アゼトウナ 畔唐菜
Flora of Mikawa
キク科 Asteraceae アゼトウナ属
学 名 | Crepidiastrum keiskeanum (Maxim.) Nakai |
花 期 | 9~11月 |
高 さ | 5~15㎝ |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 海岸の岩場 |
分 布 | 在来種(日本固有種) 本州(伊豆半島~紀伊半島)、四国、九州 |
撮 影 | 渥美半島先端岩場 04.11.23 |
全体に無毛。茎は太く、這って広がり、ロゼット状になる。葉は厚く、倒卵形。葉先が円く、基部は次第に細くなって翼になり、縁に細かい鋸歯がある。根生葉は下半部が羽状に切れ込むことがある。頭花の直径は約1.5㎝、黄色の舌状花のみ。花期にはまだ早い時期に数株の花が見られることも多い。総苞は細長く、総苞片は2列。外総苞片は短い。
ホソバワダンは日本海側の島根県、山口県から沖縄に分布する。葉先が尖り、全縁。根生葉は羽状に深裂することもある。
ワダンは千葉県~静岡県、伊豆諸島に分布し、草丈が高く、葉幅が広く、全縁。
アゼトウナ属
family Asteraceae - genus Crepidiastrum1年草、2年草又は多年草、ときに亜低木、しばしば、ロゼットがあり、直根をもつ。茎は普通、葉がありる。葉は分裂せず、又は羽状分裂する。茎葉はしばしば抱茎。頭花は小花を5~20個もつ。総苞は狭い円筒形。総苞片は狭い薄膜質の縁があり、外総苞片は少数、最も長い外総苞片は内総苞片の長さの約1/4(~1/2.。内総苞片は5又は8個、線状披針形、長さは等しい。花托は無毛。小花は黄色。痩果は±紡錘形、わずかに扁平、5本の主うねがあり、1~2本の2次うねが互生し、普通、前向きの鋭いパピラでざらつき、特に前部で多く、まれに無毛又は微細突起があり、先は漸尖又は痩果の長さの1/5以下~1/2以下の嘴をもつ。冠毛は白色、ザラつき、普通、±脱落性。
世界に約15種があり、中央アジアと北太平洋の小笠原諸島を含む東アジアに分布する。
アゼトウナ属 の主な種
1 Crepidiastrum ameristophyllum (Nakai) Nakai ユズリハワダン 譲葉海菜
日本固有種(小笠原諸島)。湿性林に生える。常緑小低木。高さ約1m。茎は1本、分枝せず、直立し、葉痕が目立つ。葉は頂部に密集し、ユズリハに似る。花は白色、5弁。花期は1月頃。
2 Crepidiastrum chelidoniifolium (Makino) Pak et Kawano クサノオウバノギク 瘡の王葉の菊
synoym Crepidiastrum koidzumianum (Kitam.) Pak et Kawano チイサンヤクシソウ
日本(本州の栃木県・奈良県・三重県、四国)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は少花假还阳参 shao hua jia huan yang shen。山の斜面、峡谷、森林、湿った崖に生える。一年草 高さ10~25(~50)㎝、無毛。茎は単生、直立、基部から分枝する。根生葉は花期に枯れる。下部および中部の茎葉は細い葉柄をもち、しばしば基部によく発達した歯状または2裂した耳がある。葉身は±楕円形、長さ2~6(~12)㎝×幅0.5~3(~6)㎝、不規則に間隔の開いた羽状全裂になり、葉軸は翼がなく、側裂片は1~4対、対生~互生し、卵形、楕円形、鎌形、菱形、または倒披針形と、縁はまばらに歯~欠刻があり、頂裂片は側裂片に似る。 上部の茎葉は、下部および中部の茎葉に似る。主茎と枝の合成花序は、散房花序状または円錐花序じょうであり、頭花が少数~多数つく。頭花は約5(~6)個の小花をもつ。総苞は狭円筒形、長さ5~7㎜。外側の総苞片は少なく、卵形、最も長いものは長さ0.6~1㎜、先は鈍形~鋭形。内側の総苞片は5個、先は鋭形~鈍形。葯筒と花柱は乾燥すると帯緑色~帯黒色。痩果は帯褐色、紡錘形、長さ2.5~3.5㎜、先に10~15個のパピラのある長い肋があり、先は漸尖または長さ0.7㎜以下の嘴がある。冠毛は白色、長さ3.5~4.5㎜。花期および果期は9~10月 2n=10。
