ミシマサイコ 三島柴胡
Flora of Mikawa
セリ科 Apiaceae ミシマサイコ属
中国名 | 长白柴胡 chang bai chai hu |
学 名 | Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. synonym Bupleurum komarovianum Lincz. synonym Bupleurum falcatum auct. non L. synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol. |
花 期 | 8~10月 |
高 さ | 30~70㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 日当たりの良い山野 |
分 布 | 在来種 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産 |
撮 影 | 比丘尼城址 04.9.11 |
根は漢方薬、柴胡(さいこ)といい、 中国の柴胡(chai hu)と同様に解熱剤などに用いられる。中国で柴胡(chai hu)となるのは主に2種であり、1種がオクミシマサイコ Bupleurum scorzonerifoliumである。朝鮮、中国、モンゴル、ロシアに分布し、中国名は红柴胡(hong chai hu)、根が紫褐色。もう1種のヒロハミシマサイコ Bupleurum chinense は中国に分布し、中国名は北柴胡(bei chai hu)、根が褐色。
日本原産のミシマサイコ Bupleurum stenophyllum も古くから使われ、かつては静岡県と神奈川県に産するものが最良品とされ、三島柴胡、鎌倉柴胡と呼ばれた。愛知県の絶滅危惧ⅠB類。ミシマサイコは中国のBupleurum komarovianum 长白柴胡 chang bai chai huと同種ともいわれる。
多年草、高さ30~70㎝。根は太く、細長い円錐形~円柱形、黄褐色、深いしわがある。全体に無毛。茎は細くて硬く、直立し、上部で分枝してジグザグに曲がる。葉は根生するか、茎に互生し、茎葉は無柄、根生葉には柄がある。葉身は単葉、長さ4~15㎝、幅0.5~15㎜の線形~広線形、全縁、硬く、両端が次第に細くなり、5~7本の平行脈がある。複散花序は小型。苞(総包片)は1~3個。小苞(小総包片)は5個、花柄より長い。小散形花序に花が5~10個つき、花は小さく、直径約2㎜、黄色。花弁は5個、先が内曲する。雄しべは5個。子房下位。果実は楕円形、長さ約3mm、褐色。2n=19,20,23,25,26(三島系),32。花期は8~10月。
多年草、まれに1年草、無毛。根茎は普通短く、木質。茎は互生または二又分枝、緑色または粉白色、基部は繊維状の鞘の残骸が有または無。葉は全縁、葉柄は鞘になる。葉身は膜質、草質、または革質で、普通、平行脈を持ち、基部は普通、葉柄に向かって先細になる。茎葉はしばしば無柄、茎を抱き、耳があるかまたは貫生(perfoliate:基部が茎を完全に包む)。花序は緩い複散形花序、頂生および側生。苞は数個、目立ち、しばしば最上部の葉に似る。大散形花序の枝(ray)は少数~多数。小苞は数個、目立つ。萼歯は廃れる。花弁は黄色、緑黄色、紫または帯紫色、長円形~円形、先は狭く内曲する。柱下体(stylopodium)は円錐形、低円錐形、または円盤形。花柱は短く、しばしば後屈する。果実は長円形~卵状長円形または楕円形で、わずかに側部が扁平。分果は断面で類五角形(まれに円形)。隆条は5本、糸状、明瞭または不明瞭。油管は各溝に1~3(~6)個、合成面に2~6(~8)個、ときに不明瞭。種子は表面が平坦。分果柄(carpophore)は基部まで2裂。
世界に約180種あり、北半球の温帯に広く分布し、南アフリカに1種(B. mundtii)がある。
synonym Bupleurum triradiatum Adams ex Hoffm. var. alpinum auct. non Rupr.
synonym Bupleurum triradiatum Adams ex Hoffm. var. ajanense (Regel) Koso-Pol.
synonym Bupleurum triradiatum auct. non Adams ex Hoffm.
北海道,本州北部(白神山地)、千島、サハリン、 オホーツク沿岸に分布する。
丈が低く、高さ5~15㎝。根出葉は狭いへら形で先は鈍いかやや尖る。小花序の柄は長さ0.5~2.5cmで、小総包は緑色。
2 Bupleurum angustissimum (Franch.) Kitag. ホソバノミシマサイコ 細葉の三島柴胡
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. angustissimum (Franch.) Y.H.Huang
中国原産。中国名は线叶柴胡 xian ye chai hu。
3 Bupleurum chinense DC. ヒロハミシマサイコ 広葉三島柴胡
synonym Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. var. kiusianum Kitag.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. stenophyllum Nakai f. kiusianum (Kitag.) Kitag.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. f. ensifolium (H.Wolff) Nakai
synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol. f. kiusianum (Kitag.) M.Hiroe
中国原産。北柴胡 bei chai hu。
4 Bupleurum euphorbioides Nakai タイゲキサイコ
朝鮮、中国原産。中国名は大苞柴胡 da bao chai hu。
5 Bupleurum falcatum L.
ヨーロッパ原産。英名はsickle-leaved hare's-ear , sickle hare's ear , sickle-leaf hare's ear。
多年草、高さ30~90(100)㎝。茎は節があり、基部は木質になる。根生葉は披針形(卵形~楕円形)、葉の上部は葉身の幅が広く、下部で狭くなり、葉柄に続く、葉脈は7本、先は鋭形、微突形。茎の中部と上部の葉は線形~披針形、上部ほど徐々に短く、かま形になり、脈は7~9本、基部はわずかに抱茎、先は尖鋭形。総苞片は1~3個、小さいか又は欠く。大散形花序の柄は5~8本。 小散形花序の小総苞片は5個、小さく、3脈があり、花時の小散形花序より短い。花柄(pedicel)は果実より短い。花は黄色。果実は長円形、長さ3~4mm、褐色。油管は各溝に3個。花期は7~9月。2n=16。
6 Bupleurum odontites L. クルマバサイコ
synonym Bupleurum fontanesii Guss.
synonym Bupleurum divaricatum Lam.
