オオオナモミ 大葈耳

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae オナモミ属

英 名 Noogoora burr, Canada cocklebur
学 名 Xanthium occidentale Bertol.
 synonym Xanthium orientale L.  (sensu orig.)
 synonym Xanthium strumarium L.  広義
オオオナモミ実
イガオナモミ実2
イガオナモミ実3
オオオナモミ実の嘴
オオオナモミ実の刺と毛
オオオナモミ茎
オオオナモミ
オオオナモミの中鋸歯の葉
オオオナモミの浅鋸歯の葉
花 期 8~11月
高 さ 50~200㎝
生活型 1年草
生育場所 道端、荒地
分 布 帰化種 北アメリカ原産
撮 影 幸田町河岸  09.10.5
オオオナモミは1929年に岡山県ではじめて見出され、現在では日本全土に帰化し、今ではオナモミ属の中で最も普通に見られる。古くはXanthium canadenseとされ、これは現在のXanthium orientaleである。また、現在、主流となっているのはXanthium occidentaleである。オーストラリアではXanthium orientaleとXanthium occidentaleの両方の帰化が確認され、区別されている。Xanthium occidentaleは葉が3~5に浅~中裂し、明瞭な裂片があり、イガ(果苞)が長さ(12)16~18(20)㎜と小さく、鈎のある刺がやや疎らで、長さ2~3㎜、表面に細毛とわずかな腺毛が散生し、先端の嘴は長さ3~5㎜、ほぼ真っすぐ。これに対し、Xanthium orientaleはイガの大きさはほとんど同じで、葉が浅く3~5裂で中裂にならず、イガの鈎のつく刺が長さ3~5㎜と長く、先端の嘴が太くて丈夫で開いてつき、内側に曲がる。
 写真の上側の葉とイガはXanthium occidentaleと思われ、下側の葉とイガはXanthium orientaleに近いものと考えられる。
【Xanthium occidentaleの解説】
 1年草、高さ約2m以下、直立、普通分枝する。茎はザラつき(下向きの剛毛があり)、刺は無く、帯紫色。葉は広卵形~三角形、長さ4~15㎝×幅4~15㎝、3又は5裂し、明瞭な裂片があり、上面は暗緑色、光沢は無く、ザラつき、下面は淡色でザラつき、目立つ3脈があり、脈は帯紫色、裂片の先は鋭形~ほぼ鋭形、基部は心形、縁には粗くて、不規則な歯がある。葉柄は長さ2~12㎝、帯紫色。頭花は目立たない。雄頭花は0~7個、直径5~8㎜、総苞片は卵形、長さ1~3㎜、小花は総苞の長さと同長、有毛。雌頭花は雄頭花の下の葉腋に1~12個つき、果苞(イガ)は楕円形、長さ(12)16~18(20)㎜、直径4~7㎜、有毛、腺毛は無又は少ない。鈎のある刺は長さ2~3㎜、下半分に毛があり、暗褐色。先端の基部の幅が広い2本の嘴(刺)は長さ3~5㎜、開いてつき、ほぼ真っすぐ(先端は真っすぐ又は屈曲するが、強い鈎は無い)。痩果はイガに2個、長さ1~1.5㎝、1個は他より大きい。2n=36。花期は8~11月(夏~秋)。
 最近では、類似種(オオオナモミ、イガオナモミなど)をアメリカ原産のXanthium strumariumとしてまとめ、アジア、ヨーロッパなどは帰化として扱うことが一般的になりつつある。在来種とされているオナモミも広義のXanthium strumariumに含められている。Flora of Chunaでは下位分類を認めていない。下位分類によりオナモミを分類する場合はsubsp. sibiricum又はvar. japonicumとされる。痩果が長さ8~14㎜と小さく、刺がまばらで、刺の長さも1.5~2㎜と短く、小さな腺毛が密生する。オナモミは愛知県の絶滅危惧ⅠB類に指定され、三河地方では確認されていない。

