キツネノマゴ 狐の孫

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Flora of Mikawa

キツネノマゴ科 Acanthaceae キツネノマゴ属

中国名 爵床 jue chuang
英 名 rat-tall willow
学 名 Justicia procumbens L.
 synonym Rostellularia procumbens (L.) Nees

 synonym Justicia procumbens L. var. procumbens

 synonym Justicia procumbens L. var. leucantha Honda form. japonica (Thunb.) H.Hara

キツネノマゴの花
キツネノマゴの雄しべ
キツネノマゴの葯
キツネノマゴ萼
キツネノマゴ苞と萼
キツネノマゴ果実
キツネノマゴ茎
キツネノマゴ
キツネノマゴ雌しべと雄しべ
キツネノマゴ果実の中
キツネノマゴの葉
花 期 8~10月
高 さ (10)20~50㎝
生活型 1年草
生育場所 荒地、道端、草地、畑地、芝生、開けた野原、海岸林
分 布 在来種  本州、四国、九州、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
撮 影 蒲郡市 05.8.25
キツネノマゴは道端で普通に見られる野草。  1年草、高さ20~50㎝。茎は4稜があり、下向きの曲った短毛が生える。葉柄は長さ3~8㎜、短毛がある。葉は対生し、全縁、葉身は長さ1.5~4㎝×幅0.8~1.5㎝、楕円形~卵状楕円形、ほぼ無毛~まばらに剛毛があり、鐘乳体は多数、側脈は3~6対、明瞭。葉の基部は広楔形~類円形、葉柄にわずかに沿着し、縁は全縁又はわずかに波打ち、先は鋭形~鈍形。穂状花序は頂生又は上部の葉に腋生、円柱形、長さ1~3(6)㎝、幅6~12㎜、花が密につく。花序柄は長さ0.5~7㎝、密に軟毛で覆われる。苞は卵形~楕円状披針形、長さ2.5~8㎜×幅0.6~1.3㎜、内面には軟毛があり、縁には縁毛がある。小苞は披針形、長さ2.5~5㎜、内面には軟毛があり、縁には縁毛がある。萼は長さ4~6㎜、基部まで4裂又は5裂(萼が5深裂し、萼片の1個は退化して小さく糸状又は無)、線形、外面は1脈があり、脈に軟毛があり、縁は黄白色で縁毛がある。花冠は長さ5~8.5㎜、ピンク色又は白色、下唇に帯赤色の斑紋(白色の斑紋の周りが紅紫色)がある。下唇は長さ約3㎜、幅約3.5㎜、3裂し、裂片は卵形、中裂片はわずかに長く、長さ約1㎜、幅1~1.5㎜。上唇は長さ約3㎜、先は凹形。雄しべは突き出し(上唇よりやや短い)、花糸は扁平、長さ約4㎜、無毛。葯は葯室が対生(縦に並ぶ)、下側の葯室は基部に距がつき、上側の葯室は無突起(属の特徴)。子房は有毛、花柱は先以外は花冠内部の溝の中に埋め込まれ、長さ約5㎜、毛がある。柱頭はわずかに2裂。蒴果は長さ4~6㎜、種子は4個入る。種子は卵形、長さ約1㎜、幅約1㎜、しわがある。種子の基部に鈎状の柄があり、種子を射出する。花期、果期は通年。2n=18,36。花期は8~10月。

キツネノマゴ属

 familiy Acanthaceae - subfamily Acanthoideae - tribe Justicieae - genus Justicia

 草本、亜低木、低木、鐘乳体(cystoliths)がある。葉は無柄又は有柄。葉身は、普通、全縁、ときに深波状又はわずかに鋸歯状、花序は2出集散花序(ときに花が単生)、腋生又は頂生の穂状花序、総状花序、又は密穂花序、ときに分枝して円錐花序になる。苞は形が様々、ときに色が鮮やかになり目立つ。小苞は2個、苞と類似か又は小さい。萼は4~5深裂、裂片は同形~ほぼ同形。花冠は筒形又は漏斗形。拡大部は2唇形、下唇は3裂、上唇は全縁~2裂、内部は皺紋状(rugulate)。裂片は蕾のときは渦巻き形。雄しべ2個。葯は2葯室。葯室は等形又は非等形、平行又は垂直につき、片側又は両方の基部に距がつき、又はときに基部の付属体を欠く。仮雄しべは無い。子房は室に2胚珠。柱頭はわずかに2裂。蒴果は基部に柄がある。種子は2~4個、基部に柄のような組織体(jaculator[射出機]又は retinaculum[支持帯]と呼ばれる:日本語では弾糸ともいわれる)がつく。この柄により蒴果から種子が飛び出す。種子は扁球形~球形。
 世界の熱帯、亜熱帯に約700種が分布する。

