カラスウリ 烏瓜

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Flora of Mikawa

ウリ科 Cucurbitaceae カラスウリ属

中国名 王瓜 wang gua
英 名 Japanese snake gourd
学 名 Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim.
 synonym Trichosanthes pilosa Loureiro

 synonym Trichosanthes ovigera Blume subsp. cucumeroides (Seringe) C. Jeffrey.

カラスウリ花
カラスウリ実
カラスウリ熟した実
カラスウリ若葉
カラスウリ葉2
カラスウリの種子
カラスウリ
カラスウリの葉
カラスウリの葉裏
花 期 7~9月
高 さ つる性
生活型 多年草
生育場所 藪、草地
分 布 在来種  日本(本州、四国、九州)、中国、台湾、インド
撮 影 幡豆町三ヶ根山  09.8.3
学名は諸説あり、カラスウリをTrichosanthes pilosa としていることもある。ケカラスウリがTrichosanthes pilosaであり、果実や種子が異なる。カラスウリはいくつかの変種に分けられ、ホソミノカラスウリvar. stenocarpa は果実が長さ7~9㎝、幅2.5~4㎝。マルミノカラスウリvar. globosa は無毛である。しかし、最近はこれらを分けないのが普通である。
 葉は長さ6~10㎝、3~5浅裂又は中裂する。裂片は尖ったり、丸かったりと変化が多い。葉の表面は短毛が密生し、ビロードのようである。葉裏は白毛が密生し、白味を帯びる。花冠は5深裂し、ふちがレース状になる。花は日が暮れてから開き、夜明けにはしぼむ。果実長さ6~7㎝、幅4~5.5㎝で、朱赤色に熟す。種子は幅約1㎝、カマキリの頭に似た形である。花の写真は午後6時の撮影であり、蕾が開き始めた中で、咲いていたものである。2n=44。
 ケカラスウリ(テングカラスウリ)Trichosanthes pilosa = Trichosanthes ovigera=Trichosanthes rostrataは九州~沖縄、中国、熱帯アジアに分布し、中国名は全缘栝楼(quan yuan gua lou)。 葉表に軟毛、葉裏に短毛が密生する。果実は長さ5~8㎝、幅3~4㎝、先が嘴状に尖る。2n=22。
 ヘビウリ Trichosanthes anguina = Trichosanthes cucumerina は昼間に開花し、果実は1~2mと長く、熱帯で栽培され、食用とされる。中国名は蛇瓜(she gua) 。カラスウリの変種Trichosanthes cucumeroides var. anguinaに分類されることもある。2n=22。
 キカラスウリは葉が無毛で、花がカラスウリより大きく、花冠の裂片が広いのが特徴。
 スズメウリは葉が三角状卵心形で、果実が直径約1㎝と小さく、熟すと白くなる。

カラスウリ属

 family Cucurbitaceae- genus Trichosanthes

 1年草又は多年草、よじ登る。葉身は単葉、不分裂又は掌状に3~7(~9)裂し、まれに複葉で小歯が3~5個、縁は普通、小歯状。巻きひげは普通、2~5分岐し、まれに1本。雌雄異株、まれに雌雄同株。花は普通、白色、まれに、ピンク色~赤色。雄花は普通、総状花序につき、まれに、単生、ときに雄花序柄が対に腋生し、1個は花が1個で早落性、他の1個は総状花序をつける。苞は大きさや形が様々、まれに欠く。萼筒はしばしば、先が広がる。萼片は5個、全縁、鋸歯縁、又は先が不規則に切れ込む。花冠裂片は5個、普通、長毛縁。雄しべは3本、花冠筒部につく。花糸はごく短く、分離。葯は合着し、2本は2室、他の1本は1室、室は縦に折り畳まれる(conduplicate)。雌花は単生、ごくまれに、総状花序につき、咢と花冠がある。子房は下位、卵形又は紡錘形、1室、3個の側膜胎座をもつ。胚珠は普通、多数、通常は水平、半下垂。花柱は細い。柱頭は3個、全縁又は2裂。種子は果肉に詰められ、1室、長円形又は卵形で扁平、あるいは、3室、膨れ、空の2側室をもつ。
 世界に約100種があり、アジア、オーストラリア北部に分布する。

