ハマゴウ 浜栲

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae ハマゴウ属

中国名 单叶蔓荆 dan ye man jing
英 名 beach vitex , roundleaf chastetree
学 名 Vitex rotundifolia L. fil.
ハマゴウの花序
ハマゴウの花
ハマゴウの実
ハマゴウの紅葉
ハマゴウ
ハマゴウ葉
花 期 7~10月
高 さ 30~60㎝
生活型 落葉小低木
生育場所 海岸の砂浜
分 布 在来種 本州、四国、九州、沖縄、中国、台湾、東南アジア、ハワイ、オーストラリア
撮 影 西浦町  05.7.17
ハマゴウは海岸の砂浜で、大きな群落となって見られる。ハッカのよい香りがするのが特徴。
 幹は灰褐色、砂中を這って広がる。枝には4稜がある。葉は対生し、長さ5~10㎝ 、幅2~5㎝の卵形、全縁で、葉柄がある。葉の両面に微毛が密生し、葉裏は灰白色。円錐花序に唇形花が多数つく。花冠は淡青紫色、長さ1.2~1.6㎝、花冠の先は上唇は2裂し、下唇は3裂し、中央裂片は大きい。雄しべ4個。柱頭は2又する。果実は球形で、秋に黒く熟す。2n=32。
 まれに白花もあり、シロバナハマゴウという。

ハマゴウ属

 family Lamiaceae - genus Vitex

 高木又は低木。枝は無毛又はまばらに微軟毛がある。葉は対生、掌状、(1~)3~8小葉。小葉は小葉柄があり、縁は全縁、歯状、鋸歯状又は切れ込む。花序は頂生又は腋生の集散花序、密穂花序又は円錐花序。苞は普通、小さく、しばしば、早落性。咢は鐘形、筒形又は漏斗形、ときに2唇形。下唇は普通、切形又は短い5歯がある。花冠は青色、白色又は黄色、2唇がある。下唇は3裂し、中裂片は大きく長くなる。上唇は普通、2裂。雄しべは4本、2強雄しべ、ときに突き出す。葯室は先端だけにつき、開dする。子房は2~4室。胚珠は各室に1又は2個。花柱は糸状。柱頭は2裂。核果は大きくなった咢に抱かれ、球形、卵形、又は倒卵形、普通、4室で4種子だが、しばしば室が抑制され、小堅果の基部は中空の空洞になる。内果皮は骨質の小堅果であり、中果皮は一般的に肉質。種子は倒卵形又は長円形、胚乳は無い。子葉は普通、肉質。
 世界に約250種あり、主に熱帯に分布し、少数が両半球の温帯地域に分布する。

ハマゴウ属の種

1 Vitex agunus-castus L. セイヨウニンジンボク 西洋人参木

 ヨーロッパ(ウクライナ、アルバニア、ブルガリア、旧ユーゴスラビア、ギリシャ、イタリア、フランス、スペイン)、西~中央アジア(アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、タジキスタン、トルクメニスタン、 ウズベキスタン、キプロス、イスラエル、 ヨルダン、レバノン、シリア、トルコ)、アフリカ(アルジェリア、チュニジア、モロッコ)原産。中国名は穗花牡荊 sui hua mu jing 。英名はchasteberry , chastetree 。別名はイタリアニンジンボク。
 落葉低木、全体に特有な香りがある。直立し、高さ1~2m、ときに4m、帯白色の綿毛があり、枝は不明瞭な4稜形。葉は掌状複葉、小葉は5~7個、2個の小葉は他のものより短くて、小さく、小葉は普通、披針形、長さ(2~)5~10(~12)㎝、幅(4~)10~15(~20)㎜、下面に帯白色の綿毛があり、 先鋭、類無柄~短柄、普通、全縁。花序は頂生、長さ10~20㎝、類円柱形、間隔のあいた集散花序が輪散花序を形成し、コンパクト、無柄又はほぼ無柄、普通、長さ8~13㎜。花はライラック色又は濃バイオレット色、幅約4㎜。萼は長さ3㎜、幅2㎜、鐘形、切形~三角形~不明瞭な歯状、宿存性。花冠は2唇形、長さ7~10㎜、萼から突き出し、下唇は無毛~基部にわずかに軟毛がある。雄しべ4個、花冠から突き出る、雌しべ1個。花柱は糸状、赤色を帯び、先は2裂。核果は球形、直径2~2.5㎜、上が中間までつきだし、わずかに大きくなり、広がる。萼は宿存し、無毛、4室、それぞれの室に普通、1種子を持つ。花期は7~9月。
品種) 'Abbeville Blue' , 'Agnuzell' (PBR) , 'Alba' , 'Amiguita' , Blue Diddley = 'Smvacbd' , 'Blue Spire' , 'Blushing Bride' , 'Blushing Spires' , 'Colonial Blue' , First EditionsR Blue Puffball™ , First EditionsR Delta Blues™ , 'Fletcher Pink' , 'Lavender Lady' , 'Lecompte' , 'Mississippi Blue' , 'Montrose Purple' , 'Rosea' , 'Shoal Creek' , 'Silver Spire' , 'Smvacbd'

