ヘラオモダカ 箆面高
Flora of Mikawa
オモダカ科 Alismataceae サジオモダカ属
中国名 | 窄叶泽泻 zhai ye ze xie |
学 名 | Alisma canaliculatum A.Br.et Bouche. ex Sum. |
花 期 | 7~10月 |
高 さ | 20~80(130)㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 水田、沼、湿地 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド |
撮 影 | 作手村 03.9.20 |
多年草。高さ20~80(まれに130)㎝。塊茎は短く、直径1~3㎝。葉は根生し、気中葉は葉柄が長さ9~30㎝。葉身はわずかにかま形、長さ6~45㎝、幅1~5㎝の披針形(へら形)、全縁で、基部はくさび形又は次第に漸尖し、柄となり、先は尖鋭形、濃緑色、光沢は無く、中脈は明瞭、平行脈は3~5(7)本。しばしば葉柄と葉身の境が不明瞭になる。円錐花序は長さ35~65[20~80(~130)]㎝、花枝が3~9本ある3~6輪につく。苞は披針形~楕円形、先は鋭形~鋭尖形。花柄は2~4.5[1~2.4]㎝。花は両性花、直径約1㎝の3弁花。萼片は長円形[扁円形]、長さ3~3.5㎜[2.5㎜]、緑色。花弁は白色(~淡紅色)、倒卵円形、長さ約3㎜、縁が不規則。雄しべ6本。葯は普通、淡黄色、糸状、長さ約0.8㎜[0.5]。雌しべは多数が1列の輪状に並ぶ。花柱は反曲し、長さ約0.5㎜、長さの上約1/3に柱頭がつく。痩果は倒卵形、長さ2~2.5㎜、背に1本の溝があり、側部の果皮は光沢がなく、厚い。花期と果期は(5)7~10月。2n=28, 34, 40, 42。
帰化種のナガバオモダカは葉がよく似ているが、オモダカ属であり、単性花、花序も違う。サジオモダカは葉が惰円形で、基部が円形。また、痩果に浅い2本の溝がある。
多年草、水生又は沼地に生え、塊茎をもつ。葉は気中、浮遊又は沈水、全て根生し、葉柄があり、全縁。花序は円錐花序状又はたまに、散形花序状。枝は輪生、各枝は普通、2次枝があり、基部に苞をもつ。花は両性。花弁は普通、咢片より大きい。雄しべは6本。心皮は多数、1輪につき、各心皮は1胚珠をもつ。痩果は側部が扁平、外側に1又は2本の溝又は細い溝(canaliculate)があり、普通、内側に嘴がある。
世界に約11種があり、温帯と亜熱帯地域に分布する。
日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド原産。中国名は窄叶泽泻 zhai ye ze xie 。溜池、河川、湿地、水路、休耕田、水田などに生える。寒地で多く、北陸、東北、北海道では水田の強害草。
多年草。高さ20~80(まれに130)㎝。塊茎は短く、直径1~3㎝。葉は根生し、気中葉は葉柄が長さ9~30㎝。葉身はわずかにかま形、長さ6~45㎝、幅1~5㎝の披針形(へら形)、全縁で、基部はくさび形又は次第に漸尖し、柄となり、先は尖鋭形、濃緑色、光沢は無く、中脈は明瞭、平行脈は3~5(7)本。しばしば葉柄と葉身の境が不明瞭になる。円錐花序は長さ35~65[20~80(~130)]㎝、花枝が3~9本ある3~6輪につく。苞は披針形~楕円形、先は鋭形~鋭尖形。花柄は2~4.5[1~2.4]㎝。花は両性花、直径約1㎝の3弁花。萼片は長円形[扁円形]、長さ3~3.5㎜[2.5㎜]、緑色。花弁は白色(~淡紅色)、倒卵円形、長さ約3㎜、縁が不規則。雄しべ6本。葯は普通、淡黄色、糸状、長さ約0.8㎜[0.5]。雌しべは多数が1列の輪状に並ぶ。花柱は反曲し、長さ約0.5㎜、長さの上約1/3に柱頭がつく。痩果は倒卵形、長さ2~2.5㎜、背に1本の溝があり、側部の果皮は光沢がなく、厚い。花期と果期は(5)7~10月。2n=28, 34, 40, 42。
POWOでは下位分類を認めていない。
全体に小型。花茎が葉より上に出ず、花が密集した花序をもつ。花茎の最下部の枝は分枝が3~5 本と多く、枝は横に広がらず斜上し、5~15㎜伸びたところで4~8本の花柄を出す。この花柄も4~15㎜と短いため、 花が密集した花序になる。
兵庫県に分布。
