アレチヌスビトハギ 荒れ地盗人萩

Flora of Mikawa
マメ科 Fabaceae アコウマイハギ属
| 英 名 | panicledleaf ticktrefoil , panicled tick trefoil , narrow-leaf tick-trefoil , panicled tickclover , panicles tick trefoil |
| 学 名 | Desmodium paniculatum (L.) DC. |










| 花 期 | 7~9月 |
| 高 さ | 60~120㎝ |
| 生活型 | 多年草 |
| 生育場所 | 道端、荒地 |
| 分 布 | 帰化種 北アメリカ原産 |
| 撮 影 | 蒲郡市 09.9.19 |
2005年に世界のマメ科植物がまとめられ、ヌスビトハギ属(genus Desmodium)はヌスビトハギ連ヌスビトハギ群 Tribe Desmodieae Desmodium group にまとめられ、新しく16属に分類された (Ohashi 2005)。アジア産のヌスビトハギ属はHylodesmumに変更され、残ったgenus Desmodiumはアコウマイハギ属と改称された。
北アメリカ原産で日本に帰化し、道端で普通に見られる。葉は3小葉、小葉の長さは5~8㎝、幅1~4㎝の狭卵形、先が細長く尖り、両面に毛が生え、葉脈が縁まで届かない。花は長さ6~9㎜の蝶形花で、旗弁の基部に黄色の点紋が2個つく。花はしぼんでくると青色に変わる。豆果は節果で、小節果は2~6個、小節果のくびれが浅い。小節果には曲がった毛があり、マジックテープのように衣服にくっつく。
ヌスビトハギは小葉の幅がやや広く、葉脈が縁まで届き、小節果は2個で、小節果のくびれが深い。
草本、亜低木、または低木、平伏、よじ登り、または直立する。葉は1~3(またはまれに5)小葉、葉柄があり、葉柄、托葉がある。小葉は小葉柄があり、小托葉がある、花序は腋生または頂生、総状花序または総状花序の円錐花序、または非常に密な頭状花序になる。1次の苞は条線と縁毛があり、それぞれが1個の花(小花柄のある)の基部につき、または2~数個の花が束生する。2次の苞があり、1次の苞に似るか、または小さくなり、それぞれが1個の花の基部につく。小苞はまれ、アメリカ種に存在することはめったにない。花は小花柄があり、蝶形花。萼は2裂し、上側の裂片はほぼ全縁~2裂し、下側は3歯があり、中央の歯は側歯より長く、あるいは萼がほぼ均等に5裂する。花冠は萼を超え、旗弁はわずかに爪部があり、翼弁にもやや爪部がある。翼弁はしばしば小さな付属体によって竜骨弁に取り付けられ、竜骨弁は長い爪部があり、上部で部分的に融合する。旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は分離または部分的に融合する。葯は均一。子房は無柄または有柄、胚珠は2個~多数。花柱は細い。柱頭は頂生。果実は節果(lomentaceous)、すなわち、横向きの隔膜があり、(1-)2~多数の小節果(articles)を形成し、普通、柄があり、非裂開または遅く裂開し、またはパナマの1種では、縫合糸間の壁が脱落し、縫合糸が枠として残る。小節果は様々な形になり、ほぼ直線からほぼ袋状または円形で先にノッチがあり、ときにアコーディオンのように互いに折り畳まれ(少なくとも若いとき)、表面は無毛~密に毛があり、真っすぐで先細や鈎のある毛状突起があり、またはこれらの毛が縫合線の上だけにあり、小節果は1種子をもつ。種子は長円形またはほぼ4稜形~腎形。
世界に約180種があり、熱帯、亜熱帯のアメリカに分布し、1種がアフリカに分布する。
USA,カナダ原産。英名はIllinois ticktrefoil。標高100~500mの草原の遺跡、雑木林、道端に生える。
