アブラガヤ 油茅

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Flora of Mikawa

カヤツリグサ科 Cyperaceae クロアブラガヤ属

別 名 アイバガヤ(狭義)
中国名 球穗藨草 qiu sui biao cao (広義)
学 名 Scirpus wichurae Boecklr.
Scirpus wichurae Boecklr. form. wichurae (狭義)
アブラガヤ蕾
アブラガヤ熟した小穂
アブラガヤ小穂拡大
アブラガヤ鱗片
アブラガヤ葉鞘
アブラガヤ茎
アブラガヤ
アブラガヤ小穂の初期
アブラガヤ小穂の中間期
アブラガヤ花序の分岐
アブラガヤ果実
花 期 8~10月
高 さ 100~150㎝
生活型 多年草
生育場所 湿地
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、
撮 影 岡崎市  06.7.22
和名の由来は花序が油光りし、油臭いことから。
 叢生し、匐枝は出さない。茎は太く、節があり、鈍い3稜形。葉は幅0.5~1㎝。茎の先及び葉腋に花序を出し、さらに分枝して小穂を付ける。果実が熟すと茶褐色に色が変わる。果実は扁平に近い、長さ約1㎜の3稜形。刺針状花被片は糸状で、縮れ、果実が熟すと鱗片から先が出て、毛が生えたように見える。
 アブラガヤはいくつかの品種などに細分類され、定説がなく、広義に扱われることも多い。チュウゴクアブラガヤ(subsp. lushanensis)やエゾアブラガヤ(subsp. asiatisus)も含めるという見解もある。日本以外の朝鮮、中国、インド、ブータン、バングラデシュ、インドネシア、タイに分布するのは広義のものである。
 アイバソウ form. wichurae は小穂が枝先に単生する。
 アブラガヤ(狭義) form. concolor (Maxim.)T.Koyama は小穂が枝先に2~3個集まってつく。
 シデアブラガヤ form. cylindoricus (Makino)Nemoto は小穂が長さ約1.3㎝の円筒状で束生する。
 エゾアブラガヤ(ヒゲアブラガヤ)は刺針状花被片が長く、毛が密生したように見える。

クロアブラガヤ属

  family: Cyperaceae - genus Scirpus

 多年草、稈(culm)は叢生し、3稜形~不明瞭な3稜形、稀に円柱形、少数~多数の節がある。葉は根生葉と茎葉。葉身は線形、草状、葉舌があり、基部に鞘がある。苞葉(総苞片)は葉状、開出する。花序は頂生の散房状のイグサ形花序(anthela)、多数の小穂をもつ。小穂は卵形~楕円形、通常、小さい。苞穎(鱗片)は螺旋状につき、それぞれが花を抱く。花は両性。花被の剛毛(指針状花被片)は3~6個、小堅果(痩果)の長さと同長~かなり長く、小堅果とともに落ちる。雄しべは1~3本。花柱は基部が太くならず、宿存する。柱頭は2~3個。小堅果は卵形~楕円形、扁3稜形~両凸面形、先に嘴がある。
 世界に約35種があり、主に北半球の温帯に分布し、北アメリカに最も多い。

クロアブラガヤ属の主な種

1 Scirpus asiaticus Beetle  エゾアブラガヤ
  synonym Scirpus lineatus Michx. subsp. wichurae (Boeck.) T.Koyama var. asiaticus (Beetle) T.Koyama 
  synonym Scirpus borealis (Ohwi) T.Koyama 
  synonym Scirpus wichurae auct. non Boeck.
  synonym Scirpus wichurae Boeck. var. borealis Ohwi
  synonym Scirpus wichurae Boeck. var. asiaticus (Beetle) T.Koyama ex W.T.Lee
  synonym Scirpus wichurae Boeck. subsp. asiaticus (Beetle) T.Koyama 
 日本(北海道、本州、四国、九州)。別名はヒゲアブラガヤ。湿地、池の縁、湿った草地などに生える。
刺針状花被片が長く、毛が密生したように見える。Flora of Chinaではアブラガヤに含めている。

