ウラギク 浦菊

mark

Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae ウラギク属

別 名 ハマシオン
中国名 碱菀 jian wan
英 名 sea aster
学 名 Tripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz.
 synonym Aster tripolium L.

 synonym Tripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz. subsp. pannonicum

 synonym Aster tripolium L. subsp. pannonicus (Jacq.) Soo
ウラギクの花
ウラギクの花3
ウラギクの雌しべ
ウラギクの総苞
ウラギクの冠毛
ウラギクの果実
ウラギクの茎
ウラギク
ウラギクの葉表
ウラギクの葉裏
ウラギクの舌状花、筒状花
ウラギクの冠毛のついた果実
花 期 8~12月
高 さ 25~50(~80)㎝
生活型 1年草
生育場所 塩性湿地、塩性湿地の草地、湿った草地、開けた砂地、沿岸地域、川岸
分 布 在来種  本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメンスタン、ウズベキスタン、北アフリカ、ヨーロッパ
撮 影 吉良町 12.10.26
世界の分布域は広い。日本では太平洋側の沿岸に分布し、海岸の埋立地の造成により減少し、国の絶滅危惧Ⅱ類に指定され、絶滅危惧種に指定している県も多い。ハマアカザ、マツナ、シバナなどの生える海岸の塩分のある湿地に群生する。写真は海岸工事で掘り上げられたガレキの間に咲いたもの。花期にはキク科であることがよくわかるが、葉だけのときはキク科には見えない。国外では以前からTripolium属(中国名 碱菀屬)として分類されている。Tripolium pannonicumはsubsp. pannonicus やsubsp. tripoliumなどの亜種に分けられることもあった。狭義のAster tripolium L.=Aster tripolium subsp. tripoliumはヨーロッパだけに分布し、Tripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz. subsp. tripolium (L.) Greuterのbasionym(元の異名)とされている。亜種を分類しない見解もあり、日本では以前はAster tripolium を使用し、Tripolium pannonicumを別名とするのが普通であったが、現在の分類ではTripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz.とされ、亜種や変種に分けない。
 全体に無毛。茎は直立し、分枝する。葉は長さ5~10(15)㎝の披針形、全縁、厚く、光沢がある。葉先は尖り、基部は茎をやや抱く。ハマアカザほどには葉は白っぽくならない。頭花は直径約2㎝、周辺小花は舌状花、1列、13~25個つき、青白色~青紫色~帯ピンク色、または白色、舌部は長さ10~12㎜×幅1~2㎜、無毛。中心小花は筒状花、19~22個つき、黄色、狭漏斗形、先が5裂し、次第に赤色を帯びる。花の冠毛は長さ3~5㎜、花後に急速に伸び、果実の冠毛は5~15㎜になる。総苞は筒状、長さ約7㎜、幅4~7㎜、総苞片は2~3列。痩果は狭長円形、扁平、長さ2.5~3(3.5)㎜、上向きの毛が散生し、やや褐色を帯びた冠毛がつく。2n=18。

ウラギク属

  family Asteraceae - genus Tripolium

 1年草。茎は直立する。葉は互生、全縁またはまばらに鋸歯がある。頭花は放射状頭花(radiate)、散房花序状の合成花序につく。総苞は円筒状鐘形。総苞片は2列または3列、外側の総苞片は短く、緩い複瓦状、肉質、乾くと膜質になり、3本またはそれ以上の脈があり、縁は薄膜質。花托は±扁平、蜂の巣状、蜂の巣の縁は小円鋸歯状、裸出する。小花は稔性。周辺小花は雌性、1列、小舌は青白色~青紫色~帯ピンク色。中心小花は両性、多数、黄色、狭漏斗形、5裂する。葯の基部は鈍形。花柱の枝の先は披針形。痩果は単形、狭長円形、扁平、無毛またはまばらに剛毛があり、縁には2うねがあり、面には1脈がある。冠毛は3または4+列、白色~汚白色または帯ピンク色~帯赤色、細く、小刺のある剛毛(barbellate bristles)で、花後に著しく伸びて、総苞の長さの2倍になる。
 世界に1種だけ、北アフリカ、アジア、ヨーロッパに分布する。

ウラギク属の主な種と園芸品種

1 Tripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz. ウラギク 浦菊
  synonym Tripolium vulgare Nees
  synonym Aster tripolium L.
  synonym Tripolium pannonicum subsup. maritimum Holub
  synonym Tripolium pannonicum f. discoideum (Rchb.f.) B.Bock
  synonym Tripolium pannonicum subsup. tritripolium (L.) Greuter
 日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア(極東、シベリア)、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ(アルジェリア、チュニジア)原産。中国名は碱菀 jian wan。英名はsea aste。別名はハマシオン。塩性湿地、塩性湿地の草地、湿った草地、開けた砂地、沿岸地域、川岸に生える。
 1年草。茎は中空、条線があり、直立し、高さ25~50(~80)㎝、単生または数本、叢生し、ときに基部から分枝し、ときに上部でだけ分枝し、枝はしばしば広がり、無毛。 葉は多肉質で、無毛で、根生葉は花時に枯れる。下部の茎葉は線形~長円状披針形、長さ5~10㎝×幅0.3~1.2㎝、縁は全縁またはわずかに小円鋸歯があり、先は鋭形。中部の葉は無柄、狭く、茎上部では小さくなる。頭花は多数、円錐状の散房花序状の合成花序につき、長い花序柄がある。総苞は直径4~7㎜。総苞片は緑色、無毛、縁はしばしば紫色を帯びる。外側の総苞片は卵形~披針形、長さ2.5~5mm、先は鈍形~鋭形。内側の総苞片は狭長円形、長さ7~8㎜。周辺小花は13~25個、舌部は長さ10~12㎜×幅1~2㎜、無毛。中心小花は19~22個、長さ8~9㎜、花冠裂片は披針形、長さ1.5~2㎜、無毛。痩果は扁平、長さ2.5~3㎜。花期および果期は8~12月。2n=18。
1-1 Aster tripolium L. f. albiflorus S.Toyama シロバナウラギク 異分類
 まれに見られる白花品種。

参考

1) Flora of China
 Tripolium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=133754
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Tripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz.
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:256563-1
3) World Flora Online
 Tripolium pannonicum (Jacq.) Dobrocz.
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000006524
4) World Checklist of Vascular Plants
 Tripolium
https://powo.science.kew.org/about-wcvp