多年草。茎は斜上または直立し、分岐または不分岐、長さ50~100cm、中央に鉤状軟毛があり、ときに±細柔毛もある。葉は3出複葉。托葉は宿存し、卵形、長さ8~15mm、基部は抱茎、細柔毛の縁毛がある。葉柄は長さ30~50mm。小葉の葉身は狭卵形~卵形、厚く紙質、先は鋭形~円形、下面に目立つ網目状脈があり、下面の脈上に鉤状の微軟毛があり、上面はまばらに開出する絨毛があるかまたは無毛。頂小葉の葉身は長さ35~80mm×幅30~70mm、長さは幅の1.5~3倍。花序は通常分枝せず、花序軸には開出する細柔毛と鉤状軟毛がある。一次苞は狭卵形、長さ4~5mm。小花柄は長さ7~15(~23)mm。花:萼片は長さ4~5mm、鉤状微軟毛と細柔毛があり、萼筒部は長さ2~3mm。外側の萼片は長さ2.5mm、側萼片は長さ2mm。花冠は帯紫色、長さ6~8mm。豆果:縫合部は等しい円鋸歯状。中央の接合部は節の幅の1/2~4/5倍。節は4~7個で、楕円形またはほぼ円形、長さ4~7mm×幅3.5~5mm、外面および内面ともに対称的に凸面形、密に鉤状微軟毛と絨毛がある。柄は長さ2~4mm。花期は夏(~秋)。
2 Desmodium incanum (Sw.) DC. タチシバハギ 立芝萩
synonym Desmodium canum Schinz. et Thell.
synonym Desmodium frutescens Schindl.
メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名は creeping beggarweed , Spanish clover , Spanish tick-trefoil . kaʻimi , kaimi clover。USA、アフリカ、マダガスカル、オーストラリア、ニューギニアなどに帰化している。標高0~50mのマツ・パルメットヤシ林の平地、林縁、芝生、荒地、撹乱地または荒廃地に生える。
草本植物、亜低木、または灌木、多年生。匍匐茎または根茎を持つ。茎は直立または斜上し、長さ300cmまで、有毛または無毛。葉は3出複葉。托葉は通常宿存し、狭卵状三角形、長さ5~10mm。葉柄は通常長さ15~20mm。小葉は楕円形~卵形、先は鈍形または鋭形、下面に細かく広がる小絨毛~亜伏剛毛があり、上面に鉤状毛があるかまたは無毛。頂小葉は長さ20~90mm×幅15~45mm、長さは幅の1.5~4倍。花序は分岐せず、花序軸には密に開出する鉤状軟毛がある。一次苞は脱落性で、狭卵形、長さ6~7mm。小花柄は節果(loments)が落ちた後も先端に萼片が宿存し、長さ5~9mm。花:萼は長さ2~3.5mm、鉤状微軟毛あり、萼片には細柔毛があり、萼筒は長さ1mm。外側の萼片は長さ1.5~2.5mm、側萼片は長さ1~2mm。花冠は紫色、長さ5~8mm。節果は縫合部は外面では対称的に円鋸歯状になり、内面では直線状またはわずかに波状になり、接合部は中央にあり、節幅の1/2~2/3。節は4~8個で、半倒卵形、長さ3.5~5mm×幅2.5~3mm、外面は広円形、内面は真っすぐまたはわずかに凸面形、鉤状軟毛があり、柄は長さ1.5~2mm。2n=22。花期は春~秋。
多年草、低木、高さ3mまで。茎は三角形で、白い海綿状の髄があり、密に黄色がかった鉤状剛毛と細柔毛があり、またはときにほぼ無毛になる。葉は3小葉。托葉は卵形、長さ4~12mm、尖鋭形または尾状、しばしば宿存する。葉柄は長さ3~9cm、茎と同じように毛がある。頂小葉は卵形またはときに広楕円形、長さ5~13cm×幅2~7cm、紙質、両面に伏した細柔毛があり、基部は円形~切形、先は鋭形。総状花序は頂生または腋生、高さ30cmまで。花序軸には鉤状毛が密に伏して広がり、各節に2個の花がつく。小花柄は糸状、長さ6~10mm。萼は長さ2.5~3mm、5裂し、最下裂片が最も長い。花冠は紫赤色~紫色、後に青みがかった白色または緑白色となり、長さ9~11mm。豆果は短い柄があり、狭長円形、長さ2~4.5cm×幅3~4mm、密に帯褐色の鉤状毛があり、5~10節あり、下部の縫合部は深くくびれ、上部の縫合部は太くなり、わずかに波打つ。柄は長さ約2mm。各節(articles)は半円形または菱形、長さ4~5mm。花期は7~10月。果期は10~11月。2n=22, 24。