カラスウリ属の主な種

1 Trichosanthes anguina L. ヘビウリ 蛇瓜
  synonym Trichosanthes cucumerina L. var. anguina (L.) Haines [GBIF]
 熱帯地域で食用に広く栽培されている原産地不明の栽培種。中国名は蛇瓜 she gua 。英名はclub gourd , serpent gourd , serpent-cucumber , snake gourd , viper's gourd。
 1年草。茎は細く、分枝し、角(かど)があり、微軟毛がある。葉柄は長さ3~7㎝。葉身は類円形又は円状腎形、長さ8~16㎝×幅6~18㎝、膜質、±5(まれに3~7)深裂し、裂片は普通、倒卵形、下面に密に微軟毛があり、上面は類無毛、縁には細かい歯がある。雌雄同株。雄花序は総状花序、普通花が8~15個つき、花序柄は長さ10~18㎝、微軟毛がある。花柄は直立、長さ5~12㎝、苞はやや広がってつき、長さ3(~5)㎜。萼筒は類円筒形、先がわずかに広がり、長さ2.5~3㎜×幅4~5㎜、微軟毛がある。萼片は後屈し、長さ約2㎜。雌花は単生、花序柄は長さ1㎝以下。子房は狭い紡錘形、±絨毛がある。果実は非常に長く、円筒形、長さ100~200㎝×幅3~4㎝、平滑、歪む。種子は長円形、長さ11~17㎜×幅8~10㎜、細かい小しわあがあり、縁は波打つ。花期と果期は夏~秋。2n=22。

2 Trichosanthes costata Blume アンナンカラスウリ
  synonym Gymnopetalum chinense (Lour.) Merr. [Flora of China]
  synonym Bryonia cochinchinensis Lour.
 中国(広東省、広西省、海南省、雲南省)、インド、ブータン、ネパール、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア原産。中国名は金瓜 jin gua。標高 400~900mの山の斜面にある森林や雑木林に生える。
 多年草。 茎と枝は細く、剛毛や絨毛があり、無毛になる。葉柄は長さ2~4㎝。葉身は卵状心形、長さ4~8㎝×幅4~8㎝、膜質、5角(かど)がありまたは3~5裂する。中裂片は大きく、三角形、両面ともザラつき、基部は心形、先は尖鋭形。雌雄同株。雄花は雌雄同株(monoecious)につく、または総状花序に3~8個つく。花序柄は細く、長さ10~15㎝。 苞は葉状、長さ1~2.5㎝、黄褐色の絨毛があり、3裂する。 萼筒は管状、細長く、長さ約2㎝、萼片は線形、長さ約7㎜。花冠は白色。花冠裂片は長楕円形、長さ15~20㎜×幅10~12㎜、±絨毛がある。 花糸は長さ約0.5mm。葯は長さ約7㎜。雌花は単生し、小花柄は長さ1~4cm。子房は長円形、長さ10~12㎜×幅約5㎜、黄褐色の絨毛、両端が鋭形。花柱は長さ5~8㎜。柱頭は3個。果実は橙色、長円形、長さ4~5㎝、平滑、10本のうねがあり、両端が鋭形。種子は長円形、長さ約7㎜×幅3~3.5㎜、両端が鈍形。花期は7~9月。果期は9~12月。

3 Trichosanthes cucumerina L. トリコサンテス・ククメリナ
  synonym Trichosanthes brevibracteata Kundu
  synonym Trichosanthes pachyrrhachis Kundu.
 中国(広西チワン族自治区、雲南省南部)、バングラデシュ、インド、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、スリランカ、北オーストラリア原産。中国名は瓜叶栝楼 gua ye gua lou。英名はsnake gourd。標高400~1600mの谷沿いの森や藪、山の斜面の藪に生える。根、果実、種子は薬用に使用される。
 一年草。 茎は細く、よく分枝し、±毛がある。葉身は腎形または広卵形、長さ(5~)7~10㎝×幅8~11㎝、膜質、±深く5-7裂し、裂片は三角形または菱形。雌雄同株。雄花序の花序柄は対になり、初めは1輪の花がつき、後に総状花序をつける。総状花序は花が少数。花序柄は細く、長さ15~20cm、微軟毛がある。小花柄は直立し、長さ0.5~1.5㎝、微軟毛がある。 苞はないか、または非常に小さい。萼筒は先端でやや広がり、長さ15~16㎜。雌花は単生するか、ときに、初期の雄花と置き換わる。子房は長円形。果実は卵状長円形、長さ5~7㎝×幅2.5~3.5cm、7~10個の種子をもつ。種子は卵状長円形、長さ9~12㎜×幅5~6㎜、扁平、しわがあり、縁が厚く、両面に鋸歯状の突起がある。花期と果期は秋。 2n=22。
 ※JeffreyはTrichosanthes cucumerina var.cucumerina として扱う。
 KewscienceではTrichosanthes anguinaをTrichosanthes cucumerina var.cucumerinaのsynonymとしている。
 GBIFではTrichosanthes anguinaをTrichosanthes cucumerina L. var. anguina (L.) Hainesとしている。

