ガンクビソウ  雁首草
[別名] キバナガンクビソウ
[中国名]

金挖耳 jin wa er

[学名] Carpesium divaricatum Sieb. et Zucc.
キク科 Asteraceae  ガンクビソウ属(ヤブタバコ属)
三河の植物観察
ガンクビソウ頭花
ガンクビソウ総苞
ガンクビソウ開花初期の頭花拡大
ガンクビソウ頭花拡大
ガンクビソウ両性花の花冠
ガンクビソウの痩果
ガンクビソウの痩果2
ガンクビソウ茎
ガンクビソウ
ガンクビソウの両性花と雌花
ガンクビソウの痩果3
ガンクビソウ葉表
ガンクビソウ葉裏
 和名の由来は花がキセルの雁首に似ていることから。コヤブタバコの別名をガンクビソウということもあったため、別名キバナガンクビソウともいう。ガンクビソウ属はヤブタバコ属ともいわれる。
 茎には軟毛が密生し、中部以上でよく分枝する。根生葉は花期にはない。下部の葉は質が薄く、有柄。葉柄は葉身と同長又は短く、翼がない。葉身は7~23㎝の卵形~卵状長楕円形、葉に軟毛があり、葉裏は淡色で、腺点があり、葉表は緑色、基部は円形、ときに浅い心形~切形、まれに短い楔形。葉縁に不揃いの歯牙状の鋸歯があり、葉先は鋭形~鈍形。茎の中部の葉は長楕円形、基部は楔状漸尖、先は尖鋭形、上部の葉は小さく、長楕円形~長楕円状披針形、無柄。頭花は直径6~8㎜、枝先に頂生、単生又は類総状の複合花序、開花時に下向きになり、苞のような葉[高出葉 bracteal leaf](= leafy bract 葉状苞ともいわれる)が2~4個輪生する。高出葉は披針形、反曲し、頭花の長さの2~5倍。総苞は卵形、長さ6~8㎜、幅5~6㎜。総苞片は(3~)4列、覆瓦状に重なり、外片が最も短く、広卵形、先が尖り、草質。中片は長楕円形、先が円形。内片は線形、先が鈍形。頭花は舌状花がなく、黄色。雌性の周辺小花の花冠は円筒形、長さ約1.5㎜、先が細く、4裂する。両性の中心小花の花冠は長さ3~3.5㎜、先の拡大部は5裂し、拡大部の大きいものと小さいものがある。子房の上部と基部に粘液腺があり、痩果にも残る。痩果は長さ3~3.5㎜、上部と基部が粘る。2n=40
 花期に根生葉がない類似種としては葉幅が広く、総苞片が同長のノッポロガンクビソウ、茎葉が披針形のコバナガンクビソウ(バンジンガンクビソウ)、花の直径が25~35㎜と大きく、葉基部が翼状になるオオガンクビソウ、総苞外片が短く、2列に見え、葉が細長いホソバガンクビソウがある。
 根生葉が残るのは、やや花が大きいサジガンクビソウ、小型で、花が小さく細長いヒメガンクビソウ、葉柄に翼があるミヤマヤブタバコである。
 他に葉柄に翼があるのはヤブタバココヤブタバコである。花の大きさには変化もあり、よく観察しないと混同しやすい。ヤブタバコは花が黄色、コヤブタバコは花が緑白色。
[花期] 6~10月
[草丈] 25~150㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 山野の木陰
[分布] 在来種  本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾
[撮影] 設楽町  12.8.30
【ガンクビソウ属】 Familiy:Asteraceae - genus Carpesium
 多年草、まれに1年草。茎は翼があり、樹脂道は無い。葉は互生し、全縁又は歯状、無柄又は有柄、葉柄にはしばしば翼がある。頭花は円盤状、異形配偶 (heterogamous:頭花に形の異なる小花がつく)、頂生又は腋生、花序柄は無又は短く、普通、うなずく、単生又は少数又は多数、穂状の総状花序につく。総苞は類球形又は扁球形。総苞片は3~4列、外総苞片は草質又は葉状の先をもつ。内総苞片は乾き、広く、鈍形。花托は平ら、無毛。周辺小花は雌性、筒形~小形の放射状、2~数個の列につき、細く、花冠は3~5歯がある。中心小花は両性、稔性、細く、多数つき、花冠の拡大部はわずかに膨れ、4又は5歯があり、帯黄色。葯は距が無く、枝の尾がある。内皮組織は放射状。胞子の刺は空洞がある。花柱の枝は全面的に尖った毛があり、分岐しない。痩果は楕円形、無毛、花冠より長く、うねがあり、腺のある短い嘴があり、軟骨質の輪の王冠をかぶり、長い結晶をつける。冠毛は無い。x=10, 18
 約20種がアジア、ヨーロッパに分布する。

