フキ(雄花茎) 蕗
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae フキ属
中国名 | 蜂斗菜 feng dou cai |
英 名 | Japanese sweet coltsfoot, butterbur |
学 名 | Petasites japonicus (Sieb. et Zucc.) Maxim. |
花 期 | 3~5月 |
高 さ | 25~70㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 山野 |
分 布 | 在来種 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、ロシア |
撮 影 | 設楽町 12.3.23 蒲郡市 02.3.3(フキノトウ) |
山野に生え、また古くから食用のために栽培されている。栽培種のアキタブキ subsp. giganteus は全体に大きい。現在、栽培されている品種は「愛知わせ」といわれる大型のものがほとんどである。これは雌株だけで雄株ができない。雌雄異株。雄株の雄花茎は雌株の雌花茎より低く、花が普通、黄色を帯びている。雌花茎の花は白色~帯紫色。
根茎は地中を這い、地中に枝を伸ばし、膜状の惰円形の鱗片があり、多くのひげ根をつける。葉は花後に出る。根出葉は長柄があり、長さ15~30㎝、幅15~30㎝の円形~腎円形、紙質、基部は心形。葉は幅が15~30㎝の腎円形、縁に細かい歯がある。葉表は緑色、幼時は縮れ毛があり、葉裏はクモ毛状、後に無毛。長さ60㎝ほどになる中空の葉柄が食用となる。若い花茎がフキノトウである。花茎は高さ15~30㎝、中空、縦肋があり、基部の直径7~10㎜、単一、濃くまたは疎らに褐色の軟毛がある。花茎の葉は苞状、長さ3~8㎝、長楕円形~卵状長惰円形、脈は平行、先は鈍形。雌雄異株。雄花茎(male scape)は高さ10~25㎝、茎頂の散房花序に密に20~30個の均質の頭花をつける。頭花は総苞が狭い長楕円形、長さ約6㎜、幅7~8(10)㎜、基部に先の尖った披針形の苞をつけ、総苞片は2列、ほぼ同形、無毛、鈍頭。小花はすべて筒状、雄性・不稔の両性花。花冠は白色~黄白色、長さ7~7.5㎜、筒部は長さ約4.5㎜、裂片はほぼ平開する。葯は黄白色、基部が鈍角、5個が合着して葯筒になり、こん棒状の花柱を葯筒から突き出し、花冠から高く突き出る。花柱が葯筒の間を伸びるときに白色又は黄色の花粉を花柱に集めてしまう。柱頭の下に小さな環があり、先端は2分岐するが先が開かない。雌花茎(female scape )は高さ15~20㎝、密に苞状の葉をつけ、花後は45~70㎝にもなる。頭花が散房花序に密につき、まれに分枝する。頭花は均質、多数の小花がつく。小花は雌性、花冠は白色、線形、長さ6.5~7.5㎜、先は斜めの切形。柱頭は明瞭に花冠から突き出て、頭部は2分岐して開き、細く、乳頭状。原色野草観察図鑑の解説では、雌花茎の頭花の小花は雌花だけでなく、雄花茎の雄花と似た小花(花粉を出さない両性花)が小数混じるとされている。雌花は花冠が細い管状、白色~帯紫色、花柱の先が開く。両性小花は花冠が雄花と似ているが、葯筒は退化して褐色であり、花粉をつくらない。痩果は長さ約3.5㎜、円筒形、無毛。冠毛は多数つき、白色、長さ約12㎜。2n=58 , 87。(Flora of Chinaなど)
しかし、頭花に花粉を出さないと思われる両性花だけのものや、小数の雌小花が混じるだけのものがあった。雄花茎の頭花に少数の雌花が混じることもあるとの報告もあり、これに一致するものである。これらの雌小花は果実のできる雌花茎の小花と比べ、子房が短く、花冠から突き出る花柱も短い。
観察した雄花茎(雌花をもつ)は次のとおり。
この株は果実を全く作らない。頭花は散房花序に多数つき、下部では分枝した枝先につく。花茎の葉は先が鈍形、苞は鋭形。小花柄は長さ7~20㎜、苞が4~9個程度つき、腺毛がある。総苞は長さ8~12㎜、直径6~10㎜、鐘形、総苞片や苞の基部に曲がったクモ毛がある。総苞片は2列、腺毛がある。1頭花の雌小花は5個/全小花46個(6/36個の場合もあった)、花冠が線形、幅約0.25㎜、花柱は白色、先が2裂して開き線形、紫色を帯び、花冠から突き出るものとほとんど突き出ないものがある。花冠の幅が中間的なものが他に2個あり、花冠幅0.5㎜の1個は花冠の先がやや斜め切形でごく浅く5裂し、葯筒はなく、花柱の先は細く、雌小花に近い。花冠幅1㎜の1個は花冠の先が浅く5裂し、先端が紫色を帯び、やや短い淡褐色の葯筒が内部にあり、花柱の先は棍棒形、両性花に近い。両性花は39個/全小花46個中あり、幅1.5~1.8㎜、葯筒が全て淡褐色、花粉は認められない。花柱の先に環があり、その先の柱頭に割れ目があるが、普通、離れず、円錐状、白色、古くなると褐色になり2分岐する。他の頭花では左右の柱頭部分に1個所ずつ点状に紫色になる小花がわずかにあった。
