5~13(~17)㎝×幅1.3~7.8㎝、先は鋭形、基部は漸尖し、革質で、質感が硬く、上面は濃緑色、光沢があり、下面はより淡色、縁は通常は完全な全縁であり、活発な新芽の葉は縁にいくつかの歯が散在する。花序は小さく、葉腋に密に花が束生する。花は強い芳香があり、直径約8㎜、純白色。核果は楕円形、長さ約1.3㎝、直径0.5~1㎝、熟してくると最初は赤色を帯び、やがて黒紫色になる。小果柄は長さ1.3㎝、細い。花期は4~5月。果期は9月。
品種) 'Angustifolius' , 'Baki Kasapligil'
2 Osmanthus delavayi Franch. オスマンサス・デラバイ
synonym Siphonosmanthus delavayi (Franch.) Stapf
中国(貴州省、四川省、雲南省)原産。中国名は山桂花 shan gui hua。英名はdelavay osmanthus , delavay tea olive。標高2100~3400mの山地、渓谷、藪、雑木林に生える。
低木、高さ2~5m。小枝には密に毛がある。葉柄は長さ2~3㎜、若い時には少なくとも微軟毛がある。葉身は長円形~広楕円形~広卵形、長さ1~2.5(~4)㎝×幅1~1.5(~2)㎝、厚い革質、基部は広楔形、縁には6~8対の約1㎜の鋭い鋸歯があり、先は鋭形~鈍形で微突形、中脈は盛り上がり、下面には毛があり、特に葉柄近くに多く、側脈は中脈から4~5対、不明瞭。集散花序は葉腋につき又は頂生し、花が4~8個つく。苞は広卵形、先が鋭形、わずかに微軟毛がある。花柄は長さ2~5㎜、無毛、まれにわずかに微軟毛がある。萼は長さ2~4㎜。花冠は白色、花冠筒部は長さ6~10㎜。花冠裂片は長さ4~6㎜。雄しべは花冠筒部の中間につく。葯隔は長くなり、明らかな微突起がある。核果は青黒色、長い卵形、長さ1~1.2㎝。花期は4~5月。果期は9~10月。
品種) 'Frank Knight' , 'Heaven Scent' , 'Latifolius' , 'Pearly Gates'
3 Osmanthus enervius Masam. et K.Mori ナンゴクモクセイ 南国木犀
日本(琉球列島)、台湾原産。中国名は无脉木犀 wu mai mu xi 。
低木、は小さく、無毛。小枝は角ばる。葉柄は長さ5~7㎜。 葉身は披針形または楕円状披針形、長さ5~7㎝×幅1.5~2㎝、革質、基部は楔形、縁は全縁、先は尖鋭形で先端が鋭い。中肋は上面でわずかに凹み、下面に盛り上がり、1次脈は中肋の両側に5または6本あり、不明瞭。集散花序は葉腋に束生し、多数の花がつく。 苞は長さ1~2㎜、粗毛があり、縁毛がある。小花柄は長さ1~5㎜。萼は長さ約0.8㎜。花冠筒部は長さ約1.5㎜。花冠裂片は半円形、長さ約1.3㎜。雄しべは花冠筒部の中間に付く。葯隔は先が突き出し、小さく丸い付属体になる。核果は見られない。
4 Osmanthus fragrans Lour. モクセイ 木犀(広義)
synonym Osmanthus aurantiacus (Makino) Nakai
synonym Osmanthus fragrans var. aurantiacus Makino
synonym Osmanthus fragrans var. thunbergii Makino
日本、中国、台湾、インド、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ミャンマー、カンボジア、タイ、ベトナム原産。中国名は木犀 mu xi , 丹桂 , 桂花。英名はsweet osmanthus
高木又は低木、高さ3~5(~10)m、無毛。葉柄は長さ 0.8~1.2 (~1.5)㎝。葉身は楕円形~楕円状披針形、長さ7~14.5㎝×幅2.6~4.5㎝、 基部は楔形~広楔形、全縁又は普通、上半部に細鋸歯があり、先は尖鋭形、上面で中脈と 6~8(~10)本の1次脈が凹み、上面は盛り上がる。集散花序は葉腋に束生し、多数、花がつく。苞は広卵形、長さ2~4㎜。花柄は長さ4~10㎜。咢は長さ約1㎜。花冠は帯黄色、黄色、又は橙色、長さ3~4㎜。花冠筒部は長さ0.5~1㎜。雄しべは花冠筒部の中間につく。葯隔は長く、不明瞭な1個の微突起がある。核果は紫黒色、斜め、長さ1~1.5㎝。花期は9~10月。果期は3月。2n=46。
品種) 'Apricot Gold' , 'Aurantiacus' , 'Butter Yellow' , 'Conger Yellow' , 'Fudingzhu'= 'Nanjin's Beauty' , 'Hunter's Creek' , 'Latifolius' ,'Live Oak Gold' , 'Orange Supreme' , 'T-Tower'
