ワスレナグサ 勿忘草、忘れな草

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Flora of Mikawa

ムラサキ科 Boraginaceae ワスレナグサ属

別 名 シンワスレナグサ、エゾムラサキ
中国名 勿忘草(wu wang cao)
英 名 forget-me-not
学 名 Myosotis spp.
Myosotis sylvatica Hoffm.
Myosotis scorpioides L.
ワスレナグサの花序
ワスレナグサの花序2
ワスレナグサの花序3
ワスレナグサの花
ワスレナグサの花柄、花序柄
ワスレナグサの茎
ワスレナグサ
ワスレナグサの花2
ワスレナグサ萼の鈎状毛
ワスレナグサ葉
花 期 4~9月
高 さ 10~40㎝
生活型 多年草、1年草
生育場所 園芸栽培種
分 布 帰化種 アジア、ヨーロッパ原産
撮 影 西尾市   17.4.4
ワスレナグサはムラサキ科 ワスレナグサ属の園芸品種等の総称。狭義には、ワスレナグサ属の1種 Myosotis scorpioides の和名であり、最近は混同しないよう、シンワスレナグサといわれる。ワスレナグサ属の種は世界に約100種ほどが確認されている。少数しかない絶滅危惧種も多い。園芸品種として野生種がそのまま栽培されているものや、選抜、交配により作り出されたものが多数ある。栽培品種は、エゾムラサキ Myosotis sylvatica、シンワスレナグサ(ワスレナグサ)Myosotis scorpioides、 ノハラワスレナグサMyosotis alpestris、の3種がもとになっているものが多く、これらのハイブリッドも多い。園芸品種に品種名がつけられずに、ワスレナグサとして販売されていることも多い。エゾムラサキは花期が4~5月、萼片が長く、鈎状毛があり、シンワスレナグサは花期が6~8月、萼片が短く、鈎状毛がない。写真はワスレナグサとして販売されていたエゾムラサキ系統の品種不明のもので、萼の毛が鈎状毛。
 野生化しているものも多く、シンワスレナグサ、エゾムラサキ、タビラコモドキ、 ノハラワスレナグサ、ハマワスレナグサなどが世界中で帰化している。

ワスレナグサ属

  familia Boraginaceae - genus Myosotis

 1年草又は多年草、短毛があるか又は無毛。葉は互生。集散花序は開花期に総状花序のようになり、苞葉は無く又はまれに、少数の苞がつく。萼は5浅裂~5全裂し、果時にわずかに大きくなるか又は大きくならない。花冠は青色又は白色、まれに淡紫色、普通、高坏(たかつき)形、まれに鐘形又は漏斗形、花冠の喉部の付属帯は5個、鱗片状。花冠裂片は5個、平開し、丸形、縁は回旋状。雄しべは筒部の内部にあり、葯は卵形~楕円形、先は鈍形。子房は4室、普通、卵形、密着し、レンズ形、直立し、平滑、光沢があり、基部に付着跡がある。果実は4分果の小堅果。アフリカ、アジア、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカなどに約100種が分布する。

【ワスレナグサ属の種】
 ワスレナグサ属の種は500を超えた種が報告されているが、同義語が多く、混同されていたものも多く、混乱している。分布はユーラシア西部、ニュージーランドに多く、南北アメリカなどにも少数、分布する。The Plant Listでは次の61種が載せられているが、ニュージーランド固有種が含まれていない。世界中では約100種程度あるものと思われる。
Myosotis abyssinica、Myosotis afropalustris 、Myosotis albiflora 、Myosotis alpestris 、Myosotis alpina 、Myosotis ambigens 、Myosotis antarctica 、Myosotis arvensis 、Myosotis asiatica 、Myosotis azorica 、 Myosotis balbisiana 、Myosotis baltica 、Myosotis bothriospermoides 、Myosotis cadmea 、Myosotis congesta 、Myosotis corsicana 、Myosotis debilis 、Myosotis decumbens 、Myosotis densiflora 、Myosotis discolor 、Myosotis dissitiflora(unresolved)、Myosotis exarrhena(Myosotis suaveolens) 、Myosotis gallica 、Myosotis galpinii 、Myosotis graminifolia 、Myosotis incrassata 、Myosotis keniensis 、Myosotis krylovii 、Myosotis laingii 、Myosotis lamottiana 、Myosotis latifolia 、Myosotis laxa 、 Myosotis lithospermifolia 、Myosotis litoralis 、Myosotis macrosperma 、Myosotis minutiflora 、Myosotis nemorosa 、Myosotis persoonii 、Myosotis pusilla 、Myosotis ramosissima 、Myosotis refracta 、Myosotis rehsteineri 、 Myosotis rivularis 、Myosotis ruscinonensis 、Myosotis sachalinensis 、Myosotis scorpioides 、Myosotis secunda 、Myosotis semiamplexicaulis 、Myosotis sicula 、Myosotis soleirolii 、Myosotis sparsiflora 、Myosotis speluncicola 、 Myosotis stenophylla 、 Myosotis stolonifera 、Myosotis stricta、Myosotis strigulosa 、 、Myosotis sylvatica、Myosotis ucrainica 、Myosotis verna 、Myosotis vestergrenii 、[Myosotis virginiana =Hackelia virginiana]、 Myosotis welwitschii