【節分類】
 7節 Sectionesに分けられる。
1 J. sect. Betonica
  J. betonica(シロバナコエビソウ) , J. montis
2 J. sect. Grossa
   J. grossa
3 J. sect. Justicia
   J. orchioides , J. cuneata , J. guerkeana , J. platysepala , J. thymifolia , J. bolusii , J. anselliana
4 J. sect. Mesoamericanae
   J. calliantha , J. nicaraguensis , J. sulfurea , J. torresii
5 J. sect. Orthotactus
   J. aequilabris , J. fulvohirsuta , J. macarenensis , J. scheidweileri
6 J. sect. Plagiacanthus
7 J. sect. Rostellaria
   J. abyssinica , J. adenostachya , J. andamanica , J. ardjunensis , J. assamica , J. backeri , J. bankaoensis , J. blancoi , J. bonthainensis , J. brachystachya , J. chiengmaiensis , J. ciliata , J. cradengensis , J. crenulata , J. elegans , J. glandulosa , J. gracilis , J. haplostachya , J. hayatae , J. hedyotidifolia , J. hijangensis , J. humilis , J. khasiana , J. lanceolata , J. latispica , J. linearifolia , J. magnifolia , J. mollissima , J. neesii , J. neglecta , J. obtusa , J. ovata , J. palustris , J.procumbens(キツネノマゴ) , J. pogonanthera , J. prostrata , J. psychotrioides , J. pumila , J. quadrifaria(タロコキツネノマゴ) , J. rachaburensis , J. ramosissima , J. reptans , J. rotundifolia , J. royeniana , J. sarmentosa , J. serpyllifolia , J. simplex , J. smeruensis , J. sundana , J. tenella , J. trichochila

キツネノマゴ属の主な種と園芸品種

1  Justicia adhatoda L. マラバールナッツ
 インド、ネパール、ブータン、スリランカ、インドネシア、マレーシア原産。英名はMalabar-nut , Malabar-nut-tree , adhatoda , pavettia。中国名は鸭嘴花 ya zui hua。別名はアドハトダ。中国で栽培され、葉や根が薬用とされる。
 低木、高さ2~4m。枝は太く、4稜形、皮目があり、若い時に有毛、すぐに、無毛になる。葉柄は長さ0.8~3㎝、微軟毛がある。葉身は卵形~楕円状卵形、長さ7~18㎝×幅2~7㎝、上面は微軟毛がり、下面は若い時に密に綿毛があり、脈上の綿毛を除いて無毛になり、2次脈は9~12対、縁近くで結合し、基部は広楔形、全縁、先は尖鋭形、ときにわずかにかま形になる。穂状花序は頂生又は腋生、卵形~広卵形、長さ3~7㎝。花序柄は長さ3~7㎝。苞は覆瓦状、線状披針形、長さ1~2㎝×幅0.5~1.5㎝、微軟毛があり、3~7脈があり、縁毛があり、先は鋭形。咢は5裂、裂片は線状長円形、約長さ10㎜×幅3㎜、縁は狭い薄膜質、縁毛がある。花冠は直径約3㎝、白色又はピンク色、外側に帯紫色又は帯ピンク色の縞模様があり、広筒形、長さ2.5~3㎝、外側に軟毛がある。筒部の基部は円筒形、幅約5㎜、約5㎜がわずかに膨れ、上側に曲がる。上唇は卵状長円形、長さ約1.8㎝、直立、浅く2裂する。下唇は長円状円形、広がり、3裂する。中裂片は類円形、約・長さ9㎜×幅5㎜。側裂片は卵形、約長さ8㎜×幅4.5㎜。雄しべは突き出る。花糸は長さ約1.5㎝、下向きに曲がり、基部の絹毛を除き無毛。葯の半葯は楕円形、長さ約3.5㎜、等長、対生、下側の半葯は基部に距がある。子房は毛があり、先端に多い。花柱は長さ約2.5㎝、反曲し、基部に毛がある。柱頭は1個。蒴果は倒卵形、長さ2.5~4㎝×幅約0.5㎝。種子は外形が円形。2n=34。花期は6~7月。

