アレチヌスビトハギ 荒れ地盗人萩

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Flora of Mikawa

マメ科 Fabaceae アコウマイハギ属

英 名 panicledleaf ticktrefoil , panicled tick trefoil , narrow-leaf tick-trefoil , panicled tickclover , panicles tick trefoil
学 名 Desmodium paniculatum (L.) DC.
アレチヌスビトハギの花
アレチヌスビトハギの花後青くなる
アレチヌスビトハギの小節果5
アレチヌスビトハギの小節果4
アレチヌスビトハギの小節果2
アレチヌスビトハギの豆果
アレチヌスビトハギの葉
アレチヌスビトハギ
アレチヌスビトハギ葉脈
アレチヌスビトハギ果実の毛
花 期 7~9月
高 さ 60~120㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、荒地
分 布 帰化種  北アメリカ原産
撮 影 蒲郡市 09.9.19
2005年に世界のマメ科植物がまとめられ、ヌスビトハギ属(genus Desmodium)はヌスビトハギ連ヌスビトハギ群 Tribe Desmodieae Desmodium group にまとめられ、新しく16属に分類された (Ohashi 2005)。アジア産のヌスビトハギ属はHylodesmumに変更され、残ったgenus Desmodiumはアコウマイハギ属と改称された。  北アメリカ原産で日本に帰化し、道端で普通に見られる。葉は3小葉、小葉の長さは5~8㎝、幅1~4㎝の狭卵形、先が細長く尖り、両面に毛が生え、葉脈が縁まで届かない。花は長さ6~9㎜の蝶形花で、旗弁の基部に黄色の点紋が2個つく。花はしぼんでくると青色に変わる。豆果は節果で、小節果は2~6個、小節果のくびれが浅い。小節果には曲がった毛があり、マジックテープのように衣服にくっつく。
 ヌスビトハギは小葉の幅がやや広く、葉脈が縁まで届き、小節果は2個で、小節果のくびれが深い。

アコウマイハギ属(ヌスビトハギ属から改称)

  family Fabaceae - genus Desmodium

 草本、亜低木、または低木、平伏、よじ登り、または直立する。葉は1~3(またはまれに5)小葉、葉柄があり、葉柄、托葉がある。小葉は小葉柄があり、小托葉がある、花序は腋生または頂生、総状花序または総状花序の円錐花序、または非常に密な頭状花序になる。1次の苞は条線と縁毛があり、それぞれが1個の花(小花柄のある)の基部につき、または2~数個の花が束生する。2次の苞があり、1次の苞に似るか、または小さくなり、それぞれが1個の花の基部につく。小苞はまれ、アメリカ種に存在することはめったにない。花は小花柄があり、蝶形花。萼は2裂し、上側の裂片はほぼ全縁~2裂し、下側は3歯があり、中央の歯は側歯より長く、あるいは萼がほぼ均等に5裂する。花冠は萼を超え、旗弁はわずかに爪部があり、翼弁にもやや爪部がある。翼弁はしばしば小さな付属体によって竜骨弁に取り付けられ、竜骨弁は長い爪部があり、上部で部分的に融合する。旗弁の雄しべ(vexillary stamen)は分離または部分的に融合する。葯は均一。子房は無柄または有柄、胚珠は2個~多数。花柱は細い。柱頭は頂生。果実は節果(lomentaceous)、すなわち、横向きの隔膜があり、(1-)2~多数の小節果(articles)を形成し、普通、柄があり、非裂開または遅く裂開し、またはパナマの1種では、縫合糸間の壁が脱落し、縫合糸が枠として残る。小節果は様々な形になり、ほぼ直線からほぼ袋状または円形で先にノッチがあり、ときにアコーディオンのように互いに折り畳まれ(少なくとも若いとき)、表面は無毛~密に毛があり、真っすぐで先細や鈎のある毛状突起があり、またはこれらの毛が縫合線の上だけにあり、小節果は1種子をもつ。種子は長円形またはほぼ4稜形~腎形。
 世界に約180種があり、熱帯、亜熱帯のアメリカに分布し、1種がアフリカに分布する。