ニュジーランドのワスレナグサ属

 ニュージーランドでは調査が進んでおり、40種以上の自生の固有種が確認され、16種の絶滅危惧が懸念され、11種がニュジーランドの近絶滅種CRに指定されている。 固有種でないものは6種と少なく、ほとんどが固有種である。  
【ニュージーランド固有種】
(1)Extinct 絶滅
  M. laingii , M. traversii var. cinerascens
(2)Threatened
 (2-1)Nationally Critical近絶滅種CR
  M. albosericea, M. angustata, M. chaffeyorum, M. colensoi(2n = 46) , M. lytteltonensis(2n = 40),
   M. matthewsii, M. mooreana, M. oreophila, M. petiolata(2n = c.36), M. pottsiana(2n = 44), M. saxosa(2n = 44) ,
 (2-2)Nationally Endangered 絶滅危惧種EN
  M. brevis , M. cheesemanii , M. laeta(2n = 46) , M. pansa , M. pansa subsp. pansa(2n = 44) ,
 (2-3)Nationally Vulnerable 危急種VU
  M. hortensi(2n = 40-42) , M. glauca ,
(3)Data Deficient情報不足DD
  [M. amabilis], [M. elderi] , M.glabrescens,, M. lyallii , [M.pansa subsp. praeceps] ,
   M. pygmaea(2n = 44) , M. suavis
(4)Naturally Uncommon
  M. antarctica , M.arnoldii , M.brockiei, M. capitata(2n = 46) , M.(2n = 44) , M. explanata ,
   M. goyenii , M. monro , M. rakiura , M. spathulata(2n = 46) , M.tenericaulis , M. uniflora ,
   M. venosa
(5)Not Threatened危機なし
   M. australis , M. drucei(2n = 44) , M. forsteri , M. macrantha(2n = 48), M. pulvinaris ,
   M. traversii var. cantabrica(2n = 48) , M. traversii var. traversii(2n = 48) 
  参考 Museum of New Zealand
【 固有種以外の6種】
  Myosotis arvensis(field forget-me-not)、Myosotis discolor(grassland forget-me-not)、Myosotis laxa subsp. caespitosa(water forget-me-not)、Myosotis scorpioides var. strigulosa(water forget-me-not)、Myosotis stricta(grassland forget-me-not)、Myosotis sylvatica(garden forget-me-not)
 参考)New Zealand Plant Conservation Network http://www.nzpcn.org.nz/

オーストラリア原産の種はニュージーランドと比べて少なく、 ニュージーランドだけに種類が多い。
 ●Myosotis australis R.Br. オーストラリア、ニュージーランドに自生。
 多年草。ロゼットは普通、茎が1本。葉はへら形~楕円形、長さ2~6㎝、幅4~12㎜、先は円形~微突形、有柄、葉身とほぼ同長ではっきりしない。葉の上面は開出する細かい毛が密生し、しばしば鈎状になる。下面はまばらに短く、後方へ向いた毛がある。枝は少数~多数、斜上又は直立し(基部からでなく)、長さ30㎝以下、節間は普通、葉の長さ以上ある。上部の茎葉は無柄、へら形~長楕円形、たいてい、長さ10~15㎜、先はほぼ鋭形、上面の毛は絹状、伏毛が混ざり、下面ではまばらに短毛が不規則に混ざる。散形花序は基部を除いて苞がほぼ無く、ほとんど1個、頂生、又は茎葉の葉腋から出る1次又は2次枝の先につく。花柄は非常に短い。萼は長さ約4㎜。萼片は萼の長さの半分より長く、狭く、先が尖り、長毛が先の方につき、短い鈎状毛は基部につき、微細な短毛が全体につく。花冠は白色又は黄色、花筒は萼の長さと等しいか又は長く、先が最も太い。花冠裂片は円形、凹面形。花糸は非常に短く、下部に鱗片をつける。葯の先はかろうじて鱗片に届く。花柱は花筒の長さにほぼ等しい。小堅果は長さ1.4~2.1㎜、幅0.8~1㎜、卵形~卵状楕円形、黒色。
 ● Myosotis exarrhena F.Muell. オーストラリアのビクトリア州、ニューサウスウエールズ州、タスマニア島に自生する。 syn. Myosotis suaveolens (R.Br.) Poir. 英名はSweet Forget-me-not。
 多年草。高さ20~50㎝。普通、直立し、枝にはほぼ直立する毛が密生する。葉は密に毛があり、先は鋭形~鈍形、縁は平ら。根生葉は倒卵形~倒披針形~長楕円形、長さ3.5~10㎝、幅3~13㎜。茎葉は披針形。花序軸には前向きの伏毛がある。花柄は長さ約3㎜。萼片は長さ3.5~6㎜、先が尖り、下1/3が合着し、古くなると伸び、下部は密に鈎状毛で覆われる。花冠は長さ(3~)6~11(~13) ㎜、萼片から突き出し、無毛、白色~淡青色、花筒は裂片より普通、わずかに長い。雄しべは花筒から1~7㎜突き出す。花柱は花筒から1~10㎜、突き出す。分果は長さ約2㎜、淡褐色~暗褐色。花期は10月~4月。初めは'Wimmera'と呼ばれた。花の大きさ、形、雄しべの突き出し形など様々あり、花冠の長さが3~5㎜の小さな花がイースト・ギップスランドで採取された。花冠の長さが約10㎜と短い約3㎜のものがビクトリア州東部の標高の高いところで見つかった。 花冠などに変化がおきやすい。
 ●Myosotis ramosissima Rochel ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産。ビクトリア州南西部のダートムーア近くの草深い道端に帰化している。
 1年草、高さ10~40㎝。直立又は傾伏、枝は開出する毛が密生。葉は直毛に覆われ、先は鈍形、縁は平ら。根生葉は倒卵形、長さ約4㎝、幅約1㎝。茎葉は長楕円形~狭楕円形。花序軸は前向きの伏毛が密生する。花柄は長さ4㎜以下、果時に長さ3~5㎜。萼片は長さ1~2㎜、果時に5㎜以下、基部の半分が合着し、下部が鈎状毛に覆われる。花冠は長さ2~3㎜、直径4㎜以下、萼片から突き出し、無毛、明青色、喉部は黄色、花筒は裂片より長い。雄しべと花柱は花筒内にあり、花柱は雄しべより短い。分果は長さ約1.5㎜。花期は春。

