ホタルサイコ 蛍柴胡

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae  ミシマサイコ属

学 名 Bupleurum longeradiatum Turcz. var. elatius (Koso-Pol.) Kitag.

 synonym Bupleurum longeradiatum Turczaninow var. breviradiatum Fr. Schmidt f. elatius Koso-Poljansky

 synonym Bupleurum longeradiatum Turczaninow f. elatius (Koso・Poljansky) Hara

  synonym Bupleurum longeradiatum Turcz. var. breviradiatum (non Fr. Schmidt) auct.

 synonym Bupleurum sachalinense (non Fr. Schmidt) auct.
 synonym  Bupleurum longiradiatum Turcz.  (広義)
ホタルサイコ花
ホタルサイコ小総苞片
ホタルサイコ葉
ホタルサイコ
花 期 7~8月
高 さ 50~150㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の草原、林縁
分 布 在来種 本州、四国、九州
撮 影 美ケ原高原  09.8.21
POWOではオオホタルサイコは2変種とし、狭義のホタルサイコ(var. elatius)は記載されず、ホタルサイコ(var. sachalinense=B. sachalinense)、コガネサイコ(var. shikotanense=B. shikotanense)は別種としている。ホタルサイコにエゾホタルサイコを含めている。YListではホタルサイコにオオホタルサイコ、エゾホタルサイコを含め、広義にBupleurum longeradiatumをホタルサイコとし、オオホタルサイコ(var. longeradiatum)、ホタルサイコ(var. elatius)、エゾホタルサイコ(var. sachalinense)、コガネサイコ(var. shikotanense)をその変種としている。学名はYListに従った。
【Bupleurum longeradiatumとBupleurum sachalinense)の区別】

 小花柄は常に長く、花期では長さ(2)4~5㎜、果期では10~15㎜に伸長する(var. breviradiatum Fr. Schmidtを除く)。小花柄の小苞片は披針形~楕円状披針形で、短く、長さ1~2.5(3)㎜、幅1㎜である。  ……………… ………………………………………Bupleurum longeradiatum Turcz.

 小花柄はより短く、果期に於ても伸長しない。小花柄の小苞片はより長く、広く、長さ4㎜、幅2~2.5㎜で、卵形~楕円形、まれに広披針形である。…………………………………Bupleurum sachalinense Fr. Schm.

【Flora of Chinaの区別】

 高さ80~150㎝。大散形花序の柄は通常長さ25~40㎜。果実は暗褐色。…………………………………var. longeradiatum

 高さ50~80㎝。大散形花序の柄は短く、長さ10~20㎜。果実は赤褐色。…………………………………var. breviradiatum

【ホタルサイコの解説】
 POWOではBupleurum sachalinenseにエゾホタルサイコとホタルサイコを含めているが、YListではホタルサイコをBupleurum longeradiatumの変種 var. elatius とし、エゾホタルサイコはvar. sachalinenseとしている。
 日本(本州、四国、九州)に分布する。山地の草原、林縁に生える。
 多年草。株立になり高さ50~150㎝。全体に無毛で、茎は直立し、上部で枝分かれする。根出葉は7~12㎝の葉柄があり、葉身は長楕円形、長さ8~12㎝×幅2~3cm、縁は全縁、葉脈は平行脈、先は鋭形、基部は狭いくさび形。茎葉は互生し、無柄、下部では倒披針形、上部のものは楕円形、基部は拡がって抱茎、上面は緑色、下面はやや白色を帯びる。花は頂生の複散形花序につき、花は小さく、黄色の5弁花、直径約3㎜。総苞片や小総苞片は狭楕円形、小総苞片は小花柄より短い。果実は長さ3.5~4㎜の長楕円形、褐色に熟す。花期は7~8月。

エゾホタルサイコ(var. sachalinense)類の分類


 ホタルサイコ(var. elatius)、コガネサイコ(var. shikotanense)との比較
 Bupleurum sachalinense Fr. Schmidt は樺太、ウスリー、北海道等に分布し、広江氏、原寛氏等よってエゾホタルサイコとされた。ホタルサイコとは一応分けられている。本種はホタルサイコに比して丈が高く、全体剛直で、大散形花序の柄(撒梗)の数が多く20以上に及ぶものもあり、小総苞片も比較的大きく、本州産のものとは大分異なるのでオオホタルサイコの亜種(または変種)とされた。POWOでは別種としている。
Key to the varieties of Bupleurum longeradiatum subsp. sachalinense

A. 小花柄は果時に長さ10~15㎜、小苞は披針形、長さ1~2.5(3) ㎜ ...........................................................var. longiradiatum

A. 小花柄は果時に長さ4~5(~6)㎜。花弁は淡黄色。

 B. 小苞は卵形、長さ2.5~5㎜、花より長い ..........................................................var. sachalinense

 B. 小苞は狭卵形、長さ1.5~2㎜、花と同長または短い ..........................................................var. elatius

A. 小花柄は果時に長さ1.5~2㎜。花弁は薄黄色 .........................................................var. shikotanense


 オオホタルサイコ var. longiradiatum は北海道、本州、九州、朝鮮、中国、モンゴル、ロシアに分布する。総苞片と小総苞片は細くて短い。中国名は大叶柴胡 (da ye chai hu.)。
 エゾホタルサイコ var. sachalinense 北海道、中国(黒竜江省、遼寧省)、ロシアに分布し、全体に大きく、小総苞片が大きく、花柄より長い。中国名は短伞大叶柴胡 duan san da ye chai hu。
 同属のミシマサイコは葉の幅が狭く、茎を抱かない。