地中海沿岸地域原産。round-leaved thorough-wax , narrowleaf thorow wax 。別名チゴサイコ。Bupleurum fontannesiiは綴りの間違い。
日本で発見されたものはBupleurum fontanesiiと判別され、クルマバサイコと命名された。1年草。高さ50㎝以下。葉は線形、鎌状。苞は早落性。大散形花序の柄は5~7本。小総苞は多数つき、広披針形~卵形、花柄よりも長い。果実は長楕円形、長さ1.5~1.7㎜。隆条は甚だ細い。(神奈川県植物誌2001) 1年草、高さ30~80㎝。 全体的に無毛、緑色。 葉は線状披針形~狭い線形、長さ約20cm×幅約5㎜、先は長い尖鋭形、基部は狭くなり、葉柄がある。茎葉は多数、根生葉に似るが、無柄であるが貫生(perfoliate)ではない。花序柄は細い。総苞片は5~6個、披針形、尖鋭形、古くなるとガラス質の有窓(vitreo-fenestrate)または半透明になる。小総苞片は5~6個、披針形、基部で統合し、花や果実の長さの2~3倍の長さになる。大散形花序の柄(枝)は5~7本、開出またはまれに狭くなり、長さ20~30mm。花柄は糸状、ときに果実の長さの2~5倍の長さになる。花弁は長さ約0.8mm。果実は卵状楕円形、長さ約1㎜×幅0.5~0.7mm、広く、平滑、隆条は糸状。種子の表面は凹面。
7 Bupleurum kaoi T.S.Liu, C.Y.Chao et T.I.Chuang タイワンサイコ
台湾原産。中国名は台湾柴胡 tai wan chai hu。
8 Bupleurum lancifolium Hornem. ニセツキヌキサイコ
地中海沿岸地域原産。英名はlanceleaf thorow-wax , thorough-wax , spear-leaved Hare's Ear。
1年草、直立し、高さ30㎝以下、通常は約20cm、粉白色または黄緑色。茎はほぼ円柱形、基部近くから互生状に分枝する。下部の葉は長円状披針形、基部に向かって漸尖する。上部の葉は卵状披針形、先は鈍形で先端は鋭い尖端、貫生(perfoliate)。大散形花序の柄は2~6本。小散形花序は花が10~15個。苞は無い。小苞は5~6個、黄緑色、円状卵形、先は鋭く、短い尖鋭形、花時の花柄の長さの2倍の長さがある。果実は卵状球形、長さ2~3㎜、鋭い5隆条があり、溝に密に疣状の顆粒がある。花期および果期は4~5月。
9 Bupleurum latissimum Nakai タケシマサイコ
韓国原産。
10 Bupleurum longiradiatum Turcz. オオホタルサイコ 広義
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. f. elatius Koso-Pol.
synonym Bupleurum sachalinense auct. non F.Schmidt
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. var. breviradiatum auct. non F.Schmidt
日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は大叶柴胡 da ye chai hu 多年草、高さ(50~)80~150㎝。根茎は太く、分枝は少ない。茎は普通、1本、上部で多数、分枝し、基部に鞘の繊維状の残骸はない。葉は数個つき、根生葉の葉柄は長さ8~12㎝、帯紫色。葉身は広卵状楕円形または披針形、長さ8~17㎝×幅2.5~5(~8)㎝、9~11脈がある。中間の葉は無柄、葉身は卵形~狭卵形。上部の葉は無柄、葉身は広披針形、基部は心形、茎を抱き、先は尖鋭形。花序は多数分枝し、間隔が開いてつき、散形花序は直径3~10㎝。苞は1~5個、披針形、長さ2~10㎜×幅1~2㎜、不等長、黄緑色。大散形花序の柄は3~9本、長さ3~35㎜、不等長、非常に細い。小苞は5~6個、卵状披針形、長さ1.5~5㎜×幅0.5~1.2㎜、不等長。小散形花序は直径10~15㎜、花が5~16個つく。花柄は長さ4~8㎜、不等長、果時に長さ7~15㎜。花弁は黄色または紫色、短い円形、先にはノッチがある。柱下体は円錐形、暗黄色。果実は長円状楕円形、長さ4~7㎜×幅2~2.5㎜、粉白色。分果は断面がほぼ円形、隆条は不明瞭、油管は各溝に3~4個、合成面に4~6個、分果柄につく。花期および果期は8~10月。n=6。
10-1 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. longiradiatum オオホタルサイコ 大蛍柴胡
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. var. longiradiatum f. leveillei (H.Boissieu) Kitag.
日本(北海道、本州、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は大叶柴胡 da ye chai hu。モンゴル
高さ80~150㎝。上部の葉は長い卵形または広披針形、基部は心形で茎を抱く。大散形花序の柄は普通、長さ25~40㎜。果実は暗褐色、粉白色になる。
10-2 Bupleurum longiradiatum var. breviradiatum F. Schmidt ex Maximowicz エゾホタルサイコ 蝦夷蛍柴胡
synonym Bupleurum sachalinense F. Schmidt. [Kew Science , World Flora Online]
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. var. sachalinense (F.Schmidt) H.Boissieu [Ylist]
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. f. sachalinense (F.Schmidt) Nakai
日本(北海道)、朝鮮、中国(黒竜江省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は短伞大叶柴胡 duan san da ye chai hu
高さ50~80㎝。上部の葉は短く、厚い。花序柄は短い。大散形花序の枝(ray)は短く、長さ10~20㎜。果実は小さく、赤褐色。
10-3 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. elatius (Koso-Pol.) Kitag. ホタルサイコ 蛍柴胡
日本(本州、四国、九州)に分布する。山地の草原、林縁に生える。
多年草。高さ50~150㎝。全体に無毛で、茎は直立し、上部で枝分かれする。茎葉は無柄、基部は茎をしっかり抱き、幅2~4㎝の卵形~楕円形。根生葉には長柄があり、長楕円形。花は複散形花序につき、黄色の5弁花、直径約3㎜。総苞片や小総苞片は狭楕円形、小総苞片は小花柄より短い。果実は長さ3.5~4㎜の長楕円形。花期は7~8月。
10-4 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. pseudonipponicum Kitag. オオハクサンサイコ 大白山柴胡
本州(南アルプス)に分布。高山の草地に生える。
匐枝を出さず、小苞に3~7脈がある。
10-5 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. shikotanense (M.Hiroe) Ohwi コガネサイコ
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. subsp. shikotanense (M.Hiroe) Vorosch.