 ガンクビソウ属の主な種と園芸品種
 1  Carpesium abrotanoides L.  ヤブタバコ 中国名は天名精( tian ming jing )
    日本全土、朝鮮、中国、ロシア、インド、ナパール、ミャンマー、ベトナムに分布
 2  Carpesium cernuum L.  コヤブタバコ 中国名は烟管头草( yan guan tou cao )
    日本全土、朝鮮、中国、ロシア、東南アジアに分布
 3  Carpesium divaricatum Siebold et Zucc. var. divaricatum ガンクビソウ(キバナガガンクビソウ)
    本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾に分布。中国名は金挖耳(jin wa er)
 3-1 var. abrotanoides (Matsum. et Koidz.) H.Koyama  ホソバガンクビソウ
      syn. Carpesium koidzumii Makino
 3-2 var. matsuei (Tatew. et Kitam.) Kitam.  ノッポロガンクビソウ
      syn. Carpesium matsuei Tatew. et Kitam.
      syn. Carpesium koidzumii Makino var. matsuei (Tatew. et Kitam.) H.Hara 
 4  Carpesium faberi C.Winkl.  コバナガンクビソウ 日本、中国、台湾に分布。
   中国名は中日金挖耳 (zhong ri jin wa er)。
   syn. Carpesium hosokawae Kitam.
   syn. Carpesium minus auct. non Hemsl.
 多年草。茎は高さ30~80㎝、直立、密に毛があり、しばしば紫色を帯び、上半文で分枝する。下部の茎葉は長柄があり、葉柄に翼が無く、卵状長楕円形、長さ7~10㎜、幅2.5~3.5㎜、基部は楔形、先は鈍家から尖鋭形。中間の茎葉は短柄又は無柄、披針形、基部は楔状漸尖形、先は尖鋭形、上部の葉は線状披針形、上ほど次第に小さくなる。頭花は多数、直径約4.5㎜、小枝に単生、花期に下向きになり、多くの葉状の苞が基部につく。苞は頭花より長い。総苞は鐘状球形、長さ約4㎜、幅4~5㎜。総苞片は4列、最も外側の総苞片は最も短く、卵形、先鋭形、毛があり、狭長楕円形、小歯状、先は円形。内側の総苞片は線形。小花は約80個つく。周辺小花の花冠は円柱形、長さ約1.5㎜。中心小花の花冠は長さ約1.5㎜、拡大部は4又は5裂。痩果は長さ2~2.5㎜。花期は8~9月。果期は10~11月。
 5  Carpesium glossophyllum Maxim.  サジガンクビソウ
    日本(8本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮(済州島)に分布する。
 多年祖。茎は直立し、分枝が少なく、上部は曲がり、開出毛が密につく。根生葉は花期にも残り、ロゼット状につき、長さ9~15㎝、幅2.5~3.5㎝の倒披針形、全縁、鈍頭、ほぼ無柄、開出毛が生え、低い鋸歯がある。茎葉は小型で、先がやや尖る。頭花は緑白色の半球形、長さ6~20㎝の花柄の先に横向き~下向きにつき、直径8~15㎜。頭花の基部に大きな苞(高出葉)がつく。総苞は長さ6~8㎜、椀形。総苞片はほぼ5列につき、総苞外片は緑色、外曲する。2n=40
 6  Carpesium macrocephalum Franch. et Sav.  オオガンクビソウ 
   日本、朝鮮、中国、ロシアに分布。中国名は大花金挖耳 (da hua jin wa er )
    syn. Carpesium eximium C.Winkl. 
 愛知県では稲武町だけに自生し、愛知県レッドリストの絶滅危惧ⅠB類に指定されている。
 多年草。茎は屈曲性、縮れた毛があり、よく分枝し、高さ1m 内外になり、頭花以下では太い。葉は放射状の根出葉と茎葉がある。根出葉は開花以前に枯れる。茎葉は互生し、 下部の茎葉は葉柄があり、葉柄を含め長さ30~40㎝、幅10~13㎝、葉身部は広卵形、両面に短毛があり、脈上に多い。葉先は鋭形、葉の基部は楔形、葉柄に流れる。葉の縁には不規則な粗い重鋸歯がある。中間の葉は上部ほど次第に小さくなり、倒卵状長楕円形、下半分で急に狭くなり、先は鋭形。上部の葉は狭く、先が尖鋭形。頭花は頂生、長い花序柄があり、下向きにつく。基部に多数の葉状苞(高出葉)がつき、線形又は披針形。総苞は椀形=盃形(cupuliform)、長さ8~10㎜、 幅23~30㎜。総苞片は4列。総苞外片は高出葉 bracteal leaf に似ている。中間の総苞片は長楕円状線形、密にけがあり、鋭形。内総苞片は線状へら形、長さ5.5~6㎜。小花はすべて筒状花で、花冠は汚れた黄色である。周辺小花は多列、花冠筒部は長さ約3.5㎜、5裂。中心小花は長さ約4㎜、5裂。痩果は円柱形、長さ5.5~6㎜、嘴は長さ約1㎜、腺点があり、冠毛は無い。花期は8 ~10 (6~9)月。果期は9~10月。2n = 40。
 7  Carpesium nepalense Less.  タイワンガンクビ 
   中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、パキスタンに分布。
   中国名は尼泊尔天名精(ni bo er tian ming jing)
 茎は直立、高さ23~60㎝、強健、伏した羊毛状毛が基部にあり、基部で分枝し、先は屈曲する。下部の茎葉は長柄があり、葉柄は葉身の長さ2~2.5倍。葉身は卵形、長さ12~18㎝、幅2.5~4㎝、表面に密に絨毛があり、下面は淡緑色、上面は緑色、基部は円形~切形、縁に不規則な歯状又は微凸形、先は短い尖鋭形。上部の葉は次第に小さくなり、葉柄も短くなり、卵状長楕円形又は長楕円形、尖鋭形。最上部の葉は長楕円状披針形。頭花は直径9~20㎜、単生、長い花序柄があり、基部に葉状の苞がある。苞は頭花の長さと同長又は長く、長楕円状披針形又は披針形、粗い鋸歯がある。総苞は腕状(cupuliform)、長さ9~11㎜、幅5~6㎜。総苞片は4列、同長。周辺小花は長さ約1.5㎜。痩果は長さ約3.5㎜。花期は6~9月。果期は9~11月。
 8  Carpesium rosulatum Miq.  ヒメガンクビソウ
   日本(本州、四国、九州)朝鮮(済州島)に分布。
  多年草。茎が直立し、普通、高さ15~45㎝、細く、上向きの伏した毛があり、上部で分枝する。葉は根生葉及び茎葉、葉の両面に伏した白色~黄褐色(基部の葉)の毛と白色の腺点がある。根出葉は花期にも残り、ロゼット状につき、へら状披針形、長さ6〜15㎝(観察したものは植物体がどれも小形で、高さ25㎝以下、葉は長さ6~7㎝、幅1.3~1.5㎝)、先は鈍形、縁は不規則な鋸歯がある。茎葉は少なく、互生し、根生葉より小さく、上部ほど小さく、花序柄の基部に無い場合もあり、花序柄の中間につく場合もあり、鋸歯がまばらで低い。頭花は枝先や茎の葉腋につき、花序柄が曲がって下向きになり、淡黄色、直径4~5㎜。総苞は筒状鐘形、長さ約6.5㎜(観察したものは筒状卵形、総苞基部までで長さ7~8㎜、幅は先端部で約2㎜、基部の最大部で約4㎜、花托は平ら、直径約2.5㎜の円形)。蕾は総苞外片に包まれ、初めほぼ球形、腺点が目立つ。高出葉は有る場合、無い場合がある。総苞片は3~4列。外総苞片は草質、先が短く反り返り、縁が膜質、縁毛があり、腺毛が混じり、基部には腺点がある。かえり、その内側の総苞片は基部の幅が広く、卵形~長卵形、先が短く反曲し、縁毛がある。内側の総苞片は長楕円形、先~全体が膜質、先は鈍形~円形で先だけに縁毛がある。小花は多数 、すべて筒状花、子房の上部に粘液腺があり、基部には無い。(観察したものは①総苞片15個、高出葉は無い。小花は18個、②総苞片15個+高出葉4個、小花23個、うち雌性小花5個、筒状花冠の長さ約2~2.5㎜、幅約0.3㎜、子房上部の粘液腺部分は長さ約1㎜、子房は長さ約2~2.5㎜、幅約0.5㎜、細い溝条あり)。痩果は長さ約3.5㎜、冠毛は無い。花期は8〜10月。