4 Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav. カラスウリ 烏瓜

  synonym Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav. var. stenocarpa Honda

  synonym Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav. var. globosa Honda

 日本(本州、四国、九州)、中国、台湾、インド原産。中国名は王瓜 wang gua。藪、草地に生える。
 つる性。茎は細く、分枝し、溝があり、有毛。葉柄は長さ3~10㎝、条線があり、密に毛がある。葉身は下面が淡緑色、上面が濃緑色、広卵形~円形、長さ 5~13(~19)㎝×幅5~12(~18)㎝、紙質、普通、浅く3から5裂し、ときに不分裂。裂片は三角形~卵形~卵状長円形、下面には密に短毛があり、上面には綿毛があり、縁は小歯状又は鋸歯状、先は鈍形又は尖鋭形。雄花の花序柄は長さ5~10㎝、条線があり、有毛。苞は線状披針形、長さ2~3㎜、有毛、全縁。萼筒は長さ6~7㎝、有毛。萼片は線状披針形、長さ 3~6㎜×幅約1.5㎜、全縁、尖鋭形。雌花は単生、花柄は長さ0.5~1㎝。子房は長円形、密に毛がある。花序柄は果時に長さ5~20㎜、有毛。果実は橙赤色、卵形、卵状長円形、又は球形、長さ 6~7㎝×幅4~5.5㎝、平滑、嘴がある。種子は濃褐色、長円形又は三角状卵形、長さ7~12㎜×幅7~14㎜、3室、側部の2室は大きく、直径約4.5㎜。花期は5~8月。果期は8~11月。
4-1 Trichosanthes cucumeroides var. cucumeroides
 日本、中国、台湾原産。中国名は王瓜 wang gua。
 果実は卵形~卵状長円形、種子は長円形、中央のうねは2個の側室と同じ幅。

4-2 Trichosanthes cucumeroides var. hainanensis (Hayata) S. K. Chen

 中国原産。中国名は海南栝楼 hai nan gua lou 。
 果実は卵形~卵状長円形。種子は三角状卵形、中央のうねは広く、2側室は狭く、直径約2.5㎜。

4-3 Trichosanthes cucumeroides var. stenocarpa Honda

  synonym Trichosanthes matsudae Hayata.
 日本、台湾原産。中国名は狭果草栝楼 xia guo cao gua lou
 果実は狭長円形、長さ7~9㎝×幅2.5~4㎝。

4-4 Trichosanthes cucumeroides var. dicaelosperma (C. B. Clarke) S. K. Chen,

 中国、インド原産。中国名は波叶栝楼 bo ye gua lou
 果実は球形~長円形。種子は扁平、2側室は類長円形。

5 Trichosanthes homophylla Hayata イモノハカラスウリ 芋葉烏瓜
  synonym Trichosanthes mushaensis Hayata.
 日本(沖縄)、台湾原産。中国名は芋叶栝楼 yu ye gua lou 。Kewscienceでは分布域に日本(沖縄)を含めていない。
 茎は細い。葉柄は長さ2~3㎝、有毛。葉身は三角状心形、長さ6~10㎝×幅4~6㎝、紙質、分裂せず、縁は歯状、上面はざらつき、先は尖鋭形~鋭形。雄花は総状花序に、花が5~10個つく。花序柄は長さ8~9㎝。花柄は長さ約3㎜、苞は倒卵形、長さ1~1.5㎝×幅0.7~1.1㎝、縁には不規則に円鋸歯状歯がある。萼筒は円筒形、先が広がり、約・長さ3㎜×幅0.8㎜。萼片は線形、長さ約6㎜。 雌花は知られていない。果実は長円形、長さ7~10㎝×幅6~7㎝。種子は楕円形、扁平。花期は8月。