synonym Meibomia rigida (Elliott) Kuntze
USA,キューバ原産。英名はstiff tick-trefoil。乾燥から時折湿潤となる森林の境界や空き地、古い畑、送電線の跡地、そしてある種の砂質土壌に生え、マツや低木の生える開けた砂丘や平地の生息地の砂質土壌に最も多く生える。
高さ約60~90cm、比較的細身である。茎には毛が密生し、枝は少なく、ほとんどが強く斜上する。葉は3小葉、非常に小さな葉を持つ D. ciliare および D. marilandicumと他の種との中間の大きさである。葉柄は非常に短く、長さはわずか約2.5cm、側小葉の長さよりも短い。小葉はかなり厚く、硬く(実際、この種は以前は D. rigidum と命名されていた)、両面にかなり毛がある。頂小葉は側小葉よりもはるかに大きく長く、狭卵形~ほぼ長円形、長さ約5cm、幅はその半分である。側小葉は楕円形、長さ2.5~3.8cm。花序は典型的には頂生の円錐花序。花は小さく、ピンク色、長さ約5mm。豆果は属の中で最も小さい莢と節を持ち、1~3節のみで、各節の長さは約5mmである。花期は6~9月。果期は8~10月。
多年草。高さ60~120㎝、普通、上部で分枝し、無毛またはほぼ無毛。托葉は細く、長さ2~4mm。葉は3小葉、葉柄は約長さ1.5~5㎝。小葉は質が薄く、長さは幅の3~8倍、披針形~長円形(~狭卵形)、長さ10㎝×幅2.5㎝・以下、先が細長く尖り、無毛またはやや伏毛があり、葉脈が縁まで届かない。花序は大きく、分枝し、長さ10~40㎝。小花柄は長さ4~11mm。萼は長さ2.5~3.5㎜。花は長さ6~8㎜の蝶形花で、旗弁の基部に黄色の点紋が2個つく。花はしぼんでくると青色に変わる。果柄は長さ2.5~3.5㎜。豆果は節果。小節果は(2)3~6個、ほぼ三角形、長さ5~7.5㎜×幅3.5~4.5㎜、小節果のくびれが浅く、小節果には鉤状毛があり、マジックテープのように衣服にくっつく。花期は7~9月。
6 Desmodium scorpiurus (Sw.) Desv. アコウマイハギ 赤榕舞萩
synonym Desmodium arenarium Kunth
USA,メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、西インド諸島原産。英名はSamoan clover。中国名は蝎尾山蚂蝗 xie wei shan ma huang。アフリカ、インド、オーストラリア、インドネシア、ニューギニア、フィリピン、台湾など世界中に帰化している。低地および中標高(海抜0~500m)の乾燥した開けた場所に生息する。
多年草。茎は斜上または散在し、鉤状毛がある。葉は3小葉、葉柄は長さ1.5~3cm、微細な鉤状毛がある。頂小葉は卵形または広楕円形~倒卵形、長さ1~4cm×幅0.7~2.5cm、側小葉はわずかに小さく、両面に伏毛があり、側脈は4~5本、基部は鈍形、先は鈍状円形または凹形。総状花序は頂生または腋生、花序軸は細く、微細な鉤状毛があり、花は緩くつき、各節に1~2個の花がつく。小花柄は長さ3~7mm、鉤状毛があり、ときに直毛が混じる。萼は鐘形、長さ約2.5mm、上側の萼片にはわずかに2歯がある。花冠はピンク色、長さ約4mm。旗弁は倒卵形。翼弁は長円形で爪部がある。竜骨弁は斜めの倒卵形で長い爪部がある。子房は線形、長さ約3.5mm。花柱は曲がる。豆果は線形、細く、長さ2~5cm×幅約0.25cm、3~8節があり、節間はくびれ、各節(articles)は長さ4~6mm、長さは幅の3~4倍、鉤状毛がある。花期と果期は8~10月。2n=22。
synonym Desmodium sinclairii Benth.
メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はsilverleaf desmodium, Spanish Tick-clover。オーストラリアに牧草として移入され、ときに道端に帰化している。
匍匐性~斜上性の亜低木。茎は長さ約1.5mで、密に鉤毛がある。葉は3出複葉。小葉は卵形~楕円形、長さ2~10cm×幅10~60mm、先は±鋭形、両面に伏した毛があり、上面には銀色の縦縞がある。葉柄は長さ20~50mm。托葉は長さ3~5mm。総状花序は長さ30cm以下。小花柄は長さ4~10mm。花は長さ7~10mm、ピンク色~青色または白色。莢は長さ10~30mm、鉤毛に覆われる。莢は3~10個で、それぞれ長さ5~7mm。花期は春~夏。
synonym Hedysarum tortuosum Sw.
USA,メキシコ、熱帯アメリカ原産。英名はFlorida beggarweed。中国名は南美山蚂蝗 nan mei shan ma huang。荒地、平野、低地に生える。旧世界の熱帯地方に帰化し、中国の広東省に導入・帰化している。
多年草、直立性、高さ50~200cm。茎には鉤状の毛があり、ときに長毛が混じる。葉は3小葉、まれに1小葉。葉柄は長さ1~8cmで、茎と同様に毛がある。頂小葉は楕円形または卵形で、長さ3~8(~14)cm×幅1.5~3(~6)cm、両面にまばらに毛があり、基部は楔形、先は鈍形。総状花序、ときに円錐花序をつけ、頂生または腋生、花序軸には微細な鉤状毛と腺毛が密にあり、各節に2個の花がつく。小花柄は糸状で、果時に長さ1.7cm以下、花序軸と同様に毛がある。萼は長さ3~4mm、5深裂し、萼片は萼筒より長い。花冠は赤色、白色、または黄色。旗弁は倒卵形、長さ2.5~3.5cm×幅約1.5cm。体長2mm、基部は漸尖し、先は凹形。翼弁は長円形、基部は耳状で、短い爪部がある。竜骨弁は斜めの長円形、爪部がある。豆果は狭長円形、長さ1.5~2cm、縫合部は両方とも節間でくびれ、数珠状で、灰黄色の鉤状毛が密にあり、(3)5~7節がある。花期と果期は7~9月。2n=22。
Desmodium
Desmodium
Desmodium
Desmodium paniculatum (L.) DC.
Desmodium, Hylodesmumおよび Ohwia属の和名(大橋広好)
大橋広好,大橋一晶:マメ科シバハギ属の新学名 Grona
大橋広好,大橋一晶:マメ科アコウマイハギ連の新属 Sohmaea
マメ科アコウマイハギ連アコウマイハギ群の分子系統学的解析
Phylogenetic Analyses for a New Classification of the Desmodium Group of Leguminosae
Tribe Desmodieae 5. Last Desmodium Native to Asia and Australia
A review of Desmodium s.l. (Leguminosae, subfamily Papilionoideae)
in Singapore and nomenclature updates in the Malay Peninsula
北アメリカ原産で日本に帰化し、道端で普通に見られる。葉は3小葉、小葉の長さは5~8㎝、幅1~4㎝の狭卵形、先が細長く尖り、両面に毛が生え、葉脈が縁まで届かない。花は長さ6~9㎜の蝶形花で、旗弁の基部に黄色の点紋が2個つく。花はしぼんでくると青色に変わる。豆果は節果で、小節果は2~6個、小節果のくびれが浅い。小節果には曲がった毛があり、マジックテープのように衣服にくっつく。
ヌスビトハギは小葉の幅がやや広く、葉脈が縁まで届き、小節果は2個で、小節果のくびれが深い。