synonym Bupleurum shikotanense M.Hiroe [Kew Science]
北海道、南千島、樺太に分布する。全体にホタルサイコより小さい。小花柄が短い。Kew Scienceでは独立種としている。
11 Bupleurum nipponicum Koso-Pol. ハクサンサイコ 白山柴胡
日本固有種(本州中北部)。別名はトウゴクサイコ。亜高山帯から高山帯の開けた草地に生える。
多年草、高さ20~60㎝。全体に青白色を帯びる。根茎は細く伸び、匐枝の先から芽を出して繁殖する。茎は直立し、少数分枝する。根出葉と下部の葉は、長楕円形~へら形、長さ5~12㎝×幅1~1.5㎝、基部は細まり、縁は全縁、先は鋭形。茎の中部~上部の葉は、互生し、長卵形、長さ4~8㎝×幅1~2㎝、基部が広がり茎を抱き無柄、先は鋭形。花期には根出葉と茎の下部につく葉は、枯れて無い。茎頂および枝先端に複散形花序をつける。総苞片は1~3個つき、卵形~倒卵形、長さ4~12mm×幅2~7mm。小苞(小総苞片)は5~6個つき、卵形、先は鋭形、小散形花序より長い。花は小さく、黄色の5弁花。果実は長楕円形、油管はやや太い。花期は7~8月。
11-1 Bupleurum nipponicum Koso-Pol. f. stenolepis Kitag. シナノサイコ 信濃柴胡
本州中北部で見られる。基準種より葉は広く大きいが、苞や小苞は逆に細くて数が多い。
基準種より全ての葉は大きく広い。上部の葉は耳があり茎を抱き、長さ13.5㎝×幅4㎝。苞は大きく葉状、4~10個つき、不等長、披針状倒卵形、1~7脈があり、網状細脈があり、先は尖り、長さ0.2~1.3㎝×幅0.5~7.0mm。大散形花序の柄は4~11本、細い。小苞(小散形花序の小総苞片)は5~11個つき、より大きく、より狭く、わずかに膜質、線状錐形、狭披針形、または長円状楕円形、次第に鋭形または鋭形まれに鈍形、基部はくさび形、まれに円形、幅1.5㎜以下。
11-2 Bupleurum nipponicum Koso-Pol. var. yesoense (Nakai ex H.Hara) H.Hara エゾサイコ 蝦夷柴胡
synonym Bupleurum yesoense Nakai ex H.Hara
北海道の日高地方に分布。礫地に生える。別名はホソバノコガネサイコ。
葉は披針形で先が次第に細くなる。根生葉は長い柄があるが、茎につく葉は茎を抱く。小苞(小総苞片)は4~5個つき、長楕円形、花柄より長く、先は尖鋭形、星形に開出する。
12 Bupleurum quadriradiatum Kitag. フジワラサイコ 藤原柴胡
三重県(藤原岳~孫太尾根)に自生する。初めにヤセホタルサイコの名で発表された。
トカチサイコ (Bupleurum Yokoyamae Miyake & Tatewaki in Trans. Sapp. Nat. Hist. Soc. 15: 134 fig. 2 1938) に似た所もあるが、こまかい点では異っている。根茎は水平に伸び、茎は単立し、枝は少く、 葉は細長くて基部は半ば茎を抱き、 複散形花序は貧弱で、散梗(ray)は 4本のものが最も多く、極めて不等長であり、小総苞は5個あり、小さい。 ホタルサイコとはかなり隔った別種と考えられ、新学名がヤセホタルサイコとされた。(参考4)
Bupleurum longadiatum Turczaninowに似るが、全体的に細く、根茎が細く、茎が枝分かれしておらず、細長い半抱茎の葉が狭く、大散形花序の柄が少なく、普通4本で、ごく不等長で、完全に開出しない。小総苞片は常に5個で、等長。多年草、全体が非常に細く、無毛。根茎は長い円筒形で水平に這い、淡褐色、直径3~4mm、節から暗色のひげ根を出す。茎は単生細くて硬く、無毛、平滑な溝があり、葉が離れてつき、高さ1m以上になり、枝分かれし、枝分かれは緩く、直立する細い枝をもち、枝は長さ12㎝以下、短い小枝がある。葉はすべて草質、上部の葉は無柄で半抱茎、下部の葉は淡緑色。花時の根生葉は早落性、すぐに色あせる。下部の葉は狭倒披針状へら形、先は鋭形、微突形、基部は次第に狭くなり、基部の3脈は隆起して疑平行、長さ12㎝×幅15mm。中間の葉は披針状線形、先は次第に狭くなり、基部は広がり、長さ6.5~7.5㎝×幅9mm・以下、3対の脈があり、上部では先が狭披針状線形、長さ5.5㎝×幅8㎜・以下の先細になる。最上部の葉は小さく、披針形、先は次第に鋭くなり、長さ1~5㎝以下、幅5mm以下。頂部の散形花序は最も大きく、側花序は次第に小さくなる。大散形花序の柄は3~7本(ほとんどの場合4本)、非常に不等長、細いが硬く、細い、直立し、果時に直立開出して長くなり、長さ1.5~6.5㎝、糸状。苞は少数で短く、2~5個、錐形~狭楕円形、不等長、先に1~5脈があり、鋭形または徐々に鋭形、緑色の葉状、長さ0.7~9mm×幅1.5㎜以下。小散形花序は5~10柄があり、柄は無毛、糸状であるが堅く、長さ1~6mm。 小総苞片は普通、5個、等長で、緑色の葉状、狭い楕円状~長円状の披針形、先は鋭形~尖鋭形、基部は互いに合着し、3~4脈があり、長さが1.5~6mm。萼は廃れる。花弁は広倒卵形になり、鋭く内曲し、先は鋭く尖り、1脈があり、長さ1mm、 鮮黄色。花糸は糸状、無毛、長さ0.7mm。葯はほぼ円形、先が凹形、長さ0.4㎜。柱下体は凹み、平ら、無毛、褐色。花柱は2本、水平方向に長さ0.5mmが反曲する。果実は未熟、1個だけあり、長円形、無毛。
13 Bupleurum rotundifolium L. ツキヌキサイコ 突抜柴胡
synonym Bupleurum griffithii hort.