ワスレナグサ属の主な種と園芸品種

1 Myosotis alpestris F.W.Schmidt ノハラワスレナグサ
  synonym Myosotis sylvatica Ehrhart subsp. alpestris Koch. ,
 ヨーロッパ、イギリス、アジア(中国、インド、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)、北アメリカに分布する。中国名はFlora of China では勿忘草(wu wang cao)、中国植物誌ではMyosotis sylvatica を勿忘草としている。英名は alpine forget-me-not。園芸品種がある。
 多年草。茎は単一、直立又は叢生し、高さ20~45㎝、まばらに開出する剛毛があり、ときに綿毛状。基部葉と下部の茎葉は有柄、狭い倒披針形~線状披針形、長さ8㎝以下、幅5~12㎜、剛毛があり、毛の基部は円盤状。葉身は基部が漸尖し、翼があり、全縁、先は円形~鋭形。上部の茎葉は無柄、小さい。花序は花時の後に長さ15㎝以下、苞は無い。花柄は果時に直立し、長さ4~6㎜、短い剛毛が密生する。萼は長さ1.5~2.5㎜、果時に長くなり、長さ4~5㎜、基部近くまで分裂する。裂片は披針形、開出する又は鈎状の毛が密生し、先は尖鋭形。花冠は青色、筒部は長さ約2.5㎜。喉部の付属体は長さ約0.5㎜、拡大部(花冠の直径)は幅6~8㎜。花冠裂片は5個、円形、長さ約3.5㎜。葯は楕円形、先に円形の付属体がある。小堅果は暗褐色、卵形、長さ約2㎜、幅約1㎜、平滑、光沢があり、基部に付属体は無く、縁は狭い。2n = 14, 24, 30, 48, 70, 72.     2n=24と2n=48が多い。
 園芸品種) 'Alba'、 'Bosmypo' 、 'Compindi'、'Gold 'n' Sapphires'、'Nana' 、'Ruth Fischer'

 変種、亜種)
  Myosotis alpestris var. albicans
  Myosotis alpestris subsp. alpestris
  Myosotis alpestris subsp. pyrenaeorum
  Myosotis alpestris subsp. suaveolens
  Myosotis alpestris subsp. mrkvickana

2 Myosotis asiatica (Vesterg.) Schischkin et Sergievskaja
  synonym Myosotis alpestris F.W. Schmidt ssp. asiatica Vesterg. ,
  synonym Myosotis alpestris auct. non F.W. Schmidt
 ヨーロッパ、アジア、北アメリカに分布する。英名はAsian forget-me-not , mountain forget-me-not。 ノハラワスレナグサと同一とされていたこともあり、Alpine Forget-me-notともいわれる。
 多年草、ひげ根があり、基部の短い枝から数個~多数の茎を出し、高さ5~40㎝、強く、長さは短~中間、やや扁平な毛が全体にある。基部葉は倒披針形~楕円形、柄を含めて長さ13㎝以下、幅13㎜。茎葉は互生、数個つき、小さく、長さ6㎝をめったに超えず、ほとんど長楕円形~槍状楕円形、無柄。花は枝に束状に数個つき、花序に葉(苞)はなく、初め束は小さいが、華やかな、やがて、長くなって開く。果柄は斜上して広がり、長さ3~5㎜との萼とほぼ同長か又はやや長くなる。萼は硬い、広がったやや平らな毛と筒の上にやや広がった鈎状毛がある。裂片は筒部より明らかに長い。
花冠は青色、まれに白色、平らな拡大部(花冠の直径)は幅4~8㎜、黄色の目がある。花期は6~8月。果実は小堅果、光沢があり、平滑、黒色~帯黒色、成熟すると長さ1.5㎜、花柱より長い。牧草地、山地の開けた湿った山林に生える。

3 Myosotis arvensis (L.) Hil ノハラムラサキ
  synonym Myosotis scorpioides L. var. arvensis L.
 ヨーロッパ、アジア西部、北アフリカに分布する。英名はfield forget-me-not、common forget-me-not 、field scorpion-grass 、forget-me-not 、rough forget-me-not 
 1年草又は普通、2年草、ときに多年草。直根は短く、多数、分枝し、高さ10~40㎝。茎は斜上又は直立、普通、分枝し、丸形又はわずかに稜形、毛は普通、上向き、茎と同じように赤色を帯びる。基部葉は柄があり、広い翼があり、花時には枯れる。茎葉は互生し、無柄。葉身は披針形~倒披針形、全縁、両面に毛がある。花は放射相称(Regular)、幅3~4㎜。花冠は青色、融着し、漏斗形、5裂し、筒の喉部に突起がある(protuberances)。萼は融合し、鐘形(bell-shaped)、5裂し、裂片は狭く、毛は基部が広がり、先が鈎形、萼の先とともに赤色を帯び、艶は無い。萼は果時に長さ3~5㎜、普通、閉じ、果実といっしょに落ちる。雄しべは5個、花糸は萼の筒に融合する。雌しべは合着し、1本になる。花序はさそり形集散花序、伸びて総状花序のようになる。花は全て苞が無い。花柄は毛が表面とともにほとんど赤色を帯び、後に萼の長さの約2倍になる。果実は4分離果。分果は卵形、 光沢があり、狭い翼があり、初め、黄褐色、熟すとほとんど黒色になり、長さ1.5~2㎜。荒地、庭、囲い地、牧草地 岩地に生える。花期は(5)6~9月。
 変種、亜種
  Myosotis arvensis subsp. arvensis
  Myosotis arvensis f. daghestanica
  Myosotis arvensis subsp. umbrata
  Myosotis arvensis var. garciasii

