ハナミョウガ 花茗荷

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Flora of Mikawa

ショウガ科 Zingiberaceae ハナミョウガ属

中国名 山姜 shan jiang
学 名 Alpinia japonica (Thunb.) Miq.
ハナミョウガ花2
ハナミョウガ花
ハナミョウガ果実
ハナミョウガ果実の中身
ハナミョウガ
ハナミョウガ種子
花 期 6月
高 さ 40~60㎝
生活型 多年草
生育場所 暖地の林内
分 布 在来種 本州(関東以西)、四国、九州、中国、台湾
撮 影 五井山 03.6.8   実 04.1.18
ショウガ科特有の偽茎は高さ35~70㎝。葉舌は2裂し、長さ約2㎜、短毛がある。葉柄は長さ2㎝以下。葉身は披針形~倒披針形~狭長楕円形、長さ25~40㎝、幅4~7㎝、短毛があり、特に葉裏に多い。葉の基部は漸尖し、葉先は尖鋭形、微突起がある。総状花序は偽茎の先につき、長さ15~30㎝、花序軸には密に綿毛がある。総苞片は披針形、長さ約9㎝、花期には落ちやすい。小苞は非常に小さく、早落性。花は花序軸に普通2個対につき、しばしば退化した花をつける。小花柄は長さ約2㎜。萼は棍棒形、長さ1~1.2㎝、短毛があり、先は3歯がある。花冠の筒部は長さ約1㎝、まばらに短毛がある。裂片は長楕円形、長さ約1㎝、外面は綿毛がある。中央の裂片はフード状。側仮雄しべは線形、長さ約5㎜。唇弁は白色、赤色のストライプがあり、卵形、幅約6㎜、縁は不規則切れ込み、先は2裂する。雄しべは1個、長さ1.2~1.4㎝。雌しべ1個、柱頭が葯の間から突き出る。子房は綿毛が密生する。蒴果はサーモンレッド(salmon red) (写真の果実は深紅色=クリムソンに近い)に熟し、球形~楕円形、直径1~1.5(2)㎝、短毛があり、宿存性の萼が先に残る。種子は白色の仮種皮に包まれ、長さ約5㎜、幅約3㎜、角が多数あり、ショウノウ様の臭いがある。2n=48。

ハナミョウガ属

  family Melanthiaceae - genus Alpinia
 根茎は匍匐性で太い。偽茎は多数、よく発達しているが、まれに欠く。葉は多数、まれに1~4枚。葉身は長円形または披針形。花序は頂生の円錐花序、総状花序、または穂状花序で、密または緩く、未熟なときは1~3枚のへら状の総苞片で覆われる。苞(ある場合)は基部まで開き、まれにフード状になり、それぞれが1個の花または 2~多数の花からなるさそり形花序=扇状集散花序(cincinnus)の基部につく(subtending)。小苞は基部まで開くか筒状で、まれにフード状になり、ときに欠く。萼は通常筒状で、ときに片側が裂ける。花冠の中央裂片は ±フード状になり、通常側裂片よりも幅が広い。側仮雄しべは小さいかまたは欠き、錐形または歯状、唇弁の基部につく。唇弁はしばしば目立ち(showy)、通常、花冠裂片より大きく、ときに不明瞭、縁は様々に分裂または全縁。花糸は有または無。葯隔はとさか状(crested)またはとさかが無い。子房は通常3室、胎座は中軸。柱頭は通常は十分に広がり、ときに棍棒形になり、まれに膝状になる。花柱の茎状突起(Stylodes)はしばしば巨大になる。蒴果は通常球形で、乾燥または肉質、非裂開または不規則に裂開する。種子は多数あり、しばしば角張り、仮種皮がある。[Flora of China]
 多年草、常緑、根茎がある。根茎は匍匐性で、通常太い。根はひげ根、貯蔵根はない。葉の多いシュートは直立し、よく発達し、高さ1~4mになる。葉は、基部は一般に漸尖し、楔形または斜め、先は鋭形、尖鋭形、尾状または微尖形、縁は波打ち、全縁(A. mutica では鋸歯状)。花序は葉の多いシュートの頂部に付き、緩く(A. rafflesiana var. hirtiorでは密)、若いときは1~4個の鞘に覆われ、穂状、総状または円錐花序となる。苞は通常小さく、ときに大きく、冠弁を有し(calyptrate:フードのような外観をもつ)(A. oxymitra)または無く、色は多様で、白色、緑色、赤色、ピンク色、基部まで開き、稀に下部の1/3が融合し、ときに下部と上部の苞葉のみに限られ、単一の花または2~5個の花の苞葉を伴う。小苞は基部まで開き、筒状で、稀にフード状または無く、脱落性または宿存性。花は両性花で、白色、ピンク色、赤色、または黄色がかっている。子房は通常3室で、腋に胎座がある。花柱は細い。柱頭は通常よく広がり、杯形または漏斗形。上子房腺(epigynous glands)は2個で、平らである。萼は基部が筒状で、短く3裂し、片側で裂け、無毛または軟毛がある。花冠筒部は円筒形、萼片とほぼ同長またはそれより短い。花冠の背裂片は長円形または線状長円形で、ほとんどがフード付きで、側裂片はより小さい。側仮雄しべは小さい(A. javanica では長さ1.4㎝まで)か、または無く、白色または赤色。唇弁はしばしば目立ち(showy)、通常花冠裂片より大きく、時に目立たず、縁は様々に裂けまたは全縁になり、様々な色で凹面形、しばしば縁が内側に曲がり、ときに平らまたは垂れ下がり、縁は分岐脈のある花弁状領域に伸びる。雄しべ:花糸はよく発達する。葯は冠=とさか(crest)が有または無。果実は通常不規則に裂開すいる蒴果で、球形、卵形または狭楕円形(A. oxymitra では縦肋がある)で、成熟すると緑色、赤色、橙色、黄色または黒色(A. nigra)になる。種子は黒色で、しばしば角張る。[e-Flora of Thailand]
 世界に約248種あり、熱帯および亜熱帯アジア(インド~日本)、オーストラリア、太平洋諸島に分布する。