Kewscienceではvar. fragrans ギンモクセイとvar. aurantiacus キンモクセイだけを認め、ウスギモクセイをキンモクセイに含めている。
4-1 Osmanthus fragrans Lour. var. fragrans ギンモクセイ 銀木犀
synonym Osmanthus fragrans Lour. var. latifolius Makinosynonym Osmanthus asiaticus Nakai
中国の園芸種といわれ、中国から渡来。中国名は银桂 yin gui 。ウスギモクセイに比し、花が白色(中国では黄白色~淡黄色)である他に、葉は普通、長さの割に幅が広く、楕円形になる。芳香がやや弱い。果実はやや斜めの楕円形、長さ1~1.5㎝、紫黒色。日本には雄株しかない。花期は9~10月。果期は翌年3月。
中国品種) '玉玲珑' , '柳叶银桂 , '早银桂' , '长叶早银桂' , '籽银桂'(结籽) , '白洁' , '玉桂' , '晚银桂' , '九龙桂'
4-2 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino キンモクセイ 金木犀
synonym Osmanthus aurantiacus (Makino) Nakai日本原産(Kewscience)。中国からの渡来とされ、中国名は丹桂 dan gui(橙色花)であるが、中国産の丹桂は果実ができない。日本のキンモクセイはウスギモクセイから日本で選抜したともいわれる。日本では雄株しか見られない。葉は全縁。花が澄黄色、ウスギモクセイより香りが強い。
中国品種) '大花丹桂' , '丹桂' , '朱砂丹桂' , '宽叶红 , '齿丹桂'
4-2-1 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. aurantiacus (Makino) P.S.Green キンモクセイ 狭義
4-2-2 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. leucanthus T.Yamaz. シロモクセイ 白木犀
キンモクセイの白花品種。ウスギモクセイから日本で選抜したともいわれる。葉が細鋸歯縁。果実が紫黒色で多数つく。4-2-3 Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. thunbergii (Makino) T.Yamaz. ウスギモクセイ 薄黄木犀
synonym Osmanthus aurantiacus (Makino) Nakai var. thunbergii (Makino) Honda
synonym Osmanthus intermedius Nakaisynonym Osmanthus fragrans Lour. var. thunbergii Makino
日本(九州)、中国、インドに分布する。中国名は金桂 jin gui。花がやや小さく、金黄色。葉は鋸歯縁(全縁で先付近に鋸歯があることがある)。開花は3月にもあり、別名はシキザキモクセイ。中国産は花期が9~10月、不結実。
品種) 四季咲きモクセイ(大きくなりにくく、芳香が弱い)
中国品種) 即丹桂 , 金桂 , 银桂 , 四季桂(すべて秋咲き) , 大花金桂 , 大叶黄 , 潢川金桂 , 晚金桂 , 圆叶金桂
4-2-4 Osmanthus fragrans var. semperflorens
中国南部原産。中国名は四季桂 si ji gui。
花が黄緑色~黄白色~淡白色、四季咲き。果実が楕円形、暗紫色~紫黒色。
中国品種) 淡妆 , 月月桂 , 月桂 , 矮黄 , 大叶佛顶珠 , 天香台阁 , 天香 , 皱叶四季桂 , 天女散花 , 小叶四季桂 , 日香桂 , 大叶四季桂 , 五瓣金 , 晃金 , 金叶天香 , 齿叶四季桂
5 Osmanthus heterophyllus (G.Don) P.S.Green ヒイラギ 柊
synonym Osmanthus ilicifolius (Hassk.) Carriere
synonym Osmanthus acutus Masam. et K.Mori
synonym Ilex heterophylla G. Don
synonym Olea aquifolium Siebold & Zucc.
