ウチョウラン 羽蝶蘭

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Flora of Mikawa

ラン科 Orchidaceae ニイタカヒトツバラン属

英 名 grass leaf orchida
学 名 Hemipilia graminifolia (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
 synonym Ponerorchis graminifolia Rchb. f.
 synonym Orchis graminifolia (Rchb. f.) T. Tang et F.T. Wang
ウチョウランの花
ウチョウランの花2
ウチョウランの葉
ウチョウラン
ウチョウランの花序
花 期 6~8月
高 さ 7~20㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の湿った岩場
分 布 在来種 本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮
撮 影 新城市 14.7.16
自生は少ないが、栽培は比較的容易であり、園芸種として栽培され、園芸品種も多い。
 根は球形に肥厚する。葉は互生し、茎の途中に2~3個つき、長さ7~12㎝、幅3~8㎜の線形~広線形、先は尖り、基部はやや茎を抱き、葉鞘となる。茎頂の小花序に数個~十数個の花をつける。花は紅紫色、苞は長さ7~12㎜の狭披針形。背萼片は側花弁2個とほぼ同長、側花弁を覆うようにつく。側萼片は長さ5~6㎜、横~斜め上につく。唇弁は長さ約13㎜、幅約13㎜、3深裂し、中裂片の先は円頭~微凹頭。距は長さ10~15㎜、前方へ湾曲する。

ニイタカヒトツバラン属

  family Orchidaceae - genus Hemipilia

 多年草、地上生、小型~中型。塊根(tuber)はほぼ球形~楕円形、肉質。茎は直立し、短く、基部に1個の短い鞘状の低出葉(cataphyll)と、単生の葉がある(まれに2枚の葉)。葉は根生し、普通、基物に圧着し、緑色で、しばしば紫色の斑紋があり、心形~卵状心形、基部で茎を直接鞘状に覆い、肉質、無毛。花序は細長く、2~4個の花のつかない苞を散在し、頂生の総状花序に花が緩く~やや密に少数~数個つく。花の苞は披針形、普通は子房よりも短い。花は逆さまになり(resupinate)、紫色、紫赤色、ピンク色、またはほぼ白色、中型。小花柄と子房はしばしばわずかに弧状で、狭円筒状紡錘形、無毛。萼片は離生。背萼片はしばしば直立する。側萼片は広がり、斜め。花弁は普通、背萼片と輻合し、ずい柱を被うフードを形成し、ずい柱は萼片よりわずかに小さい。唇弁は広がり、基部に距があり、、3裂するかまたは全縁、外側に細かいパピラがあり、距の口の下に2つの目立つうね(隆起)がある。距は円筒形~円錐形、かなり長く、しばしば内側にパピラがある。ずい柱は丈夫。葯はフード状、2個の散開する葯室と広い葯隔がある。嘴状体は明瞭、長さ2mm以下、葯細胞の間に突き出し、側裂片は肉質、先は折り畳まれる。花粉塊は2個、顆粒粉状(granular-farinaceous)、小塊が有り(sectile)、長い花粉塊柄(caudicle)を介して粘着体(viscidium)に付着する。粘着体は舟形、嘴状体の側裂片の折り畳まれた先に囲まれる。柱頭の裂片は合流し、わずかに凹面状で、嘴状体の後方にあり、耳状部は2個、葯の基部の両側に1つずつつく。蒴果は狭楕円形。
 世界に約62種あり、ヨーロッパ(ポーランド以東)、アジア東部、日本に分布し、日本ではよく栽培されている。
 広義に含まれたものはSymphyosepalum(中国産)、ウチョウラン属(ハクサンチドリ属) Ponerorchis(約20)、ヒナラン属 Amitostigma (約30種)、ミヤマモジズリ属 Neottianthe(約11種)。

ニイタカヒトツバラン属の主な種

1 Hemipilia alpestris (Fukuy.) Y.Tang et H.Peng ウスイロチドリ 薄色千鳥

  synonym Amitostigma alpestre Fukuy. [Flora of China] ヒナラン属

  synonym Ponerorchis alpestris (Fukuy.) X.H.Jin, Schuit. & W.T.Jin ウチョウラン属

  synonym Orchis alpestre (Fukuyama) S. S. Ying. 
 台湾原産。中国名は台湾无柱兰 tai wan wu zhu lan。南湖雛蘭. 高山雛蘭.別名はウスイロチドウラン、ギムナデニア・オドラティッシマ。標高2500~3800mの台湾中部および北部の高山草原、岩場に生える。
 高さ5~20cm。塊茎は卵形~ほぼ球形、長さ5~7mm×幅3~4mm。茎の基部には2つの筒状の鞘があり、1枚または2枚の葉がある。葉は茎葉、直立または前方に突き出し(porrect)、通常は広く間隔をあけ、倒披針形~線形、長さ3.5~7.5mm×幅0.5~1cm、先は鋭形。花序柄は苞がない。花序軸は長さ1cm未満、花は2~4個つく。花の苞は緑色または紫色、披針形、長さ5~7mm、子房よりわずかに短く、先は尖鋭形。花はしばしば偏側生、淡ピンク色~白色、唇弁に濃ピンク色の斑点がある。子房と小花柄は長さ5~8mm。背萼片は直立し、卵状長円形、凹面形、長さ4~5mm×幅2~2.5mm、1脈があり、先は鈍形。側萼片は広がり、狭楕円形または卵状長円形、わずかに斜め、長さ5~6.5mm×幅2~3mm、3脈があり、先は鋭形。花弁は背萼片と輻合し、フードを形成し、卵状披針形、わずかに斜め、長さ4~5mm×幅1.4~1.6 mm、1脈または3脈があり、先は鈍形。唇弁は倒卵形、長さ5~6.5mm×幅4.5~5.5mm、中央付近で3裂する。ディスクは細かいパピラがある。側裂片は卵状長円形、鎌形、長さ2.8~3.5mm×幅約0.5mm、先は鋭形または鈍形。中央裂片は倒卵状四角形、長さ4~4.5mm×幅約4.5mm、先は切形、浅く切れ込みがあり2個の小裂片を形成し、切れ込みには小さな歯がある。距は垂れ下がり、わずかに内曲し、円筒形、長さ4~4.5mm、子房より短く、先端に向かってわずかに細くなり、先は鈍形。子房は卵形。花期は7月。

