ホソバヒカゲスゲ 細葉日陰菅

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae スゲ属

別 名 ヒメヒカゲスゲ
中国名 低矮薹草 di ai tai cao
学 名

Carex callitrichos var. nana (H.Lév. & Vaniot) S.Yun Liang, L.K.Dai & Y.C.Tang

 synonym Carex humilis Leyss. var. nana (H.Lév. et Vaniot) Ohwi

 synonym Carex humilis Leyss. subsp. nana (H.Lév. et Vaniot) T.Koyama

ホソバヒカゲスゲの花茎
ホソバヒカゲスゲの花序
ホソバヒカゲスゲ鱗片
ホソバヒカゲスゲ幅の広い葉
ホソバヒカゲスゲ
ホソバヒカゲスゲの果胞と果実
ホソバヒカゲスゲ基部と根
ホソバヒカゲスゲ葉表
ホソバヒカゲスゲ葉裏
花 期 4~5月
高 さ 10~40㎝
生活型 多年草
生育場所 山野の乾いた場所
分 布 在来種   北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア
撮 影 五井山  13.4.12
ホソバヒカゲスゲはヒナタスゲ(Carex humilis Leyss.)の変種var. nanaと分類されてきたが、現在ではイトヒカゲスゲ(Carex callitrichos V.I.Krecz.)の変種に分類し、ヒナタスゲ(Carex humilis Leyss.)は分布域に日本(北海道、本州、四国、九州)を含まない。また、Carex humilis Willd. ex Kunthはカブスゲ(Carex cespitosa L.)のsynonymとされ、混同しやすい。
ヒカゲスゲ(Carex lanceolata Boott)より乾いたところを好むとされているが、並んで生えていることもある。ヒカゲスゲは葉幅がやや広く、1.5~2㎜。花茎が多数つき、葉より高く、目立つ。

イトヒカゲスゲ 糸日陰菅


学名:Carex callitrichos V.I.Krecz.
  synonym Carex humilis var. callitrichos (V.I.Krecz.) Ohwi
 日本(北海道、本州、四国、九州、対馬)、朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は羊须草 yang xu cao。800~1000メートルのマツ林、混交林、山の斜面に生える。茎や葉は紙やロープの製造に使用される。
 根茎は細長く、匍匐性または斜めに斜上する。稈は緩く叢生し、高さ2~6㎝、毛状(hair-shaped)、鈍角の三角形、平滑。鞘は赤褐色で、基部に宿存する。葉は稈の長さの5~6倍長、葉幅は0.2~0.8(~1)㎜、毛状(hair-shaped)、柔らかく、無毛で、まれに緩く毛がある。苞(総苞片)は仏炎苞状(spathelike)、長さ7~10㎜、平滑、先は鋭形、鞘の口部の縁は膜質、明瞭な苞の葉身は無い。小穂は2~4個、離れてつく。頂生の小穂は雄性、円筒形、長さ5~8㎜×幅1~1.5㎜、花は小数。側小穂は1~3個、雌性、線形、長さ5~7㎜、緩く花が1~3個つく。花序柄は短く、通常は苞葉の鞘から突き出ず、花序軸は曲がりくねる。 雌の鱗片は側部が鉄さび色または淡い鉄さび色で、中央は緑色、披針形、長さ3~4㎜、1脈があり、縁は広く白色の透明になり、先は尖鋭形または鋭形、微倒形。果胞は帯緑色、鱗片より短く、倒卵形、鈍い三角形、長さ2.5~3㎜、毛があり、側部に明瞭な2脈があり、不明瞭な薄い数本の脈があり、基部は急に狭まり~曲がり、短い柄となり、先は丸くて非常に短い嘴があり、口部は凹形または切形、通常は帯褐色。小堅果は成熟すると褐色、長円状倒卵形、三角形、長さ2.3~2.5㎜、基部は狭まり、短い柄になり、先は丸く、短い嘴がある。花柱は基部がわずかに太くなる。柱頭は3岐。花期および果期は4~7月。

(1) Carex callitrichos var. callitrichos イトヒカゲスゲ 糸日陰菅

  synonym Carex humilis Leyss. var. callitrichos (V.I.Krecz.) Ohwi

  synonym Carex humilis Leysser f. callitrichos (V. I. Kreczetowicz) T. Koyama

 日本(九州長崎県対馬)、朝鮮、ロシア原産。中国名は羊须草 yang xu cao。標高800~1000mのマツ林に生える。
 雄小穂は花が少数。雄の鱗片は先が鋭形。雌小穂は花が1~3個。

(2) Carex callitrichos var. nana (H.Lév. & Vaniot) S.Yun Liang, L.K.Dai & Y.C.Tang ホソバヒカゲスゲ 細葉日陰菅

  synonym Carex humilis Leyss. var. nana (H.Lév. et Vaniot) Ohwi

  synonym Carex humilis Leyss. subsp. nana (H.Lév. et Vaniot) T.Koyama

 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、ロシア原産。中国名は矮丛薹草 ai cong tai cao。別名はヒメヒカゲスゲ。標高1000m以下の山の斜面、混交林またはマツ林など山野の乾いた場所に生える。
 多年草、高さ10~40㎝。根茎は短く、匐枝はなく、叢生する。花茎は短く、長さ3~6㎝、直立し、葉よりかなり低く、葉に隠れる。葉は幅(0.3)0.5~1.5(1.8)㎜、最も狭いものは0.3㎜、最も広いものは1.8㎜ある。小穂は茎の上部に数個つく。頂小穂は雄性、長さ5~10㎜。側小穂は雌性、2~4個の果胞をつけ、長さ5~10㎜。苞は鞘があり、葉身が鱗片状で短い。小穂の軸は上部の稜にわずかに毛があり、雌小穂の軸の基部に膜質の鞘(小苞)がある。鱗片は紫紅色を帯びる。果胞は緑色、短毛が密生し、ほとんど嘴が無く、鱗片より小さく、長さ3~3.2㎜、先の方が太く、基部が海綿質の柄状になる。痩果は長さ2.5~3㎜、3稜形、濃褐色に熟す。柱頭は3岐、花柱は取れやすい。花期は4~5月。
 Flora of Chinaの解説はやや異なり次のとおり。
 雄小穂には花が3~4個つく。雄の鱗片は先が尖鋭形。雌小穂には1または2個の花がつく。花期および果期は4~7月