4 Myosotis azorica H.C. Watson ex Hook
  synonym Myosotis maritima Hochst. ex Seub
 アゾレス諸島固有種。湿った岩場に生える。国際自然保護連合(IUCN)レッドリスト Vulnerable D1。 アメリカの西海岸に帰化している。英名はAzores forget-me-not , Azorean forget-me-not。 
 多年草、茎は傾伏し、高さ15~30㎝。葉は軟毛が密生し、基部は茎を抱く。上部の葉は長楕円形、先が鈍形、下部の葉は長楕円状へら形.。萼は深裂。花序に苞は無い。花はさそり状散形花序に密につき、直径約1.3㎝、美しい濃青色(indigo-blue)、小さな黄色の目がある。花期は夏。

5 Myosotis bothriospermoides Kitag イヌハナイバナ
 中国原産。中国名は承德勿忘草 cheng de wu wang cao 。
 細くて弱い草本。茎は斜上し、下部の節から根を出し、しばしば分枝する。枝はまばらに剛毛がある。茎葉は無柄、長楕円形~狭い長楕円形、まばらに剛毛があり、基部は漸尖、先は鈍形。花序は広い、間隔があり、花時に非常に長く伸びる。花柄は長さ1.5~2.5㎜、花後は最大2.2㎝に伸びる。萼は長さ約3.5㎜、果時に6㎜以下に伸び、外面にまばらに剛毛がある。萼裂片は狭い卵状長楕円形、果時に長さ約2.6~3㎜、縁毛があり、先は鋭形~鈍形。花冠は青色、長さ約3.5㎜、筒部は長さ約1.5㎜。花糸は花冠筒部の中間につき、長さ約0.4㎜。葯は楕円形、先に丸い膜質の付属体がある。子房は平滑、長さ約0.5㎜。花柱は線形、長さ約1.2㎜、平滑。小堅果は暗褐色、背腹扁平、内面はほぼ平ら、三角形、長さ1.6~1.7㎜、幅1.5~1.6㎜、光沢があり、基部は広楔形、縁は狭く、外面は凸形、先は鈍形。

6 Myosotis discolor Pers ハマワスレナグサ
  synonym Myosotis versicolor (Pers.) Sm
 ヨーロッパ原産、北アメリカ、オーストラリアに帰化している。英名はchanging forget-me-not、 Yellow-and-blue forget-me-not。
 1年草、たまに2年草、軟短毛~粗毛がある。根はひげ根。茎は高さ10~50㎝、細く、分枝は有又は無。葉は疎につき、一般に長さ1~4㎝、幅2~8㎜、下面は有毛、先は鈎状にならない。基部葉は倒披針形。茎葉はほぼ線形~長楕円形。花は植物体の上部1/2につき、苞は無(又は基部近くに1~2個)い。果時の花柄は萼より短い。萼は長さ3~5㎜、筒部は毛が開出し、先が鈎状になり、剛毛又は微剛毛もある。花冠は普通、直径1~3㎜、広い漏斗形、黄色から青色に色が変わる。付属体は目立ち黄色、赤色に変わる。果実は小堅果、普通、花柱より短く、暗褐色又はほぼ黒色。 2n=64。道端、湿った土地、湿った草地。花期は4~7月。
 いくつかの亜種が報告されている。
  Myosotis discolor subsp. discolor
  Myosotis discolor subsp. balbisiana
  Myosotis discolor subsp. canariensis
  Myosotis discolor subsp. dubia
  Myosotis discolor subsp. persoonii
  Myosotis discolor subsp. rosmarina

7 Myosotis dissitiflora Bak
  synonym  Myosotis montana 。
 スイスのアルペン山脈に自生。英名はearly forget-me-not。Myosotis sylvaticaによく似ているが、穂状花序が互いに離れて、直立する。
 2年草又は多年草、高さ15~30㎝。茎は斜上又は直立し、上部で分枝する。基部葉は薄く、長さ8㎝以下、倒卵状楕円形~長楕円状披針形、先は尖り、基部は狭くなる。茎葉は卵状披針形、鋭く尖り、無柄。集散花序に花を多数つける。花は濃い空色~暗青色、花冠は直径4㎜以下。花期が早く、4~5月。
 園芸品種)'Blue Bird'、'Elegantissima'