2 Scirpus fuirenoides Maxim.  コマツカサススキ 小松毬薄
 日本固有種(本州、九州) 。別名はタマススキ。
 1年草、高さ80~120㎝。葉は硬く、幅3~4㎜。苞は葉状で、長い。茎頂、葉腋に球形花序を5~6個、散形又は単生し、花序の枝は複分枝しない。球状花序には小穂が10~30個集まる。小穂は長さ5~7㎜。鱗片は幅1~1.2㎜の長卵形。痩果は長さ1.3~1.5㎜、淡褐色、倒卵形、表面に細かい凸凹がある。刺針状花被片は6個つき、果実が熟すとが小穂の外に見えるようになり、傘の骨のように広がる。刺針状花被片の基部にはやや長い小刺がつく。2n=64,72。花期は8~9月。
3 Scirpus georgianus R.M.Harper  セフリアブラガヤ
 北アメリカ東部原産。英名はGeorgia bulrush。飼料用又は緑化用の種子に混入して持ち込まれた外来種。湿った草地、沼地、溝などに生える。
  株は叢生する。根茎は短く、丈夫、繊維質。稈は稔性のものは上向き又寄りかかり、節に腋生の鱗芽はない。葉は稈に6~12枚つく。下部の葉の葉鞘は緑色又は帯褐色。下部の鞘と葉身は隔壁が少数~多数、普通、明瞭で無い。葉身は長さ19~50㎝×幅6~13㎜。花序は頂生。花序枝は斜上又は散開(しばしば、同じ花序で両方)。下部の枝は平滑、上部の枝はザラつき~細かくザラつく。花序枝はしばしば、鱗芽を腋生し、苞葉の基部は緑色、縁に褐色、又は少なくとも赤褐色の斑点があり、粘らない。小穂は4~35個束生する(最も大きいものは16個以上)。小穂は無柄、卵形、長さ2~4㎜×幅1~2㎜。鱗片は褐色又は黒褐色、中肋は淡色、楕円形、長さ1~1.8㎜、先は微突形(mucronate)、微突起は長さ0.1~0.3㎜。花被の剛毛はあれば宿存し、0~3本、細く、真っすぐ又は曲がり、痩果よりかなり短く(まれに、0.7倍)、平滑又はまれに、先近くに端の丸い後ろ向きの歯があり、鱗片の中に包まれる。花柱は3裂。痩果は淡褐色~ほとんど白色、楕円形~倒卵形、丸みのある3稜形又は平凸面形、長さ 0.6~1.2㎜×幅0.4~0.5㎜。 2n = 50, 52, 54.。果期は晩春~早夏(6~7月)
 
4 Scirpus hattorianus Makino  イワキアブラガヤ
  synonym Scirpus atrovirens Willd. var. georgianus auct. non (R.M.Harper) Fernald
  synonym Scirpus atrovirens auct. non Willd.
 北アメリカ原産。日本のものはおそらく帰化で長く定着していない。イワキアブラガヤは花被片が5~6本、長さは痩果と同長かやや短いのに対し、セフリアブラガヤは花被片が0~3本、長さは痩果よりもかなり 短く、長くても70% の長さである。
 株は叢生する。根茎は短く、丈夫、繊維質。稈は稔性のものは上向き又はほぼ上向き、節に腋生の鱗芽はない。葉は稈に3~9枚つく。下部の葉の葉鞘は薄褐色。下部の鞘と葉身は隔壁が少数~多数、やや不明瞭。葉身は長さ20~35㎝×幅5~9㎜。花序は頂生。花序枝は斜上又は散開(普通、同じ花序で両方)。花序枝はしばしば、腋に鱗芽をつけ、下部の枝は平滑、上部の枝は細かくザラつく~ザラつき、苞葉の基部は緑色、縁に赤褐色、まれに黒一色の斑点があり、粘らない。小穂は密に4~55個束生する(最も大きいものは15個以上)。小穂は無柄、卵形~広卵形、長さ2~3.5㎜×幅1.3~2.5㎜。鱗片は帯黒色又はたまに帯褐色、中肋は淡色、楕円形~広楕円形、長さ1~1.4(~2)㎜、先は微突形(mucronate)、微突起は長さ0.1~0.2㎜。花被の剛毛は宿存し、(4~)5~6本、細く、真っすぐ又は曲がり、痩果より短~同長、薄壁、上部の(0.1~)0.2~0.4部分に先端の丸いかぎ状の返しがあり、鱗片に包まれる。花柱は3裂。痩果は淡褐色、楕円形~倒卵形、丸みのある3稜形、長さ (0.6~)0.7~1.1㎜×幅0.3~0.5㎜。 2n = 56。果期は晩春~早夏(6~7月初旬)