この変種の原記載はなく、牧野新植物図鑑(1963)では葉は線状、支脈2~4本。花弁前縁には鋸歯があり、基部は白色。葯は褐紫色とあり、トウゴクヘラオモダカの可能性もある。関東地方北部には葯が褐色のものもあり、トウゴクヘラオモダカと誤った葯が黄緑色のものもある(神奈川県植物誌1988)。葉身はヘラオモダカよりも小型で細長く、線形~狭披針形長さは5~20㎝×幅3~10㎜、葉柄と葉身との境い目は不明瞭。
2 Alisma gramineum Lejeune ヒメオモダカ 姫面高
中国(甘粛省、黒龍江省、河南省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏回族自治区、青海省、山西省、新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ原産。中国名は草泽泻 cao ze xie。湖、池、沼地、水路の縁に生える。
塊茎は小さいか目立たない。地上葉は長さ2~31㎝の葉柄を持つ。葉身は披針形で長さ3~12.5㎝×幅0.6~2㎝、ときにこれより大きく、3~5脈があり、基部は楔形、先は尖鋭形。円錐花序は長さ6~56㎝、2~5 輪生で3~9本の枝ができる。小花柄は長さ1.5~4.5㎝。萼片は広卵形、長さ2.5~4.5㎜×幅1.5~2.5㎜m。花弁は白色、ほぼ円形、萼片より大きい。葯は楕円形、長さ約0.5㎜。心皮は規則的に並ぶ。花柱は直立し、長さ約0.4㎜、子房より短く、巻きひげ状で反曲(cirriform-recurved)し、長さの上部1/3~1/2に柱頭がある。痩果は倒卵形または三角形、長さ2~3㎜、外側に1~2本の溝がある。側果皮は光沢があり、不透明で、やや厚い。花期と果期は6~9月。2n=14, 16。
3 Alisma plantago-aquatica L. サジオモダカ 匙面高 広義
synonym Alisma major Gray
ヨーロッパ、アジア、アフリカに広く分布。
POWOではsubsp. orientaleとsubsp. plantago-aquaticaの2亜種に分類している。Flora of ChinaではAlisma orientaleとAlisma plantago-aquaticaに分けている。Alisma orientaleは花と果実が小さく、花弁の縁が波打ち、心皮が不規則に配置し、花柱が長さ約0.5㎜。Alisma plantago-aquaticaは縁が小歯状、心皮が規則的に配置し、花柱が長さ0.7~1.5㎜。YListでは両者を区別していない。
日本(北海道、本州中部地方以北)、韓国、中国、ロシア、モンゴル、キルギスタン、インド、アッサム、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は东方泽泻 dong fang ze xie。
塊茎は直径1~2㎝。気中葉は葉柄が長さ3~34㎝。葉身は広披針形~楕円形、長さ3.5~11㎝×幅1.3~7㎝、ときに大きく、5~7脈があり、基部は円形~類心形、先は尖鋭形。円錐花序は長さ20~70㎝、3~9枝の3~9輪がつく。花柄は長さ0.5~2.5㎝。萼片は卵形、長さ2~2.5㎜×幅約1.5㎜。花弁は白色又は帯ピンク色、ほぼ円形、萼片より大きく、縁は波打つ。葯は長さ約0.5㎜×幅0.3~0.4㎜。心皮は不規則に配置する。花柱は直立、長さ約0.5㎜、子房より長く、上部の約1/5に柱頭がつく。痩果は楕円形、長さ1.5~2㎜×幅約1㎜、外側に1~2本の溝があり、側果皮は普通、光沢が無く、厚い、花期と果期は5~9月。2n=28。
Alisma plantago-aquaticaに似るが、花と果実が小さく、花柱は長さ約0.5㎜しかなく、花弁の縁と心皮は不規則になる。
3-2 Alisma plantago-aquatica subsp. plantago-aquatica
日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ、タイ、ベトナム、南西アジア(トルコ、イラン、イラク、パレスチナ、レバノン・シリア)、ヨーロッパ、アフリカ原産。英名はwater plantain。中国名は泽泻 ze xie 。アラスカ、オーストラリア、アフリカ南部に帰化している。中国で広く栽培されている。生薬名はタクシャ。
