ウマノミツバ 馬の三葉

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Flora of Mikawa

セリ科 Apiaceae ウマノミツバ属

別 名 ヤマミツバ
中国名 变豆菜 bian dou cai
英 名 Japanese parsley,Japanese hornwort
学 名 Sanicula chinensis Bunge
ウマノミツバの蕾の花序
ウマノミツバの果実
ウマノミツバの果実1
ウマノミツバの葉裏
ウマノミツバ葉
ウマノミツバ葉柄の基部
ウマノミツバ基部
ウマノミツバ
ウマノミツバ花序
ウマノミツバ葉
ウマノミツバ分果と種子
花 期 7~9月
高 さ 30~100(120)㎝
生活型 多年草
生育場所 林内
分 布 在来種  日本全土、朝鮮、中国、ロシア
撮 影 田原市 13.9.18(果実) 14.6.13(花)
多年草。高さ30~100(120)㎝。茎は直立し、上部でよく分枝する。全体に無毛。根生葉は少数、葉柄は長さ7~30㎝、葉鞘は薄膜質。葉身は3~5深裂し、下面は淡緑色、縁には不規則な重鋸歯があり、歯は微突形、中裂片は倒卵形、長さ3~10㎝×幅4~13㎝、基部はくさび形。 側小葉は基部近くまで2裂する。切れ込みの深さは変化があり、3裂の葉がミツバに似ていることもある。葉表に皺があり、葉裏に葉脈が隆起する。茎葉は上部で小さく、無柄~短柄、3深裂する。花序は普通、3又分枝し(trichotomously branched)、頂部の枝は短く、側枝は長い。苞は葉状、3裂する。小苞は8~10個つき、長さ1.5~2㎝、幅約1㎜の線形。小散形花序は花が6~10個つく。雄花は各小散形花序に3~7個つく、花柄は長さ1~1.5mm、花弁は白色、倒卵形。稔性の花(両性花)は各小散形花序に3~4個つき、雄花よりわずかに長く、萼歯は線形、約・長さ1.2㎜×幅0.5mm、花柱は萼歯の長さとほぼ同長。果実は卵状球形、長さ4~5㎜×幅3~4㎜、萼歯は嘴があり、宿存し、上部には鈎状剛毛があり、基部は広がる。油管(vittae)は5本、中程度、接合面の油管(commissural vittae)は2本、大きい。2n=8, 16。花期と果期は4~10月。(日本の花期は7~9月)
 フキヤミツバ Sanicula tuberculata は本州(中部地方以西)、四国、九州、朝鮮に分布する稀産種。草丈8~20㎝以下と小型。茎頂に葉状の苞を対生し、1(~3)個の小散形花序に花を約23個つけ、多数の雄花と少数の両性花を混生する。花弁は緑色。刺毛は先が鉤状にならない。

ウマノミツバ属

  family Apiaceae - genus Sanicula

 2年草または多年生草。茎は直立、斜上、またはまれに傾伏、無毛(中国種)。葉は葉柄があり、葉鞘は一般的に膜質、または無柄。葉身は円形、円状心形、または心状五角形、掌状に3~5深裂し、しばしば、分裂し、縁は鋸歯状または剛毛のある重鋸歯状。散形花序は単純または複合、花序柄のある総状花序、集散花序、または散房花序状の枝がある。苞は葉状、普通、鋸歯がある。小苞は小さく、全縁、まれに分裂する。小散形花序は無柄またはほぼ無柄の両性花と、花柄がある雄性花の両方をもつ。萼歯は目立ち、合着し、宿存性。花弁は白色、緑白色、淡黄色、紫色、または淡青色、へら形または倒卵形、先が狭く、内曲する。柱下体(stylopodium)は無いか又は平らな円盤状。花柱は萼歯より短いか又はそれを超え、反曲する。果実は長い楕円形またはほぼ球形で、鉤状または真っ直ぐな剛毛、またはいぼ状突起で密に覆われ、隆条は不明瞭かまたはわずかに目立つ。油管(vittae)は明瞭または不明瞭、背面と側面に不規則に配置され、普通、合成面(commissure)で3本。種子は表面が凹面または溝がある。分果柄(carpophore)は無い。
 世界に約40種あり、主に温帯地域に分布し、亜熱帯地域にも分布する。