オナモミ属

  family Asteraceae - genus Xanthium

 1年草。茎は直立、分枝する。葉は茎葉、ほとんど互生(ときに、下部の2~6個が対生)、葉柄がある。葉身は披針形、線形、卵形、円状三角形、又は類円形、いばしば、掌状又は羽状に分裂、両面に微細剛毛又は±剛毛があり、普通、加えて腺点があり、最終の縁は全縁又は±歯がある。頭花は中心小花頭花(discoid)、雌性(下部)又は機能的に雄性(上部)のいずれか、総状花序~穂状花序につき、単生(腋生)。雌性頭花は総苞が±楕円形、花時に直径2~5㎜、総苞片は6~12列、外側の5~8個は分離、残りは(ときにパレアとして説明される)下部が合着し、その分離した先端にはほとんど鈎があり(上部の1~3個は普通、長く、丈夫で鈎が無い)、全体に硬くなり、筒状の花被(perigynium)には刺がある(bur:イガ)。小花は2個。花冠は無い。雄性の頭花は総苞が皿形、直径3~5㎜、総苞片は1~2列、基部まで分離。花托は円錐形~円柱形。パレアはへら形~くさび形~線形、膜質、先に絨毛又は微細剛毛がある。小花は20~50個、花冠は帯白色、漏斗形、裂片は5個、直立又は後屈する。花糸は合着し、葯は分離又は弱く密着する。痩果は黒色、イガ(bur)=果苞(fruiting bracts , fruiting involucre)に包まれる。イガは倒卵形~楕円形、硬く、刺だらけ、2室があり、2個(各室1個)の痩果が入る。冠毛は無い。x=18。
 世界に2又は3種あり、アメリカに分布し、ほとんど世界全体に帰化している。
Flora of China ではアメリカ原産の2種(Xanthium spinosum L. , Xanthium strumarium L.)とし、Kewscienceではアメリカ原産の3種(Xanthium argenteum Widderチリ原産 , Xanthium spinosum L. , Xanthium strumarium L.)としている。

オナモミ属の主な種

1 Xanthium cavanillesii Schouw ex Didr. 
 南アメリカ原産。英名はSouth American burr 。牛や羊の中毒がブラジルから報告されている。
 1年草、高さ1m以下。茎はザラつき、刺は無い。葉は互生し、葉身はごく広い卵形又は三角形、長さ5~12㎝×幅5~12㎝、普通、長さが幅よりわずかに長く、浅く、不均一に分裂し、縁に歯があり、基部は心形、両面ともザラつき、3本の主脈がある。葉柄は長さ4~12㎝。頭花は目立たない。イガは楕円形、多少卵形、長さ15~30㎜、腺毛があり、多数の鈎のある長さ約5~8㎜の刺がある。嘴は広がり、真っすぐ、ほとんど鈎がなく、長さ6~8㎜。花期は夏~秋。

2 Xanthium italicum Moretti   イガオナモミ 毬葈耳、毬巻耳
  synonym Xanthium orientale L. subsp. italicum (Moretti) Greuter
  synonym Xanthium strumarium L. subsp. italicum (Moretti) D.Love
 南アメリカ、北アメリカ原産。英名は clotbur , cocklebur。中国名は意大利苍耳 yi da li cang er。広く世界に帰化。海岸近くの荒地でよく見られる。
 1年草。高さ50~100㎝。茎はよく分枝し、下向きの短い刺が生え、淡緑色で赤い斑点がある。葉は互生し、葉柄は長さ4~11㎝、葉柄に刺は無い。葉身は幅の広い広卵形、長さ6~9㎝×幅6~12㎝、3~5浅裂(3裂が普通)し、縁に低い明瞭な鋸歯があり、基部はわずかに心形、面はザラつき、3本の主脈がある。イガ(果苞)はオオオナモミより大きく、長さ(17)20~30㎜、表面に鈎のある刺が密にあり、刺の長さは約5㎜、頂部の2本の嘴(太い刺)は長さ約7㎜、先端だけが内側に曲がり、表面(刺や嘴を含む。)に鱗片毛や腺毛が多い。2n=36。花期は7~10月(夏~秋)(参考12)。断面の構造や毛の違いなども研究されている。(参考14)

