ナガミヒナゲシ  長実雛罌粟
[英名] field poppy , long-head poppy , Greek red poppy
[学名] Papaver dubium L.
ケシ科 Papaveraceae ケシ属
三河の植物観察
ナガミヒナゲシの花
ナガミヒナゲシの雌しべと雄しべ
ナガミヒナゲシの果実
ナガミヒナゲシの熟した果実
ナガミヒナゲシの葉
ナガミヒナゲシ
ナガミヒナゲシ種子
 和名は子房が細長い円柱形であることから。1961年に東京で最初に見つかり、最近では各地の道端で普通に見られる。米国、ニュージーランド、パキスタンなど世界中に帰化している。
 日本に帰化しているものは花が橙色で目立ち、雑草としてはきれいなため、道端でも残されることが多く、増える一因となっているとも考えられる。
 1年草、普通、ロゼットがあり、茎は直立、高さ20~60㎝、下部に開出毛があり、上部には伏毛がある。葉柄があり、茎の下部では長い。葉身は1~2回羽状深裂(羽状中裂~羽状全裂)、 長さ5~10(~20)㎝×幅 2~7(~10)㎝、倒披針形~披針形~卵形、基部は急に狭くなり、剛毛がある 。根生葉は長さ20㎝以下、裂片の幅が広く、先が鈍形、葉柄がある。花は茎頂、枝先に単生、直径3~6㎝。咢片は2個、早落性、長い剛毛を密生する。花弁は4個、橙色(赤色~朱赤色)、普通、基部に黒斑はない(黒斑のあるものもある)。雄しべは多数。葯及び花糸は淡紫色。花柱は無く、円筒形の子房の上の柱頭盤(stigmatic disk)は幅が蒴果の幅と同じ、初め、低い円錐形、熟すとほぼ平らになり、縁は浅い円鋸歯。蒴果は棍棒形~長楕円状倒卵形、中間の幅が最も広く、わずかにうねがあり、無毛、長さ1.5~2.5㎝、幅は長さの1/2~1/3。柱頭の射出部=放射線(ray)は7~9個、放射線のの下に孔開(poricidal )し、多数の小さな種子を落とす。種子は長さ0.7~0.8㎜の腎形、表面に網状脈がある(ハチの巣状)。2n=28 , 42。
[花期] 4~5月
[草丈] 20~60㎝
[生活型] 1年草
[生育場所] 道端、野原、荒地
[分布] 帰化種 地中海地方原産
[撮影] 蒲郡市形原町  02.4.7

 ケシ属

  Family: Papaveraceae - tribe Gnaphalieae - genus Papaver

 1年草、多年草、まれに一回結実性( monocarpic)。根は紡錘形又は漸尖形、単純。茎は1本又はそれ以上、直立又は斜上、円柱形、分枝は有又は無、ごく収斂するか又は広がり、普通、剛毛があり、まれに無毛、象牙の悪臭(ivory malodorous)があり、乳液を出し、葉は有又は無。根出葉は葉柄があり、普通、上面は粉白色を帯び、様々な形で、両面に剛毛があり、羽状浅裂~羽状深裂~羽状全裂、2回羽状中裂、ときに欠刻状~鋸歯状~円鋸歯状、まれに全縁。茎葉はもしあれば、根出葉と似ているが、普通、無柄、ときに茎を抱く。花は単生、まれに集散花序状の総状花序につき、花序柄があり、又はときに花茎(scapose)があり、直立、広がり、普通、剛毛がある。蕾は垂頭(nutant)又は直立、卵形又は球形。咢片は2個、まれに3個、開花すると落ち、ほとんどに剛毛がある。花弁は4個、まれに5~6個、短い花托の上につき、しばしば早落性、ほとんどが赤色、まれに白色~黄色~橙色~ラベンダー色、鮮やかで美しく、普通、倒卵形、2輪につき、外側は大きい。雄しべは多数。花糸は白色~黄色~緑色~紫色~赤色、たまに帯黒色、ほとんどが糸状。葯は球状又は長楕円形。子房は1室、上位、普通、卵形、まれに円柱状長楕円形。心皮は4~18個、統合し、剛毛があるか又は無毛。胚珠は多数。花柱が無い(astylous)。柱頭は4~18個が放射状につき(stigma rays)、扁平又は尖塔のある盤(disc)に子房を覆って統合する(柱頭盤 stigma disk , stigmatic disc)。柱頭盤の縁は円鋸歯又は分裂する。蒴果は狭い円柱形~倒卵形~球形、剛毛があるか又は無毛、まれに刺があり、目立つ肋骨が有(costate)又は無、放射相称の柱頭の下に孔開する(poricidal )。種子は多数、黒色~褐色~暗灰色~白色、腎形、小さく、縦の条線があるか又はハチの巣状。胚乳は白色、肉質、油の中に豊富。胚は胚乳の中に隠れる。
 世界に約100種があり、主にヨーロッパ中部及び南部~アジアの温帯地域にあり、アメリカやオセアニアに数種、南アフリカに1種が分布する。


 ケシ属の主な種と園芸種

 1  Papaver alboroseum Hulten  アライドヒナゲシ  sect. Meconella 
 ロシア、カナダ、アラスカ原産。英名はpale poppy。
 叢生し、高さ150㎝以下。葉は長さ4㎝以下。葉柄は葉の1/2又は無柄。葉身は両面が灰緑色、広披針形、一次側裂片を1~2対もち、白色~褐色の剛毛がある。一次裂片は倒卵形~ひも形、縁はときに歯状、先は鈍状円形~鋭形、先端に剛毛がある。花序は花茎がしばしば傾伏し、頭を下げ、剛毛を広げる。花は直径2.5㎝以下。花弁は白色~ローズ色、基部に黄色の斑点がある。葯は黄色。柱頭は5~7個。柱頭盤は凸面。蒴果は類球形~楕円形、長さ1.3㎝以下、長さは幅の1~2倍、剛毛、毛状突起は淡色(象牙色)。2 n = 28.。