多年草。類雌雄混株(subdioecious)。根茎をもち、茎は丈夫、節型、又は少なくとも下部で上部。根生葉は長い葉柄がある。葉身は広心形、又は腎状心形、縁は切れ込むか又は広く、分裂し、平行又は2又分裂。茎葉は苞形、無柄、類抱茎。頭花は放射状頭花(radiate)、円盤型頭花(disciform)、中心小花頭花(discoid )、異形配偶又は同形配偶。総苞は鐘形、基部に小苞をもつ。総苞片は1~5列、等長。花托は平ら、無毛、盾状。雌頭花の小花は稔性、花冠は糸状、先は斜めの切形又は±不明瞭な放射状又は舌部は長い。機能的に雄性の小花は花冠が筒状、5歯をもち、葯は全縁又は基部が鈍形、又はまれに、短い矛形。花柱は先がこん棒形。2分岐。雌小花の花柱は糸状、2分岐。痩果は円筒形、無毛、うねがある。冠毛は多数の剛毛であり、白色。
世界に約19種があり、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカに分布する。英名はbutterbur。
ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はArctic butterbur , Arctic sweet-coltsfoot , northern sweet-coltsfoot。
高さ10~60(~120)cm。根茎は多くの分枝を持ち、匍匐性で、しばしば長命で広がりのあるクローンを形成する。根生葉は葉身が主に、腎形~円状心形~心形~卵形~三角形、またはやじり形、縁は全縁~粗い歯状~波状、または浅く~深く羽状掌状または掌状に切れ込み、裂片は鈍形~鋭形、しばしば再裂または歯があり、上面に密に羊毛状毛があるかまたは綿毛があり、無毛になるかまたは無毛。雄性の頭花は2~53個(周辺小花は0または1~70個、花柱をもち不稔、花冠の小舌は長さ1.1~12mm。中心小花は11~78個、機能的に雄性、花柱の枝は長さ0~2.3mm、パピラまたは毛がある)。雌性の頭花は5~60個(周辺小花は30~139個、雌性で稔性、花冠の小舌は長さ0.6~6.3mm、中心小花は1~12個、機能的に雄性、花柱の枝は長さ0~2.3mm、パピラまたは毛がある)。総苞片は雄性では長さ3.6~12.8㎜×幅1~4.4mm、雌性では長さ1~9.5㎜×幅0.7~3.3㎜縁は全縁又は鋸歯縁。痩果は長さ1.7~3.5㎜。冠毛 (最も長い、雌性の頭花)は長さ7~17.3㎜。
4変種が北アメリカ、ユーラシアにある。
1-1 Petasites frigidus var. palmatus (Aiton) Cronquist
北アメリカ原産。英名はwestern sweet-coltsfoot , Sweet Butterbur。 湿気の多い乱れた地域、川岸、草の生えた低い湿った土地(fens)、湿地、道端の溝や堤防、伐採道路、湿った森林に生える。
根生葉;葉身は掌状脈、円形~心形~腎形、長さ2~40㎝×幅4~50㎝、縁は掌状分裂(1次裂片は5~11個、披針形~長円形~楔形、基部までの半分以上、切れ込み、ときに2次裂片は0~13個、縁は全縁または歯状、歯は各側に52個まで)、上面および下面は無毛または羊毛状毛があり、ときに無毛になる。雄頭花は4~32個、周辺小花(または雌性)は5~70個、花冠の小舌は無いかまたは長さ0.1~6.3㎜。中心小花の花柱の枝は長さ0~1.7㎜。 雌頭花は8~42個、周辺小花(または雌性)は51~125個、花冠の小舌は無いか、または長さ0.1~6.3㎜。中心小花は花冠の裂片が長さ0.5~2.9㎜、花柱の枝は長さ0~0.8㎜、パピラまたは毛がある。冠毛(雌頭花)は長さ11.8㎜以下。2n=60, 61, 62。花期は早春。
品種) 'Golden Palms'
2 Petasites formosanus Kitam. タイワンブキ 台湾蕗
台湾原産。中国名は台湾蜂斗菜 tai wan feng dou cai。標高1500~2500mの山地の草原に生える。
根茎は長く這い、直径約1㎝、ひげ根が多数つく。茎は花茎状、数本、束生、直立し、高さ25~30㎝、単純、密に褐色の短毛があり、クモ毛状の羊毛状毛がある。根生葉は長い葉柄があり、葉柄は長さ15~30㎝、基部は幅広くなり、無毛、葉身は緑色、心形~腎形、長さ5~8㎝×幅7~12㎝、下面にはまばらにクモ毛があり、特に脈上にあり、基部は短く軟毛があり、上面には短毛があり、基部に掌状脈があり、より厚く、基部は深くまたはわずかに心形で、縁には微点状の歯があり、先は円形。茎葉は無柄、苞状、楕円状披針形または長円形、まれに卵状長円形、長さ2~4(~6)㎝×幅1~1.8㎝、密にクモ毛があり、平行脈があり、基部はほぼ抱茎、縁は全縁、先は鋭形または尖鋭形。 頭花は多数、円錐花序状の合成花序につく。雄頭花の合成花序は幅8~10㎝、雌頭花の合成花序は幅7~8㎝。花序柄は長さ5~20㎜、細く、短い褐色の軟毛がある。苞は2~5個つき、線形または線状披針形、長さ4~5㎜。総苞は鐘形、長さ8~9㎜×幅10~14㎜。総苞片は1列、乾燥すると紫色、長円形または長円状披針形、3~4本の脈があり、先は鋭形または尖鋭形、まばらに微軟毛がある。雄頭花の小花は、ほとんどまたは完全に雄性であり、花冠は筒状、長さ7~10㎜、拡大部は鐘状漏斗形、5裂し、裂片は卵形、長さ1~1.5㎜。葯は基部が鈍形。花柱は上部で広がり、柱頭の下で2裂し、パピラがある。雌小花の花冠は糸状、長さ8~9㎜、先は不規則に4裂し、裂片は線形、不等、長さ約2.5㎜、花柱は糸状、花冠を超え、先は2裂する。雌頭花の雄の小花は少数。花序柄は長さ7~15㎜、丈夫。痩果は円筒形、無毛。冠毛は多数の毛細管のような剛毛であり、白色、長さ約6㎜。花期は5月。
