トベラ 扉

mark

Flora of Mikawa

トベラ科 Pittosporaceae トベラ属

別 名 トビラノキ、トビラ
中国名 海桐 hai tong
英 名 Japanese cheesewood, Australian-laurel, Japanese pittosporum, mock orange
学 名 Pittosporum tobira (Thunb.) W.T.Aiton
トベラの花序
トベラの果実(11月)
トベラの裂開しかけた果実
トベラの裂開した果実
トベラの葉表拡大
トベラの枝先
トベラ
トベラ葉表
トベラ葉裏
トベラ種子
花 期 4~6月
高 さ 2~8m
生活型 常緑小低木~高木
生育場所 海岸
分 布 在来種 本州(岩手県以南)、四国、九州、沖縄、朝鮮
撮 影 西浦町 11.7.27    竹島 04.5.1(花)
伊良湖岬 13.11.20(果実)
トベラは中国など世界で広く栽培され、公園や庭によく植栽されている。伊良湖岬の海岸では自生種と思われるものが、シャリンバイやハマヒサカキの多い斜面で見られる。
 枝や葉には臭気がある。葉は互生し、長さ5~10㎝、幅2~3㎝の倒卵形。葉は革質で、光沢があり、先がまるく、全縁、短い葉柄がある。葉縁が裏側へ巻き込み、中脈が太く、葉の中央に白線が入っているように見えるのが特徴。雌雄別株。枝先に集散花序をつけ、直径約2㎝の5弁花を多数つける。花の香りが良く、花の色は初め白色で、しだいに黄色になる。蒴果は直径1~1.5㎝の球形、秋の終わりに淡黄色~灰褐色に熟し、3裂して橙色の種子を見せる。種子は長さ5~8㎜程度の不定形、粘液で果実に付着し、落ちない。2n=24
 タカサゴトベラ var. calvescens は台湾に分布し、若枝、葉、子房に毛がある。
 シマトベラ Pittosporum undulatum はオーストラリアに分布し、葉縁が波状になる。果実は淡橙色~黄褐色、熟すと2裂する。種子は赤褐色~褐色。英名はcheesewood、トベラと同じmock orange ともいわれる。日本でも栽培されている。

トベラ属

  family Pittosporaceae - genus Pittosporum

 高木、低木、ときに亜低木、常緑、有毛又は無毛。葉は互生、対生や偽輪生にも見え、普通、小枝の先に密集する。葉身は革質又はときに膜質、縁は全縁、波状歯があり、又はしわがある。花序は頂生又は腋生、散形花序、散房花序、円錐花序、又は花が単生する。花は両性、まれに雌雄混株。萼片は5個、分離、普通、短くて小さい。花弁は5個、分離又は部分的に合着する。雄しべは5本。葯は背着、±矢じり形、縦に裂開。子房は上位、普通、柄があり、心皮は2~3(~5)個、1室又は不完全な2~5室、有毛又は無毛。胚珠は普通、多数、ときに、1~4個。胎座は側膜胎座で心皮の数に等しい、又は基底胎座で心皮の数が少ない。花柱は短く、単純又は2~5裂し、普通、宿存する。蒴果は楕円形又は球形、ときに扁平、2~5バルブに裂開する。分果は木質又は革質、普通、内側に水平な条線がある。種子は普通、粘着物質又はグリース状の物質で覆われる。
 世界に約150種があり、バングラデシュ、ブータン、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、シッキム、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム、熱帯及び南アフリカ、南西アジア、大西洋諸島、 オーストラリア、インド洋諸島、太平洋諸島に分布する。

トベラ属の主な種と園芸品種

1 Pittosporum anomalum Laing & Gourlay ピットスポルム・アノマルム

 ニュージーランド原産。
 低木、高さ約1mまで、分岐する。小枝は細く、曲がりくねり、絡み合い、±綿毛がある。幼植物の葉は線形~狭長円形、不規則な歯状鋸歯~羽状複葉で、約・長さ1cm×2mm。成植物の葉は芳香があり、互生または発達を停止した(arrested)小枝の上に束生し、長さ5~15㎜×幅3mm、線形、羽状中裂し、長さ5~10mmの葉と混ざり、それは線形、幼植物のように分裂し、他の葉は長さ約5mmで全縁。発達を停止した小枝または腋生の茎の先端に花がつく。萼片は長さ約1.5mm、披針形~長円形。花弁は縁毛があり、長さ約3mm、不規則に細かく切れ込み、帯黄色または白色、縁は赤色を帯びる。蒴果は長さ約5mm、卵形、2バルブがあり、バルブは膜質。種子は1~4個、粘液に浸っておらず、紙状の膜(内果皮)で覆われる。花期は9~11月。果期は3~4月。2n=24。[Flora of New Zealand]
品種) 'Falcon' , 'Kestral' (f) , 'Raven' (f) , 'Starling' (m)

2 Pittosporum bicolor Hook. ピットスポルム・バイコロル
 オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、タスマニア州、ビクトリア州)原産。英名はcheesewood , banyalla。標高1300m以下の山地の湿潤な硬葉樹林に生える。しばしば峡谷に生える。
 低木または高木、高さ3~10m。葉は互生し、通常は狭卵形~狭長円形、長さ3~8cm×幅5~18mm、縁は平らから反り返り、先はほぼ鋭形~鈍、下面は通常密に毛があるが、まれに古くなると±無毛になる。葉柄は長さ2~3mm。花は通常頂生、単生または数個が束生する。萼片は長さ3~6mm、毛は少数~多数。花弁は長さ 8~11mm、黄色に紫褐色の斑紋がある。子房は毛がある。蒴果は球形、長さ5~8mm、毛があり、灰色、バルブは内面が黒っぽい。種子は少数~多数、赤色。花期は春。
品種) 'Cradle' (f) , 'Mount Field' (f)