 2  Papaver alpinum L.  タカネヒナゲシ  sect. Meconella
   synonym Papaver pseudoradicatum Kitag. 
Papaver radicatum Rottb. var. pseudoradicatum (Kitag.) Kitag.  タカネヒナゲシ
   synonym Papaver pseudoradicatum Kitag.
 ヨーロッパ原産。英名はalpine poppy , Austrian poppy , Rhaetian poppy , dwarf poppy
 短命の多年草、矮性、高さ(15)20~25(30)㎝。葉は根生し、灰緑色、しだ状に羽状細裂する。花茎は高さ25㎝以下。花は単生、杯形、直径3.8㎝。花弁はちりめん紙状、白色、橙色、黄色又はサーモン色。花期は晩春~盛夏(5~7月)
品種) 'Famecheck Double Orange' (d) , 'Flore Pleno' (d)

 3  Papaver argemone L.  トゲナガミゲシ sect. Argemonidium
 ヨーロッパ中部~南部原産。英名はprickly poppy , long pricklyhead poppy。
 一年草、ロゼットは小さく、叢生。茎は斜上し、剛毛があり、高さ (5~)20~30(~40)㎝。葉は緑色、長さ (2~)4~8㎝×幅1~3㎝。下部の葉は葉柄があり、上部では無柄。葉身は個卵形~三角形、羽状中裂~2回羽状全裂、基部は楔形、長い剛毛で覆われ、特に、裂片の先端や中脈上や下面の縁に多い。花柄は長さ(3~)5~15㎝、伏した剛毛が多い。咢片は剛毛があり、長さ 7~13㎜×幅5~7㎜。花弁は赤色、長さ 1~2.5㎝×幅1~2.5㎝、基部に暗色のしみが有又は無。蒴果は無柄、長楕円形~棍棒形、上部の幅が最も広く、明瞭なうねがあり、長さ (10~)15~20㎜×幅 (3~)4~7㎜、淡色の硬い剛毛状の開出した毛がまばら~弱くある。柱頭盤は凸面、アーチ形、蒴果の幅の1/2~3/4 、円錐形、放射線(柱頭)は4~6本。花期は春~夏。[Flora of New Zealandなど]。

 4  Papaver bracteatum Lindl.  ハカマオニゲシ  sect. Macrantha 
 日本でのかつては花壇用ケシとされていたが、植物体中に高濃度の麻薬性アルカロイドのテバイン(thebaine)を含むため、日本では麻薬及び向精神薬取締法(法律33号)により麻薬原料植物として平成2年から栽培が禁止されている。
 ロシア、イラン原産。英名はgreat scarlet poppy , scarlet poppy , Iranian poppy , Persian poppy 。
 多年草、全体に白色の剛毛があり、茎の下部の毛は開出し、上部では伏毛。茎は直立し、高さ60~120cm、分枝しない。根生葉は長柄があり、羽状分裂、裂片は披針形~長楕円形、縁には粗い鋸歯がある.茎葉は小さ、最上部の葉は上部3分の1以上につき無柄。花序柄は長く、白色の伏毛を密生してざらつく。苞(ハカマ)は花の基部の咢片に接して3~8個つき、葉状で鋸歯縁又は楕円形で全縁。咢片は2?(3)個、肥厚し、凹面、伏した剛毛があり、上部は僧帽形、縁は互いに重なり花弁を包む。花は単生、頂生し、直径約10㎝。花弁は4~6個、通常6個つき、鮮紅色(真紅色)、基部に黒紫色の斑点がある。蒴果は無毛、倒卵形、白色を帯びた青緑色。柱頭盤は平板、盤上に(8~16)16~18本の放射線(柱頭)をもつ。
 ハカマオニゲシはP. pseudo-olientale、オニゲシ(オリエンタルポピー)と同じ節(sect. Macrantha)に属し、容易に交雑する。ハカマオニゲシがオニゲシと混同されやすく、オニゲシ(オリエンタルポピー)として販売されている品種の中にテバインの含有量が多いものもあり、問題となっている。

 5  Papaver commutatum Fisch. et C.A.Mey.  モンツキヒナゲシ 紋付雛罌粟 sect. Rhoeadium
 トルコ、イラン、コーカサス原産。英名はCaucasian scarlet poppy , Flanders poppy , ladybird poppy。日本ではピエロ(Pierrot)の名で流通している。
 1年草、直立し、高さ40~70㎝。茎や葉に剛毛がある。葉は互生、羽状深裂。花は単生、頂生、椀形、直径6~8㎝。蕾は垂頭(nutant)。咢片は2個、早落性、開花と同時に脱落する。花弁は4個、明るい赤色、基部に黒色のしみが目立つ。雄しべは多数、花糸は紫褐色。柱頭盤は凸形、アーチ形、放射線は9~11本、紫褐色。果実は蒴果、幅約7㎜、上部の孔で裂開。花期は4~6月。
品種) 'Ladybird' [AGM]