8 Myosotis latifolia Poir. 
 北アフリカ原産。北アメリカに帰化している。英名はbroadleaf forget-me-not , Canary forget-me-not 。
 多年草。茎は高さ70㎝以下、基部は木質になる。基部葉は大きく、卵形。茎葉は長楕円形。花序は基部に苞があり、花柄は果時に長くなり、広がり、長さ5㎜以上で萼より長い。萼は果時に長さ3~6㎜、萼筒は有毛、広がり、普通、先は鈎状。花冠は直径5~10㎜、高杯形。花筒は萼の長さの約2倍、普通、ピンク色~青色に変わり(蕾がピンク色)、付属体は黄色で目立つ。果実は小堅果、長さ2~3㎜、花柱より長く、広卵形、暗褐色。2n=18。湿った、攪乱された日陰に生える。花期は2~7月。

9 Myosotis laxa Lehm  タビラコモドキ(広義)
 英名はtufted forget-me-not ,bay forget-me-not 、small-flowered forget-me-not
 3亜種に分類されている。
9-1Myosotis laxa Lehm subsp.laxa
 北アメリカ、南アメリカ(チリー)に分布する。
 1年草又は短命の多年草。茎は長さ10~40㎝、細く、弱く、しばしば、傾伏するが、基部は匍匐せず、ストロンのようにならず、剛毛があることもある。葉は長さ1.5~8㎝、幅3~15㎜、基部葉は倒披針形。茎葉は長楕円形~披針形。花序は基部に苞があり、花柄は果時に萼より長くなる。萼は長さ3~8㎜、筒部の毛は伏せた剛毛であり、先は鈎状にならない。萼の筒部は裂片と同じ長さ又は以下。萼裂片は等長又は不等長、狭三角形。花冠は直径2~5㎜、ほぼ高坏(たかつき)形、青色。付属体は明瞭、黄色。果実は小堅果、長さ<2㎜、花柱より長く、褐色~黒色。2n=+-80。花期は4~9月。
9-2 Myosotis laxa Lehm. subsp. caespitosa (C.F.Schultz) Hyl. ex Nordh.  タビラコモドキ
  synonym  Myosotis caespitosa Schultz(Flora of China)
 ヨーロッパ原産。オーストラリア、ニュージーランンドには広く帰化、普通に見られる。英名はbay forget-me-not, forget-me-not, small forget-me-not, smaller forget-me-not, tufted forget-me-not, water forget-me-not。別名はカブムラサキ
 1年草又は2年草、高さ20~40㎝。茎は傾伏又は斜上する。葉は狭く、茎に互生して直接つき、先は尖るか又は円く、中脈は明瞭。葉は普通、長さ3~6㎝、淡緑色、まばらに伏毛がある。花は幅2~4㎜、淡青色(中央は黄色)。花柄は果時に萼の2~3倍の長さになる。小堅果(4個)は暗褐色。花期は9~4月(ニュージーランド)。2n= 22, 44, 48, 86, 88
 ※Flora of China では中国、北アフリカ、アジア亜熱帯地域、ヨーローパ、北アメリカに分布するとしている。中国名は湿地勿忘草 (shi di wu wang cao)。 以下はFlora of Chinaの解説。
 多年草、不定のひげ根が密につく。茎は不分枝、ときに分枝し、高さ15~50(~70)㎝、まばらに剛毛がある。 下部の茎葉は葉柄があり、長楕円状~倒披針形、長さ2~3㎝、幅3~8㎜、まばらに剛毛があり、基部は漸尖、全縁、先は鈍形。上部の茎葉は無柄、倒披針形~線状披針形、長さ3~7㎝、幅5~13㎜。花序は開花の後に長くなり、果時に長さ10~20㎝、苞は無又は花軸の下部の数個の花に線形の苞がある。花柄は果時に開出し、長さ6~8㎜、普通、萼より長い。萼は鐘形、基部は楔形、中央近くまで5裂し、長さ約2㎜、果時に長さ3~4㎜。裂片は三角形、硬く、外面にまばらに剛毛があり、先は鈍形。花冠は薄青色、長さ2~3㎜、筒部はほぼ萼と同長、喉は黄色、付属体が5個あり、拡大部は幅3~4㎜。裂片は開出し、卵形、長さ約1.5㎜。葯は楕円形、長さ約0.6㎜、上部の付属体は丸く、葯の長さの約3倍。小堅果は暗褐色、卵形、長さ1.5~2㎜、平滑、上部の縁は狭く、先は鈍形。2n = 22, 44, 48, 86, 88。

9-3 Myosotis laxa Lehm. subsp. baltica (Sam.) Hyl. ex Nordh. ナヨナヨワスレナグサ
  synonym  Myosotis baltica Sam.
 分布はヨーロッパのバルト海地域の海岸に限定される。
 M. laxa ssp. caespitosaとM. laxa ssp. balticaの特徴は次の表のとおりである。この中間のものも普通に見られる(Apelgren 1990b).。後にApelgren (1991)はこれらの中間のものを異種とし、 M. laxa var. laxa,として扱う。