2 Justicia betonica L. シロバナコエビソウ 白花小海老草
 アフリカ、熱帯アジア(インド、スリランカ、マレーシア)原産。英名はsquirrel's-tail , white shrimp-plant。別名はジャスティシア・ベトニカ、リスノシッポ。標高10~1750(1950)mの草地、開けた低木林またはサバンナに生える。しばしば砂地または岩の多い土壌、水路沿いに生える。
 1年草、多年草、または亜低木、高さ0.13~1.0(2.5)m。根茎は匍匐性、木質の塊根(rootstock)または直根から、茎を1~数本の直立、斜上または傾伏する。茎は長さ1(1.5)m以下、無毛(節に毛の帯がある)~まばらに均一な微軟毛がある。葉は無毛から微軟毛があり、葉柄は長さ0~2.5cm。葉身は線状披針形~卵形または楕円形、長さ1.5~18(22)㎝×幅(0.3)0.5~6.5㎝、先は円形~尖鋭形、基部は楔形~漸尖形、沿下する。穂状花序は長さ2~15(18)㎝、頂生および腋生。花序柄は長さ4(5.5)cmまで。花序軸は微軟毛~軟毛があり、またはまばらに軟毛がある。苞は白色~緑色で暗緑色の脈があり、まれに一様に緑色または帯紫色、卵形または広卵形、まれに披針形、長さ(5.5)7~16㎜×幅(2)3.5~10㎜、無毛~微軟毛があり、先は鋭形~尖鋭形、短突起があり、基部は楔形~切形。小苞は帯白色、緑色の脈があり、長さ7~13㎜x幅2~5㎜。萼は長さ3.5~7㎜、細かい微軟毛があり、毛はずんぐりした頭状でない腺毛があり、端には長毛がある(まれに無い)。花序は頂生し、無柄の集散花序の集合体で、通常、各集散花序は1個の花に減る。各花の下に苞が1個と軸の反対側に苞1個ある。小苞は花ごとに2個つき、側片状(strobilate)、線状披針形~卵形、長さ6~19㎜×幅2~9 mm、先は鋭形、成熟すると帯白色で緑色の葉脈とコントラストがあり、コントラストは古くなるとともに薄くなるか、または苞が紫色になり、葉と同様に毛がある。萼片は鋭形~尖鋭形。花冠は白色、下唇に紫色の斑点があり、長さ8~14㎜、密な微軟毛があり、有状の腺をもつ。花冠筒部は長さ4.5~8㎜×直径2~3㎜。上唇はわずかにフード状で、長さ3.5~6㎜。下唇は反曲し、長さ3~5.5㎜×幅4~6㎜、中央の裂片は側裂片よりも広くて長い。葯は紫色で、上部の半葯(theca)は長さ0.5~1㎜、下部の半葯は長さ1~1.5㎜、鋭角の長さ約1㎜付属体があり、葯隔は毛がある。蒴果は長さ10~20㎜、均一に微軟毛があり、または密に微軟毛がある。花粉は3溝型(3-colporate)、長さ36~57µm、花粉壁の有刻層(sexine)は全縁のマルゴコルプス(margocolpus)をもつ。蒴果は4つの種子があり、円筒形で、無毛から密に白色の微軟毛または毛があり、長い柄を持ち、硬く、長さ20㎜以下。種子は密にいぼ状突起があり、長さ約3㎜。