6 Trichosanthes ishigakiensis E.Walker イシガキカラスウリ 石垣烏瓜

  synonym Trichosanthes homophylla Hayata var. ishigakiensis (E.Walker) T.Yamaz. [Ylist]

  synonym Trichosanthes ishigakiensis E.Walker
 つる性の多年生植物で、一次茎は木質、二次茎は一年生の草質、肥厚した基部の側部に束状の花序をもつ。一次茎は分枝し、太さ0.5~1 cm (または新しくより太い?)、しわのある多数のうねがあり、帯白色、多数の萎縮した皮目がある。二次茎は多数あり、萎縮し、細く、直径1~2㎜、長さ15~30㎝(またはそれ以上?) 、少し肋があり(paucicostate)、無毛、2~3分岐した巻き毛(cirrhibus)と互生する葉を持つ。 葉はおそらく未熟で、葉柄は長さ0.5~1cm、しばしば捻じれ、薄く直軟毛があり、膜質の葉身は広卵形、長さ2.5~4.5㎝×幅2~4㎝、先は鋭形または尖鋭形、基部は心形でやや広い湾入があり、縁はわずかに曲がりくねり、脈の先端がわずかに突き出し、上面は緑色、下面はかなり淡色、両側に薄く毛があり、特に下面の脈にあるか、または無毛だが基部に向かってより毛があり、基底脈は5本、側脈は両面とも基部の上に3本ある。雌雄異下部だが雌性の下部は知られていない。花序は雄性の密散花序(束生)、長さ10~25㎝、木質の茎から、または明らかに草質の茎から生じる。花序柄は長さ2~3 ㎝、2~4個の離れて束生する。苞は葉状、ほぼ無柄、菱形、長さ5~8㎜×ほぼ同幅、先は広い鈍形または切形、先端には粗くわずかに鋸歯があり、基部はくさび形、全縁す。花は白色、約・長さ3㎝×幅2.5㎝。小花柄は長さ6~10㎜。萼は薄く毛があるかまたは無毛、円筒状漏斗形の萼筒は長さ1~1.5㎝、先端の幅は6㎜、萼片は5個、狭披針形または線形、長さ約7mm、先はほぼ尾状、全縁(integris)、萼の上の花冠は暗色の脈が目立ち、外側にやや密なパピラがあり、花冠筒部は長さ4mm、花冠裂片は長さ4~5㎜、先は緑色で反り返り、先端は長さ1㎜、縁は多くの複雑なフリンジがある。雄しべは4本、花糸は長さ約1.5㎜。葯はS状(sigmoid)、合流し、長さ3.5㎜、厚さ2.5㎜。雌しべは不明。果実は不明。(参考4)。
 果実は楕円形で黄色に熟す。

7 Trichosanthes kirilowii Maxim キカラスウリ 黄烏瓜
  synonym Trichosanthes obtusiloba C. Y. Wu ex C. Y. Cheng & C. H. Yueh.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国(甘粛省、河北省、河南省、江蘇省、江西省、山東省、山西省、浙江省)原産。中国名は栝楼 gua lou。森林、低木地、草原、野原に生える。この植物は伝統的な中国医学の公式の原料薬である天花芬 tian hua fen(根)、栝楼子 gua lou zi(種子)、栝楼皮 gua lou pi(皮)の原料である。
 つる性、多年草。葉柄は長さ2~6㎝、絨毛がある。葉身は上面は濃緑色、類円形、長さ 5~20㎝×幅5~20㎝、紙質、普通、 3~5(~7)中裂し、まれに深裂又は不分裂。裂片は菱状倒卵形、又は長円形、上面は粗く、縁はときに、離れて短い裂片があり、先は鈍形。雄の総状花序は単生、又は腋生の対に花を1個もち、花序柄は長さ10~20㎝、丈夫、溝があり、わずかに毛があり、先に花を5~8個つける。苞は倒卵形又は広卵形、長さ1.5~2.5(~3)㎝×幅1~2㎝、縁には切れ込み状の歯があり、微軟毛があり、柄がある。萼筒は円筒形、先が広がり、長さ 2~4㎝×幅約 1㎝。萼片は披針形、長さ10~15㎜×幅3~5㎜、全縁。雌花は単生。花柄は長さ約7.5㎝、微軟毛がある。萼筒は円筒形、約長さ2.5㎝×幅1.2㎝。子房は長円形、長さ1.2~2㎝×幅約1㎝。果時の花序柄は長さ4~11㎝。果実は褐黄色又は橙黄色、長円形又は球形、長さ7~10.5㎝。種子はサンドベージュ色(sandy beige)、長円状卵形、長さ11~16㎜×幅7~12㎜、縁がある。花期は5~8月。果期は8~10月。2n=88。
 Kewscienceでは基本種に含め、以下の変種に分類しない。