3 Pittosporum boninense Koidz. シロトベラ 白扉
 日本固有種(小笠原諸島、南西諸島原産)。別名はリュウキュウトベラ。低木林の明るい林縁や林内、道端に生える。
 小笠原諸島にはシロトベラ Pittosporum boninense Koidz.、ハハジマトベラ P. beecheyi Tuyama、オオミトベラ P. chichijimense Nakai ex Tuyama、コバトベラ P. parvifolium Hayata の4 種の固有種が生育する。4種は単系統群であることが高い支持率で確認され、姉妹群にはトベラ P. tobira、コヤスノキP. illici が該当する。(参考3)
 小高木。1年枝と古い枝は白灰色、平滑、アーチ状に斜上またはわずかに曲がりくねり、微細な黄色の皮目が点在する。当年枝は黄緑色で無毛。宿存する葉は、枝の先端と節で互生するか、またはほぼ輪生し、革質、長円形まれに楕円形または倒披針状長円形、ときに線状長円形、基部は鈍形~円形~くさび形または鋭形、縁は全縁またはわずかに波状、通常長さ5~10cm×幅2.5~3.5㎝。幅は広く(まれに長さ2~4cm、長さ1.5cm。非常にまれに幅4cmまで)、無毛で、上面は明らかに光沢のある濃い緑色、下面はより淡色、約10~13脈があり、肋は上面で凹み、下面でわずかに盛り上がる。葉柄は長さ1~2.5cm、上面に狭いが深い溝があり、無毛。枝先に散房花序が2~3個つき、多数の花をつける。花序柄は長さ2~3㎝。小花柄は長く、すぐに無毛になる。苞は卵形、先が尖り、長さ約2㎜、長い毛がある。花は肉質、長さ11~12mm、白色で次第に黄色に変わる。萼は無毛、萼片は5個、卵形、長さ2~3.5mm、縁に微細な縁毛がある。花冠は鐘形、花弁は萼片に互生し、倒卵状長円形、または線状へら形で先は円形、花時には互いに合流しない。萼片の雄しべは対生する花弁の雄しべより短く、花糸はかすかに肉質で無毛。葯は卵状長円形、鈍形。子房は楕円形、赤褐色、無毛、花柱は子房よりわずかに長く、柱頭は不明瞭に2裂する。蒴果はほぼ球形、直径約10㎜、3バルブは宿存する長い花柱を冠す。花期は4~5月。

3-1 Pittosporum boninense var. boninense シロトベラ 白扉 狭義

  synonym Pittosporum bicarpellatum Nakai & Tuyama ムニントビラin Bot. Mag. (Tokyo) 49: 447 (1935)

 小笠原諸島に分布。シマトベラ(Pittosporus undulata)によく似ているが、花の数が少ないこと、花序のカールした毛が短いこと、萼片が大きく、深裂することによって区別される。
 低木、枝は平滑、乾燥すると淡褐色になり、皮目がまばらに見られる。葉は枝の先端近くまたは離れたところに生え、互生し、葉柄は長さ0.5~2.0cm、上面に溝がある。葉身は長円形または楕円形、まれに卵状楕円形で、長さ6~11cm×幅2.5~4.5cm、先は非常に鋭形、基部は短く漸尖して楔形になり葉柄に沿下し、両側の縁は非常に波打ち、無毛、革質、硬いが、上面は幼体ではわずかに毛があり、光沢があり、下面はより淡色で、顕著な肋が下面では明らかに隆起し、葉脈は12~16対ある。頂生花序は散房花序で、花数は少なく、花序柄は2~4本、長さ0.8~1.0cm、小花柄は2~4本、長さ0.4~0.8cm。基部に長い苞があり、苞は長さ1.0~2.5mm、線形、脱葉性。花柄と小花柄には短くて硬い、パリパリに巻いた暗褐色の毛があり、最終的には無毛になる。花は両性花、漏斗形、長さ1.1~1.2cm。幅1.2~1.4cm、白色。萼は鐘形で亜脱落性、萼片は5個、長円形、先は漸尖し、反り返り、約・長さ7mm×長さ2.5mm、基部は合着し、内側は無毛、外面には軟毛がある。花弁は5個、直立・開出し、線状へら形または線状長円形、先はほぼ鋭形、長さ1.3~1.4cm、3またはほぼ5本の脈がある。雄しべは5本、長さ約0.8mm。 花弁に互生する。花糸は同一平面にある(complanar)。葯は2室、長円形、長さ2.0mm×幅0.7mm、基部は矢じり状耳形、黄色(lutein)。柱頭は雄しべと同長かまたはそれより短く、先は切形、無毛。子房は楕円形、長さ4.0mm。長さ2.0mm。2心皮があり、伏した鉄さび色の毛がある。果実は直立し、無毛、ほぼ扁球形、直径1.2~1.4cm、2バルブをもち、曲がった円形~ほぼ円形、暗色の1本の条線があり、裂開せず、先端が凹面状、柱頭が宿存し、基部に亜関節のある小花柄があり、周囲に厚さ3.0㎜の角質の果皮がある。種子は乾くと、芳香があり、光沢があり、黒栗色(ムニントビラ Bot. Mag. (Tokyo) 49: 447 (1935))。

3-2 Pittosporum boninense var. chichijimense (Nakai ex Tuyama) H.Ohba オオミノトベラ 大実の扉

  synonym Pittosporum chichzjimense Nakai ex Tuyama in Bot. Mag. Tokyo 49: 446 (1935)

 小笠原諸島の父島に分布。別名はオオミトビラノキ。
 高さ1.0~1.5mの小型または果実のなる低木。背が高く、枝は直立または直立・開出し、平滑、灰粉白色、細点または縦縞のある皮目がある。葉は倒卵形または倒卵状長円形、先は円形または広く尖り、葉柄があり、長さ8~1.5cm、幅3.5~5.5cm。縁は全縁、ときにわずかに不規則に湾曲し、基部は狭く楔形で、葉柄にわずかに包み、両面とも無毛、紙質または紙状革質、下面に肋が隆起し、両側に脈が8~11本あり、目立つ網目がある。葉柄は長さ1.5~5.0cm、通常長さ2.5cm。花序は頂生、4~8個の両性花がつき、花序柄がないことが多いが、まれに花序柄があり、花序柄は長さ1.0~2.5cm。小花柄は長さ4~6cm、糸状、花後に垂れ下がり、先が太くなり、亜関節をもつ。花は長さ1.2~1.5cmの亜円錐花序につき、白色または黄白色、全体に無毛。萼片は5個、基部で合着し、長さ4.5~5.0mm、幅1.7~2.0mm、長円形、先は長い鋭形、凹面形、基部はほぼ袋形、縁には毛があり、花弁に互生する。花弁は5個、直立・開出し、先端はしばしば反り返り、線状長円形またはへら状長円形、先は円形、長さ1.2~1.4cm×幅3.5~4.0mm、縁は薄い。雄しべは5本、長さ8.0~8.5mm、花弁に互生する。花糸は扁平。葯は2室、三角状卵形。柱頭は雄しべと等長、先は切形、無毛。子房は長さ5~6mm×幅2.2~2.5mm、毛があり、心皮は3個、まれに4個、バルブがある。果実は球形または三角状球形、直径1.0~1.3cm、先端はわずかに尖り、果皮は厚さ1.5~2.0mm、乾くと褐色で、通常は裂開しない。種子は直径2.5~3.0mm、黒褐色、不規則な角(かど)がある。