3 Petasites pyrenaicus (L.) G. Lopez ニオイカントウ 匂款冬
synonym Petasites fragrans (Vill.) C.Presl
ヨーロッパ(イタリア、ギリシャ)、アフリカ(アルジェリア、チュニジア)原産。英名はsweet-coltsfoot , winter-heliotrope。別名はウインターヘリオトロープ。日本へは昭和初期に渡来した。
多年草、高さ10~30(40)cm、根茎があり、雌雄異株(ビクトリア州では雄のみ見られる)。葉はほぼ円形~腎形、長さ5~20㎝×幅5~20㎝、上面は濃緑色で無毛、下面は淡色で軟毛があり、基部は心形、縁には鋸歯がある。葉柄は長さ10~30cm。頭花は6~20個つき、直径5~10㎜。花茎は長さ10~40㎝、中空、2~7枚の鱗片状の葉があり、腺毛がある。小苞は2~6個、線状披針形、長さ3~8㎜。総苞片は披針形、長さ7~12㎜、特に基部に腺毛がある。小花は多数、わずかに総苞を超え、バニラの香りがする。中心小花は5深裂し、帯白色、長さ4~6㎜。周辺小花は舌状、ピンク色または帯紫色。痩果は長さ1.5~2㎜。冠毛は長さ4~8㎜、白色。花期は1~6月(オーストラリアでは6~8月)。
4 Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. フキ 蕗
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は蜂斗菜 feng dou cai。英名はJapanese sweet coltsfoot, butterbur。
多年草。高さ25~70㎝。根茎は地中を這い、地中に枝を伸ばし、膜状の惰円形の鱗片があり、多くのひげ根をつける。葉は花後に出る。根出葉は長柄があり、長さ15~30㎝、幅15~30㎝の円形~腎円形、紙質、基部は心形。葉は幅が15~30㎝の腎円形、縁に細かい歯がある。葉表は緑色、幼時は縮れ毛があり、葉裏はクモ毛状、後に無毛。長さ60㎝ほどになる中空の葉柄が食用となる。若い花茎がフキノトウである。花茎は高さ15~30㎝、中空、縦肋があり、基部の直径7~10㎜、単一、濃くまたは疎らに褐色の軟毛がある。花茎の葉は苞状、長さ3~8㎝、長楕円形~卵状長惰円形、脈は平行、先は鈍形。雌雄異株。雄花茎(male scape)は高さ10~25㎝、茎頂の散房花序に密に20~30個の均質の頭花をつける。頭花は総苞が狭い長楕円形、長さ約6㎜、幅7~8(10)㎜、基部に先の尖った披針形の苞をつけ、総苞片は2列、ほぼ同形、無毛、鈍頭。小花はすべて筒状、雄性・不稔の両性花。花冠は白色~黄白色、長さ7~7.5㎜、筒部は長さ約4.5㎜、裂片はほぼ平開する。葯は黄白色、基部が鈍角、5個が合着して葯筒になり、こん棒状の花柱を葯筒から突き出し、花冠から高く突き出る。花柱が葯筒の間を伸びるときに白色又は黄色の花粉を花柱に集めてしまう。柱頭の下に小さな環があり、先端は2分岐するが先が開かない。雌花茎(female scape )は高さ15~20㎝、密に苞状の葉をつけ、花後は45~70㎝にもなる。頭花が散房花序に密につき、まれに分枝する。頭花は均質、多数の小花がつく。小花は雌性、花冠は白色、線形、長さ6.5~7.5㎜、先は斜めの切形。柱頭は明瞭に花冠から突き出て、頭部は2分岐して開き、細く、乳頭状。原色野草観察図鑑の解説では、雌花茎の頭花の小花は雌花だけでなく、雄花茎の雄花と似た小花(花粉を出さない両性花)が小数混じるとされている。雌花は花冠が細い管状、白色~帯紫色、花柱の先が開く。両性小花は花冠が雄花と似ているが、葯筒は退化して褐色であり、花粉をつくらない。痩果は長さ約3.5㎜、円筒形、無毛。冠毛は多数つき、白色、長さ約12㎜。2n=58 , 87。花期は3~5月。
多年草。フキの花柱が紫色を帯びるもの。
品種) 'Nishiki-buki' (v) , 'Variegatus'
5 Petasites rubellus (J.F.Gmel.) Toman トウブキ 唐蕗
synonym Petasites saxatilis (Turcz.) Kom.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は长白蜂斗菜 chang bai feng dou cai。標高1800~2800mの高山地域、隣接する森林、森林限界に生える。