7-1 Trichosanthes kirilowii Maxim. var. kirilowii チョウセンカラスウリ

7-2 Trichosanthes kirilowii Maxim. var. japonica (Miq.) Kitam. キカラスウリ 黄烏瓜

  synonym Trichosanthes japonica (Miq.) Regel

8 Trichosanthes laceribractea Hayata オオカラスウリ 大烏瓜
  synonym Trichosanthes tricuspidata auct. non Lour.
  synonym Trichosanthes sinopunctata C.Y.Cheng et C.H.Yueh
  synonym Trichosanthes bracteata auct. non (Lam.) Voigt
  synonym Trichosanthes hupehensis C.Y. Cheng & C.H. Yueh
  synonym Trichosanthes koshunensis Hayata
  synonym Trichosanthes schizostroma Hayata
  synonym Trichosanthes shikokiana Makino
 中国、台湾、ベトナ原産。中国名は长萼栝楼 chang e gua lou 。
 茎は角(かど)があり、溝があり、ほぼ無毛。葉柄は長さ1.5~9㎝、条線があり、小剛毛があるか又は白色の斑点がある。葉身は下面が淡緑色、上面が濃緑色、類円形~広卵形、長さ5~16(~19)㎝×幅4~15(~18) ㎝、紙質、3~7浅裂又は深裂、裂片は三角形、卵形、又は菱状倒卵、下面の形脈上に小剛毛があり、上面は密に小剛毛があるか又は白色の斑点(いぼ状の突起)があり、縁は間隔を開けて微突形の鋸歯があり、先は尖鋭形。雄の花序柄は丈夫、長さ10~23㎝、微軟毛があるか又はまばらに小剛毛がある。苞は広卵形、長さ 2.5~4㎝×幅2.5~4㎝、僧帽形、縁は引き裂かれる。萼筒は狭い筒形、長さ約5㎝。萼片は直立、卵形、長さ1~1.3㎝×幅約0.7㎝、縁は引き裂かれ、先は尖鋭形。雌花は単生。花柄は長さ1.5~2㎝(果時に2~3㎝)、微軟毛がある。 萼筒は円筒形、約長さ4㎝×幅5㎝。萼片は線形、長さ1~1.3㎝、全縁。子房は卵形、約長さ1㎝幅0.7㎝、平滑。果実は球形~卵状球形、直径5~8㎝、橙黄色~橙红色に熟す。種子は長円形、長さ1~1.4㎝×幅0.5~0.8㎝、両端が円形又は切形、扁平、汚白色~灰褐色。花期は7~8(~9)月。果期は9~10月。2n=22。
 日本の本州(兵庫、和歌山)、四国、九州、沖縄でも見られ、在来種とされているがFlora of Chinaでは日本、ベトナムは分布域に含められていない。Kew scienceではベトナムを含め、日本は含められていない。

9 Trichosanthes miyagii Hayata リュウキュウカラスウリ 琉球烏瓜
 日本固有種。奄美群島、沖縄島に分布。Kewscienceでは南西諸島とされている。日当たりの良い低地~山地の林縁に生える。
 つる性の多年草。長さ5~8mに達する。根は長く1mになる。茎は7肋がある。葉は長さと幅が9~13㎝、円心形で全縁、両面とも無毛。葉と対につく巻きひげで他の植物に巻きついて伸び、巻きひげは3~4分枝する。雄花序は、長さ15~20㎝。花は白色で、縁は分裂して、裂片が糸状になる。花は夜咲き、朝には萎む。果実は液果、球形、直径4~5.5㎝、黄色に熟す。花期は5~7月。