 6  Papaver dubium L.  ナガミヒナゲシ 長実雛罌粟  sect. Rhoeadium
 地中海地方原産。英名はlong-headed poppy , Greek red poppy , field poppy。日本に橙色の花の品種が広く帰化、普通に見られる。
 1年草、普通、ロゼットがあり、茎は直立、高さ20~60㎝、下部に開出毛があり、上部には伏毛がある。葉柄があり、茎の下部では長い。葉身は1~2回羽状深裂(羽状中裂~羽状全裂)、 長さ5~10(~20)㎝×幅 2~7(~10)㎝、倒披針形~披針形~卵形、基部は急に狭くなり、剛毛がある 。根生葉は長さ20㎝以下、裂片の幅が広く、先が鈍形、葉柄がある。花は茎頂、枝先に単生、直径3~6㎝。咢片は2個、早落性、長い剛毛を密生する。花弁は4個、橙色(赤色~朱赤色)、普通、基部に黒斑はない(黒斑のあるものもある)。雄しべは多数。葯及び花糸は淡紫色。花柱は無く、円筒形の子房の上の柱頭盤(stigmatic disk)は幅が蒴果の幅と同じ、初め、低い円錐形、熟すとほぼ平らになり、縁は浅い円鋸歯。蒴果は棍棒形~長楕円状倒卵形、中間の幅が最も広く、わずかにうねがあり、無毛、長さ1.5~2.5㎝、幅は長さの1/2~1/3。柱頭の射出部=放射線(ray)は7~9個、放射線のの下に孔開(poricidal )し、多数の小さな種子を落とす。種子は長さ0.7~0.8㎜の腎形、表面に網状脈がある(ハチの巣状)。2n=28 , 42。
【ニュージーランドに帰化している種】
 1年草、普通、ロゼットがある。茎は直立、細かい剛毛があり、高さ 20~30(~80)㎝。葉は粉白色を帯び、葉柄があり、特に下部にあり、長さ5~10(~15)㎝×幅 2~7(~10)㎝。葉身は倒披針形~披針形~卵形、基部は急に狭くなり、深く、1~2回羽状全裂、剛毛がある。花柄は長さ10~30(~45)㎝、剛毛があり、 下部では開出し、上部では伏せる。咢片は剛毛があり、長さ(5~)15~20㎜×幅 (3~)10~15㎜。花弁は赤色、長さ1~3㎝×幅1~3㎝、基部のしみはかすか又は無い。蒴果は棍棒形~長楕円状倒卵形、中間がの幅が最も広く、わずかにうねがあり、無毛、長さ (7~)15~25㎜× (3~)5~10㎜。柱頭盤の幅は蒴果の幅と同じ、初め、円錐形、熟すと平らになり、放射線(ray=柱頭) は(4~)5~8(~10)本[ Flora of New Zealand.] 。
6-1 Papaver dubium ssp. lecoqii var. albiflorum Besser
   synonym Papaver albiflorum (Besser) Pacz.
 英名はpink poppies 花が小さく、ピンク色、黒班がある。
 品種)  'Albiflorum' , 'Beth's Poppy'

 7  Papaver fauriei (Fedde) Fedde ex Miyabe et Tatew.  リシリヒナゲシ 利尻雛芥子
   synonym Papaver nudicaule L. var. fauriei Fedde 
 北海道利尻山山頂付近の岩礫地に自生する固有種。別名ミヤマヒナゲシ。利尻島の平地に植えられいるのはチシマヒナゲシ系統の栽培種。
 多年草、高さ10~20㎝。全体に剛毛がある。葉は粉白色を帯び、羽状分裂、最終裂片は幅が1.5~5㎜。花は茎頂に単生、蕾は下向く。花弁は淡黄色~淡緑黄色、質が薄く、繊細。柱頭盤は凸面、放射線は6~7本。子房は球形。雄しべは多数、葯は黄色。花期は6~7月。

 8  Papaver glaucum Boiss. et Hausskn.  チューリップゲシ
 トルコ、アナトリア半島原産。英名はtulip poppy , Turkish tulip , Turkish red poppy。
 1年草、高さ90㎝以下。花は濃赤色、直径約10㎝、中央が黒くなる。花弁は質が薄く、縮れ、内側の花弁がチューリップのように上向きにつく。ヒナゲシPapaver rhoeas(corn rose poppy) やナガミヒナゲシ Papaver dubium(Greek red poppy)に似ているが、花の中央が黒くなり、花弁がチューリップのようにつく。花期は5~6月。

 9  Papaver hybridum L.   トゲミゲシ sect. Argemonidium
 パキスタン、トルクメニスタン、コーカサス、西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はrough poppy , rough-head poppy , Prickly-headed poppy , wild poppy .
 1年草、ロゼットをつくり、叢生する。茎は傾伏~斜上、剛毛があり、高さ(2~)10~20(~60)㎝。葉は粉白色を帯び、長さ(2~)6~10(~15)㎝×幅 (1~)3~6㎝、下部の葉は葉柄が長く、上部では無柄。葉身は広卵形~三角形、基部は楔形、普通、普通、深く、2~3回羽状全裂、目立たない短く、硬い毛と長い毛に覆われ、特に、下面の中脈に多い。 花柄は長さ 5~15(~20)㎝、伏毛がある。咢片は密に剛毛があり、長さ5~10㎜×幅3~10㎜。花弁は赤色、長さ1~2.5㎝×幅1~2.5㎝、基部にン色のしみがある。蒴果は楕円形、中間近くの幅が最も広く、うねがあり、長さ (4~)10~15㎜×幅 (2~)5~8㎜、密に淡色の開出する硬い剛毛で覆われる。柱頭盤(stigmatic disc) は蒴果の幅の約1/2、円錐形(凸形)。放射腺(ray)は4~8本。[Flora of New Zealand]
品種) 'Flore Pleno' (d)