3 Crepidiastrum denticulatum (Houtt.) Pak et Kawano ヤクシソウ 薬師草 広義
synoym Youngia denticulata (Houtt.) Kitam. オニタビラコ属
synoym Paraixeris denticulata (Houtt.) Nakaisynoym Prenanthes denticulata Houtt
日本(北海道、本州、四国、九州、)朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ベトナム原産。中国名は黄瓜假还阳参 huang gua jia huan yang。林内、林縁、草地、乾燥した斜面、岩の間、崖、野原の縁、道端に生える。
1年草または2年草。高さ30~120㎝、 根は垂直で、繊維状の細根が多い。茎は単生、直立、主に上半分で分枝し、無毛。 葉は無毛。根生葉と下部の茎葉はほとんどが果時に枯れ、±有柄または無柄、普通、倒披針形、分裂せずまたは羽状に分裂する。中部の茎葉は無柄、基部は明瞭に耳で茎を抱き、耳は普通、円形。葉身(耳を含む)は、倒披針形、倒卵形、バイオリン形(pandurate)、または±楕円形、分裂せず、または羽状中裂または羽状深裂し、縁は全縁または歯があり、先は円形~鋭形、または尖鋭形。上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、より小さく、普通、欠刻が少なく、歯が少なく、または全縁。合成花序は主茎と枝に頂生し、散房花序状または円錐花序状、頭花は少数~多数つく。頭花は12~20個の小花を持つ。花序柄は毛管状。総苞は狭円筒形、長さ6~9㎜。総苞片は外側が無毛。外側の総苞片は少なく、卵形、長さ0.5㎜以下、先は鋭形。内側の総苞片は(7~)8個、中脈はほぼ先が平ら、とさか状(crested)、または小円錐形。葯筒と花柱は乾燥すると帯緑色~帯黒色。痩果は黒みがかった暗褐色、狭楕円形、長さ2.5~4.5㎜、先にザラつく10~15個の肋があり、先は漸尖し、痩果の長さの1/5~1/3の嘴になる。冠毛は白色、長さ3~5.5㎜。
3-1 Crepidiastrum denticulatum subsp. denticulatum ヤクシソウ 狭義
日本(北海道、本州、四国、九州、)朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ベトナム原産。中国名は黄瓜假还阳参 huang gua jia huan yang。林内、林縁、草原、断崖、野原の縁に生える。根生葉と下部の茎葉は倒披針形で、先は普通、円形。中部の茎葉は無柄、基部はよく目立つ茎を抱く耳があり、耳は±円形、葉身(耳を含む)は、倒披針形、倒卵形、バイオリン形、またはまれに±楕円形、長さ3~12㎝×幅1~7㎝、分裂せず、または羽状中裂または羽状深裂、縁には浅くまたは深く歯があるか、または全縁、側裂片(存在する場合)は2~4対、対生~ほぼ互生、三角状卵形、楕円形、または倒卵形。 頂裂片は三角状卵形~楕円形で、かなり大きく、先は円形~ほぼ鋭形。上部の茎葉は中部の茎葉に似ているが、より小さく、普通、切り込みが少なく、ほとんど歯ないかまたは全縁。総苞は長さ7~8㎜。内側の総苞片は普通、先端の下が平らになる、痩果は長さ2.5~3.5mm(長さ0.2~0.5㎜の嘴を含む)。冠毛は長さ3.5~4.5㎜。花期および果期は8~2月。2n=10。
3-2 Crepidiastrum denticulatum subsp. longiflorum (Stebbins) N. Kilian
中国原産。中国名は长叶假还阳参 chang ye jia huan yang shen。畑の縁に生える。葉はsubsp. denticulatumに似ている。総苞は長さ8~9mm。内側の総苞片は普通、先端の下に明瞭なとさかがある。痩果は長さ3~4㎜(長さ0.3~0.6㎜の嘴を含む)。冠毛は長さ4.5~5.5㎜。花期および果期は(?9月~)1~3月。