ハナミョウガ属の主な種と園芸品種

1 Alpinia boninsimensis Makino シマクマタケラン 島熊竹蘭
  synonym Alpinia nakaiana Tuyama
 小笠原固有種。林内の湿った場所や沢沿いに生える。
 常緑多年草草、高さ0.6~1.5m。 全体に無毛。 葉は葉柄があり、基部の葉鞘は偽茎状に茎を抱く。葉身は披針形、長さ30~40㎝×幅6~7㎝、先は鋭形、縁は波打ち、全縁、無毛、表面に光沢があり、中脈は隆起し、溝があり、葉脈が目立つ。花序は頂生の長さ15~25㎝の円錐花序、花序軸の各枝は分枝し1~4個の花がつく。小集散花序の花序柄は単純または2出(2叉)の小花柄であり、小花柄は長さ約5~40㎜、花が1個ずつつく。花は白色。子房下位、緑色、楕円形。唇弁は基部が急に狭くなり爪状になり、先が凹形、中央の縦溝の縁が赤色になり、2本の縞模様になる。雄しべは中央に弧状に直立した花柱の茎状突起(Stylodes)の先につき、葯は長楕円形、下向きにつく。柱頭は葯の間から突き出し、小さな頭状。側仮雄しべは直立し、線状披針形で、鈍形。果実は数個つき、倒卵形~球形、赤色に熟す。花期は6~7月。果期は12月。

2 Alpinia conchigera Griff. カラリョウキョウ 唐良姜
 アンダマン諸島、バングラデシュ、カンボジア、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、インドネシア(スマトラ)、タイ、ベトナム原産。POWOでは中国(雲南省)、インド、ラオスは分布域外。中国名は节鞭山姜 jie bian shan jiang。標高600~1100mの森林に生える。薬用に使われる。
 偽茎は1.2~2m。葉舌は全縁、長さ約5㎜、綿毛があるか無毛。葉柄は長さ5~10㎜。葉身は披針形、長さ20~30㎝×幅1~10㎝、中脈に沿って下面と縁に毛がある以外は無毛。側脈は乾くと非常に目立ち、密集し、基部は鈍形、先は鋭形。円錐花序は長さ20~30㎝、通常1~2分岐のみ。二次枝は多数、長さ約1.5㎝。苞葉は長さ約5㎜。小苞は漏斗形、長さ3~4㎜、先は斜めの切形。小花柄は長さ3~5㎜。萼片は淡緑色、カップ形、長さ3~4㎜、先は3裂。花冠は白色または淡青緑色、外面に毛がある。花冠筒部は萼片と同長。花冠裂片は長さ5~7㎜、中央の裂片は先が円形。側仮雄しべは赤色で、四角形で、長さ約1.5㎜。唇弁は淡黄色またはピンク色で、赤色の条線があり、倒卵形、長さ約5㎜、凹面形、基部は紫色のカロスが花冠の喉部を覆う。花糸は淡黄色~ピンク色で、長さ約5㎜、細く、葯は長さ約2㎜。子房は梨形、無毛。蒴果は新鮮なときは球形、乾くと長円形で、直径8~10㎜。種子は3~5個、強い芳香がある。花期は5~7月。果期は9~12月。

3 Alpinia flabellata Ridley イリオモテクマタケラン 西表熊竹蘭

  synonym Languas flabellata (Ridley) Merrill
  synonym Alpinia iriomotensis Masam.
  synonym Languas flabellata var. major (Ridl.) Merr.
 日本(琉球諸島)、台湾(火韶島と蘭嶼)、フィリピン原産。中国名は扇唇山姜 shan chun shan jiang。別名はハダカゲットウ。低地の林内に生える。
 偽茎は高さ3mまで。葉舌は卵形、全縁、長さ約1㎝、縁には微細な白色の毛がある。葉身は狭披針形、長さ30~40㎝×幅4~5㎝、無毛、縁は尖鋭形の先近くに小歯がある。円錐花序は長さ10~20㎝、花が密につき、枝は2~3本、長さ0.9~7㎝。苞は小さく、長さ約7㎜。小苞はない。小花柄は長さ2~3㎜、軟毛がある。萼は筒状で長さ約8㎜、鈍いうねがあり、無毛、先は3裂する。花冠筒部は長さ約1㎝、中裂片は長楕円形、約・長さ7㎜×幅3.5㎜、先は鉤状、微細な微突起があり、側裂片は倒卵状長円形、長さ約5㎜。側仮雄しべは唇弁の基部に2個つく。唇弁はほぼ扇形、長さ約1㎝、爪部は短く、拡大部はほぼ腎形、4裂する。花糸は線形で短く、無毛。葯は長円形で短く、葯隔の突起はない。蒴果は直径約6㎜、無毛。花期は6~7月。