 10  Papaver miyabeanum (Miyabe et Tatew.) Tatew.  チシマヒナゲシ
⇒Papaver nudicaule L.

 11  Papaver nudicaule L.  シベリアヒナゲシ(アイスランドポピー) sect. Meconella 
 モンゴル、ロシア、カザフスタン、アラスカ、カナダ原産。中国名は野罂粟 ye ying su 。英名はArctic poppy , Icelandic poppy , Iceland Poppy。
 多年草(非耐暑性で園芸上は秋蒔き1年草)、高さ20~60㎝、変化が多い。直根は円柱形、よく伸び、上部は直径2~5㎜、漸尖形又は紡錘形、根茎は短く、太く、普通、分岐しない。茎はごく短く又は一見無い。葉は叢生、すべて根生、葉柄は長さ (1~)5~12㎝、基部で広がり、鞘になり、傾いた剛毛がある。葉身は両面ともわずかに粉白色を帯び、卵形~披針形、長さ3~8㎝、両面とも密~疎に灰色の剛毛があり、まれに無毛近くになり、羽状浅裂~羽状深裂~羽状全裂、裂片は2~4対、全縁又は再び羽状浅裂~羽状深裂。羽片は狭卵形~狭披針形~長楕円形、先は鋭形~鈍形~円形。花茎は1本~数本、直立し、円柱形、密又はまばらに、傾いた圧縮された剛毛がある。花は単生、頂生、花茎につき、杯形、直径4~6㎝。蕾は普通、垂頭(nutant)、広卵形~球形、直径1.5~2㎝、密に褐色の剛毛がある。咢片は2個、早落性、花環状楕円形(corymbiform-elliptic)。花弁は4個、帯黄色、黄色、橙色、まれに赤色、広楔形又は倒卵形、長さ(1.5~)2~3㎝、基部に短い爪部があり、縁は波状円鋸歯。雄しべは多数。花糸は黄色又はオリーブ色、錐形、長さ6~10㎜。葯は黄白色 黄色、まれに帯赤色、長楕円形、長さ1~2㎜。子房は倒卵形~狭倒卵形、長さ5~10㎜、密に伏した剛毛がある。柱頭は4~8本、放射相称。蒴果は狭倒卵形~倒卵形~倒卵状長楕円形、長さ1~1.7㎝、密に伏した白褐色~赤褐色の剛毛があり、わずかに広い4~8の肋がある。柱頭盤(stigma disk)は平ら、明瞭な欠刻状円鋸歯がある。種子は多数、褐色、ほぼ腎形、小さく、条線があり、ハチの巣状の窪みがある。花期は5~9月。2n = 14, 28, 42。
品種) (Champagne Bubbles Group) 'Champagne Bubbles Orange' , (Champagne Bubbles Group) 'Champagne Bubbles Pink' , (Champagne Bubbles Group) 'Champagne Bubbles Yellow' , (Spring Fever Series) , 'Aurora Borealis' , 'Ballerina Mix' , Champagne Bubbles Group , Constance Finnis Group , 'Flamenco' , Garden Gnome Group , Gartenzwerg Group , 'Guildford Strain' , Hazy Days Group , 'Illumination' , 'Kelmscott Giant' , 'Kelmscott Strain' , 'Leder' , 'Matador' , Meadhome Strain , 'Meadow Pastels' , 'Moonbeam' , 'Moondance' , Oregon Rainbow Group , 'Pacino' , 'San Remo' , 'Solar Fire Orange' , 'Summer Breeze' , 'Summer Breeze Orange' , Summer Breeze Series , 'Summer Breeze Yellow' , 'Tovil-dara' , 'Varsob' , 'Wonderland Gold' (Wonderland Series) , 'Wonderland Orange' (Wonderland Series) , 'Wonderland Pink' (Wonderland Series) , 'Wonderland Pink Shades' (Wonderland Series) , 'Wonderland Rose' (Wonderland Series) , Wonderland Series , 'Wonderland Yellow' (Wonderland Series)
11-1 Papaver nudicaule L. subsp. amurense N.Busch  シロバナヒナゲシ
   synonym Papaver amurense (N.Busch) N.Busch ex Tolm.
   synonym Papaver nudicaule L. var. aquilegioides Fedde f. amurense (N.Busch) H.Chuang 
   synonym Papaver anomalum Fedde 


 12  Papaver pseudo-orientale (Fedde) Medw.  sect. Macrantha
   synonym Papaver bracteatum var. pseudo-orientale Fedde
   synonym Papaver intermedium DC.
 イラン、トルコ原産。英名はOriental poppy 。ハカマオニゲシ(P. bracteatum) と オニゲシ(P. orientale) との交雑種と考えられている。
 多年草、全体に白色の剛毛があり、茎の下部の毛は開出し、上部では伏毛。茎は直立し、高さ60~120㎝、分岐しない。根生葉は長柄があり、羽状分裂、裂片は披針形~長楕円形、縁に粗い鋸歯がある.茎生葉は小さく、最上部の葉は茎の上部3分の1以上に付き、無柄。花柄は長く、白色の伏毛を密生してざらつく。苞は0~4個、鋸歯縁のある葉状又は楕円形、全縁。咢片は2個、ときに3個、肥厚し、凹面状、小剛毛が開出し、僧帽形、縁は互いに重なり花弁を包む。花は単生、花茎の先に頂生、直径8~12㎝。花弁は4~6個つき、長さ5~6㎝、広倒卵形、爪部があり、濃橙赤色、斑点が無いか又は基部に黒紫色の斑点がある。蒴果は倒卵形、無毛、白色を帯びた青緑色、柱頭盤(stigma disk)は平板、柱頭上に16~18本の紫色の放射線をもつ。果実は卵形長さ23~25㎜、無毛。