2 Hemipilia chidori (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa ヒナチドリ 雛千鳥

  synonym Ponerorchis chidori (Makino) Ohwi [Kewscience] ウチョウラン属

  synonym Chusua chidori (Makino) P.F.Hunt
  synonym Chusua curtipes (Ohwi) P.F.Hunt
  synonym Gymnadenia chidori (Makino) Makino
  synonym Habenaria chidori Makino
  synonym Orchis chidori (Makino) Schltr. ハクサンチドリ属
 日本固有種。北海道、本州、四国に分布する。樹幹に着生する。ウチョウランとニョホウチドリに似るが葉幅が広く、葉が1枚だけ。
 多年草。高さ7~15cmの小型の着生。根は楕円形に肥厚し、茎を斜上する。葉は茎の下部に1枚つき、広披針形、長さ6~12㎝×幅1.2~3.5㎝、基部は茎を抱く。苞はすべて狭披針形。頂生の総状花序に、花を5~10個つけ、一方に傾く。花は直径約1㎝、薄紅紫色、まれに白色。背萼片は長楕円形。側萼片は斜めの卵形、長さ5~6㎜。側花弁は広卵形。背萼片と花弁はかぶと状に集まる。唇弁は長さ8~10㎜、赤紫色の斑紋があり、やや深く3裂する。距は長楕円形、長さ10~17㎜、先は次第に先細になり、基部はわずかに太い。花期は(6)7~8月。

2-1 Ponerorchis chidori (Makino) Ohwi f. albiflora (Sugim.) F.Maek. シロバナチドリ 白花千鳥 異分類

 白花品種。

3 Hemipilia chusua (D.Don) Y.Tang et H.Peng チョウセンチドリ 朝鮮千鳥

  synonym Ponerorchis chusua (D. Don) Soó [Flora of China] ウチョウラン属

 朝鮮、中国(甘粛省、黒龍江省、河南省、湖北省、吉林省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、青海省、陝西省、四川省、西蔵、雲南省)、ブータン、インド、ミャンマー、ネパール、ロシア原産。中国名は广布小红门兰 guang bu xiao hong men lan。標高500~4500mの森林、シャクナゲの低木地帯、高山草原、石灰岩の露頭、ガレ場に生える。
 高さ(5~)8~45cm。塊茎は長円形または球形、長さ10~20mm×幅約10mm。茎は長さ(2.5~)5~23cm、基部に1~3個の筒状鞘があり、(1~)2~5個の葉がある。葉は茎葉、互生し、広く間隔をあけ、緑色、紫色の斑点はなく、線形、長円状披針形または楕円形、長さ3~15cm×幅0.2~3cm、上部では小さく苞状になり、無毛、先は鋭形または尖鋭形。花序は直立またはわずかに湾曲し、長さ2~20cm、無毛。花序軸は長さ1.5~9cm、花は(1~)2~20個。花の苞は披針形~卵状披針形、長さ7~22mm、下部は葉状で花が上方に伸び、先は尖鋭形。花はしばしば偏側生、ピンク色、赤紫色、または紫色、中型。子房は紡錘形、小花柄を含めて長さ7~15mm、無毛。背萼片は直立し、長円形または卵状長円形、凹面形、長さ5~7(~8)mm×幅2.5~4(~5)mm、3脈があり、先はほぼ鈍形または鋭形。側萼片は後屈し、卵状披針形、斜め、長さ6~8(~9)mm×幅3~5mm、3脈があり、先はほぼ鈍形~尖鋭形。花弁は直立し、背萼片とともにフードを形成し、狭卵形、広卵形、または狭卵状長円形、斜め、長さ5~6(~7)mm×幅3~4mm、無毛、3脈があり、先は鈍形。唇弁は広長円形~倒卵形、長さ7~12(~15)mm×幅7~13(~17)mm、距があり、中央より上は3~4裂、縁は小円鋸歯状、ディスクは基部が帯白色、濃紫色のしみがある。裂片は様々。側裂片は広長円形~ほぼ三角形、鎌形、長さ2~3(~5)mm×幅2.5~5(~7)mm、先は鈍形または鋭形。中裂片は長円形、正方形または卵形、長さ1.8~3.5(~5)mm×幅2~3.5(~6) mm、通常長さが幅より長く、先は切形~鈍円形、ほぼ全縁~明瞭なノッチがあり、2個の小裂片を形成し、2個の小裂片の間にはしばしば小突起がある。距はわずかに垂れ下がるか水平で、ときに先が明瞭に上方に湾曲し、円筒形~円筒状円錐形で、しばしばわずかに漸尖し、長さ7~15(~19)mm、通常子房よりわずかに長い。花期は6~8月。