4 Alpinia formosana K.Schum クマタケラン 熊竹蘭
  synonym Alpinia kumatake Makino
  synonym Alpinia satsumensis Gagnep
 日本(九州南部~沖縄)、台湾原産。中国名は美山姜 mei shan jiang
 偽茎は高さ1(~3.5)mまで。葉舌は長さ1㎝まで、外面には絨毛があり、先は鈍形。葉柄は無柄~長さ1㎝まで、葉身は披針形または長円状披針形、長さ50~70㎝×幅8~12㎝、両端は尖鋭形。円錐花序は狭く、長さ15~20㎝、花序軸は無毛またはまばらに絨毛があり、枝には2個または3個の花がつく。小苞は楕円形、長さ約1.5㎝、先は微尖頭。小花柄は長さ約3㎜。萼は長さ1.3~1.7㎝、片側が裂け、先には3歯があり、縁毛がある。花冠筒部は長さ約1㎝、無毛。花冠裂片は長円形、長さ約1.5㎝、先には縁毛がある。側仮雄しべは錐形、長さ2㎜未満。唇弁は白色、黄色を帯び、中央に赤色の縞模様があり、広卵形、長さ約3㎝、先は短く 2裂し、パリパリに縮れる。雄しべは長さ約2㎝、膝のように曲がる。子房はほぼ球形、白色の絹毛がある。蒴果は朱色、楕円形、しわがある。花期は7~8月。
 この種はAlpinia koshunensis Hayataをsynonymとし、Yang と Wang によって Alpinia intermedia と A. zerumbet の自然雑種であると認識されていたこともある (Chiu & Peng、Proc. Cross-Strait Symp. Florist. Diversity Conservation、183~197、1998)。POWOではAlpinia koshunensisとAlpinia formosanaを独立種と認めている。
品種) 'Pinstripe'

4-1 Alpinia formosana K.Schum. f. variegata (Makino) Kitam. フイリクマタケラン


5 Alpinia galanga (L.) Willd. ナンキョウ 南姜

  synonym Alpinia galanga var. pyramidata (Blume) K.Schum. 毛红豆蔻 mao hong dou kou

 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)、台湾、インド、アッサム州、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア(ボルネオ、ジャワ、スマトラ)原産。中国名は红豆蔻 hong dou kou。標高100~1300mの森林、低木林、草原に生える。
 根茎は塊茎がある。偽茎は高さ約2m。葉舌はほぼ円形、長さ約5㎜。葉柄は長さ約6㎜。葉身は長円形または披針形、長さ25~35㎝×幅6~10㎝、無毛または下面に毛があり、基部は漸尖し、先は鋭形または尖鋭形。円錐花序は約・長さ20㎝×幅30㎝、花序軸は無毛または毛があり、枝は多数、長さ2~4㎝、花が3~6個つく。苞と小苞は宿存する。小苞は披針形、長さ5~8㎜。花は緑白色、芳香がある。萼は筒状、長さ6~10㎜、宿存する。花冠筒部は長さ6~10㎜、花冠裂片は長円形、長さ1.6~1.8㎝。側仮雄しべは紫色、錐形または線形、長さ2~10㎜。唇弁は白色で赤い線があり、倒卵状へら形、長さ約2㎝、先端は深く2裂する。花糸は長さ約1㎝。葯は長さ約7㎜。蒴果は乾くと褐色または赤色になり、長円形で中央がわずかに狭くなり、長さ1~1.5㎝×幅約7㎜、薄く、無毛。種子は3~6個。花期は5~8月。果期は9~11月。

6 Alpinia intermedia Gagnep. アオノクマタケラン 青野熊竹蘭
  synonym Alpinia oblongifolia Hayata 
  synonym Alpinia takaminei Masam.   イシガキクマタケラン
 日本、中国、台湾、フィリピン原産。中国名は光叶山姜 guang ye shan jiang 。
 偽茎は高さ約1m。葉舌は長さ5~6㎜、乾いた膜質、縁毛がある。葉柄は長さ2.5㎝以下。葉身は長円形又は披針形、長さ20~50㎝×幅5~12㎝、無毛、基部は漸尖形、先は尖鋭形。円錐花序は直立又は垂れ下がり、長さ10~15㎝×幅2~4㎝、無毛、枝は長さ0.8~1.3㎝、先に花が3~5個つく、小苞は長円形、長さ7~10㎜、脱落性。花は白色、無毛。萼は筒形、長さ3.5~4.5㎜、先は円鋸歯状。花冠筒部は萼より短く、花冠裂片は狭い。側仮雄しべはつの形。唇弁は卵形、長さ約1.8㎝、基部は漸尖形。先は鋭形、2裂。葯は卵形、わずかに毛がある。花期は6月。2n= 48。
品種) ''Sun Spice'