3 Xanthium orientale L. オオオナモミ (sensu orig.) 大葈耳
  synonym Xanthium canadense Mill.
  synonym Xanthium macrocarpum DC.
  synonym Xanthium riparium Itzigs. & Hertsch
  synonym Xanthium strumarium subsp. strumarium [Kwscience]
 北アメリカ原産。ヨーロッパ、北アフリカ、中東(西アジア、エジプト)に帰化。英名oriental cocklebur , Canada cockleburr , Californian Burr。オオオナモミは従来Xanthium occidentaleとされてきたが、YListでは Xanthium orientaleもオオオナモミ(sensu orig.)として掲載している。Xanthium occidentaleは葉が明瞭に3~5裂する。イガがやや小さく、先端の2本の嘴(刺)は開いてつき、真っすぐ。
  1年草、高さ約2m以下、直立、普通分枝する。茎はザラつき、刺は無く、緑色又は紫色を帯びる。葉は広卵形~三角形、主に長さ4~15㎝×幅4~15㎝、浅く3又は5裂し、3脈が目立ち、面は緑色、ザラつき、裂片の先は円形~鋭形、基部は心形、縁には粗くて、不規則な歯がある。葉柄は長さ3~8(12)㎝。雄頭花は0~7個、直径5~8㎜、総苞片は卵形、長さ1~3㎜、小花は総苞の長さと同長、有毛。雌頭花は雄頭花の下の葉腋に1~15個つき、果苞(イガ)は楕円形、長さ15~20(25)㎜、直径4~7㎜、有毛、腺毛と腺の無い毛が混じる。鈎のある刺は長さ3~5㎜、下半分に毛があり、褐色~帯紫色。先端の2本の基部の幅が広い嘴(刺)は丈夫で長さ4~6㎜、開いてつき、内側に曲がり、鈎がある。痩果は長さ1~1.5㎝。花期は2~3月(オーストラリア)
3-1 Xanthium orientale subsp. californicum (Greene) Greuter
  synonym Xanthium californicum Greene
 北アメリカ原産。オーストラリアに帰化。英名はCalifornia burr。
 1年草、高さ1.8m以下、茎は直立、分枝し、剛毛があり、刺は無い。葉は卵形~三角形、浅く3裂し、鋸歯縁、基部はやや心形、長さ5~14㎝×幅5~15㎝、両面とも緑色でザラつき、3主脈が目立つ。葉柄は長さ3~8㎝。花序は腋生、頂生、花序柄は無く、総状花序、1~12個の雌頭花と0~7個の雄頭花が離れたグループでつく。果時の頭花(果苞)は楕円形、長さ15~20㎜、腺毛があり、淡褐色、多数の鈎のある刺をもち、刺は長さ3~5㎜、基部が広がる嘴をつけ、嘴は先に鈎があり、長さ4~6㎜。花期は12~3月(オーストラリア)。

4 Xanthium occidentale Bertol. オオオナモミ 大葈耳、大巻耳

  synonym Xanthium strumarium L. [Kwscience , GRIN , Flora of China] 

  synonym Xanthium canadense auct. non Mill. 
  synonym Xanthium chinese Mill
  synonym Xanthium pungens Wallr.
 北アメリカ原産。英名は Noogoora burr , Cockle Burr
 1年草、高さ約2m以下、直立、普通分枝する。茎はザラつき(下向きの剛毛があり)、刺は無く、帯紫色。葉は広卵形~三角形、長さ4~15㎝×幅4~15㎝、3又は5裂し、明瞭な裂片があり、上面は暗緑色、光沢は無く、ザラつき、下面は淡色でザラつき、目立つ3脈があり、脈は帯紫色、裂片の先は鋭形~ほぼ鋭形、基部は心形、縁には粗くて、不規則な歯がある。葉柄は長さ2~12㎝、帯紫色。頭花は目立たない。雄頭花は0~7個、直径5~8㎜、総苞片は卵形、長さ1~3㎜、小花は総苞の長さと同長、有毛。雌頭花は雄頭花の下の葉腋に1~12個つき、果苞(イガ)は楕円形、長さ(12)16~18(20)㎜、直径4~7㎜、有毛、腺毛は無又は少ない。鈎のある刺は長さ2~3㎜、下半分に毛があり、暗褐色。先端の基部の幅が広い2本の嘴(刺)は長さ3~5㎜、開いてつき、ほぼ真っすぐ(先端は真っすぐ又は屈曲するが、強い鈎は無い)。痩果はイガに2個、長さ1~1.5㎝、1個は他より大きい。2n=36。花期は8~11月(夏~秋)。