     M. scorpioides, M. laxa ssp. baltica , M. laxa ssp. caespitosaの特徴
  ナヨナヨワスレナグサ タビラコモドキ シンワスレナグサ
学名 M. laxa ssp. baltica M. laxa ssp. caespitosa M. scorpioides 
生活形 1年 1年、2年、多年 1年、2年、普通多年
分枝 基部で稀 上部でよく分枝 全体に分枝
花序内の葉の有無 普通、有 普通、無 普通、無
花冠径 ㎜ 2~5㎜ 4~5 (6)㎜  6~10㎜
萼の切れ込み 最大1/2 最大1/2 最大1/3
萼片の形 長楕円状三角形 長楕円状三角形 三角形
花柱と萼の長さ比較 萼より短い 萼より短い 萼より長い
果時の萼の長さ 最大8㎜、花後の伸びが大きい  最大5㎜、花後の伸びが少ない 最大5㎜、花後の伸びが少ない
果時の花柄の長さ 最大25 (35)㎜、萼よりかなり長い 最大10㎜、萼よりそれほど長くない 最大20㎜、萼より長い
果実の長さ 最大2.5×1.4 ㎜ 最大1.5×1.0㎜ 最大2.0×1.0㎜
茎の強さ 弱い 強い 強い
茎の長さ 最長30㎝ 最長50㎝ 最長50㎝
ランナーの有無
花時のロゼット 普通、無 普通、有 普通、有
花期 5~7月 5~9月 5~9月
 ※ Morphological and Genetic Relationships of Myosotis laxa ssp. baltica and ssp. caespitosa , and Typification of M. laxa ssp. baltica Vol. 78, No. 1: 37-49, 2009 Silvia Pihu et. al.
  Samuelsson (1926), Schuster (1967), Vil- jasoo (1969), Grau and Merxmuller (1972), Lazdauskaite et al. (1996) , Ulvinen (1998).に基づく

10 Myosotis macrosperma Engelm. 
  synonym Myosotis verna var. macrosperma, Myosotis virginica var. macrosperma
 北アメリカ(USA、カナダ)に分布する。英名はlargeseed forget-me-not , big-seeded scorpiongrass , spring forget-me-not 。
 1年草、細い直根があり、ロゼット状にはならない。1~2本の茎を出し、枝は斜上し、高さ25㎝以下。シュートは茎葉だけをつけ、長さ1㎜以下の白色の剛毛で覆われ、毛の基部は膨れ、先は鈎状にならない。茎は2稜があり、幅4.5㎜以下、初めは、それぞれの茎葉から下行する2列の稜があり、緑色。葉は螺旋状に互生、単葉、無柄、托葉は無い。葉身は狭倒卵形~狭楕円状長楕円形、長さ14~67㎜、幅5~13㎜、基部は狭まり、全縁、先は鈍形、カルス状(硬くなった癒合組織)。中脈は上面でわずかに沈み、下面に持ち上がる。花序は散形花序、主茎や枝先に頂生し、10個以上の花をつけ、片面につくのは不明瞭、巻いた先に蕾や花をつける。花期に花柄があり、苞は無く、上部に尖った剛毛がある。花序柄は長さ10㎜以下、花時の花序軸の節間は約1.5㎜、果時に最大35㎜まで伸びる。花柄は長さ1~1.5㎜、果時には2倍に長くなり、弓状になる。花は両性、幅約2㎜。萼は5裂する。萼片は花時に直立し、長さ2~2.5㎜、果時には長さが3倍になり、斜上~平開し、緑色、長さ約1㎜の無色の強い鈎状毛がある。萼筒は杯形、中間位置で幅約1.2㎜。萼片は先が尖った三角形、長さは最下の1裂片>2側片>2上片、それぞれ、3脈がある。花冠は5裂、裂片は短く、白色、無毛。筒部は長さ2.4~2.7㎜、萼より長く、子房の近くの最も広い基部で幅約1.2㎜、狭い部分は幅0.5~0.6㎜、裂片の基部に小さな鱗片状の付属体が2個ずつつく。花冠裂片(花弁)は等形、広卵形、約0.5 ×0.5㎜。雄しべ5個、花冠の基部1㎜以内に融合し、葯の高さが同じで、花筒内にある。花糸は長さ0.1~0.15㎜、白色。葯は側着、2半葯、長さ約2㎜、橙赤色、無色の先の尖りは長さ0.15㎜以下、縦に裂開する。花粉は帯橙色。下部の蜜腺は盤状、目立たない。雌しべ1個。子房上位、4深裂、長さ約0.35㎜、裂片は楕円形、緑色、無毛、4室、各室に子房が1個ずつ入る。花柱は子房裂片の中心から立ち上がり、長さ0.6~0.7㎜、幅0.2㎜、果時に伸びず、淡緑色、無毛。柱頭は頭状、緑色。果実は小堅果は2(~4)個、2個が向かい合ってつき、2個が発育せず、直立し、レンズ形、約 2 × 1.7 × 0.75㎜、光沢のある褐色(緑褐色)、平滑、鈍い縁があり、先は鈍形、無毛。花期は4~5月。

11 Myosotis scorpioides L.  シンワスレナグサ(ワスレナグサ)
 synonym   Myosotis palustris (L.) Hill
 アジア(モンゴル、ロシア)、ヨーロッパに分布する。scorpioides は花序の先が巻き、サソリの尾に似ていることから。英名はforget-me-not、true forget-me-not、water forget-me-not、water。 scorpion-grass。 世界中で栽培され、帰化し、日本でも北海道、長野県などで帰化している。園芸品種があり、園芸品種にはエゾムラサキなどの他種とのハイブリッドが多い。
 湿った場所を好む。多年草。茎は高さ20~60㎝、普通、分枝せず、稜角があり、基部はしばしば匍匐し、ストロンのようになり、剛毛があることもある。葉は長さ2.5~8㎝、幅7~20㎜、下部の葉は葉柄があり、上部では無柄、両面に微細な毛がまばらにある。基部葉は倒披針形。茎葉は長楕円形又は楕円形~槍状楕円形。花序は単一又は2分枝、苞が無く、長さ約10㎝、先が巻く。果時に花柄が伸び、萼の長さと同じか又は長く、2~3倍になる。萼は倒円錐形、長さ3~5㎜、筒部はまばらに伏した剛毛があり、先は鈎状にならない。萼裂片は筒部より短く、ほぼ等長、ときに不等長、広三角形(正三角形)、果時に6㎜以下。花冠は直径5~10㎜、青色、高坏(たかつき)形、付属体は目立ち、黄色。果実は小堅果、長さ1.5㎜以上あり、ほぼ花柱より短く、卵形、ほぼ黒色、縁は不明瞭。2n=64.、66。花期は6~8月。Myosotis laxa. と混同しやすい。
 園芸品種) 'Alba' 、'Blaqua'、'Blaqua' (v)、'Ice Pearl' 、 'Mermaid'、'Snowflakes' 、'Unforgettable'、 'Bill Baker'、'Pinkie' 、'Semperflorens' ''Semperflorens'、
 亜種
11-1 Myosotis scorpioides subsp. radicans
11-2 Myosotis scorpioides subsp. praecox