10 Trichosanthes multiloba Miq. モミジカラスウリ 紅葉烏瓜
 日本固有種(本州の伊豆半島以西、四国、九州)。蛇紋岩地帯の山地林縁などに生える。
 茎は幼時のみ、褐色の軟毛があり、ほぼ無毛になる。葉は互生し、葉身は円状心形、長さ10~15㎝×幅10~15㎝、掌状に5~9深裂し、初め褐色の短毛があり、ほぼ無毛になる。葉の上面は緑色、ざらつき、下面は淡緑色、葉脈が目立つ。雌雄異株。雄花序は長さ10~25㎝、総状花序。萼筒は長さ20~25㎜、萼片は長さ3~5㎜。花は直径5~6cm、花冠は白色、キカラスウリに似て、裂片の先が糸状に細裂が細裂片が短い。果実は長さ約10㎝、楕円形~長円形、黄色~橙色に熟す。種子は楕円形~三角状楕円形、褐色、中央のうねが無い。花期は6~8月。果期は9~10月。

11 Trichosanthes pilosa Loureiro ケカラスウリ 毛烏瓜
  synonym Trichosanthes ovigera Blume
  synonym Trichosanthes rostrata Kitam.
 日本(九州の大隈半島、沖縄)、中国、インド、ネパール、タイ、ベトナム、インドネシア原産。中国名は全缘栝楼 quan yuan gua lou 。英名はsnake gourd。別名はテングカラスウリ。
 Flora of ChinaではTrichosanthes baviensis, T. trichocarpa, T. cucumeroidesの3種をT. pilosaのsynonymとして扱う専門家もあるとしている。GRINではカラスウリT. cucumeroidesをT. pilosaのsynonymとしている。
 茎は細く、溝があり、有毛。葉柄は長さ4~12㎝、条線があり、蜜に毛がある。葉身は卵状心形~類円形、長さ7~19㎝×幅7~8 ㎝、紙質、不分裂又はごく浅く3裂又は中~深まで3~5裂し、中裂片は卵形、長円形、又は倒卵状長円形、下面に毛があり、上面は無毛又はごく短い微軟毛があり、縁は上部に小歯又は歯があり、先は尖鋭形。雄花序柄は長さ10~26㎝、条線があり、密に毛がある。苞は披針形又は倒披針形、長さ約1.6㎝×幅0.5~0.6㎝、基部まで漸尖し、縁は三角形の歯があり、先は尖鋭形。萼筒は円筒形、先がわずかに広がり、長さ約5㎝。萼片は三角状卵形、長さ7~10㎜×幅2~3㎜、全縁。雌花は単生。花柄は長さ1~1.3㎝、条線があり、密に毛がある。萼筒は円筒形、長さ2~5㎝×幅0.2~0.3㎝、無毛又は有毛。子房は卵形、長さ1~1.5㎝×幅0.3~0.5㎝。果実は卵形~長円形、長さ5~7㎝×幅2.5~4㎝、平滑、基部は丸く、先は尖鋭形、嘴がある。種子は類四角形、長さ7~9㎜×幅7~8㎜、縦に2本の太いうねで囲まれ、中央付近が厚く、3室があり、2側室は空。花期は5~9月。果期は9~12月。2n=22。

11-1 Trichosanthes ovigera Blume var. boninensis (Nakai ex Tuyama) H.Ohba ムニンカラスウリ 無人烏瓜

  synonym Trichosanthes boninensis Nakai ex Tuyama
 小笠原諸島に分布する。br>  葉が円形。巻きひげは2~4分岐する。果実はケカラスウリと同様。br>

12 Trichosanthes quinquangulata A.Gray シマカラスウリ 島烏瓜

 中国(雲南省)、台湾、インド、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、インドネシア、パプアニューギニア原産。中国名は五角栝楼 wu jiao gua lou。標高500~900mの低い標高の藪、道端に生える。
 葉柄は長さ5~11cm、線条、点状。 葉身は軸方向に深い緑色、五角形または広卵形、長さ13~22㎝×幅12~20㎝、膜質、浅く5裂片があるかまたは中央まで分裂し、裂片は広三角形または卵状三角形、下面は無毛、上面に腺点があり、粗く、縁は小歯状があり、先は長い尖鋭形。雌雄同株。雄の総状花序は長さ17~30㎝。花序柄は無毛、条線があり、8~10個の花がつく。苞は卵形、長さ3.5~4.3㎝×幅約2.5㎝、主脈の横に帯褐色の点が2列あり、全縁、先は長い尖鋭形。萼片は線状披針形、長さ2~3㎝×幅0.2~0.3㎝、縁は鋭く2~3裂し、先は長い尖鋭形。雌花は見当たらない。果時の花序柄は長さ2~3cm、無毛。果実は赤色、球形、長さ5~7cm、無毛。種子は褐色、三角状卵形、長さ1~1.2㎝×幅0.4~0.5㎝、基部は漸尖形、先は三角形。花期は6~10月。果期は9~10月。