4 Hemipilia cordifolia Lindl. ニイタカヒトツバラン 新高山一葉蘭

  synonym Hemipilia cruciata Finet
  synonym Hemipilia formosana Hayata
 中国、台湾、ブータン、インド、ミャンマー、ネパール原産。中国名は心叶舌喙兰 xin ye she hui lan。林内、岩の多い斜面に生える。
 多年草、高さ13~27㎝。塊根(tubers)は卵形~ほぼ球形、長さ1.5~4.5㎝。茎は基部に1個の筒状の低出葉(cataphyll)があり、葉が1枚つく。葉は下面は帯紫色、上面は暗緑色で紫色の斑点があり、ほぼ円形~心形、長さ2.5~8㎝×幅2~6.5㎝、肉質、基部は心形、先は鋭形または鈍形。花序は長さ11~25㎝、2~3個の花のつかない披針形の苞がある。花序軸は長さ5~10㎝、緩く~ほぼ密に花が3~10個以上つく。花の苞は披針形、先は尖鋭形。花は紫赤色~ピンク色。小花柄と子房は直立し、しばしば、先が弧状になり、長さ7~15㎜。背萼片は長円形~卵状披針形、長さ4~6㎜×幅2~3.2㎜、5脈があり、先は鈍形。側萼片は、後屈し、長円状卵形、かま形、長さ6~7㎜×幅3.5~4㎜、5脈があり、先は尖鋭形。花弁は背萼片と輻合し、フードを形成し、卵形、わずかに斜めで、長さ3.2~4.5㎜×幅2~3㎜、3脈があり、先はほぼ鋭形。唇弁は外形が様々、長さ7~9㎜×幅約5㎜、3裂するが、側裂片はときに削減し、内面に細かいパピラがあり、先の縁は普通、房状へりになる。側裂片は短く、長円形、三角形、またはほぼ円形で、縁は全縁~細かく欠刻状になる。中裂片は長円形~卵状円形、縁は普通、分岐し(diverging)、全縁~わずかに鋸歯状になり、先は分裂しない。距は真っ直ぐで、水平または先がわずかに上向きに曲がりまたは強く下向きに曲がり、円筒形~漸尖形、長さ10~15㎜、先は鈍形。ずい柱は長さ約2.5㎜。嘴状体は長さ約1㎜。蒴果は長さ約2.5㎝。花期は6~9月。2n=42。

5 Hemipilia cucullata (L.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa ミヤマモジズリ 深山文字摺

  synonym Gymnadenia cucullata (L.) Rich.

  synonym Neottianthe cucullata (Linnaeus) Schlechte ミヤマモジズリ属

 日本(北海道、本州の中部地方以北、四国)、韓国、中国、モンゴル、ロシアブータン、インド、ネパール、ヨーロッパ原産。中国名は二叶兜被兰 er ye dou bei lan。森林、雑木林、草が茂った斜面、高山の草原に生える。
 多年草、高さ(4~)8~24㎝。塊根(tubers)は亜球形から卵形、長さ8~15㎜。茎は直立または上昇し、基部に1~2個の筒状鞘があり、葉が(1~)2枚つく。葉は根生、ほぼ対生、暗緑色、下面はしばしば紫色の斑点があり、卵形、楕円形、倒披針状へら形または狭長円形、長さ2.2~9㎝×幅(0.5~)1~3㎝、先は鋭形~鈍形。花序柄は苞が無いか、または1~4個の花のつかない苞があり、最も下部の苞はときに、草質。花序軸は長さ1.5~8㎝、緩く~ほぼ密に、花が4~22個つく。花の苞は披針形、長さ5~12㎜、下部の苞は長く、子房を超え、先は尖柄鋭形。花はしばしば偏側生、ローズピンク色~濃紫色。子房と小花柄はわずかに弧状で、長さ5~7㎜。萼片は輻合し(connivent)、フードを形成し、フードは長さ5~8㎜×幅3~5㎜。背萼片は長円状披針形~披針形、 長さ(4~)5~7㎜×幅1.5~2.7㎜、1脈があり、先は鋭形。側萼片は披針形、斜め、長さ5~8㎜×幅1.5~2.8㎜、1脈があり、先は鋭形~尖鋭形。花弁は背萼片に圧着し、線状披針形、長さ4~7㎜×幅0.5~1.2㎜、1脈があり、先は鋭形~尖鋭形。唇弁は開出し、狭長円形、長さ5~10㎜×幅1.8~3㎜、基部はくさび形、中間付近で3裂する。側裂片は線状披針形、長さ2~6㎜×幅0.3~0.5㎜、1脈があり、先は鋭形。中裂片は線状披針形、長さ4~8㎜×幅1~2㎜、3脈があり、先は鈍形。距は垂れ下がり、真っすぐ~強く前側に曲がり、円筒状円錐形、長さ4~6㎜×基部で直径約1㎜、先は鈍形。花期は7~10月。

6 Hemipilia fujisanensis (Sugim.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa フジチドリ 富士千鳥

  synonym Neottianthe fujisanensis (Sugim.) F.Maek ミヤマモジズリ属

  synonym Amitostigma fujisanense K.Inoue ヒナラン属
  synonym Amitostigma fujisanense Sugim.
  synonym Ponerorchis fujisanensis J.M.H.Shaw ウチョウラン属
 日本固有種。北海道、本州に分布する。大木の樹幹に着生する。
 多年草。高さ4~7cmの小型の着生植物。塊根(tubers)は太さ約11㎜以下。茎は細く、基部に葉が1枚つく。葉は楕円形~狭披針形、長さ30~49mm×幅7~12mm(北海道)、先はやや尖り、縁が波打つ。花序に緩く花を3~5、つけ、偏側に疎らにつける。花は淡紫色、まれに白色、長さ約5mm。苞は披針形。萼片と側花弁がかぶと状になる。唇弁は舌状楕円形で、側裂片は小さく目立たず、中央部に縦に濃紫色の斑紋がある。距は萼片より短く、前方に曲がり、先端は円い。花期は6~7月。