5 Scirpus karuisawensis Makino  ヒメマツカサススキ 姫松毬薄
  synonym Scirpus fuirenoides Maxim. var. jaluanus Kom.
  synonym Scirpus fuirenoides Maxim. var. karuisawensis (Makino) H.Hara 
  synonym Scirpus fuirenoides Maxim. subsp. jaluanus (Kom.) T.Koyama 
 日本(本州の長野県、山梨県)、朝鮮、中国に分布。中国名は华东藨草 hua dong biao cao 。湿った場所、沼地に生える。
 根茎は短い。稈は高さ0.8~1.5m、丈夫、堅く、不明瞭な3稜があり、節は5~7個、基部は少数の葉身の無い葉鞘で蔽われる。葉は稈より短い。葉鞘は赤褐色。葉身は線形、幅4~10㎜、硬い。苞葉は1~4枚、葉状、花序を超える。花序は頂生と2~4個の側生のゆるいイグサ形花序からなる。側生のイグサ形花序は単純、5又は数個の長さ約7㎝の花序枝をもち、その頂部は多くの花序枝をもつ複複合(decompound)のイグサ形花序に終わる。5~10個の球形の束生(密散花序)の中の小穂は長円形~卵形、長さ5~9㎜×幅3~4㎜、密に多数の花があり、先は鈍形。苞穎(鱗片)は赤褐色、披針形~長円状卵形、長さ2.5~3㎜×幅1~1.3㎜、膜質、1脈があり、先は鋭形。花被の剛毛は6本、白色、小堅果の長さの3~4倍、基部は曲がりくねり、先はまばらに前向きのザラつきがある。葯は線形。花柱は中間の長さ。柱頭は3個。小堅果は帯黄色、長円形~倒卵形、長さ約1㎜、扁平な3稜形、光沢があり、先に短い嘴がある。花期と果期は8~9月。

6 Scirpus maximowiczii C.B.Clarke  タカネクロスゲ 高嶺黒菅
  synonym Eriophorum japonicum Maximowicz;
  synonym Eriophorum maximowiczii (C. B. Clarke) Beetle;
  synonym Scirpus japonicus (Maximowicz) Fernald
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は佛焰苞藨草 fo yan bao biao cao。湿った場所、斜面、凍った土壌の高山に生える。
 根茎は斜め、匍匐茎がある。稈は単生、高さ15~30㎝、3稜形、節があり、基部は葉鞘に被われ、やがて崩壊し、繊維状になり、先はわずかにザラつく。根生葉は稈より短い。葉身は広線形、幅3~6㎜、平ら、先は急に狭く~3稜形になり、下面の中脈と縁はわずかにザラつき、先は鈍形。茎葉は2~3枚、葉鞘は緑色、まれに先が黒色に近くなる。葉身は線状披針形、長さ3~6㎝×幅4~6㎜、平ら又はわずかにひだがある。苞葉は1~3枚、仏炎苞状、類直立、基部は黒褐色。花序は頂生、イグサ形花序。花序枝は長さが不等、長さ3㎝以下、それぞれ頂部に(1 ~)2~3(~ 4)個の小穂がつき、横にうなづき、ザラつく。小穂は灰褐色、楕円形~卵形、長さ5~7㎜、花が多数つく。苞穎は楕円形~長円形、長さ3~4㎜×幅1.2~1.5㎜、膜質、1脈があり、先は鈍形。花被の剛毛は6本、長さ4~6㎜、曲がりくねり、先に逆向きのザラつきがある。雄しべは3本。葯は長さ2~2.5㎜。花柱は細い。柱頭は3個。小堅果は狭倒卵形、長さ1.8~2㎜×幅約1㎜、3稜形。花期と果期は7~9月。2n = 64