日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、台湾原産。中国名は冬树 dong shu 。英名はChinese-holly , holly osmanthus , holly-olive , false holly。
常緑小高木、高さ4~8m。幹は灰白色、樹皮に細かい縦の割れ目が入る。葉は対生し、長さ3~7㎝、幅2~4㎝の惰円形、厚い革質、葉表は光沢があり、葉裏は淡緑色、緑色の細点がある。若木は葉縁に大きな歯牙が2~5対あり、歯牙の先に刺がある。歯牙は高さ5~9㎜。老木の葉は全縁となる。葉柄は長さ7~12㎜、微細な突起毛がある。雌雄別株。葉腋に白色の花を束生し、よい香りがある。花冠は直径約5㎜、4裂し、裂片が反曲する。花冠の筒部は長さ1~1.5㎜、裂片は長さ1~1.5㎜。雄しべ2個。核果は長さ1.2~1.5㎝の惰円形、翌年の夏に紫黒色に熟す。2n=46。花期は11~12月。果期は6~7月。
品種) 'Argenteomarginatus' , 'Aureomarginatus' (v) , 'Aureus' Rehder , 'Goshiki' (v) , 'Gulftide' , 'Kembu' (v) , 'Latifolius Variegatus' (v) , 'Myrtifolius' , Party Lights™ , 'Purple Shaft' , 'Purple Spire' , 'Purpureus' , 'Rotundifolius' , 'Sasaba' , 'Variegatus' (v)
5-1 Osmanthus heterophyllus (G.Don) P.S.Green var. bibracteatus (Hayata) P.S.Green タイワンモクセイモドキ
台湾に分布する。葉が全縁。花冠の筒部が長さ1.5~2㎜、裂片が長さ約5㎜。中国名は异叶冬树(yi ye dong shu)。タイワンモクセイモドキをヒイラギに含める見解もある。5-2 Osmanthus heterophyllus (G.Don) P.S.Green f. subangustatus (Makino) Murata キッコウヒイラギ
6 Osmanthus insularis Koidz. シマモクセイ 島木犀
synonym Osmanthus hachijoensis Nakai ハチジョウモクセイ
synonym Osmanthus zentaroanus Makino日本(本州の福井県以西、四国、九州、南西諸島、小笠原諸島)、朝鮮原産。材が固いので別名はナタオレノキ(鉈折れの木)いう。
常緑高木、高さ15m以下。樹皮は帯灰色。葉は対生、狭長楕円形、やや薄い革質、先は尾状尖鋭形。雌雄異株。葉腋に小さな白色の花を束生する。果実は核果、下垂し、楕円形、長さ1.7~2.3㎝、藍黒色に熟す。花期は10~11月。果期は5~6月。リュウキュウモクセイに似るが、葉柄が短かく、葉はさらに硬い草質、下面の葉脈が明瞭。シマモクセイ、ハチジョウモクセイはナタオレノキに比し、果実の大きさで区別されていたが、大差なく変化範囲内とみなし、区別する必要はないとされた。
6-1 Osmanthus insularis Koidz. f. aureus (Hatus.) Hatus. キンナタオレノキ
6-2 Osmanthus insularis Koidz. var. okinawensis T.Yamaz. ヤナギバモクセイ 柳葉木犀
synonym Osmanthus okinawensis Hatus., nom. nud.7 Osmanthus iriomotensis T.Yamaz. ヤエヤマヒイラギ 八重山柊
synonym Osmanthus heterophyllus auct. non (G.Don) P.S.Green
synonym Osmanthus heterophyllus var. iriomotensis八重山群島、西表島原産。別名はイリオモテヒイラギ。山地の林内に生える。ヒイラギに比べて全体に小さい。