※ オオオナモミは学名が普通、Xanthium occidentaleとされきた。YList ではXanthium orientaleとしている。オーストラリアにはXanthium orientaleとXanthium occidentale の両者が帰化しており、非常によく似ているが区別されている。
 最近ではXanthium strumariumを広義の集合体の種に扱い、Xanthium occidentaleもXanthium orientaleもXanthium strumariumの中に含められるようになってきた。在来種のオナモミも広義の集合体Xanthium strumariumの変異に含められている。オーストラリアではXanthium occidentale, X. cavanillesii Schouw, X. orientale L. 及び X. italicum Morettiが全て野生化していて、しばしば、集合体の種(X. strumarium L)として扱われる。この複合の種は無性の種子を生じ、固有の分類上の問題を付け加えるような種間の交雑が起こるとされている(参考9)。4種の区別は主にイガの大きさと、先端の2本の嘴(刺)により判別される。日本の主な解説ではイガの嘴の解説がなく、残念ながら比較できない。主な解説を下に並べてみた。

【愛知県の要注意外来種の解説】
 メキシコ原産といわれ、世界各地に広く、帰化。河川敷や路傍、畑地の雑草。林内には侵入しない。果実は動物や衣服に付着して散布されるが、水に流されて運ばれることもあり、しばしばダム湖の水辺などに大きな群落を作る。
 茎は紫褐色を帯び、高さ50~150㎝になる。葉は互生し、長さ4~15㎝の柄があり、葉身は広卵形、長さ、幅とも5~18㎝、浅く3~5 裂し、先端は鋭頭、辺縁には不規則な重鋸歯状の欠刻があり、基部はくさび形だがその先で拡がり、全体として心形になる。花期は9月、雄頭花は茎頂または葉腋に短い円錐状に集まり、雌花はその下に数個つく。いがはやや長い楕円体、先端に2 本の角があり、角を除いて長さ12~18㎜、幅6~8㎜、表面には先が曲がった長さ3㎜程度の刺が多数つく。いがの表面は毛が少なく、光沢がある。

【国立環境研究所の侵入生物DBの解説 参考7】
 一年草。茎は高さ0.5~2m、全体に短毛を持ち、ざらつく。茎は直立し、よく分岐して高さ120㎝ほどになる。葉は質厚で長さ5~15㎝、幅4.5~15㎝、互生し、3~5浅裂し、短い鋸歯があるが尖らない。夏~秋に茎頂と葉腋に花序を形成。雌雄同株。果苞は長さ2~2.5㎝、幅1~1.8㎝[おそらく刺を含めて]で多数、面に毛が少なく光沢があり、3~6㎜の棘を密に持ち、褐色に熟す。果苞のくちばし状の突起はやや大きい。染色体数2n=36。オナモミの変異に含める場合もある。

【Flora of VictoriaのXanthium occidentaleの解説 参考9】
 1年草、高さ約2m以下、直立、普通分枝する。茎は剛毛があり、刺は無く、紫色を帯びる。葉は広卵形~三角形、主に長さ4~15㎝×幅4~15㎝、3又は5裂し、上面は暗緑色、光沢は無く、ザラつき、下面は淡色でザラつき、目立つ3脈があり、裂片の先は鋭形~ほぼ鋭形、基部は心形~切形、縁には粗くて、不規則な歯がある。葉柄は長さ2~12㎝。雄頭花は0~7個、直径5~8㎜、総苞片は卵形、長さ1~3㎜、小花は総苞の長さと同長、有毛。雌頭花は雄頭花の下の葉腋に1~12個つき、果苞(イガ)は楕円形、長さ12~20㎜、直径4~7㎜、有毛、完全に又は主に腺の無い毛をもつ。鈎のある刺は長さ2~3㎜、下半分に毛があり、暗褐色。基部の幅が広い嘴は長さ3~5㎜、散開し、多少、真っすぐ、先端は真っすぐ又は屈曲するが、強い鈎は無い。痩果は長さ1~1.5㎝。花期は12~3月(オーストラリア)
【NEW SOUTH WALES FLORA のXanthium occidentaleの解説】
 高さ2m以下、刺はなく、帯紫色。葉は広卵形~三角形、長さ5~15㎝×幅5~15㎝、3又は5裂し、基部は心形、縁は歯状、葉身はザラつき、退色し、 上面は暗緑色、± 光沢は無く、3脈が目立ち、脈は帯紫色。葉柄は長さ2~12㎝、帯紫色。頭花は目立たない。イガは長さ16~18㎜、腺毛はなく、多数の鈎のある刺で覆われ、先端に長い丈夫な、ほぼ真っすぐな2本の刺をもつ。痩果は各イガに2個、1個は他より大きい、花期は夏~秋。