地中海沿岸地域原産。英名はHare's Ear , thorow-wax。観賞用に栽培され、流通名はブプレリューム。野生化したものが東京で採取されている。
茎葉は卵形~円形。果実と子房は平滑。大散形花序の柄は(2)3~8(11)本。果実が平滑。
一年草、高さ10~70(85)㎝。茎は草質、ほとんど枝分かれしない。根生葉は茎葉と異なり、微突形、主脈は6~30本、2次の細脈で接続され、縁に脈は無い。根生葉は長さ4~10㎝×幅2~5㎝、茎を抱き、長円形~卵状披針形、基部は漸尖し、花期の前に枯れる。茎葉は長さ1~6㎝×幅1~5㎝、卵形~ほぼ円形。散形花序は頂生および側生、互いに類似または側花序は小さく、大散形花序の柄は(2)3~8(11)本、長さ0.3~2㎝、ほぼ等長、ときに不等長、柔軟性がある。苞は無い。小総苞片(小苞)は4~5(6)個、長さ5~15mm×幅2.5~7(14)mm、ほぼ等長または不等長、卵形または卵状披針形、微突形、花や果実よりもはるかに長くて広い。花は5~15個つく。花弁は黄色、普通、暗い中間の帯は無い。果実は花柄が短く、長さ1.5~2mm。分果は長さ2.5~4mm×幅1~1.5mm、長円形または長円状楕円形、平滑、隆条は平滑で糸状。油管は不明瞭。2n=16。
品種) 'Decor' , 'Green Gold' , 'Griffiti'
14 Bupleurum scorzonerifolium Willd. オクミシマサイコ 奥三島柴胡
synonym Bupleurum falcatum L. var. scorzonerifolium (Willd.) Ledeb.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は红柴胡 hong chai hu。
多年草、高さ30~60cm。 直根は丈夫、暗赤褐色、枝分かれする。 茎は1~3本、屈曲性、大きく二又分枝し、基部は繊維状の鞘の残骸で覆われる。根生葉は線形、長さ6~16㎝×幅0.2~0.7㎝、厚い紙質、硬く、3~5脈があり、下面にに突出し、縁は白色、軟骨質で、基部はわずかに狭くなり、茎を抱く。 上部の葉は小さい。 散形花序は多数、直径1.2~4cm。苞は1~3個、錐形、長さ0.5~4mm×幅0.2~0.6mm、不等長、脱落性。大散形花序の柄は(3~)4~6(~8)本、長さ1~2㎝、非常に細く、広がる。小苞は5個、披針形、長さ2.5~4mm×幅0.5~1mm、小散形花序と同長またはわずかに超える。小散形花序は直径2~5mm、花が(6~)9~11(~15)個つく。花柄は長さ0.2~1mm。花弁は黄色。柱下体は低い円錐、暗黄色。果実は楕円形、暗褐色、長さ2.5~3mm×幅1.5~2mm、隆条は淡色、明瞭。油管は各溝に5~6個、合成面に4~6個。花期および果期は7~9月。n=6。
15 Bupleurum sibiricum De Vest ex Roem. et Schult. ダフリアサイコ
中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安柴胡 xing an chai hu。
16 Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. ミシマサイコ 三島柴胡
synonym Bupleurum scorzonerifolium auct. non Willd.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. stenophyllum Nakai
synonym Bupleurum komarovianum Lincz. [Flora of China]
synonym Bupleurum falcatum auct. non L.
synonym Bupleurum falcatum L. var. scorzonerifolium auct. non (Willd.) Ledeb.
synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol.
synonym Bupleurum chinense DC. var. octoradiatum sensu Kitag.
synonym Bupleurum chinense DC. var. komarovianum (Lincz.) T.N.Liou et Y.H.Huang
synonym Bupleurum falcatum Linnaeus subsp. komarovianum (O. A. Linczevski) Voroschilov.
synonym Bupleurum falcatum var. stenophyllum H.Wolff [GBIF]
synonym Bupleurum marginatum var. stenophyllum (H.Wolff) R.H.Shan & Y.Li [GBIF]
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は长白柴胡 chang bai chai hu。日当たりの良い山野に生える。愛知県の絶滅危惧ⅠB類。
サイコの類は漢方薬で根を解熱、鎮痛剤として用い、かつては静岡県と神奈川県に産するものが最良品とされ、三島柴胡、鎌倉柴胡と呼ばれた。
多年草、高さ30~70㎝。根は太く、細長い円錐形~円柱形、黄褐色、深いしわがある。全体に無毛。茎は細くて硬く、直立し、上部で分枝してジグザグに曲がる。葉は根生するか、茎に互生し、茎葉は無柄、根生葉には柄がある。葉身は単葉、長さ4~15㎝、幅0.5~15㎜の線形~広線形、全縁、硬く、両端が次第に細くなり、5~7本の平行脈がある。複散花序は小型。苞(総包片)は1~3個。小苞(小総包片)は5個、花柄より長い。小散形花序に花が5~10個つき、花は小さく、直径約2㎜、黄色。花弁は5個、先が内曲する。雄しべは5個。子房下位。果実は楕円形、長さ約3mm、褐色。2n=19,20,23,25,26(三島系),32。花期は8~10月。
Bupleurum stenophyllumはBupleurum komarovianumと同じとされることもある。Kew Scienceでは別種としている。GBIFではBupleurum marginatum var. stenophyllum を同種としている。これは中国、?ブータン、?ネパールに分布し、中国名は窄竹叶柴胡 zhai zhu ye chai hu。
(1) Bupleurum komarovianum Lincz.
日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は长白柴胡 chang bai chai hu。
多年草、高さ70~100㎝。根茎は短い木質の塊茎、暗褐色で、多くの繊維状の根が束生する。茎は数本、基部から分枝し、上部は屈曲して分枝し、基部に繊維状の鞘の残骸はない。根生葉と下部の葉は披針形または狭楕円形、長さ15~20㎝×幅1.6~2.5㎝、脈は7~9本、基部は先細になり、平らで幅の広い葉柄に続き、茎を抱き、下面で目立ち、先は尖鋭形で硬い尖端。中間の葉は長円状楕円形、長さ8~14㎝×幅1.5~3.5㎝。上部の葉は小さく、楕円形。散形花序は多数つく。頂部の散形花序は直径1.5~5㎝。苞は1~3個、または無く、線形、長さ1~7mm。大散形花序の柄は4~13本、長さ0.6~4㎝、不等頂。小苞は5個、線形、長さ2~3(~5)mm×幅0.5~1mm、小散形花序よりわずかに短いか等しい。小散形花序は直径5~10 mm、花が6~14個つく。花柄は長さ約2mm。花弁は明るい黄色。柱下体は低い円錐形、淡黄色。果実は楕円体、褐色、長さ2.8~3.2mm×幅2~2.2mm、先は円形。油管は各溝に(4~)5個、合成面に6~8個、若いときは明瞭、熟すと不明瞭。花期および果期は7~9月。2n=8(n=8)。(Flora of China:B. komarovianum)
(2) Bupleurum marginatum var. stenophyllum (H.Wolff) R.H.Shan & Y.Li
synonym Bupleurum falcatum var. stenophyllum H. Wolff
synonym Bupleurum falcatum f. stenophyllum (H. Wolff) P. K. Mukherjee & B. D. Naithani
synonym Bupleurum marginatum f. stenophyllum (H. Wolff) H. J. Chowdhery & Wadhwa
中国、?ブータン、?ネパール原産。中国名は窄竹叶柴胡 zhai zhu ye chai hu。
高さ25~60㎝。葉は狭く、長さ3~10㎝×幅0.3~0.6㎝、縁は狭く軟骨質。小苞は花柄より長い。花期は8~9月。果期は9~10月。n=7。
16-1 Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. var. obvallatum (Nakai) Kitag. イキノサイコ
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. stenophyllum Nakai f. obvallatum (Nakai) Kitag.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. obvallatum Nakai
synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol. f. obvallatum (Nakai) H.Hara
壱岐島の固有変種。
Bupleurum
Bupleurum
Bupleurum
三重県産ミシマサイコ属の一新種 ヤセホタルサイコ
山崎敬 レブンサイコについて
Bupleurum odontites L.