13 Trichosanthes rosthornii Harms トウカラスウリ 唐烏瓜
 中国(安徽省、広東省、広西省、チワン族自治区、貴州省、江西省、四川省、雲南省)原産。中国名は中华栝楼 zhong hua gua lou 英名はrosthorn snake gourd 。標高400~1900mの谷沿いの密林、山の斜面の藪、草地に生える。根や果実は天花芬 tian hua fen(根)や栝楼 gua louとして薬用に利用される。
 茎には溝があり、まばらに軟毛がある。葉柄は長さ2.5~4㎝、線条があり、まばらに微軟毛がある。葉身は下面が淡緑色、上面が濃緑色、広卵形~ほぼ円形、長さ(6~)8~12(~20)㎝×幅(5~)7~11(~16)㎝、紙質、深く3~7裂し、普通、基部近くまで5深裂し、裂片は線状披針形、披針形、または倒披針形、下面は無毛、上面に短毛があり、縁には小歯状があり、先は尖鋭形。 雄の総状花序は単生、または腋生の対に花序柄を1個ずつ持つ。花序柄長さ8~10cm。小花柄は長さ約7㎝まで。苞は菱状倒卵形、長さ6~14㎜×幅5~11㎜、微軟毛があり、基部が漸尖し、縁は不規則に波状の歯がある。萼管は狭い円筒形で、先が広がり、長さ2.5~3(~3.5)㎝。 雌花は単生する。小花柄は長さ5~8cm、微軟毛がある。萼筒は円筒形、長さ20~25㎜×幅5~8㎜。子房は長円形、長さ10~20㎜×幅5~10㎜、微軟毛がある。 果時の花序柄は長さ4.5~8㎝。果実は橙黄色、球形または長円形、長さ8~16㎝×幅7~10㎝、平滑、無毛。種子は褐色、卵状長円形、扁平、長さ1.5~2.2㎝×幅0.8~1.4㎝、縁がある。花期は6~8月。果期は8~10月。

13-1 Trichosanthes rosthornii var. huangshanensis S. K. Chen

 中国(安徽省、江西省)原産。中国名は中国名は黄山栝楼 huang shan gua lou
 葉身は基部近くまで深く5裂し、裂片はさらに切れ込み、小裂片は1~2個、線形。

13-2 Trichosanthes rosthornii var. multicirrata (C. Y. Cheng & C. H. Yueh) S. K. Chen

  中国(広東省、チワン族自治区、貴州省、四川省)原産。中国名は多卷须栝楼 duo juan xu gua lou。標高600~1500mの森林、雑木林、草原に生える。
 葉身は厚く、 裂片は幅が広い。巻きひげは4~6分岐し、絨毛がある。萼筒は約・長さ2㎝×幅1.3㎝、密に毛がある。
13-3 Trichosanthes rosthornii var. rosthornii
 中国(貴州省、四川省、雲南省)原産。中国名は中国名は中华栝楼 zhong hua gua lou。
 葉身は深く、3~7裂する。果実は長さ8~11㎝×幅7~10㎝。種子は長さ1.5~1.8㎝×幅0.8~0.9㎝。

13-4 Trichosanthes rosthornii var. scabrella (C. H. Yueh & D. F. Gao) S. K. Chen

 中国(貴州省、四川省、雲南省)原産。中国名は中国名は糙籽栝楼 cao zi gua lou
 葉身は深く3~7裂する。果実は長さ8~11㎝×幅7~10㎝。種子は長さ1.5~1.8㎝×幅0.8~0.9㎝。

参考

1) Flora of China
 Trichosanthes
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=133535
2)Kew science - Plants of the World Online
 Trichosanthes laceribractea Hayata
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:294224-1
3)GRIN
 Trichosanthes
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=12326
4)植物研究雑誌 Vol.46 No.3 p71-72(1971)
 Trichosanthes ishigakiensis Walker, sp. nov.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/46/3/46_46_3_6020/_pdf/-char/ja