ワトソニア・ボルボニカ
Flora of Mikawa
アヤメ科 Iridaceae ヒイロヒオウギ属
英 名 | Cape bugle lily , rosy watsonia , pink watsonia |
学 名 | Watsonia borbonica (Pourr.) Goldblatt |
花 期 | 3~4月 |
高 さ | 1.5~2m |
生活型 | 多年草 |
生育場所 | 栽培種 |
分 布 | 外来種 南アフリカ原産 |
撮 影 | 蒲郡市 21.5.26 |
ワトソニア・ボルボニカ(Watsonia borbonica)はアヤメ科ワトソニア属の栽培種。ワトソニア属の中で観賞用として最も広く栽培されている。花がピンク色で春咲き。ヒイロヒオウギ属は最近ではワトソニア属と呼ばれている。ヒオウギはアヤメ属のIris domestica、ヒオウギアヤメはIris setosa、ヒメヒオウギズイセンはヒメトウショウブ属のCrocosmia x crocosmiifloraであり、ヒオウギのついた植物はあまり似ていないものである。ワトソニア属はグラジオラスにやや似ていて、花が穂状花序に並んでつき、花の基部に苞がある。花がグラジオラスと違いラッパ形(bugle)で、英名はbugle lilyといわれる。属名となっているヒイロヒオウギ(Watsonia angusta)は花が緋色だけでなく、橙色もあり、花期がやや遅い。最近のワトソニア属の園芸品種はハイブリッドが多数、作り出され、矮性種も多い。
ワトソニア・ボルボニカは半耐寒性~耐寒性の多年草、高さ1.5~2m。落葉性、秋~冬~春に成長し、春~夏上旬に開花した後に枯れて、夏の間は休眠する。根茎(rootstock)は球茎(corm)、直径30~40mm、薄皮は灰褐色。5~6(~8以下)枚の光沢のある、幅が広い、幅2~4㎝の剣形の葉の扇を直立してつける。葉は穂状花序の長さの1/3~2/3。葉縁は色が無く(透明)、厚くなる。花茎は普通、上部に2個、又はそれ以上の小さな苞をつけ、分枝し、高さ2m以下になる。穂状花序の主軸に花を20個以下つけ、枝(側穂状花序)に花を10個以下つける。花は大きく、華やか、淡ピンク色~濃ピンク色~薄紫色、かすかに芳香がある。花被片は中央の線が暗色で、基部に白色の条線があり、ごくまれに全体が白色になる。花は左右相称。果実は長円形の蒴果、多少、木質、ときに先が広くなり、割れて、翼のある種子を放出し、長さ8~12mm×幅約2.5mm。花期は5~6月 春下旬~夏上旬(原産地 10~12月上旬、ときに1月まで)。
球茎(corm)は扁球形、薄皮は繊維状。花序は穂状花序、下部で分枝又は分枝しない。葉は根生葉と茎葉、剣形、丈夫で繊維状、無毛。花茎は直立、花序は穂状花序。花は普通、±2列につき、花の苞は緑色、革質。花は放射相称又は左右相称、通常は2唇形。花被は筒部があり、漏斗形又はトランペット形=ラッパ形(bugle)、筒部は曲がる。花被片は±等長又は不等長、長円形又は披針形。花柱の枝は±中間まで分岐し、糸状。果実は球形~円筒形、木質。種子は通常、片端又は両端に翼がある。
世界に約50種あり、アフリカ南部(主に南アフリカ、わずかにレソト、スワジランド)に分布する。多くの種が観賞用に栽培される。英名はbugle lily。
南アフリカ原産。英名はred watsonia , narrow-leaved bugle lily flower, wandflower , orange bugle lily。
高さ0.6~0.9(~2)m。地下の球茎(corm)は扁球形、直径20~30mm、薄皮は粗い網目があり灰褐色。ときに下部の葉腋に数個の小球茎(cormlets)をつける。茎は単純又は普通、少数の短い散開する枝をもつ。葉は5個~数個、多少、根生する。しかし、しかし、これらの最上部は茎を覆い、植物の約半分の長さがある。葉は狭披針形で剣形。縁はわずか~中位に厚くなり、透明。葉は乾き、乾期に休眠する。花序は穂状花序、花を疎に18個以下、つける。花は赤色~橙色、長さ約5㎝、長い円筒形の花被筒をもち、花被片は幅4~8mm、上側の花被片はややフード形になり、側花被片は後屈し、下側の花被片は反曲する。果実は長さ35mm以下、紡錘形の蒴果、隙間から裂開し、小さな線形の種子を放出する。花期は夏下旬(11~1月)。