日本原産のミシマサイコ Bupleurum stenophyllum も古くから使われ、かつては静岡県と神奈川県に産するものが最良品とされ、三島柴胡、鎌倉柴胡と呼ばれた。愛知県の絶滅危惧ⅠB類。ミシマサイコは中国のBupleurum komarovianum 长白柴胡 chang bai chai huと同種ともいわれる。
多年草、高さ30~70㎝。根は太く、細長い円錐形~円柱形、黄褐色、深いしわがある。全体に無毛。茎は細くて硬く、直立し、上部で分枝してジグザグに曲がる。葉は根生するか、茎に互生し、茎葉は無柄、根生葉には柄がある。葉身は単葉、長さ4~15㎝、幅0.5~15㎜の線形~広線形、全縁、硬く、両端が次第に細くなり、5~7本の平行脈がある。複散花序は小型。苞(総包片)は1~3個。小苞(小総包片)は5個、花柄より長い。小散形花序に花が5~10個つき、花は小さく、直径約2㎜、黄色。花弁は5個、先が内曲する。雄しべは5個。子房下位。果実は楕円形、長さ約3mm、褐色。2n=19,20,23,25,26(三島系),32。花期は8~10月。
ミシマサイコ属
family Apiaceae - genus Bupleurum多年草、まれに1年草、無毛。根茎は普通短く、木質。茎は互生または二又分枝、緑色または粉白色、基部は繊維状の鞘の残骸が有または無。葉は全縁、葉柄は鞘になる。葉身は膜質、草質、または革質で、普通、平行脈を持ち、基部は普通、葉柄に向かって先細になる。茎葉はしばしば無柄、茎を抱き、耳があるかまたは貫生(perfoliate:基部が茎を完全に包む)。花序は緩い複散形花序、頂生および側生。苞は数個、目立ち、しばしば最上部の葉に似る。大散形花序の枝(ray)は少数~多数。小苞は数個、目立つ。萼歯は廃れる。花弁は黄色、緑黄色、紫または帯紫色、長円形~円形、先は狭く内曲する。柱下体(stylopodium)は円錐形、低円錐形、または円盤形。花柱は短く、しばしば後屈する。果実は長円形~卵状長円形または楕円形で、わずかに側部が扁平。分果は断面で類五角形(まれに円形)。隆条は5本、糸状、明瞭または不明瞭。油管は各溝に1~3(~6)個、合成面に2~6(~8)個、ときに不明瞭。種子は表面が平坦。分果柄(carpophore)は基部まで2裂。
世界に約180種あり、北半球の温帯に広く分布し、南アフリカに1種(B. mundtii)がある。
ミシマサイコ属の主な種と園芸品種
1 Bupleurum ajanense (Regel) Krasnob. レブンサイコ 礼文柴胡synonym Bupleurum triradiatum Adams ex Hoffm. var. alpinum auct. non Rupr.
synonym Bupleurum triradiatum Adams ex Hoffm. var. ajanense (Regel) Koso-Pol.
synonym Bupleurum triradiatum auct. non Adams ex Hoffm.
北海道,本州北部(白神山地)、千島、サハリン、 オホーツク沿岸に分布する。
丈が低く、高さ5~15㎝。根出葉は狭いへら形で先は鈍いかやや尖る。小花序の柄は長さ0.5~2.5cmで、小総包は緑色。
2 Bupleurum angustissimum (Franch.) Kitag. ホソバノミシマサイコ 細葉の三島柴胡
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. angustissimum (Franch.) Y.H.Huang
中国原産。中国名は线叶柴胡 xian ye chai hu。
3 Bupleurum chinense DC. ヒロハミシマサイコ 広葉三島柴胡
synonym Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. var. kiusianum Kitag.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. stenophyllum Nakai f. kiusianum (Kitag.) Kitag.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. f. ensifolium (H.Wolff) Nakai
synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol. f. kiusianum (Kitag.) M.Hiroe
中国原産。北柴胡 bei chai hu。
4 Bupleurum euphorbioides Nakai タイゲキサイコ
朝鮮、中国原産。中国名は大苞柴胡 da bao chai hu。
5 Bupleurum falcatum L.
ヨーロッパ原産。英名はsickle-leaved hare's-ear , sickle hare's ear , sickle-leaf hare's ear。
多年草、高さ30~90(100)㎝。茎は節があり、基部は木質になる。根生葉は披針形(卵形~楕円形)、葉の上部は葉身の幅が広く、下部で狭くなり、葉柄に続く、葉脈は7本、先は鋭形、微突形。茎の中部と上部の葉は線形~披針形、上部ほど徐々に短く、かま形になり、脈は7~9本、基部はわずかに抱茎、先は尖鋭形。総苞片は1~3個、小さいか又は欠く。大散形花序の柄は5~8本。 小散形花序の小総苞片は5個、小さく、3脈があり、花時の小散形花序より短い。花柄(pedicel)は果実より短い。花は黄色。果実は長円形、長さ3~4mm、褐色。油管は各溝に3個。花期は7~9月。2n=16。
6 Bupleurum odontites L. クルマバサイコ
synonym Bupleurum fontanesii Guss.
synonym Bupleurum divaricatum Lam.
地中海沿岸地域原産。round-leaved thorough-wax , narrowleaf thorow wax 。別名チゴサイコ。Bupleurum fontannesiiは綴りの間違い。
日本で発見されたものはBupleurum fontanesiiと判別され、クルマバサイコと命名された。1年草。高さ50㎝以下。葉は線形、鎌状。苞は早落性。大散形花序の柄は5~7本。小総苞は多数つき、広披針形~卵形、花柄よりも長い。果実は長楕円形、長さ1.5~1.7㎜。隆条は甚だ細い。(神奈川県植物誌2001) 1年草、高さ30~80㎝。 全体的に無毛、緑色。 葉は線状披針形~狭い線形、長さ約20cm×幅約5㎜、先は長い尖鋭形、基部は狭くなり、葉柄がある。茎葉は多数、根生葉に似るが、無柄であるが貫生(perfoliate)ではない。花序柄は細い。総苞片は5~6個、披針形、尖鋭形、古くなるとガラス質の有窓(vitreo-fenestrate)または半透明になる。小総苞片は5~6個、披針形、基部で統合し、花や果実の長さの2~3倍の長さになる。大散形花序の柄(枝)は5~7本、開出またはまれに狭くなり、長さ20~30mm。花柄は糸状、ときに果実の長さの2~5倍の長さになる。花弁は長さ約0.8mm。果実は卵状楕円形、長さ約1㎜×幅0.5~0.7mm、広く、平滑、隆条は糸状。種子の表面は凹面。
7 Bupleurum kaoi T.S.Liu, C.Y.Chao et T.I.Chuang タイワンサイコ
台湾原産。中国名は台湾柴胡 tai wan chai hu。
8 Bupleurum lancifolium Hornem. ニセツキヌキサイコ
地中海沿岸地域原産。英名はlanceleaf thorow-wax , thorough-wax , spear-leaved Hare's Ear。
1年草、直立し、高さ30㎝以下、通常は約20cm、粉白色または黄緑色。茎はほぼ円柱形、基部近くから互生状に分枝する。下部の葉は長円状披針形、基部に向かって漸尖する。上部の葉は卵状披針形、先は鈍形で先端は鋭い尖端、貫生(perfoliate)。大散形花序の柄は2~6本。小散形花序は花が10~15個。苞は無い。小苞は5~6個、黄緑色、円状卵形、先は鋭く、短い尖鋭形、花時の花柄の長さの2倍の長さがある。果実は卵状球形、長さ2~3㎜、鋭い5隆条があり、溝に密に疣状の顆粒がある。花期および果期は4~5月。
9 Bupleurum latissimum Nakai タケシマサイコ
韓国原産。
10 Bupleurum longiradiatum Turcz. オオホタルサイコ 広義
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. f. elatius Koso-Pol.