7 Hemipilia gracilis (Blume) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa ヒナラン 雛蘭

  synonym Amitostigma gracile (Blume) Schltr.[Flora of China] ヒナラン属

  synonym Amitostigma chinense (Rolfe) Schltr. ヒナラン属
  synonym Gymnadenia gracilis (Blume) Miq. テガタチドリ属
 日本(本州の茨城・栃木県、静岡県以西、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は无柱兰 wu zhu lan。林内、地面や岩の割れ目、谷の湿った岩地に生える。
 多年草、高さ7~25㎝。塊根(tubers)はは卵形~楕円形、長さ8~15㎝×幅5~10㎝。茎は基部に1~2個の筒状の鞘があり、葉が1枚つく。葉は普通、根生し、水平に広がり(porrect)、長円形~卵状披針形、長さ3~12㎝×幅0.8~3㎝、先は鈍形または鋭形、基部はくさび形で茎を抱き、全縁、葉の表面に光沢がある。花序柄は1個の花のつかない苞がある。花序軸は長さ0.5~4㎝、花が5~15個以上、密につく。花の苞は卵状披針形、長さ2~3㎜、子房よりはるかに短い。花はしばしば偏側生につき、ピンク色、紫赤色、または紫色。子房と小花柄は長さ4~8㎜、普通、真っすぐ。背萼片は卵形、凹面状、長さ2~3㎜×幅1.2~2㎜、1脈があり、先は鈍形。側萼片は直立~広がり、楕円形~卵形、わずかに斜めになり、長さ2~3㎜×幅1.2~1.8㎜、1脈があり、先は鈍形。花弁は背側片と輻合し、フードを形成し、楕円形~卵形、斜めで、長さ2~3㎜×幅約2㎜、1脈があり、先は鋭形~鈍形。唇弁は卵形、長さ3.5~5(~7)㎜×幅2.5~3.2㎜、5~7(~9)脈があり、基部はくさび形、中間の上で3裂する。側裂片は線状長円形~三角形、しばしばかま形、長さ1~2㎜×幅0.5~0.8㎜、先は鈍状切形または鋭形。中裂片は倒卵形、長さ2~2.8㎜×1.2~1.8㎜、側裂片よりも大きく、先は切形または鈍状円形、ときに凹形。距は垂れ下がり、真っすぐ~ごくわずかに内曲し、円筒形、長さ1~2.5(~3.5)㎜、子房よりもはるかに短く、先は鈍形。粘着体は楕円形。柱頭の裂片はほぼこん棒形。花期は6~7月。果期は9~10月。2n=42。

8 Hemipilia graminifolia (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa ウチョウラン 羽蝶蘭 広義

  synonym Gymnadenia graminifolia (Rchb.f.) Rchb.f. テガタチドリ属

  synonym Orchis graminifolia (Rchb.f.) Tang & F.T.Wang ハクサンチドリ属(オルキス)属

  synonym Ponerorchis graminifolia Rchb.f. ウチョウラン属
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、朝鮮原産。英名はgrass leaf orchid。山地の湿った岩場に生える。
 多年草、高さ7~20㎝。根は球形に肥厚する。葉は互生し、茎の途中に2~3個つき、長さ7~12㎝、幅3~8㎜の線形~広線形、先は尖り、基部はやや茎を抱き、葉鞘となる。茎頂の小花序に数個~十数個の花をつける。花は紅紫色、苞は長さ7~12㎜の狭披針形。背萼片は側花弁2個とほぼ同長、側花弁を覆うようにつく。側萼片は長さ5~6㎜、横~斜め上につく。唇弁は長さ約13㎜、幅約13㎜、3深裂し、中裂片の先は円頭~微凹頭。距は長さ10~15㎜、前方へ湾曲する。花期は6~8月。日本には1000種を超える多数の園芸品種があり、栽培されている。
品種) Bokashi Group , Butterfly Wings mixed , Enomoto-chidori Group , Hanmonka Group , Hyoujunka Group , Kaputo-Zaki Group , Kou-itten Group , Kou-itten Rensetsu Group , Momo-itten Group , Niji Group , Rensetsu Group , 'Schneewittchen' , Shi-itten Group , Shiro Group , Shiro Renzetsu Group , Shiroshiten Group , Shishi-zaki Kou-itten Group , Shiten Group , 仁王 , 虹 , 初雪 , 紫鳳

8-1 Hemipilia graminifolia (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa var. graminifolia ウチョウラン 

8-1-1 Ponerorchis graminifolia Rchb.f. f. albiflora (Murai) F.Maek. シロバナウチョウラン 異分類

 白花品種。

8-2 Ponerorchis graminifolia Rchb.f. var. kurokamiana (Ohwi et Hatus.) T.Hashim. クロカミラン 黒髪蘭 異分類

 佐賀県の黒髪山固有変種。黒髪山とその連山の青螺山の周辺に分布する。岩壁にスゲなどと混生する。クロカミランの距はウチョウランと比べて細く短い。唇弁の斑紋もクロカミランの方が濃い。
 花茎が細く、高さ5~20cm。葉は茎の中間に2~3枚つき、葉は線形~広線形、長さ7~12㎝×幅3~8㎜、基部は鞘となって茎を抱き、下面に濃~淡紫色の縦縞があり、まれに無いものもある。花は茎頂に10~20個つき、淡紅紫色、直径約1㎝。側萼片は先が鈍形、水平に開出する。唇弁は広がり、普通、広舌形、浅~中3裂し、鮮やかな紫色の点状~線状の斑紋がある。背萼片は花弁2個を覆うようにつき小さい兜状になる。距は細く、長さ2~3(~7)mm×直径1mm、直線状。開花時期は5~6月。