根茎は地を這い(repent)、細く、ひげ根がある。茎は単生、直立し、高さ5~25㎝、単純、上部にはク毛がある。根生葉は小さく、長い葉柄があり、葉柄は長さ3~10㎝、密にパリパリの毛(crisped-pubescent)があり、基部はわずかに幅が広がる。葉身は下面が淡緑色、上面は緑色、腎形または腎状心形、長さ3~5.5㎝×幅(4~)5~9㎝、厚い紙質、葉柄と特に下面の葉脈に短く太い毛があり、基部はわずかに心形、縁には鋭鋸歯があり 、歯は凹形、葉先は円形。茎葉は鱗片状、卵状披針形、長さ1.5~2㎝×幅0.5~1㎝、無毛、縁に短い白色の縁毛があり、脈は平行、基部は抱茎、先は鈍形またはわずかに鋭形。頭花は6~9個、散房花序ににつく。花序柄は長さ1~4(~6)㎝、細く、線形の小苞がある。 総苞は円錐形、長さ8~10㎜×幅5~10㎜。総苞片は2列、ほぼ等長、狭長円形、幅1~1.5㎜、無毛又はほぼ無毛、先は鈍形。 雄小花は少なく、不稔。花冠は黄色、長さ約9㎜、筒部は長さ3.5~4㎜、拡大部は鐘形、5歯があり、裂片は卵状長円形。花柱は基部で2裂し、柱頭の枝は棍棒形、先は鋭形、微軟毛がある。雌小花は白色、長さ6~7㎜、短く放射状、先に2~3個の小歯がある。痩果は長円形、長さ3~3.5㎜、先は切形、基部が狭くなる。冠毛は多数の細い剛毛であり、白色、長さ9~11㎜。花期と果期は5~7月。
6 Petasites tatewakianus Kitam. アイヌブキ
中国、ロシア原産。中国名は掌叶蜂斗菜 zhang ye feng dou cai。別名はポロナイブキ。川や小川の森の砂と石の土手に生え、巨大な茂みを形成する。
根茎は長く、匍匐性で、長さ4~10mm。 雄小花の花茎は高さ約50㎝、雌小花の花茎は高さ50㎝以上、全体にパリパリしたくも毛がある。小苞は無柄、卵状長円形、長さ4~4.5㎝×幅1.5~1.6㎝、密にパリパリの毛があり、平行脈があり、縁は全縁、先は鈍形。上部の苞は長円形、未発達。葉はすべて根生葉、長い葉柄があり、葉柄は長さ20~30㎝、最初はパリパリした絨毛があり、無毛になる。葉身は上面が緑色、腎形または円状腎形、長さ19~23㎝×幅20~40㎝、またはより幅が広く、掌状に分裂する(中間までではない)。裂片は7~9個、くさび形、頂裂片は普通、3裂し、点状の歯があり、下面は密に白いパリパリの毛があり、毛は細く、上面はパリパリの微軟毛がある。雄頭花は散房花序または円錐花序になる。花序柄は長さ4~8㎝。雄頭花の合成花序は長さ約40㎝、異種(heterogeneous)。総苞は約・長さ7㎜×幅10~14mm、雌小花は多数、糸状、長さ約6㎜、先は切形、花柱は長さ約8㎜、2分岐する。雄小花は長さ約6.5㎜、筒部は狭く、長さ約3.5㎜。雌頭花は同種(homogeneous)または異種(heterogeneous)である。周辺小花は雌性、中心小花は雄性、帯紫色または白色。総苞は半球形、約・長さ10㎜×幅10㎜、基部に線状披針形の苞がある。総苞片は1列、覆瓦状、狭長円形、パリパリの毛があり、先は鈍形。雌小花は稔性、糸状、長さ約10mm、小舌は長さ約1㎜、花柱は2分岐。雄小花は花冠が筒状、長さ約10.5㎜、筒部は狭く長さ約6㎜、裂片は長さ約3㎜。葯は基部で2裂。花糸は節状(nodiform)に幅が広くなる。花柱は花冠をわずかに超え、先はこん棒形に広がり、柱頭の2分岐の下に小さな輪があり、微軟毛がある。 痩果は円筒形、長さ3~3.5㎜、無毛、先は切形。雌小花の冠毛は白色、長さ9~12㎜、細かい剛毛に覆われる。雄小花の冠毛は少なく、長さ約7㎜、剛毛に覆われる。花期は6~7月。
7 Petasites tricholobus Franch. モンジュブキ
中国、インド、ネパール、ブータン、ベトナム原産。中国名は毛裂蜂斗菜 mao lie feng dou cai。道端、谷の小川のほとりに生える。
雌雄異株。 根茎は短く、多数のひげ根があり、薄くくも毛状の綿毛(羊毛状毛)がある。花茎は春先に根茎から出る。雌の合成花序の茎は高さ27~60㎝、鱗状葉をもち、苞葉は卵状披針形、長さ3~4㎝。根生葉は長い葉柄があり、葉身は広腎状心形、長さ2~8㎝、両面とも白色の羊毛状毛があり、または後に±無毛になり、掌状脈があり、縁には細かい鋸歯があり、先端が軟骨性の点状の歯がある。雄頭花は頂生の散房花序または円錐花序につく。花冠は筒状、裂片は披針形。花柱は花冠を越え、柱頭は頭状、わずかに分枝する。 雌頭花は頂生の集散花序状の円錐花序に密につき、直径8~12㎜。花序柄は長さ1~2.5(~8)㎝、披針形の苞葉を1個~少数もつ。総苞は鐘形、長さ10~12㎜。総苞片は単列、10~12個、披針形または披針状長円形、長さ約7mm、副萼がある。花冠は先端が 4~5裂し、裂片は不等、糸状または錐形。花柱は花冠を超え、柱頭は2分岐。痩果は円筒形、無毛。 雌小花には多数の細い剛毛からなる冠毛があり、雄花の冠毛はわずかで、花冠より短い。花期は4~6月。
8 ハイブリッド
品種) 'Cristata' , 'Okayama Nohshi B1 Gou' , 'Petzell' , 'Variegatus' (v)
Petasites
Petasites
Petasites
Petasites pyrenaicus (L.) G.Lopez