3 Justicia brandegeeana Wassh. et L.B.Sm コエビソウ 小海老草
 メキシコ原産。英名はfalse hop , Honolulu-salvia , Mexican shrimp-plant , shrimpbush , shrimp-plant , red shrimp-plant。中国名は虾夷花 xia yi hua。
 常緑低木、高さ1~1.5m、幅60~90㎝。若枝や葉の裏面に柔らかい綿毛がある。葉は対生し、葉柄は長さ2~3㎝、枝に上向きにつく。葉身は卵形~楕円形、長さ5~8㎝、淡緑色、全縁。穂状花序は頂生し、アーチ状に垂れ下がり、長さ7.5~15㎝、花序が大エビに似ている。苞はハート形、薄膜質、クサリ状に並び、暗赤色~銹褐色、未熟の先端部分や重なった部分は緑色~黄緑色、長さ2㎝以下。それぞれの苞に花が1個つく。花序が下側から順に成熟して長くなっていき、成熟した上側の花の1~2(4)個だけが咲く。花の下部を包むように帯赤色の苞1個が外側につき、内側(花序軸側)に淡色の小苞2個がつく。花は長さ2~3㎝、白色、2唇形の筒状花。下唇は3浅裂し、赤色~栗色の斑紋がある。果実は蒴果、長楕円形、長さ1~2㎝。種子は卵形、長さ約3㎜。花期は5~10月。
品種) 'Fruit Cocktail' , 'George Davey' , 'Green Glow' , 'Lutea' , 'Red Pinecone' , 'Variegata' , 'Yellow Queen'

4 Justicia brasiliana Roth ジャスティシア・ブラジリアナ
  synonym Dianthera nodosa (Hook.) Benth. & Hook.f.
  synonym Beloperone amherstiae Nees
  synonym Beloperone brasiliana (Roth) Bremek.
 アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ原産。別名はディアンテラ・ノドサ。
 亜低木、高さ1~1.5m、茎は直立~よじ登り、無毛。葉は茎葉、縦溝があり、節の上で広がり、節の下でくびれる 葉は対生、二列生。葉柄は長さ約4mm。葉身は楕円形~披針形~卵形。花序は密錐花序の小穂の集合(腋生又は頂生)、あるいは1次の円錐花序からなる密錐花序の小穂の複合(頂生)。小さな集散花序(cymule)の配置は二出であり、花が咲く稔性の3花芽をもち、普通、節に3花以上で花序軸に輪生する。苞は稔性、線形、緑色。萼は5裂片、ほぼ等長、無毛。花冠は2唇形、下唇は平ら。花冠筒部は咢全体の長さより長い( 咢は普通、花冠の長さの3/4)。上唇は舟形(cymbiform)。下唇はピンク色、マゼンタ色、又はライラック色、内部(口蓋:palate)はクリーム色、黄色、ピンク色、マゼンタ色、又はライラック色。半葯は葯隔とほぼ等しい位置にある。半葯は上側に芒が無く、下側に付属体がある。蒴果はバイオリン形(panduriform)。

5 Justicia carnea Lindl. サンゴバナ 珊瑚花
 ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ原産。英名はBrazilian plume flower , flamingo-flower , Jacobinia, flamingo plant , king's-crown , plume flower。
 常緑多年草、高さ1~2m。茎は直立又は攀縁性、角(かど)張り、緑色又は濃赤色、分枝し、綿毛がある。葉は対生、葉柄がある。葉身は卵状長楕円形~披針形、長さ15~20㎝×幅5㎝以下、普通、全縁、羽状脈、わずかに綿毛がある。苞は緑色、卵形、長さ2㎝以下。小苞は披針形、長さ1.2㎝以下。萼は5深裂し、裂片は披針形、長さ1㎝以下、先は鋭形、微軟毛がある。頭状花序(総状花序)は頂生し、直径10~20㎝、花が密に多数、束生し、羽根飾り(plume)状。花冠は淡ピンク色~濃ピンク色又は白色、2唇形、上唇は長さ6㎝以下、フード形、2裂する。下唇は3裂し、コイル状に巻く。雄しべは2個、上唇の下に位置する。葯は2半葯、半葯は高さが異なり、下側の半葯は微突頭。蒴果は種子が4個以下。花期は5~9月。
品種) 'Alba' , 'Hollandica' (PBR) , 'Huntington' , 'Pink Flamingo' , 'Radiant' , 'Thelma's Pink'