3-3 Pittosporum boninense Koidz. var. lutchuense (Koidz.) H.Ohba オキナワトベラ 沖縄扉

  synonym Pittosporum lutchuense Koidz. var. denudatum (Nakai) S.Kobayashi in J. Jap. Bot. 57: 75 (1982)

  synonym Pittosporum lutchuense Koidz.
  synonym Pittosporum denudatum Nakai

  synonym Pittosporum boninense Koidz. var. denudatum (Nakai) H.Ohbain J. Jap. Bot. 64: 326 (1989)

 沖縄(琉球各島)原産。別名はリュウキュウトベラ。
 花序は複雑で、集散花序、無毛または軟毛があり、花は多数から少数である。花弁は長さ7~15mm、わずかに反り返る。葉は葉は中程度の大きさで、長さ4~10 cm、褐色、楕円形または倒披針状長円形、先は鋭形~鈍形または円形、中央または中央よりわずかに上で最も幅が広い。花序には多数の花が付く。花序には密に軟毛がある。小花柄には軟毛があり、短いT字形の毛または腺毛がある。花は小さく、花弁は長さ7~8mm、

4 Pittosporum colensoi Hook.f. ピットスポルム・コレンソイ
 ニュージーランド原産。英名はRautāwhiri。
 樹高は最大±10m、幹の直径は最大±40cm、樹皮は非常に暗色で、枝は P. tenuifolium よりも太い。葉は短く太い葉柄に互生する。葉身は楕円状長円形~披針状長円形~倒卵状長円形、通常、尖形、±長さ4~10cm×幅2~5cm、革質、上面は暗緑色、下面は淡色、縁は平ら。花は腋生で、単生またはたまに、数個の花の集散花序につき、短く丈夫な±毛のある花序柄につく。苞はやや宿存性。萼片は広長円形、±毛がある。花弁は暗赤色~非常に暗い赤色。蒴果は±球形、直径約12mm。バルブは木質で厚く、しわがある。花期は11~12月。果期は1~4月。
品種) 'Cobb' (f) , 'Wanaka' (m)

5 Pittosporum crassifolium Banks & Sol. ex A.Cunn. ピットスポルム・クラシフォリウム

 ニュージーランド原産。英名はkaro。
 高さ9mにもなる低木または高木。樹皮は暗褐色。枝は直立または斜上し、ときに(sts)ほとんど円錐状(fastigiat)。小枝は、葉が下部にあり、葉柄と花序柄は白色から淡黄褐色のほぼ伏した綿毛に密に覆われる(ときに古い植物標本では鉄色)。葉は互生し、まさに革質、葉身は長さ5~7(10)cm×幅2~2.5cm、長さ2cm以下の丈夫な葉柄があり、倒卵状楔形~倒卵形状楕円形~狭倒卵形、縁は外巻きする。花は機能的に単性で、頂部の散形花序に雄花が5~10個、雌花が1~2個つく。萼片は錐形~長円状披針形、先細りになり、綿毛があり、長さ約6mm。花弁は狭長円形、長さ約1cm、暗赤色。蒴果は亜球形~卵形、綿毛があり、長さ2~3cm、長さ1.5cm以下の丈夫な湾曲した花序柄につく。バルブは3個、まれに4個あり、厚い木質である。果期は9~12月。[Flora of New Zealand]
品種) 'Compactum' , 'Havering Dwarf' (f) , 'Napier' (f) , 'Variegatum' (v)

6 Pittosporum dallii Cheesem. ピットスポルム・ダリー
 ニュージーランド原産。英名はDall's kohukohu。ヨーロッパで栽培されている。エッセンシャルオイルがいくつかの高級香水の花のブーケに特別な特徴を加えるために使われる。
 無毛、枝を広げ、高さ6mに達する。幹の直径は約2mまで、樹皮は灰色。小枝はかなり太く、しばしばほぼ輪生、樹皮は赤紫色。葉は小枝の先端に密集し、互生からほぼ対生または輪生し、長さ2cm以下の丈夫な葉柄がある。葉身は革質、長さ5~10cm×幅2.5~3.5cm、楕円形~楕円状長円形、先は鋭形~尖鋭形、無毛(ときに若いときはまばらに毛がある)、鋭く粗い鋸歯がある(たまに葉は全縁~ほぼ全縁)。散形花序は頂生、複合、短い花序柄の上に密集する。苞は目立ち、早落性。花には芳香がある。萼片は線状錐形~尖鋭形、長さ1cmまで。花弁は白色、線状長円形、先は鈍形、長さ2cmまたはそれよりわずかに長い。蒴果は密集し、楕円状長円形、長さ約1cmまたはそれ以上、2バルブあり、バルブは木質で細かい顆粒状、種子は果肉に埋まり、バルブが落ちた後も長く宿存し、± 紙質の内果皮に包まれる。花期は11~1月。果期は1~3月。