7 Alpinia japonica (Thunb.) Miq. ハナミョウガ 花茗荷

  synonym Alpinia japonica var. kiushiana (Kitam.) H.Ohba ツクシハナミョウガ

 日本(本州の関東以西、四国、九州)、中国、台湾原産。中国名は山姜 shan jiang 。
 ショウガ科特有の偽茎は高さ35~70㎝。葉舌は2裂し、長さ約2㎜、短毛がある。葉柄は長さ2㎝以下。葉身は披針形~倒披針形~狭長楕円形、長さ25~40㎝、幅4~7㎝、短毛があり、特に葉裏に多い。葉の基部は漸尖し、葉先は尖鋭形、微突起がある。総状花序は偽茎の先につき、長さ15~30㎝、花序軸には密に綿毛がある。総苞片は披針形、長さ約9㎝、花期には落ちやすい。小苞は非常に小さく、早落性。花は花序軸に普通2個対につき、しばしば退化した花をつける。花柄は長さ約2㎜。萼は棍棒形、長さ1~1.2㎝、短毛があり、先は3歯がある。花冠の筒部は長さ約1㎝、まばらに短毛がある。裂片は長楕円形、長さ約1㎝、外面は綿毛がある。中央の裂片はフード状。側仮雄しべは線形、長さ約5㎜。唇弁は白色、赤色のストライプがあり、卵形、幅約6㎜、縁は不規則切れ込み、先は2裂する。雄しべは1個、長さ1.2~1.4㎝。雌しべ1個、柱頭が葯の間から突き出る。子房は綿毛が密生する。蒴果はサーモンレッド(salmonred)(写真の果実は深紅色=クリムソンに近い)に熟し、球形~楕円形、直径1~1.5(2)㎝、短毛があり、宿存性の萼が先に残る。種子は白色の仮種皮に包まれ、長さ約5㎜、幅約3㎜、角が多数あり、ショウノウ様の臭いがある。2n=48。花期は6月。
品種) 'Extra Spicy'

7-1 Alpinia japonica (Thunb.) Miq. f. xanthocarpa Yamasiro et M.Maeda キミノハナミョウガ

 果実が黄金色。

8 Alpinia kawakamii Hayata カワカミゲットウ 川上月桃

  synonym Alpinia shimadae Hayata var. kawakamii (Hayata) J.J.Yang et J.C.Wang

 台湾原産。中国名は密毛山姜 mi mao shan jiang。南台湾の標高400~900mの山地に生える。
 偽茎は長さ1~2m。葉はほぼ無柄。葉鞘は毛があり、目立つ縦の条線がある。葉舌は2裂し、長さ約4㎜、裏面に毛がある。葉身は線状披針形、約・長さ45㎝×幅5.5㎝、上面は無毛、下面に密に毛があり、基部は漸尖し、先は尾状尖鋭形。総状花序は直立し、長さ12~15㎝、丈夫で、花が密につく。花序軸は絨毛がある。小苞は倒卵形、約・長さ1.2㎝×幅7㎜、裏面に毛があり、縁に繊毛がある。花柄は約1mm、絨毛がある。萼片は約1cm、片側に裂け、外面に密に毛があり、縁に繊毛がある。花冠は白色、花冠筒部は長さ約1㎝、無毛、花冠裂片は縁に縁毛があり、側裂片は楕円状披針形、約・長さ1.8㎝×幅7㎜、中裂片より狭い。側仮雄しべは非常に短い。唇弁は卵形、約・長さ2.2㎝×幅1.6㎝、先は凹形、白色で赤色を帯びる。雄しべは長さ約1.7㎝。花糸は長さ約7㎜。子房は卵形、直径約2.5㎜。種子は黒色、仮種皮は膜質。

9 Alpinia koshunensis Hayata アルピニア・コーシュンエンシス

 台湾原産。中国名は恆春月桃。恒春半島の標高5~100mの陽光が降り注ぐ草原に生える。
 高さ2.0~3.0m。葉柄は長さ0~1.0㎝。葉身は長さ30~60㎝×幅8~20㎝、長円形~長円状披針形、先は尖鋭形~鈍形、基部は楔形、縁の絨毛を除いて両面とも無毛。葉舌は長さ1㎝、全縁または2裂し、厚い革質、外面には毛がある。花序は頂生の密穂花序(thyrse)、花序柄があり、無毛(無毛になる下部の節を除いて)で、長さ15~30㎝、斜上~直立し、下部の枝は長さ1.0~2.0㎝、花が1~3個つき、上部の枝は花が1個つく。苞は1~2個、脱落性。花は小花柄がある。小苞は白色で長さ1.0~1.5㎝、無毛、脱落性。萼片は筒状、緑白色、無毛、長さ1.5㎝、短く3裂し、片側で深く裂ける。花冠は緑白色、無毛、合弁花、3裂片に分かれ、背側の裂片は長円形、長さ4㎝×幅2㎝、側裂片は2個、基部は結合し長円形、長さ3㎝×幅1.2㎝。唇弁はクロムイエロー色で赤色の縞模様があり、回旋形、長さ3.5㎝×幅2.5㎝。仮雄しべは鈍形。雄しべ 1本。葯は長さ1㎝。花糸は長さ1.5㎝。柱頭は漏斗形、先には密に毛が生える。花柱は細く、長さ3㎝、無毛。花柱の基部横にある 2個の子房上腺(epigynous glands)は褐色、長さ0.2㎝。子房は緑色、軟毛がある。果実は蒴果、熟すと赤色になり、無毛、楕円形。種子は15~30個、角(かど)があり、仮種皮は白色、膜質。

10 Alpinia kusshakuensis Hayata クッシャクゲットウ 屈尺月桃
  synonym Languas kusshakuensis (Hayata) Sasaki
 台湾(台北市)原産。中国名は菱唇山姜 ling chun shan jiang。
 偽茎は高さ2m以上。葉は無柄または短い葉柄がある。葉舌は2裂し、長さ約8㎜、裏面には絨毛がある。葉身は披針形、約・長さ50㎝×幅10㎝、縁の縁毛以外は無毛、基部は漸尖し、先は急な尖鋭形。穂状花序は長さ約15㎝、花は密い多数つき、密に絨毛がある。小苞は貝殻形、長さ2.5~3㎝、先には2~3歯がある。小花柄は非常に短いかまたは無い。萼片は長さ約2㎝、片側が中央で裂け、外面には粗毛があり、縁と先にはわずかに毛がある。花冠筒部は長さ約1㎝、花冠裂片は長さ3~5㎝、中央の裂片は幅約1.5㎝の倒卵形。側仮雄しべは長さ4~5㎜。唇弁は中心が黄赤色、縁は黄色、卵状菱形、長さ4~4.5㎝×幅約3㎝、喉部は粗毛があり、縁は不規則に裂ける小歯状、先は尾状、2裂しない。雄しべは長さ約4㎝、葯は線形、長さ約1.5㎝。子房は長さ約1㎝、密に絨毛がある。花柱は無毛。花期は5月。
 この種は、Yang と Wangによって Alpinia shimadae と A. uraiensis の自然雑種と認識された。