ウマノミツバ属の主な種と園芸品種

1 Sanicula chinensis Bunge  ウマノミツバ 馬の三葉
  synonym Sanicula elata Buch.-Ham. ex D.Don var. japonica Koidz.
 日本全土、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は变豆菜 bian dou cai。英名はJapanese parsley,Japanese hornwort。別名はヤマミツバ。
 多年草。高さ30~100(120)㎝。茎は直立し、上部でよく分枝する。全体に無毛。根生葉は少数、葉柄は長さ7~30㎝、葉鞘は薄膜質。葉身は3~5深裂し、下面は淡緑色、縁には不規則な重鋸歯があり、歯は微突形、中裂片は倒卵形、長さ3~10㎝×幅4~13㎝、基部はくさび形。 側小葉は基部近くまで2裂する。切れ込みの深さは変化があり、3裂の葉がミツバに似ていることもある。葉表に皺があり、葉裏に葉脈が隆起する。茎葉は上部で小さく、無柄~短柄、3深裂する。花序は普通、3又分枝し(trichotomously branched)、頂部の枝は短く、側枝は長い。苞は葉状、3裂する。小苞は8~10個つき、長さ1.5~2㎝、幅約1㎜の線形。小散形花序は花が6~10個つく。雄花は各小散形花序に3~7個つく、花柄は長さ1~1.5mm、花弁は白色、倒卵形。稔性の花(両性花)は各小散形花序に3~4個つき、雄花よりわずかに長く、萼歯は線形、約・長さ1.2㎜×幅0.5mm、花柱は萼歯の長さとほぼ同長。果実は卵状球形、長さ4~5㎜×幅3~4㎜、萼歯は嘴があり、宿存し、上部には鈎状剛毛があり、基部は広がる。油管(vittae)は5本、中程度、接合面の油管(commissural vittae)は2本、大きい。2n=8, 16。花期と果期は4~10月。(日本の花期は7~9月)

1-1 Sanicula chinensis Bunge f. paupera (Nakai) Kitag. サイシュウウマノミツバ 
 韓国原産。

2 Sanicula epipactis (Scop.) E.H.L.Krause
  synonym Hacquetia epipactis (Scop.) DC. [World Flora Online]
  synonym Dondia epipactis (Scop.) Spreng.
  synonym Astrantia epipactis Scop.
 オーストリア、チェコスロバキア、イタリア、ポーランド、ユーゴスラビア原産。英名はbroad-leaved sanicle, hacquetia。1種だけのHacquetia属として分類されていることが多い。Royal Horticultural SocietyのAGBを得ている。
 多年草、高さ15~30㎝、叢生する。根茎をもつ。葉は緑色、光沢があり、花後にだけ、完全に発達する。花序は球形の散形花序、直径約4㎝、花は小さく、黄色。苞は数個つき、葉状、ライムグリーン色、花序を取り囲んで、平らに開出する。花期は冬下旬~春初旬。
品種) 'Harry Foley' (v) , 'Thor' (v) , 'Variegata'

3 Sanicula kaiensis Makino et Hisauti  ヤマナシウマノミツバ 山梨馬の三葉
 日本(山梨県、長野県)。別名はヤマナシミツバ。夏緑性の広葉樹林の明るい林床に生える。
 多年草、高さ15~30㎝。茎は細長く直立し、枝をよく伸ばす。根出葉は長い葉柄があるが、茎葉は無柄。葉は3全裂し、側小葉はさらに2裂し、掌状に見える。裂片には鋸歯がある。散形花序は頂生、単純、まばらに花を少数つける。花は白色~帯紫色。小苞は小さい。果実は卵形、刺毛は上部ほど長く、先が鈎状。花期は7~9月。

4 Sanicula lamelligera Hance  ヒメウマノミツバ 姫馬の三葉
  synonym Sanicula lamelligera Hance var. wakayamensis (Masam.) Murata
  synonym Sanicula satsumana Maxim.
 日本(沖縄、南西諸島)、中国、台湾原産。中国名は薄片变豆菜 bao pian bian dou cai。別名はサツマミツバ, キイウマノミツバ。
 高さ13~30cm。根茎は短く、塊茎状、木質、褐色の繊維状の根の束をもつ。茎は2~7本、細く、直立。根生葉は数枚。葉柄は長さ4~18㎝。葉身は円状心形、長さ2~6㎝×幅3~9㎝、掌状に3深裂し、中裂片はくさび状倒卵形または菱形、長さ2~6㎝×1~3㎝、上部は3裂し、基部はくさび形。側裂片は斜めの卵形になり、しばしば浅く2裂する。すべての裂片は下面が淡緑色または紫赤色。上部の葉は非常に小さく、3裂または分裂せず、線状披針形。花序は2~4回二又分枝または3つ又分枝し、ときに亜散房花序状になる。苞は小さく、線形、長さ1.5~3mm。大散形花序の柄(ray)は3–7本、長さ2~10mm。小苞は4~5個、線形。小散形花序は花が5~6個。雄花は小散形花序ごとに4~5個。花弁は白色、帯ピンク色、または淡青紫。小散形花序ごとに1つの稔性の花がつく。萼歯は線形、長さ約1mm。花柱は長さ約1.5㎜、反曲する。果実は長い卵形、約・長さ2.5mm×幅2mm、微細不整歯のある薄膜で覆われ、成熟すると短くまっすぐな刺になり、決して鉤状にならず、基部で融合して薄い層(tier)を形成する。油管(vittae)は5本。花期と果期は4~11月。