3-3 Crepidiastrum denticulatum subsp. ramosissimum (Bentham) N. Kilian
中国原産。中国名は中国枝状假还阳参 zhi zhuang jia huan yang shen。乾いた斜面、巨岩、崖、道端に生える。根生葉と下部の茎葉はへら形~倒卵形、長さ24㎝×幅7㎝・以下、分裂しないかまたは羽状深裂~羽状全裂(しばしば頭大羽状)、基部はくさび形に漸尖して翼のあるまたはときに翼のない葉柄のような部分になり、半抱茎~やや耳状に茎を抱き、縁は波打つ歯があり、先は円形~鋭形、側裂片は(存在する場合)2~5対。中部と上部の茎葉はほとんどがヘラ形、最も上部の葉はときに披針形、小さく、不分裂または羽状深裂し、基部には葉柄のような部分はないが、明瞭に耳状に茎を抱き、縁はほぼ全縁~浅い波打つ歯があり、先は円形~鋭形。総苞は長さ6~7(~8)㎜。内側の総苞片は普通、先端の下が明瞭にとさか状になる。痩果は長さ2.8~4.5㎜、嘴は痩果の長さの1/4~1/3。冠毛は長さ約3mm。花期および果期は7月~11月。2n=10。
3-4 Crepidiastrum denticulatum (Houtt.) Pak et Kawano f. pallescens (Momiy. et Tuyama) Yonek. ウスイロヤクシソウ 薄色薬師草
花が淡黄白色。3-5 Crepidiastrum denticulatum (Houtt.) Pak et Kawano f. pinnatipartitum (Makino) Sennikov ハナヤクシソウ 花薬師草
葉が深裂する。下部の葉だけ深裂する中間的なものも見られる。4 Crepidiastrum grandicollum (Koidz.) Nakai コヘラナレン 小箆菜連
日本固有種(小笠原諸島)。
多年草又は半草質亜低木。高さ10~25㎝。葉は質が厚く、楕円形、全縁、粉白色を帯びる。茎葉は茎を抱く。頭花は黄色、小花は5個。
5 Crepidiastrum hallaisanense (H.Lev.) Pak タンナタカサゴソウ
朝鮮原産。済州島の固有種。2n=10。
6 Crepidiastrum keiskeanum (Maxim.) Nakai アゼトウナ 畔唐菜
日本固有種(本州の伊豆半島~紀伊半島、四国、九州)
多年草。高さ5~15㎝。全体に無毛。茎は太く、這って広がり、ロゼット状になる。葉は厚く、倒卵形。葉先が円く、基部は次第に細くなって翼になり、縁に細かい鋸歯がある。根生葉は下半部が羽状に切れ込むことがある。頭花の直径は約1.5㎝、黄色の舌状花のみ。花期にはまだ早い時期に数株の花が見られることも多い。総苞は細長く、総苞片は2列。外総苞片は短い。花期は9~11月。
6-1 Crepidiastrum keiskeanum (Maxim.) Nakai f. pinnatilobum Hisauti ソテツバアゼトウナ
葉が羽状に中浅裂する。7 Crepidiastrum lanceolatum (Houtt.) Nakai ホソバワダン 細葉海菜
日本(日本海側の島根県、山口県から沖縄)、朝鮮、台湾原産。中国名は假还阳参 jia huan yang shen。沿岸地域の丘の中腹にある岩場に生える。
多年草、高さ10~20㎝、バラ状の多年生草本で、木質の尾部または台木があります。 茎はロゼットの葉腋から数本、長さ 40㎝ まで、垂れ下がり、葉が多く、それぞれが通常、中 3 分の 1 の節に二次葉のロゼットを形成し、単一または少数の±上向きに直立した離れた葉状の二次開花茎を伴います。 ロゼットの葉はへら状~まれに楕円形、長さ5~15㎝×幅0.5~4.5㎝、普通やや多肉質、分割しないか、まれに羽状から羽状に分かれ、卵形~披針形の側葉を伴い、無毛、基部は楔状に細く、縁は全縁又は浅い歯状、先は通常丸みを帯びる。 下部と中央の茎の葉はロゼットの葉に似ていますが、より小さく、基部はセミアンプレクシカール、先端は鈍~鋭形です。 茎の上部の葉は倒卵形~卵形、基部は耳状にまとまり、先は亜鋭形~鈍形。 少数から数個の頭頂を持つ共生花序。 8~12個の小花を持つ頭花。 花柄が細い。 総形は狭い円筒形、長さ7~9㎜。総苞片は無毛。外側の総苞片は少なく、卵形、最も長いものは長さ約2㎜、先は±鋭形。内側の総苞片は8個、先はほぼ鋭形。痩果は帯褐色、ほぼ紡錘形、長さ3~4㎜、ザラつき、先は漸尖し、長さ0.5㎜以下の嘴がある。冠毛は白色、長さ3~4㎜。2n=10。
