ハナゼキショウ  花石菖
[別名] イワゼキショウ
[学名] Tofieldia nuda Maxim. var. nuda
チシマゼキショウ科 Tofieldiaceae チシマゼキショウ属
三河の植物観察
ハナゼキショウ2
ハナゼキショウの花序
ハナゼキショウの花
ハナゼキショウの未熟な果実
ハナゼキショウ
ハナゼキショウ葉
ハナゼキショウ小花柄
ハナゼキショウ未熟な種子
 チシマゼキショウ科はユリ科から分割された。
 愛知県では東三河地域でしか見られず、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。国ではリスト外。園芸種として販売されている。
 地下茎は短い。根生葉は長さ5~25㎝の剣状葉、縁に微細な鋸歯はなく、全縁、内折れし、基部が重なり、左右に2列につく。 花茎は高さ15~30㎝、2~3個小さな葉がつき、茎頂の長さ3~12㎝の総状花序に多数の花をつける。小花柄は長さ5~10㎜、基部に1個の苞が小花柄を包むようにつく。花被片は6個つき、白色、長さ3~4㎜の線状長楕円形。 雄しべは6個、花被片と同長かやや長い。花柱は3個。果実は卵状惰円形の蒴果。種子は尾状付属物がつかない。2n=30
[花期] 7~8月
[高さ] 10~30㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 山地の岩崖地
[分布] 在来種(日本固有種) 本州(関東地方以西)、四国、九州
[撮影] 新城市 14.7.31

 チシマゼキショウ属

  family Tofieldiaceae - genus Tofieldia

 多年草、短い斜上する根茎をもつ。葉は根生又はほぼ根生し、2列につき、基部は跨状(equitant)、剣形、側面が平らになる。花茎は直立し、細く、先に多数の花の総状花序、又はまれに穂状花序をつける。花は両性、苞腋につき、小さく、しばしば1個の円蓋状の、まれに3個のほぼ離生の小苞が基部につく。花被片は6個、分離又は基部が合着し、宿存性。雄しべは6本、しばしば分離、ときに基部で合着し、又は花被片の基部につく。葯は卵形、底着又は類背着、内向き~横向き。子房は上位、普通、卵形、先が3裂、有柄又は無柄。胚珠は多数。蜜腺(septal nectaries)がしばしばある。花柱は3本、かなり短く、内向きの柱頭をもつ。果実は胞間裂開蒴果、3室があり、ときに袋果状で深く裂ける。種子は小さく、普通、線形~長円形。
 世界に約20種あり、主に北半球の亜寒帯、温帯、亜熱帯に分布する。


 チシマゼキショウ属の主な種

 1  Tofieldia coccinea Richards チシマゼキショウ 千島石菖 [広義]
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、北アメリカ原産。中国名は长白岩菖蒲 chang bai yan chang pu。
 常緑多年草。葉はほとんど根生葉、茎葉は少し。葉は長さ2.5~7(~8)㎝×幅2~3(~4) ㎜、かなり硬く、縁は微少な突起が密生しザラつきい、先は尖鋭形、脈は不明瞭。花茎は長さ5~16㎝、上部に短い線形の葉を1~2個もつ。総状花序は長さ7~30㎜、密に多数の花がつく。花は水平に広がり、又は頻繁に下を向く。花柄は花時に長さ0.5~0.8㎜、果時に長くなり、長さ1.5~2(~3.5)㎜。小苞は1個、円蓋形、先が3裂し、まれに3全裂する。花被片は白色又はわずかにピンク色又はまれに紫色を帯び、倒披針状長円形、長さ2~3㎜×幅約0.5㎜。雄しべは花被から突き出し、まれに花被と同長になる。子房は卵形、先がかすかに3裂する。花柱はかなり太く、長さ約0.4㎜、葯の長さに近い。蒴果は下向き、球形、直径2~2.5(~3)㎜、先はわずかに3裂し、長さ0.5~0.8㎜の宿存する花柱もち、柱頭は明瞭に太くなる。種子は線状紡錘形に近く、まれに楕円形、長さ (0.8~)1㎜、白色の縦の帯は無い。花期は7~8月。果期は8~9月。2 n = (20), 30, (32).。
1-1 Tofieldia coccinea Richards. var. coccinea  チシマゼキショウ 
   synonym Tofieldia nutans Willd. ex Schult. et Schult.f. 
   synonym Tofieldia fusca Miyabe et Kudo クロミノイワゼキショウ
   synonym Tofieldia coccinea Richards. var. fusca (Miyabe et Kudo) H.Hara 
   synonym Tofieldia coccinea Richards. f. fusca (Miyabe et Kudo) Q.S.Sun 
   synonym Tofieldia coccinea Richards. f. rishiriensis (Miyabe et Kudo) Sugim.
   synonym Tofieldia nutans Willd. ex Schult. et Schult.f. var. fusca (Miyabe et Kudo) Koidz.