2 Vitex bicolor Willd. ヤエヤマハマゴウ 八重山浜栲

  synonym Vitex trifolia L. var. bicolor (Willd.) Moldenke [YList]
 日本南西諸島(石垣島、西表島)、中国(海南島)、インド、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、ビスマルク諸島、オーストラリア、ュージーランド(ニウエ)、太平洋諸島(カロリン諸島、クック島、フィジー、ギルバート島、ライン島、マルク諸島、マリアナ諸島、ナウル、ニューカレドニア、サモア、ソロモン島、、バヌアツ、ウォリス・フツナ島)、アフリカ(南アフリカ、ケニア、タンザニア、トンガ)、マダガスカル、コモロ諸島原産。英名はIndian lilac , simple-leaf chaste-tree。YListではVitex iriomotensis Ohwiをsynonymとしている。葉は3~5小葉。旧世界の熱帯地方の標高0~50mの海岸沿いに広く分布し、広く栽培されている。種小名のbicolorは、乾燥すると葉の表側と裏側の色が明らかに異なることに由来している。
 低木、高さ3m。節から根は出さない。葉は3~5出複葉であり、しばしば5出複葉となり、茎の上部では単葉になることが多い。小葉は中央の3小葉には明瞭な小葉柄があり、小葉の葉身は卵状楕円形~狭楕円形、先が尖鋭形~鋭形、基部は楔形、上面が無毛、下面には綿毛がある。花序は複円錐花序で、頂生または上部の葉腋につき、円錐花序の小集散花序には明瞭な花序柄がある。花は青色。

Vitex trifolia、Vitex bicolor、Vitex rotundifoliaの分類


Vitex trifolia L.、Vitex bicolor Willd.、およびVitex rotundifolia L.f.は、V. negundo、V. agnus-castus、V. benthamiana、およびV. pseudo-negundoとともにV. trifoliaグループに属す(de Kok、Reference de Kok2007)。3種は、アフリカ、アジア、太平洋の一部に自生する(POWO 2022)。歴史的に、これらの分類群は互いに混同されることが多く、その結果、多くの命名法の改訂が行われてきた。Lam(Reference Lam1919)は、V. bicolorをV. negundoに分類し、V. rotundifoliaをV. trifoliaにグループ化した。しかし、Moldenke(Reference Moldenke1957)は、後にこれを改訂し、3種をV. trifoliaにグループ化し、別々の植物変種を確立することで、それぞれの種内差異を認識していた。 de Kok (Reference de Kok2008) はこの種内分類を亜種レベルにまで引き上げ、V. trifolia と V. bicolor の型を V. trifolia subsp. trifolia にグループ化し、成長習性と分布の違いにより V. rotundifolia を V. trifolia subsp. littoralis として別々に分類した。最近では、de Kok と Sengun(Reference de Kok、Sengun、および Bramley2020) がこれらの分類群を 3つの別個の種、つまり通常、3小葉のV. trifolia、通常、3~5小葉の V. bicolor、常に単葉の V. rotundifolia に再分類した。
 V. bicolor、V. trifolia s. str.、および V. rotundifolia は、フィリピンで薬用として使用されていることが記録されている種複合体の一部である。特にV. bicolorは、しばしば総称して「lagundi」または「lagunding dagat」と呼ばれ、フィリピン保健省によって推奨されている近縁の分類群である。ゲノムの系統発生解析では、他の 12 個のシソ科種とともに、種複合体内で高いブートストラップサポート (> 88%) が示され、V. trifolia が V. bicolor に最も近い親戚であると関連付けられた(参考6)。