7 Pittosporum daphniphylloides Hayata ヤドリオオバトベラ 
 中国(貴州省、湖北省、湖南省、四川省)、台湾原産。中国名は牛耳枫叶海桐 niu er feng ye hai tong。別名はオオバトベラ。標高500~2500mの森林、雑木林、谷、峡谷、斜面、崖、乾燥した場所に生える。
 低木または小高木、高さ2~5(~8)m。若い小枝は太く無毛、古い小枝は赤褐色で小さな皮目がある。葉は小枝の先端に密集し、2年生。葉柄は長さ1.5~3cm、ほぼ円柱形。葉身は下面は淡緑色、上面は緑色または暗緑色で光沢があり、乾くと帯褐色になり、長円形または楕円形、まれに倒卵状長円形、長さ10~20cm×幅4~8cm、薄いまたは厚い革質、下面は無毛、側脈は9~12対、下面に凸状になり、内面は目立つまたは明瞭、網状脈は下面凸状、上面はわずかに凹状になり、基部は楔形または広楔形、沿下し、縁は平ら、乾くと反り返り、先は鋭形または尖鋭形。花序は3~7個、小枝の先の葉腋につき、複合散房花序、多数分枝し、長さ4~6cm、毛がある。1次の花序柄は非常に短いかまたは無い。2次の花序柄は長さ3~4.5cm、3次の花序柄は長さ0.8~1.3cm。苞は披針形、長さ2~3mm、毛があり、落葉性。小花柄は長さ2~7mm。萼片は離生または基部でのみ合着し、卵形または広卵形、長さが不均等、長さ1.2~2mm、下面に毛があり、縁は縁毛があり、先はほぼ鋭形。花弁は離生、黄色、狭長円形、長さ6~7.5mm、先はほぼ鈍形。雄しべは長さ約5mm。雌しべは雄しべと同長、子房は無毛。胎座は2(または3)個、側膜胎座。胚珠は約24個。花柱は長さ約2mm。蒴果は球形またはほぼ球形、わずかに扁平、直径6~10mm、2個のバルブによって裂開し、果皮は薄い木質、背側に水平の条線があり、胎座はバルブの中央部に突出し、柄は明瞭または非常に短く、宿存する花柱は細く、長さ約1.5mm。種子は10~23個、赤色、乾くと黒色になり角張り、長さ約2mm。珠柄は非常に短い。花期は3~6月。果期は6~12月。

7-1 Pittosporum daphniphylloides var. adaphniphylloides (Hu & F.T.Wang) W.T.Wang

 中国(貴州省、湖北省、湖南省、四川省)原産。中国名は大叶海桐 da ye hai tong。標高500~1500mの森林、谷、峡谷、斜面、崖、乾燥した場所に生える。
 葉身は厚い革質。種子は17~23個。
7-2 Pittosporum daphniphylloides var. daphniphylloides
 台湾原産。中国名は牛耳枫叶海桐 niu er feng ye hai tong。標高800~2500mの広葉樹林、雑木林に生える。
 葉身は薄い革質。種子は10~15個。

8 Pittosporum eugenioides A.Cunn. ピットスポルム・エウゲニオイデス

 ニュージーランド原産。英名はlemonwood , tarata。生垣や見本用の低木として(特に斑入りの種は)よく栽培されている。オーストラリアで逸出して野生化している。
 枝が密集した低木または高木、高さ12mに達する。葉は芳香があり、互生または枝先に密集し、披針形~倒披針形または楕円形、長さ(5~)8~12(~15)cm×幅 2.5~4cm、光沢があり、無毛、縁は通常波打つ。花は甘い香りがあり、単性またはまれに両性で、頂生の円錐花序につく。小花柄は長さ4~6mm。萼片は離生、卵形~狭卵形、長さ約2mm。花弁は狭長円形、長さ5~7mm、帯黄色、離生で、基部から広がる。蒴果は球形~卵形、長さ5~6mm、暗褐色、無毛、内面は平滑、帯黄色。種子は少数、長さ2.5~3.5mm、暗赤褐色~帯黒色。花期は10月。
品種) 'Mini Green' , 'Platinum' (v) , 'Tens Gold' , 'Variegata' , 'Variegatum' (v) , 'Zita Robinson'

9 Pittosporum heterophyllum Franch. ピットスポルム・ヘテロフィルム

 中国(四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は异叶海桐 yi ye hai tong。標高800~3000(~4000)mの森林、谷、斜面、川岸、岩地に生える。
 低木、高さ約2.5m。若い小枝は灰褐色で無毛、古い小枝は皮目がない。葉は小枝の先端に密集し、2年生。葉柄は長さ3~4mmまたは無い。葉身は下面は淡緑色、上面は緑色で光沢があり、倒披針形~狭披針形~帯状または線形、長さ4~8cm×幅0.3~2cm、薄い革質、外側は無毛、側脈は5~6対あり、網状脈は両面で不明瞭、基部は楔形、縁は平ら、先はほぼ鋭形。花序は頂生、散形花序状、花が1~5個。苞は落葉性。小花柄は長さ2~15mm、綿毛があるかまたは無毛。萼片は基部でわずかに合着し、卵形、長さ2~2.5mm、無毛または縁に縁毛があり、先は鈍形。花弁は合着し、披針形、長さ約6mm、先は円形。雄しべは長さ4~5mm、葯は長さ約1.5mm。雌しべは雄しべよりわずかに短い。子房は軟毛があるかまたは無毛。胎座は2個、側膜胎座。胚珠は5~8個。花柱は長さ約1.5mm。蒴果はほぼ球形、わずかに扁平、直径約6mm、2個のバルブで裂開する。果皮は薄い木質。花柱は長さ約2mm、宿存する。種子は5~8個、乾くと黒色、長さ約2.5mm。珠柄は非常に短い。花期は3~5月。果期は5~11月。
品種) 'La Blanca' (v) , 'Variegatum'
9-1 Pittosporum heterophyllum var. heterophyllum
  synonym Pittosporum truncatum var. tsaii Gowda
 中国(四川省、西蔵、雲南省)原産。中国名は异叶海桐 yi ye hai tong。標高800~3000(~4000)mの森林、谷、斜面、川岸に生える。根と樹皮は骨折、火傷、切り傷の治療に薬として使用される。
 葉は葉柄があり、葉身は倒披針形、狭披針形、または線形、長さ4~8cm×幅1~2cm、より狭い場合もある。小花柄は長さ7~15mm、無毛。子房には毛がある。花期は3~5月。果期は6~11月。
9-2 Pittosporum heterophyllum var. ledoides Hand.-Mazz.
  synonym Pittosporum ledoides (Hand.-Mazz.) C.Y.Wu
 中国(雲南省)原産。中国名は带叶海桐 dai ye hai tong。森林、岩地に生える。
 葉はごく短い葉柄があり、葉身は帯状で、長さ約5cm×幅0.3~0.4cm。小花柄は長さ約2mm、無毛。子房には軟毛がある。花期は3~5月。果期は5~11月。
9-3 Pittosporum heterophyllum var. sessile Gowda
 中国(雲南省)原産。中国名は无柄异叶海桐 wu bing yi ye hai tong。
 葉は無柄。葉身は狭披針形、長さ3~7cm×幅0.5~0.8cm。小花柄には綿毛がある。子房は無毛。