根茎は地中を這い、地中に枝を伸ばし、膜状の惰円形の鱗片があり、多くのひげ根をつける。葉は花後に出る。根出葉は長柄があり、長さ15~30㎝、幅15~30㎝の円形~腎円形、紙質、基部は心形。葉は幅が15~30㎝の腎円形、縁に細かい歯がある。葉表は緑色、幼時は縮れ毛があり、葉裏はクモ毛状、後に無毛。長さ60㎝ほどになる中空の葉柄が食用となる。若い花茎がフキノトウである。花茎は高さ15~30㎝、中空、縦肋があり、基部の直径7~10㎜、単一、濃くまたは疎らに褐色の軟毛がある。花茎の葉は苞状、長さ3~8㎝、長楕円形~卵状長惰円形、脈は平行、先は鈍形。雌雄異株。雄花茎(male scape)は高さ10~25㎝、茎頂の散房花序に密に20~30個の均質の頭花をつける。頭花は総苞が狭い長楕円形、長さ約6㎜、幅7~8(10)㎜、基部に先の尖った披針形の苞をつけ、総苞片は2列、ほぼ同形、無毛、鈍頭。小花はすべて筒状、雄性・不稔の両性花。花冠は白色~黄白色、長さ7~7.5㎜、筒部は長さ約4.5㎜、裂片はほぼ平開する。葯は黄白色、基部が鈍角、5個が合着して葯筒になり、こん棒状の花柱を葯筒から突き出し、花冠から高く突き出る。花柱が葯筒の間を伸びるときに白色又は黄色の花粉を花柱に集めてしまう。柱頭の下に小さな環があり、先端は2分岐するが先が開かない。雌花茎(female scape )は高さ15~20㎝、密に苞状の葉をつけ、花後は45~70㎝にもなる。頭花が散房花序に密につき、まれに分枝する。頭花は均質、多数の小花がつく。小花は雌性、花冠は白色、線形、長さ6.5~7.5㎜、先は斜めの切形。柱頭は明瞭に花冠から突き出て、頭部は2分岐して開き、細く、乳頭状。原色野草観察図鑑の解説では、雌花茎の頭花の小花は雌花だけでなく、雄花茎の雄花と似た小花(花粉を出さない両性花)が小数混じるとされている。雌花は花冠が細い管状、白色~帯紫色、花柱の先が開く。両性小花は花冠が雄花と似ているが、葯筒は退化して褐色であり、花粉をつくらない。痩果は長さ約3.5㎜、円筒形、無毛。冠毛は多数つき、白色、長さ約12㎜。2n=58 , 87。(Flora of Chinaなど)
しかし、頭花に花粉を出さないと思われる両性花だけのものや、小数の雌小花が混じるだけのものがあった。雄花茎の頭花に少数の雌花が混じることもあるとの報告もあり、これに一致するものである。これらの雌小花は果実のできる雌花茎の小花と比べ、子房が短く、花冠から突き出る花柱も短い。
観察した雄花茎(雌花をもつ)は次のとおり。
この株は果実を全く作らない。頭花は散房花序に多数つき、下部では分枝した枝先につく。花茎の葉は先が鈍形、苞は鋭形。小花柄は長さ7~20㎜、苞が4~9個程度つき、腺毛がある。総苞は長さ8~12㎜、直径6~10㎜、鐘形、総苞片や苞の基部に曲がったクモ毛がある。総苞片は2列、腺毛がある。1頭花の雌小花は5個/全小花46個(6/36個の場合もあった)、花冠が線形、幅約0.25㎜、花柱は白色、先が2裂して開き線形、紫色を帯び、花冠から突き出るものとほとんど突き出ないものがある。花冠の幅が中間的なものが他に2個あり、花冠幅0.5㎜の1個は花冠の先がやや斜め切形でごく浅く5裂し、葯筒はなく、花柱の先は細く、雌小花に近い。花冠幅1㎜の1個は花冠の先が浅く5裂し、先端が紫色を帯び、やや短い淡褐色の葯筒が内部にあり、花柱の先は棍棒形、両性花に近い。両性花は39個/全小花46個中あり、幅1.5~1.8㎜、葯筒が全て淡褐色、花粉は認められない。花柱の先に環があり、その先の柱頭に割れ目があるが、普通、離れず、円錐状、白色、古くなると褐色になり2分岐する。他の頭花では左右の柱頭部分に1個所ずつ点状に紫色になる小花がわずかにあった。
フキ属
family Asteraceae - genus Petasites多年草。類雌雄混株(subdioecious)。根茎をもち、茎は丈夫、節型、又は少なくとも下部で上部。根生葉は長い葉柄がある。葉身は広心形、又は腎状心形、縁は切れ込むか又は広く、分裂し、平行又は2又分裂。茎葉は苞形、無柄、類抱茎。頭花は放射状頭花(radiate)、円盤型頭花(disciform)、中心小花頭花(discoid )、異形配偶又は同形配偶。総苞は鐘形、基部に小苞をもつ。総苞片は1~5列、等長。花托は平ら、無毛、盾状。雌頭花の小花は稔性、花冠は糸状、先は斜めの切形又は±不明瞭な放射状又は舌部は長い。機能的に雄性の小花は花冠が筒状、5歯をもち、葯は全縁又は基部が鈍形、又はまれに、短い矛形。花柱は先がこん棒形。2分岐。雌小花の花柱は糸状、2分岐。痩果は円筒形、無毛、うねがある。冠毛は多数の剛毛であり、白色。
世界に約19種があり、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカに分布する。英名はbutterbur。
フキ属の主な種と園芸品種
1 Petasites frigidus (L.) Fr. ペタシテス・フリジドゥスロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はArctic butterbur , Arctic sweet-coltsfoot , northern sweet-coltsfoot。