3 Vitex cofassus Reinw. ex Blume ヒトツバニンジンボク 一つ葉人参木

 インドネシア(スラウェシ島、マルク諸島)、ニューギニア島、ソロモン諸島、ビスマルク諸島、カロリン諸島、マリアナ諸島原産。英名はvitex , New Guinea-teak。別名はアビオクル。木材はニューギニアチークNew Guinea teakと呼ばれる。
 高木、高さ33mにもなる。樹皮はほぼ平滑、灰色。葉は葉柄があり、葉身は単葉、長さ12.0~22.0㎝×幅約10.0㎝。花は小さく、長さ4.0~10.0㎜、淡紫色、濃い紫色の斑点がある。果実は長さ10.0~12.0㎜、直径10.0㎜、緑色、ジューシーな灰色~黒色に熟し、1~4個の種子がある。

4 Vitex glabrata R.Br. ナンヨウオオニンジンボク 南洋大人参木

 インド、バングラデシュ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、シンガポール原産。英名はsmooth chastetree, bush currant, black plum, black fruit, black grape。川岸、小川、湿地、丘陵地帯に生える。果実は黒色で、熟すと甘くなり、生でも調理しても乾燥させても食べられる。
 高さ約12~18m、幹の周囲は約1.5~2.4mの大木になる。幹は太い溝と控え壁があり(buttressed)、しばしば節くれや丸い突起で覆われる。樹皮は灰色または褐色、コルク質で平滑、しばしば縦に割れ目が入り、内側は淡黄色、すぐに緑黒色に変わり、枝や小枝は鈍角の四角形で無毛またはわずかに毛があり、節は平らである。葉は掌状複葉で3~5小葉、小葉は倒卵状楕円形または卵状楕円形、頂小葉は長さ7~15㎝×幅4~8㎝、側小葉は長さ5~7㎝×幅2~3㎝、葉柄は長さ0.5~1㎝、基部は鋭形、縁は全縁またはわずかに波打ち、先は鋭形~鈍形、ほぼ革質または紙質、厚く、上面は光沢のある暗緑色で無毛、下面の脈はより淡色でわずかに毛があり、側脈は中脈の両側に8~16本、斜上して平行、縁は弓状、上面で凹み、下面に突出し、網状の細脈がある。葉柄は細管状、長さ約3~12㎝。花序は腋生または頂生の散房花序で、直径約10~15㎝。花序柄は細く、鈍角の四角形で平ら、角の間に溝があり、長さ約3~4㎝。苞は不明瞭、小苞は線状披針形。花は両性花、多数あり、緑白色。小花柄は長さ2~3㎜。萼は杯形、5歯があり、歯は鋭形、外側にわずかに毛があり、約・長さ3㎜×幅3㎜。花冠は漏斗形、5裂し、2唇形、鈍い白色または紫青色で白色を帯びる。上唇は2裂し、倒卵形、先は鈍形。下唇は3裂し、中裂片はほぼ円形で凹面形、先は鈍形、この下側の中裂片は倒卵形で、他の4裂片の2倍の大きさがあり、縁はほぼ全縁。花冠筒部は円筒形、喉部に密に絨毛があり、外側に毛がある。雄しべは4本、2強雄しべ、突き出し、花糸は細く、糸状、長さ約3.5~7㎜、突き出し、基部には絨毛がある。葯は倒卵形またはほぼ球形、黒褐色、2室がある。子房は2心皮形、4裂し、倒卵形。花柱は細く、柱頭は2裂、錐形。果実は核果状、球形、直径約1.5~1㎝、緑色、無毛、黒紫色に熟し、果時の萼は低い杯形(platelliform)、大きくなる。種子は4個、胚乳は無い。花期は2~9月。果期は10~12月。