10 Pittosporum illicioides Makino  コヤスノキ 子安の木

  synonym Pittosporum illicioides Makino var. angustifolium T.C.Huang ex S.Y.Lu

 日本(兵庫県、岡山県)、中国、台湾原産。中国名は海金子 hai jin zi。別名はヒメトベラ
 低木、高さ約5m。若い小枝は無毛。古い小枝は皮目がある。葉は小枝の先に3~6個、束生し、偽輪生に見える。葉柄は長さ7~15㎜。葉身は下面が淡緑色、上面は暗緑色、乾くと光沢があり、倒卵状披針形、倒披針形、又は狭披針形、長さ5~18㎝×幅1.7~4.5㎝、薄い革質、無毛、側脈は6~8対、下面でわずかに凸面になり、上面では不明瞭、下面で網状脈は不明瞭、基部は狭いくさび形、普通、沿下し、縁は平ら又はわずかにしわがあり、先は鈍形~尖鋭形。花序は頂生、散形花序、花が2~10個つく。苞は小さく、脱落性。花柄は普通、曲がり、細く、長さ1.5~3.5㎝、無毛。萼片は卵形、長さ約2mm、無毛、先は鈍形、花弁は長さ8~9mm。雄しべは長さ約6mm。子房は長い卵形、微軟毛があり、柄は短い。胎座は3個、側膜胎座。胚珠は各胎座に5~8個。蒴果はほぼ球形、±三角形又は3個の縦のひだがあり、直径9~12㎜、3バルブに裂開する。胎座はバルブの中間にある。分果は薄い木質、果柄は普通、曲がり、細く、長さ2~4㎝。柄は長さ約1.5 mm。種子は8~17個、長さ約3mm、珠柄は圧縮され、長さ約1.5mm。花期は3~5月。果期は6~11月。

11 Pittosporum michiei Allan ピットスポルム・ミチエイ
 ニュージーランド原産。
 匍匐性の低木、枝は直径±5mm、間隔をあけて根を張る。小枝は直径2mmに満たず、若いときは毛がある。葉は(2~)3~4(~5)枚の輪生、かなり離れてつき、またはときに単生し、非常に短い細い葉柄がある。葉身は倒卵状楕円形~倒卵形~楕円形、亜革質、無毛、長さ(8~)10~25(~30)mm×幅(4~)6~12(~15)mm、通常微細な小突起形。花序は頂生、散形花序状の集散花序、または単生花からなる。花は芳香があり、花弁の外側は深紅色、内側はレモン黄色、機能的には単性である。雄花は花が(2~)5~6(~9)個の散形花序につき、小花柄は糸状、毛があり、長さ(5~)8~10mm。萼片は長さ±3mm、非常に狭い披針形、尖鋭形。花弁は長さ±10mm、均等に同形。未成熟の雌しべは数個存在する。雌花はほとんどが単生、小花柄は長さ3~5mm、糸状、有毛。萼片と花弁は雄花と類似。雄しべは数個存在する。子房は密に毛が生える。蒴果は若いときは絹毛が生え、果肉は黄色、バルブは2個、木質、非常に暗褐色、わずかに疣があり、内側は橙黄色、卵形、尖鋭形、突出する嘴を含んで長さ6~10mm。
品種) 'Jack' (m) , 'Jill' (f)

12 Pittosporum parvifolium Hayata コバトベラ 小葉扉 広義
 日本固有種(小笠原諸島)。別名はコバノシマトベラ。コバは乾性低木林
 常緑小低木。葉は枝先に3~5枚輪生状につき、葉は小さく、長さ2~8cm、長円形、先が円形、光沢がある。雌雄異株あるいは両性で自家不和合性。花序に少数の花がつく。花序柄と小花柄は無毛。果実は単生。花期は11~12月。(Journ. Jap. Bot. 57: 79 1982)
 小笠原のトベラ属の仲間は他にハハジマトベラ、オオミトベラ、シロトベラがあり、互いに近縁になっている。

12-1 Pittosporum parvifolium var. beecheyi (Tuyama) H.Ohba ハハジマトベラ 母島扉

  synonym Pittosporum Beecheyi Tuyama in Bot. Mag. Tokyo 49: 445, t. 8 (1935)

 小笠原諸島の母島に分布。別名はハハジマトビラ。
 小低木、高さ1.0~2.5m、上部で非常によく枝分かれし、枝は広がり、平滑、褐色または緑褐色の縦枝を持ち、多数の融合した皮目がある。葉は倒卵形または長円状倒卵形、まれに円状倒卵形、葉柄は長さ4.5~8.0cm×幅2.1~4.3cm、先は円形、基部は広鋭形、急に楔形になり、葉柄があり、縁は長く沿下し、まれに波打ち、は身は革質または紙状、両面とも無毛、下面は光沢があり、わずかに淡色になり、乾くと暗褐色になり、葉脈は両側に8~15本、上面でわずかに陥入し、下面では隆起する。葉柄は長さ0.5~2.0cm、上面にはわずかに溝がある。花は頂生、単生し、短い小花柄があり、小花柄はやや太く、長さ1.2~2.1cm×太さ1.0~1.2mm、まばらに毛が生え、花後に上部が広がり、下部は狭くなる。花は両性花、全体に無毛。萼片は5個、基部で合着、広卵形、長さ3.0~3.5mm×幅2.0~2.5mm、先は鈍形、基部は非常に円錐形でわずかに袋状になり、縁にやや厚く軟毛があり、花弁を互生する。花弁は5個、非常にまれに6個、長円形または線状長円形またはへら状長円形、長さ11~13mm×幅3.0~3.5mm、先は円状鈍形、基部は厚い切形。雄しべは花弁に互生し、幅7~8mm、亜扁平。葯は2室、長さ0.9mm×幅1.9mm、長い卵状披針形。柱頭は長さ7mm、花弁よりわずかに短く、先は3裂して平らになる。子房は長さ3.5~4.0m、幅3.0mm、ほぼ球形、密に毛があり、心皮は3個。果実は球形または三角状球形、直径1.8~2.2cm、先端に柱頭が宿存し、3バルブに裂開し、果皮は厚さ3.0~4.0mm、黒褐色。種子は直径約3~4mm、変形しやすく、栗色。花期は11~12月。
 特徴:子房は通常軟毛がある。花は長さ10mm以上。果実は大きく、直径15~22mm、球形またはほぼ球形で、長い下向き小花柄があり、裂開する。心皮は厚さ3.5~5.0mm。