7 Scirpus microcarpus J. et C.Presl  ヒメクロアブラガヤ
 ロシア、北アメリカ原産。

8 Scirpus mitsukurianus Makino  マツカサススキ 松毬薄
 日本固有種(本州、九州、四国)
 稈は直立、高さ80~180㎝、丈夫、鈍い3稜形、普通、節が5~7個のある。 葉は線形、幅4~8㎜、硬く、扁平、縁はザラつく。葉鞘は長く、長さ3~10㎝。 花序は複合の散房状イグサ形花序、小穂が10-25個束生した3~5個の直径1~1.5㎝の頭状花序が頂生および側生する。頂生のものは花序枝が長さ5~10㎝。苞葉は3~5個つき、下方の2~3個は花序よりも長い。小穂は無柄、長さ4~6㎜、楕円形、熟すと褐黒灰色になる。鱗片は幅が狭く、狭卵形~披針形、長さ2~3㎜×幅0.5~0.8㎜、膜質、中肋付近は淡褐色。柱頭は3個。 刺針花被片は(5)8~10本、屈曲し、痩果よりもかなり長く、長さ約5㎜、先はザラつくがほぼ平滑。 痩果は倒卵形、長さ1㎜、淡色、上端に嘴がある。

9 Scirpus radicans Schkuhr  ツルアブラガヤ 蔓油茅
 日本(北海道、山形県、新潟県)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ヨーロッパ原産。中国名は单穗藨草 dan sui biao cao 。水中、沼地などに生える。
 根茎は短い。稈はわずかに叢生、高さ0.7~1.5m、不明瞭な3稜形、節が7~8個あり、平滑だが、花序付近がわずかにザラつく。葉は茎葉、花序より短い。葉鞘は長い。葉身は幅7~10㎜、下面の中脈と縁はわずかにザラつく。苞葉は2~3枚、葉状、花序を超える。花序は頂生、大きな複合のイグサ形花序、多数の花序枝があり、1次の花序枝は長さ9㎝以下。小穂は単生、長円状卵形~狭卵形、長さ5~8㎜×幅約2㎜、多数花がつき、先は尖鋭形。苞穎は密につき、長円形、長さ約2㎜、膜質、両面が暗灰黒色、中脈は淡黄色、基部はときにわら色、縁は先に縁毛があり、先は鋭形。花被の剛毛は6本、普通、小堅果の長さの2~4倍、はっきり曲がりくねり、後ろ向きのザラつきが先近くだけにある。葯は長さ約1㎜、線状長円形。花柱はわずかに短い。柱頭は3個。小堅果は淡黄色、倒卵形、長さ約1㎜、扁3稜形。花期と果期は6~9月。2n = 56.。

10 Scirpus rosthornii Diels  ツクシアブラガヤ 筑紫油茅  [広義]
 日本(九州、沖縄)、中国、ネパール原産。中国名は百球藨草 bai qiu biao cao 。林内、林縁、斜面、道端、湿った場所、沼地に生える。
 根茎は短い。稈は高さ70~100㎝、丈夫、3稜形、硬く、節がある。葉は花序を超える。葉鞘は長さ3~12㎝、横脈がある。葉身は幅0.6~1.5㎝、±硬く、下面の中脈と縁がザラつく。苞葉は3~5枚、普通、花序を超える。花序は大きい頂生の複複合(decompound)のイグサ形花序。花序枝は6~7本、長さ12㎝以下、丈夫、ザラつく。小穂は無柄、頭状に4~15個束生し、卵形~楕円形、長さ2~3㎝×幅約1.5㎜、多数花がつき、先は類円形。苞穎はわら色~褐色、後に、黒褐色になり、広卵形、長さ約1㎜、3本の緑色の脈をもち、先は鈍形。花被の剛毛は2~3本、小堅果より長く、直立、上半分に前向きのザラつきがある。柱頭は2個。小堅果は黄色、楕円形~類球形、長さ0.6~0.7㎜、両凸面形。花期と果期は5~9月。
10-1 Scirpus rosthornii Diels var. kiushuensis (Ohwi) Ohwi  ツクシアブラガヤ
  synonym Scirpus kiushuensis Ohwi 
  synonym Scirpus ternatanus Reinw. ex Miq. var. kiushuensis (Ohwi) T.Koyama 
  synonym Scirpus ternatanus Reinw. ex Miq. subsp. kiushuensis (Ohwi) T.Koyama 
10-2 日本(宮崎県)固有変種。 
 叢生し、高さ80~100㎝。匍匐茎は長い。茎は3稜形、節は5~7個。葉は広線形、幅6~8㎜、硬く、緑色。茎葉の葉鞘は緩く、節間より短く、淡緑色、褐色を帯びない。苞葉は葉状、3~4枚つき、花序よりかなり長い。花序は頂生。花序枝は数本、長さ5~7㎝、2次枝は上部がザラつく。小穂は無柄、球形に2~5(6)個束生し、楕円形、長さ3~4㎜×幅約1.5㎜、緑褐色。苞穎(鱗片)は類円形、長さ1~2㎜、背面に緑色の幅広い帯がある。柱頭は2個。小堅果は両凸面形、長さ0.5~0.7㎜。

