シャクヤク  芍薬
[別 名] エビスグサ(夷草)、ハナノサイショウ(花の宰相)、カショウ(花相)
[中国名] 芍药 shao yao
[英 名] Chinese peony , common garden peony , white peony
[学 名] Paeonia lactiflora Pall.
ボタン科  Paeoniaceae  ボタン属
三河の植物観察
シャクヤクの冠咲花
シャクヤクの金しべ咲き花
シャクヤクの翁咲き花
シャクヤクのバラ咲き花
シャクヤクの雌しべ
シャクヤクの萼
シャクヤク
シャクヤク葉
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産であり、世界で広く、観賞用、薬用に栽培されている。中国では紀元前にすでに薬草として栽培され、宋の時代に品種改良が進んだといわれている。日本には奈良時代に渡来したともいわれるが定かではなく、室町時代には記述がある。江戸時代には観賞用に栽培が盛んになり、多くの園芸品種が作られた。日本のシャクヤクは和芍薬と呼ばれ、一重咲きが中心で、黄色の仮雄しべが発達した「金しべ咲き」(Japanese type)や仮雄しべが細い花弁状となった「翁咲き」(anemone type) などがある。これに対し、ヨーロッパで育成された品種は洋芍薬と呼ばれ、「手まり咲き」(bomb type)や「バラ咲き」(rose type) など、花弁が多く、香りの強いものが多い。最近では両者の交配による新品種やボタンとの交配種も作られている。
 多年草、高さ70㎝程度。根は肥厚し、紡錘状、先が細くなり、直径1.3㎝以下。茎は直立、叢生し、無毛。葉は互生し、基部に近い葉は2回3出複葉、上部の葉は3出葉。小葉は狭卵形~披針形~長楕円形、全ての小葉は基部が沿着し、頂小葉はしばしば2~3裂し、小葉と裂片は15個以下、披針形又は卵状披針形、長さ4.5~16㎝、幅1.5~4..8㎝、裏面にまばらに短毛があり、表面の脈上に剛毛がある。葉縁は白色の軟骨質の細鋸歯状、葉先は尖鋭形。花は普通、シュートに数個つき、頂生及び腋生し、ときに1花だけが頂生する。花は直径8~13㎝。苞は4又は5個つき、同形、披針形。萼片は3又は4個つき、広卵形~類円形、長さ1~1.5㎝、幅1~1.7㎝。花弁は9~13個、白色又はピンク色、栽培種は多くの色があり、倒卵形、長さ3.5~6㎝、幅1.5~4.5㎝。花糸は黄色、長さ0.7~1.2㎝。葯は黄色。花盤は黄色、環状。心皮は2~5個、緑色又は紫色、無毛、まれに綿毛がある。袋果は心皮と同数つき、長楕円形、長さ2.5~3㎝、幅1.2~1.5㎝、数個の種子を入れる。種子は球形。2n=10。
[花期] 4~6月
[樹高] 70~100㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 庭園、公園
[分布] 帰化種  朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産、
[撮影] 蒲郡市  16.5.16
<類似種>
 ●ヤマシャクヤク Paeonia japonica は本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮に分布する。花が直径4~5㎝。花弁は5~7個、白色、倒卵形。萼片は緑色。袋果は長さ2~3.3㎝の長楕円形。2n=10。ベニバナヤマシャクヤクと同種とする見解もある。
 ●ベニバナヤマシャクヤクPaeonia obovata
 多年草。高さ30~70㎝。根は太く、先が細くなる。茎は無毛。葉は2回3出複葉。小葉は倒卵形、長さ5~14㎝、幅4~10㎝、葉裏に無毛~密に短毛や剛毛がある。葉表は無毛。葉の基部は楔形、葉先は円形又は鋭形、全縁。花は単生、頂生、一重、直径7~12㎝。苞は1~2個つき、不等長く。萼片は (2 )3(4),個つき、長さ1.5~3㎝、幅1.5~2㎝、先はほとんど円形。花弁は4~7個つき、開くか又は内側に曲がり、白色、ローズ色、赤ピンク色、赤色、紫赤色、まれに基部や縁がピンク色を帯びた白色、長さ3~5.5㎝幅1.8~2.8㎝。花糸は白色、緑黄色、基部が紫色で先が白色~全体が紫色。葯は黄色、橙赤色、暗紫色。花盤は黄色、環状。心皮は (1 )2 ~ 3(5)個、無毛。子房は緑色。柱頭は赤色。袋果は徐々に反曲し、楕円形、長さ2~3㎝。種子は黒色、光沢がある。 2n= 10, (20)。