12-2 Pittosporum parvifolium var. parvifolium コバトベラ 小葉扉

  synonym Pittosporum tobira var. sukuraii Gowda
 小笠原諸島の父島、向島に分布。
 花序に少数の花がつく。花柄と小花柄は無毛。果実は単生。葉は小さく、長さ 2~8cm。子房は無毛。花は長さ10mm未満。果実は小さく、直径7~10mm、球形で、短い直立した小花柄があり、裂開しない。心皮は厚さ1.0~1.5mm。花期は11~12月。

13 Pittosporum pentandrum (Blanco) Merr. ピットスポルム・ペンタンドルム 広義

  synonym Pittosporum formosanum Hayata
 中国、台湾、ベトナム、フィリピン、インドネシア(ボルネオ、スラウェシ)原産。木材用樹木が伐採された二次林に特徴的に生育するが、標高2300mまでの熱帯雨林にも生える。薬や燃料の原料として使われ、精油も採れる。種子や挿し木で簡単に繁殖できる。  低木または高木、高さ3~17(ときに20)m、幹の直径10~30(ときに50)cm。葉は螺旋状または偽輪生。葉柄は長さ1.5cmまで。葉身は狭楕円形~倒披針形、長さ4~12cm×幅1~3cm。花序は頂生または腋生、多数の花が付き、密錐花序状(thyrsoid)、直径約3~4cm、枝には軟毛がある。花は機能的に単性。萼片は5個、離生、卵形、約・2mm×1mm。花弁は5個、長楕円形~線形、最大・8mm×1mm、白色。雄しべは5本、雄花で最も発達し、雌しべは雌花で最も発達する。果実は扁球形の蒴果で、直径約7mm、わずかに尖り、2バルブがある。種子は6~8個、ほぼ腎形、約・長さ3mm×幅2mm。

13-1 Pittosporum pentandrum (Blanco) Merr. var. formosanum (Hayata) Z.Y.Zhang et Turland タイワントベラ 台湾扉

 中国(広西チワン族自治区、海南省)、台湾原産。中国名は台琼海桐 tai qiong hai tong。海抜300mまでの茂み、斜面、海岸に生える。
 小高木または低木、高さ約12m。若い小枝は鉄さび色の毛が生え、古い小枝は無毛で、目立たない皮目がある。葉は小枝の先端に密集し、偽輪生のように見え、2年または多年生。葉柄は長さ5~12mm。葉身は上面が暗緑色で光沢があり、下面は淡緑色、倒卵形または長倒卵形、長さ4~10cm×幅3~5cm、若いときは紙質だが、すぐに革質になり、両面に毛が生え、後に無毛になり、側脈は7~10対あり、上面で網状脈が目立ち、基部は狭い楔形、沿下し、縁は全縁またはしわがあり、先は鈍形または短い鋭形、ときに円形。花序は頂生、円錐花序、多数の散房花序をもち、密にサビ色の毛があり、1次の花序柄と1次の花序軸は長さ4~8cm、2次の花序柄は長さ1.5~4cm、3次花序柄は長さ3~5mm。苞は披針形、長さ約2mm、落葉性、小苞は卵状披針形、長さ1.5~2mm、無毛または縁に縁毛がある。小花柄は長さ3~6mm。花弁は長さ5~6mm。花糸は長さ約3mm。葯は長さ約1mm。子房は卵形、基部にまばらに鉄錆色の毛がある。胎座は2個、側膜胎座、子房の下部にある。胚珠は12~16個。蒴果は扁球形、直径6~9mm、無毛、2つのバルブで裂開する。果皮は薄く木質、表側に水平の条線がある。種子は約10個、不規則な角張り、長さ約3mm。花期は5~11月。果期は10~12月。

13-2 Pittosporum pentandrum var. hainanense (Gagnep.) H.L.Li

 中国、ベトナム原産。Flora of Chinaではvar. formosanumに含めている。

13-3 Pittosporum pentandrum var. pentandrum ピットスポルム・ペンタンドルム 狭義

 フィリピン、インドネシア(ボルネオ、スラウェシ)原産。

14 Pittosporum ralphii Kirk ピットスポルム・ラルフィー
 ニュージーランド原産。英名はRalph's desertwillow。
 低木、枝が広がり、高さ約4mに達する。樹皮は暗褐色。小枝は葉が下部にある。葉柄と花序柄は白色~淡黄褐色の綿毛で密に覆われる。葉身は革質、長さ7.5~12.5cm×幅2.5~5.5cm、葉柄は長さ±1.5~2cm。楕円形~倒卵状長円形、先は鈍形~鋭形、基部は葉柄に向かってかなり急激に狭くなる。散形花序は頂生、花が3~10個あり、花序柄は長さ約1.5cm。萼片は狭卵形~錐形、長さ5~7mm。花弁は狭楕円形、長さ約1cm、暗赤色。蒴果は広卵形、3バルブがあり、長さ約1.5cm、毛があり、細い小花柄に付く。花期は9~12(~6)月。果期は11~1月。
品種) 'Green Globe' , 'Variegatum' (v)