synonym Bupleurum sachalinense auct. non F.Schmidt
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. var. breviradiatum auct. non F.Schmidt
日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は大叶柴胡 da ye chai hu 多年草、高さ(50~)80~150㎝。根茎は太く、分枝は少ない。茎は普通、1本、上部で多数、分枝し、基部に鞘の繊維状の残骸はない。葉は数個つき、根生葉の葉柄は長さ8~12㎝、帯紫色。葉身は広卵状楕円形または披針形、長さ8~17㎝×幅2.5~5(~8)㎝、9~11脈がある。中間の葉は無柄、葉身は卵形~狭卵形。上部の葉は無柄、葉身は広披針形、基部は心形、茎を抱き、先は尖鋭形。花序は多数分枝し、間隔が開いてつき、散形花序は直径3~10㎝。苞は1~5個、披針形、長さ2~10㎜×幅1~2㎜、不等長、黄緑色。大散形花序の柄は3~9本、長さ3~35㎜、不等長、非常に細い。小苞は5~6個、卵状披針形、長さ1.5~5㎜×幅0.5~1.2㎜、不等長。小散形花序は直径10~15㎜、花が5~16個つく。花柄は長さ4~8㎜、不等長、果時に長さ7~15㎜。花弁は黄色または紫色、短い円形、先にはノッチがある。柱下体は円錐形、暗黄色。果実は長円状楕円形、長さ4~7㎜×幅2~2.5㎜、粉白色。分果は断面がほぼ円形、隆条は不明瞭、油管は各溝に3~4個、合成面に4~6個、分果柄につく。花期および果期は8~10月。n=6。
10-1 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. longiradiatum オオホタルサイコ 大蛍柴胡
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. var. longiradiatum f. leveillei (H.Boissieu) Kitag.
日本(北海道、本州、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は大叶柴胡 da ye chai hu。モンゴル
高さ80~150㎝。上部の葉は長い卵形または広披針形、基部は心形で茎を抱く。大散形花序の柄は普通、長さ25~40㎜。果実は暗褐色、粉白色になる。
10-2 Bupleurum longiradiatum var. breviradiatum F. Schmidt ex Maximowicz エゾホタルサイコ 蝦夷蛍柴胡
synonym Bupleurum sachalinense F. Schmidt. [Kew Science , World Flora Online]
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. var. sachalinense (F.Schmidt) H.Boissieu [Ylist]
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. f. sachalinense (F.Schmidt) Nakai
日本(北海道)、朝鮮、中国(黒竜江省、遼寧省)、ロシア原産。中国名は短伞大叶柴胡 duan san da ye chai hu
高さ50~80㎝。上部の葉は短く、厚い。花序柄は短い。大散形花序の枝(ray)は短く、長さ10~20㎜。果実は小さく、赤褐色。
10-3 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. elatius (Koso-Pol.) Kitag. ホタルサイコ 蛍柴胡
日本(本州、四国、九州)に分布する。山地の草原、林縁に生える。
多年草。高さ50~150㎝。全体に無毛で、茎は直立し、上部で枝分かれする。茎葉は無柄、基部は茎をしっかり抱き、幅2~4㎝の卵形~楕円形。根生葉には長柄があり、長楕円形。花は複散形花序につき、黄色の5弁花、直径約3㎜。総苞片や小総苞片は狭楕円形、小総苞片は小花柄より短い。果実は長さ3.5~4㎜の長楕円形。花期は7~8月。
10-4 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. pseudonipponicum Kitag. オオハクサンサイコ 大白山柴胡
本州(南アルプス)に分布。高山の草地に生える。
匐枝を出さず、小苞に3~7脈がある。
10-5 Bupleurum longiradiatum Turcz. var. shikotanense (M.Hiroe) Ohwi コガネサイコ
synonym Bupleurum longiradiatum Turcz. subsp. shikotanense (M.Hiroe) Vorosch.