品種) 'Orange' orange bugle lily
2 Watsonia borbonica (Pourr.) Goldblatt ワトソニア・ボルボニカ
南アフリカ原産。英名はCape bugle lily , rosy watsonia , pink watsonia。花がピンク色で最も、普通に栽培されている。
多年草、 半耐寒性~耐寒性、高さ1.5~2m。落葉性、秋~冬~春に成長し、春~夏上旬に開花した後に枯れて、夏の間は休眠する。根茎(rootstock)は球茎(corm)、直径30~40mm、薄皮は灰褐色。5~6(~8以下)枚の光沢のある、幅が広い、幅2~4㎝の剣形の葉の扇を直立してつける。葉は穂状花序の長さの1/3~2/3。葉縁は色が無く(透明)、厚くなる。花茎は普通、上部に2個、又はそれ以上の小さな苞をつけ、分枝し、高さ2m以下になる。穂状花序の主軸に花を20個以下つけ、枝(側穂状花序)に花を10個以下つける。花は大きく、華やか、淡ピンク色~濃ピンク色~薄紫色、かすかに芳香がある。花被片は中央の線が暗色で、基部に白色の条線があり、ごくまれに全体が白色になる。花は左右相称。果実は長円形の蒴果、多少、木質、ときに先が広くなり、割れて、翼のある種子を放出し、長さ8~12mm×幅約2.5mm。花期は5~6月 春下旬~夏上旬(原産地 10~12月上旬、ときに1月まで)。
品種) 'Ablaze' , 'Peach Glow'
2-1 Watsonia borbonica subsp. ardernei ワトソニア・アーデルネイ
高さ90~150㎝。花は白色。秋植え。
品種) 'Arderne's White'(白色花の普通品種)
3 Watsonia coccinea (Herb. ex Baker) Baker ワトソニア・コッキネア
南アフリカ、ケープ州原産。
高さ40~50㎝。球茎(corm)は扁球形、直径約3㎝。薄皮は厚く、網目の繊維状、先端は剛毛になる。茎は単純、花序を含めて長さ約30㎝。根生葉は線形、質は硬く、長さ15~22.5㎝。花は穂状花序にごく、疎に4~6個つく。仏炎苞のバルブは長円状披針形、帯褐色、硬く、下側の苞は長さ2.5~3.8㎝。花被は鮮やかな深紅色。筒部は曲がり、長さ3.8~5㎝、上半分は広がり、のど部は 直径8mm。花被片は長円状へら形、先鋭形、長さ2.5㎝、最下の花被片は他より少し長く、より広がる。花柱は花被片の先に達する。秋植え種。花期は3~5月。
4 Watsonia laccata (Jacq.) Ker Gawl. ワトソニア・ラッケイタ
南アフリカ原産。湿った砂岩の斜面に生える。
高さ30~40㎝の矮性種。葉は光沢のある剣形(ニス塗りのような外観)、縁が少し厚くなり、幅6~15mm、長さは花茎の高さの約1/2。花茎は球茎から出て、直立し、短い穂状花序をつける。仏炎苞は長さ10~20㎜、茎を抱く。花は華やかでピンク色、紫色、白色又は橙色。花被筒は長さ18~22㎜、上部が広がる。雄しべは下向きに曲がる。蒴果は紡錘形、先が細くなる。花期は秋(9~11月)。
5 Watsonia marginata (L. f.) Ker-Gawl. ワトソニア・マルギナータ
南アフリカ原産。英名はbroad-leaf watsonia。カリフォルニアなどで栽培中に逸出がある。
高さ1.2~1.5m。球茎(corm)をもち、落葉、夏に休眠する。葉は秋に3~4枚生じ、青緑色、長さ45~80㎝、幅が広く5㎝以下、縁は厚くなり、帯黄色、中脈が目立つ。多くの枝を直立し、長さ約50㎝の穂状花序を出し、全体で花を30~50個つける。花は放射相称、藤色、ピンク色、又は白色、芳香がある。花被は長さ3.5~4.5㎝。裂片は長さ1~1.5㎝、卵状長円形。蒴果は木質、数個の種子をもつ。種子は角(かど)があり、帯褐色、目立つ膜質のうねがある。花期は3~6月。
品種) 'Alba' , 'Star Spike'
6 Watsonia meriana (L.) Mill. ワトソニア・メリアナ
synonym Watsonia bulbillifera J.W. Mathews & L. Bolus
synonym Watsonia fulgens (Andrews) Pers.