 13  Papaver orientale L.  オニゲシ鬼芥子 (オリエンタルポピー)  sect. Macrantha
 イラン北部、トルコ北東部、アルメニア、アゼルバイジャン、ジャージア原産。Oriental poppy 。中国名は鬼罂粟 gui ying su 。園芸品種はOriental Groupと呼ばれ600種以上の品種がある。日本には明治時代に渡来した。
 多年草(日本では夏の暑さに弱いため1年草扱い)、全体に剛毛があり、象牙色の乳液をもつ。根は帯白色、紡錘形、肉質、多数のひげ根を持つ。茎は1本まれに分枝し、直立~斜上、房状、高さ60~90㎝(栽培種は100㎝以上)円柱形、ほとんどに扁平、伏した剛毛があり、下部の2/3に葉がつく。葉は両面とも緑色、卵形~披針形、葉柄を含めて長さ20~30㎝(栽培種では長い)、まばらに鋸歯又は欠刻があり、歯先に剛毛があり、下面に剛毛があり、2回羽状深裂、小葉は披針形~長楕円形。茎葉は多数、互生、根出葉に似ているが小さく、下部の葉は長い葉柄があり、最上部の葉は無柄。花は単生、頂生、椀形、大きく、直径10~16㎝。花柄は密に剛毛がある。蕾は直立、卵形又は広卵形、長さ2~3㎝、開出する剛毛がある。咢片は2個、ときに3個、外側は緑色、内側は帯白色。花弁は4~6個、赤色又はカーマインレッド、基部に暗色のしみ又は斑点が有又は無、広倒卵形又は扇形、長さ (3~)5~8㎝、基部に短い爪部があり、外面に太い脈がある。雄しべは多数、花糸は暗色、糸状、下部は拡大する。葯は藍紫色、長楕円形。花柱は10~16個、、放射状に、広がり、 藍色、扁平な円盤状に統合し、縁にはまばらに厚い鋸歯がある。蒴果は無柄、球状、直径2~3.5㎝、無毛、平らな10~16個の放射線(柱頭)をもつ花柱の円盤(柱頭盤)がある。種子は褐色、円状腎形、広い条線があり、小さな窪みがある。花期は(5)6~7月。2n = 28
品種) 'Abu Hassan' , 'Aglaja' , 'Aladin' , 'Ali Baba' , 'Alison' , 'Allegro' , 'Allegro Vivace' , 'Arc de Triomphe' , 'Arwide' , 'Aslahan' , 'Atrosanguineum' , 'Atrosanguineum Maximum' , 'Australia's Orange' , 'Avebury Crimson' , 'Baby Kiss' (PBR) , 'Ballkleid' , 'Barr's White' , 'Beauty of Livermere' , 'Beauty of Livermere' clonal , 'Beauty Queen' , 'Bergermeister Rot' , 'Big Jim' , 'Black and White' , 'Blackberry Queen' , 'Blickfang' , 'Bloomsbury' , 'Blue Moon' , 'Blush Queen' , 'Bobbile' , 'Bobs' , 'Bolero' , 'Bonfire' , 'Bonfire Red' , 'Border Beauty' , 'Brightness' , 'Brilliant' , 'Brooklyn' (New York Series) , 'Burgundy' , 'Burning Heart' , 'Carmen' (PBR) , 'Carmine' , 'Carneum' , 'Carnival' , 'Carousel' , 'Casino' , 'Castagnette' , 'Catherina' , 'Cavalier' , 'Cedar Hill' , 'Cedric Morris' , 'Central Park' (New York Series) , 'Cerise Bedder' , 'Charming' Pink-flowered , 'Charming' red-flowered , 'China Boy' , 'Clochard' , 'Colonel Bowles' , 'Constance Finnis' , 'Coral Reef' , 'Coralie' , 'Corinna' , 'Corrina' , 'Countess of Stair' , 'Cowichan Strain' , 'Crimped Beauty' , 'Crimson Pompon' , 'Curlilocks' , 'Curtis's Strain' , 'Degas' , 'Delicatum' , 'Dengas' , 'Derwisch' , 'Distinction' , 'Domino' , 'Doppelte Freude' , 'Double Delight' (d) , 'Double Flame' (d) , 'Double Pleasure' (d) , 'Doubloon' (d) , 'Duke of Teck' , 'Dwarf Allegro' , 'Dwarf Allegro Vivace' , 'E.A. Bowles' , 'Earl Grey' , 'Edna Perry' , 'Effendi' , 'Elam Pink' , 'Enchantress' , 'Enfield Beauty' , 'Erste Zuneigung' , 'Eskimo Pie' , 'Ethel Swete' , 'Eyecatcher' , 'Fancy Feathers' (PBR) , 'Fatima' , 'Feuerriese' , 'Feuerwerk' , 'Feuerzwerg' , 'Fiesta' , 'Fire Ball' (d) , 'Fire King' , 'Firefly' (PBR) , 'Flamenco' , 'Flamenco Dancer' , 'Flamingo' , 'Flore Pleno' (d) , 'Forncett Banner' , 'Forncett Post' , 'Forncett Summer' , 'Fortune' , 'Fringed Beauty' , 'Frosty' (v) , 'Fruit Punch' , 'Garden Glory' , 'Gibson's Salmon' , 'Glowing Embers' , 'Glowing Rose' , 'Goldschmidt' , 'Goliath' , 'Graue Witwe' , 'Grenadier' , 'Halima' , Haremstraum (mixed) , 'Harlem' (New York Series) , 'Harlem Louvre' , 'Harvest Moon' (d) , 'Heidi' , 'Henri Cayeux Improved' , 'Hewitt's Old Rose' , 'Hoo House Red' , 'Hula Hula' , 'Humphrey Bennett' , 'Ida Brailsford' , 'Immaculatum' , 'Indian Chief' , 'Inferno' (PBR) , 'Iris Perry' , 'Ivy Perry' , 'Jeannie Mawson' , 'Joanne' , 'John III' , 'John Metcalf' , 