8-3 Ponerorchis graminifolia Rchb.f. var. nigropunctata F.Maek. ex K.Inoue サツマチドリ 薩摩千鳥 異分類

  synonym Ponerorchis graminifolia Reichenbach f. var. micropunctata F. Maekawa

 鹿児島県の下甑島の固有種。岩場や礫地の草むらに生える。
 多年草、高さ7~20㎝。葉は長さ7~12㎝×幅3~8mm、基部は鞘となって茎を抱き、先は鋭形。花序は草丈の約1/4。花は茎頂に密に15~30個つき、淡紅紫色~淡紅色または白色、直径6~8㎜。側萼片は横一文字に平開し、先端は細く、唇弁の横幅より短く、長さ約8㎜。唇弁は長さ、幅とも約13mm、3裂し、中裂片は先が浅く凹形になり、普通、赤紫色の斑点がある。距は細く、長さ6~8mm×直径約1.2mm、子房より短い。花期は6月下旬~8月上旬。2n=40

8-4 Hemipilia graminifolia (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa var. suzukiana (Ohwi) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa  アワチドリ 安房千鳥

 千葉県南部の低山に分布。小型で、花は基本種より小さいが着花数が多く、唇弁の斑紋は普通、淡紫紅色ではっきりしなが、変化があり、ごく稀に、桃色、濃紫紅色、覆輪、白色もある。距は細く小さい。花期は6~7月。
品種) 白饅頭 , ジパング , 桃色珊瑚 , 紅珊瑚 , 太陽 , 宝姫 , 桃姫。

9 Hemipilia joo-iokiana (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa ニョホウチドリ 女峰千鳥

  synonym Chusua joo-iokiana (Makino) P.F.Hunt [Chusua⇒Ponerorchis]

  synonym Orchis joo-iokiana Makino ハクサンチドリ属
  synonym Orchis matsumurana Schltr.
  synonym Ponerorchis joo-iokiana (Makino) Nakai ウチョウラン属
  synonym Ponerorchis joo-iokiana var. coreana (Ohwi) Soó
 本州(福島県、関東地方北部、中部地方)、朝鮮に分布する。和名は日光の女峰山に因む。山地の岩場や草地に生える。
 高さ10~35㎝。根は球状に肥厚する塊根と細根からなる。葉は1~2枚つき、披針形、長さ8-10cm×幅4-15 mm、先は鋭形。苞は明瞭、披針形で先が尖鋭形。茎は塊根から直立し、花が4-10個、密集してつく。花は紅紫色、まれに白色。萼片は開出し、長さ0.7-1cm、3脈がある。花弁は萼片よりやや短い。唇弁は萼片とほぼ同長、浅く3裂し、基部近くに薄紫色の斑点があり、中裂片は先が凹形で側裂片とぼぼ同じ長さ。距は長さ約15-17 mm、狭円筒形、真っすぐ、後ろに突き出る。2n=42。花期は7-8月。

10 Hemipilia keiskei (Maxim. ex Franch. et Sav.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa イワチドリ 岩千鳥

  synonym Amitostigma keiskei (Finet) Schltr. ヒナラン属

  synonym Gymnadenia gracilis var. keiskei Finet テガタチドリ属

  synonym Gymnadenia keiskei Maxim.
  synonym Orchis keiskei (Finet) Soó ハクサンチドリ属

  synonym Ponerorchis keiskei (Finet) X.H.Jin, Schuit. & W.T.Jin ウチョウラン属

 日本固有種。本州中部地方以西、四国、伊豆諸島に分布する。渓谷の湿った岩場の割れ目などに生える。広く流通し、観賞用によく栽培されている。
 多年草。高さ5~10㎝。地下の塊根は肥厚し、細長く、長さ1~2㎝。葉は茎の下部に1枚つく。葉は披針形、長さ3~5㎝。頂生の花序に花が1~5個つく。花は直径約1㎝、淡紅色。萼片および花弁は小さく、長さ約4㎜、ややかぶと状になる。唇弁は大きくて目立ち、長さ約10mm、3深裂し、中裂片はさらに先端が2裂する。距は短く、長さ2~2.5㎜。花期は5~6月。

11 Hemipilia kinoshitae (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa コアニチドリ 小阿仁千鳥

  synonym Amitostigma kinoshitae Schltr.
 北海道、本州(東北地方・北関東地方・北陸地方)、南千島に分布する。和名は発見地である秋田県上小阿仁村(かみこあにむら)に因む。湿原、湿った岩壁に生える。
 多年草、高さ10~20㎝。根は狭長楕円形に肥厚した大小2個の塊根があり、細いひげ根が2~3本がある。茎は塊根から出て、細い。葉は茎の中間よりやや下に1~2枚つき、広線形、長さ4~8㎝×幅4~8㎜、先は鋭形、基部は茎を抱く。頂生の花序に花が2~5個つく。花は白色または淡紅色、直径約7㎜。苞は長さ3~8mm、広披針形。背萼片は楕円形、長さ3.5~4.5㎜。側萼片は背萼片と同長で斜めの卵形。花弁は広卵形、背萼片よりやや短い。唇弁は長さ7~8mm、内面の基部に紅紫色の斑紋が2列に並び3深裂し、中裂片の先端は凹形。距は短く、長さ1~1.5mm。ずい柱は短い。葯は淡紅紫色。花後に花序の先にむかごができる。花期は6~8月。