南アフリカのケープ州原産。英名はbulbil watsonia。オーストラリア、カリフォルニアなどに帰化。
高さ1~1.5(2)m。球茎(corm)は直径4~8㎝。薄皮は網目にある繊維状。小球茎は卵形、先が尖り、4~12個、束生し、穂状花序の仏炎苞の下部の花に置き変わる。根生葉は約5~6枚、剣形、長さ50~60(~)80㎝×幅1~4.5(~6)㎝、中脈は目立つ。穂状花序は普通、分枝せず、長さ20~40㎝。花が10~15個、ほぼ離れてつく。仏炎苞(苞)は三角形~長円形、長さ1.7~2.5㎝草質で上部に赤褐色の薄膜質の部分をもつ。花は左右相称。花被は長さ6~7㎝、橙色~赤色、まれに、ピンク色~紫色。花被の筒部は長さ3.5~4.5㎝、基部で細くなり、曲がって広がった円筒状の部分は長さ2.5~3㎝。花被片は長円形~倒卵形、先は鋭形~短突起状、長さ1.8~2.5㎝×幅約1.3㎝、背側の花被片はフード状になる。花柱は花被片より長く、枝は長さ約0.5㎝、2分岐。蒴果は見られない。花期は5~7月(原産地では10~12月)。
7 Watsonia pillansii L.Bolus ワトソニア・ピルランシー
synonym Watsonia beatricis J.W.Mathews & L.Bolus
南アフリカのケープ州~クワズール・ナタール州原産。英名はPillans’ watsonia, summer watsonia, bugle lily, Beatrice watsonia
高さ0.5~1.2m、常緑、夏緑性、丈夫で群生する。球根は球茎(corm)、直径30~45㎜、薄皮は灰褐色、厚く被う。茎は普通、分枝しないが、直立する短い枝を1~3本もつ。葉は披針形~線形に近く、幅1~18mm、薄緑色。花序は穂状花序、花は20~35個つき、鮮やかな橙色~赤橙色。花は長く狭い筒状、長さ35~50mm×幅は基部で2~3mm、口部で6mm。花被片は6個、広がり、狭く、長さ20~26mm、筒部に90度でほぼつく。花が完全に開くと最上部の花被片はややフード状で直立する。葯の下の花糸は長さ30~40㎜、上側の花被片のすぐ下に束につき、紫色~クリーム色。花柱は高さが葯の中間になり、枝は長さ約7mm。花筒の基部は長い苞に包まれる。苞は長さ19~33㎜、緑色又は部分的に赤色を帯び、しばしば乾いて先が薄褐色になる。花は香りが無く、蜜腺をもつ。花期は夏の6~7月(原産地では12~1月、たまに11~2月)。春植え。
8 Watsonia wilmaniae J.W.Mathews & L.Bolus ワトソニア・ウィルマニアエ
南アフリカ原産。岩の多い砂岩の土壌、多くの場合、川沿いや湿地の端に密集して群落を形成する。
多年草、高さ80~150cm。球茎は地中にあり、凹んだ球形、直径20~30mm。薄皮は粗い網目模様になる。茎は直立し、通常1つ以上の短いほぼ直立の枝がある。葉は5~7枚つき、ほぼ根生し、1~2枚つき、上部では部分的に鞘状になり、長さは穂状花序の約半分で披針形、幅16~30㎜、中脈と縁はわずかに厚くなり狭く透明になる。苞状の茎葉は1枚またはそれ以上つき、きつく鞘状になる。穂状花序は中程度に密に20~35(50以上)個の花がつく。外側の苞は基部が緑色、上側の苞は乾いて褐色を帯び、やや短い~やや長く、長さ7~12㎜、内側の苞は鋭形または2分裂する。花は左右相称、両性、赤色または紫色、ときにあずき色~ピンク色、橙色、クリーム色、蜜腺をもつ。花被筒は下部が長さ約15㎜、苞から約10㎜離れたところ~出ており、上部は水平で、ほぼ円筒形、長さ15~20㎜、直径約5㎜。花被片は卵形、長さ18~22㎜x幅7~10㎜、最上部の花被片はややフード状、その他の花被片は広く開出する。花糸は片側性で弓状、長さ20~30㎜、筒部から10~15㎜突き出る。葯は長さ7~10㎜、藤色~灰色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端近くで分裂し、枝は長さ3~4㎜。蒴果は狭倒卵形、長さ10~12㎜。種子は長い角形で、上部と下部に未発達の翼があり、長さ4~5㎜x幅約2㎜。花期は原産地で(12)1~3月[e-Flora of South Africa]。
品種) 'Ice Angel'
9 ハイブリッド
Watsonia meriana系のハイブリッドが多く、他の矮性種も多く作り出されている。