'Joyce' , 'Juliane' , 'Khedive' (d) , 'King George' , 'King Kong' , 'Kleine Tanzerin' , 'Kollebloem' , 'Lady Frederick Moore' , 'Lady Haig' , 'Lady Haskett' , 'Lady Roscoe' , 'Ladybird' , 'Laffeuer' , 'Lambada' , 'Lauren's Lilac' , 'Lavender Girl' , 'Lavender Glory' , 'Leuchtfeuer' , 'Lighthouse' , 'Lilac Girl' , 'Little Candyfloss' (PBR) , 'Little Patty Plum' (PBR) , 'Little Prince' , 'Louvre' (Parisienne Series) , 'Lovely' , 'Magnificence' , 'Mahony' , 'Maiden's Blush' , 'Mandarin' (PBR) , 'Manhattan' (New York Series) , 'Marcus Perry' , 'Margherite' , 'Marie Studholme' , 'Marlene' , 'Mary Finnan' , 'Master Richard' , 'Masterpiece' , 'Max Leichtlin' , 'May Curtis' , 'May Queen' (d) , 'May Sadler' , 'Medusa' , 'Menelik' , 'Midnight' , 'Minimum' , 'Miss Julia' , 'Miss Piggy' (PBR) , 'Mogul' , 'Mrs Carl Skinner' , 'Mrs H.G. Stobart' , 'Mrs John Harkness' , 'Mrs Lockett Agnew' , 'Mrs M. Bevan' , 'Mrs Marsh' , 'Mrs Perry' , 'Nancy' , 'Noema' , 'Olympia' (d) , 'Olympic Flame' (d) , 'Orange Glow' , 'Orange King' , 'Orange Queen' , 'Orangeade Maison' , 'Oriana' , 'Oriental' , 'Oriental King' , 'Oriental Queen' , 'Oriflamme' , 'Pagode' , 'Pale Face' , 'Papillon' (PBR) , 'Parkmanii' , 'Patty's Plum' , 'Perry's Blush' , 'Perry's Favourite' , 'Perry's Pigmy' , 'Perry's Unique' , 'Perry's White' , 'Persepolis' , 'Peter Pan' , 'Petticoat' , 'Picotee' , 'Pink Chiffon' , 'Pink Lassie' , 'Pink Panda' , 'Pink Pearl' (PBR) , 'Pink Ruffles' (PBR) , 'Pinnacle' , 'Pizzicato' , 'Pizzicato White' , 'Place Pigalle' (Parisienne Series) , 'Plum Pudding' , 'Polka' , 'Prince of Orange' , 'Princess Ena' , 'Princess Mary' , 'Prinz Eugen' , 'Prinzessin Victoria Louise , 'Prospero' , 'Purity' , 'Queen Alexandra' , 'Raspberry Brulee' , 'Raspberry Queen' , 'Raspberry Ruffles' , 'Red Gauntlet' , 'Redizelle' , 'Rembrandt' , 'Rose Queen' , 'Rosenpokal' , 'Roter Zwerg' , 'Royal Chocolate Distinction' , 'Royal Prince' , 'Royal Scarlet' , 'Royal Wedding' , 'Ruby Perry' , 'Ruffled Patty' (PBR) , 'Ruffled Princess of Orange' (PBR) , 'Saffron' , 'Salmon Beauty' , 'Salmon Glow' (d) , 'Salmon Perfection' , 'Salmon Queen' , 'Salome' , 'Scarlet King' , 'Scarlett O'Hara' (PBR) (d) , 'Semiplenum' , 'Shirley Temple' , 'Showgirl' , 'Silberblick' , 'Silberosa' , 'Silver Queen' , 'Silverblotch' , 'Sindbad' , 'Snoflame' , 'Snow Goose' , 'Snow Queen' , 'Snowflame' , 'Soho' (New York Series) , 'Sonata' , 'Souvenir' , 'Spatzunder' , 'Splendens' , 'Springtime' , 'Staten Island' (New York Series) , 'Stokesby Belle' , 'Sturmfackel' , 'Suleika' , 'Sultana' , 'Sungold' , 'Sunset' (PBR) , 'Surprise' , 'The King' , 'The Promise' , 'The Queen' , 'Thora Perry' , 'Tiffany' , 'Tom Tit' , 'Toreador' , 'Trinity' , 'Turkenlouis' , 'Turkish Delight' , 'Tutu' , 'Van der Glotch' , 'Victoria Dreyfuss' , 'Viola' , 'Violetta' , 'Vuurkogel' , 'Walking Fire' , 'Waltzing Elisabeth' (PBR) , 'Waltzing Mathilda' (PBR) , 'Waltzing Victoria' (PBR) , 'Water Babies' , 'Watermelon' , 'White Karine' , 'White King' , 'White Ruffles' (PBR) , 'Wild Salmon' , 'Winnie' , 'Wisley Beacon' , 'Wunderkind' , 'Wurtemburgia'
AGM品種) 'Aglaja' , 'Black and White' , 'Cedric Morris' , 'Effendi' , 'John III' , 'Karine' , 'Khedive' (d) , 'Leuchtfeuer' ,'Lighthouse'