7-1 Crepidiastrum lanceolatum (Houtt.) Nakai f. pinnatilobum (Maxim.) Nakai ハマナレン 浜菜連
根出葉が羽状に切れ込むもの(Bot. Mag. (Tokyo) 34: 151 (1920))7-2 Crepidiastrum lanceolatum (Houtt.) Nakai var. daitoense (Tawada) Hatus. ダイトウワダン 大東海菜
synonym Crepidiastrum daitoense Tawada in J. Geobot. 19: 31 (1971)沖縄固有種。沖縄、北大東島、南大東島に分布する。日当たりのよい岩場に生える。
常緑の多年草。茎は木質化し、大きなものは高さ15~20cm になり、葉腋から多数の枝を放射状に出す。葉は枝先に根生状につき、葉身は倒卵状披針形で表面には多少光沢がある。(参考8)
8 Crepidiastrum linguifolium (A.Gray) Nakai ヘラナレン 箆菜連
日本固有種(小笠原諸島)。日当たりのよい通風地に生える。
常緑小低木、高さ20~100㎝。茎は直立、太く、柔らかく、葉痕が目立つ。葉はへら形、上部に密集する。頭花は白色の舌状小花が5個。花期は11月。
9 Crepidiastrum platyphyllum (Franch. et Sav.) Kitam. ワダン 海菜
日本固有種(本州の千葉県~静岡県)。海岸の岩場、砂礫地に生える。
多年草。高さ30~60㎝。茎は基部が太く、短く、木質化し、根茎状になり、ロゼット状に数個の根生葉をつけ、枝を横に多数出し、広がる。根生葉は、多肉質(キャベツに似る)、さじ形~倒卵形、長さ8~18㎝、基部は楔形~漸尖し翼があり、全縁、先は円形~鈍形~やや鋭形。茎葉は互生し、倒卵形、長さ5.5~8.6㎝、基部は狭くやや茎を抱く。1回繁殖型で花が咲くと枯れる。枝は多数分枝し、枝先の密な散房花序に頭花を多数、密集してつける。頭花は直径1~1.5㎝、総苞は筒形、黄色の5個の舌状小花からなる。小舌の先は切形、5小歯がある。痩果は長さ約2㎜、狭い紡錘形~円柱形、冠毛は白色、剛毛状。花期は(7)9~11月。
※ Dendrocacalia crepidifolia (Nakai) Nakai ワダンノキ
日本固有種(小笠原諸島)。母島の標高300メートル以上の雲霧帯に自生する。
常緑低木、大きいものは高さ3~5m、幹の直径10㎝以上に達し、群生する。しかし、樹林地内では大きく成長しない。幹は上部でよく分枝する。樹皮は灰白色、縦に裂け目ができる。葉は互生し、葉柄は長い。葉身は長楕円形。花序は枝先付近の葉腋につき、散房状の円錐花序、多数の頭花をつける。頭花は長さ10㎜弱、幅約2㎜、普通、5個の淡紅紫色の筒状小花からなる。痩果は円柱形。雌雄異株で、雌株では雄しべが退化して花粉が形成されないとされいるが、両性花と雌性花からなる雌性両全性ではないかとの指摘もある。花期は11月下旬~ 12月上旬。果期は1~ 2月。
小笠原諸島固有の木本のキク科植物には、他にアゼトウナ属のヘラナレンとユズリハワダンがある。
10 Crepidiastrum sonchifolium (Bunge) Pak et Kawano イヌヤクシソウ 犬薬師草