synonym Bupleurum shikotanense M.Hiroe [Kew Science]
北海道、南千島、樺太に分布する。全体にホタルサイコより小さい。小花柄が短い。Kew Scienceでは独立種としている。
11 Bupleurum nipponicum Koso-Pol. ハクサンサイコ 白山柴胡
日本固有種(本州中北部)。別名はトウゴクサイコ。亜高山帯から高山帯の開けた草地に生える。
多年草、高さ20~60㎝。全体に青白色を帯びる。根茎は細く伸び、匐枝の先から芽を出して繁殖する。茎は直立し、少数分枝する。根出葉と下部の葉は、長楕円形~へら形、長さ5~12㎝×幅1~1.5㎝、基部は細まり、縁は全縁、先は鋭形。茎の中部~上部の葉は、互生し、長卵形、長さ4~8㎝×幅1~2㎝、基部が広がり茎を抱き無柄、先は鋭形。花期には根出葉と茎の下部につく葉は、枯れて無い。茎頂および枝先端に複散形花序をつける。総苞片は1~3個つき、卵形~倒卵形、長さ4~12mm×幅2~7mm。小苞(小総苞片)は5~6個つき、卵形、先は鋭形、小散形花序より長い。花は小さく、黄色の5弁花。果実は長楕円形、油管はやや太い。花期は7~8月。
11-1 Bupleurum nipponicum Koso-Pol. f. stenolepis Kitag. シナノサイコ 信濃柴胡
本州中北部で見られる。基準種より葉は広く大きいが、苞や小苞は逆に細くて数が多い。
基準種より全ての葉は大きく広い。上部の葉は耳があり茎を抱き、長さ13.5㎝×幅4㎝。苞は大きく葉状、4~10個つき、不等長、披針状倒卵形、1~7脈があり、網状細脈があり、先は尖り、長さ0.2~1.3㎝×幅0.5~7.0mm。大散形花序の柄は4~11本、細い。小苞(小散形花序の小総苞片)は5~11個つき、より大きく、より狭く、わずかに膜質、線状錐形、狭披針形、または長円状楕円形、次第に鋭形または鋭形まれに鈍形、基部はくさび形、まれに円形、幅1.5㎜以下。
11-2 Bupleurum nipponicum Koso-Pol. var. yesoense (Nakai ex H.Hara) H.Hara エゾサイコ 蝦夷柴胡
synonym Bupleurum yesoense Nakai ex H.Hara
北海道の日高地方に分布。礫地に生える。別名はホソバノコガネサイコ。
葉は披針形で先が次第に細くなる。根生葉は長い柄があるが、茎につく葉は茎を抱く。小苞(小総苞片)は4~5個つき、長楕円形、花柄より長く、先は尖鋭形、星形に開出する。
12 Bupleurum quadriradiatum Kitag. フジワラサイコ 藤原柴胡
三重県(藤原岳~孫太尾根)に自生する。初めにヤセホタルサイコの名で発表された。
トカチサイコ (Bupleurum Yokoyamae Miyake & Tatewaki in Trans. Sapp. Nat. Hist. Soc. 15: 134 fig. 2 1938) に似た所もあるが、こまかい点では異っている。根茎は水平に伸び、茎は単立し、枝は少く、 葉は細長くて基部は半ば茎を抱き、 複散形花序は貧弱で、散梗(ray)は 4本のものが最も多く、極めて不等長であり、小総苞は5個あり、小さい。 ホタルサイコとはかなり隔った別種と考えられ、新学名がヤセホタルサイコとされた。(参考4)
Bupleurum longadiatum Turczaninowに似るが、全体的に細く、根茎が細く、茎が枝分かれしておらず、細長い半抱茎の葉が狭く、大散形花序の柄が少なく、普通4本で、ごく不等長で、完全に開出しない。小総苞片は常に5個で、等長。多年草、全体が非常に細く、無毛。根茎は長い円筒形で水平に這い、淡褐色、直径3~4mm、節から暗色のひげ根を出す。茎は単生細くて硬く、無毛、平滑な溝があり、葉が離れてつき、高さ1m以上になり、枝分かれし、枝分かれは緩く、直立する細い枝をもち、枝は長さ12㎝以下、短い小枝がある。葉はすべて草質、上部の葉は無柄で半抱茎、下部の葉は淡緑色。花時の根生葉は早落性、すぐに色あせる。下部の葉は狭倒披針状へら形、先は鋭形、微突形、基部は次第に狭くなり、基部の3脈は隆起して疑平行、長さ12㎝×幅15mm。中間の葉は披針状線形、先は次第に狭くなり、基部は広がり、長さ6.5~7.5㎝×幅9mm・以下、3対の脈があり、上部では先が狭披針状線形、長さ5.5㎝×幅8㎜・以下の先細になる。最上部の葉は小さく、披針形、先は次第に鋭くなり、長さ1~5㎝以下、幅5mm以下。頂部の散形花序は最も大きく、側花序は次第に小さくなる。大散形花序の柄は3~7本(ほとんどの場合4本)、非常に不等長、細いが硬く、細い、直立し、果時に直立開出して長くなり、長さ1.5~6.5㎝、糸状。苞は少数で短く、2~5個、錐形~狭楕円形、不等長、先に1~5脈があり、鋭形または徐々に鋭形、緑色の葉状、長さ0.7~9mm×幅1.5㎜以下。小散形花序は5~10柄があり、柄は無毛、糸状であるが堅く、長さ1~6mm。 小総苞片は普通、5個、等長で、緑色の葉状、狭い楕円状~長円状の披針形、先は鋭形~尖鋭形、基部は互いに合着し、3~4脈があり、長さが1.5~6mm。萼は廃れる。花弁は広倒卵形になり、鋭く内曲し、先は鋭く尖り、1脈があり、長さ1mm、 鮮黄色。花糸は糸状、無毛、長さ0.7mm。葯はほぼ円形、先が凹形、長さ0.4㎜。柱下体は凹み、平ら、無毛、褐色。花柱は2本、水平方向に長さ0.5mmが反曲する。果実は未熟、1個だけあり、長円形、無毛。
13 Bupleurum rotundifolium L. ツキヌキサイコ 突抜柴胡
synonym Bupleurum griffithii hort.
地中海沿岸地域原産。英名はHare's Ear , thorow-wax。観賞用に栽培され、流通名はブプレリューム。野生化したものが東京で採取されている。
茎葉は卵形~円形。果実と子房は平滑。大散形花序の柄は(2)3~8(11)本。果実が平滑。
一年草、高さ10~70(85)㎝。茎は草質、ほとんど枝分かれしない。根生葉は茎葉と異なり、微突形、主脈は6~30本、2次の細脈で接続され、縁に脈は無い。根生葉は長さ4~10㎝×幅2~5㎝、茎を抱き、長円形~卵状披針形、基部は漸尖し、花期の前に枯れる。茎葉は長さ1~6㎝×幅1~5㎝、卵形~ほぼ円形。散形花序は頂生および側生、互いに類似または側花序は小さく、大散形花序の柄は(2)3~8(11)本、長さ0.3~2㎝、ほぼ等長、ときに不等長、柔軟性がある。苞は無い。小総苞片(小苞)は4~5(6)個、長さ5~15mm×幅2.5~7(14)mm、ほぼ等長または不等長、卵形または卵状披針形、微突形、花や果実よりもはるかに長くて広い。花は5~15個つく。花弁は黄色、普通、暗い中間の帯は無い。果実は花柄が短く、長さ1.5~2mm。分果は長さ2.5~4mm×幅1~1.5mm、長円形または長円状楕円形、平滑、隆条は平滑で糸状。油管は不明瞭。2n=16。
品種) 'Decor' , 'Green Gold' , 'Griffiti'
14 Bupleurum scorzonerifolium Willd. オクミシマサイコ 奥三島柴胡
synonym Bupleurum falcatum L. var. scorzonerifolium (Willd.) Ledeb.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は红柴胡 hong chai hu。
多年草、高さ30~60cm。 直根は丈夫、暗赤褐色、枝分かれする。 茎は1~3本、屈曲性、大きく二又分枝し、基部は繊維状の鞘の残骸で覆われる。根生葉は線形、長さ6~16㎝×幅0.2~0.7㎝、厚い紙質、硬く、3~5脈があり、下面にに突出し、縁は白色、軟骨質で、基部はわずかに狭くなり、茎を抱く。 上部の葉は小さい。 散形花序は多数、直径1.2~4cm。苞は1~3個、錐形、長さ0.5~4mm×幅0.2~0.6mm、不等長、脱落性。大散形花序の柄は(3~)4~6(~8)本、長さ1~2㎝、非常に細く、広がる。小苞は5個、披針形、長さ2.5~4mm×幅0.5~1mm、小散形花序と同長またはわずかに超える。小散形花序は直径2~5mm、花が(6~)9~11(~15)個つく。花柄は長さ0.2~1mm。花弁は黄色。柱下体は低い円錐、暗黄色。果実は楕円形、暗褐色、長さ2.5~3mm×幅1.5~2mm、隆条は淡色、明瞭。油管は各溝に5~6個、合成面に4~6個。花期および果期は7~9月。n=6。
15 Bupleurum sibiricum De Vest ex Roem. et Schult. ダフリアサイコ
中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安柴胡 xing an chai hu。
16 Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. ミシマサイコ 三島柴胡
synonym Bupleurum scorzonerifolium auct. non Willd.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. stenophyllum Nakai
synonym Bupleurum komarovianum Lincz. [Flora of China]
synonym Bupleurum falcatum auct. non L.