高さ10~60(~120)cm。根茎は多くの分枝を持ち、匍匐性で、しばしば長命で広がりのあるクローンを形成する。根生葉は葉身が主に、腎形~円状心形~心形~卵形~三角形、またはやじり形、縁は全縁~粗い歯状~波状、または浅く~深く羽状掌状または掌状に切れ込み、裂片は鈍形~鋭形、しばしば再裂または歯があり、上面に密に羊毛状毛があるかまたは綿毛があり、無毛になるかまたは無毛。雄性の頭花は2~53個(周辺小花は0または1~70個、花柱をもち不稔、花冠の小舌は長さ1.1~12mm。中心小花は11~78個、機能的に雄性、花柱の枝は長さ0~2.3mm、パピラまたは毛がある)。雌性の頭花は5~60個(周辺小花は30~139個、雌性で稔性、花冠の小舌は長さ0.6~6.3mm、中心小花は1~12個、機能的に雄性、花柱の枝は長さ0~2.3mm、パピラまたは毛がある)。総苞片は雄性では長さ3.6~12.8㎜×幅1~4.4mm、雌性では長さ1~9.5㎜×幅0.7~3.3㎜縁は全縁又は鋸歯縁。痩果は長さ1.7~3.5㎜。冠毛 (最も長い、雌性の頭花)は長さ7~17.3㎜。
4変種が北アメリカ、ユーラシアにある。
1-1 Petasites frigidus var. palmatus (Aiton) Cronquist
北アメリカ原産。英名はwestern sweet-coltsfoot , Sweet Butterbur。 湿気の多い乱れた地域、川岸、草の生えた低い湿った土地(fens)、湿地、道端の溝や堤防、伐採道路、湿った森林に生える。
根生葉;葉身は掌状脈、円形~心形~腎形、長さ2~40㎝×幅4~50㎝、縁は掌状分裂(1次裂片は5~11個、披針形~長円形~楔形、基部までの半分以上、切れ込み、ときに2次裂片は0~13個、縁は全縁または歯状、歯は各側に52個まで)、上面および下面は無毛または羊毛状毛があり、ときに無毛になる。雄頭花は4~32個、周辺小花(または雌性)は5~70個、花冠の小舌は無いかまたは長さ0.1~6.3㎜。中心小花の花柱の枝は長さ0~1.7㎜。 雌頭花は8~42個、周辺小花(または雌性)は51~125個、花冠の小舌は無いか、または長さ0.1~6.3㎜。中心小花は花冠の裂片が長さ0.5~2.9㎜、花柱の枝は長さ0~0.8㎜、パピラまたは毛がある。冠毛(雌頭花)は長さ11.8㎜以下。2n=60, 61, 62。花期は早春。
品種) 'Golden Palms'
2 Petasites formosanus Kitam. タイワンブキ 台湾蕗
台湾原産。中国名は台湾蜂斗菜 tai wan feng dou cai。標高1500~2500mの山地の草原に生える。
根茎は長く這い、直径約1㎝、ひげ根が多数つく。茎は花茎状、数本、束生、直立し、高さ25~30㎝、単純、密に褐色の短毛があり、クモ毛状の羊毛状毛がある。根生葉は長い葉柄があり、葉柄は長さ15~30㎝、基部は幅広くなり、無毛、葉身は緑色、心形~腎形、長さ5~8㎝×幅7~12㎝、下面にはまばらにクモ毛があり、特に脈上にあり、基部は短く軟毛があり、上面には短毛があり、基部に掌状脈があり、より厚く、基部は深くまたはわずかに心形で、縁には微点状の歯があり、先は円形。茎葉は無柄、苞状、楕円状披針形または長円形、まれに卵状長円形、長さ2~4(~6)㎝×幅1~1.8㎝、密にクモ毛があり、平行脈があり、基部はほぼ抱茎、縁は全縁、先は鋭形または尖鋭形。 頭花は多数、円錐花序状の合成花序につく。雄頭花の合成花序は幅8~10㎝、雌頭花の合成花序は幅7~8㎝。花序柄は長さ5~20㎜、細く、短い褐色の軟毛がある。苞は2~5個つき、線形または線状披針形、長さ4~5㎜。総苞は鐘形、長さ8~9㎜×幅10~14㎜。総苞片は1列、乾燥すると紫色、長円形または長円状披針形、3~4本の脈があり、先は鋭形または尖鋭形、まばらに微軟毛がある。雄頭花の小花は、ほとんどまたは完全に雄性であり、花冠は筒状、長さ7~10㎜、拡大部は鐘状漏斗形、5裂し、裂片は卵形、長さ1~1.5㎜。葯は基部が鈍形。花柱は上部で広がり、柱頭の下で2裂し、パピラがある。雌小花の花冠は糸状、長さ8~9㎜、先は不規則に4裂し、裂片は線形、不等、長さ約2.5㎜、花柱は糸状、花冠を超え、先は2裂する。雌頭花の雄の小花は少数。花序柄は長さ7~15㎜、丈夫。痩果は円筒形、無毛。冠毛は多数の毛細管のような剛毛であり、白色、長さ約6㎜。花期は5月。
3 Petasites pyrenaicus (L.) G. Lopez ニオイカントウ 匂款冬
synonym Petasites fragrans (Vill.) C.Presl
ヨーロッパ(イタリア、ギリシャ)、アフリカ(アルジェリア、チュニジア)原産。英名はsweet-coltsfoot , winter-heliotrope。別名はウインターヘリオトロープ。日本へは昭和初期に渡来した。
多年草、高さ10~30(40)cm、根茎があり、雌雄異株(ビクトリア州では雄のみ見られる)。葉はほぼ円形~腎形、長さ5~20㎝×幅5~20㎝、上面は濃緑色で無毛、下面は淡色で軟毛があり、基部は心形、縁には鋸歯がある。葉柄は長さ10~30cm。頭花は6~20個つき、直径5~10㎜。花茎は長さ10~40㎝、中空、2~7枚の鱗片状の葉があり、腺毛がある。小苞は2~6個、線状披針形、長さ3~8㎜。総苞片は披針形、長さ7~12㎜、特に基部に腺毛がある。小花は多数、わずかに総苞を超え、バニラの香りがする。中心小花は5深裂し、帯白色、長さ4~6㎜。周辺小花は舌状、ピンク色または帯紫色。痩果は長さ1.5~2㎜。冠毛は長さ4~8㎜、白色。花期は1~6月(オーストラリアでは6~8月)。
4 Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. フキ 蕗
