ヤマアイ 山藍

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Flora of Mikawa

トウダイグサ科 Euphorbiaceae ヤマアイ属

中国名 山靛 shan dian
学 名 Mercurialis leiocarpa Sieb. et Zucc.
ヤマアイの花
ヤマアイの花
ヤマアイの花
ヤマアイの果実
ヤマアイの葉基部の腺点
ヤマアイの托葉
ヤマアイの茎
ヤマアイ
ヤマアイ種子
ヤマアイ葉表
ヤマアイ葉裏
ヤマアイ葉の鋸歯の裏
ヤマアイ葉の鋸歯の先の腺点
花 期 3~4月
高 さ 30~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山地、林内、林縁
分 布 在来種   本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、インド、ネパール、ブータン、タイ
撮 影 石巻山  06.3.12
ヤマアイは昔、染料に用いられ、和名は山の藍という意。日本最古の染料ともいわれる。石巻山周辺ではよく見かける。
 多年草、高さ30~100㎝。全体に濃い緑色。根は長い地下茎があり広がって群生する。茎は直立する。托葉は長さ2.5㎜の披針形、反曲する。葉は対生し、長さ3~13㎝、幅2~5.5㎝、楕円状卵形~卵状披針形、縁に鋸歯があり、先が尖る。葉表は光沢があり、葉脈が深い。葉裏の鋸歯の先と葉身基部に腺体がある。葉柄は長さ1.5~4.5㎝。雌雄異株ときに雌雄同株。雄花序は茎頂につき、長さ5~12㎝。雌花序は葉腋につき、長さ3~9㎝。雄花と雌花が混じることもある。雄花は萼片3個、長さ約2㎜の卵形、淡緑色。雄しべ12~20個。雌花は萼片3個、長さ約2㎜の卵形、子房の両側に棒状体が1個ずつある。花柱2個。直立した果柄の先に、直径5~6㎜の球形が2個接合した蒴果がつく。種子は1室に1個入り、直径約2.5㎜の球形、表面に凸凹がある。2n=48。花期は3~4月。

ヤマアイ属

 familiy Euphorbiaceae - genus Mercurialis

 草本、ほとんどが、雌雄異株、野生では雌雄同株、細い根茎をもつ。葉は対生。托葉は小さい。葉身は羽状脈。雄花序は腋生、不分枝、花は束生し、普通、間隔は広く、花柄はごく短い。雄花は咢片が3個、敷石状、蕾中では閉じ、膜質。花弁は無い。花盤は無い。雄しべは8~20本、花糸は離生。葯は2室、半葯は垂れ下がり、基部は分離。未発達の雌しべは無い。雌花は腋生、単生又は少数の花の穂状花序につき、ときに、雄花をもつ。萼片は3個、覆瓦状。花弁はない。花盤の裂片は2個、錐形。子房は2室。花柱は2本、短く、単純、分離又は基部で合着し、パピラがある。果実は蒴果、2裂する。種子は卵形~球形、カランクル(caruncle)がある。X=8。
 世界に約10種があり、ヨーロッパ、地中海沿岸のアフリカ、東アジアに分布する。