 9  Carpesium triste Maxim.  ミヤマヤブタバコ ガンクビヤブタバコ、マンシュウガンクビソウ
    syn. Carpesium triste Maxim. var. manshuricum (Kitam.) Kitam.
  日本、朝鮮、中国、台湾、ロシアに分布。中国名は暗花金挖耳 (an hua jin wa er )
 多年草。茎は細く、高さ40~100㎝、密に広がり、有毛、特に基部に多く、上部で分枝する。葉は基部に放射状につき、茎葉がある。根生葉は花期にもあり、下部の茎葉は長い、翼のある柄があり、柄を含めて長さ13~20㎝、幅3~5㎝、密に毛があり、基部は円形、縁には不規則な微突形の歯がある。中間の葉は細長い先鋭形。上部の葉は次第に小さくなり、披針形~線状披針形、両端は尖鋭形。頭花は枝に数個~多数つく、苞は線状披針形、頭花の長さと同長又は長く、反り返る。総苞は鐘形、長さ5~6㎜、幅6~10㎜、、総苞片は3列、ほとんど等形、外総苞片は長楕円状披針形、乾膜質。周辺小花の花冠は狭く、筒形、長さ約2.5㎜、中心小花の長さ約3.5㎜、幅約1㎜、無毛又はまばらに毛がある。痩果は長さ3~3.5㎜。花期は7~9月。果黄は9~10月。2n = 40

 参考
1) Carpesium in Flora of China @ efloras.org
  188. Carpesium Linnaeus
  http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=105695
2) オオガンクビソウ Carpesium macrocephalum Franch. et Sav. - 愛知県
  オオガンクビソウ
  愛知県:絶滅危惧ⅠB類
  https://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/yasei/rdb/ikansoku/plants_244.pdf

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