常緑中低木、高さ2~3m。葉は互生し、単葉、葉柄がある。成木の葉身は革質、光沢があり、倒卵形~楕円形、長さ2~5㎝×幅1~20.5㎝、全縁、幼木の葉には鋸歯がある。雌雄異株。花は葉腋に束生し、白色で小さい。花冠は4裂して直径約5㎜。核果は楕円形、果皮は厚く、普通、種子は1個。花期は9~11月。
8 Osmanthus kaoi (T.S.Liu et J.C.Liao) S.Y.Lu オスマンサス・カオイ
synonym Osmanthus lanceolatus var. kaoi T.S.Liu & J.C.Liao
台湾原産。中国名は高氏木犀高木、枝は平滑。 葉は革質、長楕円形、長さ6~14.5cm、先は尖り、全縁、縁にまばらに鋸歯があり、明瞭な側脈と網状脈を持つ。果柄は長さ11~16㎜。
9 Osmanthus lanceolatus Hayata トガリバモクセイ 尖り葉木犀
synonym Osmanthus daibuensis Hayata
synonym Osmanthus gamostromus Hayata
台湾原産。中国名は锐叶木犀 rui ye mu xi。標高2000~3000mの山地に生える。
低木または小高木、高さ5~12m。小枝と葉柄は無毛で、ときに、若い時に微軟毛がある。葉柄は長さ5~10㎜。 葉身は披針形、長さ7~10㎝×幅2~3㎝、革質、基部は楔形、やや斜め、縁は全縁、ときに鋸歯状になり、先は長い尖鋭形で、先端が鋭く、中肋は上面でわずかに凹み、下面に盛り上がる。1次脈は中肋の両側に7~9本あり、両面でわずかに盛り上がる。葉腋に集散花序が束生し、7~12個の花が咲きます。 苞は1.5~3㎜、無毛。 小花柄は2~10㎜、無毛。萼は長さ約1mm。花冠は薄色。花冠筒部は長さ1.2~1.5㎜。花冠裂片は長さ2.5~3.5㎜。雄しべは花冠筒の上部につく。葯隔は長くなり、紫褐色の微突起になる。核果は淡黒色、楕円形、約・長さ9㎜×幅5㎜。
10 Osmanthus marginatus (Champ. ex Benth.) Hemsl. リュウキュウモクセイ 琉球木犀
synonym Chengiodendron marginatum (Champ. ex Benth.) C.B.Shang, X.R.Wang, Yi F.Duan & Yong F.Li [Kewscience]チェンギオデンドロン属
synonym Osmanthus bracteatus Matsum.日本(奄美大島以南、沖縄)、中国、台湾原産。中国名は厚边木犀 hou bian mu xi。
低木又は高木、高さ5~10(~20) m。小枝、葉柄、葉身は無毛。葉柄は長さ1~2.5㎝。葉身は広楕円形~狭披針形、まれに倒卵形、長さ7~20㎝×幅2~5.5㎝、厚く又は極厚く革質、基部は狭~広楔形、全縁まれに上半部に不明瞭な鋸歯があり、先は尖鋭形、中脈と6~8本の1次脈が上面でやや凹み、下面に持ち上がる。集散花序は短く、小型の円錐花序になり、腋生、まれに頂生、長さ1~2㎝、花が10~20個つく。苞は卵形、長さ2~2.5㎝。花柄は長さ1~2㎜。萼は長さ1.5~2㎜。花冠は帯黄色又は帯緑色、筒部は長さ1.5~2㎜、裂片は長円形、反曲し、長さ約1.5㎜。雄しべは花冠筒部の上部につく。核果は黒色、楕円形~倒卵形、長さ2~2.5㎝×幅1~1.5㎝。
11 Osmanthus matsumuranus Hayata オオバモクセイ 大葉木犀
synonym Chengiodendron matsumuranum (Hayata) C.B.Shang, X.R.Wang, Yi F.Duan & Yong F.Li [Kewscience]チェンギオデンドロン属
synonym Osmanthus longipetiolatus H. T. Changsynonym Osmanthus marginatus var. formosanus Matsumura