塊茎は直径1~3.5㎝。気中葉は葉柄が長さ1.5~30㎝。葉身は広披針形又は楕円形~卵形、長さ2~11㎝×幅1.3~7㎝、ときに大きく、脈は5本、基部は類心形又は切形、ときにくさび形、先は普通、腺鋭形。円錐花序は長さ15~50㎝、3~9枝をもつ3~8輪がつく。花柄は長さ1~3.5㎝。萼片は広卵形、長さ2.5~3.5㎜×幅2~3㎜。花弁は白色又は紫白色、ほぼ円形。萼片より大きく、縁は小歯状。葯は楕円形、長さ約1㎜。心皮は放射状につく。花柱は直立、糸状、子房より長く、長さ0.7~1.5㎜、上部の1/9~1/5に花柱がつく。痩果は楕円形又は類長円形、約・長さ2.5㎜×幅1.5㎜、外側に1~2本の溝があり、側部の果皮は厚く、光沢が無い。花期と果期は5~10月。2n=14。
4 Alisma rariflorum Sam. トウゴクヘラオモダカ 東国箆面高
synonym Alisma canaliculatum A.Braun & C.D.Bouche [Kewscience]
日本(本州)固有種。湿地に生える。別名はコハサジオモダカ。神奈川県では水温の低い湧水湿地に生える。
葉は長い葉柄があり、長楕円形、全縁、基部が葉柄に短く沿下し、先は尖鋭形、へラオモダカと比較してけっして細くはなく、支脈は2~4本。花序は円錐花序、枝がまばらで、最下の側枝が 2本しかない。花は萼が3個、花弁が3個。萼は長さ約2.5㎜。花弁は平開し、長さ約5㎜と大きく、前側の縁にやや粗く不規則な歯がある。雄しべは花糸が長さ約2㎜、葯は長さ約1㎜、黒緑色(褐紫色)。子房は長さ1㎜×幅0.8㎜。柱頭は長さ1.2㎜。開花時間はヘラオモダカより遅く、開花は午後2時~夕方。花期は8月下旬~9月。
Alisma
Alisma
Alisma
Alisma
角野康郎,浜島繁隆 : ヘラオモダカの新変種アズミノヘラオモダカ
6)神奈川自然誌資料(11): 143~146, Mar. 1990
神奈川県のトウゴクヘラオモダカ 勝山輝男
帰化種のナガバオモダカは葉がよく似ているが、オモダカ属であり、単性花、花序も違う。サジオモダカは葉が惰円形で、基部が円形。また、痩果に浅い2本の溝がある。
サジオモダカ属
family Alismataceae - genus Alisma多年草、水生又は沼地に生え、塊茎をもつ。葉は気中、浮遊又は沈水、全て根生し、葉柄があり、全縁。花序は円錐花序状又はたまに、散形花序状。枝は輪生、各枝は普通、2次枝があり、基部に苞をもつ。花は両性。花弁は普通、咢片より大きい。雄しべは6本。心皮は多数、1輪につき、各心皮は1胚珠をもつ。痩果は側部が扁平、外側に1又は2本の溝又は細い溝(canaliculate)があり、普通、内側に嘴がある。
世界に約11種があり、温帯と亜熱帯地域に分布する。
サジオモダカ属の主な種
1 Alisma canaliculatum A.Braun et C.D.Bouche ヘラオモダカ 箆面高synonym Alisma plantago-aquatica var. canaliculatum (A.Braun & C.D.Bouché) Miyabe & Kudô
synonym Alisma canaliculatum var. azuminoense Kadono & Hamashima
synonym Alisma canaliculatum var. harimense Makino日本全土、朝鮮、中国、台湾、インド原産。中国名は窄叶泽泻 zhai ye ze xie 。溜池、河川、湿地、水路、休耕田、水田などに生える。寒地で多く、北陸、東北、北海道では水田の強害草。
多年草。高さ20~80(まれに130)㎝。塊茎は短く、直径1~3㎝。葉は根生し、気中葉は葉柄が長さ9~30㎝。葉身はわずかにかま形、長さ6~45㎝、幅1~5㎝の披針形(へら形)、全縁で、基部はくさび形又は次第に漸尖し、柄となり、先は尖鋭形、濃緑色、光沢は無く、中脈は明瞭、平行脈は3~5(7)本。しばしば葉柄と葉身の境が不明瞭になる。円錐花序は長さ35~65[20~80(~130)]㎝、花枝が3~9本ある3~6輪につく。苞は披針形~楕円形、先は鋭形~鋭尖形。花柄は2~4.5[1~2.4]㎝。花は両性花、直径約1㎝の3弁花。萼片は長円形[扁円形]、長さ3~3.5㎜[2.5㎜]、緑色。花弁は白色(~淡紅色)、倒卵円形、長さ約3㎜、縁が不規則。雄しべ6本。葯は普通、淡黄色、糸状、長さ約0.8㎜[0.5]。雌しべは多数が1列の輪状に並ぶ。花柱は反曲し、長さ約0.5㎜、長さの上約1/3に柱頭がつく。痩果は倒卵形、長さ2~2.5㎜、背に1本の溝があり、側部の果皮は光沢がなく、厚い。花期と果期は(5)7~10月。2n=28, 34, 40, 42。