日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は蜂斗菜 feng dou cai。英名はJapanese sweet coltsfoot, butterbur。
多年草。高さ25~70㎝。根茎は地中を這い、地中に枝を伸ばし、膜状の惰円形の鱗片があり、多くのひげ根をつける。葉は花後に出る。根出葉は長柄があり、長さ15~30㎝、幅15~30㎝の円形~腎円形、紙質、基部は心形。葉は幅が15~30㎝の腎円形、縁に細かい歯がある。葉表は緑色、幼時は縮れ毛があり、葉裏はクモ毛状、後に無毛。長さ60㎝ほどになる中空の葉柄が食用となる。若い花茎がフキノトウである。花茎は高さ15~30㎝、中空、縦肋があり、基部の直径7~10㎜、単一、濃くまたは疎らに褐色の軟毛がある。花茎の葉は苞状、長さ3~8㎝、長楕円形~卵状長惰円形、脈は平行、先は鈍形。雌雄異株。雄花茎(male scape)は高さ10~25㎝、茎頂の散房花序に密に20~30個の均質の頭花をつける。頭花は総苞が狭い長楕円形、長さ約6㎜、幅7~8(10)㎜、基部に先の尖った披針形の苞をつけ、総苞片は2列、ほぼ同形、無毛、鈍頭。小花はすべて筒状、雄性・不稔の両性花。花冠は白色~黄白色、長さ7~7.5㎜、筒部は長さ約4.5㎜、裂片はほぼ平開する。葯は黄白色、基部が鈍角、5個が合着して葯筒になり、こん棒状の花柱を葯筒から突き出し、花冠から高く突き出る。花柱が葯筒の間を伸びるときに白色又は黄色の花粉を花柱に集めてしまう。柱頭の下に小さな環があり、先端は2分岐するが先が開かない。雌花茎(female scape )は高さ15~20㎝、密に苞状の葉をつけ、花後は45~70㎝にもなる。頭花が散房花序に密につき、まれに分枝する。頭花は均質、多数の小花がつく。小花は雌性、花冠は白色、線形、長さ6.5~7.5㎜、先は斜めの切形。柱頭は明瞭に花冠から突き出て、頭部は2分岐して開き、細く、乳頭状。原色野草観察図鑑の解説では、雌花茎の頭花の小花は雌花だけでなく、雄花茎の雄花と似た小花(花粉を出さない両性花)が小数混じるとされている。雌花は花冠が細い管状、白色~帯紫色、花柱の先が開く。両性小花は花冠が雄花と似ているが、葯筒は退化して褐色であり、花粉をつくらない。痩果は長さ約3.5㎜、円筒形、無毛。冠毛は多数つき、白色、長さ約12㎜。2n=58 , 87。花期は3~5月。
4-1 Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. f. purpurascens Makino ベニブキ 紅蕗
日本(本州、四国、九州)に分布する。別名はムラサキブキ。多年草。フキの花柱が紫色を帯びるもの。
4-2 Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. giganteus (G.Nicholson) Kitam. アキタブキ 秋田蕗
synonym Petasites amplus Kitam.synonym Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. var. giganteus G.Nicholson
栽培種。全体に大きい。現在、栽培されている品種は「愛知わせ」といわれる大型のものがほとんどである。これは雌株だけで雄株ができない。雌雄異株。雄株の雄花茎は雌株の雌花茎より低く、花が普通、黄色を帯びている。雌花茎の花は白色~帯紫色。品種) 'Nishiki-buki' (v) , 'Variegatus'
4-3 Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. japonicus f. glabrus Sugim. オカブキ
伊豆半島植物誌[J. Geobot. 7: 130 (1958)]。5 Petasites rubellus (J.F.Gmel.) Toman トウブキ 唐蕗
synonym Petasites saxatilis (Turcz.) Kom.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は长白蜂斗菜 chang bai feng dou cai。標高1800~2800mの高山地域、隣接する森林、森林限界に生える。
根茎は地を這い(repent)、細く、ひげ根がある。茎は単生、直立し、高さ5~25㎝、単純、上部にはク毛がある。根生葉は小さく、長い葉柄があり、葉柄は長さ3~10㎝、密にパリパリの毛(crisped-pubescent)があり、基部はわずかに幅が広がる。葉身は下面が淡緑色、上面は緑色、腎形または腎状心形、長さ3~5.5㎝×幅(4~)5~9㎝、厚い紙質、葉柄と特に下面の葉脈に短く太い毛があり、基部はわずかに心形、縁には鋭鋸歯があり 、歯は凹形、葉先は円形。茎葉は鱗片状、卵状披針形、長さ1.5~2㎝×幅0.5~1㎝、無毛、縁に短い白色の縁毛があり、脈は平行、基部は抱茎、先は鈍形またはわずかに鋭形。頭花は6~9個、散房花序ににつく。花序柄は長さ1~4(~6)㎝、細く、線形の小苞がある。 総苞は円錐形、長さ8~10㎜×幅5~10㎜。総苞片は2列、ほぼ等長、狭長円形、幅1~1.5㎜、無毛又はほぼ無毛、先は鈍形。 雄小花は少なく、不稔。花冠は黄色、長さ約9㎜、筒部は長さ3.5~4㎜、拡大部は鐘形、5歯があり、裂片は卵状長円形。花柱は基部で2裂し、柱頭の枝は棍棒形、先は鋭形、微軟毛がある。雌小花は白色、長さ6~7㎜、短く放射状、先に2~3個の小歯がある。痩果は長円形、長さ3~3.5㎜、先は切形、基部が狭くなる。冠毛は多数の細い剛毛であり、白色、長さ9~11㎜。花期と果期は5~7月。
