和名の由来は葉の形がこいのぼりの矢車に似ていることから。キク科のヤグルマギクもヤグルマソウと呼ばれる。
　葉は5(～7)小葉の掌状複葉。小葉は長さ15～30(～40)㎝、先が浅く分裂する。花茎は長く伸び、茎頂の円錐花序に多数の白色の花をつける。花は直径6～8㎜、花弁はなく、5～7個の白色の萼片が花弁に見える。雄しべは8～15本。蒴果は長さ約5㎜の狭卵形。

ヤグルマソウ属

　 family　Saxifragaceae － genus Rodgersia

　多年草。根茎は通常、横に伸び、太く、鱗片がある。葉は長い葉柄があり、掌状～羽状、類羽状複葉。小葉は3～9個(または10個)、基部はほぼ無柄、縁は重鋸歯があり、先は通常、短尖鋭形。花序は円錐花序の集散花序、苞は無く、多数の花をつける。萼片は(4～)5(～7)個、広がり、白色、ピンク色、または赤色。花弁は通常なく、非常にまれに 1、2、または5個の痕跡がある。雄しべは10(～14)本。 子房は上位、まれに下位、2室または3室。中軸胎座。胚珠は多数。花柱は2～3本。蒴果は2または3バルブ。
　世界に5種があり、日本、朝鮮、中国、東ヒマラヤ、ネパール、チベットに分布する。

ヤグルマソウ属の主な種と園芸品種

1 Rodgersia podophylla A.Gray　ヤグルマソウ　矢車草
　　synonym　Rodgersia japonica Regel
　日本(北海道、本州)、朝鮮、中国(吉林、遼寧)原産。中国名は鬼灯檠 gui deng qing。山地の林内、林縁、日陰の斜面に生える。
　多年草、高さ(30～)60～100(150)㎝。根茎は横に伸び、太い。 茎は無毛。根生葉は掌状複葉。葉柄は長さ15～30㎝、有毛、基部は鞘状になり、長い縁毛がある。 小葉は5(～7)個、倒卵形、長さ15～30(～40)㎝×幅10～25㎝、先は3～5裂し、下面は裂片に葉脈に沿って毛があり、上面は無毛、縁は鋸歯があり、先は尖鋭形。 茎葉は互生し、根生葉よりも小さい。円錐花序は頂生、長さ15～30㎝、多数の花をつける。枝と小花柄には密に浅黄色の毛(paleaceous hairy)があり、ときに、腺毛がある。萼片は5～7個、白色、類卵形、約・長さ2.1mm×幅1.1mm、外面と縁にまばらに腺毛があり、内面は無毛、羽脈があり(pinniveined)、脈は先で合流せず、先は尖鋭形。花弁はない。雄しべは通常10本、長さ約4㎜。心皮は2個、下部で合着する。子房はほぼ上位、卵形、長さ約1.5㎜。花柱は長さ約1.3㎜。蒴果は多数の種子をもつ。花期は6～7月。2n=30。

参考

1) Flora of China
　Rodgersia 2) Plants of the World Online| Kewscience
　Rodgersia 3) World Flora Online
　Rodgersia 4) 植物研究雑 65(11): 328–338(1990)