1-2 Tofieldia coccinea Richards. var. akkana (T.Shimizu) T.Shimizu  アッカゼキショウ
 チシマゼキショウの低山地型の個体変異
1-3 Tofieldia coccinea Richards. var. dibotrya M.N.Tamura et Fuse  エダウチゼキショウ
&emsp1-4&emsp Tofieldia coccinea Richards. var. geibiensis (M.Kikuchi) H.Hara  ゲイビゼキショウ
1-5 Tofieldia coccinea Richards. var. gracilis (Franch. et Sav.) T.Shimizu  ハコネハナゼキショウ
 チシマゼキショウの低山地型。
 丈が高くなり、外観はハナゼキショウに似てくる.が、葉の縁に微少な突起が密生する。
 葉は長さ35~00㎜×幅1~3㎜でアポイゼキショウより長い。花茎は果時に長さ10~24㎝、花柄は果時に2~5㎜。果実は長さ2.5~4㎜。

1-6 Tofieldia coccinea Richards. var. kiusiana (Okuyama) H.Hara  ナガエチャボゼキショウ
   synonym Tofieldia nutans Willd. ex Schult. et Schult.f. var. kiusiana (Okuyama) Ohwi 


1-7 Tofieldia coccinea Richards. var. kondoi (Miyabe et Kudo) H.Hara  アポイゼキショウ
   synonym Tofieldia nutans Willd. ex J.A. et J.H.Schult. var. kondoi (Miyabe et Kudo) H.Hara 
   synonym Tofieldia coccinea Richards. var. fauriei (H.Lev. et Vaniot) T.Yamaz.
   synonym Tofieldia coccinea Richards. f. pallescens H.Hara 
   synonym Tofieldia fauriei H.Lev. et Vaniot 
 北海道(日高山脈、大平山、嵯山)、本州(中部・北部の標高1200~2800mの亜高山帯~高山帯)に分布。別名はチャボゼキショウ。
 葉は長さ25~80㎜×幅1.5~3㎜。果期に花茎は長さ5~12㎝、花柄が伸びて、長さ2~5㎜になる。果序には果実がやや疎らに付き、果実は長さ2~3(~4)㎜、茶褐色、黒色になることは少ない。

 2  Tofieldia furusei (Hiyama) M.N.Tamura et Fuse  ヤシュウハナゼキショウ
   synonym Tofieldia nuda Maxim. var. furusei Hiyama
 本州(栃木県)
 走出枝をもち、花柄は長さ8~15㎜。果実は広楕円形、長さ2.5~3㎜。

 3  Tofieldia nuda Maxim.
3-1 Tofieldia nuda Maxim. var. nuda  ハナゼキショウ  花石菖
 日本固有種(本州の関東地方以西、四国、九州)。別名はイワゼキショウ。
 愛知県では東三河地域でしか見られず、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。国ではリスト外。園芸種として販売されている。山地の岩崖地に生える。
 多年草。高さ10~30㎝。地下茎は短い。走出枝は無い。根生葉は長さ5~25㎝の剣状葉、縁に微細な鋸歯はなく、平滑、全縁、内折れし、基部が重なり、左右に2列につく。 花茎は高さ15~30㎝、2~3個小さな葉がつき、茎頂の長さ3~12㎝の総状花序に多数の花をつける。小花柄は長さ5~10㎜、基部に1個の苞が小花柄を包むようにつく。花被片は6個つき、白色、長さ3~4㎜の線状長楕円形。 雄しべは6個、花被片と同長かやや長い。花柱は3個。果実は卵状惰円形の蒴果。種子は尾状付属物がつかない。2n=30。花期は7~8月。
3-2 Tofieldia nuda Maxim. var. hizenensis T.Yamaz.  ヒゼンハナゼキショウ 肥前花石菖
 九州(佐賀県、長崎県)に分布。
 走出枝は無く、花柄は長さ4~8㎜。果実が広楕円形でハナゼキショウに似ている.が果実がやや小さく、長さ2.5~4㎜。

 4  Tofieldia okuboi Makino  ヒメイワショウブ 姫岩菖蒲
 日本固有種(北海道、本州の中部地方以北)。亜高山~高山の岩場、 草地に生える。
 多年草。高さ5~15cm。葉は長さ3~6㎝、幅2~6㎜、中央の幅が広い。長い花茎の先に長さ1~4㎝の総状花序をつける。花は5~10個ほどつく。花柄は長さ2~6㎜。花被片は白色、6個、長さ約6㎜。雄しべは6個、葯は黄色。雌しべは1個、花柱3個、子房は緑色。蒴果は長さ約4㎜。花期は7~8月。

 5  Tofieldia yoshiiana Makino
5-1 Tofieldia yoshiiana Makino var. yoshiiana  ヤクシマチャボゼキショウ 屋久島矮鶏石菖
   synonym Tofieldia nuda Maxim. var. yoshiiana (Makino) T.Yamaz.
 日本(屋久島)。
 走出枝をもち、花柄は長く、果期で長さ(7~)10~15㎜になり、包や小包の先は尖るがあまり鋭くない。果実は楕円状倒卵形、長さ3~4㎜。
5-2 Tofieldia yoshiiana Makino var. hyugaensis M.N.Tamura et Fuse  ヒュウガハナゼキショウ
 

5-3 Tofieldia yoshiiana Makino var. koreana (Ohwi) M.N.Tamura, Fuse et N.S.Lee  コハナゼキショウ
   synonym Tofieldia yoshiiana Makino var. kanwonensis (T.Yamaz.) M.N.Tamura, Fuse et N.S.Lee 
   synonym Tofieldia nuda auct. non Maxim. 
 韓国原産。
 花茎が長く、花柄も長いので、チャボゼキショウとは異なり、外観はハコネハナゼキショウに似ている.。 一株での葉の長さはほぼ均一で、長さ4~5㎝×幅1.5~3㎜(長さ/幅=約43)、ハコネハナゼキショウより葉が細長い.


 参考

1) Flora of China
  Tofieldia
  http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=133087
2) Flora of North America
 Tofieldia
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=133087
3) GRIN
 Tofieldia
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=11976
4)植物研究雑誌 第26巻第9号 昭和26年9月 p277-280
 原寛 :日本種子植物集覧第2冊より
 http://www.jjbotany.com/
5)植物研究雑誌 第77巻第5号 J. Jpn. Bot.77:299-303(2002)
 ハナゼキショウとチシマゼキショウについて
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_077_299_303.pdf

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