synonym Osmanthus maximus H. T. Chang
synonym Osmanthus obovatifolius Kanehira
synonym Osmanthus wilsonii Nakai
中国(安徽省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、江西省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、カンボジア、ラオス、ベトナム原産。中国名は牛矢果 niu shi guo。標高800~1500mの斜面の鬱蒼とした森、谷の茂みに生える。
低木または高木、高さ2.5~10m、無毛。小枝は扁平。葉柄は長さ1.5~3㎝。 葉身は倒披針形、まれに倒卵形または狭楕円形、長さ8~14(~19)㎝×幅2.5~4.5(~6)㎝、薄い革質~厚い紙質、基部は漸尖して沿下し、縁は全縁または上半分に鋸歯があり、先は尖鋭形で微突形、中肋と1次脈(7~)10~12(~15)本は上面でわずかに凹み、下面に盛り上がる。集散花序は短い円錐花序になり、腋生、長さ1.5~2㎝。苞は広卵形、長さ1~1.5mm。小花柄は長さ約2mm。萼は長さ1.5~2mm。萼片は長さ0.5~1mm。花冠は帯緑色または淡黄緑色、長さ3~4mm。花冠筒部は後屈する花冠裂片の長さに等しい。雄しべは花冠筒部の上部につく。核果は熟すと紫色~黒色、楕円形、長さ1.5~3㎝×幅0.7~1.5㎝。花期は5~6月。果期は11~12月。2n=46。
12 Osmanthus minor P.S.Green オスマンサス・ミノール
synonym Chengiodendron minor (P.S.Green) C.B.Shang, X.R.Wang, Yi F.Duan & Yong F.Li [Kewscience]チェンギオデンドロン属
中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、江西省、浙江省)原産。中国名は小叶月桂 xiao ye yue gui。混交林に生える。低木または小高木、高さ3~5(~10)m。 葉柄は1~1.5cm、無毛。 葉身は狭い楕円形または狭い倒卵形、まれに倒披針形、長さ4.5~9㎝×幅1.5~3.5㎝、革質または厚い革質、基部は漸尖し、縁は全縁、先は尖鋭形または尾状、1次脈は中肋の両側に6~8本あり、上面では不明瞭で、下面にわずかに隆起する。円錐花序は短く、細く、腋生、長さ1~1.5㎝、8~12個の花がつく。苞はデルタ形で厚く、基部に毛がある。小花柄は長さ約2mm。 萼は長さ1~1.5mm。 葉は三角形または卵形。花冠は白色。花冠筒部は長さ1.5~2mm、花冠裂片の長さとほぼ同じ。雄しべは花冠筒部の上部につく。核果は熟すと黒色、楕円形またはわずかに倒卵形、長さ1.5~2㎝×幅0.8~1.2㎝。花期は5~6月。果期は10~11月。
13 Osmanthus rigidus Nakai オオモクセイ 大木犀
日本(トカラ列島)原産。古くから鹿児島県、熊本県など九州で栽培されている。
常緑低木又は高木、高さ約3(~15)m。樹皮は灰色、無毛、平滑、皮目がある。葉は対生し、短い葉柄がある。葉身は長楕円形、長さ8~15㎝×幅2.5~6㎝、質がリュウキュウモクセイより厚く、上面はやや光沢があり、下面の2次脈が明瞭、全縁、先は鋭形。花は腋生の散形花序に多数つき、白色、直径6~7㎜、花弁は4個、芳香はほとんどない。花柄は長く、帯白色。果実は核果、黒紫色に熟す。花期は10~11月。
14 その他ハイブリッド
(1) Osmanthus ×burkwoodii (Burkwood & Skipwith) P. S. Green オスマンツス・バークウッディ
Osmanthus decorus × Osmanthus delavayiiの交雑種(2) Osmanthus x fortunei Carriere ヒイラギモクセイ
