ヤマミゾソバ 山溝蕎麦
Flora of Mikawa
タデ科 Polygonaceae イヌタデ属
学 名 |
Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross var. oreophila (Makino) Nemoto synonym Persicaria thunbergii (Siebold et Zucc.) H.Gross [POWO] synonym Persicaria oreophila (Makino) Hiyama |
花 期 | 10月上旬~11月上旬 |
高 さ | 30~100㎝ |
生活型 | 1年草 |
生育場所 | 山地の林内 |
分 布 | 在来種 北海道、本州、四国、九州 |
撮 影 | 設楽町 12.11.14 |
ヤマミゾソバは山地の林内の日陰に生え、以前は別種とされることもあった。ミゾソバ類の分類は難しく、染色体数やDNAの比較による研究などにより、現在、Kew(POWO)ではミゾソバ類はミゾソバ、ニシミゾソバ、コミゾソバの3種に整理し直された。ヤマミゾソバ(var. oreophila)、ヒカゲミゾソバ(var. coreana)、オオミゾソバ(var. hastatotriloba)はミゾソバに含められた。YListではヤマミゾソバはミゾソバの変種に分類されている。(ミゾソバ類の比較参照)
陰地植物であり、山地の林内に生え、湿地や水中には見られない。植物体が長く伸び、側花序の柄が短く、葉は幅広くて中部でほとんど湾入せず、果実に著しい光沢があるのが特徴。葉形は代表が参考に示されているが、いずれも変化が多い。
1年草、高さ30~100㎝。全体に刺も毛も少なく、茎は直立せず、横屈地性と隠性屈湿性を持ち、節間が長く(ただし、節間が短く刺の多いものもある)、茎下部から分枝し、枝が散開して長く半ば地に伏す。茎の基部の節部から根を出し、3㎡以上に拡がることも稀ではなく、基部の各節から出す閉鎖花序の着く枝は短く3㎝前後である。葉柄は長く、翼は発達しない。葉は薄質で幅が広く、葉身の湾入部がほとんどない卵状三角形、頂裂片の先端は急に尾状に延びて突出し鈍頭、側裂片はやや三角状に尖り、先端も鈍頭、葉の基部は切形。葉身長1との比は、最大幅0.89、くびれ部(側裂片の上部幅)0.65、葉柄長0.44で葉柄がミゾソバ類中一番長い。先端の急尾状部を除けば最も三角状に近い数値が得られる。又最大幅と最小幅(くびれ部)の差は最も小さい。ただし、葉形に変化がある。葉裏の星状毛の多いものも見られる。花序の花数は5~8個と少ない。花は白色、花後は花被の先が紫褐色を帯びる。花柄が長く、腺毛がほとんどない。果実(小堅果)はミゾソバより一層円味があって灰色がかり、灰色~灰緑色、著しい光沢がある(完熟して濃褐色のものもある)。果実は採取してから時間が経過すると褐色になるので、褐色になってから観察すると光沢の差がわかりやすい。花序柄の腺毛は少なく、あっても緑色で、ほとんどないものもある。花期は10月上旬~11月上旬。2n=38。
ミゾソバの染色体数は2n=40。葉形は変化が多いため、葉形だけでは判別できない。葉柄に翼があり、果実に光沢がない。
ヒカゲミゾソバ var. coreana はミゾソバ、オオミゾソバ、ヤマミゾソバの小形のもので起源的には多系統と考えられている。最近では分類せず、ミゾソバに含める。Kew(POWO)ではミヤマタニソバ(Persicaria debilis (Meisn.) H.Gross ex W.Lee)のsynonymとしている。全体に繊細で刺や毛が少なく、葉が小さく、三角形であるのが特徴。葉先も側裂片の先も尖る。花が大きく、花数が少ない。2n=40。オオミゾソバ形やヤマミゾソバ形の葉のものもヒカゲミゾソバとされたが、小型の葉のものと考えられ、いずれもミゾソバに含められる。
オオミゾソハ(var. hastatotriloba)は葉が長く大きく、葉身の湾入部は深く、基部はほこ形に両側へよく突出するのが特徴。2n=40, 42。現在ではミゾソバに含められる。
陰地植物であり、山地の林内に生え、湿地や水中には見られない。植物体が長く伸び、側花序の柄が短く、葉は幅広くて中部でほとんど湾入せず、果実に著しい光沢があるのが特徴。葉形は代表が参考に示されているが、いずれも変化が多い。
1年草、高さ30~100㎝。全体に刺も毛も少なく、茎は直立せず、横屈地性と隠性屈湿性を持ち、節間が長く(ただし、節間が短く刺の多いものもある)、茎下部から分枝し、枝が散開して長く半ば地に伏す。茎の基部の節部から根を出し、3㎡以上に拡がることも稀ではなく、基部の各節から出す閉鎖花序の着く枝は短く3㎝前後である。葉柄は長く、翼は発達しない。葉は薄質で幅が広く、葉身の湾入部がほとんどない卵状三角形、頂裂片の先端は急に尾状に延びて突出し鈍頭、側裂片はやや三角状に尖り、先端も鈍頭、葉の基部は切形。葉身長1との比は、最大幅0.89、くびれ部(側裂片の上部幅)0.65、葉柄長0.44で葉柄がミゾソバ類中一番長い。先端の急尾状部を除けば最も三角状に近い数値が得られる。又最大幅と最小幅(くびれ部)の差は最も小さい。ただし、葉形に変化がある。葉裏の星状毛の多いものも見られる。花序の花数は5~8個と少ない。花は白色、花後は花被の先が紫褐色を帯びる。花柄が長く、腺毛がほとんどない。果実(小堅果)はミゾソバより一層円味があって灰色がかり、灰色~灰緑色、著しい光沢がある(完熟して濃褐色のものもある)。果実は採取してから時間が経過すると褐色になるので、褐色になってから観察すると光沢の差がわかりやすい。花序柄の腺毛は少なく、あっても緑色で、ほとんどないものもある。花期は10月上旬~11月上旬。2n=38。
ミゾソバの染色体数は2n=40。葉形は変化が多いため、葉形だけでは判別できない。葉柄に翼があり、果実に光沢がない。
ヒカゲミゾソバ var. coreana はミゾソバ、オオミゾソバ、ヤマミゾソバの小形のもので起源的には多系統と考えられている。最近では分類せず、ミゾソバに含める。Kew(POWO)ではミヤマタニソバ(Persicaria debilis (Meisn.) H.Gross ex W.Lee)のsynonymとしている。全体に繊細で刺や毛が少なく、葉が小さく、三角形であるのが特徴。葉先も側裂片の先も尖る。花が大きく、花数が少ない。2n=40。オオミゾソバ形やヤマミゾソバ形の葉のものもヒカゲミゾソバとされたが、小型の葉のものと考えられ、いずれもミゾソバに含められる。
オオミゾソハ(var. hastatotriloba)は葉が長く大きく、葉身の湾入部は深く、基部はほこ形に両側へよく突出するのが特徴。2n=40, 42。現在ではミゾソバに含められる。