11 Alpinia latilabris Ridley タチバナゲットウ 立花月桃
  synonym Alpinia hookeriana Valeton
  synonym Alpinia sericea Ridl.
  synonym Languas hookeriana (Valeton) Merr.
  synonym Languas sericea (Ridl.) Merr.
 ボルネオ、マラヤ、ミャンマー、ベトナム原産(インドシナ半島で栽培されている栽培種)。英名はupright shell ginger。ベトナムで胃薬として使われている。ゲットウに比べて草丈が高く、根元から分枝する数が多く、花序が直立する。ゲットウは円錐花序が垂れ下がる。
 多年草、高さ平均1.8~2.4(~3)m、幅は同程度に広がる。根茎から不規則に、疎に、上向きに群生する。葉は常緑、長楕円形、螺旋状につき、単葉、全縁、長さ40~60㎝×幅12.5~15㎝、緑色、羽状脈をもつ。花序は和名のように、ほとんどが上向きの頂部の総状花序。花は古い成長部につき、暖地以外では花が見られないこともある。花は芳香があり、初め、蕾は白色で、先端がピンク色、貝殻のように見え、後に開くが、開ききらず、黄色の唇が見え、のど部に赤色の網目をもつ。果実は橙赤色の球形の蒴果、花期は夏。開花は5~6月。

12 Alpinia malaccensis (N. L. Burman) Roscoe アルピニア・マラッケンシス

 中国(雲南省、広東省)、インド、アッサム、ブータン、バングラデシュ、カンボジア、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は毛瓣山姜 mao ban shan jiang。 観賞用として栽培される。
 偽茎は高さ約3m以上になる。葉舌は2裂し、長さ1㎝以下、わずかに綿毛がある。葉柄は長さ約2㎝、溝がある。葉身は長円形または披針形、長さ90㎝×幅15㎝・以下、下面に毛があり、基部は鋭形、先は尖鋭形。総状花序は直立し、長さ35㎝以下、花序軸は丈夫、密に黄色の毛がある。小苞は白色、広楕円形、長さ3.5~4㎝。小花柄は長さ約7㎜、密に黄色の毛がある。萼は鐘形、長さ約1.5㎝、密に絹毛がある。花冠は白色、絹毛がある。花冠筒部は長さ約1㎝、花冠裂片は長円形、長さ2.5~3㎝。側仮雄しべはない。唇弁は黄色で赤色の縞があり、卵形、長さ約3.5㎝、先は凹形。雄しべは長さ約2.4㎝。子房は絨毛がある。蒴果は黄色、球形、直径約2㎝、不規則に裂開する。花期4月。2n=48。
品種) 'Giant Pink Shell'

13 Alpinia mesanthera Hayata カッパンクマタケラン 角板熊竹蘭

  synonym Languas mesanthera (Hayata) Sasaki
 台湾原産。中国名は疏花山姜 shu hua shan jiang
 偽茎は1~2m。葉は無柄。葉舌は外面および縁に剛毛があり、先は円形。葉身は線状披針形、約・長さ60㎝×幅10㎝、縁に絨毛がある以外は無毛、基部は楔形、先は尖鋭形。総状花序は直立し、長さ約27㎝、緩い。花序柄は粗毛がある。小苞は約・長さ2.2㎝×幅1.7㎝、片側が裂け、無毛、先は2または3裂する。小花柄は花軸に対して直角につく。萼は円筒形、長さ約2㎝、片側が裂け、基部は外面に短い粗毛があり、先は3裂し、縁毛がある。花冠筒部は円筒形、長さ約1.3㎝、外面は無毛。中央裂片は倒卵形、約・長さ3㎝×幅2.5㎝、先は凹形または2裂し、縁毛がある。側裂片は長円形~へら形、中央裂片より狭い。側仮雄しべは疣があり、粗毛がある。唇弁は円形、直径約3㎝、縁は小歯があり、先は2裂する。花糸は長さ約1㎝。葯は倒矢じり形、長さ約1㎝。子房は長円形、長さ約1.3㎝、密に絨毛がある。花期は7月。
 YListではシンチクハナミョウガ(A. shimadae)とゲットウ(A. zerumbet)の交雑種としている。