12 Myosotis sparsiflora J.C.Mikan ex Pohl
 中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は稀花勿忘草 xi hua wu wang cao 。沼地、湿地、湿った場所に生える。
 1年草。茎は基部で分枝し、多数、広がる。高さ15~25㎝。枝は広がり、まばらに長軟毛があり、鈎のある毛が混じる。下部の茎葉は倒卵形~披針形、長さ2~3㎝×幅0.8~1.2㎝、まばらに、長軟毛があり、基部は漸尖形、沿下し、翼を作り、先は鈍形~±鋭形。上部の茎葉は無柄、卵状披針形~楕円形、先は鋭形。花序は枝に頂生、苞は無い。花柄は後屈又は反曲し、果時に長さ1.5㎝以下、密に軟毛があり、鈎のある毛が混じる。花は少数、散在し、上部の花は数個。咢は長さ1.5~2㎜、果時にわずかに大きくなり、長さ4~5㎜。咢片は披針形、咢の長さの約2/3、密に開出する長軟毛があり、鈎のある毛が混じり、先は尖鋭形。花冠は薄青紫色、約長さ2㎜×幅3㎜。花冠裂片は卵形、花冠筒部の長さとほぼ同長。葯は卵形、先には円形の付属体をもつ。小堅果は卵形、長さ約2㎜×幅1~1.2㎜、平滑、光沢があり、薄黄色の肉質の軟毛のある付属体を基部にもつ。2n = 18。

13 Myosotis stricta Link ex Roemer & J.A. Schultesv 
  synonym Myosotis micrantha Pallas ex Lehm. Myosotis arenaria Schrad。
 ヨーロッパ(フィンランドなど)、アジア(パキスタンなど)原産。北アメリカ(USAのほぼ全土)に帰化。英名はstrict forget-me-not, blue scorpiongrass , small-flowered forget-me-not。
 1年草又は2年草(winter annual)。茎は普通、基部で分枝し、高さ5~20(30)㎝、長さ0.5㎜以下の長さの不等の毛や鈎状毛で覆われ、赤色を帯びる。基部葉は長さ1~3㎝、幅4~8㎜、長楕円形~倒へら形、全縁、葉の両面はほぼ直立する長さ1㎜以下の毛で覆われ、短い葉柄には翼がある。茎葉は互生し、無柄、全縁、上部の茎葉は小さく、卵状披針形、葉の下面より上面の毛が多く、下面に鈎状毛がある。花序(総状花序)は果時に長さ18㎝以下、花は疎、基部近くまでつき、下部に葉状の苞がつく。花柄は果時に長さ(2)2.5㎜以下で、萼より短く、反曲しない。萼は長さ約2㎜(3~5㎜果時)、中裂し、裂片は線状披針形、基部に細い、ほぼ直立の鈎状毛があり、短い伏毛が混じり、裂片の上にも伏毛がある。花冠は青色、直径1~2(3)㎜、花冠裂片は平開し、筒の喉部に付属体がある。花柱は小堅果より短い。小堅果は4個、ほぼ卵形、長さ約1.4㎜、淡褐色、平滑、光沢がある。岩場、河原、乾いた草地 、草地、砂地、野原、道端などに生える。 花期は5~6月。

14 Myosotis sylvatica Hoffm. エゾムラサキ(ミヤマワスレナソウ、ムラサキグサ)
 アジア(ブータン、インド、ネパール、パキスタン、アルメニア、ジョージア、イラン、トルコ)、ヨーロッパ原産。世界中で栽培され、北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、オーストラリ、ニュージーランドなど世界中に帰化している。sylvaticaはラテン語の森。英名はgarden forget-me-not、wood forget-me-not、woodland forget-me-not 。中国名は勿忘草(wu wang cao)。
 日本では北海道~本州の山地の林内に野生化している。北海道根室付近と長野県松本盆地ものを自生とする見解もある。ワスレナグサ属の中で園芸品種が最も多い。
 2年草又は多年草。茎は強く、直立し、上部で分枝し、高さ12~30(40)㎝、全体に毛があり、茎や萼などが赤色を帯びる。基部葉は葉柄がありロゼットになり、茎葉は無柄。葉は長さ2.5~7.5㎝、長楕円状線形~倒楕円状披針形、緑色、上部のものは基部で茎を抱く。萼は長さ3~5㎜、5深裂し、直立する鉤状毛がある。萼片は萼筒より長く、果時にも残り、開出する。花は集散花序に多数つく。花柄は長さ3~5㎜、伏毛がある。蕾はピンク色で開花初期はややピンク色を帯びる。花冠は5裂し、裂片は平開し、直径(4)6~8㎜、淡青色~薄紫色、中央が白色で、付属体は黄色、古くなると付属体も白色になる。小堅果は黒色、平滑、光沢がある。 花柱は小堅果より短い。花期は4~5月(5~7月)。
 園芸品種)'Blue Ball'、'Blue Basket'、'Bluesylva' (Sylva Series) 、'Bobo Blue'、'Dandy'、'Gold n’Sapphir'、'Indigo' 'Indigo Compacta'、'Mon Amie Blue'(モナミブルー) 、'Music'、'Pompadour'、'Royal Blue Compact'、'Rosylva'、'Rosylva' (Sylva Series) 、 'Snowball'、'Snowdrift' (v)、'Snowsylva'、'Spring Symphony Blue'、'Ultramarine'、'Victoria Azure Blue'、'Victoria Blue'、'Victoria Blue Dwarf'、'Victoria Indigo-blue' (Victoria Series)、'Victoria Lavender' (Victoria Series) 、'Victoria Pink Dwarf'、'Victoria Rose'、'Victoria White'