11 Scirpus sylvaticus L.  クロアブラガヤ 黒油茅  [広義]
  synonym Scirpus celakovskyanus Holub
  synonym Scirpus gramineus Neck.
  synonym Scirpus intermedius Celak.
  synonym Seidlia radicans Opiz
 ヨーロッパ~中央アジア、コーカサス原産。英名はclub-rush , wood club-rush , bulrush。
 株は広がり、根茎は帯赤色、節と節間が目立つ。稈は稔性のものは上向き又はほぼ上向き、節には腋生の鱗芽をつけない。葉は稈に4~11個。下部の葉の鞘と葉身は少数~多数の明瞭~不明瞭な隔壁(節)をもつ。葉身は長さ23~60(~75)㎝×幅5~15(~20)㎜。花序は頂生。花序枝に腋生の鱗芽はない。苞葉の基部は緑色、黒色又は赤色、粘らない。小穂は (1~)3~18個、密に束生(大きなものは6個以上の小穂をもつ)する。小穂は無柄、長さ2~8㎜×幅1~3.5㎜、卵形~狭卵形、先は円形~鋭形、微突頭(apiculate) 、たまに棘状突起があり(mucronate)、突起はあれば長さ0.2㎜以下。花被の剛毛は宿存し、各花に(3~)4(~6)本、丈夫で真っすぐ又は曲がり、長さは痩果の長さより短~1.5倍長まで、歯がつき、歯は後ろ向き、厚壁、鋭く尖り、ほとんど基部まで密につき、鱗片の中に包まれる(たまに、弱く突き出る)。花柱は 2(~3)裂。痩果はほとんどが白色、卵形~倒卵形、両凸面形~平凸面形、長さ 0.7~1.6㎜×幅0.8~1㎜。2n = 64, 66。
11-1 Scirpus sylvaticus L. var. maximowiczii Regel  クロアブラガヤ
  synonym Scirpus sylvaticus L. subsp. maximowiczii (Regel) T.Koyama 
  synonym Scirpus orientalis Ohwi  クロアブラガヤ synonym

12 Scirpus ternatanus Reinw. ex Miq.  オオアブラガヤ  大油茅
 日本、中国、台湾、インド、ブータン、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、太平洋諸島。中国名は百穗藨草 bai sui biao cao 。湿った場所、丘陵の斜面、渓谷に生える。
 稈は高さ60~100㎝、丈夫な3稜形、数個の節がある。葉は稈より長く、基部に鞘がある。根生葉は鞘が黒紫色、光沢がある。葉身は幅1~1.5㎝、平ら、硬く、革質、縁はわずかにザラつく。苞葉は5~6枚、葉状、基部の3~4枚は花序を超える。花序は大きい複合(compound)又は複複合(decompound)のイグサ形花序、長さ7~10㎝×幅8~15㎝。花序枝は5本又はそれ以上、長さ9㎝以下、丈夫で、開出、平滑。小穂は無柄、頭状花序状に4~10個が束生し、卵形~楕円形~長円形、長さ3~8㎜×幅2.5~3.5㎜、多数の花がつき、先は鈍形。苞穎は褐色、密につき、広卵形~卵状円形、長さ約1.2㎜、膜質、淡褐色の1脈があり、先は鈍形~円形。花被の剛毛は2~3本、小堅果より長く、直立、先半分にまばらに後ろ向きのザラつきがある。花柱は糸状、長さ1.2~1.5㎜。柱頭は2個。小堅果は淡黄色、楕円形、等卵形又は類球形、長さ0.7~1㎜、両凸面形。花期と果期は6~8月。