5 Vitex negundo L タイワンニンジンボク 台湾人参木 広義
 日本、韓国、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山東省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、モルディブ、アンダマン諸島、ニコバル諸島、ラッカディブ諸島、スリランカ、パキスタン、アッサム、ネパール、ブータン、ミャンマー、アフガニスタン、バングラデシュ、カンボジア、タイ、ベトナム、マリアナ諸島、イラン、アフリカ(モーリシャス、モザンビーク、ソマリア、タンザニア)、マダガスカル原産。インドネシア、フィリピン、北アメリカ、西インド諸島などに帰化している。POWOでは日本が分布域とされているが、日本では栽培種とされている。中国名は黄荆 huang jing。英名はChinese chaste tree, five-leaved chaste tree, horseshoe vitex, nisinda。標高100~3200mに生える。繊維用、薬用に民間療法で広く使用され、特に南アジアと東南アジアで広く使われている。よい香りがある。
 低木または小高木、芳香があり、直立し高さ2~8mになる。樹皮は赤褐色。小枝は密に灰色の綿毛がある。葉は掌状複葉、3~7小葉。小葉は披針形、長さ4~10㎝、中央の小葉が最も大きく、明瞭な小葉柄があり、縁には歯または鋸歯があり、下面は毛で覆われる。円錐花序は長さ10~20㎝、多数の花がつく。花は長さ6~7㎝、白色~青色。萼は鐘形で5歯、灰色の綿毛がある。花冠は2唇形、5裂し、花冠裂片は長さが様々で、中央の下側の裂片が最も長く、外側に軟毛がある。雄しべは突き出る。子房は無毛に近い。果実は核果、丸みを帯びた卵形、直径約4㎜、多肉質、熟すと黒色または紫色になる。
【 Flora of Pakistanの解説】
 低木、高さは通常1~2m、まれに小高木、高さ5mにもなり、葉と果実の上面を除いて、白灰色の綿毛がある。葉は十字対生し、(1~)3~5個の小葉があり、葉柄がある。葉柄は長さ3~6㎝。小葉は通常披針形、長さ5~10(~15)㎝×幅1.5~4㎝、中央の小葉が最も大きく、全縁~不規則に小歯があり、ほぼ無柄~小葉柄がある(小葉柄は長さ5~20㎜)。頂生の花序は長さ10~25㎝、先細の密錐花序(thyrsoid)。集散花序は節で輪散花序になり、花序柄がある。花は小さく、直径3~5㎜、通常は青色または紫色、ほぼ無柄~短い小花柄がある(小花柄は長さは1㎜以下)。萼は長さ約2㎜、果時には最大3㎜まで伸び、宿存し、鐘形、5 歯がある。花冠筒部は萼と同長。拡大部はわずかに2唇形、5個の不等長の萼片があり、密に縁毛があり、長さは2㎜までで、最大の萼片は倒卵状円形、縁は波状または小円歯状、その他の萼片は長円形でより小さい。雄しべは4本、2強雄しべ、突き出し、葯室は後に散開する。核果はほぼ球形またはやや卵形、直径約5㎜、通常は4 室で、各室に1個の種子がある。花期は1年中。
 Flora of Chinaでは5変種に分類しているが、POWOではvar. cannabifolia、var. incisa、var. microphylla、var. negundoの4変種をvar. negundoにまとめている。

5-1 Vitex negundo L. var. negundo タイワンニンジンボク 台湾人参木

  synonym Vitex cannabifolia Siebold & Zucc. ニンジンボク

  synonym Vitex negundo L. var. cannabifolia (Siebold et Zucc.) Hand.-Mazz. ニンジンボク

  synonym Vitex negundo var. incisa (Lam.) C.B.Clarke クサニンジンボク

  synonym Vitex negundo var. microphylla Hand.-Mazz.
 日本、韓国、中国、台湾、インド、モルディブ、アンダマン諸島、ニコバル諸島、ラッカディブ諸島、スリランカ、パキスタン、アッサム、ネパール、ブータン、ミャンマー、アフガニスタン、バングラデシュ、カンボジア、タイ、ベトナム、マリアナ諸島、イラン、アフリカ(モーリシャス、モザンビーク、ソマリア、タンザニア)、マダガスカル原産。
 高さ2~8m。葉は対生。掌状複葉で、小葉は3~5個、広披針形~卵状楕円形で先端は尖り、基部は楔形、縁は全縁かまたはわずかに鋸歯がある。下面は灰白色の短い伏毛が密にある。枝先や上部の葉腋に円錐形花序をつけ、直径1㎝以下の小さな淡紫色の花を多数つける。花冠は唇形、上唇は2裂、下唇は3裂し、中央裂片が特に大きい。果実は核果、球形、熟すと黒色になる。花期は7~8月。