6 Petasites tatewakianus Kitam. アイヌブキ
中国、ロシア原産。中国名は掌叶蜂斗菜 zhang ye feng dou cai。別名はポロナイブキ。川や小川の森の砂と石の土手に生え、巨大な茂みを形成する。
根茎は長く、匍匐性で、長さ4~10mm。 雄小花の花茎は高さ約50㎝、雌小花の花茎は高さ50㎝以上、全体にパリパリしたくも毛がある。小苞は無柄、卵状長円形、長さ4~4.5㎝×幅1.5~1.6㎝、密にパリパリの毛があり、平行脈があり、縁は全縁、先は鈍形。上部の苞は長円形、未発達。葉はすべて根生葉、長い葉柄があり、葉柄は長さ20~30㎝、最初はパリパリした絨毛があり、無毛になる。葉身は上面が緑色、腎形または円状腎形、長さ19~23㎝×幅20~40㎝、またはより幅が広く、掌状に分裂する(中間までではない)。裂片は7~9個、くさび形、頂裂片は普通、3裂し、点状の歯があり、下面は密に白いパリパリの毛があり、毛は細く、上面はパリパリの微軟毛がある。雄頭花は散房花序または円錐花序になる。花序柄は長さ4~8㎝。雄頭花の合成花序は長さ約40㎝、異種(heterogeneous)。総苞は約・長さ7㎜×幅10~14mm、雌小花は多数、糸状、長さ約6㎜、先は切形、花柱は長さ約8㎜、2分岐する。雄小花は長さ約6.5㎜、筒部は狭く、長さ約3.5㎜。雌頭花は同種(homogeneous)または異種(heterogeneous)である。周辺小花は雌性、中心小花は雄性、帯紫色または白色。総苞は半球形、約・長さ10㎜×幅10㎜、基部に線状披針形の苞がある。総苞片は1列、覆瓦状、狭長円形、パリパリの毛があり、先は鈍形。雌小花は稔性、糸状、長さ約10mm、小舌は長さ約1㎜、花柱は2分岐。雄小花は花冠が筒状、長さ約10.5㎜、筒部は狭く長さ約6㎜、裂片は長さ約3㎜。葯は基部で2裂。花糸は節状(nodiform)に幅が広くなる。花柱は花冠をわずかに超え、先はこん棒形に広がり、柱頭の2分岐の下に小さな輪があり、微軟毛がある。 痩果は円筒形、長さ3~3.5㎜、無毛、先は切形。雌小花の冠毛は白色、長さ9~12㎜、細かい剛毛に覆われる。雄小花の冠毛は少なく、長さ約7㎜、剛毛に覆われる。花期は6~7月。
7 Petasites tricholobus Franch. モンジュブキ
中国、インド、ネパール、ブータン、ベトナム原産。中国名は毛裂蜂斗菜 mao lie feng dou cai。道端、谷の小川のほとりに生える。
雌雄異株。 根茎は短く、多数のひげ根があり、薄くくも毛状の綿毛(羊毛状毛)がある。花茎は春先に根茎から出る。雌の合成花序の茎は高さ27~60㎝、鱗状葉をもち、苞葉は卵状披針形、長さ3~4㎝。根生葉は長い葉柄があり、葉身は広腎状心形、長さ2~8㎝、両面とも白色の羊毛状毛があり、または後に±無毛になり、掌状脈があり、縁には細かい鋸歯があり、先端が軟骨性の点状の歯がある。雄頭花は頂生の散房花序または円錐花序につく。花冠は筒状、裂片は披針形。花柱は花冠を越え、柱頭は頭状、わずかに分枝する。 雌頭花は頂生の集散花序状の円錐花序に密につき、直径8~12㎜。花序柄は長さ1~2.5(~8)㎝、披針形の苞葉を1個~少数もつ。総苞は鐘形、長さ10~12㎜。総苞片は単列、10~12個、披針形または披針状長円形、長さ約7mm、副萼がある。花冠は先端が 4~5裂し、裂片は不等、糸状または錐形。花柱は花冠を超え、柱頭は2分岐。痩果は円筒形、無毛。 雌小花には多数の細い剛毛からなる冠毛があり、雄花の冠毛はわずかで、花冠より短い。花期は4~6月。
8 ハイブリッド
品種) 'Cristata' , 'Okayama Nohshi B1 Gou' , 'Petzell' , 'Variegatus' (v)
参考
1) GRINPetasites
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=9153
2) Kewscience Petasites
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329075-2
3)Flora of ChinaPetasites
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124686
4)Flora of VictoriaPetasites pyrenaicus (L.) G.Lopez
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/6de722dd-acff-40d5-8377-a92bd14be7b0