チングルマ 稚児車

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Flora of Mikawa

バラ科 Rosaceae チングルマ属

別 名 イワグルマ、チゴノマイ
英 名 Aleutian avens, low avens
学 名 Sieversia pentapetala (L.) Greene
 synonym Geum pentapetalum (L.) Makino
チングルマの花
チングルマの果実
チングルマの葉
チングルマ
チングルマ2
花 期 6~8月
高 さ 7~10㎝
生活型 落葉低木
生育場所 高山の砂礫地、草地
分 布 在来種  日本(北海道、本州の中部地方以北)、ロシア、アラスカ
撮 影 千畳敷  06.8.8
チングルマはバラ科チングルマ属の落葉小低木。
 ダイコンソウ属とされることもある。和名は花後の形が、子供の遊ぶ風車に似ていことから稚児車と呼ばれ、これが転じたものといわれている。草本のように小さいが木本。葉は奇数羽状複葉、長さ2~5㎝。小葉は普通5~7個。花は直径約2㎝。雌しべは多数つき、痩果の花柱は白毛を密生し、長さ約3㎝に伸び、枝先で風車状になる。2n=14。

チングルマ属

 family Rosaceaee - genus Sieversia

 低い低木(shrub)または小低木(undershrub)。葉は(断続的な)羽状複葉、小葉はかなり少数、楔状の倒卵形、縁は欠刻状円鋸歯状または羽状全裂(pinnatisect)する。花茎は通常の状態では小さな苞を発達させる。花は花茎に単生する。花托筒は短く、ほぼ皿形(patelliform)。外側の萼片は5個、内側の萼片とほぼ等長。花弁は5枚。ディスクは存在しないか、ほとんど目立たない。雄しべは多数。花糸は無毛。子房柄(gynophore)は無またはほぼ無。花托は短い円錐形で無毛。雌しべは多数。花柱は長く、密に毛があり、関節はない。
 世界に2種あり、日本、ロシア、アラスカに分布する。

チングルマ属の主な種と園芸品種

1 Sieversia pentapetala (L.) Greene チングルマ 稚児車
  synonym Geum pentapetalum (L.) Makino
  synonym Geum anemonoides Willd.
  synonym Geum dryas Crantz
  synonym Sieversia dryadoides Siebold & Zucc.
 日本(北海道、本州の中部地方以北)、ロシア、アラスカ原産。英名はAleutian avens, low avens。和名は花後の形が、子供の遊ぶ風車に似ていことから稚児車と呼ばれ、これが転じたものといわれている。
 落葉小低木、高さ7~10㎝。草本のように小さい。茎は長く木質で分枝するてい幹(branched caudex)から生じ、微軟毛がある。葉は奇数羽状複葉、長さ2~5㎝。小葉は普通5~7個。托葉は長さ2~6㎜。葉柄は長さ4~15㎜、基部で広がって茎を鞘状に包み、鞘の縁には縁毛がある。下部の葉の小葉は狭楕円形、長さ2~6㎜、縁は全縁または間隔の離れた歯がある。上部の葉の小葉は倒卵形~菱形、長さ8~12㎜、縁は鋭く裂けるかまたは先に歯がある。花序は苞が3出または線形、長さ6~10㎜。托葉があり。葉柄は鞘状の基部にまで縮小する。小花柄は長さ2.5~8cm、無毛または下部に微軟毛があり、上部は微軟毛または羽毛状毛がある。花は直径約2㎝、直立し、副萼小苞(epicalyx bractlets)はときに先が2裂またはほぼ2裂し、長さ3~4㎜。萼片は卵形、長さ4~7㎜、縁は全縁。花弁は白色、開出し、長さ7~11㎜、萼片より明らかに長い。雌しべは多数つき、痩果の花柱は白毛を密生し、長さ約3㎝に伸び、果時の小花柄は長さ7~10㎝になり、先が風車状になる。2n=14。花期は夏。(Flora of North America)
7-1 Sieversia pentapetala (L.) Greene f. plena Miyabe et Tatew. ヤエチングルマ 八重稚児車
 花が八重咲きの品種。
7-2 Sieversia pentapetala (L.) Greene f. rosacea (Nakai) Takeda タテヤマチングルマ 立山稚児車
 花が淡紅色の品種。

2 Sieversia pusilla (Gaertn.) Hultén シエベルシア・プシラ
  synonym Anemone pusilla Gaertn.
  synonym Anemonastrum baicalense (Turcz.) Mosyakin
  synonym Geum selinifolium (Fisch. ex F.Schmidt) Hultén
  synonym Sieversia anemonoides var. tenuis Regel & Tiling
  synonym Sieversia selinifolia Fisch. ex F.Schmidt
 ロシア東部原産。北極圏のツンドラ、山の斜面、海岸に生える。
 多年生。台木は通常細く、前種よりも木質化が少ない。小葉は倒卵形または広倒卵形で、基部が楔形に細くなり、深く(中間より深く)3裂し、裂片は長楕円形で、先では2~3裂、下側の小葉は全縁。花はより大きく、直径25~30㎜。萼片は卵形~広卵形、ほぼ等長。小果実は多少急に花柱に移行する。その他はS. pentapetalaに類似。7月~8月。

参考

1) Flora of North America
 Geum 15種
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=113505
2) BHL - Flora of the U.S.S.R 1968 v.10 (1971) Page182-182
 Sieversia, Sieversia pentapetala, Sieversia pusilla
https://www.biodiversitylibrary.org/name/Anemone_pusilla#