12 Hemipilia kiraishiensis (Hayata) Y.Tang et H.Peng ノウコウチドリ 

  synonym Ponerorchis kiraishiensis (Hayata) Ohwi [Flora of China]

  synonym Orchis kiraishiensis Hayata,
  synonym Orchis kiraishiensis Hayata
  synonym Orchis nanhutashanensis S.S.Ying
 台湾原産。中国名は奇莱小红门兰 qi lai xiao hong men lan。標高3000~3900mの高山草原、ガレ場斜面に生える。
 高さ10~18cm。塊茎はほぼ球形または卵形、長さ5~10mm。茎は淡緑色、長さ4~12cm、基部に1~2個の筒状の膜質鞘があり、2~3個の葉がある。葉は茎葉、互生し、密集または広く間隔をあけてつき、緑色で紫色の斑点はなく、線形または線状披針形、長さ4~5cm×幅0.7~0.8cm、無毛、先は鋭形または尖鋭形。花序は直立し、淡緑色、長さ4~10cm、無毛。花序軸は長さ1~3cm、1~3個の花がつく。花の苞は緑色または紫色、披針形、長さ7~20mm、下側の苞は普通子房を越え、先は尖鋭形。花は紫色またはバラ色、中程度の大きさ。子房は紡錘形、長さ10~15mm、小花柄を含めて無毛。背萼片は直立し、長円形、凹面形、長さ6~9mm×幅3~4mm、先は鋭形。側萼片は卵状長円形、斜め、長さ8~11mm×幅3.5~5mm、先は鋭形。花弁は背萼片とともにゆるいフードを形成し、ごく稀に純白色で、卵状長円形、わずかに斜め、長さ6~8mm×幅3~3.5mm、無毛、縁は全縁または不規則な鋸歯があり、先は鈍形。唇弁は倒三角形またはほぼ円形、長さ12~15mm×幅15~16mm、距があり、先に向かって3または4裂する。ディスクは基部が白色または淡黄色、紫色の斑点がある。側裂片は卵形または三角形、長さ2~4mm×幅2~3mm、先は鈍形または切形。中裂片は横長の長円形~卵形、長さ4~8 mm、幅が通常長さより広く、先は切形、凹形~明瞭なノッチがあり、2個の小裂片を形成し、小裂片間はしばしば小突起を持つ。距は垂れ下がり、円筒状円錐形、長さ7~13mm×幅2~3mm、先端は鈍形。花期は7~8月。

13 Hemipilia lepida (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa  オキナワチドリ 沖縄千鳥

  synonym Amitostigma lepidum (Rchb.f.) Schltr. ヒナラン属

  synonym Galearis ferrieana (Kraenzl.) P.F.Hunt [カモメラン属]

  synonym Gymnadenia lepida Rchb.f. テガタチドリ属
  synonym Orchis ferrieana Kraenzl. ハクサンチドリ属
  synonym Orchis lepida (Rchb.f.) Soó

  synonym Ponerorchis lepida (Rchb.f.) X.H.Jin, Schuit. & W.T.Jin ウチョウラン属

 日本固有種。九州の鹿児島県、沖縄、南西諸島(奄美群島、硫黄鳥島、伊是名島、沖縄島、久米島、渡名喜島)に分布する。岩壁の岩の割れ目や草地に生える。
 多年草。高さ10~15㎝。塊根は長さ約1.5㎝。茎は塊根から出て、細い。葉はロゼット状に、2~4枚つき、長さ(2)4~8㎝×幅(1)1.5~2.5㎝、質がやや柔らかい。頂生の総状花序に花が3~7個つく。花は紅紫色、淡紅紫色、淡紅色、桃色、まれに白色、濃色の斑点がある。萼は長楕円形、長さ4~6㎜。側花弁は萼片よりやや短い。唇弁は長さ8~10mm、3深裂し、さらに中裂片が2裂する。距は長さ(3)4~5㎜。花期は2~4月。夏に休眠する。

14 Hemipilia taiwanensis (Fukuy.) Y.Tang et H.Peng アネチドリ

  synonym Ponerorchis taiwanensis (Fukuyama) Ohwi [Flora of China]

 台湾原産。中国名は台湾小红门兰 tai wan xiao hong men lan。標高1500~3400mの台湾中部および南部の崖、岩の裂け目、高山草原に生える。
 高さ9~25(~40)cm。塊茎は楕円形またはほぼ球形、長さ5~30mm×幅5~20mm。茎は緑色で紫色の条線があるかまたは紫色、長さ約12.5cm、基部に1~2個の筒状鞘を持ち、2~5枚の葉がある。葉は茎葉、互生し、間隔が広く、緑色で紫色の斑点はなく、線形~線状披針形、長さ4~9(~15)cm×幅0.4~2cm、上部では小さく苞状になり、無毛、先は尖鋭形。花序は直立し、緑色で紫色の条線があるかまたは紫色、長さ5~12cm、無毛。花序軸は長さ3~10cm、花は5~20個つく。花の苞は直立し、緑色または紫色、披針形、長さ10~15mm、子房とほぼ同長、先は尖鋭形。花は偏側生、淡紫色またはバラ色、まれに白色、中型。子房は紫色または緑色で紫色の斑点があり、円筒形、小花柄を含めて長さ10~15mm、無毛。背萼片は直立し、楕円形、凹面形、長さ5~7mm×幅2.5~4mm、先は鈍形。側萼片は卵形~長円形、斜め、長さ6~7mm×幅3~3.5mm、先は鈍形。花弁は直立し、背萼片とともにゆるいフードを形成し、長さ5~6mm×幅2.5~4mm、縁は縁毛があり、先は鈍形。唇弁は卵状円形、長さ9~15mm×幅8~12mm、距があり、中央付近で3裂し、縁はほぼ全縁~不規則な鋸歯があり、ディスクは基部が白色または淡黄色を帯び、赤色または紫色の斑点またはしみがある。側裂片は横長の長円形~ほぼ四角形で斜め、約・長さ1.8mm×幅2mm、先は鈍形または切形。中裂片はほぼ円形、長さ4~5.5mm×幅4~6mm、通常幅が長さより幅広く、縁には不規則に波打つ鋸歯があり、先は鈍形またはわずかに凹形。距は垂れ下がり、円筒形、長さ12~20mm、子房と同長~わずかに越える長さ、内側に軟毛があり、先は鈍形。花期は7~8月。