14 Alpinia nigra (Gaertn.) B.L.Burtt チクリンカ 竹林花
  synonym Alpinia bilamellata Makino
 中国(雲南省南部)、インド、アッサム、アンダマン諸島、ニコバル諸島、スリランカ、ネパール、ブータン、ミャンマー、バングラデシュ、タイ原産。中国名は黑果山姜 hei guo shan jiang。標高900~1100mの森林に生える。薬用に使われる。ドミニカ共和国、ジャマイカ、カザン列島、小笠原諸島などに帰化している。古くは小笠原の固有種とされ、絶滅危惧種に指定されていたこともある。花がピンク色。
 偽茎は高さ1.5~3m。葉は無柄またはほぼ無柄。葉舌は円形、長さ4~6㎜、無毛。葉身は披針形または楕円状披針形、長さ25~40㎝×幅6~8㎝、無毛、基部と先は鋭形。円錐花序は直立し、高さ30㎝まで、枝は広がり、長さ2~8cm、花序軸と枝には綿毛があり、通常は緩く、離れたさそり形花序(cincinni)がある。苞は卵形。小苞は漏斗形、綿毛があり、宿存する。小花柄は長さ3~5㎜。萼片は筒状、長さ1.2~1.5㎝、片側が長さの約2/3で裂け、外側に毛がある。花冠筒部は長さ約1㎝。花冠裂片は長円形、長さ約1.2㎝、外側に毛があり、中裂片は側裂片より幅が広く、先は僧帽形(cucullate)。側仮雄しべは錐形。唇弁は倒卵形、長さ約1.5㎝、基部には爪部があり、先は2裂する。雄しべは長さ約1.5㎝。花糸は線形、長さ約1㎝。葯は曲がる。子房には密に毛がある。蒴果は乾燥すると黒色になり、球形、直径1.2~1.5㎝、まばらに毛があり、不規則に裂開し、先に花が残る。小花柄は長さ5~10㎜。種子は直径 5~6㎜。花期は7~8月。

15 Alpinia officinarum Hance コウリョウキョウ 高良姜
 中国(広東省、広西チワン族自治区、海南省)、カンボジア、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は高良姜 gao liang jiang。薬用に使われる。
 根茎は細長く、円柱形。偽茎は高さ40~110㎝。葉は無柄。葉舌は披針形、全縁、長さ2~3(~5)㎝、膜質。葉身は線形、長さ20~30㎝×幅1.2~2.5㎝、無毛、基部は漸尖し、先は尾状。総状花序は直立し、長さ6~10㎝。花序軸には綿毛がある。小苞は非常に小さく、長さ1㎝以下。小花柄は長さ1~2㎜。萼片は長さ8~10㎝、微軟毛があり、先に3歯がある。花冠筒部は萼片よりわずかに短く、花冠裂片は長円形、長さ約1.5㎝、中裂片はフード状。唇弁は白色で、赤色の条線があり、長さ約2㎝の卵形。花糸は長さ約1㎝。葯は長さ約6㎜。子房には綿毛がある。蒴果は赤色、球形、直径約1㎝。花期は4~9月。果期は5~11月。2n=48。
品種) 'Mcghiejcg' (PBR) , 'Variegata' (v)

16 Alpinia oxyphylla Miq. ヤクチ 益智
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、海南省、雲南省)原産。中国名は益智 yi zhi。野生植物と栽培植物の両方が薬として使用される。
 偽茎は高さ1~3m。葉舌は帯褐色、2裂、長さ1~2㎝、まれにこれより長く、膜質、まばらに微軟毛がある。葉柄は短い。葉身は披針形、長さ25~35㎝×幅3~6㎝、基部はほぼ円形、縁は粗毛があり、無毛になり、先は漸尖形で尾状。総状花序は花芽の中では帽子形の総苞に包まれ、開花時に総苞は落葉する。花序軸にはごく短い微軟毛がある。小花柄は長さ1~2㎜。萼は筒状で長さ約1.2㎝、片側が中央で裂け、外面に軟毛があり、先に歯がある。花冠筒部は長さ8~10㎜、花冠裂片は長円形、長さ約1.8㎝、中裂片は白色、側裂片より幅が広く、外側にまばらに微軟毛がある。側仮雄しべは錐形、長さ約2㎜。唇弁は白色で赤色の縞模様があり、倒卵形で、長さ約2㎝、先端の縁はパリパリに縮れる。花糸は長さ約1.2㎝、葯は長さ約7㎜。子房は綿毛が密にある。蒴果は新鮮なときは球形、乾くと紡錘形になり、長さ1.5~2㎝×幅約1㎝、隆起した維管束縞があり、軟毛があり、先には萼片が宿存する。種子は不規則な偏球形、仮種皮は帯褐色。花期は3~5月。果期は4~9月。2n=48。

17 Alpinia pricei Hayata プライスゲットウ
 台湾原産。中国名は短穗山姜 duan sui shan jiang。
 偽茎は高さ約1m。葉舌は長円形、長さ約5㎜、縁は繊毛、先は鈍形。葉柄は長さ約1㎝。葉身は線状披針形、長さ約30㎝×幅2~3㎝、無毛または裏側に毛があり、基部は細くなり、先は尖鋭形。総状花序は長さ約10㎝、花序軸には毛がある。小花柄は長さ約2㎜、粗毛がある。萼は鐘形、長さ約1㎝、片側に裂け、外側に毛がある。花冠筒部は鐘形、長さ約6㎜、内側に毛があり、外側は無毛、先は幅約4㎜、中裂片は倒卵形、約・長さ2㎝×幅1㎝、縁には縁毛がある。側裂片は中裂片より狭い。側仮雄しべはない。唇弁は倒卵形、約・長さ2㎝×幅2㎝、基部は楔形、縁は中央より上で狭くなり、円鋸歯があり、先は短く2裂する。花糸は扁平になり、長さ約1.2㎝、無毛。葯は長さ約7㎜。子房は球形、直径約1.5㎜、絨毛がある。花期は3月。