 12  Papaver radicatum Rottbfll,   sect. Meconella
 ロシア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はArctic poppy . rooted poppy , yellow poppy
 多年草、疎又は密に群生し、高さ150㎝以下。葉は長さ12㎝以下、葉柄は葉身の長さの2/3.。葉身は両面とも緑色、粉白色を帯びず、披針形、1~2回分裂し、1次の側裂片は2~3(~4)対。1次裂片は広披針形又はひも形、先は鈍形~鋭形。花序は花茎が直立又は頭を下げて傾伏し、15㎝より短く、まばら又は密に剛毛がある。花は直径6.5㎝以下。花弁は黄色又は白色、まれにピンク色を帯び、又はレンガ赤色。葯は黄色。柱頭は4~7本、盤は凸面。蒴果は倒卵形~類球形、長さは幅の1~2.5倍、剛毛があり、毛状突起は淡褐色~暗褐色又は黒色。[Flora of North America]

12-1 Papaver radicatum Rottb. var. pseudoradicatum (Kitag.) Kitag.  タカネヒナゲシ
 ⇒Papaver alpinum L.  タカネヒナゲシ

 14  Papaver rhoeas L.  ヒナゲシ 雛芥子 別名グビジンソウ(虞美人草) sect. Rhoeadium
 北アフリカ、アジア南西部、ヨーロッパ中南原産。中国名は虞美人 yu mei ren。英名はcommon poppy、corn poppy, field poppy , red poppy , Flanders poppy , corn rose poppy。
 1年草、ロゼットは群生し、全体に剛毛がある。茎は直立し、高さ25~60(100)㎝、分枝し、まばらに帯黄色の剛毛がある。葉は互生する。葉身は披針形~狭卵形~三角形、長さ(3)7~15(20)㎝×幅1~6(8)㎝、両面とも帯黄色の剛毛があり、葉脈は下面で目立ち、上面でわずかに窪む。葉身は羽状中裂、下部で分裂する。裂片は披針形で2回羽状浅裂、上部は全裂又は再分裂する。裂片は披針形、最上部の裂片は鋸歯状の羽状浅裂。頂裂片は普通、大きく、小裂片の先が尖鋭形。下部の葉は葉柄があり、上部の葉は無柄。花は茎頂と枝先に単生し、椀形、直径6~9㎝。花序柄は長さ10~15(~30)㎝、圧縮した黄色の剛毛がある。蕾は垂頭(nutant)、長楕円状倒卵形、剛毛がある。咢片は2個、広楕円形長さ1~2㎝×幅5~10㎜、内側に剛毛がある。花弁は4個、濃スカーレット色、たまに、モーブ色、ピンク色、橙色又は白色、基部の暗色のしみや斑点は有又は無、円形~横に広い楕円形~広倒卵形、長さ2~4(4.5)㎝×幅2.5~6㎝、重なり、全縁、まれに円鋸歯又は先が欠刻状。雄しべは多数。花糸は暗モーブ色又は帯紫色、糸状、長さ約8㎜。葯は青色、長楕円形、長さ約1㎜。子房は倒卵形、長さ7~10㎜、無毛。柱頭は(5~)8~12(~18)本、放射相称、扁平な柱頭盤(stigmatic disc)に統合され、縁は円鋸歯。柱頭盤の幅は蒴果の幅と同じ。蒴果は類球形~広倒卵形、長さ10~15(~20)㎜×幅8~15㎜、約1/2で幅が最も広く、頭が平ら、無毛、基部は丸く、短い柄があり、不明瞭な肋がある。種子は多数、腎形状長楕円形、長さ約1㎜。花期は(3)5~7(8)月。2n = 14。[Flora of China , Flora of New Zealand.]
品種) 'American Legion' , Angels' Choir Group (d) , 'Angel's Choir Mixed' , 'Angel Wings' (mixed) , 'Bridal Silk' , 'Cedric Morris' , 'Evelina' (PBR) , 'Flanders' , 'Love Affair' , 'Mother of Coral' , Mother of Pearl Group , 'Mother of Pearl' , 'Paradise' , 'Picotee Mixed' , 'Shirley Double Mixture' , Shirley Group , Shirley Mixed , 'Valerie Finnis' , Whispering Fairies Group

 15  Papaver somniferum L.  ケシ 芥子、罌粟(ソムニフェルム)  sect. Papaver
 ヨーロッパ南部原産。中国名は罂粟 ying su。 英名はoilseed poppy , opium poppy , small opium poppy , wild poppy 。
 1年草、高さ30~60(~100)㎝、無毛、まれに下部や花序柄にわずかに剛毛がある。直根は直立、ほぼ円錐形。茎は直立、粉白色を帯び、無毛、たまに、やや剛毛がある。葉は互生。葉身は卵形~長楕円形、長さ7~25㎝、両面とも無毛、粉白色を帯び、むしろ蝋状、脈は目立ち、わずかに盛り上がり、基部は心形、縁は不規則に波状鋸歯、先は尖鋭形~鈍形。下部の葉は短い葉柄があるが、上部の葉は無柄、茎を抱く。花は単生、深い杯形、直径5~12㎝。花柄は長さ25㎝以下、無毛、まれにまばらに剛毛がある。蕾は初め垂頭(nutant)、開花時に直立し、楕円状長楕円形又は広卵形、長さ1.5~3.5㎝×幅1~3㎝、無毛。咢片は2個、緑色、広卵形、縁は膜質。花弁は4個、白色~ピンク色~赤色~紫色~様々、しばしば基部に暗色のしみがあり、類円形又はほぼ扇形、長さ4~7㎝×幅3~11㎝、縁は波打つか又は様々に分裂する。雄しべは多数。花糸は白色、線形、長さ1~1.5㎝。葯は帯黄色又はクリーム色、長楕円形、長さ3~6㎜。子房は緑色、球形、直径1~2㎝、無毛。柱頭は5~12(~18)本、放射相称、扁平は盤に統合し、盤の縁は深く分裂し、裂片は小円鋸歯。蒴果は熟すと褐色、球形又は長楕円状楕円形、長さ4~9㎝×幅4~5㎝、無毛。種子は多数、黒色又は濃灰色、外側はハチの巣状。花期は3~8月。2n = 18, 22-23, 25, 32。
品種) (Laciniatum Group) 'Crimson Feathers' , (Laciniatum Group) 'Cut-petal' , (Laciniatum Group) 'Danebrog' , (Laciniatum Group) 'Double Raspberry Blush' (d) , (Laciniatum Group) 'Poppy Jo' , (Laciniatum Group) 'Swansdown' (d) , (Laciniatum Group) 'Venus' , (Paeoniiflorum Group) 'Applegreen' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Black Beauty' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Black Paeony' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Flemish Antique' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Frosted Salmon' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Irish Velvet' (mixed) (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Oase' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Pink Dawn' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Pink Paeony' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Plum Pudding' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Red Bombast' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Scarlet Paeony' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Schwarzer Drachen' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'Soft Silk' (d) , (Paeoniiflorum Group) 'White Paeony' (d) , 'Ametiszt' (PBR) , 'Black' , 'Blackcurrant Fizz' (d) , 'Boudoir Babe' (d) , 'Double Shiraz' (d) , 'Drama Queen' , 'Dwarf Danebrog' , 'Hen and Chickens' , 'Hens and Chicks' , 'Igor' , 'Irish Velvet' , 'Lauren's Grape' , 'Lilac Pompom' (d) , 'Lina' (PBR) , 'Madrigal' (PBR) , 'Maxi' , 'Morwin' (PBR) , 'Onyx' (PBR) , Paeoniiflorum Group (d) , Paeoniiflorum Group mixed (d) , 'Persian White' , 'Peshawar White' , 'Queen's Poppy' , 'Ragged Red' (d) , 'Rye Beaner' , 'Summer Pyjamas' , 'Victoria Cross' , 'Victoria Cross' double , 'Victoria Cross' dwarf , 'Violettta Blush' , 'White Cloud' (d) ,