15 Hemipilia takasagomontana (Masam.) Y.Tang et H.Peng タカサゴチドリ 高砂千鳥

  synonym Ponerorchis takasagomontana (Masamune) Ohwi [Flora of China]

 台湾原産。中国名は高山小红门兰 gao shan xiao hong men lan。台湾中部および東部い分布し、標高1500~2000mの崖、石灰岩の裂け目に生える。
 高さ14~33cm。塊茎は球形または卵形、長さ10~20mm。茎は帯紫色で、しばしば暗色の条線があり、長さ8~17cm、基部に1~2個の筒状鞘があり、2~5枚の葉がある。葉は茎葉、互生し、間隔が広く、緑色で紫色の斑点はなく、線状披針形または長円状披針形、長さ3~9cm×幅0.5~1.4cm、上部では小さくなり、苞状になり、無毛で、先は鋭形または尖鋭形。花序は直立し、帯紫色、しばしば暗色の条線があり、長さ4~13cm、無毛。花序軸は長さ2~10cm、花は5~17個つく。花の苞は緑色または紫色、長さ10~15mm、子房より短く、子房をわずかに超える程度で、先は尖鋭形。花は淡紫色またはバラ色、まれに白色、中型。小花柄と子房は紡錘形、長さ6~15 mm。背萼片は卵形または楕円形で凹面形、長さ4~5mm×幅2~3mm、先は鋭形または鈍形。側萼片は卵状鎌形、斜め、長さ5~6mm×幅2~4mm、先は鈍形。花弁は背萼片とともにゆるいフードを形成し、卵形または楕円形、斜め、長さ4~5mm×幅2~3mm、縁には縁毛があり、先は鈍形。唇弁は基部が淡黄色を帯び、紫色の斑点があり、長円形~倒卵形、長さ6~10mm×幅6~8mm、距があり、中央の下側で3裂する。側裂片は卵形~ほぼ長円形、長さ2~4mm×幅2~3mm、先は鈍形。中裂片は長円形~倒卵状長円形、長さ4~6mm×幅3.5~4.5mm、より長く幅が狭く、基部にうねがあり、先は切形、全縁~浅く凹形。距は垂れ下がり、円筒形、長さ8~12mm×幅2.5~3mm、通常子房より短い。花期は4月。

16 Hemipilia tominagae (Hayata) Y.Tang et H.Peng クモマチドリ 雲間千鳥

  synonym Ponerorchis tominagae (Hayata) H. J. Su & J. J. Chen [Flora of China]

 台湾原産。中国名は白花小红门兰 bai hua xiao hong men lan。標高2700~3800mの高山林、高山草原、ガレ場斜面の苔むした岩に生える。
 高さ3.5~18cm。塊茎は卵形~ほぼ球形、長さ5~10mm×幅4~9mm。茎は緑色、長さ(1~)2~6cm、基部に1~2個の筒状鞘があり、1~3枚の葉がある。葉は茎葉、互生し、間隔が広く、または稀に茎の基部近くに密集し、緑色で紫色の斑点はなく、披針形~線状長円形、長さ2~7cm×幅0.5~0.8cm、無毛、先は鋭形。花序は直立し、緑色、長さ2~10cm、無毛。花序軸は長さ1~2cm、花は1個または2~4個。花の苞は披針形~卵状披針形、長さ5~12mm×幅2~3mm、子房より短いか子房をわずかに超える程度で、先は尖鋭形。花は偏側生、白色または唇弁に紫色または赤色の斑点があり、中型。子房は円筒状紡錘形、小花柄を含めて長さ8~10mm、無毛。背萼片は直立し、長円形~楕円形、長さ5.5~7mm×幅2~3mm、3脈があり、先は鈍形またはほぼ鋭形。側萼片は長円形、斜め、長さ7~9mm×幅3~4mm、3脈があり、先は鈍形または鋭形。花弁は直立し、背萼片とともにフードを形成し、長円形、斜長、長さ5~6.5mm×幅約3mm、無毛、3脈があり、先は鈍形。唇弁は倒三角形~倒卵形、長さ8~12mm、中央より上で3~4裂し、縁はほぼ全縁~不規則な鋸歯があり、距があり、ディスクは中脈に毛があり、基部は緑がかった色を帯び、ときにバラ色の斑点がある。側裂片はほぼ三角形~卵形、約・長さ3mm×幅3mm、先は鈍形またはほぼ鋭形。中裂片は卵形~四角形、長さ3~5mm、縁はわずかに波打つ。先は切形、浅く~深く凹形、2個の小裂片を形成し、小裂片間に小突起がある。距は垂れ下がり、真っすぐで、円筒形~円錐状円筒形、長さ4~5.5mm、子房よりはるかに短く、先は鈍形。花期は7~8月。

16 ハイブリッド
品種) 'Suzutidori'ウチョウラン×ヒナチドリ , 夢ちどり'Yumetidori'(ウチョウラン、クロカミラン, サツマチドリなどの交配種) , 火の鳥(ヒナチドリ×ウチョウラン)