アコウマイハギ属の主な種と園芸品種

1 Desmodium illinoense A.Gray  イリノイヌスビトハギ 
 USA,カナダ原産。英名はIllinois ticktrefoil
2 Desmodium incanum (Sw.) DC.  タチシバハギ 
  synonym Desmodium canum Schinz. et Thell.
  synonym Desmodium frutescens Schindl.
 中央アメリカ、南アメリカ原産。英名は creeping beggarweed , Spanish clover , Spanish tick-trefoil . kaʻimi , kaimi clover。
3 Desmodium intortum (Mill.) Urb.  フジボツルハギ 
 メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ北部、ガラパゴス諸島、ハイチ、ジャマイカ原産。英名はGreenleaf desmodium , beggarlice。
4 Desmodium obtusum (Muhl. ex Willd.) DC.  アメリカヌスビトハギ 
  synonym Desmodium rigidum (Elliott) DC.
  synonym Meibomia rigida (Elliott) Kuntze
 USA,キューバ原産。英名はstiff tick-trefoil。
5 Desmodium paniculatum (L.) DC. アレチヌスビトハギ 荒れ地盗人萩
 北アメリカ原産。英名はpanicledleaf ticktrefoil , panicled tick trefoil , narrow-leaf tick-trefoil , panicled tickclover , panicles tick trefoil。道端、荒地に生える。
 多年草。高さ60~120㎝、普通、上部で分枝し、無毛またはほぼ無毛。托葉は細く、長さ2~4mm。葉は3小葉、葉柄は約長さ1.5~5㎝。小葉は質が薄く、長さは幅の3~8倍、披針形~長円形(~狭卵形)、長さ10㎝×幅2.5㎝・以下、先が細長く尖り、無毛またはやや伏毛があり、葉脈が縁まで届かない。花序は大きく、分枝し、長さ10~40㎝。小花柄は長さ4~11mm。萼は長さ2.5~3.5㎜。花は長さ6~8㎜の蝶形花で、旗弁の基部に黄色の点紋が2個つく。花はしぼんでくると青色に変わる。果柄は長さ2.5~3.5㎜。豆果は節果。小節果は(2)3~6個、ほぼ三角形、長さ5~7.5㎜×幅3.5~4.5㎜、小節果のくびれが浅く、小節果には曲がった毛があり、マジックテープのように衣服にくっつく。花期は7~9月。

6 Desmodium scorpiurus (Sw.) Desv. アコウマイハギ 
  synonym Desmodium arenarium Kunth
 USA,メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、西インド諸島原産。英名はSamoan clover
7 Desmodium uncinatum (Jacq.) DC. ハナタチシバハギ 
  synonym Desmodium sandwicense E.Mey.
  synonym Desmodium sinclairii Benth.
 メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ原産。英名はsilverleaf desmodium

8 Desmodium tortuosum (Sw.) DC. ムラサキヌスビトハギ 
  synonym Desmodium purpureum (Gueldenst.) Fawc. et Rendle
  synonym Hedysarum tortuosum Sw.
 USA,メキシコ、熱帯アメリカ原産。英名はFlorida beggarweed。


参考

1) Flora of China
 Desmodium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=109693
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Desmodium
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331550-2
3) World Flora Online
 Desmodium
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000011206;jsessionid=F6CB053EEF22D9165E7DFBC095A248A2
4) SEINet Portal Network
 Desmodium paniculatum (L.) DC.
https://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxon=46562
5) 植物研究雑誌 77(1):59-60,(2002)
 Desmodium, Hylodesmumおよび Ohwia属の和名(大橋広好)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_077_59_60.pdf
6) 植物研究雑誌 第93巻 第2号 104-120(2018)
 大橋広好,大橋一晶:マメ科シバハギ属の新学名 Grona
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-2_104-120.pdf
7) 植物研究雑誌 第93巻 第3号 155–164 (2018)
 大橋広好,大橋一晶:マメ科アコウマイハギ連の新属 Sohmaea
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_155-164.pdf
8) 植物研究雑誌 第93巻 第3号 165–189 (2018)
 マメ科アコウマイハギ連アコウマイハギ群の分子系統学的解析
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_165-189.pdf
9) 植物研究雑誌 第96(1): 1–18 (2021)
 Phylogenetic Analyses for a New Classification of the Desmodium Group of Leguminosae
 Tribe Desmodieae 5. Last Desmodium Native to Asia and Australia
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB93-3_155-164.pdf
10 ) Gardens’ Bulletin Singapore 73(1): 49–80. 2021
 A review of Desmodium s.l. (Leguminosae, subfamily Papilionoideae)
 in Singapore and nomenclature updates in the Malay Peninsula
https://www.nparks.gov.sg/sbg/research/publications/gardens%27-bulletin-singapore/-/media/sbg/gardens-bulletin/gbs_73_01_y2021/73_01_06_y2021_v7301_gbs_pg49.pdf