アコウマイハギ属(ヌスビトハギ属から改称)
family Fabaceae - genus Desmodium草本、亜低木、または低木、平伏、よじ登り、または直立する。葉は1~3(またはまれに5)小葉、葉柄があり、葉柄、托葉がある。小葉は小葉柄があり、小托葉がある、花序は腋生または頂生、総状花序または総状花序の円錐花序、または非常に密な頭状花序になる。1次の苞は条線と縁毛があり、それぞれが1個の花(小花柄のある)の基部につき、または2~数個の花が束生する。2次の苞があり、1次の苞に似るか、または小さくなり、それぞれが1個の花の基部につく。小苞はまれ、アメリカ種に存在することはめったにない。花は小花柄があり、蝶形花。萼は2裂し、上側の裂片はほぼ全縁~2裂し、下側は3歯があり、中央の歯は側歯より長く、あるいは萼がほぼ均等に5裂する。花冠は萼を超え、旗弁はわずかに爪部があり、翼弁にもやや爪部がある。翼弁はしばしば小さな付属体によって竜骨弁に取り付けられ、竜骨弁は長い爪部があり、上部で部分的に融合する。旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は分離または部分的に融合する。葯は均一。子房は無柄または有柄、胚珠は2個~多数。花柱は細い。柱頭は頂生。果実は節果(lomentaceous)、すなわち、横向きの隔膜があり、(1-)2~多数の小節果(articles)を形成し、普通、柄があり、非裂開または遅く裂開し、またはパナマの1種では、縫合糸間の壁が脱落し、縫合糸が枠として残る。小節果は様々な形になり、ほぼ直線からほぼ袋状または円形で先にノッチがあり、ときにアコーディオンのように互いに折り畳まれ(少なくとも若いとき)、表面は無毛~密に毛があり、真っすぐで先細や鈎のある毛状突起があり、またはこれらの毛が縫合線の上だけにあり、小節果は1種子をもつ。種子は長円形またはほぼ4稜形~腎形。
世界に約180種があり、熱帯、亜熱帯のアメリカに分布し、1種がアフリカに分布する。
アコウマイハギ属の主な種と園芸品種
1 Desmodium illinoense A.Gray イリノイヌスビトハギUSA,カナダ原産。英名はIllinois ticktrefoil。標高100~500mの草原の遺跡、雑木林、道端に生える。
多年草。茎は斜上または直立し、分岐または不分岐、長さ50~100cm、中央に鉤状軟毛があり、ときに±細柔毛もある。葉は3出複葉。托葉は宿存し、卵形、長さ8~15mm、基部は抱茎、細柔毛の縁毛がある。葉柄は長さ30~50mm。小葉の葉身は狭卵形~卵形、厚く紙質、先は鋭形~円形、下面に目立つ網目状脈があり、下面の脈上に鉤状の微軟毛があり、上面はまばらに開出する絨毛があるかまたは無毛。頂小葉の葉身は長さ35~80mm×幅30~70mm、長さは幅の1.5~3倍。花序は通常分枝せず、花序軸には開出する細柔毛と鉤状軟毛がある。一次苞は狭卵形、長さ4~5mm。小花柄は長さ7~15(~23)mm。花:萼片は長さ4~5mm、鉤状微軟毛と細柔毛があり、萼筒部は長さ2~3mm。外側の萼片は長さ2.5mm、側萼片は長さ2mm。花冠は帯紫色、長さ6~8mm。豆果:縫合部は等しい円鋸歯状。中央の接合部は節の幅の1/2~4/5倍。節は4~7個で、楕円形またはほぼ円形、長さ4~7mm×幅3.5~5mm、外面および内面ともに対称的に凸面形、密に鉤状微軟毛と絨毛がある。柄は長さ2~4mm。花期は夏(~秋)。
2 Desmodium incanum (Sw.) DC. タチシバハギ 立芝萩
synonym Desmodium canum Schinz. et Thell.
synonym Desmodium frutescens Schindl.
メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名は creeping beggarweed , Spanish clover , Spanish tick-trefoil . kaʻimi , kaimi clover。USA、アフリカ、マダガスカル、オーストラリア、ニューギニアなどに帰化している。標高0~50mのマツ・パルメットヤシ林の平地、林縁、芝生、荒地、撹乱地または荒廃地に生える。
草本植物、亜低木、または灌木、多年生。匍匐茎または根茎を持つ。茎は直立または斜上し、長さ300cmまで、有毛または無毛。葉は3出複葉。托葉は通常宿存し、狭卵状三角形、長さ5~10mm。葉柄は通常長さ15~20mm。小葉は楕円形~卵形、先は鈍形または鋭形、下面に細かく広がる小絨毛~亜伏剛毛があり、上面に鉤状毛があるかまたは無毛。頂小葉は長さ20~90mm×幅15~45mm、長さは幅の1.5~4倍。花序は分岐せず、花序軸には密に開出する鉤状軟毛がある。一次苞は脱落性で、狭卵形、長さ6~7mm。小花柄は節果(loments)が落ちた後も先端に萼片が宿存し、長さ5~9mm。花:萼は長さ2~3.5mm、鉤状微軟毛あり、萼片には細柔毛があり、萼筒は長さ1mm。外側の萼片は長さ1.5~2.5mm、側萼片は長さ1~2mm。花冠は紫色、長さ5~8mm。節果は縫合部は外面では対称的に円鋸歯状になり、内面では直線状またはわずかに波状になり、接合部は中央にあり、節幅の1/2~2/3。節は4~8個で、半倒卵形、長さ3.5~5mm×幅2.5~3mm、外面は広円形、内面は真っすぐまたはわずかに凸面形、鉤状軟毛があり、柄は長さ1.5~2mm。2n=22。花期は春~秋。
3 Desmodium intortum (Mill.) Urb. フジボツルハギ 藤穂蔓萩
メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ北部、ガラパゴス諸島、ハイチ、ジャマイカ原産。英名はGreenleaf desmodium , beggarlice。中国名は扭曲山蚂蝗 niu qu shan ma huang。アフリカ、インド、オーストラリア、ニューギニア、台湾などに帰化している。台湾の標高100~1400mでみられる。多年草、低木、高さ3mまで。茎は三角形で、白い海綿状の髄があり、密に黄色がかった鉤状剛毛と細柔毛があり、またはときにほぼ無毛になる。葉は3小葉。托葉は卵形、長さ4~12mm、尖鋭形または尾状、しばしば宿存する。葉柄は長さ3~9cm、茎と同じように毛がある。頂小葉は卵形またはときに広楕円形、長さ5~13cm×幅2~7cm、紙質、両面に伏した細柔毛があり、基部は円形~切形、先は鋭形。総状花序は頂生または腋生、高さ30cmまで。花序軸には鉤状毛が密に伏して広がり、各節に2個の花がつく。小花柄は糸状、長さ6~10mm。萼は長さ2.5~3mm、5裂し、最下裂片が最も長い。花冠は紫赤色~紫色、後に青みがかった白色または緑白色となり、長さ9~11mm。豆果は短い柄があり、狭長円形、長さ2~4.5cm×幅3~4mm、密に帯褐色の鉤状毛があり、5~10節あり、下部の縫合部は深くくびれ、上部の縫合部は太くなり、わずかに波打つ。柄は長さ約2mm。各節(articles)は半円形または菱形、長さ4~5mm。花期は7~10月。果期は10~11月。2n=22, 24。
4 Desmodium obtusum (Muhl. ex Willd.) DC. アメリカヌスビトハギ 亜米利加盗人萩
synonym Desmodium rigidum (Elliott) DC.synonym Meibomia rigida (Elliott) Kuntze
USA,キューバ原産。英名はstiff tick-trefoil。乾燥から時折湿潤となる森林の境界や空き地、古い畑、送電線の跡地、そしてある種の砂質土壌に生え、マツや低木の生える開けた砂丘や平地の生息地の砂質土壌に最も多く生える。