15 Myosotis verna Nutt. 
  synonym  Myosotis virginica (L.) Britton, Sterns & Poggenb.
 北アメリカに分布する。 英名はspring forget-me-not、early forget-me-not、Virginia forget-me-not, spring scorpion grass。
 1年草又は2年草。茎は高さ10~30㎝、毛は疎につき、粗い。葉は長さ1~4㎝、幅1~10㎜、基部葉は倒披針形、茎葉は線形~長楕円形~倒披針形、無柄、茎の下部のものは短柄。花序は基部や中間に苞がある。花柄は果時にほぼ直立し、萼より短い。萼は長さ4~6㎜、萼筒の毛は広がり、先が鈎状。萼裂片は不等長、2個が長い。花冠は直径1~2㎜、白色、花冠裂片は斜上し、付属体は小さく、ほぼ白色。果実は小堅果、外側が丸く、内側は両凸形。開けた林地、砂地、岩場、牧草地、鉄道沿いなど生育する。花期は4~6月。

ハイブリッド園芸品種

 'Alpestris Blue'、Blue #307、'Bill Baker' 、'Blue Ball' 、'Blue Basket' 、'Blue Cloud' 、'Blue Gnome' 、'Bluesylva' (Sylva Series)、'Bobo Blue' (Bobo Series) 、'Bobo Rose' (Bobo Series) 、'Bobo White' (Bobo Series) 、'Bosmyatla'(PBR)、'Bouquet'、 'Carmine King' 、'Compindi'、'Compindi Deep Blue' 、'Deep Blue Tower' 、'John Beaty' 、'Light Blue' 、'Malmesbury' 、Masha strain 、 'Miro' 、'Mrs K. Johnson' 、'Musik' 、My Oh My = 'Myomark'(PBR)(ミオマルク)、 'Myosotis'、'Nesta' 、'Popsy' 、 'Rolled Gold' 、'Royal Blue' 、'Royal Blue Improved' 、 'Snowsylva' 、'Southern Blues'、'Spring Quartet' 、'Spring Symphony Blue' 、'Springtime'、'Sylva Mixed' 、'Ultramarine'、'Unforgettable' (v) 、'Wake Up Blue'、 'Wake Up Pink'、'Wake Up White' 、ブルームッツ

ワスレナグサ属検索表

1. 萼筒の毛は伏し、先に鈎は無い
 2. 花冠直径 2~5㎜、萼筒± <= 裂片、花柱 < 小堅果
   茎はしばしば傾伏するが、基部は匍匐せず、ストロン状にならない。
   1年草から短命な多年草.
.......... M. laxa
 2' 花冠直径5~10㎜、萼筒 >>裂片、花柱± >= 小堅果
   茎はしばしば匍匐し、ストロン状になる。多年草
.......... M. scorpioides

1' 萼筒の毛は少なくとも多少開出し、多少又は全て鈎状
  3. 萼片は不等長、2個が長い。花冠は直径1~2㎜、白色
.......... M. verna

  3' 萼片は±等長、花冠は直径1~10㎜、普通、青色、
    たまに初め黄色又はピンク色
   4. 果時の花柄 >= 萼、花冠は直径 5~10㎜、多年草
.......... M.latifolia
   4' 果時の花柄 < ~ << 萼、 花冠は直径1~3㎜、1年草、たまに2年草
    5. 花は ±植物の上部1/2につく、花冠は黄色→青色、花柱 >= 小堅果
      葉裏の毛は先が鈎状にならない
..........M. discolor
     5' 花は ± 植物全体につく、花冠は濃青色、花柱 << 小堅果
      葉裏の毛は先が鈎状になる .
...........Myosotis stricta(M. micrantha)
       ※参考 Jepson e Flora

参考

1) Flora of China
 Myosotis  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=121429
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Myosotis  
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30010296-2
3) GRIN
 Myosotis  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=7900
4) Jepson e Flora
 Key to Myosotis  
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_keys.php?key=8758
5) New Zealand Plant Conservation Network
 Flora New Zealand’s Flora  
https://www.nzpcn.org.nz/flora/
6) Flora of Victoria
 Myosotis  
https://vicflora.rbg.vic.gov.au/flora/taxon/b4f129a1-30a6-4bae-b857-fa8c443a5250
7) Flora of Western Australia
 Myosotis  
https://florabase.dpaw.wa.gov.au/browse/profile/21980