5 Xanthium spinosum L. トゲオナモミ 刺葈耳
  synonym Xanthium catharticum Kunth
  synonym Xanthium brachyacanthum Wallr.[Kwscience]

  synonym Xanthium canadense Sabbat. ex Nyman.[Kwscience]

  synonym Xanthium canescens Widder.[Kwscience]
 南アメリカ(ブラジル、ボリビア、エクアドル、アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイ)、北アメリカ原産。英名はBathurst-bur , prickly burweed , spiny cockleburr, lampourde epineuse 。
 1年草、全体に有毛。茎は直立し、高さ30~100(~120)㎝、上部で分枝し、葉柄の腋に長い刺をもち、若いときに緑黄色、細かい毛で覆われる。刺は基部近くから3又になり真っすぐ、黄色~緑白色、長さ15~50㎜。葉は互生し、葉柄は長さ1~15(~30)㎜。葉身は長さ(2~)4~8(12+)㎝×幅(0.6)1~3(5+)㎝、 披針形~楕円形、基部は楔形、上部の葉は単葉又は下部の葉は羽状~不規則に3(~7+)裂し、縁は普通、全縁、上面は暗緑色~帯緑色、光沢があり、白色の脈がめだつ。下面は白色の綿毛状。雌性の頭花は単生、腋生。雄性の頭花は枝先に集まってつく。雄頭花の総苞は直径3.5~4㎜、総苞片は卵状披針形~披針形。雄花は長さ1.8~2.1㎜、黄色、葯は長さ0.9~1.1㎜、帯黄色~クリーム白色。イガ(果苞)は楕円形、長さ8~15㎜×幅(3~)4~6㎜、先端に2個の嘴があり、1個は小さく又は無く、他は長さ1~2(~2.5)㎜、多数の細かい毛と鈎のある刺(長さ2~3㎜)に覆われる。痩果(種子)はイガに2個、長円形、帯黒色、長さ約10㎜、扁平、1個は小さい。2n= 36。花期と果期は7~11月。
6 Xanthium strumarium L  オナモミ 葈耳 広義

  synonym  Xanthium occidentale Bertol.  オオオナモミ [GRIN , The Plant List]