15 Pittosporum tenuifolium Sol. ex Gaertn. クロバトベラ 黒葉扉
 ニュージーランド原産。英名はtawhiwhi , Kohukohu , kohuhu , black matipo。
 低木又は小さい 雌花両性花異株の高木、高さ10m以下(普通、かなり小型)。幹は直径0.3~0.4(~0.6) m、丈夫で暗灰黒色~黒色~褐色の宿存する樹皮に覆われる。枝は多数、直立し、広がる。小枝と若葉は毛があり、毛は淡黄色~クリーム色。葉柄は短く、やや肉質。葉は互生し、長さ(10~)30(~70)mm×幅(5~)10(~20)㎜、革質、上面は淡緑色~暗緑色、下面は淡色、長円状卵形~楕円状倒卵形、先は鈍形~鋭形、まれに尖鋭形、縁は全縁、しばしば波打つ。花は単生又は腋生の集散花序につき、かなり芳香があり、特に夜芳香がある。花柄は丈夫で淡緑色、肉質、苞は全縁、披針形、早落性。咢片は狭卵状長円形、ほぼ鋭形~鈍形、絹毛がある。花弁は長さ12mm、披針形、暗赤色、黒色(まれに、黄色又は白色)。蒴果は2バルブ(まれに3)、ほぼ球形、バルブは木質、熟すと黒色、長く宿存する。種子は粘性のある赤色又は黄色の果肉に埋め込まれる。2n=24。花期はカリフォルニアで12~5月(ニュージーランドでは花期が10~11月、果期が1~3月)。
品種) 'Abbotsbury Gold' (f/v) , 'All Gold' , 'Argenteo Variegatum' , 'Atropurpureum' , 'Aureo Variegatum' , 'Bannow Bay' , Beach Ball™ , 'Breebay' , 'Brockhill Compact' , 'Cap Sizun' , 'Churchills' , 'Conpitto' (PBR) , 'Cornish Mist' , 'County Park' , 'County Park Dwarf' , 'County Park Green' , 'Cratus' , 'Deborah' (v) , 'Dixie' , 'Eila Keightley' (v) , 'Elfin' , 'Elizabeth' (m/v) , Emerald Dome = 'Minpitto' (PBR) , Emerald Wave = 'Silver Star' (v) , 'Eugen Varie' , 'French Lace' , 'Garnettii' , 'Gloria Robinson' , 'Godsmark Green' , 'Gold Edge' , 'Gold Star' , 'Golden Ball' , 'Golden Cut' , 'Golden King' , 'Golden Princess' (f) , 'Golf Ball' (PBR) , 'Green Elf' , 'Green Thumb' , 'Harley Botanica' , 'Irene Paterson' (m/v) , 'Irene Patterson' , 'Irish Luck' , 'Ivory Sheen' , 'Jade' , 'James Stirling' , 'John Flanagan' , 'Katie' (v) , 'Kirsti' , 'Limelight' (v) , 'Loxhill Gold' , 'Malahide' (v) , 'Margaret Turnbull' (v) , 'Marjory Channing' , 'Marjory Channon' (v) , 'Mellow Yellow' , 'Minpitto' (PBR) , 'Moonlight' (v) , 'Mount Cook' , 'Mountain Green' , 'Nanum' , 'Nutty's Leprechaun' , 'Oliver Twist' , 'Petite Plum' , 'Pompom' , 'Purpureum' (m) , 'Silver Ball' (v) , 'Silver Dollar' , 'Silver Haze' , 'Silver Magic' (v) , 'Silver 'n' Gold' , 'Silver Princess' (f) , 'Silver Queen' (f/v) , 'Silver Sheen' (m) , 'Snowflake' , 'Sterling Gold' , 'Stevens Island' , 'Stirling Gold' (f/v) , 'Sunburst' , 'Tandara Gold' (v) , 'Tiki' (m) , 'Tom Thumb' , 'Tresederi' (f/m) , 'Variegatum' (m/v) , 'Victoria' (v) , 'Warnham Gold' (m) , 'Wendle Channon' (m/v) , 'White Cloud' , 'Winter Sunshine' , 'Wrinkled Blue' , 'Yellow Wave'

16 Pittosporum tobira (Thunb.) W.T.Aiton トベラ 扉
  synonym Pittosporum chinense Donn
  synonym Pittosporum tobira var. chinense S.Kobay.

  synonym Pittosporum tobira (Thunb.) W.T.Aiton f. macrophyllum (Nakai) Sugim. オオバトベラ 

 日本(本州の岩手県以南)、四国、九州、沖縄、朝鮮、台湾、ベトナム原産。中国名は海桐 hai tong。英名はJapanese cheesewood, Australian-laurel, Japanese pittosporum, mock orange。別名はトビラノキ、トビラ。
 常緑小低木~高木。高さ2~8m。枝や葉には臭気がある。葉は互生し、長さ5~10㎝、幅2~3㎝の倒卵形。葉は革質で、光沢があり、先がまるく、全縁、短い葉柄がある。葉縁が裏側へ巻き込み、中脈が太く、葉の中央に白線が入っているように見えるのが特徴。雌雄別株。枝先に集散花序をつけ、直径約2㎝の5弁花を多数つける。花の香りが良く、花の色は初め白色で、しだいに黄色になる。蒴果は直径1~1.5㎝の球形、秋の終わりに淡黄色~灰褐色に熟し、3裂して橙色の種子を見せる。種子は長さ5~8㎜程度の不定形、粘液で果実に付着し、落ちない。2n=24。花期は4~6月。
品種) Cream De Mint™ , 'Mojo' (v) , 'Nanum' , 'Tall 'n' Tough' , 'Turner's Variegated Dwarf' , 'Variegatum' (v) , 'Variegatum Linearifolium' (v) , 'West Acre Gold' , 'Wheeler's Dwarf'
16-1 Pittosporum tobira var. tobira トベラ 扉 狭義

16-2 Pittosporum tobira (Thunb.) W.T.Aiton var. calvescens Ohwi タカサゴトベラ 高砂扉

  synonym Pittosporum makinoi Nakai
  synonym Pittosporum tobira var. fukienense Gowda
 台湾原産。中国名は秃序海桐 tu xu hai tong。
 若枝と葉身はまばらに柄がある。花序は苞と咢片が無毛。子房にはまばらに微軟毛がある。花期は3~4月。果期は4~10月。

17 Pittosporum truncatum E.Pritz. ピットスポルム・トルンカトゥム

  synonym Euonymus provicarii H.Lév.
 中国(甘粛省、貴州省、湖北省、湖南省、陝西省、四川省、雲南省)原産。中国名は崖花子 ya hua zi。標高300~2600mの森林、雑木林、谷、川岸に生える。
 低木で、多く枝分かれし、高さ2~3mになる。若い小枝は灰色の毛があり、すぐに無柄になる。葉は小枝の先端に密集する。葉柄は長さ5~8mm。葉身は暗緑色で、上面に光沢があり、倒卵形または菱形、長さ5~8cm×幅2.5~3.5cm、硬い革質、上面には初め白色の毛があり、すぐにほぼ無毛になり、側脈は7~8対、下面にわずかに凸状になり、上面で顕著、下面では網状脈が見えるが、上面では不明瞭、先は鋭形。花序は小枝の先の葉腋につき、花が単生または散形花序となる。小花柄は細く、長さ1.5~2cm、無毛またはまばらに白色の綿毛がある。萼片は卵形、長さ約2mm、無毛、縁に縁毛がある。花弁は倒披針形、長さ約8 mm。雄しべは長さ約6mm。子房は卵形、褐色の軟毛がある。胎座は2個、側膜胎座 。胚珠は16~18個。蒴果は短楕円形、長さ9~11mm×幅7~8mm、2個のバルブに裂開する。果皮は薄く、外側に水平な小さな条線がある。種子は16~18個。珠柄は細く、扁平、長さ約1.5mm。花期は3~5月。果期は6~10月。
品種) 'Variegatum'