品種) 'Adelaide' , 'Apricot Queen' , 'Aurora' , 'Australia' , 'Ballarat' , 'Ballyrogan Early Pink' , 'Barbie' , 'Bedazzled' , 'Best Red' , 'Brighton' , 'Bronze Beauty' , 'Cape Shell' , 'Carlsbad' , 'Cherry Splash' , 'Clunes' , 'Curly Blooms' , 'Curviflora' , 'Dart Sea Trout' , 'Dazzler' , 'Double Vision' , 'Early Dawn' , 'Flamboyant' , 'Flame' , 'Gigantea' , 'Hobart' , hybrid 674/76 , 'Ida Edwards' , 'Indian Orange' , 'Ivory Towers' , 'Jessica' , 'Jessie' , 'Leng' , 'Lilac Towers' , 'Maitland' , 'Malvern' , 'Malvern' , 'Melbourne' , 'Mount Congreve' , 'Mrs. Bullard's White' , 'Orange' , 'Orange Beauty' , 'Peach Glow'ピーチグロー , 'Peachy Pink Orphan' , 'Portland' , 'Raspberry Delight' , 'Rubra' , 'Sale' , 'Snow Bell' , 'Snow Queen' , 'Special Red' , 'Stanford Scarlet' , 'Stanfords' , 'SuiLan' , 'Treco Dwarf Pink' , 'Tresco Dwarf Pink' , 'Tresco Mauve' , 'White Dazzler'
Watsonia angusta Ker Gawl.
Genus Watsonia
Watsonia meriana
Watsonia
Watsonia
Watsonia
ワトソニア・ボルボニカは半耐寒性~耐寒性の多年草、高さ1.5~2m。落葉性、秋~冬~春に成長し、春~夏上旬に開花した後に枯れて、夏の間は休眠する。根茎(rootstock)は球茎(corm)、直径30~40mm、薄皮は灰褐色。5~6(~8以下)枚の光沢のある、幅が広い、幅2~4㎝の剣形の葉の扇を直立してつける。葉は穂状花序の長さの1/3~2/3。葉縁は色が無く(透明)、厚くなる。花茎は普通、上部に2個、又はそれ以上の小さな苞をつけ、分枝し、高さ2m以下になる。穂状花序の主軸に花を20個以下つけ、枝(側穂状花序)に花を10個以下つける。花は大きく、華やか、淡ピンク色~濃ピンク色~薄紫色、かすかに芳香がある。花被片は中央の線が暗色で、基部に白色の条線があり、ごくまれに全体が白色になる。花は左右相称。果実は長円形の蒴果、多少、木質、ときに先が広くなり、割れて、翼のある種子を放出し、長さ8~12mm×幅約2.5mm。花期は5~6月 春下旬~夏上旬(原産地 10~12月上旬、ときに1月まで)。
ヒイロヒオウギ属(ワトソニア属)
family Iridaceae - genus Watsonia球茎(corm)は扁球形、薄皮は繊維状。花序は穂状花序、下部で分枝又は分枝しない。葉は根生葉と茎葉、剣形、丈夫で繊維状、無毛。花茎は直立、花序は穂状花序。花は普通、±2列につき、花の苞は緑色、革質。花は放射相称又は左右相称、通常は2唇形。花被は筒部があり、漏斗形又はトランペット形=ラッパ形(bugle)、筒部は曲がる。花被片は±等長又は不等長、長円形又は披針形。花柱の枝は±中間まで分岐し、糸状。果実は球形~円筒形、木質。種子は通常、片端又は両端に翼がある。
世界に約50種あり、アフリカ南部(主に南アフリカ、わずかにレソト、スワジランド)に分布する。多くの種が観賞用に栽培される。英名はbugle lily。
ヒイロヒオウギ属(ワトソニア属)の主な種と栽培種
1 Watsonia angusta (L.) Ker Gawl. ヒイロヒオウギ 緋色檜扇南アフリカ原産。英名はred watsonia , narrow-leaved bugle lily flower, wandflower , orange bugle lily。