synonym Bupleurum falcatum L. var. scorzonerifolium auct. non (Willd.) Ledeb.
synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol.
synonym Bupleurum chinense DC. var. octoradiatum sensu Kitag.
synonym Bupleurum chinense DC. var. komarovianum (Lincz.) T.N.Liou et Y.H.Huang
synonym Bupleurum falcatum Linnaeus subsp. komarovianum (O. A. Linczevski) Voroschilov.
synonym Bupleurum falcatum var. stenophyllum H.Wolff [GBIF]
synonym Bupleurum marginatum var. stenophyllum (H.Wolff) R.H.Shan & Y.Li [GBIF]
日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は长白柴胡 chang bai chai hu。日当たりの良い山野に生える。愛知県の絶滅危惧ⅠB類。
サイコの類は漢方薬で根を解熱、鎮痛剤として用い、かつては静岡県と神奈川県に産するものが最良品とされ、三島柴胡、鎌倉柴胡と呼ばれた。
多年草、高さ30~70㎝。根は太く、細長い円錐形~円柱形、黄褐色、深いしわがある。全体に無毛。茎は細くて硬く、直立し、上部で分枝してジグザグに曲がる。葉は根生するか、茎に互生し、茎葉は無柄、根生葉には柄がある。葉身は単葉、長さ4~15㎝、幅0.5~15㎜の線形~広線形、全縁、硬く、両端が次第に細くなり、5~7本の平行脈がある。複散花序は小型。苞(総包片)は1~3個。小苞(小総包片)は5個、花柄より長い。小散形花序に花が5~10個つき、花は小さく、直径約2㎜、黄色。花弁は5個、先が内曲する。雄しべは5個。子房下位。果実は楕円形、長さ約3mm、褐色。2n=19,20,23,25,26(三島系),32。花期は8~10月。
Bupleurum stenophyllumはBupleurum komarovianumと同じとされることもある。Kew Scienceでは別種としている。GBIFではBupleurum marginatum var. stenophyllum を同種としている。これは中国、?ブータン、?ネパールに分布し、中国名は窄竹叶柴胡 zhai zhu ye chai hu。
(1) Bupleurum komarovianum Lincz.
日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は长白柴胡 chang bai chai hu。
多年草、高さ70~100㎝。根茎は短い木質の塊茎、暗褐色で、多くの繊維状の根が束生する。茎は数本、基部から分枝し、上部は屈曲して分枝し、基部に繊維状の鞘の残骸はない。根生葉と下部の葉は披針形または狭楕円形、長さ15~20㎝×幅1.6~2.5㎝、脈は7~9本、基部は先細になり、平らで幅の広い葉柄に続き、茎を抱き、下面で目立ち、先は尖鋭形で硬い尖端。中間の葉は長円状楕円形、長さ8~14㎝×幅1.5~3.5㎝。上部の葉は小さく、楕円形。散形花序は多数つく。頂部の散形花序は直径1.5~5㎝。苞は1~3個、または無く、線形、長さ1~7mm。大散形花序の柄は4~13本、長さ0.6~4㎝、不等頂。小苞は5個、線形、長さ2~3(~5)mm×幅0.5~1mm、小散形花序よりわずかに短いか等しい。小散形花序は直径5~10 mm、花が6~14個つく。花柄は長さ約2mm。花弁は明るい黄色。柱下体は低い円錐形、淡黄色。果実は楕円体、褐色、長さ2.8~3.2mm×幅2~2.2mm、先は円形。油管は各溝に(4~)5個、合成面に6~8個、若いときは明瞭、熟すと不明瞭。花期および果期は7~9月。2n=8(n=8)。(Flora of China:B. komarovianum)
(2) Bupleurum marginatum var. stenophyllum (H.Wolff) R.H.Shan & Y.Li
synonym Bupleurum falcatum var. stenophyllum H. Wolff
synonym Bupleurum falcatum f. stenophyllum (H. Wolff) P. K. Mukherjee & B. D. Naithani
synonym Bupleurum marginatum f. stenophyllum (H. Wolff) H. J. Chowdhery & Wadhwa
中国、?ブータン、?ネパール原産。中国名は窄竹叶柴胡 zhai zhu ye chai hu。
高さ25~60㎝。葉は狭く、長さ3~10㎝×幅0.3~0.6㎝、縁は狭く軟骨質。小苞は花柄より長い。花期は8~9月。果期は9~10月。n=7。
16-1 Bupleurum stenophyllum (Nakai) Kitag. var. obvallatum (Nakai) Kitag. イキノサイコ
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. stenophyllum Nakai f. obvallatum (Nakai) Kitag.
synonym Bupleurum scorzonerifolium Willd. var. obvallatum Nakai
synonym Bupleurum falcatum L. var. komarowii Koso-Pol. f. obvallatum (Nakai) H.Hara
壱岐島の固有変種。
参考
1) Flora of ChinaBupleurum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=104853
2) Plants of the World Online | Kew ScienceBupleurum
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:40029-1
Bupleurum
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:842779-1
3) World Flora OnlineBupleurum
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000005763
4) 植物研究雑誌 第39巻第8号 252-254(1964年8月)三重県産ミシマサイコ属の一新種 ヤセホタルサイコ
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=50840
5) 植物研究雑誌 70(6): 341–343(1995)山崎敬 レブンサイコについて
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=50840
6) Atlas of Living AustraliaBupleurum odontites L.
https://bie.ala.org.au/species/https://id.biodiversity.org.au/node/apni/2912960