13 Scirpus wichurae Boeck.  アブラガヤ 油茅 [広義]
  synonym Scirpus asiaticus Beetle
  synonym Scirpus lineatus Michaux subsp. wichurae (Boeckeler) T. Koyama
  synonym Scirpus wichurae var. asiaticus (Beetle) T. Koyama ex W. T. Lee.
 日本、朝鮮、中国、インド、ブータン、バングラデシュ、タイ、インドネシア原産。中国名は球穗藨草 qiu sui biao cao
 多年草、高さ100~150㎝。叢生し、匐枝は出さない。茎は太く、節があり、鈍い3稜形。葉は幅0.5~1㎝。茎の先及び葉腋に花序を出し、さらに分枝して小穂を付ける。果実が熟すと茶褐色に色が変わる。果実は扁平に近い、長さ約1㎜の3稜形。刺針状花被片は糸状で、縮れ、果実が熟すと鱗片から先が出て、毛が生えたように見える。花期は8~10月。
13-1 Scirpus wichurae Boeck. f. wichurae  アイバソウ
  synonym Scirpus lineatus Michx. subsp. wichurae (Boeck.) T.Koyama
 小穂が枝先に単生する。
13-2 Scirpus wichurae Boeck. f. concolor (Maxim.) Ohwi  アブラガヤ
 小穂が枝先に2~3個集まってつく。
13-3 Scirpus wichurae Boeck. var. lushanensis (Ohwi) T.Koyama  チュウゴクアブラガヤ
  synonym Scirpus lushanensis Ohwi 
  synonym Scirpus wichurae Boeck. subsp. lushanensis (Ohwi) T.Koyama
  synonym Scirpus lineatus Michx. subsp. wichurae (Boeck.) T.Koyama var. lushanensis (Ohwi) T.Koyama 
14 ハイブリッド
(1) Scirpus x fujimakii M.Kikuchi et T.Koyama  コマツカサアブラガヤ
 コマツカサススキとアプラガヤとの自然交雑種
(2) Scirpus asiaticus Beetle x S. wichurae Boeck.  シデアブラガヤ
  synonym Scirpus wichurae Boeck. f. cylindricus (Makino) Nemoto 
  synonym Scirpus cyperinus Kunth var. concolor (Maxim.) Makino f. cylindricus Makino 
 小穂が長さ約1.3㎝の円筒状で束生する。


参考

1) Flora of China
  Scirpus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129748
2) GRIN
  Scirpus
 http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10951
3)Flora of North America
  Scirpus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=129748
4)Scirpus sylvaticus in Global Plants on JSTOR
 Scirpus sylvaticus
 https://plants.jstor.org/compilation/scirpus.sylvaticus
5) 植物研究雑誌第31巻第8号昭和31年 p240
 マシシュウホタルイの一品(檎山庫三)
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_031_240_240.pdf
6) イワキアブラガヤおよび近縁の帰化種セフリアブラガヤ ... - j-stage
 イワキアブラガヤおよび近縁の帰化種セフリアブラガヤ (カヤツリグサ科)の国内の分布と由来
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/15/1/15_KJ00009868546/_pdf
7)植物研究雑誌 第91巻 第1号 41-46 (2016)
 加藤ゆき恵,深津恵:北海道新産のイワキアブラガヤ(カヤツリグサ科)
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_091_41_46_abstract.pdf
8)植物研究雑誌 第32巻 第8号 昭和32年8月 254-255
 菊地政雄 . 小山鉄夫料: ホタルイ属のー雑種 コマツカサアブラガヤ
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_032_254_256.pdf