高さ0.6~0.9(~2)m。地下の球茎(corm)は扁球形、直径20~30mm、薄皮は粗い網目があり灰褐色。ときに下部の葉腋に数個の小球茎(cormlets)をつける。茎は単純又は普通、少数の短い散開する枝をもつ。葉は5個~数個、多少、根生する。しかし、しかし、これらの最上部は茎を覆い、植物の約半分の長さがある。葉は狭披針形で剣形。縁はわずか~中位に厚くなり、透明。葉は乾き、乾期に休眠する。花序は穂状花序、花を疎に18個以下、つける。花は赤色~橙色、長さ約5㎝、長い円筒形の花被筒をもち、花被片は幅4~8mm、上側の花被片はややフード形になり、側花被片は後屈し、下側の花被片は反曲する。果実は長さ35mm以下、紡錘形の蒴果、隙間から裂開し、小さな線形の種子を放出する。花期は夏下旬(11~1月)。
品種) 'Orange' orange bugle lily
2 Watsonia borbonica (Pourr.) Goldblatt ワトソニア・ボルボニカ
南アフリカ原産。英名はCape bugle lily , rosy watsonia , pink watsonia。花がピンク色で最も、普通に栽培されている。
多年草、 半耐寒性~耐寒性、高さ1.5~2m。落葉性、秋~冬~春に成長し、春~夏上旬に開花した後に枯れて、夏の間は休眠する。根茎(rootstock)は球茎(corm)、直径30~40mm、薄皮は灰褐色。5~6(~8以下)枚の光沢のある、幅が広い、幅2~4㎝の剣形の葉の扇を直立してつける。葉は穂状花序の長さの1/3~2/3。葉縁は色が無く(透明)、厚くなる。花茎は普通、上部に2個、又はそれ以上の小さな苞をつけ、分枝し、高さ2m以下になる。穂状花序の主軸に花を20個以下つけ、枝(側穂状花序)に花を10個以下つける。花は大きく、華やか、淡ピンク色~濃ピンク色~薄紫色、かすかに芳香がある。花被片は中央の線が暗色で、基部に白色の条線があり、ごくまれに全体が白色になる。花は左右相称。果実は長円形の蒴果、多少、木質、ときに先が広くなり、割れて、翼のある種子を放出し、長さ8~12mm×幅約2.5mm。花期は5~6月 春下旬~夏上旬(原産地 10~12月上旬、ときに1月まで)。
品種) 'Ablaze' , 'Peach Glow'
2-1 Watsonia borbonica subsp. ardernei ワトソニア・アーデルネイ
高さ90~150㎝。花は白色。秋植え。
品種) 'Arderne's White'(白色花の普通品種)
3 Watsonia coccinea (Herb. ex Baker) Baker ワトソニア・コッキネア
南アフリカ、ケープ州原産。
高さ40~50㎝。球茎(corm)は扁球形、直径約3㎝。薄皮は厚く、網目の繊維状、先端は剛毛になる。茎は単純、花序を含めて長さ約30㎝。根生葉は線形、質は硬く、長さ15~22.5㎝。花は穂状花序にごく、疎に4~6個つく。仏炎苞のバルブは長円状披針形、帯褐色、硬く、下側の苞は長さ2.5~3.8㎝。花被は鮮やかな深紅色。筒部は曲がり、長さ3.8~5㎝、上半分は広がり、のど部は 直径8mm。花被片は長円状へら形、先鋭形、長さ2.5㎝、最下の花被片は他より少し長く、より広がる。花柱は花被片の先に達する。秋植え種。花期は3~5月。
4 Watsonia laccata (Jacq.) Ker Gawl. ワトソニア・ラッケイタ
南アフリカ原産。湿った砂岩の斜面に生える。
高さ30~40㎝の矮性種。葉は光沢のある剣形(ニス塗りのような外観)、縁が少し厚くなり、幅6~15mm、長さは花茎の高さの約1/2。花茎は球茎から出て、直立し、短い穂状花序をつける。仏炎苞は長さ10~20㎜、茎を抱く。花は華やかでピンク色、紫色、白色又は橙色。花被筒は長さ18~22㎜、上部が広がる。雄しべは下向きに曲がる。蒴果は紡錘形、先が細くなる。花期は秋(9~11月)。
5 Watsonia marginata (L. f.) Ker-Gawl. ワトソニア・マルギナータ
南アフリカ原産。英名はbroad-leaf watsonia。カリフォルニアなどで栽培中に逸出がある。