POWOでは下位分類を認めていない。
1-1 Alisma canaliculatum A.Braun et C.D.Bouche var. azuminoense Kadono et Hamashima アズミノヘラオモダカ 安曇野箆面高
長野県、岐阜県に分布。POWOでは基準種に含めている。全体に小型。花茎が葉より上に出ず、花が密集した花序をもつ。花茎の最下部の枝は分枝が3~5 本と多く、枝は横に広がらず斜上し、5~15㎜伸びたところで4~8本の花柄を出す。この花柄も4~15㎜と短いため、 花が密集した花序になる。
1-2 Alisma canaliculatum A.Braun et C.D.Bouche var. harimense Makino ホソバヘラオモダカ 細葉箆面高
The Plant List では基準種に含めている。POWOではトウゴクヘラオモダカ(Alisma rariflorum)のsynonymとしている。兵庫県に分布。
この変種の原記載はなく、牧野新植物図鑑(1963)では葉は線状、支脈2~4本。花弁前縁には鋸歯があり、基部は白色。葯は褐紫色とあり、トウゴクヘラオモダカの可能性もある。関東地方北部には葯が褐色のものもあり、トウゴクヘラオモダカと誤った葯が黄緑色のものもある(神奈川県植物誌1988)。葉身はヘラオモダカよりも小型で細長く、線形~狭披針形長さは5~20㎝×幅3~10㎜、葉柄と葉身との境い目は不明瞭。
2 Alisma gramineum Lejeune ヒメオモダカ 姫面高
中国(甘粛省、黒龍江省、河南省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、寧夏回族自治区、青海省、山西省、新疆ウイグル自治区)、モンゴル、ロシア、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北アメリカ原産。中国名は草泽泻 cao ze xie。湖、池、沼地、水路の縁に生える。
塊茎は小さいか目立たない。地上葉は長さ2~31㎝の葉柄を持つ。葉身は披針形で長さ3~12.5㎝×幅0.6~2㎝、ときにこれより大きく、3~5脈があり、基部は楔形、先は尖鋭形。円錐花序は長さ6~56㎝、2~5 輪生で3~9本の枝ができる。小花柄は長さ1.5~4.5㎝。萼片は広卵形、長さ2.5~4.5㎜×幅1.5~2.5㎜m。花弁は白色、ほぼ円形、萼片より大きい。葯は楕円形、長さ約0.5㎜。心皮は規則的に並ぶ。花柱は直立し、長さ約0.4㎜、子房より短く、巻きひげ状で反曲(cirriform-recurved)し、長さの上部1/3~1/2に柱頭がある。痩果は倒卵形または三角形、長さ2~3㎜、外側に1~2本の溝がある。側果皮は光沢があり、不透明で、やや厚い。花期と果期は6~9月。2n=14, 16。
3 Alisma plantago-aquatica L. サジオモダカ 匙面高 広義
synonym Alisma major Gray
synonym Alisma plantago-aquatica subsp. latifolium Ehrh.
synonym Damasonium plantago-aquaticum (L.) Chaz.ヨーロッパ、アジア、アフリカに広く分布。
POWOではsubsp. orientaleとsubsp. plantago-aquaticaの2亜種に分類している。Flora of ChinaではAlisma orientaleとAlisma plantago-aquaticaに分けている。Alisma orientaleは花と果実が小さく、花弁の縁が波打ち、心皮が不規則に配置し、花柱が長さ約0.5㎜。Alisma plantago-aquaticaは縁が小歯状、心皮が規則的に配置し、花柱が長さ0.7~1.5㎜。YListでは両者を区別していない。
3-1 Alisma plantago-aquatica L. subsp. orientale (Sam.) Sam. サジオモダカ 匙面高 狭義
synonym Alisma plantago-aquatica L. var. orientale Sam.