18 Alpinia purpurata (Vieill.) K.Schum. アカボゲットウ 赤穂月桃

 インドネシア(マルク)、パプアニューギニア(ビスマルク諸島)、ニューカレドニア、ソロモン諸島、バヌアツ原産。英名は red ginger , red ginger lily。別名はレッドジンジャー。
 多年草、高さ0.8~2.5(~7)m。 葉は狭楕円形、長さ20~50(~80)㎝×幅3.5~15㎝、先は鋭形、基部はくさび形、無毛。葉舌は長さ5~8㎜。 花序は直立した穂状花序状の密錐花序(thyrsus)、長さ8~25(~90)㎝×幅3.5~8㎝。各苞に花が1~5個の扇状集散花序(cincinnus)がつく。苞は倒卵形、長さ3~5㎝、先は鈍形~鋭形、無毛~微軟毛があり、赤色。小苞は筒状、長さ20~40㎜。花柄は長さ1~2㎜。 萼は長さ10~20㎜。花冠は長さ30~50㎜、無毛、白色。唇弁は長さ55㎜以下、白色。側部の仮雄しべは花弁状。蒴果はほぼ球形、直径30㎜以下。種子は赤色、仮種皮は無い。花期は6~10月。
品種)  'Double Red' , 'Hot Pink' , 'Pink'='Pink Cone'ピンクジンジャー , 'Purest White' , 'Rosea'

19 Alpinia sessiliflora Kitam. アリサンゲットウ

  synonym Alpinia pricei Hayata var. sessiliflora (Kitam.) J.J.Yang et J.C.Wang

 台湾原産。中国名は大头山姜 da tou shan jiang。標高1300~2000mの山岳地帯に生える。
 偽茎は長さ1~2m。葉は葉柄があり、葉舌は長円形、裏面は毛がある。葉身は線状披針形、約・長さ80㎝×幅11㎝、上面は無毛、下面は脈に沿ってまばらに絨毛がある以外は無毛、基部は漸尖し、縁は粗毛があり、先は鋭形または尖鋭形。穂状花序は直立し、暗赤色または紫赤色で、約・長さ9㎝×幅6㎝、花が密につく。花序軸は密に絨毛があり、基部には花序の基部につく2つの仏炎苞状の苞がある。小苞は長さ約3.2㎝、宿存する。小花柄はない。萼は円筒形、約・長さ1.5㎝ ×幅8㎜、基部は裏面がビロード状。花冠筒部は長さ約1.4㎝、無毛。花冠裂片は倒卵形、長さ1.8~2.2㎝。側仮雄しべはない。唇弁は亜球形で、約・長さ2㎝×幅2㎝、基部は狭まり、縁はパリパリに縮れている。花糸は長さ約7㎜。葯は長さ約8㎜。子房は球形、直径1㎝未満、密に絨毛がある。蒴果は暗赤色、紡錘状球形で、約・長さ1.5㎝×幅1㎝、基部には宿存する小苞があり、先には宿存するがある。花期は1月。

20 Alpinia shimadae Hayata シンチクハナミョウガ 新竹花茗荷
  synonym lpinia dolichocephala Hayata
 台湾原産。中国名は密穗山姜 mi sui shan jiang。標高400~800mの森林、山岳地帯に生える。
 偽茎は高さ1~2m。葉はほぼ無柄または短い葉柄がある。葉舌は長円形、縁に粗毛がある。葉身は線状披針形、縁の粗毛以外は無毛。穂状花序は円筒形、長さ12~15cm、花が密につく。花序軸には絹毛糸状絨毛がある。小苞は倒卵形、長さ約1.5㎝、早落する。萼はほぼ円筒形、長さ約1.8㎝、片側が裂け、外側に粗毛があり、先には3歯がある。花冠筒部は長さ約8㎜、花冠裂片は長さ約1.5㎝、縁には縁毛があり、中裂片はほぼ円形、側裂片は中裂片より狭い。唇弁は卵状菱形、約・長さ1.6㎝×幅1.6㎝、基部に2個の硬点(callosities)があり、縁は不規則に裂ける。葯は長さ約8㎜、先端は2裂sうる。子房は長さ約3.5㎜の円筒形、密に絨毛がある。蒴果は球形、直径約1.3㎝、ときにわずかにうねがあり、粗毛があり、基部には宿存する小苞はなく、先には宿存する萼がある。花期は5月。果期は7月。

21 Alpinia tonrokuensis Hayata トンロクゲットウ 屯鹿月桃
  synonym Languas tonrokuensis (Hayata) Sasaki
 台湾原産。中国名は台北山姜 tai bei shan jiang。台北市で確認された。
 偽茎は高さ2~3m。葉はほぼ無柄。葉舌は2裂、長さ約8㎜、裏面には絨毛がある。葉身は披針形、約・長さ55㎝×幅10㎝、縁に粗毛がある以外は無毛、基部は鋭形、先は線状の尾状、長さ約2㎝。穂状花序は直立し、長さ20~25㎝、花が密につき、黄色の絨毛が密にある。小苞はピンク色、貝殻形、約・長さ3㎝×幅3㎝、先はほぼ円形。萼はピンク色、倒円錐状円筒形、長さ約2㎝、片側が中央まで裂ける。花冠筒部は長さ約1㎝、花冠裂片は倒卵形で4~5cm、基部は漸尖する。側仮雄しべは非常に小さい。唇弁は中心が黄赤色、縁は黄色、広卵状菱形、長さ3~4㎝×幅2.5㎝、基部には密に粗毛があり、先はほぼ尖頭形で、短く2裂する。雄しべは直立または反り返る。葯は線形、長さ約1.5㎝。葯隔は2裂し、幅約6㎜、粗毛がある。子房は密に綿毛がある。柱頭は漏斗形。花期は5月。  この種は、Yang と Wangによって Alpinia uraiensis と A. zerumbet の自然雑種であると認められた。