5-2 Vitex negundo var. thyrsoides C.Pei & S.L.Liou

 中国(広東省、四川省)原産。中国名は拟黄荆 ni huang jing。標高300~2100mの山の斜面の混交林に生える。
 葉は3~5小葉。小葉は披針形~狭楕円形、下面には灰色の綿毛があり、上面にはまばらに毛があるかまたは葉脈に沿って毛がある。花序は大きく、緩い、総状花序状。花期と果期は8~10月。
(1) Vitex negundo L. var. negundo タイワンニンジンボク
 日本、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、青海省、陝西省、四川省、西蔵省、雲南省、浙江省)、台湾、東アフリカ、南アジア、東南アジア、太平洋諸島原産。中国名は黄荆 huang jing。標高200~1400mの山の斜面の雑木林に生える。
 葉は通常 (3~)5出複葉。小葉は披針形、長円状披針形、広披針形、または卵形、下面は白色、鱗片状、上面は緑色または白色の鱗片状、基部は楔形、縁は全縁またはまれに先端部に1~3個の歯がある。中央の小葉は長さ4~13㎝×幅1~4㎝。花序は長さ10~27㎝。花序柄は灰色の綿毛が密生する。花期は4~6月。果期は7~10月。

(2) Vitex negundo L. var. cannabifolia (Siebold et Zucc.) Hand.-Mazz. ニンジンボク 人参木

  synonym Vitex cannabifolia Siebold et Zucc.
 中国(広東省、広西チワン族自治区、貴州省、河北省、河南省、湖南省、四川省)、インド、ネパール、アジア南東部原産。中国名は牡荆 mu jing。標高100~1100mの山の斜面や道端の雑木林に生える。
 低木または小高木、高さ1~3m。葉は(3~)5小葉。小葉は披針形~楕円形披針形、頂小葉は長さ5~12㎝×幅1.5~4㎝の広披針形、下面は帯緑色、細かい毛があり、上面は緑色、基部は楔形、縁は規則的に粗い鋸歯があり、先は尖鋭形。円錐花序は長さ10~20㎝。花冠は帯紫色。果実は黒色、球形。花期は6~7月。果期は8~11月。

(3) Vitex negundo var. heterophylla (Franchet) Rehder クサニンジンボク 草人参木

  synonym Vitex negundo L. var. incisa (Lam.) C.B.Clarke
  synonym Vitex chinensis Mill.
 中国(安徽省、甘粛省、貴州省、河北省、河南省、湖南省、江蘇省、江西省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、陝西省、山東省、山西省、四川省)、インド、東南アジア原産。中国名は荆条 jing tiao。標高200~1800mの山の斜面や道端の混合茂みに生える。
 小葉は深く切れ込みがあり、基本的には羽状複葉で、下面には灰色の綿毛が密生する。
(4) Vitex negundo var. microphylla Handel-Mazzetti

  synonym Vitex microphylla (Handel-Mazzetti) C. P'ei ex C. Y. Wu.

 中国(四川省、西蔵省、雲南省)原産。中国名は小叶荆 xiao ye jing。標高1200~3200mの川岸の茂みに生える。
 葉は(3~)5(~7)出複葉。小葉は楕円状披針形、下面は白色の鱗片状、上面は緑色、基部は楔形、縁は全縁、先は尖鋭形。中央の小葉は長さ1.5~4㎝×幅0.5~1㎝。花序は長さ5~11㎝。果実には軟毛がある。花期と果期は7~11月。

6 Vitex quinata (Lour.) F.N.Williams オオニンジンボク 大人参木

 日本(沖縄)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、湖南省、江西省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、アンダマン諸島、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、ビスマルク諸島、キャロライン諸島原産。中国名は山牡荆 shan mu jing。標高200~1700mに生える。
 常緑樹、高さ4~12m。樹皮は褐色。小枝は若いときは毛と腺があり、無毛になる。葉は3~5小葉、葉柄は長さ2.5~6㎝。小葉柄は長さ0.5~2㎝。小葉は倒卵状楕円形~倒卵形または長円形~楕円形、厚い紙質で、両面に光沢があり、下面は黄色の腺があり、基部は楔形、縁は全縁またはときに先に小円鋸歯状の歯があり、先は尖鋭形、鋭形または鈍形。中央の小葉は5~20個、長さ2.5~8.5㎝。円錐花序は頂生、緩く、長さ9~18cm、黄褐色の毛が密生する。萼片は2~3㎜、未発達な歯があり、黄褐色の毛が密生し、腺がある。花冠は帯黄色、長さ6~8㎜、2 唇形、5裂し、外側に毛と腺がある。雄しべは突き出す。子房は腺毛がある。果時の萼は切形。果実は黒色、倒卵形~球形、直径約8㎜。花期は5~7月。果期は8~9月。