ヤマアイ属の主な種と園芸品種

1 Mercurialis annua L. セイヨウヤマアイ 西洋山藍
  synonym Mercurialis ambigua L.f.
 ヨーロッパ(アルバニア、オーストリア、アゾレス諸島、バレアレス諸島、ベラルーシ、ベルギー、ブルガリア、カナリア諸島、中央ヨーロッパロシア、コルシカ島、キプロス、チェコスロバキア、東エーゲ海諸島、エジプト、フランス、ドイツ、ギリシャ、、ハンガリー、イタリア、クリティ、クリム、マデイラ諸島、北コーカサス、ルーマニア、サルデーニャ島、セルバゲンス、シチリア、スペイン、スイス、トランスコーカサス、ウクライナ、ユーゴスラビア、アフリカ(アルジェリア、リビア、モロッコ、チュニジア)、西南アジア(湾岸諸国、イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、サウジアラビア、シナイ、トルコ)原産中国名は山乌桕 shan wu jiu 。英名はFrench mercury , herb mercury , annual mercury。標高0~300mの撹乱地域、荒廃地、耕作地に生える。南アメリカ(アルゼンチン)、南アフリカ、太平洋諸島(ニュージーランド)に帰化している。
 1年草、高さ10~60cm。茎は直立し、無毛または無毛になる。葉柄は長さ0.2~2cm、先端に1対の小さな腺があり、通常は葉柄があり、まれに無柄。葉身は卵形~菱状卵形、長さ2.5~5.5cm×幅1~2.5cm、基部は円形~鋭形、先は鋭形~±尖頭、両鋭形、両面ともはほぼ無毛または無毛になり、縁は縁毛がある。雄花序:花序柄は長さ2~5cm、稔性部は長さ1~5cm、2~12個の花が密集して集まり(glomerate clusters)、節間で最大1cm分かれる。小花柄は雌花では長さ0.5~1mm、果時には長さ0.5~7mmに伸びる。雄花:萼片は広卵形、長さ1.5~1.8mm、雄しべは長さ1mm。花糸は細く、葯室はほぼ球形。雌花:萼片は卵形、長さ1~1.5mm。子房は密に剛毛があり、毛は通常球根状の基部をもつ。蒴果は長さ2.5~3mm×幅3~4mm、3裂し、剛毛があり、萼片と柱頭は宿存する。種子は灰色または帯灰色、長さ2mm×幅1.5mm、表面に疣状突起茎がある。2n=16, 48, 64, 80, 96, 112(ヨーロッパ)。花期と果期は2~11月。
 Mercurialis annua は、この属の1年生植物2種のうちの1種であり、複雑で形態的に多様であり、二倍体と倍数体から成り、雌雄異株、雄性両性異株、雌雄同株など多様な繁殖システムを持つ (M. Krähenbühl 他 2002)。倍数性と性的表現に基づいて、いくつかの種と種内分類群(たとえば、Mercurialis ambigua Linnaeus)が認識されているが、これらの特徴は必ずしも相関しているわけではなく、分類群を区別するのに適した形態学的特徴はない。この種は、T. G. Tutin (1968) および R. Govaerts 他 2000 に従い、ここでは広い意味で扱われる。雌雄異株と雌雄同株の両方の個体群がカリフォルニアに帰化していると思われる。大部分は雌雄異株で、厳密な意味では二倍体の M. annua に属すが、最近のコレクションのいくつかは雌雄異株の個体群からのものであり、倍数体の M. ambigua に相当すると考えられる。[Flora of North America]。POWOではM. ambiguaはsynonymとしている。

2 Mercurialis leiocarpa Siebold et Zucc. ヤマアイ 山藍
 日本(本州、四国、九州)、沖縄、朝鮮、中国(安徽省、広東省北部、広西チワン族自治区、貴州省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ネパール、ブータン、タイ原産。中国名は山靛 shan dian。標高300~2800mの山の斜面または谷、森林に生える。
 多年草。高さ30~100㎝。全体に濃い緑色。根は長い地下茎があり広がって群生する。茎は直立する。托葉は長さ2.5㎜の披針形、反曲する。葉は対生し、長さ3~13㎝、幅2~5.5㎝、楕円状卵形~卵状披針形、縁に鋸歯があり、先が尖る。葉表は光沢があり、葉脈が深い。葉裏の鋸歯の先と葉身基部に腺体がある。葉柄は長さ1.5~4.5㎝。雌雄異株ときに雌雄同株。雄花序は茎頂につき、長さ5~12㎝。雌花序は葉腋につき、長さ3~9㎝。雄花と雌花が混じることもある。雄花は萼片3個、長さ約2㎜の卵形、淡緑色。雄しべ12~20個。雌花は萼片3個、長さ約2㎜の卵形、子房の両側に棒状体が1個ずつある。花柱2個。直立した果柄の先に、直径5~6㎜の球形が2個接合した蒴果がつく。種子は1室に1個入り、直径約2.5㎜の球形、表面に凸凹がある。2n=48。花期は3~4月。

3 Mercurialis perennis L. メルクリアリス・ペレンニス
 ロシア、アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、トルコ、アルジェリア、ヨーロッパ原産。英名はdog's mercur。ブナ林、混合林、低木林、道端、岩場に生える。
 多年草、高さ20~40cm、地下茎がある。茎は分岐せず、上部のみに葉があり、粗い毛が散在する。葉は対生し、葉柄はほとんどが長さ5mm以上あり、小さな托葉がある。葉身は濃緑色、楕円形~楕円披針形、長さ4~12cm、上部の葉は下部の葉より大きく、卵状披針形、先がわずかに尖り、縁に鈍い鋸歯がある。雌雄異株。花は小さな単性花、淡緑色。花弁は無い。萼片は3個、基部で合着する。雄花は長い雄性の穂状花序に多段に束生して多数つき、雄しべは9~12本。雌花は単生または2~3個が束生する。子房は2室。柱頭は2分岐する。果実は2裂し、直径約2mm、果柄は果実よりかなり長い。花期は3~4(~6)月。[Flora Helvetica]
品種) 'Cae Rhos Lligwy' , 'Ringsbury Camp'

参考

1) GRIN
 Triadica
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=7469
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Triadica
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:15654-1
3) Flora of China
 Triadica
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=120266
4)Flora of North America
 Triadica
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=120266