22 Alpinia uraiensis Hayata タイリンゲットウ 大輪月桃
 台湾原産。中国名は大花山姜 da hua shan jiang
 全体に大形、葉も長く、葉に葉柄がほとんど無く、葉舌が長さ1㎝以上あり長い。花序は直立、花柄は短い。
 偽茎は高さ2~4m。葉は無柄、葉舌は長円状三角形、長さ1~1.5㎝×幅約 6㎜、外側に粗毛があり、先は鈍形。葉身は線状披針形、長さ約1m×幅約13 ㎝、無毛、基部と先は尖鋭形。総状花序は直立、花のつく部分は長さ約25㎝、密に花がつく。花序軸には密に剛毛状の綿毛があり、多数の溝がある。苞は先が赤紫色、線形長さ約2.5㎝×幅4~5㎜、無毛。小苞は円形、長さ約5.5㎝、外側の基部に剛毛がある以外は無毛。花柄は長さ約3㎜、中程度に丈夫、密に毛がある。咢は白色に近く、鐘状円筒形、長さ約3.5㎝×幅2㎝、片側で深く割れ、外側にはまばらに粗毛があり、先は細かい6歯がある。花冠筒部は長さ約1.3㎝、外側にまばらに粗毛があるか、又は類無毛。.中裂片は倒卵状長円形、約長さ3.5㎝×幅2.8㎝。側仮雄しべは線形、長さ約2㎜。唇弁は黄色で、中央が帯赤色、放射状の縞.が上部の中間部分にあり、縁で消え、長円状三角形、約長さ5㎝×幅4㎝、先は2裂。裂片は長さ6~7㎜、小さないぼがあり、基部に密に絨毛がある。花糸は長さ約1㎝。葯は長さ約1.8㎝。子房は球形。花柱は先が円蓋状。蒴果は淡緋色、球形、直径約2.5㎝、密に毛がある。花期は4~5月。

23 Alpinia zerumbet (Pers.) B.L.Burtt et R.M.Sm. ゲットウ 月桃

  synonym Alpinia speciosa (J.C.Wendl.) K.Schum. var. longiramosa Gagnep.

  synonym Alpinia speciosa (J.C.Wendl.) K.Schum.
  synonym Alpinia schumanniana Valeton
 中国、台湾、インド、スリランカ、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は艳山姜 yan shan jiang。 英名はshell ginger。
 偽茎は高さ2~3m。葉舌は長さ5~10㎜、外側に毛がある。葉柄は長さ1~1.5㎝。葉身は披針形、長さ30~60㎝×幅5~10 ㎝、縁に毛がある以外は無毛、基部は漸尖形、先は尖鋭形で螺旋形の微突形。円錐花序は垂れ下がり、長さ30㎝以下、若いときには2個の長い鞘に包まれ、花序軸は紫赤色、ビロード状。枝はごく短く、花が1又は 2(又は3)個つく。小苞は花芽を包み、白色、先がピンク色、楕円形、長さ3~3.5㎝、無毛。 花柄は長さ1~2㎝。咢は白色、類鐘形、長さ約2㎝、片側で割れ、先に歯がある。花冠筒部は萼より短い。花冠裂片はミルキーホワイトで先がピンク色、長円形、長さ約3㎜。中裂片は側裂片より大きい。側仮雄しべは錐形、長さ約2㎜。唇弁は黄色で、紫赤色の縞があり、広卵状へら形、長さ4~6㎝、先はパリパリする。雄しべは長さ約2.5㎝。子房は黄金色、粗毛がある。蒴果は朱色、球形、直径約2㎝、うねがあり、先に宿存する咢をもつ。種子は角(かど)がある。花期は4~6月。果期は7~10月。2n=48。
品種) 'Variegata' (v) , 'Yu Hwa Ginger'

24 ハイブリッド
(1) Alpinia x ilanensis S.C.Liu et J.C.Wang ギランハナミョウガ 宜蘭花茗荷
 台湾原産。中国名は宜蘭月桃。  ハナミョウガ(A. japonica)とプライスゲットウ(A. pricei)の自然交雑種。
(5) Alpinia x okinawensis Tawada クマタケゲットウ 熊竹月桃
 栽培種。クマタケラン(A. formosana)とタイリンゲットウ(A. uraiensis)との交雑種。

参考

1) Flora of North America
 Alpinia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=101188
2) Florats of China
 Alpinia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=101188
3) ショウガ科植物ゲットウ - 琉球大学
 ショウガ科植物ゲットウ、タイリンゲットウの有効利用に関する研究
http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/14200/1/Vol20No1p9.pdf
4) GRIN
 Alpinia
http://www.tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxon/taxonomyfamily?type=tribe&id=2365
5) チクリンカ - 東京農業大学
 チクリンカ
https://www.nodai.ac.jp/hojin/journal/images/j_1211/h4.pdf
6) World Flora Online
 Alpinia purpurata (Vieill.) K.Schum.
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000338713;jsessionid=F95E5922F9DEF19C26D5DC031CCD588B
7) 植物研究雑誌 30(10): 319–319(1955)
 前田正之 : 新品種キミノハナミョウガ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_030_319_319.pdf
8) 植物研究雑誌 80(6): 361–363(2005)
 船越英伸 : 絶滅危惧1A類チクリンカ(ショウガ科)の正体
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_080_361_363.pdf
9) e-Flora of Thailand
 Alpinia
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_080_361_363.pdf
10) Taiwania, 55(1): 67-71, 2010
 The Identity of Alpinia koshunensis Hayata (Zingiberaceae)
https://www.researchgate.net/publication/266411474_The_Identity_of_Alpinia_koshunensis_Hayata_Zingiberaceae