Osmanthus fragrans × Osmanthus heterophyllusの交雑種
葉は長さ4~9㎝の惰円形で、縁に8~10対の鋸歯がある。花は白色、直径8~10㎜。
品種) 'Fruitlandii' , 'San Jose'
類似属
チェンギオデンドロン属(中国名:万钧木属)
family Oleaceae - genus Chengiodendron低木または高木、高さ5~10m。若枝は無毛。葉柄と葉は無毛。葉柄は長さ1~2.5㎝、葉身は広楕円形~狭披針形、まれに倒卵形、長さ7~20㎝×幅2~5.5㎝、厚いかまたは非常に厚い革質、基部は狭~広楔形、縁は全縁またはまれに上半部に不明瞭な鋸歯があり、先は漸尖し、中肋と6~8本の主脈は上面でわずかに凹み、上面に凸状に隆起する。雄花両性花異株(androdioecy)。集散花序は短く、小型の円錐花序になり、腋生、まれに頂生し、長さ1 ~ 2㎝、花が10 ~ 20個つく。苞は卵形、長さ2~2.5㎝。小花柄は長さ1~2mm。 萼の長さは1.5~2㎜。 花冠は淡黄色または緑色、筒の長さは1.5~4㎜、裂片は長円形、反り返り、長さ約1.5㎜。雄しべは花冠筒の上部に付く。葯の隔壁は伸びないか、または突き出ない。核果は黒色、楕円形または倒卵形、長さ1.5~3㎝×幅0.7~1.5㎝。内果皮は硬い。2n=46。
世界に3種あり、日本(沖縄)、中国、台湾、インド(アッサム)、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムに分布する。
チェンギオデンドロン属の種
1 Chengiodendron marginatum (Champ. ex Benth.) C.B.Shang, X.R.Wang, Yi F.Duan & Yong F.Li リュウキュウモクセイ 琉球木犀
synonym Osmanthus marginatus (Champ. ex Benth.) Hemsl.2 Chengiodendron matsumuranum (Hayata) C.B.Shang, X.R.Wang, Yi F.Duan & Yong F.Li オオバモクセイ 大葉木犀
synonym Osmanthus matsumuranus Hayata3 Chengiodendron minor (P.S.Green) C.B.Shang, X.R.Wang, Yi F.Duan & Yong F.Li オスマンサス・ミノール
synonym Osmanthus minor P.S.Greenカルトレマ属
family Oleaceae - genus Cartrema円錐花序を持つOsmanthus属の種は、束状花序を持つ種(現在のカルトレマ属)はグループとして区別さてきた。Spach(1839)により、Olea属内のsect. Leioleaとされ、Green(1958)により、Osmanthus属内のsect. Leioleaとして扱われた。Rafinesque(1838)はそれらを Cartrema属に分類した。Small(1933)は余分なAmarolea 属を作成した。蓄積された証拠の見地から、Weakley et al.(2011)は、米国南東部の種が今後の州および地域の植生記述でCartrema属内で扱われべきことを気づかせた。植物分子系統分類学の分子的証拠 (Guo et al. 2011) により、Osmanthus sect. Leiolea は単系統群を構成している。アメリカの分類群に加えて、このグループには東南アジアからの追加の5種が含まれている。このグループ全体は束状花を咲かせるキンモクセイよりも、Olea属 (sect. Tetrapilus)に属するアジアの2種とより近縁である。
若い枝には微毛がある。花序は円錐花序。雌花両性花異株(gynodioecy)。花弁は4個。花冠裂片は覆瓦状につき、長円形、平坦または緩く内巻き。葯は花冠筒部の上部より下につく。果実の柄は結合する。内果皮は硬い。2n=138。