7 Vitex rotundifolia L.f. ハマゴウ 浜栲
  synonym Vitex trifolila L. subsp. litoralis Steenis
  synonym Vitex trifolila L. var. simplicifolia Cham.

  synonym Vitex rotundifolia L.f. f. albescens Hiyama  シロバナハマゴウ 白花浜栲

  synonym Vitex rotundifolia L.f. f. rosea Satomi  モモイロハマゴウ

  synonym Vitex ovata var. subtrisecta Kuntze カワリバハマゴウ

 日本(本州、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、アジア南東部、太平洋諸島原産。中国名は单叶蔓荆 dan ye man jing 。英名は beach vitex , roundleaf chastetree 。海岸の砂浜に生える。
 落葉小低木。高さ30~60㎝。幹は灰褐色、砂中を這って広がる。枝には4稜がある。葉は単葉、対生し、葉柄があり、葉身は卵形、長さ5~10㎝×幅2~5㎝、全縁、葉の両面に微毛が密生し、下面は灰白色。円錐花序に唇形の花が多数つく。花冠は淡青紫色、長さ1.2~1.6㎝、花冠の先は上唇は2裂し、下唇は3裂し、中央裂片は大きい。雄しべ4個。柱頭は2又する。果実は球形で、秋に黒く熟す。2n=32。花期は7~10月。

(1) Vitex rotundifolia L.f. f. heterophylla (Makino ex H.Hara) Kitam. カワリバハマゴウ

  synonym Vitex trifolia L. var. subtrisecta (Kuntze) Moldenke 
  synonym Vitex rotundifolia L.f. var. heterophylla Makino ex H.Hara
 3裂する葉が混ざるもの