  synonym  Xanthium italicum Moretti イガオナモミ [GRIN]
 おそらくアメリカ原産。日本、朝鮮、中国、台湾、モンゴル、ロシア、南西アジア、北アフリカ(エジプト、モロッコ)、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ(ベネズエラ)に分布。中国名は苍耳 cang er 。英名は rough cocklebur , common cocklebur , lampourde glouteron。
 Flora of China、 Flora of North AmericaやKewscienceではXanthium strumariumを多種の複合と考え、以前の多数のアジア種、アメリカ種を含め、日本で在来種とされてきたオナモミもおそらくアメリカ原産としている。解説によりやや違いがある。
 1年草。茎は高さ20~120[150]㎝、しばしば赤色を帯び、 こぶのある刺は無い。葉柄は長さ3.5~10[12]㎝、翼は無い。葉は卵状三角形、長さ9~25㎝[5~12㎝×幅4~18㎝]、紙質、両面とも密にザラつき、基部は浅い心形~広楔形、縁は不規則な歯があり、しばしば、痕跡的に3裂し[単葉又は3裂]、先は鋭形。頭花は同形。雄頭花は頂生の散形花序につき、[総苞は長さ約3㎜、]総苞片は1列、長円状披針形、長さ約2.2㎜。外側のパレアは長円状披針形。内側のパレアは披針形、長さ約2.2㎜。花冠は白色、筒状、長さ約2.5㎜、5歯がある。雌頭花は腋生、[長さ約4㎜]総苞片は1列、長円状披針形、長さ約3㎜。内側の苞片は外側のパレアと合着する。イガ(burs)は長円形、楕円形、又は卵形、長さ10~18㎜[15~23]×幅6~12㎜、密に微軟毛があり、2嘴がある。花期は7~8月。果期は9~10月。2n=36。(Flora of China[Kewscience])
【Flora of North Americaの解説】
 高さ10~80(~200)㎝、こぶのある刺は無い。葉柄は長さ20~100(~140+)㎜。葉身は類円形~±五角形~デルタ形、長さ4~12(~18+)㎝×幅3~10(~18+)㎝、ときに掌状に3~5裂し、下面は緑色、微細剛毛がある。イガは長さ10~30+㎜。2n = 36。花期は7~10月。[Flora of North America]
6-1 Xanthium strumarium L. subsp. strumarium マルバオナモミ 丸葉巻耳
  synonym Xanthium inaequilaterum DC
  synonym Xanthium orientale L.  [Kewscience]
 茎は高さ90㎝以下、普通、単純。葉は長い葉柄がある。葉身は卵形、しばしば3裂し、縁は不規則な円鋸歯又は鋸歯がある。雄頭花と雌頭花は葉腋にグループをつくる。雌頭花は総苞が直径(4.5~)6.5~7㎜の円筒形、披針形の苞をもつ。 雌頭花の果時の総苞は長さ7~32㎜×幅5.5~11 (~13)㎜、卵形、長さ4~8㎜の嘴をもつ。隔壁間の苞(interseminal bracts 鱗片)は線状披針形。雄花は長さ(1.8~) 2~3㎜、黄色、葯は白色、長さ1.5~2㎜、突き出る。痩果は長さ0.6~1.9㎝、微突頭、灰色~帯黒色。花期と果期は8~11月.[イタリア産]。
【広義のXanthium strumarium L. subsp. strumarium】
 1年草、高さ1.5m以下、細かいザラつきがあり、しばしば帯赤色。葉は広三角形~広卵形、単葉又は3~5裂し、長さ5~12㎝×幅4~18㎝、基部は広楔形とともに心形、縁は粗い円鋸歯、先は鋭形又は鈍形、両面がザラつき、基部から3脈がある。葉柄は長さ12㎝以下。雄頭花は短い腋生の枝の頂部につく。総苞は長さ約3㎜。花冠は長さ約2.5㎜。雌頭花は長さ4㎜以下、総苞と合着する。イガは楕円形、長さ1.5~2.3㎝、長さ3~4㎜の鈎のある刺で覆われ、先は鋭形。 [Kwscience ]

6-2 Xanthium strumarium L. subsp. sibiricum (Patrin ex Widder) Greuter オナモミ 葈耳、巻耳

  synonym Xanthium strumarium L. var. japonicum (Widder) H.Hara [The Plant List]

  synonym Xanthium sibiricum Patrin ex Widder  [The Plant List]

  synonym Xanthium japonicum Widder 

  synonym  Xanthium strumarium L [Flora of China , Kewscience, GRIN]広義

 日本(北海道、本州、四国、九州)、ユーラシア大陸に広く分布。道端、荒地などの攪乱地に見られる。中国名は中药苍耳子, 耳。英名はSiberian cocklebur , shobbe's cocklebur , rough cocklebur 別名はトッツキ、ホシダマ
 在来種のオナモミは以前はXanthium japonicum又はXanthium sibiricum とされていたが、現在は広義のXanthium strumarium L.に含められている。細かく下位分類する場合はsubsp. sibiricum又はvar. japonicumとされる。果苞(イガ)が小さく、刺がまばらで、刺の長さも1~2㎜と短く、小さな腺毛が密生する。オナモミは愛知県の絶滅危惧ⅠB類に指定され、三河地方では確認されていない。
 1 年草。茎は高さ20~100㎝、愛知県に現存するものは30㎝ 程度である。茎は直立、円柱形、毛があり、粗く、分枝する。葉は互生し、葉柄は長さ4~10㎝。葉身は広卵形~卵状三角形~卵状五角形、長さ(5)6~15cm、多少、浅く3~5裂し、基部は心形、縁には不揃いな欠刻状の鋸歯がある。頭花は単性、雄頭花は葉腋から出る短い円錐花序につき、雌頭花はその基部につく。果期の雌頭花は楕円形のイガ(burs)になり、先端に2個の嘴があり、嘴を含めて長さ10~15㎜、幅6~8㎜、表面は毛が多く光沢がない。イガの周囲の鈎状の刺はオオオナモミに比べてまばらで短く、長さ(1~)1.5~2㎜である。花期は8~9月(参考6)。