6 Justicia gendarussa Burm.f. キダチキツネノマゴ 木立狐の孫
 熱帯アジア(インド、アッサム、東ヒマラヤ、アンダマン諸島、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、スリランカ、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア(スマトラ、小スンダ諸島)、ニューギニア原産。中国、台湾、パキスタン、アフリカなどアジアの熱帯、亜熱帯地域で栽培、帰化している。中国名は小驳骨 xiao bo gu。道端、藪に生える。
 亜低木、高さ0.7~1.5㎝、よく分枝する。茎はほぼ円柱形、節が膨らみ、無毛。葉柄は長さ3~10㎜。 葉身は狭い披針形、長さ6~10㎝×幅1~1.5㎝、無毛、副脈が中脈の両側に5~8本あり、基部は楔形~漸尖形、縁はほぼ波状、先は鋭形~短い尖鋭形。穂状花序は頂生または腋生、長さ3~12㎝、花序が中断されて離れ、通常は葉のある円錐花序につく。花序柄は長さ0.5~1.5㎝。 苞は三角形、長さ2~6㎜×幅1~2.5㎜、基部のものは萼より長く、その後徐々に小さくなり、先端のものは萼より短く、縁は繊毛状で、先端は鋭形。 小苞は楕円形から線形の槍状、約・長さ3㎜×幅1㎜、辺縁繊毛虫、先端は鋭形。萼は約5 mm、5 裂片。 裂片は線形の槍状、長さ3~4㎜×幅約0.5㎜、準均等、頂点は尖形。 花冠は乳白色、長さ1.2~1.5㎝。 基底円筒形の管。 長さ8~9mmの場合は幅2mm。 下唇は基部に紫色が点在し、楔状倒卵形、幅6~10㎜、3裂し、裂片は倒披針形、長さ3~5㎜×幅約3.5㎜。上唇は紫色の斑紋(しみ)があり、三角形、約・長さ7㎜×幅3.5㎜、2裂する。 雄しべは突き出す。花糸は長さ3~6㎜、無毛。葯は半葯(thecae)が長円形、長さ約1.2㎜、重なり、下側の半葯は基部に距があり、上側の半葯は無突起(muticous)。 子房は無毛。花柱は長さ約1㎝、無毛。柱頭は頭状、短く2裂する。蒴果はこん棒形、長さ約1.2㎝。花期は1~4月。2n=28, 30。

7 Justicia hayatae Yamam. キツネノメマゴ 狐の雌孫
  synonym Rostellularia hayatae (Yamam.) S.S.Ying ロステルラリア属
  synonym Justicia procumbens L. var. hayatae (Yamam.) Ohwi
  synonym Justicia diffusa auct. non Willd.
 台湾、香港原産。中国名は早田氏爵床 zao tian shi jue chuang。海岸、砂地に生える。
 葉は下面に鍾乳体(cystoliths)は無く、淡緑色、上面は緑色、多数、鍾乳体がある。
 1年草、高さ30~50㎝。 茎は4角で、溝があり、溝に沿って二方向(bifariously)に軟毛がある。 葉柄は長さ1~9㎜、無毛。 葉身は卵形、長さ1.5~3.5㎝×幅0.8~2㎝、無毛、下面は淡緑色で鐘乳体(cystoliths)は無く、上面は緑色で多数の鐘乳体(cystoliths)がある、2次脈は中脈の両側に3~4本、基部は漸尖し、葉柄に沿下し、縁は全縁、先は鋭形。穂状花序は主に頂生、または上部の葉腋に腋生し、長さ1~4cm、果時には長さ7cmまで伸びる。花序柄は長さ(0~)0.5~2㎝、無毛。苞は倒卵状楕円形、長さ4~5㎜×幅2~3㎜、無毛、縁は白色、先は鋭形。 小苞は披針状楕円形、約・長さ5㎜×幅1.2㎜。萼は基部近くまで4裂する。萼片は披針形、約・長さ4㎜×幅1㎜、無毛、縁は白色。花冠は長さ約6㎜、無毛、2唇は花冠の長さの半分。下唇は楕円形、約・長さ3㎜×幅3㎜、微細に3裂する。上唇は卵形、約・長さ3㎜×幅2㎜、先は凹形。雄しべは突き出す。花糸は長さ約2.5㎜、基部の毛状突起を除いて無毛。葯の半葯(thecae)は卵形、長さ約1.3㎜、重なり、下の半葯は基部に距があり、上の半葯は無突起(muticous)。子房は無毛。花柱は長さ約6㎜、無毛。蒴果は褐黄色の短い柄を持ち、長円形、長さ約4㎜、無毛、4種子をもつ。 種子は卵形、長さ約1㎜、しわがあり、無毛。

