ヒメスイバ 姫酸葉

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae ギシギシ属

中国名 小酸模 xiao suan mo
英 名 field sorrel , sheep sorrel , sorrel , red sorrel
学 名 Rumex acetosella L. subsp. pyrenaicus (Pourr. ex Lapeyr.) Akeroyd
 synonym Rumex pyrenaicus Pourret ex Lapeyrouse

  synonym Acetosella vulgaris subsp. pyrenaica (Pourret ex Lapeyrouse) Á. Löve

ヒメスイバの花序
ヒメスイバの雄花
ヒメスイバの雌花
ヒメスイバの果実の花被
ヒメスイバ
ヒメスイバの葉
ヒメスイバの果実
花 期 4~5月
高 さ 10~60㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、耕作地、荒地、荒地、芝生、牧草地、線路の砂利、砂浜、泥岸
分 布 帰化種 朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、カザフスタン、西アジア、ヨーロッパ、アルジェリア、モロッコ原産
撮 影 吉良町 07.4.28
ヒメスイバは明治の初に渡来した帰化種。和名の由来はスイバより小型であることから。
 広義のヒメスイバは道端、耕作地など様々な場所に生える多年草。通常は酸性土壌に生える。亜種がいくつかあり、日本に帰化しているのはsubsp. pyrenaicusである。
 全体にスイバより小型で細い。根茎は横に広がる。茎の下部につく葉は長さ2~6㎝、鉾形、葉の基部が耳状に張り出し、長柄がある。雌雄異株。花序は細く、長さ約10㎝、多数の小さい花がつく。バルブ(内花被片)は花後にもあまり大きくならず、スイバのような翼は無く、痩果の表面に接して覆う。果実は長さ約1.5㎜、3稜形、褐色で光沢がある。
1 Rumex acetosella L. ヒメスイバ 姫酸葉
  synonym Rumex angiocarpus auct. non Murb.
 朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、カザフスタン、西アジア、ヨーロッパ、アルジェリア、モロッコ原産。英名はfield sorrel , sheep sorrel , sorrel , red sorrel。中国名は小酸模 xiao suan mo。海抜2700m以下の道端、耕作地、荒地、荒地、芝生、牧草地、線路の砂利、砂浜、泥岸に生える。通常は酸性土壌。
 多年草、垂直の根茎および/または匍匐性の根茎を持ち、無毛。茎は直立または斜上し、基部から数本出て、上部1/2(花序)で分枝し、高さ10~40(~45)cm、シュートは様々。托葉鞘は基部が帯褐色、上部1/2が銀色を帯び、引き裂かれる。葉身は通常、倒卵状長円形、卵状披針形、披針状楕円形、または披針形、たまに線状披針形~ほぼ線形、長さ2~6㎝×幅0.3~2㎝、基部は矢じり形(裂片は広がり、全縁またはときに多裂し)、たまに明瞭な裂片を持たず、基部は広楔形、縁は全縁、平坦またはほぼ平坦、先は鋭形または鈍形。花序は頂生し、通常、茎の上部の1/2~1/3を占め、通常は緩く、上部まで途切れ、広または狭の円錐花序になる。小花柄は長さ1~3㎜。花は(3~)5~8(~10)個、輪生する。内花被片は大きくならないか、またはわずかに大きくなり、通常 長さ1.2~1.7(~2)㎜×幅0.5~1.3㎜(翼がないか、またはかろうじて見え)、基部が楔形、先は鈍形またはほぼ鋭形。痩果は褐色または暗褐色、長さ0.9~1.5㎜×幅0.6~0.9㎜。2n=14, 28, 42。花期は春~夏(Flora of North America)。
1-1 Rumex acetosella L. subsp. acetosella ヒナスイバ 雛酸葉
 ユーラシアに広く分布。英名はsheep sorrel , sorrel。アジア大陸では普通の型だが、日本では宮城県で最近採集された1 枚の標本以外には知られていない。
 6倍体(2n=42)。雌花の果時の内花被片の性質が異なることによって区別される。果実が裸実(gymnocarpous:果実の表面が花被に覆われず、裸出する)。根生葉の側裂片が多裂しない(nonmultifid)。
1-2 Rumex acetosella subsp. acetoselloides (Balansa) den Nijs
 ヨーロッパ(アルバニア、ブルガリア、東エーゲ海諸島、ギリシャ、クレタ島、ロシア(北コーカサス)、ルーマニア、トランスコーカサス(アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージア)、トルコ、ユーゴスラビア(ボスニア ヘルツェゴビナ、クロアチア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア))に分布。  果実が裸実(gymnocarpous)。根生葉の側裂片が多裂する(multifid)。 1-3 Rumex acetosella L. subsp. angiocarpus (Murbeck) Murbeck
  synonym Rumex angiocarpus Murbeck
  synonym Acetosella angiocarpa (Murbeck) Á. Löve
 ヨーロッパ(イタリア、サルデーニャ島、ポルトガル、スペイン、ユーゴスラビア)、アフリカ(南アフリカ、スワジランド、レソト、モロッコ、アルジェリア、カナリア諸島、マデイラ島)、アジア(カムチャッカ、サハリン、千島列島)に分布。  2倍体(2n=14)。果実が被実(angiocarpous:果実は成長した内花被片から簡単に分離できない)。
1-4 Rumex acetosella subsp. arenicola Y.Mäkinen ex Elven
 ロシア、フィンランド、グリーンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンに分布。
 葉は通常基部に裂片がなく(R. graminifolius のように)、外巻きの縁を持つ。花序はまばらに分岐する。花被片と小花柄は赤いパピラで密に覆われる(R. graminifolius と同様)。R. graminifolius および関連分類群(R. beringensis および R. krausei)とは、より狭い内花被片(R. acetosella の他の亜種のものとサイズが類似)によって区別できる。
1-5 Rumex acetosella subsp. multifidus (L.) Schübl. & G.Martens
  synonym Rumex multifidus Linnaeus
  synonym tenuifolius (Wallroth) Á. Löve
  synonym Acetosella multifida (Linnaeus) Á. Löve
 アルバニア、ブルガリア、チェコスロバキア、ギリシャ、イタリア、ユーゴスラビア(ボスニア ヘルツェゴビナ、クロアチア、北マケドニア、モンテネグロ、セルビア)に分布。
 3倍体(2n=21)。

1-6 Rumex acetosella L. subsp. pyrenaicus (Pourr. ex Lapeyr.) Akeroyd ヒメスイバ 姫酸葉 狭義

  synonym Rumex pyrenaicus Pourret ex Lapeyrouse

  synonym Acetosella vulgaris subsp. pyrenaica (Pourret ex Lapeyrouse) Á. Löve

 ヨーロッパ南部(イギリス、アイルランド、ベルギー、イタリア、フランス、ポルトガル、スペイン)に分布。日本、千島列島、ニューヨーク、コスタリカ、チェコスロバキア、フォークランド諸島、グアテマラなどに帰化し、最も世界に広く広がっている亜種である。日本に帰化している型はほとんど全てがこのsubsp.pyrenaicus (Pourr. ex Lapeyr.) Akeroydであり、南サハリンや千島からも報告されている。
 6倍体(2n=42)。果実が被実(angiocarpous:果実は成長した内花被片から簡単に分離できない)。