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は尖裂假还阳参 jian lie jia huan yang shen。山の斜面の草地、雑木林、氾濫原、渓流の岩場、崖、道端に生える。1年草または2年草、高さ20~100㎝。 根は垂直で、繊維状の細根が多い。茎は単生、直立し、主に上半分で分枝、無毛または稀に微軟毛がある(subsp. pubescens)。 葉は無毛またはまれに、微軟毛がある(subsp. pubescens)。 根生葉としばしば下部の茎葉は倒披針形、先は円形。中部および上部の茎葉は無柄、狭卵形、披針形、またはまれに±楕円形、基部は目立つ耳が茎を抱き、耳は±円形。耳を含む葉身は羽状中裂、羽状深裂、またはほぼ羽状中裂で、しばしば、不規則で細かく切り込みが入る(laciniately so)。合成花序は主茎と枝に頂生し、散房花序または円錐花序状、頭花は少数~多数つく。頭花は12~20個の小花を持つ。花序柄は毛細状。総苞は長さ4.5~6.5㎜、狭円筒形。総苞片は外面が無毛。外側の総苞片は少なく、卵形、長さ0.5mm以下、先は鋭形。内側の総苞片は(7~)8個、平らまたはしばしば、弱くまたは強くとさかがあり、または先端の下が円錐形になる。痩果は紡錘形、長さ2~4.2㎜(長さ0.4~1.8㎜の細い嘴を含む)。冠毛は白色、長さ2~3㎜。
10-1 Crepidiastrum sonchifolium subsp. sonchifolium
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は尖裂假还阳参 jian lie jia huan yang shen。山の斜面の草地、雑木林、氾濫原、渓流の岩場、崖、道端に生える。
根生葉としばしば下部の茎葉は倒披針形で、先は円形。中部の茎葉は無柄、狭卵形、披針形、またはまれに±楕円形、長さ2.5~9㎝×幅0.5~3㎝、基部は目立つ耳が茎を抱き、耳は±円形。耳を含む葉身は羽状中裂、羽状深裂、またはほぼ羽状全裂、側裂片は短三角形(長さ1~5㎜)~長狭三角形、またはほぼ線形(長さ~1.5㎝)、鋭形と、頂裂片は大きく鋭形、縁は全縁または鋭い歯がある。 上部の茎葉は中部の茎葉に似るが、より小さく、普通、切れ込みが少なく、歯が少なく、または全縁、特に葉身の上部が全縁で、先は長い尖鋭形。総苞は長さ4.5~6.5㎜。内側の総苞片は平らであるか、またはしばしば、先端の下に弱く~強くとさかがあり(crested)、または小円錐形になる。乾くと葯筒と花柱は黄色になる。痩果は赤褐色、長さ2~3.2㎜(長さ0.4~1㎜の嘴を含んで)。冠毛は長さ2~3㎜。花期および果期は4~9月。2n=10。
10-2 Crepidiastrum sonchifolium subsp. pubescens (Stebbins) N. Kilian
中国原産。中国名は柔毛假还阳参 rou mao jia huan yang shen。
茎、枝、葉にはビ軟毛がある。茎葉は披針形、長さ3~6㎝m、羽状深片し、側裂片は5~10対つき、縁は全縁または歯状から弱く羽状中裂する。総苞は長さ4.5~5.5㎜。内側の総苞片は先端の下にとさかは無いか弱くとさかがあり、または小円錐形になる。乾くと葯筒と花柱は黄色になる。痩果は長さ1.2~1.8㎜の嘴を含んで、長さ3.5~4.2㎜、果体の先端には微細突起がある(muriculate)。冠毛は長さ2~2.5㎜。
11 Crepidiastrum taiwanianum Nakai アシブトワダン
台湾原産。中国名は台湾假还阳参 tai wan jia huan yang shen。沿岸地域に生える。
多年草、高さ20~40㎝、ときに亜低木で、ロゼットがあり、木質のてい幹がある。ロゼットの葉腋から茎が数本が出て、斜上~直立し、頂部の3分の1または2 分の1で分枝し、葉がある。古い茎は基部が木質になり、中部の3分の1で二次葉のロゼットが発達し、葉つく1本または少数の直立した上向きの2次開花茎が出る。ロゼットの葉はへら形、長さ4~12㎝×幅1~4㎝、無毛、基部は漸尖し、縁は全縁又は小歯があり、先は円形。下部の茎葉はロゼット葉に似ているが、より小さく、基部は類抱茎。中部と上部の茎葉は広楕円形~広卵形、下部の葉より小さく、基部は耳状に茎を抱き、縁は全縁またはかすかに小歯があり、先はほとんどが円形。合成花序は散房花序、数個~多数の頭花を持つ。頭花は8~12個の小花を持つ。花序柄は細い。総苞は狭円筒形、長さ6~8㎜。総苞片は無毛。外側の総苞片は少なく、卵形で、最も長いものは長さ約1.5mm、先は±鋭形。内側の総苞片は8個、先はほぼ鋭形。痩果は帯褐色、ほぼ紡錘形、長さ約4mm、ザラつき、先が細くなるか、または長さ0.5㎜未満の嘴がある。冠毛は白色、長さ約3㎜。2n=10。