高さ1.2~1.5m。球茎(corm)をもち、落葉、夏に休眠する。葉は秋に3~4枚生じ、青緑色、長さ45~80㎝、幅が広く5㎝以下、縁は厚くなり、帯黄色、中脈が目立つ。多くの枝を直立し、長さ約50㎝の穂状花序を出し、全体で花を30~50個つける。花は放射相称、藤色、ピンク色、又は白色、芳香がある。花被は長さ3.5~4.5㎝。裂片は長さ1~1.5㎝、卵状長円形。蒴果は木質、数個の種子をもつ。種子は角(かど)があり、帯褐色、目立つ膜質のうねがある。花期は3~6月。
品種) 'Alba' , 'Star Spike'
6 Watsonia meriana (L.) Mill. ワトソニア・メリアナ
synonym Watsonia bulbillifera J.W. Mathews & L. Bolus
synonym Watsonia fulgens (Andrews) Pers.
南アフリカのケープ州原産。英名はbulbil watsonia。オーストラリア、カリフォルニアなどに帰化。
高さ1~1.5(2)m。球茎(corm)は直径4~8㎝。薄皮は網目にある繊維状。小球茎は卵形、先が尖り、4~12個、束生し、穂状花序の仏炎苞の下部の花に置き変わる。根生葉は約5~6枚、剣形、長さ50~60(~)80㎝×幅1~4.5(~6)㎝、中脈は目立つ。穂状花序は普通、分枝せず、長さ20~40㎝。花が10~15個、ほぼ離れてつく。仏炎苞(苞)は三角形~長円形、長さ1.7~2.5㎝草質で上部に赤褐色の薄膜質の部分をもつ。花は左右相称。花被は長さ6~7㎝、橙色~赤色、まれに、ピンク色~紫色。花被の筒部は長さ3.5~4.5㎝、基部で細くなり、曲がって広がった円筒状の部分は長さ2.5~3㎝。花被片は長円形~倒卵形、先は鋭形~短突起状、長さ1.8~2.5㎝×幅約1.3㎝、背側の花被片はフード状になる。花柱は花被片より長く、枝は長さ約0.5㎝、2分岐。蒴果は見られない。花期は5~7月(原産地では10~12月)。
7 Watsonia pillansii L.Bolus ワトソニア・ピルランシー
synonym Watsonia beatricis J.W.Mathews & L.Bolus
南アフリカのケープ州~クワズール・ナタール州原産。英名はPillans’ watsonia, summer watsonia, bugle lily, Beatrice watsonia
高さ0.5~1.2m、常緑、夏緑性、丈夫で群生する。球根は球茎(corm)、直径30~45㎜、薄皮は灰褐色、厚く被う。茎は普通、分枝しないが、直立する短い枝を1~3本もつ。葉は披針形~線形に近く、幅1~18mm、薄緑色。花序は穂状花序、花は20~35個つき、鮮やかな橙色~赤橙色。花は長く狭い筒状、長さ35~50mm×幅は基部で2~3mm、口部で6mm。花被片は6個、広がり、狭く、長さ20~26mm、筒部に90度でほぼつく。花が完全に開くと最上部の花被片はややフード状で直立する。葯の下の花糸は長さ30~40㎜、上側の花被片のすぐ下に束につき、紫色~クリーム色。花柱は高さが葯の中間になり、枝は長さ約7mm。花筒の基部は長い苞に包まれる。苞は長さ19~33㎜、緑色又は部分的に赤色を帯び、しばしば乾いて先が薄褐色になる。花は香りが無く、蜜腺をもつ。花期は夏の6~7月(原産地では12~1月、たまに11~2月)。春植え。
8 Watsonia wilmaniae J.W.Mathews & L.Bolus ワトソニア・ウィルマニアエ
南アフリカ原産。岩の多い砂岩の土壌、多くの場合、川沿いや湿地の端に密集して群落を形成する。
多年草、高さ80~150cm。球茎は地中にあり、凹んだ球形、直径20~30mm。薄皮は粗い網目模様になる。茎は直立し、通常1つ以上の短いほぼ直立の枝がある。葉は5~7枚つき、ほぼ根生し、1~2枚つき、上部では部分的に鞘状になり、長さは穂状花序の約半分で披針形、幅16~30㎜、中脈と縁はわずかに厚くなり狭く透明になる。苞状の茎葉は1枚またはそれ以上つき、きつく鞘状になる。穂状花序は中程度に密に20~35(50以上)個の花がつく。外側の苞は基部が緑色、上側の苞は乾いて褐色を帯び、やや短い~やや長く、長さ7~12㎜、内側の苞は鋭形または2分裂する。花は左右相称、両性、赤色または紫色、ときにあずき色~ピンク色、橙色、クリーム色、蜜腺をもつ。花被筒は下部が長さ約15㎜、苞から約10㎜離れたところ~出ており、上部は水平で、ほぼ円筒形、長さ15~20㎜、直径約5㎜。花被片は卵形、長さ18~22㎜x幅7~10㎜、最上部の花被片はややフード状、その他の花被片は広く開出する。花糸は片側性で弓状、長さ20~30㎜、筒部から10~15㎜突き出る。葯は長さ7~10㎜、藤色~灰色。花柱は雄しべの上に弓状に伸び、葯の先端近くで分裂し、枝は長さ3~4㎜。蒴果は狭倒卵形、長さ10~12㎜。種子は長い角形で、上部と下部に未発達の翼があり、長さ4~5㎜x幅約2㎜。花期は原産地で(12)1~3月[e-Flora of South Africa]。