8 Justicia procumbens L. キツネノマゴ 狐の孫
  synonym Rostellularia procumbens (L.) Nees ロステルラリア属
 日本(本州、四国、九州、南西諸島)、韓国、中国(安徽省、重慶市、福建省、広東省、広西省、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、アンダマン諸島、アッサム、東ヒマラヤ、インド、モルディブ、ラッカディブ諸島、スリランカ、パキスタン、西ヒマラヤ、ネパール、チベット、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア(ジャワ、スマトラ島、スラウェシ島)原産。中国名は爵床 jue chuang。海抜1500メートル付近までの荒地、道端、草地、畑地、芝生、開けた野原、海岸林に生える。
 1年草、高さ(10)20~50cm、平伏する。茎は4角(かど)があり、溝があり、毛がある。葉柄は長さ3~8 mm、毛がある。葉身は楕円形、卵状楕円形または楕円状長円形、長さ1.5~4㎝×幅0.8~1.5㎝、ほぼ無毛からまばらに剛毛があり、鐘乳体は多数、2次脈は中脈の両側に3~6本あり顕著、基部は広楔形~ほぼ円形でわずかに 葉柄に向かって沿下し、縁は全縁またはわずかに波状で、先は鋭形~鈍形。穂状花序は頂生または上部の葉腋に腋生、円筒形、長さ1~6cm、密。花序柄は長さ0.5~7cm、密に直軟毛がある。苞は卵形~楕円状披針形、長さ2.5~8㎜×幅0.6~1.3㎜、下面は直軟毛があり、縁には縁毛がある。小苞は披針形、長さ2.5~5 mm、外面に直軟毛があり、縁は縁毛がある。萼は長さ4~6㎜、基部まで4裂し、裂片は線形、外側は脈に沿って直軟毛があり、1脈があり、縁は黄白色で縁毛がある。花冠はピンク色または白色で下唇に赤い斑点があり、長さ5~8.5 mm。下唇は約・長さ3㎜×幅3.5㎜、3裂し、裂片は卵形、中裂片はわずかに大きく、約・長さ1㎜×幅1~1.5㎜。上唇は長さ約3㎜、先は凹形。雄しべが突き出る。花糸は長さ約4㎜、無毛 葯の半葯は重なり、下側の半葯は基部に距があり、上側の半葯は無突起(muticous)。子房は毛がある。花柱は長さ約5㎜、毛がある。蒴果は長さ4~6㎜、種子は4個。 種子は外形が卵形、約・長さ1㎜×幅1㎜、しわがある。花期および果期は通年。2n=18, 36。
 Kewscienceでは学名はロステルラリア属のRostellularia procumbens (L.) Neesとしている。下位分類は認めていない。YListではJusticia procumbens L.とし、下記の変種を認めているが、Justicia procumbens L. var. procumbensとJusticia procumbens L. var. hirsuta Yamam.をケブカキツネノマゴとしているため、Justicia procumbens L. var. procumbensをキツネノマゴとした。

8-1 Justicia procumbens L. var. procumbens キツネノマゴ 狐の孫

  synonym Justicia procumbens L. var. leucantha Honda f. japonica (Thunb.) H.Hara 狭義