 ・subsp. obovata 草芍药 cao shao yao
  葉裏が普通、無毛又はまばらに短毛又は剛毛がある。
 ・ subsp. willmottiae 拟草芍药 ni cao shao yao
  葉裏が普通、密に短毛又は剛毛がある
 ●Paeonia mairei 美丽芍药 mei li shao yao 中国原産の多年草。花は直径7.5~14㎝、一重、ピンク色~赤色。
 ●Paeonia sterniana 白花芍药 bai hua shao yao 中国原産の多年草。花は直径8~10㎝、一重、白色~淡ピンク色。
 ●Paeonia anomala 新疆芍药 xin jiang shao yao 中国、カザフスタンモンゴル、ロシア原産、多年草。花は1個又は2~3個つき、一重、直径7~14㎝、ローズ色~赤色、まれに白色。
 ●Paeonia intermedia 块根芍药 kuai gen shao yao 中国、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、ロシア原産。多年草。花は一重、直径6.5~12㎝、紫赤色。
 ●ボタンPaeonia suffruticosaは低木であり、中国原産の栽培種。栽培は2000年の歴史があり、約400種の品種があるといわれている。日本には8世紀頃、薬用植物として渡来したといわれている。中国のものは基準亜種として分類されており、自生種はない。
 落葉低木、高さ1~1.5m。茎は褐灰色。基部の葉は2回3出複葉。小葉は長卵形~卵形、長さ4.5~8㎝、幅2.5~7㎝、両面とも無毛。頂小葉は深く3裂し、裂片は再び2~3裂する。いくつかの側小葉は2~3裂し、他は全縁。全ての裂片は先が鋭形。花は単生、頂生、一重、栽培種では二重、直径10~17㎝。苞は5個、頂楕円形、不等長。萼片は5個、緑色、広卵形、不等長。花弁は5~11個(一重)、白色、ピンク色、赤色、赤紫色、倒卵形、長さ5~8㎝、幅4.2~6㎝、先は不規則に切れ込む。花糸はピンク色又は紫色、先が白色、長さ約1.3㎝。葯は長楕円形、長さ約4㎜。花盤は開花時に心皮を全体に包み、紫赤色、革質、先は小歯状又は分裂する。心皮は5個、まれにそれ以上、密に綿毛がある。柱頭は赤色。袋果は長楕円形、密に褐黄色の綿毛がある。2n=10。

【農林水産植物種類別審査基準】 しゃくやく種 Paeonia lactiflora Pall.(Chinese paeony)
  (2013年7月)
特性表 (Table of Characteristics) ※( )は標準品種(Ex.Var.)
(1) ほう芽期 Time of sprouting の早晩
  3早、5中、7晩
(2) 芽の形 Bud: shape ほう芽時の芽の形
  1筆状closed(サラベルナール)、2開状open
(3)芽の色 Bud: color
  1緑(ラテンドレス)、2赤(サラベルナール)、3赤紫(マーシャルパイラント)
(4)草型Plant: growth type =つぼみの着色時の草型1
  1直立erect、2開張spread(アネモネフローラ)
(5)草丈Plant: height =最高部までの高さ
  3低(花香殿)、5中(サラベルナール)、7高(マーシャルパイラント)
(6)1株当たりの茎数の多少
  3少、5中、7多
(7) 茎の太さ=地際から3節目の中央部
  3細、5中(サラベルナール)、太
(8)節間長=平均節間長=茎の長さ/葉数
  3短、5中(サラベルナール)、7長
(9)分枝の多少=つぼみを持った側芽の発生の多少
  3少、5中(サラベルナール)、7多
(10) 茎葉の毛の多少
 1無(滝の粧)、3少(マーシャルパイラント)、5中(サラベルナール)、7多(ラテンドレス)
(11)葉の大きさ=地際から3葉目の葉の大きさ
  3小、5中(サラベルナール)、7大
(12)複葉の形=地際から3葉目の葉の複葉の形
  1回3出 monoternate、2回3出 biternate (サラベルナール)、3回3出 triternate
(13)頂小葉の形=地際から3葉目の葉の頂小葉の形
  1披針形(サラベルナール)、2楕円形(滝の粧)
(14) 葉の緑色の濃淡=地際から3葉目の葉の表面
  3淡(エジリススーパーバ)、5中(花香殿)、7濃(アネモネフローラ)
(15) 葉縁の波打ちの有無=地際から3葉目の葉
  1無(サラベルナール)、9有
(16) 葉の光沢の強弱=地際から3葉目の葉