15-1 Papaver somniferum L. subsp. setigerum (DC.) Arcang.  アツミゲシ 渥美罌粟(セティゲルム)
   synonym Papaver setigerum DC. 
 北アフリカ、ヨーロッパ南部原産。英名はsmall-flower opium poppy, opium poppy, garden poppy。
 2年草、高さ30~80㎝。茎は直立し、細く、剛毛がある。葉は互生し、長さ4~18㎝の卵形~惰円形、不規則な鋸歯があり、毛があり、基部は茎を抱く。花は直径約6㎝、花弁は4個、しばしば暗紫色の班紋がある。萼片2個。果実は直径約1.5㎝の長球形。種子は黒色、1㎜以下。2n=22。花期は4~5月。

 16  Papaver tolmatschevianum N.S.Pavlova  カラフトヒナゲシ
   synonym Papaver stubendorfii auct. non Tolm.
 サハリン固有種。


 栽培禁止種

 日本ではあへん法により、Papaver somuniferum L ケシ(パパヴェル・ソムニフェルム・エル、=ソムニフェルム)、Papaver setigerum DC アツミゲシ(パパヴェル・セティゲルム・ディーシー =セティゲルム)が「けし」と定義され、厚生大臣の許可を得た耕作者以外は栽培できず、みだりに栽培した者は1年以上10年以下の懲役に処せられる。
 麻薬及び向精神薬取締法の別表第二により麻薬原料植物として三・パパヴェル・ブラクテアツム・リンドル(和名ハカマオニゲシ)が指定され、みだりに栽培すると第65条で1年以上10年以下の懲役に処せられる。
 ソムニフェルム及びセティゲルムはモルヒネ(morfine)及びコデイン(codeine)=メチルモルヒネをアルカロイドとして含有しているが、ハカマオニゲシにはモ ルヒネ及びコデインは含まれ無い。
 ハカマオニゲシは主たるアルカ ロイドとしてテバイン(thebaine)を含有する。テバインは別名パラモルフィン (paramorphine) といい、化学的にモルフィン(morfin)やコデインと類似した構造を持つ。抑制作用よりも興奮作用のほうが強く、多量に摂取するとストリキニーネと同様の痙攣作用をもたらす。モルフィンはモルヒネのことであり、アヘンの主成分である。テバインは臨床的には使用さ れないが、ジヒドロコデイン(麻薬性鎮咳薬)及びオキシコドン(半合成麻薬)の原料とな るため、麻薬原料として平成2年から栽培が規制されたものである。
 これ以外のケシ属の種は麻薬成分の含有量がほとんど無いか又は低いため、栽培が自由であるが、ハカマオニゲシと同節(sect. Macrantha)のオニゲシPapaver orientaleやPapaver pseudo-orientale の園芸種にもテバイン含有量が高いものが確認されており、注意が必要と報告されている。これらは容易に交雑するため、規制前に栽培していたテバイン含有量が高い種との交雑や規制が行われていない外国での交雑の可能性もある。これら3種は外観もよく似ており、鑑別は下記のようなそれぞれの種に特徴的な形態に基づいて行われ、ハカマオニゲシやP. pseudo-olientaleは抜去される。

【特徴】  (参考6)
              花弁色           花弁数  黒紫色の斑紋
ハカマオニゲシ     深紅色           通常6枚 基部から縦長
P. pseudo-olientale  オレンジ系赤、ピンク  4~6枚 基部から縦長又は離れた横長
オニゲシ         明るい赤、オレンジ   通常4枚 基部から縦長
              総包片(ハカマ) 咢片数  咢片の剛毛    蕾
ハカマオニゲシ     5~8        3     伏毛        上向き
P. pseudo-olientale 0~4        2~3   まばらな開出毛  上向き
オニゲシ         0          2     開出毛       下向き、開花直前に上向き
              上部の茎葉
ハカマオニゲシ     茎の上部3分の1のところに5~7枚
P. pseudo-olientale  茎の上部3分の1のところに5~6枚
オニゲシ         茎の中央部、まれにそれより上部に2~3枚

 ※P. pseudo-olientaleはハカマオニゲシ と オニゲシとの交雑種と考えられている。

 参考

1) GRIN
  Papaver
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=8801
2) Flora of North America
 Papaver
  http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=123791
3) Flora of China
 Papaver
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=123791
4) Papaver somniferum - Jepson Herbarium
 Papaver somniferum
 http://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=36229
5) Flora of New Zealand | Taxon Profile nzFlora
  Papaver
 http://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Papaver.html
6) 東京衛研年報 Ann. Rep. Tokyo Metr. Res. Lab. P.H., 53, 49-55, 2002
 園芸種オニゲシ類に含有される麻薬成分に関する研究(1)
 http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/journal/2002/pdf/53-10.pdf
7) 薬用植物総合情報データベース 薬用植物資源研究センター
 植物名 ハカマオニゲシ
 http://mpdb.nibiohn.go.jp/mpdb-bin/view_plant_data.cgi?id=86⟨=ja
8) 侵入生物データベース 国立環境研究所
 ナガミヒナゲシ
 http://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80080.html
9) Flora of Pakistan
 Papaver
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=123791
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