18 Pittosporum undulatum Vent. シマトベラ 島扉
 オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、タスマニア州、ビクトリア州)原産。英名はcheesewood , mock orange。別名はトウソヨゴ。日本でも栽培されている。温帯雨林、低地の森林、林地、湿地林と海岸の低木林に生える。
 葉縁が波状になる。果実は淡橙色~黄褐色、熟すと2裂する。種子は赤褐色~褐色。
 低木または高木、高さ約25m、通常は雌雄異株、まれに明らかに雄株で果実を少しつける。葉は芳香があり、枝先に密生し、卵形~倒披針形、長さ6~17cm×幅 2~5cm、上面に光沢があり、若いときは微細な毛があり、縁は通常波打つ。花は甘い香りがあり、頂生の散形花序状の集散花序、長さ1~2.5cmの1~数本の枝につく。小花柄は長さ2~14mm、萼片は長さ5~10mm、ほぼ中間の深さまで、5裂し、反り返り、しばしば裂片が不均等で、1列または2列に沿って基部まで裂ける。花弁は倒披針形、乳白色で、先が反り返る。雄花の花冠は長さ12~18mm、雌花より細く、葯は喉部から突出し、花糸は太く、白色、毛のある子房と花柱は長さがほぼ同じ。柱頭はわずかにこぶ状。胚珠は少ない。雌花は長さ12~14mm、仮雄しべがある。柱頭はふっくらとしていて頭状、裂片がある。胚珠は多数。蒴果は球形~倒卵形、長さ8~13mm、直径10~15mm、橙色~黄褐色、無毛、内面は平滑、帯黄色。種子は多数あり、長さ3~4.5mm、赤褐色。花期は主に8~10月。
品種) 'Variegatum' (v)

19 Pittosporum viburnifolium Hayata オニトベラ 鬼扉
  synonym Pittosporum moluccanum auct. non (Lam.) Miq.
 台湾原産。中国名は荚蒾叶海桐 jia mi ye hai tong。別名はガマズミトベラ。海抜200mまでの低木林、海岸沿いの雑木林、湖畔の歩道に生える。
 低木。若い小枝は灰褐色で、太く、皮目がある。葉は小枝の先端に密集し、2年生。葉柄は丈夫、長さ1~2cm。葉身は暗緑色、上面は光沢があり、倒卵形または倒卵状披針形、長さ10~14cm×幅3~5cm、厚い革質、下面は無毛、側脈は8~10対、下面は顕著に凸状になり、上面は凹状、基部は狭い楔形、縁は平ら、乾くとわずかに反り返り、先は円形。花序は頂生、円錐花序、長さ約10cm、褐色の毛がある。花序柄は長さ8~15mm。小花柄は長さ5~10mm。萼片は基部でわずかに合着し、卵形、長さ約3mm、無毛または縁にまれに縁毛がある。花弁は長円形、長さ1~1.2cm。雄しべは長さ約7mm。花糸は扁平、線形。子房は褐色の毛があり、柄は短い。花柱は短く、長さ約2mm、無毛。柱頭は頭状。蒴果は扁平、直径2~2.5cm、2個のバルブに裂開する。果皮は密な木質、厚さ約3mm、外側に水平の条線がある。胎座は2個、側壁にある。種子は長さ約7mm。花期は2~4月。果期は3~11月。

20 Pittosporum × intermedium
 ピットスポルム・クラシフォリウム(P. crassifolium)とクロバトベラ(P. tenuifolium)の交雑種。
品種) 'Craxten' (f)

21 その他ハイブリッド
品種) 'Bicton Silver' (m/v) , 'Collaig Silver' , 'Craxten' , 'Crinkles' (f) , 'Dark Delight' (m) , 'Dark Diva' , 'Emerald Lake' , 'Essex' (f/v) , 'Garnettii' (v) , 'Green Flame' , 'Holbrook' (v) , 'Humpty Dumpty' , 'Margaret Turnbull' , 'Mystery' (m/v) , 'Naimea' , 'Nanum Variegatum' , 'Peter Pan' , 'Purple Princess' , 'Sandersii' , 'Saundersii' (v) , 'Stephens Island' , 'Tadina Gold' , 'Trim's Hedger'

参考

1) Flora of China
 Pittosporum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=125638
2) Kewscience
 Pittosporum
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:326028-2
3) J. Jpn. Bot. 57(3): 70–80 (1982)
 小林純子:トベラとその近縁種について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/57/3/57_57_3_7329/_pdf/-char/ja
4) J. Jpn. Bot. 64(11): 326–327 (1989)
 Pittosporum parvifolium Hayata var. Beecheyi (Tuyama) H. Ohba
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/64/11/64_64_11_8388/_pdf/-char/ja
5) J. Jpn. Bot. 95(5): 273–284 (2020)
 川喜多遥菜,瀬戸口浩彰 : 小笠原諸島に固有のトベラ属(トベラ科)4種における分子系統解析
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB95-5_273-284_abstract.pdf
6) New Zealand Plant Conservation Network
 Pittosporum tenuifolium
https://www.nzpcn.org.nz/flora/species/pittosporum-tenuifolium/
7) The Jepson Herbarium
 Pittosporum tenuifolium
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=74634
8) Flora of New Zealand
 Pittosporum anomalum Laing & Gourlay
https://www.nzflora.info/factsheet/taxon/Pittosporum-anomalum.html
9) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
 Pittosporum bicolor Hook.
https://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Pittosporum~bicolor
10) Bot. Mag. (Tokyo) 31: 260 (1917)
 Pittosporum boninense
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/31/369/31_369_en253/_pdf/-char/ja
11) Bot. Mag. (Tokyo) 49: 447 (1935)
 Plantae Boninenses Novae vel Criticae II:Takasi Tuyama
 Pittosporum Beecheyi TUYAMA sp, nov  Pittosporum chichijimense NAKAI I  Pittosporum bicarpellatum NAKAI et TUYAMA Sp. nov.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/49/583/49_583_445/_pdf/-char/ja
10) Flora of New Zealand
 Abbreviations 略号
https://floraseries.landcareresearch.co.nz/segment/6a3d45b5-4436-4653-a038-b1d19b8bd6b6