高さ約60~90cm、比較的細身である。茎には毛が密生し、枝は少なく、ほとんどが強く斜上する。葉は3小葉、非常に小さな葉を持つ D. ciliare および D. marilandicumと他の種との中間の大きさである。葉柄は非常に短く、長さはわずか約2.5cm、側小葉の長さよりも短い。小葉はかなり厚く、硬く(実際、この種は以前は D. rigidum と命名されていた)、両面にかなり毛がある。頂小葉は側小葉よりもはるかに大きく長く、狭卵形~ほぼ長円形、長さ約5cm、幅はその半分である。側小葉は楕円形、長さ2.5~3.8cm。花序は典型的には頂生の円錐花序。花は小さく、ピンク色、長さ約5mm。豆果は属の中で最も小さい莢と節を持ち、1~3節のみで、各節の長さは約5mmである。花期は6~9月。果期は8~10月。
5 Desmodium paniculatum (L.) DC. アレチヌスビトハギ 荒れ地盗人萩
北アメリカ原産。英名はpanicledleaf ticktrefoil , panicled tick trefoil , narrow-leaf tick-trefoil , panicled tickclover , panicles tick trefoil。道端、荒地に生える。多年草。高さ60~120㎝、普通、上部で分枝し、無毛またはほぼ無毛。托葉は細く、長さ2~4mm。葉は3小葉、葉柄は約長さ1.5~5㎝。小葉は質が薄く、長さは幅の3~8倍、披針形~長円形(~狭卵形)、長さ10㎝×幅2.5㎝・以下、先が細長く尖り、無毛またはやや伏毛があり、葉脈が縁まで届かない。花序は大きく、分枝し、長さ10~40㎝。小花柄は長さ4~11mm。萼は長さ2.5~3.5㎜。花は長さ6~8㎜の蝶形花で、旗弁の基部に黄色の点紋が2個つく。花はしぼんでくると青色に変わる。果柄は長さ2.5~3.5㎜。豆果は節果。小節果は(2)3~6個、ほぼ三角形、長さ5~7.5㎜×幅3.5~4.5㎜、小節果のくびれが浅く、小節果には鉤状毛があり、マジックテープのように衣服にくっつく。花期は7~9月。
6 Desmodium scorpiurus (Sw.) Desv. アコウマイハギ 赤榕舞萩
synonym Desmodium arenarium Kunth
USA,メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、西インド諸島原産。英名はSamoan clover。中国名は蝎尾山蚂蝗 xie wei shan ma huang。アフリカ、インド、オーストラリア、インドネシア、ニューギニア、フィリピン、台湾など世界中に帰化している。低地および中標高(海抜0~500m)の乾燥した開けた場所に生息する。
多年草。茎は斜上または散在し、鉤状毛がある。葉は3小葉、葉柄は長さ1.5~3cm、微細な鉤状毛がある。頂小葉は卵形または広楕円形~倒卵形、長さ1~4cm×幅0.7~2.5cm、側小葉はわずかに小さく、両面に伏毛があり、側脈は4~5本、基部は鈍形、先は鈍状円形または凹形。総状花序は頂生または腋生、花序軸は細く、微細な鉤状毛があり、花は緩くつき、各節に1~2個の花がつく。小花柄は長さ3~7mm、鉤状毛があり、ときに直毛が混じる。萼は鐘形、長さ約2.5mm、上側の萼片にはわずかに2歯がある。花冠はピンク色、長さ約4mm。旗弁は倒卵形。翼弁は長円形で爪部がある。竜骨弁は斜めの倒卵形で長い爪部がある。子房は線形、長さ約3.5mm。花柱は曲がる。豆果は線形、細く、長さ2~5cm×幅約0.25cm、3~8節があり、節間はくびれ、各節(articles)は長さ4~6mm、長さは幅の3~4倍、鉤状毛がある。花期と果期は8~10月。2n=22。
7 Desmodium uncinatum (Jacq.) DC. ハナタチシバハギ 花立芝萩
synonym Desmodium sandwicense E.Mey.synonym Desmodium sinclairii Benth.
メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はsilverleaf desmodium, Spanish Tick-clover。オーストラリアに牧草として移入され、ときに道端に帰化している。
匍匐性~斜上性の亜低木。茎は長さ約1.5mで、密に鉤毛がある。葉は3出複葉。小葉は卵形~楕円形、長さ2~10cm×幅10~60mm、先は±鋭形、両面に伏した毛があり、上面には銀色の縦縞がある。葉柄は長さ20~50mm。托葉は長さ3~5mm。総状花序は長さ30cm以下。小花柄は長さ4~10mm。花は長さ7~10mm、ピンク色~青色または白色。莢は長さ10~30mm、鉤毛に覆われる。莢は3~10個で、それぞれ長さ5~7mm。花期は春~夏。
8 Desmodium tortuosum (Sw.) DC. ムラサキヌスビトハギ 紫盗人萩
synonym Desmodium purpureum (Gueldenst.) Fawc. et Rendlesynonym Hedysarum tortuosum Sw.
USA,メキシコ、熱帯アメリカ原産。英名はFlorida beggarweed。中国名は南美山蚂蝗 nan mei shan ma huang。荒地、平野、低地に生える。旧世界の熱帯地方に帰化し、中国の広東省に導入・帰化している。
多年草、直立性、高さ50~200cm。茎には鉤状の毛があり、ときに長毛が混じる。葉は3小葉、まれに1小葉。葉柄は長さ1~8cmで、茎と同様に毛がある。頂小葉は楕円形または卵形で、長さ3~8(~14)cm×幅1.5~3(~6)cm、両面にまばらに毛があり、基部は楔形、先は鈍形。総状花序、ときに円錐花序をつけ、頂生または腋生、花序軸には微細な鉤状毛と腺毛が密にあり、各節に2個の花がつく。小花柄は糸状で、果時に長さ1.7cm以下、花序軸と同様に毛がある。萼は長さ3~4mm、5深裂し、萼片は萼筒より長い。花冠は赤色、白色、または黄色。旗弁は倒卵形、長さ2.5~3.5cm×幅約1.5cm。体長2mm、基部は漸尖し、先は凹形。翼弁は長円形、基部は耳状で、短い爪部がある。竜骨弁は斜めの長円形、爪部がある。豆果は狭長円形、長さ1.5~2cm、縫合部は両方とも節間でくびれ、数珠状で、灰黄色の鉤状毛が密にあり、(3)5~7節がある。花期と果期は7~9月。2n=22。
参考
1) Flora of ChinaDesmodium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=109693
2) Plants of the World Online| KewscienceDesmodium
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331550-2
3) World Flora OnlineDesmodium
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000011206;jsessionid=F6CB053EEF22D9165E7DFBC095A248A2
4) SEINet Portal NetworkDesmodium paniculatum (L.) DC.
https://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxon=46562
5) 植物研究雑誌 77(1):59-60,(2002)Desmodium, Hylodesmumおよび Ohwia属の和名(大橋広好)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_077_59_60.pdf
6) 植物研究雑誌 第93巻 第2号 104-120(2018)大橋広好,大橋一晶:マメ科シバハギ属の新学名 Grona
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-2_104-120.pdf
7) 植物研究雑誌 第93巻 第3号 155–164 (2018)大橋広好,大橋一晶:マメ科アコウマイハギ連の新属 Sohmaea
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_155-164.pdf
8) 植物研究雑誌 第93巻 第3号 165–189 (2018)マメ科アコウマイハギ連アコウマイハギ群の分子系統学的解析
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_165-189.pdf
9) 植物研究雑誌 第96(1): 1–18 (2021)Phylogenetic Analyses for a New Classification of the Desmodium Group of Leguminosae
Tribe Desmodieae 5. Last Desmodium Native to Asia and Australia
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_155-164.pdf
10 ) Gardens’ Bulletin Singapore 73(1): 49–80. 2021A review of Desmodium s.l. (Leguminosae, subfamily Papilionoideae)
in Singapore and nomenclature updates in the Malay Peninsula
https://www.nparks.gov.sg/sbg/research/publications/gardens%27-bulletin-singapore/-/media/sbg/gardens-bulletin/gbs_73_01_y2021/73_01_06_y2021_v7301_gbs_pg49.pdf