 3弱(エジリススーパーバ)、5中(滝の粧)、7強(サラベルナール)
(17) 葉の厚さ= 地際から3葉目の葉の葉脈間の厚さ
 3薄、5中(サラベルナール)、7厚
(18)葉の垂れLeaf: pendulousness= 葉柄に対する葉身部の状態
 3立ちupwards(エジリススーパーバ)、5やや垂れoutwards(サラベルナール)、7垂れdownwards
(19) 抽だいTendencyof bolting の難易(薬用品種に限る。)=抽だい個体率
  3易、5中、7難
(20)花首の長さ petioleと記載されているがpedicelの誤りと思われる
   =開花始め(外花弁が開いた時期)の止め葉(最上位の複葉)より上の部分
  3短(皐月)、5中、7長(マーシャルパイラント)
(21)花首の太さ= 開花始めの花首の中央部の茎の太さ
  3細、5中(サラベルナール)、7太
(22)花首のアントシアニン着色の強弱=開花始めの花首
  3弱(花香殿)、5中(サラベルナール)、7強(マーシャルパイラント)
(23)開花始めの花色=開花始めの外花弁中央部の表面の花色
  RHS カラーチャート色票番号による
(24)満開時の花色=満開時の外花弁中央部の表面の花色
  RHS カラーチャート色票番号による
(25)花の大きさF= 満開時の花の直径
  3小、5中(マーシャルパイラント)、7大
(26)花の形 Flower: type =花弁数・雄しべの退化の程度を含めた花形
  1一重咲single、2金しべ咲Japanese、3翁咲anemone(皐月)、4冠咲crown(花香殿)、
  5手まり咲bomb、6半バラ咲semi-rose(マーシャルパイラント)、7バラ咲rose(ラテンドレス)、
  8半八重咲semi-double、9平バラ咲flat-rose
(27)内弁の色(翁咲品種に限る。)満開時の翁咲の内弁の色
  RHS カラーチャート色票番号(indicate referencenumber)
(28)花弁数(一重・金しべ・翁咲品種を除く。)=花弁の総数
   3少(マーシャルパイラント)、5中、7多(ラテンドレス)
(29)花弁のぼかしの有無=満開時の花弁の着色の周縁への淡色化の有無
  1無、9有(エジリススーパーバ)
(30)花弁の絞りの多少
  1無(サラベルナール)、2少(ラテンドレス)、3多(フェステバマキシマ)
(31)花弁先端の形=最外の花弁先端の主な形
  1丸形rotund、2小凹形retuse、3凹形emarginate
(32)花弁の長さ= 最外の花弁の長さ
  3短、5中(マーシャルパイラント)、7長
(33)花弁の幅= 最外の花弁の幅
  3狭、5中(マーシャルパイラント)、7広
(34)雄しべの多少= 完全雄ずい(やくと花糸の備わったもの)の有無並びに数
  1無又は極少、3少、5中、7多
(35)雌しべの多少=完全雌ずいの有無並びに数
  1無、3少、5中、7多
(36) 雌しべの状態 = 雌しべの退化、弁化の程度
  1無absent、2小型化small、3弁化petaloidy、4正常regular
(37) 柱頭の先端の形 1
  1直立erect、2混合mixture、3垂下pendulous
(38) 柱頭の色
   1クリーム、2桃(ラテンドレス)、3赤(マーシャルパイラント)
(39)子房の毛の多少= 子房表面の毛の有無並びに多少
  1無(サラベルナール)、2少(マーシャルパイラント)、3多(皐月)
(40)開花期= 供試株の50%が開花した時期の早晩
  3早(皐月)、5中(サラベルナール)、7晩(滝の粧)
(41) 枯れ上がり期(薬用品種に限る。)=50%の個体が枯れ上がり始めた時期の早晩
  3早、5中、7晩
(42)乾燥根の重量(薬用品種に限る。)= 1個体当たりの周皮を除いた乾燥根で、
  直径10㎜以上、乾燥減量14%未満のものの重量
  3軽、5中、7重(北宰相)
(43) 乾燥根の横断面の色(薬用品種に限る。)1個体当たりの周皮を除いた乾燥根で、
  直径10㎜以上、乾燥減量14%未満のものの横断面の色
    RHS カラーチャート色票番号による
(44)ペオニフロリン含量(薬用品種に限る。)1個体当たりの周皮を除いた乾燥根で
  、直径10㎜以上、乾燥減量14%未満のもののペオニフロリン含量の多少
  3少、5中、7多(北宰相)
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