ウチョウラン属

  family Orchidaceae - genus Ponerorchis

 多年草、地上生、小型~中型、細い。塊根(tubers)はほぼ球形、卵形、または楕円形、分かれず、肉質。茎は普通、直立し、円柱形、無毛、基部の近くに1~3個の筒状の鞘があり、上部に1~5枚の葉がつく。葉は根生葉または茎葉、互生し、まれに対生、基部で狭くなり抱茎の鞘になり、無毛~まばらに毛がある。花序は頂生、無毛または毛がある。花序軸は緩くまたは密に1個~多数の花がつく。花の苞は披針形~卵形。花は逆さになり(resupinate)、偏側生または偏側生で無く、小型~中型。子房は捻じれ、しばしばわずかに弧状になり、無毛または毛がある。萼片は離生。背萼片は直立し、しばしば凹面状になる。側萼片は広がる。花弁はしばしば背萼片と輻合し、フードを形成する。唇弁は全縁または3~4裂し、基部に距があり、まれに距が無い。距は普通、子房と同長。ずい柱は丈夫。葯は直立し、基部はずい柱の先にしっかりとつき、2個の平行な葯室がある。花粉塊は2個、顆粒粉状(granular-farinaceous)、小塊があり(sectile)、それぞれが細い花粉塊柄(caudicle)によって粘着体(viscidium)に付着する。各粘着体は粘着性のある球体に包まれ、両方の球体は、嘴状体(rostellum)の腕にたたみ込まれて形成された通常の嚢(bursicle)に包まれる。柱頭は凹面状、嘴状体の下にある。嘴状体は突き出し、2本の腕があり、耳は2個、普通、目立ち、ずい柱の両側に1個ずつつく。蒴果は直立する。
 世界に約20種あり、ヒマラヤから中国東部、中国、韓国、日本に分布する。

ウチョウラン属の主な種

1 Ponerorchis alpestris (Fukuy.) X.H.Jin, Schuit. et W.T.Jin  ウスイロチドリ 
  synonym Hemipilia alpestris (Fukuy.) Y.Tang et H.Peng
2 Ponerorchis cucullata (L.) X.H.Jin, Schuit. et W.T.Jin  ミヤマモジズリ 
  synonym Hemipilia cucullata (L.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
3 Ponerorchis curtipes (Ohwi) Soó   ヒナチドリ 
  synonym Hemipilia chidori (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
  synonym Ponerorchis chidori (Makino) Ohwi var. curtipes (Ohwi) F.Maek.
  synonym Ponerorchis chidori (Makino) Ohwi
4 Ponerorchis gracilis (Blume) X.H.Jin, Schuit. et W.T.Jin  ヒナラン 
  synonym Hemipilia gracilis (Blume) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
5 Ponerorchis graminifolia Rchb.f.  ウチョウラン 
  synonym Hemipilia graminifolia (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa var. graminifolia
5-1 Ponerorchis graminifolia Rchb.f. var. suzukiana (Ohwi) Soó  アワチドリ 
  synonym Hemipilia graminifolia (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa var. suzukiana (Ohwi) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
6 Ponerorchis joo-iokiana (Makino) Nakai  ニョホウチドリ 
  synonym Hemipilia joo-iokiana (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
7 Ponerorchis keiskei (Maxim. ex Franch. et Sav.) X.H.Jin, Schuit. et W.T.Jin  イワチドリ 
  synonym Hemipilia keiskei (Maxim. ex Franch. et Sav.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
8 Ponerorchis kinoshitae (Makino) X.H.Jin, Schuit. et W.T.Jin  コアニチドリ 
  synonym Hemipilia kinoshitae (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
9 Ponerorchis kiraishiensis (Hayata) Ohwi  ノウコウチドリ 
  synonym Hemipilia kiraishiensis (Hayata) Y.Tang et H.Peng
10 Ponerorchis kurokamiana (Ohwi et Hatus.) J.M.H.Shaw  クロカミラン 
  synonym Ponerorchis graminifolia Rchb.f. var. kurokamiana (Ohwi et Hatus.) T.Hashim. 異分類
11 Ponerorchis lepida (Rchb.f.) X.H.Jin, Schuit. et W.T.Jin  オキナワチドリ 
  synonym Hemipilia lepida (Rchb.f.) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
12 Ponerorchis pauciflora (Lindl.) Ohwi  チョウセンチドリ 
  synonym Hemipilia chusua (D.Don) Y.Tang et H.Peng
  synonym Ponerorchis chusua (D.Don) Soó
13 Ponerorchis pauciflora (Lindl.) Ohwi var. joo-iokiana (Makino) Ohwi  ニョホウチドリ 
  synonym Hemipilia joo-iokiana (Makino) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
14 Ponerorchis taiwanensis (Fukuy.) Ohwi  アネチドリ 
  synonym Hemipilia taiwanensis (Fukuy.) Y.Tang et H.Peng
  synonym Ponerorchis taitungensis (S.S.Ying) S.S.Ying
15 Ponerorchis takasagomontana (Masam.) Ohwi  タカサゴチドリ 
  synonym Hemipilia takasagomontana (Masam.) Y.Tang et H.Peng
16 Ponerorchis tominagae (Hayata) H.J.Su et J.J.Chen  クモマチドリ 
  synonym Hemipilia tominagae (Hayata) Y.Tang et H.Peng
  synonym Ponerorchis taoloii (S.S.Ying) T.P.Lin
  synonym Ponerorchis kunihikoana (Masam. et Fukuy.) Soó
  synonym Ponerorchis kuanshanensis (S.S.Ying) S.S.Ying

参考

1) Flora of China
 Hemipilia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=115052
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Hemipilia
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:29656-1
3) World Flora Online
 Hemipilia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000017413;jsessionid=D02AF9D4A2F83F26D25793C72BE7FB3E
4) 北方山草 29 p87(2012)
 北海道にもあったフジチドリ Neottianthe fujisanensi
http://hopposansokai.web.fc2.com/kaishi/no29/29-12.pdf
5) World Checklist of Vascular Plants
 Hemipilia
https://wcvp.science.kew.org/
6) 株式会社さいかち
 うちょうらん
http://www11.plala.or.jp/saikachi/index.html