カルトレマ属の種
1 Cartrema americana (L.) G.L.Nesom アメリカヒイラギsynonym Osmanthus americanus (L.) Knobl.
北アメリカ(USA、メキシコ)、ホンジュラス原産。英名はdevil wood , American olive , wild olive。小川、湖、沼地、陥没穴の縁、貝塚、湿った砂の尾根、道端の茂み、森林に生える。庭園などで観賞植物として栽培される。
高木または低木、高さ1.5~6(~10)m。茎: 幹は単一または地面近くでしばしば分枝する。樹皮は灰褐色~明るい灰色または銀色で、平滑、細かく鱗片状になる。葉は常緑または半常緑、楕円形~長円状楕円形~倒披針形または倒卵形、長さ(5~)8~12(~15)㎝×幅(15~)20~40(~50)㎜、基部は楔形、縁は全縁、外巻、先は鋭形、またはまれに短い尖鋭形、鈍形、円形、または切り込みがあり、両面とも無毛。葉柄は長さ(5~)10~15(~20)㎜。花序は腋生、12~20個の花をつける。小花柄は長さ0~1㎜。花は単性、またはまれに両性。花冠は白色~黄色、筒部は直径2~3㎜、花冠裂片は長さ1.5~2.5㎜、筒部の長さとほぼ同長、平坦~緩く内巻き。核果は熟すと(乾燥時)暗青紫色、球形~球状卵形または楕円形、長さ(6~)7~10(~11)㎜。 2n=138。花期は2月~5月。
2 Cartrema floridana (Chapm.) G.L.Nesom カルトレマ・フロリダナ
synonym Osmanthus floridanus Chapm.
フロリダ州に分布。標高10~100mのスナマツやオークの低木林などに生える。
低木、高さ(1~)2~3(~4)m。「小高木」とされることもある。茎:通常は基部から2本以上、ときに地面近くで分枝するが、まれに1本になる。樹皮は灰褐色~明るい灰色または銀色で、平滑、細かい鱗片状になる。葉は常緑、楕円形~楕円状倒披針形または倒披針形、長さ5.5~12㎝×幅20~40(~50)㎜、基部は楔形~漸尖し、縁は全縁、外巻き、先は鋭形~短い尖鋭形または鈍形、両面とも無毛。 葉柄は長さ3~10㎜。花序は腋生、12~20個の花をつける。小花柄は長さ0~1㎜。花は単性、またはまれに両性。花冠は白色~黄色、筒部は直径2~3㎜、花冠裂片は長さ1.5~2.5㎜、筒部の長さとほぼ同長、平坦~緩く内巻。核果は成熟時(乾燥時)に暗青紫色~ほぼ黒色、ほぼ球形~広楕円形~楕円状倒卵形、長さ18~25㎜。花期は2~5月。
3 Cartrema scortechinii (King & Gamble) de Juana
synonym Osmanthus scortechinii King & Gamble
マレーシア、インドネシア、タイに分布。
4 Cartrema sumatrana (P.S.Green) de Juana
synonym Osmanthus sumatranus P.S.Green
インドネシア(スマトラ島)
参考
1) Osmanthus americanus (American olive) | Native Plants of NorthOsmanthus americanus
Osmanthus
Osmanthus heterophyllus
Osmanthus
日本産モクセイ属の数種について(初島住彦)
SYNOPSIS OF AMERICAN CARTREMA (OLEACEAE)
Cartrema Raf.