synonym Alisma orientale (Sam.) Juz. [Flora of China]日本(北海道、本州中部地方以北)、韓国、中国、ロシア、モンゴル、キルギスタン、インド、アッサム、パキスタン、ネパール、ブータン、バングラデシュ、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は东方泽泻 dong fang ze xie。
塊茎は直径1~2㎝。気中葉は葉柄が長さ3~34㎝。葉身は広披針形~楕円形、長さ3.5~11㎝×幅1.3~7㎝、ときに大きく、5~7脈があり、基部は円形~類心形、先は尖鋭形。円錐花序は長さ20~70㎝、3~9枝の3~9輪がつく。花柄は長さ0.5~2.5㎝。萼片は卵形、長さ2~2.5㎜×幅約1.5㎜。花弁は白色又は帯ピンク色、ほぼ円形、萼片より大きく、縁は波打つ。葯は長さ約0.5㎜×幅0.3~0.4㎜。心皮は不規則に配置する。花柱は直立、長さ約0.5㎜、子房より長く、上部の約1/5に柱頭がつく。痩果は楕円形、長さ1.5~2㎜×幅約1㎜、外側に1~2本の溝があり、側果皮は普通、光沢が無く、厚い、花期と果期は5~9月。2n=28。
Alisma plantago-aquaticaに似るが、花と果実が小さく、花柱は長さ約0.5㎜しかなく、花弁の縁と心皮は不規則になる。
3-2 Alisma plantago-aquatica subsp. plantago-aquatica
日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ、タイ、ベトナム、南西アジア(トルコ、イラン、イラク、パレスチナ、レバノン・シリア)、ヨーロッパ、アフリカ原産。英名はwater plantain。中国名は泽泻 ze xie 。アラスカ、オーストラリア、アフリカ南部に帰化している。中国で広く栽培されている。生薬名はタクシャ。
塊茎は直径1~3.5㎝。気中葉は葉柄が長さ1.5~30㎝。葉身は広披針形又は楕円形~卵形、長さ2~11㎝×幅1.3~7㎝、ときに大きく、脈は5本、基部は類心形又は切形、ときにくさび形、先は普通、腺鋭形。円錐花序は長さ15~50㎝、3~9枝をもつ3~8輪がつく。花柄は長さ1~3.5㎝。萼片は広卵形、長さ2.5~3.5㎜×幅2~3㎜。花弁は白色又は紫白色、ほぼ円形。萼片より大きく、縁は小歯状。葯は楕円形、長さ約1㎜。心皮は放射状につく。花柱は直立、糸状、子房より長く、長さ0.7~1.5㎜、上部の1/9~1/5に花柱がつく。痩果は楕円形又は類長円形、約・長さ2.5㎜×幅1.5㎜、外側に1~2本の溝があり、側部の果皮は厚く、光沢が無い。花期と果期は5~10月。2n=14。
4 Alisma rariflorum Sam. トウゴクヘラオモダカ 東国箆面高
synonym Alisma canaliculatum A.Braun & C.D.Bouche [Kewscience]
synonym Alisma canalicuratum A.Braun & C.D.Bouche var.harimense Makino ホソバヘラオモダカ
synonym Alisma Plantago L var. Nipponicum Mak. (Nov.)日本(本州)固有種。湿地に生える。別名はコハサジオモダカ。神奈川県では水温の低い湧水湿地に生える。
葉は長い葉柄があり、長楕円形、全縁、基部が葉柄に短く沿下し、先は尖鋭形、へラオモダカと比較してけっして細くはなく、支脈は2~4本。花序は円錐花序、枝がまばらで、最下の側枝が 2本しかない。花は萼が3個、花弁が3個。萼は長さ約2.5㎜。花弁は平開し、長さ約5㎜と大きく、前側の縁にやや粗く不規則な歯がある。雄しべは花糸が長さ約2㎜、葯は長さ約1㎜、黒緑色(褐紫色)。子房は長さ1㎜×幅0.8㎜。柱頭は長さ1.2㎜。開花時間はヘラオモダカより遅く、開花は午後2時~夕方。花期は8月下旬~9月。
参考
1) Flora of ChinaAlisma
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=101042
2) Plants of the World Online | Kew ScienceAlisma
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30006593-2
3)GRINAlisma
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10644
4)Flora of North AmericaAlisma
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=101042
5)植物研究雑誌 63(12): 411-412(1988)角野康郎,浜島繁隆 : ヘラオモダカの新変種アズミノヘラオモダカ
6)神奈川自然誌資料(11): 143~146, Mar. 1990
神奈川県のトウゴクヘラオモダカ 勝山輝男
http://nh.kanagawa-museum.jp/files/data/pdf/nhr/11/nhr11_143_146katsuyama.pdf