 日本(本州、四国、九州)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、バングラデシュ、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は爵床 jue chuang。英名はrat-tall willow。
 道端で普通に見られる。1年草、高さ20~50㎝。茎は4稜があり、下向きの曲った短毛が生える。葉柄は長さ3~8㎜、短毛がある。葉は対生し、全縁、葉身は長さ1.5~4㎝×幅0.8~1.5㎝、楕円形~卵状楕円形、ほぼ無毛~まばらに剛毛があり、鐘乳体は多数、側脈は3~6対、明瞭。葉の基部は広楔形~類円形、葉柄にわずかに沿着し、縁は全縁又はわずかに波打ち、先は鋭形~鈍形。穂状花序は頂生又は上部の葉に腋生、円柱形、長さ1~3(6)㎝、幅6~12㎜、花が密につく。花序柄は長さ0.5~7㎝、密に軟毛で覆われる。苞は卵形~楕円状披針形、長さ2.5~8㎜×幅0.6~1.3㎜、内面には軟毛があり、縁には縁毛がある。小苞は披針形、長さ2.5~5㎜、内面には軟毛があり、縁には縁毛がある。萼は長さ4~6㎜、基部まで4裂又は5裂(萼が5深裂し、萼片の1個は退化して小さく糸状又は無)、線形、外面は1脈があり、脈に軟毛があり、縁は黄白色で縁毛がある。花冠は長さ5~8.5㎜、ピンク色又は白色、下唇に帯赤色の斑紋(白色の斑紋の周りが紅紫色)がある。下唇は長さ約3㎜、幅約3.5㎜、3裂し、裂片は卵形、中裂片はわずかに長く、長さ約1㎜、幅1~1.5㎜。上唇は長さ約3㎜、先は凹形。雄しべは突き出し(上唇よりやや短い)、花糸は扁平、長さ約4㎜、無毛。葯は葯室が対生(縦に並ぶ)、下側の葯室は基部に距がつき、上側の葯室は無突起(属の特徴)。子房は有毛、花柱は先以外は花冠内部の溝の中に埋め込まれ、長さ約5㎜、毛がある。柱頭はわずかに2裂。蒴果は長さ4~6㎜、種子は4個入る。種子は卵形、長さ約1㎜、幅約1㎜、しわがある。種子の基部に鈎状の柄があり、種子を射出する。花期、果期は通年。2n=18,36。花期は8~10月。

8-2 Justicia procumbens L. var. riukiuensis Yamam. キツネノヒマゴ 狐の曾孫

  synonym Justicia simplex auct. non D.Don
  synonym Justicia procumbens auct. non L.
 トカラ列島~南西諸島、台湾に分布。
 葉は広卵形、長さ1~2.5㎝、幅 0.6~1.5㎝、両面に毛が密生し、質が厚い。