12 Crepidiastrum tenuifolium (Willd.) Sennikov クシバニガナ 櫛葉苦菜
中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は细叶假还阳参 xi ye jia huan yang shen。山の斜面、牧草地、氾濫原、水辺、砂利道に生える。
多年草、高さ10~70㎝、ロゼットをつくる。直根が強く、木質。てい幹は木質で、古くなると枝分かれし、古い葉の基部が残る。茎は単生または少数、直立し、普通、上半分で枝分かれし、葉がつき、枝は斜上~直立する。ロゼット葉は多数つく。葉柄は長さ3~9㎝、上面に長い褐色の綿毛があり、基部は ± 広がる。葉身は狭楕円形、長さ7~17㎝×幅2~5㎝、羽状中裂~羽状深裂し、側裂片は6~12対、対生~互生し、非常に多様で、狭楕円形、披針形、または線形、不分裂またはまばらに分裂し、側裂片は線形、先は鋭形。頂裂片は側裂片と同様。茎葉はロゼット葉に似ているが、上部で次第に小さくなり、茎の上部ではほとんど分裂しない。合成花序は散房花序または円錐花序状の散房花序で、頭花が数個つく。頭花は10~15個の小花を持つ。総苞は狭円筒形、長さ8~11㎜。総苞片は暗緑色、外面はまばらに巻いた長軟毛があり、またはまれに無毛、しばしば先端の下にトサカ(crested)または小丘(corniculate)があり、先は鋭形。外側の総苞片は少なく、狭卵形、最も長いものは内側の総苞片の長さの1/3~1/2、先は鋭形。内側の総苞片は8個。痩果は黒色~帯黒色、紡錘形、長さ4~6㎜、肋は10~12本あり、短く、不明瞭にザラつき、先は漸尖~弱い嘴がある。冠毛は白色、長さ4~6㎜。花期および果期は7~9月。2n=10。
13 Crepidiastrum yoshinoi (Makino) Pak et Kawano ナガバヤクシソウ 長葉薬師草
日本固有種(岡山県西部~広島県東部)。石灰岩地に生える。別名はイワヤクシソウ。多年草。茎は高さ7~43㎝。全体に無毛。根生葉は短い葉柄があり、葉身はさじ形~楕円形、長さ5~20㎝×幅1.5~3.5㎝、全縁~ほぼ全縁、花時には枯れる。茎葉は互生し、広披針形~細披針形、長さ4~10㎝×幅1~2.5㎝、先は鋭形、縁は全縁~ほぼ全縁、基部は狭まり、茎を抱かない。密な散房状に頭花が多数つく。頭花は直径約1.2㎝。総苞は狭円柱形、長さ7.5~8㎜。小花は5個、黄色の舌状花。小舌の長さ9.0~9.3.㎜。痩果は褐色、長さ(4.0)4.5~5.0㎜、10~12本のうねがあり、先の嘴は長さ約0.5㎜。冠毛は汚白色、長さ約3.5㎜。花期は8~10月。
14 ハイブリッド
(1) Crepidiastrum x muratagenii H.Ohashi et K.Ohashi ヤクシホソバワダン
ヤクシソウとホソバワダンとの自然交雑種。
(2) Crepidiastrum x nakaii H. Ohashi et K.Ohashi ヤクシワダン
ヤクシソウとワダンとの自然交雑種。
(3) Crepidiastrum x semiauriculatum N.Yamam. et H.Ikeda アテツヤクシソウ
ナガバヤクシソウとヤクシソウとの自然交雑種。頭花の小花が6~9個。葉は茎をやや抱く。2n=10
(4) Crepidiastrum x surugense (Hisauti) Yonek. ヤクシアゼトウナ
ヤクシソウとアゼトウナとの自然交雑種
参考
1) Flora of ChinaCrepidiastrum
Crepidiastrum
Crepidiastrum
わだんトあせZとうなノ一群
キク科ハナヤクシソウの学名
岡山県で見出された新雑種アテツヤクシソウ(キク科タンポポ連)
<維管束植物>ダイトウワダンp291