5 Sanicula petagnioides Hayata  ニイタカミツバ 
 台湾原産。台湾变豆菜 tai wan bian dou cai。

5 Sanicula rubriflora F.Schmidt クロバナウマノミツバ 黒花馬の三葉
 日本(本州の岩手県・長野県)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は红花变豆菜 hong hua bian dou cai。別名はマンシュウミツバ
 高さ1m以下。直根は繊維状または肉質の繊維状の根をもつ。茎は直立、枝分かれしない。根生葉は多数つく。葉柄は長さ13~55㎝。葉身は円状心形または腎形状円形、長さ3.5~10㎝×幅6.5~12㎝、掌状に3深裂し、裂片は浅く2~3裂し、剛毛のある鋸歯状。中裂片は倒卵形、基部はくさび形。側裂片は広倒卵形、普通中間または下まで深裂する。苞は2個、葉状、3深裂する。大散形花序の柄(ray)は3本。小苞は3~7個、倒披針形~線形、長さ7~35×幅3~6mm、全縁または1~3個の鋸歯がある。小散形花序は花が多数つく。雄花は小散形花序あたり15~20個つけ、花柄があり、萼歯は卵状披針形、長さ1.2~1.8mm×幅0.6~1mm、中肋が目立つ。花弁は帯ピンク色~紫色、基部は漸尖し、先はノッチがある。稔性の花は小散形花序あたり3~5個つき、無柄、萼歯と花弁は雄花と同じ。花柱は萼歯の長さの約2倍、反曲する。果実は卵形または卵状球形、約・長さ4.5mm×幅4mm、黄色の鈎状の剛毛で密に覆われる。油管(vittae)は5本。花期と果期は6~9月

6 Sanicula tuberculata Maxim. フキヤミツバ 吹屋三葉
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は瘤果变豆菜 liu guo bian dou cai。和名は発見地の岡山県高梁市成羽町吹屋に因む。
 特徴は①茎が分枝しない。②花柄が短い。③葉葉は掌状に3深裂し。側裂片がさらに2裂して5小葉にみえる。
 高さ12~15㎝。直根は多数の暗褐色の繊維状の根を持つ。茎は直立し、枝分かれしない。根生葉は数枚。葉柄は長さ5~15㎝。葉身は心形~腎形、長さ2~3.5㎝×幅4~7㎝、3深裂し、裂片は上部に不規則は小鋸歯がある。中裂片は倒卵形、基部はくさび形、中肋は先端まで伸び、先は鋭形~ほぼ切形、普通は浅く3裂する。側裂片は、広倒卵形または斜めの円形、中間~基部まで深裂する。苞は葉2個、対生し、葉状、2~3深裂し、裂片は倒卵形、長さ2.5~3.5㎝×幅1~2㎝、小鋸歯がある。散形花序の柄(ray)は3本、長さ0.5~3.5㎝。小苞は3~6個、狭披針形または線形、長さ0.5~1.5mm、全縁または1~2鋸歯がある。小散形花序は花が多数。雄花は小散形花序あたり約20個、花柄は長さ約2mm、萼歯は卵形または卵状披針形、花弁は紫赤色。稔性の花は散形花序あたり3個、無柄、萼歯は狭三角形、長さ約2mm、花弁は約・長さ2mm×幅1mm、花柱は萼歯の長さの約2倍、反曲する。果実は卵状球形、約・長さ4.5mm×幅4mm、いぼ状突起と真っすぐまたはわずかに曲がった小刺で覆われる。油管(vittae)は5本。花期は5月。

参考

1) Flora of China
 Sanicula
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129131
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Sanicula
http://plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:325956-2
3) World Flora Online
 Sanicula
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000033943;jsessionid=C2248C63BA2ECD269A6250068F6490EE
4) Turczaninowia 20 (2): 106–239 (2017)
 Updated checklist of Chinese Umbelliferae:
 nomenclature, synonymy, typification, distributio
https://www.researchgate.net/publication/318092127_Updated_checklist_of_Chinese_Umbelliferae_Nomenclature_synonymy_typification_distribution/fulltext/5b3c66a34585150d23f68f75/Updated-checklist-of-Chinese-Umbelliferae-Nomenclature-synonymy-typification-distribution.pdf