(2) Vitex rotundifolia L.f. f. leucostachya Ikoma シロタエハマゴウ

  synonym Vitex rotundifolia L.f. f. uyekii Honda
 別名はシロバナハマゴウ。

8 Vitex trifolia L. ミツバハマゴウ 三つ葉浜栲
 南西諸島、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、河北省、江蘇省、江西省、遼寧省、山東省、雲南省、浙江省)、台湾、イラン、アフガニスタン、インド、アンダマン諸島、アッサム、スリランカ、ネパール、ミャンマー、カンボジア、バングラデシュ、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、ビスマルク諸島、オーストラリア、ニュージーランド(ニウエ)、太平洋諸島(マリアナ諸島、カロリン諸島、クック諸島、ギルバート島、フィジー、サモア、ライン諸島、マルケサス諸島、マーシャル諸島、ナウル、ニューカレドニア、ソシエテ島、ソロモン島、ツアモツ諸島、ツブアイ島、バヌアツ、ウェーク島、ウォリス・フツナ諸島)、アフリカ(ケニア、モーリシャス、モザンビーク、ソマリア、タンザニア、トンガ、南アフリカ)、マダガスカル、コモロ諸島原産。中国名は蔓荆 man jing。標高100~1700mに生える。
※V. bicolor、V. trifolia s. str.、および V. rotundifoliaは亜種や変種にまとめたりしていたが、最近では、de Kok と Sengun(Reference de Kok、Sengun、および Bramley2020) がこれらの分類群を 3つの別個の種、つまり通常、3小葉のV. trifolia、通常、3~5小葉の V. bicolor、常に単葉の V. rotundifolia に再分類した。POWOもこれに従い3種に分けている。Flora of ChinaなどではV. bicolorとV. trifolia s.を含めた広義のV. trifoliaとして扱っている。  低木または小高木、高さ1.5~5m、直立。小枝には密に毛がある。葉は1~3(~5)小葉、葉柄は長さ1~3㎝、小葉は無柄、長楕円形、披針形、または倒卵形で、下面は灰色の綿毛が密に生え、上面は緑色、無毛またはほぼ無毛、基部は楔形、縁は全縁、先は鈍形、葉脈は約8対で両面にわずかに突出し、中央の小葉または単小葉は長さ2.5~9㎝×幅1.7~3㎝。円錐花序は長さ3~15㎝、花序柄は灰色の綿毛が密にある。萼片はわずかに5歯、外側は灰色の綿毛が生え、内側は無毛。花冠は帯紫色~青紫色、長さ6~10㎜、外側は鱗片状で白色、花糸の基部と下側の裂片の内側に毛がある。雄しべは突き出す。子房は無毛、腺は有または無。花柱は無毛。果実は黒色、ほぼ球形、直径約5㎜。花期は4~8月。果期は8~11月(Flora of China)。
品種) 'Fascination' , 'Purpurea' , 'Variegata'
8-1 Vitex trifolia L. var. trifolia
  synonym Vitex trifolia var. subtrisecta (Kuntze) Moldenke
  synonym Vitex iriomotensis Ohwi
  synonym Vitex triphylla Royle
 南西諸島、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、台湾、雲南省)、台湾、イラン、アフガニスタン、インド、アンダマン諸島、アッサム、スリランカ、ネパール、ミャンマー、カンボジア、バングラデシュ、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ニューギニア、ビスマルク諸島、オーストラリア、ニュージーランド(ニウエ)、太平洋諸島(マリアナ諸島、カロリン諸島、クック諸島、ギルバート島、フィジー、サモア、ライン諸島、マルケサス諸島、マーシャル諸島、ナウル、ニューカレドニア、ソシエテ島、ソロモン島、ツアモツ諸島、ツブアイ島、バヌアツ、ウェーク島、ウォリス・フツナ諸島)、アフリカ(ケニア、モーリシャス、モザンビーク、ソマリア、タンザニア、トンガ、南アフリカ)、マダガスカル、コモロ諸島原産。中国名は蔓荆 man jing。標高100~400mの開けた場所または川岸沿いに生える。
 葉は(1~)3小葉、花序は緩く、幅2.5~4cm、集散花序は短い花序柄がある。花と果実はやや大きめ。萼片は長さ4~5㎜。花冠は長さ10~13㎜(flora of pakistan)。
 葉は3(~5)小葉、中央の小葉は長さ5~9㎝×幅1.7~3㎝。花期は7月。果期は9~11月(Flora of China)。

8-2 Vitex trifolia var. taihangensis (L.B.Guo & S.Q.Zhou) S.L.Chen

  synonym Vitex taihangensis L.B.Guo & S.Q.Zhou
 中国(山西省)原産。太行荆 tai hang jing。標高1400mの石灰質土壌の山腹に生える。
 低木、直立し、高さ40~90㎝。葉は単葉または稀に複葉。葉身は披針形~卵状披針形。子房は無毛、腺はない。花期は8月。

8-3 Vitex trifolia var. subtrisecta (Kuntze) Moldenke

 中国(広東省、雲南省南部)、南アジア、東南アジア、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は异叶蔓荆 yi ye man jing。標高300~1700mの山の斜面や道端の混交林に生える。POWOではこの変種は基本変種のsynonymとされている。
 低木、直立。葉は単葉と複葉の両方。複葉は通常3出葉。花期は4~7月、果期は9~11月。

参考

1) FloraBase: Flora of Western Australia
 Vitex trifolia L.
https://florabase.dpaw.wa.gov.au/browse/profile/6744
2) Flora of China
 Vitex
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=134644
3) GRIN
 Vitex
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12733
4) Plants of the World Online | Kew Science
 Vitex
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000069-2
5) India Biodiversity Portal
 Vitex glabrata R.Br.
https://indiabiodiversity.org/species/show/244971
6) Cambridge University Press: 29 June 2023
Characterization of the complete chloroplast genome of Vitex bicolor Willd. and its comparative analyses with other species belonging to the Vitex trifolia complex
https://www.cambridge.org/core/journals/plant-genetic-resources/article/characterization-of-the-complete-chloroplast-genome-of-vitex-bicolor-willd-and-its-comparative-analyses-with-other-species-belonging-to-the-vitex-trifolia-complex/55BF6C498D8A1FA78F2D68A608C5DE2F
7) Flora of Pakistan
 Vitex
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=134644