品種) 'Ice Angel'
9 ハイブリッド
Watsonia meriana系のハイブリッドが多く、他の矮性種も多く作り出されている。
品種) 'Adelaide' , 'Apricot Queen' , 'Aurora' , 'Australia' , 'Ballarat' , 'Ballyrogan Early Pink' , 'Barbie' , 'Bedazzled' , 'Best Red' , 'Brighton' , 'Bronze Beauty' , 'Cape Shell' , 'Carlsbad' , 'Cherry Splash' , 'Clunes' , 'Curly Blooms' , 'Curviflora' , 'Dart Sea Trout' , 'Dazzler' , 'Double Vision' , 'Early Dawn' , 'Flamboyant' , 'Flame' , 'Gigantea' , 'Hobart' , hybrid 674/76 , 'Ida Edwards' , 'Indian Orange' , 'Ivory Towers' , 'Jessica' , 'Jessie' , 'Leng' , 'Lilac Towers' , 'Maitland' , 'Malvern' , 'Malvern' , 'Melbourne' , 'Mount Congreve' , 'Mrs. Bullard's White' , 'Orange' , 'Orange Beauty' , 'Peach Glow'ピーチグロー , 'Peachy Pink Orphan' , 'Portland' , 'Raspberry Delight' , 'Rubra' , 'Sale' , 'Snow Bell' , 'Snow Queen' , 'Special Red' , 'Stanford Scarlet' , 'Stanfords' , 'SuiLan' , 'Treco Dwarf Pink' , 'Tresco Dwarf Pink' , 'Tresco Mauve' , 'White Dazzler'
参考
1)PlantZAfricaWatsonia angusta Ker Gawl.
http://pza.sanbi.org/watsonia-angusta
2) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINEGenus Watsonia
https://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=gn&name=Watsonia
3) The Jepson HerbariumWatsonia meriana
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=48519
4) Plants of the World Online | Kew ScienceWatsonia
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:328242-2
5) Flora of VictoriaWatsonia
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/bbd53e80-8ff1-44c1-8dc6-0c193731a39b
6) GRINWatsonia
https://gringlobal.irri.org/gringlobal/taxon/taxonomygenus?id=12788