6-3 Xanthium strumarium subsp. brasilicum (Vell.) O.Bolos & Vigo

  synonym Xanthium antiquorum Wallr.
  synonym Xanthium brasilicum Vell.
  synonym Xanthium natalense Widder
  synonym Xanthium pungens Wallr.
 ブラジルに分布。


Xanthium strumarium複合体のKey to the species (NSW FloraOnline)

1 茎は葉の基部に3本の尖った刺をもつ
.................................... 2 
  茎は葉の基部に3本の尖った刺をもたない
.................................... 3 

2 葉は暗緑色、上面にわずかに毛があり、下面は白色のフェルト状、長さ3~8㎝

..................Xanthium spinosum 
 葉は灰緑色、両面にごく細かい毛があり、長さ2~4㎝
..................Xanthium ambrosioides 
3 イガは先端の2本の嘴が開いてつき、真っすぐ
.................................... 4 
 イガは先端の2本の嘴が内側に曲がってつくか先が内側に曲がる
.................................... 5 

4 葉は明瞭な裂片をもち、普通3~5裂。イガは長さ16~18㎜、イガの刺は長さ2~3㎜

..................Xanthium occidentale 

 葉は浅くて不均一な裂片をもつ。イガは長さ15~30㎜、イガの刺は長さ5~8㎜

..................Xanthium cavanillesii 

5 先端の2本の嘴が丈夫で内側に曲がる。イガは長さ15~20㎜、イガの刺は長さ3~5㎜

..................Xanthium orientale 

 先端の2本の嘴は先だけが内側に曲がる。イガは長さ20~30㎜、イガの刺は長さ約5㎜

..................Xanthium italicum 

参考

1) Flora of China
 Xanthium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=135017
2)GRIN
 Xanthium
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12931
3) Plants of the World Online | Kew Science
 Xanthium
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:7797-1
4) Xanthium spinosum L.
https://www.floravascular.com/index.php?spp=Xanthium spinosum
5)Major Weeds of the Near East
 Xanthium strumarium L. subsp. strumarium
https://books.google.co.jp/books?id=1Pbt2z3wyhMC&pg=PA64&lpg=PA64&dq=Xanthium+strumarium+L.+subsp.+strumarium&source=bl&ots=Be9Jho4Kh8&sig=ACfU3U1NOpdhZdw_Z2VA6_w3uL7mQj4XQQ&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjUs_KFzJvoAhVUNKYKHRJSDGAQ6AEwE3oECAsQAQ#v=onepage&q=Xanthium%20strumarium%20L.%20subsp.%20strumarium&f=false
6)レッドデータブック愛知
 オナモミ
https://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/yasei/rdb/ikansoku/plants_250.pdf
7)国立環境研究所 侵入生物DB
 オオオナモミ
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80660.html.
8)Business Queensland
 Noogoora burr
https://www.business.qld.gov.au/industries/farms-fishing-forestry/agriculture/land-management/health-pests-weeds-diseases/weeds-diseases/invasive-plants/other/noogoora-burr
9)Flora of Victoria
 Xanthium occidentale Bertol.
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/00a15b0c-59c9-42a9-8e0b-70588cd22231
10)Electronic Flora of South Australia species Fact Sheet
 Xanthium californicum
http://flora.sa.gov.au/cgi-bin/speciesfacts_display.cgi?form=speciesfacts&name=Xanthium_californicum
11) BioNET-EAFRINET
 Xanthium spinosum (Bathhurst Burr)
https://keys.lucidcentral.org/keys/v3/eafrinet/weeds/key/weeds/Media/Html/Xanthium_spinosum_(Bathhurst_Burr).htm
12) NSW FloraOnline - PlantNET
 Xanthium italicum Moretti
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Xanthium~italicum
13)NSW WeedWise
 South American burr (Xanthium cavanillesii)
https://weeds.dpi.nsw.gov.au/Weeds/Details/261
14) Acta Horti Bot. Bucurest. 2013, 40: 5-18 DOI: 10.2478/ahbb-2013
  XANTHIUM ITALICUM - ANATOMY AND HISTOLOGY DATA
https://www.researchgate.net/publication/272264099_Xanthium_Italicum_-_Anatomy_And_Histology_Data