8-3 Justicia procumbens L. var. hirsuta Yamam. ケブカキツネノマゴ 毛深狐の孫

 中国名は密毛(澎湖)爵床。
 茎、葉、苞、萼など全体が剛毛で覆われる。葉は卵形~披針形~楕円状披針形、長さ1~1.5㎝、幅0.5~1㎜。

8-4 Justicia procumbens L. var. leucantha Honda  シロバナキツネノマゴ 白花狐の孫

  synonym Justicia procumbens L. var. leucantha Honda
 花が白色。

8-5 Justicia procumbens L. var. linearifolia Yamam. ホソバキツネノマゴ 細葉狐の孫

  synonym Rostellularia procumbens (L.) Nees var. linearifolia (Yamam.) S.S.Ying

 中国名は狭叶爵床。
 葉は線形~線状披針形、長さ1~2.5㎝、幅4~5㎜。

9 Justicia quadrifaria (Nees) T.Anders. タロコキツネノマゴ
 中国(重慶市、広東省、広西省、貴州省、海南省、湖北省、湖南省、四川省、雲南省)、インド、東南アジア原産。中国名は杜根藤 du gen teng。標高800~1600mの森林に覆われた谷の岩上に生える。
 多年草、茎は4角(かど)があり、基部が傾伏し、通常は節から発根して直立し、溝があり、二縦列で(bifariously)毛があり、すぐに無毛になる。葉柄は長さ0.4~2.5㎝、まばらに毛がある。葉身は長円形、披針形、まれに円形、長さ(2~)6~8㎝×幅(1~)2~3.5㎝、両面とも無毛または葉脈に沿ってのみ毛があり、中脈の両側に二次脈が5~7本あり、基部は狭い楔形で葉柄に向かって沿下し、縁は全縁またはわずかに鋸歯があり、先は鋭形。穂状花序は腋生、長さ約1㎝、通常3個の花がつき、単生または複数の花が束生する。苞は長さ3~4mmの葉柄を持ち、卵形~倒卵形、長さ3~8㎜×幅3~5㎜、まばらに毛があり、羽状脈があり、先は鈍形。小苞は線状、長さ約1㎜、無毛。萼は長さ5~6㎜、外側は微軟毛があり、ほぼ基部まで5裂し、裂片は線状披針形。花冠は白色、下唇に紫色の斑点があり、長さ約8㎜、外側に毛がある。下唇は約・長さ4㎜×幅3㎜、開出し、先は3裂する。上唇は長円形、直立し、先は2裂する。葯は重なる半葯(thecae)をもち、下部の半葯は基部に距がある。 子房は無毛。花柱は長さ約6㎜、まばらに毛がある。蒴果は長さ約8㎜、無毛。 種子は卵形、約・長さ1.5㎜×幅1㎜、疣があり、無毛。

10 その他
品種) 'Brazilian Fireworks Maracas' (v) , 'Fruit Salad' , 'Holanda' , 'Norgaard's Favourite' , 'Penrhosiensis' , 'Pink Parfait' , 'Sidicaro'

ロステルラリア属 genus Rostellularia

  familiy Acanthaceae - subfamily Acanthoideae - tribe Justicieae - genus Rostellularia


 平伏~斜上する草本で、通常±角張った茎を持ち、±節でくびれる。葉の上面には大きな湾曲した鐘乳体(cystoliths)があり、ときに鐘乳体が小さく真っすぐ。花序は頂生し、花序は頂生、十字形の密な穂状花序で、通常は苞が重なり、各苞が1個の花を囲む。苞はしばしば縁が透明である。小苞は苞よりも小さい。萼片は通常4個あり、5番目の透明の残物が残る。花冠筒部は上部で広がり、2唇になる。雄しべは 2本。子房は各小質に2個の胚珠を持つ。蒴果は楕円形。種子は1~4個、円形、扁平、いぼ状突起がある。
 世界に約20種あり、熱帯および亜熱帯アフリカ、アジア、マレーシア、オーストラリアに分布する。オーストラリアには2 種 (在来種)あり、クイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州、ノーザンテリトリー、南オーストラリア州、西オーストラリア州に分布する。

ロステルラリア属の主な種

1 Rostellularia adscendens (R.Br.) R.M.Barker
  synonym Justicia adscendens R.Br.
  synonym Justicia procumbens var. adscendens (R.Br.) Domin
 オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、ノーザンテリトリー、クイーンズランド州、南オーストラリア州、西オーストラリア州)原産

2 Rostellularia hayatae (Yamam.) S.S.Ying キツネノメマゴ 狐の雌孫
  synonym Justicia hayatae Yamam. キツネノメマゴ 狐の雌孫
  synonym Justicia procumbens L. var. hayatae (Yamam.) Ohwi
  synonym Justicia diffusa auct. non Willd.

3 Rostellularia obtusa Nees
  synonym Justicia obtusa (Nees) Steenis  ジャワ原産。

4 Rostellularia procumbens (L.) Nees キツネノマゴ 狐の孫
  synonym Justicia procumbens L.

参考

1) 中国植物誌
 爵床 Rostellularia procumbens (L.) Nees
http://frps.eflora.cn/frps/Rostellularia%20procumbens
2)原色野草観察検索図鑑
  キツネノマゴ p179 3)野草図鑑⑤ すみれの巻
 キツネノマゴ p109
4)Flora of China
 Justicia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=116893
5) GRIN
 Justicia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6233
6) [PDF]Justicia carnea, Jacobinia, Flamingo Plant1 - UF-IFAS-EDISUF
 IFAS Extension University of Florida
 Justicia carnea, Jacobinia, Flamingo
https://edis.ifas.ufl.edu/pdffiles/FP/FP30800.pdf
7) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
 Genus Rostellularia
https://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=gn&name=Rostellularia